ハイスクールD×D  十二星座の使徒   作:ミニチュアコンセント

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2話 聖剣計画

イッセーの家で部活をした次の日の夜。

俺はミラナと買い出しに出かけていた。

 

「いっぱい買ったなー」

 

「……こ、これでしばらくは大丈夫そうですね」

 

「だな」

 

俺の両手には品物がパンパンに入ったでかいビニール袋が三つある。

袋の中には卵、みりん、バター、食パン、etc……。

いろんな品物が入っている。

ミラナにも一つだけ持ってもらっている。

 

最初は「わ…私も二つ持ちます」と言ってたけど、俺は三つでも余裕だから俺が持つことにした。

 

女の子に大きい荷物を二つも持たせるってどーよ?

一つ持ってくれるだけでもありがたいもんだ。

 

まぁ、買い物はいいとして問題は木場だ。

 

ここ最近の木場はどこかおかしい。

ずーっと難しい表情で何かを考えているような感じだ。

イッセーから聞いた話だと悪魔稼業にも影響が出てリアス部長にも怒られたらしい。

本人はそれすら気にしてないような顔だったと。

 

やっぱりイッセーの家で見た写真───聖剣が関連してんじゃないか?

 

「……祐斗さんのことですか…?」

 

ミラナの言葉でハッとする。顔つきでわかっちまったか。

 

「あぁ、少し木場の事が気になってな」

 

「……ここ最近の祐斗さん……どこか変ですよね……」

 

「やっぱミラナもそう思うよな」

 

そう、周囲の人も木場の変化に気づいてる。

木場のクラスでも話題になってるそうだ。

 

─────物思いにふける王子。

 

とか言ってるけど、女子達は心配しつつも憂いの表情に興奮してるという。

ま、女子達が興奮してるのはどうでもいいが。

 

「聖剣……か。やっぱあの計画と何か関わってんのか?」

 

「……ですがそれとは限らないんじゃ……」

 

「そうなんだよな、根拠がない。う〜ん、今は何もわからねぇや」

 

俺は頭の中で考えつつもそう言った時、とある気配を感じた。

 

「この気配からして……はぐれか?」

 

「……は、はい。けど……」

 

「あぁ、もう一人いるな……」

 

はぐれの他にもう一人いる……。

 

この気配は………木場?

 

………行ってみるしかねぇか。

 

「ミラナ、すぐに行くぞ」

 

「は…はい!」

 

俺は、荷物だけ魔法陣で家に飛ばしすぐに気配のある方向へ向かった。

 

 

 

 

 

 

着いた先は、廃工場だ。

まあ、廃工場とかははぐれの住処みたいなもんだからな。

 

問題は………

 

「……少しだけ扉が開いてます……」

 

ミラナの言うとおり扉が開いていた。

 

ちょうど人一人が通れるくらいだ。

この中から気配がするな……。

 

「入るぞ」

 

「……は、はい」

 

中に入ると、物があちこちに散乱している。

 

すると、暗闇でよく分からないが奥の方に人影を発見する。

目を凝らしてよく見ると、それは剣を構えた木場だった。

 

「木場?」

 

俺が呼びかけると後ろに振り向く。

 

「ハルトくんに、ミラナさん。……どうしてここに?」

 

「はぐれの気配を感じて来たんだ。お前こそなんで一人でここにいるんだよ。はぐれを見つけたのならリアス部長に報告しなきゃ────っ!」

 

俺達はとっさにその場から後ろに離れる!

すると、上からはぐれが飛び込んで来た! 

 

「ギシャァァァァァァァアッ!」

 

っ!

今度のはぐれは蜘蛛みたいなやつかよ!

ったく相変わらず気色悪いな!

あのケンタウロスっぽいやつと言い、こいつと言い!

 

俺は魔力弾を放つが避けられる。

 

案外速いな!

つーか天井カサカサ歩くな!

余計キモい!

