ハイスクールD×D  十二星座の使徒   作:ミニチュアコンセント

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7話 不死鳥VS赤き龍の帝王

[イッセー side]

 

 

用意された戦闘用フィールドの中央で俺とライザーは対峙している。

俺は既に赤龍帝の籠手を展開している。

 

ライザーの野郎は余裕の表情だ。

 

『それでは、始めてもらおうか』

 

魔王様の開始の合図と同時に、ライザーは炎の翼を生やし宙を舞う。

 

「部長! 十秒でケリをつけます!」

 

「ならば、俺はその減らず口を五秒で封じてやる。二度と開かぬようにな!」

 

おめぇだけは俺が思いっきり殴り飛ばしてやる!

 

「部長! 『プロモーション』することを許可願います!」

 

俺の叫びに部長は頷き、俺の胸が「ドクンッ!」と鳴る。

 

しゃあっ!

これで最強の駒に昇格できるぜ!

 

「『プロモーション』! 『女王(クイーン)』!」

 

そして、俺は部長へ向かって叫ぶ。

 

「部長ぉぉぉ! 俺は木場みたいな剣の才能はありません! 朱乃さんみたいな魔力の天才でもありません! 小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、アーシアみたいな治癒の力もありません! それでも俺は『最強の兵士(ポーン)』になりますッ!」

 

俺は再度部長に誓う。

 

「部長のためなら神様だって倒してみせます! 輝きやがれ! オーバーブーストォォォォォォォォォォッ!」

 

Welsh(ウェルシュ)Dragon(ドラゴン)Over(オーバー)Booster(ブースター)!!!』

 

その音声と共に俺の体の各部位に、鎧が次々と装着されていく。

 

数秒経った時には、ドラゴンの姿を模した赤い全身鎧(プレートアーマー)を身に纏っていた。

 

「これが龍帝の力! 禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』だ! 俺を止めたきゃ魔王様に頼み込め! 何しろ『禁じられた忌々しい外法』らしいからな!」

 

この状態は十秒しか保たない。

だから、十秒で奴を殴り飛ばす!

 

(テン)

 

カウントが開始された!

グダグダしてる暇はねぇ!

 

俺は両手の手のひらを少し開けるように合わせ、手のひらの間に魔力の塊を生み出し、それを一気にライザーの方へと放つ。

 

「────っ!」

 

自分の予想に反する魔力砲だったのかそれを間一髪で避ける。

 

──ここだ!

 

鎧の背部にある噴出口から魔力を噴き出し、爆発的な速度でライザーの背後に回り込み殴りつけるが、やつは直前に気づき炎の翼で上へと急上昇する!

俺はスピードのコントロールができず、壁に激突してしまった!

 

(ナイン)

 

俺は瓦礫を腕で払いながら立ち上がる。

 

「何だ!? この力と速さは!? 本当に不愉快なクソガキだ! 今のお前はただのバケモノだクソガキ!」

 

咆哮をあげるライザーの背中に巨大な炎の翼が出現した。

 

奴の全身は炎に包まれた!

 

「火の鳥と鳳凰! 不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身で受けて燃え尽きろッッ!」

 

(エイト)

 

火炎に包まれたライザーが高速で迫ってくる。

 

「てめぇのチンケな炎で俺が焼かれるわけねぇだろォォォォォッ!」

 

吼えながら俺もライザーへ突っ込む!

 

お互いの拳がぶつかり合った瞬間、力と力が生み出した波動がフィールド全体を震動させた。

そのままフィールドの空中で殴り合うが、ライザーの高熱がこもったパンチが左頬に当たり下へと叩き落とされる。

 

ぐっ!

鎧がなかったら確実にやばかった。

これがあいつと俺の力の差なのか。

 

(セブン)

 

「怖いか! 俺が怖いか! お前は赤龍帝の籠手がなければただのクズだ!」

 

ライザーは頭上に作った特大の炎を俺へと向けて放つ。

が、俺は空中へと上がり避ける。

そして、クロスカウンターの要領でライザーの顔面に鋭く入り込んだ。

 

「ハハッ! その程度──グハッ!」

 

(シックス)

 

ライザーの口から大量の血が吐き出される。

今の一撃はライザーにとって致命的だ。

 

「き、貴様ッ! 何をしたっ!?」

 

俺は手を開き、ライザーにあるものを見せつける。

 

「十字架!? 十字架だと!?」

 

(ファイブ)

 

驚愕するライザーに言う。

 

「うちの『僧侶(ビショップ)』は元シスターなんでね。奥にしまってあったのをちょっと借りてきたのさ。流石のあんたでも神器で高めた聖なる力は効くようだな!」

 

(フォー)

 

「バカな! 十字架は悪魔の体を激しく痛めつける! いかにドラゴンの鎧を身に着けようと手にすること自体────っ!」

 

その時、ライザーは初めて俺の左腕の変化に気づいた。

ドラゴンの鎧の一部になってるからわかりにくかっただろうが、今なら分かるだろう。

生きているかのように脈動を続ける左腕に。

 

「ま、まさか……。貴様、籠手に宿るドラゴンに自分の腕を───!?」

 

(スリー)

 

「ドラゴンの腕なら悪魔の弱点は関係ないからな!」

 

ライダーと互角以上に対峙するために、俺は自分の腕を支払った。

 

これが俺が決めた覚悟だ。

これを聞いたアーシアは泣いていたな……。

 

 

 

 

 

『この腕はもう俺の腕じゃないんだ』

 

『えっ?』

 

『だから、ほら。十字架なんて使えちまう』

 

『──────っ』

 

 

 

 

 

「正気か貴様! そんなことをすれば二度と戻らないんだぞ!?」

 

「それがどうした」

 

(ツー)

 

そう、もう俺の左腕は元に戻らない。

 

そのことはハルトにも言われた。

 

 

 

 

 

『正気か? イッセー?』

 

『ああ、言ったろ? 俺の覚悟を見てほしいって』

 

『それがお前の覚悟か……。だがな、もうその左腕は元に戻らないぞ?』

 

『たかが腕一本だ。俺みたいな奴の腕一本で部長が戻ってきてくれるなら─────』

 

 

 

 

 

「そんなもん安い───」

 

(ワン)

 

「取り引きだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

俺は背中のブースターでライザーに近づき、殴りかかろうとしたその時────

 

Count Out(カウントアウト)!』

 

その音声と共に鎧が解除され、俺は地面に転んでしまう。

 

何で鎧が解除された!?

 

『残念ながら時間切れだ。小僧』

 

ふざけんな!

あと少しだってのに!

今度は何を支払えばいい!?

目か!?

足か!?

なんでもくれてやる!

 

『今のお前の基礎能力ではこれが限界だ』

 

俺が弱いからってことかよ。

クソッ!

なんで俺は肝心な所で……!

 

『解除する瞬間、わずかだが力を宝玉に移した。だがそれは一時的なもの。残念ながらフェニックスの再生能力に対抗するには及ばないだろう』

 

でも、それでも俺は─────

 

「絶対に諦めねぇ……!」

 

俺が再び立ち上がろうとすると、ライザーに襟元を強く掴まれ宙に浮かされる。

 

「さて、そろそろ眠ってもらおうか。目覚める頃には式も終わってるだろうからな」

 

まだだ……。

まだ勝負は終わっちゃいない!

 

俺は懐からある物を取り出した。

 

「火を消すなら、水だよな!」

 

俺が手にしたのは聖水の入った小瓶だ。

 

上級悪魔にはあまり効果がないとされるアイテム。

だが、やりようはある!

 

俺は蓋を開き、聖水をライザーの全身に振りかける。

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

聖水の効果を倍増させ、譲渡する!

ライザーが俺の攻め手に気づくがもう遅ぇ!

 

効果を倍増させた聖水はライザーに振りかかる!

 

 

 

ジュワァァァァァァッ!