 

「ミラナ! リアス部長達に連絡を入れてくれ!」

 

「……は、はい!」

 

一応これでいいだろう。

 

すると、蜘蛛野郎が木場に向かって尻から糸を出した。

当の木場は、ボーッと突っ立ってるままだ。

 

「チッ!」

 

俺はその場から飛び出て、木場を突き飛ばす。

 

蜘蛛野郎が出した糸は、俺の左目にかかろうとしたがとっさに左腕でガードする。

 

「ぐぅっ!」

 

「ハ…ハルトさん……っ!」

 

ミラナが心配するように声をかけるが問題ない。

 

火傷みたいなもんだ。

だからそんな悲しい顔をするな。

 

「ボーッとすんじゃねぇ!」

 

俺は木場に怒鳴る。

すると、木場はハッ!とし蜘蛛野郎に斬りかかる。

 

だが、攻撃が軽いせいか軽々と避けられてしまう。

 

チッ!

仕方ねぇ!

 

俺は小型の魔法陣を展開しスコーピオンスイッチを出し、押す。

すると今度は、ミラナの所に行きやがった!

 

俺は瞬時に駆け寄り蜘蛛野郎の足を掴み、

 

『ミラナに近づくんじゃねぇつってんだろうがぁぁぁぁ(言ってないけど)!』

 

床に思いっきり叩きつけ、奥の壁に蹴り飛ばす!

蜘蛛野郎は叫びながら壁に激突する。

 

本当はリアス部長達に任せるほうがいいかもしれないが、仕方ない。

ここでぶっ殺してやる!

 

俺は尾を伸ばしすぐさま大量の毒を流し込む。

 

「ギュィァァァァァアッ!」

 

蜘蛛野郎は断末魔を上げながら塵になる。

それと同時に、イッセー達がやってくる。

 

「大丈夫か!?」

 

『遅い』

 

「無茶言うな!」

 

本当のことだろ。

遅いからあの蜘蛛野郎は消しちまったんだよ。

 

俺はスイッチを押し変身を解除する。

 

「ハルト! その傷!」

 

イッセーが俺の左腕の傷を見て言う。

 

「あぁ、不覚にも蜘蛛野郎の攻撃喰らっちまった。まぁ、このぐらいなら大丈夫だろ」

 

「だ…大丈夫じゃありません! もう! アーシアさん、傷の治療お願いできますか?」

 

ミラナの問いにアーシアが答える。

 

「はい! ハルトさん、傷を!」

 

俺は苦笑しながら言う。

 

「ああ、頼む」

 

 

 

 

 

 

「ありがとな、アーシア」

 

「いえ! 傷が治ってよかったです!」

 

アクエリアスほどではないがアーシアの回復も大したもんだ。

 

 

バチンッ!

 

 

突如乾いた音が響き渡る。

リアス部長が木場の頬をひっぱたいたからだ。

 

「目は覚めたかしら? あなたの独断行動がどれほど危険なものだったか。相手のはぐれ悪魔はA級クラスの危険指定はぐれ悪魔だったのよ? ハルトがいてくれたおかげで大事には至らなかったけど、下手すればあなたは死んでいたの」

 

「……すみませんでした」

 

「一体どうしたの? 連絡をよこさないなんてあなたらしくもない」

 

リアス部長の声音は、本当に誰かを心配している声音だ。

 

「調子が悪っただけです。今日はこれで失礼します」

 

淡々と言い放ちこの場から離れようとする木場に、イッセーが呼び止める。

 

「木場、どうしたんだよ。お前マジで最近変だぞ」

 

「君には関係ないよ」

 

イッセーが問うが、木場は作り笑顔で冷たく返す。

 

「俺達だって心配しちまうよ」

 

「心配? 誰が誰をだい? 悪魔は本来、利己的な存在だと思うけど?」

 

……マジで変だな。本来の木場はそんな言葉は使わないぞ。 

 

「まあ、今回は僕が悪かったと思っているよ。それじゃ…」

 

「待てよ! もし悩みとかあるなら話てくれ。俺達仲間だろ!」

 

「仲間……か。イッセー君、キミは熱いね。…僕はね基本的なことを思い出していたんだよ」

 

「基本的なこと?」

 

「生きる意味……つまり僕がなんのために戦っているか……ってことさ」

 

「部長のためじゃないのか?」

 

「違うよ」

 

イッセーの問いに即座に否定する。

 

まぁ、そうだわな。

明らかに部長のためじゃないのは一目瞭然だ。

 