 

 

 

「うがぁぁぁぁぁぁああああああッッ!」

 

蒸発するような音を出しながら、聖水はライザーの体を激しく焦がし悶絶するライザー。

ライザーの炎の翼がぐにゃぐにゃとうねり始め、ついには翼の形を成せなくなってきた。

 

死ぬのか……?

 

『いや、いくら効果を強めた聖水でもフェニックスの一族を容易に殺すことはできない』

 

へいへい、そうですか。

 

『だが、聖水の力が体力と精神をを激しく消耗させる。いくら灰の中から復活するフェニックスでも、精神だけは瞬時に回復できないからな』

 

なら、こっからはラストスパートだ!

 

俺は聖水の入った小瓶を右手に持ち替え、ドラゴンと化した左手で十字架を握る。

 

「アーシアが言っていた。十字架と聖水は悪魔が苦手だって。それを同時に強化して、同時に使ったら悪魔には相当なダメージだよな!」

 

「くっ……」

 

聖水の効果に苦しむライザーが俺の次の一手を見て、顔を強張らせていた。

 

俺は魔力のオーラを一点に集中させ、瓶に残った聖水を十字架にかけて、それにドラゴンの力を譲渡する。

 

『Transfer!!』

 

「朱乃さんが言っていた。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集める。意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと!」

 

体勢を整え、拳を構える。

相手へ打撃を繰り出すために。

 

「そして、ハルトが言っていた。打撃は中心線を狙って、的確かつ抉り込むようにして打ち、そして―――己の大切なものは命を張って守れと!」

 

俺が奴へ標準を定めたとき、ライザーがあわてふためく。

 

「ま、待て! わかっているのか! この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!? お前のような何も知らないガキがどうこうするようなものじゃないんだ!」

 

「難しいことはわからねぇよ。でもな、お前に負けて気絶したときうっすらと覚えてたことがある。────部長が泣いてたんだよ! 俺がてめぇを殴る理由はそれだけで十分だァァァァッ!」

 

俺の拳がライザーの腹に深く正確に抉り込む!

 

「ガハッ!」

 

血反吐をはき、数歩後ずさるライザー。

 

「こ、こんなことで、俺が……」

 

そう一言漏らすと、前のめりで床に突っ伏す。

 

すると、

 

「お兄様!」

 

ライザーの妹がライザーを庇う形で俺の前に立った。

俺は拳を突き出して言う。

 

「文句があんなら俺のところへ来い! いつでも相手になってやるぜ!」

 

「あ……///」

 

何故か顔を赤くしたその子に構わず、俺は魔法陣を目指して歩みはじめ部長の元へと行く。

 

 

 

 

 

 

戦いを終えた俺は、グレイフィアさんからもらった紙を取り出して後ろへ向けると、魔法陣から頭は鷹なのに体はライオンで翼を生やしてる生物が現れた。

 

何だこいつ?

 

「グリフォンね」

 

部長が言う。

 

へー、こいつはグリフォンっていうのか。

 

「あらあら、うふふ。せっかくですからイッセーくんが部長を送って差し上げては?」

 

「お、俺がですか!?」

 

朱乃さんの発言に動揺する俺。

 

「そうね、お願いできるかしら?」

 

部長は頬を赤くし、俺に言う。

 

部長の頼みなら断れねぇな!

 

「部長のご命令なら!」

 

俺はグリフォンの背に乗り、部長の手を取って俺の前に乗せた。

 

ただ、さっきから気になっていたんだけど、ハルトの姿がないんだよな。

 

どこ行ったんだ?

ま、いいか。

 

飛び立つ前に、俺は木場達に言う。

 

「先に部室で待ってるからな!」

 

 

キュィィィィィッ!