木場は続ける。

 

「僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー────。それを破壊するのが僕の生きる意味だ」

 

強い決意を秘めた表情と目だ。

そう言うと木場は俺達の前から去って行った。

 

にしても復讐にエクスカリバー………か。

後でリアス部長に聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

はぐれ悪魔の討伐が完了した後、俺とミラナはリアス部長の話を聞くためイッセーの家に上がっていた。

 

「聖剣計画?」

 

「えぇ、祐斗はその生き残りなの」

 

イッセーの問いにリアス部長が頷き返す。

 

「まさかとは思っていたが……」

 

「……本当だったんですね……」

 

まさか、木場がその計画の生き残りだったとはな……。

 

 

俺とミラナの呟きにリアス部長が反応する。

 

「二人とも知っているの?」

 

「まぁ、俺はミラナから聞いたんだけどな」

 

俺の言葉を聞いたリアス部長が怪訝な表情で尋ねる。

 

「それは一体どういうこと?」

 

俺はチラッとミラナを見る。

 

こっからはミラナの過去も入って来るからな。

ミラナは暗い表情をするがすぐに決意を決めた表情に変わりコクリと頷く。

 

「ミラナはアーシアと同じく元シスターということは知ってるな?」

 

「えぇ」

 

「で、ある計画を知ってしまい、その計画に関わった奴らから消されそうになっていた所を俺が助けた。と言う所も知ってるな?」

 

「えぇ。……ちょっと待ってちょうだい。そのある計画って…………まさか!」

 

気づいたようだな。

話を聞いていたイッセーもアーシアも勘付いたようだ。

 

「お察しの通り、ある計画ってのは────『聖剣計画』だ」

 

「「「ッ!」」」

 

驚愕してる三人に俺は話し続ける。

 

「ミラナはたまたま偶然、教会内で聖剣計画の事を聞いてしまった。そのことが計画に関わっていた奴ら、一部の教会関係者にバレ、消されそうになっていた所を俺が助けたってわけだ」

 

「でも、その計画は問題なさそうに思えるんだが。聞くだけで消されそうになるか?」

 

「聖剣計画の内容を聞けばその考えも改まるさ……」

 

表向きは誰だって大丈夫そうに思える。

だが、イッセーはまだ内容を知らないからな。

 

「まず聖剣のことだが、聖剣ってのは悪魔にとっては危険な代物。そうだろ? リアス部長」

 

「えぇ、聖剣は悪魔にとって最大の武器。斬られれば消滅させられることもあるわ。ただし、扱える者は極端に限られているの。使いこなせる人間は数十年に一人出るかどうかだと聞くわ。そこで行われたのが聖剣計画よ」

 

教会側にとっちゃ重要な計画だろう。

聖剣の使い手が増えれば万々歳だもんな。

 

「祐斗は聖剣エクスカリバーに適応するために、人為的に養成を受けた者の一人なの」

 

「じゃあ、木場は聖剣を扱えるんですか?」

 

イッセーの問いにリアス部長は首を横に振る。

 

「祐斗は聖剣に適応できなかった。それどころか養成を受けた者全員が適応できなかったのよ。結果、計画は失敗に終わった」

 

リアス部長は続ける。

 

「適応できなかったと知った教会関係者は、祐斗たち被験者を不良品と決めつけ、処分に至った」

 

 

 

────処分。

 

 

 

実に胸くそ悪い言葉だ。

 

「そ、そんな……」

 

アーシアにとっちゃその情報はショックなものだろう。

口元を両手で押さえ目元を潤ませている。

 

ミラナも表情を暗くしている。

 

「それが聖剣計画の全貌。当時の教会はそれを極秘に行っていたんだ。それが誰かの耳に伝わり教会全土に響き渡るとその計画に関わったもの達はどえらい目に合う。だからその計画を知ったものは消そうとするのが必然的だ。ミラナはそれを知っちまったから消されそうになった。ある意味、ミラナも聖剣計画の被害者だ……」

 

俺が言うと、イッセーはミラナに向かって謝る。

 

「ごめんな、ミラナちゃん。軽々しく言っちまって……」

 

「……い、いえ……。私は大丈夫ですから……」

 

本当、言葉の通りだ。

ある意味ミラナも被害者だ……。

 

リアス部長が言う。

 

「何とか生き残った祐斗も私が見つけたときは瀕死の重症だった。そんな状態でもあの子は強烈な復讐を誓っていたわ。その強い思いの力を悪魔としての生で有意義に使ってほしいと私は思ったの」

 

リアス部長は木場を救いたかったんだな。

復讐にとらわれず、悪魔として生きてほしいと。

だが、木場は忘れることができなかった。

 

……当然だろう。

 

目の前で仲間が死んでいったんだ。

忘れる方が難しい。

 

「とにかく、しばらくは見守るわ。今は、聖剣のことで頭がいっぱいでしょうから」

 

確かに、今は見守ることしかできねぇわな。

 

「部長、木場が聖剣を思い出したきっかけがこの写真みたいなんです」

 

イッセーはアルバムから例の写真を取り出し、リアス部長に渡す。

 

「木場がこの写真を見て聖剣だ……って」

 

「エクスカリバー程強力なものではないけど、間違いないわ。これは聖剣よ」

 

「イッセーさんのこんな身近にあったなんて……」

 

「……知りませんでした……」

 

確かに、イッセーの身近にあったのは驚きだったが、案外そういうものが身近にあるのかもしれない。

 

しかし、エクスカリバーか。

聖剣使いなら過去に出会ったことがあるが、なんの聖剣使ってたかな?

有名な剣とは聞いていたが……。

 

う〜ん、思い出せねぇや。

 

「この男性が聖剣使い。私の前任者が消滅させられたと聞いていたけど、これなら説明がつくわ。でも、確か───」

 

「部長?」

 

「あら、ごめんなさい。もうこんな時間ね」

 

リアス部長の言うとおり時計を見てみると、夜の十時くらいになっていた。

 

げっ、長く居すぎたな。

 

「俺らも帰るか」

 

「……はい」

 

俺達は帰る前にイッセー達に言う。

 

「あんがとな、イッセー、リアス部長、アーシア。こんな夜遅くまで」

 

「そのくらい大丈夫だって」

 

「夜道には気をつけてね」

 

「ハルトさん、ミラナさん。おやすみなさい」

 

「……おやすみなさい」

 

俺とミラナはイッセーの自室から出て、イッセーの両親にも挨拶して家を出る。

 

イッセーの両親に挨拶したとき、「いいのよ、困ったときはお互い様だわ」と言っていた。

 

やっぱ、イッセーの両親はいい人でいい親だ。

 

家路についてるとき、ミラナが話しかけてくる。

 

「……祐斗さん大丈夫でしょうか…?」

 

「まぁ、こればっかりは見守るとしか言えないな。だが、別に死んだわけじゃないからな」

 

「……はい」

 

……まだミラナの表情は暗いままだな。俺は暗い表情をかき消すように言う。

 

「大丈夫だ、木場は帰ってくる。その時俺たちは温かく迎えてやればいいさ」

 

「……はい!」

 

やっぱ女の子に暗い表情は似合わないな。

つっても俺達も心配なんだぜ……。

 

木場……。

 

 

 

 

 

 

[三人称 side]

 

 

駒王町にある廃教会。

数週間前、堕天使がアーシアを使って事件を起こした場所。

 

そこに白いローブみたいなものを身に着けた二人組が現れる。

そのうちの一人は、背中に布に巻かれた長い得物を背負っていた。

 

「随分と荒れ果てたものだ」

 

「つい最近、堕天使と悪魔と謎の異形の存在が一騒動起こしてたとは聞いてたけど」

 

「謎の異形の存在? それは何だ?」

 

「私だってよく分からないわ」

 

その二人組はフードを脱ぎ顔を顕にする。

 

一人は、青い髪に緑のメッシュが入った女性。

もう一人は、栗毛のツインテールの女性。

 

「しかし、遅いな。待ち合わせ場所は本当にここでいいのか?」

 

「間違うはずないわ。ここは私と両親が過ごしてたのよ。子供の頃にね」

 

そう言うと、一枚の写真を取り出す。

 

その写真は、イッセーが木場に見せた写真と全く同じものだった……。

 

 

 

[三人称 side out]

 

 

 

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