 

 

グリフォンはひと鳴きすると、俺と部長を乗せ冥界の空へと飛び出していった。

 

 

[イッセー side out]

 

 

 

 

 

 

イッセーと唐揚げ野郎の試合は、イッセーの勝利という形で終わった。

この場にいる悪魔達は唐揚げ野郎が負けたことに騒然しているが、俺としてはイッセーが勝ったのは当たり前だと思っていた。

 

他者のために自分の肉体をドラゴンに支払う。

簡単なことかもしれないが、これは勇気がいる。

 

その勇気や覚悟を持たねぇやつなんぞにイッセーが負けるはずねぇからな。

 

その時、会場から魔王とメイドさんが退場していくのが見え、俺はひっそりと後をついていった。

 

後をついていくとバルコニーみたいな所に出た。

バルコニーからは冥界の空がよく見え、今、冥界の空にはイッセーとリアス部長が何かの生物に乗って空を飛んでいて、魔王とメイドさんの話し声が聞こえる。

 

「あのグリフォン、最悪の場合は逃げ道として用意したのだが」

 

「もし、そうなっていたら後が大変だったでしょう」

 

「私も父上もフェニックス卿もいろいろ反省しているよ。残念ながらこの縁談は破談が確定した」

 

『くっくっくっくっくっ。回りくどいねぇ。実に回りくどい』

 

俺は魔王の発言に笑ってしまう。

俺は二人の前に姿を現す。

 

「これはこれは、星王龍殿」

 

『なーにが残念ながらだよ。本音は嬉しいんだろ? イッセーが自分の妹を助けたことによ。お前は魔王という役職にいる以上、自分は上手く動く事ができなかった。だから、そこのメイドさんに頼み込んだんだろ? そして、俺の姿もそのメイドさんから聞いてたんだろ?』

 

「ふふふ、そこまでわかっているとは。流石ですね」

 

俺はスイッチを押し、変身を解除する。

魔王は再び空へ向く。

 

「一度、兄として兵藤一誠君にお礼を言いたい。『妹を救ってくれてありがとう』と」

 

「俺は伝えねぇぞ。そういうのは自分の口から伝えろよ」

 

「えぇ。しかし、まさか赤い龍がこちら側につくとは思いもよらなかった」

 

メイドさんが言う。

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』と出会うのはそう遠い話ではないのかもしれません」

 

近いうちに必ず、イッセーは白い龍と出会うだろう。

あいつとは必ず戦わなきゃならないからな。

むしろあいつがそうさせるだろうがな。

 

「さーて、そろそろ俺も帰るとしますかな」

 

ミラナが待ってるしな。

すると、魔王が俺の所に振り向き礼を言ってきた。

 

「このたびは本当にありがとうございます。あなたと兵藤一誠君のおかげで妹は救われたでしょう」

 

「俺は何もしてないぞ。強いて言うならイッセーが一番活躍してたからな。つっても俺も思うところがあったから協力させてもらった。それと、敬語はいらない。俺の事は名前で呼んでくれたらありがたい。無論、そこのメイドさんも」

 

めんどくさくなったと言ったけど、やっぱりむず痒い。

星王龍様って呼ばれるのは。

 

「俺もあんたらの事は名前で呼ばせてもらう。サーゼクス……グレイフィア……さん……。うん、しっくりくる。これでいいな」

 

「そういうことだったら、ハルトくんと呼ばせてもらうよ。駒王学園の生徒だと聞いたからね」

 

そういや魔王……いや、サーゼクスは駒王学園の理事長って聞いたな。

魔王で学園の理事長ってどういうことよ?

 

「でしたら私は、ハルト様と呼ばせていただきます」

 

様付けかよ……。

ま、いいか。

 

俺は手を出し言う。

 

「今後ともよろしく。サーゼクス、グレイフィアさん」

 

「ああ、こちらこそ。ハルトくん」

 

「よろしくおねがいします、ハルト様」

 

そして、俺達は笑顔で固い握手を交わした。

 

その日はなぜだか、俺にとっても良い一日だと感じた。

 

 

 




〜後書きミニストーリー〜

サーゼクス「実はねハルトくん、グレイフィアは私の妻なんだよ」

ハルト「…………マジ?」

ギュゥゥゥゥゥゥゥッ

グレイフィア「……お気になさらず、ハルト様」

サーゼクス「いたひ、いたひひょ、ぐふぇいひあ」

ハルト「……………(なんか面白いな)」
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