ハイスクールD×D  十二星座の使徒   作:ミニチュアコンセント

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6話 狗のバー

イッセー達がエクスカリバー破壊団を結成したその日の夜。

 

俺はコカビエルのことを調べ上げるために、ミラナと共にとある場所へ向かっている。

その場所は駒王町から電車で二駅行った所にある駅周辺の繁華街、その一角に存在している。

 

ちなみに、エクスカリバーの破壊のことなんだが………。

 

予想通りバレました。

 

一旦家に戻った時に、ミラナがとんでもないオーラを纏いながら玄関に立ってたから……。

それを見た俺は体が硬直して動けなかった……。

 

ミラナは無言のプレッシャーを放ちながら俺をじっと見てて、そのプレッシャーに折れた俺はその場で土下座で謝罪した。

なんでも、あのとき俺達をこっそり尾行していたらしい。

 

それで、俺より先に家に戻り俺の帰りを待ってたってわけだ。

その時のミラナは心配していたし、怒ってもいた。

 

俺は素直に今回のことを話し、ミラナにも協力してもらうことにした(ほぼ自分から協力すると言ってた)。

 

それで今、俺達はその場所へ向かって繁華街を歩いている。

 

「……確か今から行く所は、ハルトさんのご友人が働いてる場所ですよね?」

 

「ああ、あいつとはミラナより前に出会ったからな。なんだかんだ言って顔を見せるのは二、三年振りだな」

 

前まではよく行ってたんだが、ミラナとの出会いと、駒王学園に入ったことで時間が取れず行けなくなった。

 

「……まさかハルトさんが、堕天使勢力と関わりがあるなんて思いませんでしたよ……」

 

ミラナが俺についてくるついでに俺が堕天使勢力と関わりがあることも話した。

 

「関わりがあるって言っても一部の奴らだけだがな」

 

そう、一部のやつらだけだ。

堕天使の連中全員が俺を知ってるわけじゃない。

 

「………ハルトさんって結構顔が広いですよね………」

 

「そうか?」

 

「……はい。だって日本の神様たちや妖怪さんたち、更には堕天使の方たちと関わりがあるんですから……」

 

……確かに言われてみれば案外俺って顔広いな。

 

日本神話の主神の天照大御神やその姉弟神、月詠や須佐之男。

日本の地獄の長で有名であり、仏教とインド神話に影響力が強い閻魔大王(ヤマ)やらその側近の鬼たち。

更には、釈迦如来や観音菩薩とか。

妖怪では九尾の狐とか。

 

………こう思うと自分でもびっくりだわ。

 

「まあ、依頼で仲良くなった………って所か?」

 

ミラナが苦笑しながら言う。

 

「……ハルトさん、信頼されてますからね」

 

「……日本神話の連中からスカウトされたこともあるからな。どこかに属したりすると色々面倒事が多くなるから、俺はどこかに属する気はない。知り合い程度がちょうどいい」

 

依頼をこなしていくうちに何回かスカウトされたことがある。

ま、その都度断ってるが。

 

「ま、それはいいとして………着いたぞ」

 

俺達はそんな話をしながらも目的地に到着する。

表出ている看板には、『黒狗』と書かれている。

 

「……ここがそうなんですか……?」

 

「ああ、この二階だ」

 

看板付近にある階段から二階に上がり、モダンな雰囲気の扉を開けると─────

 

「────────♪」

 

美しい歌声が聞こえ、奥の方を見るとステージで白いドレスを着た金髪の美女が歌声を披露している。

他の客も話すのをやめて、歌に聴き入っている。

 

相変わらずだなあいつも。

にしても、イングヴィルドと同じくらい美しい歌声だな……。

 

俺達はカウンター席に移動し座る。

すると、一人の若いバーテンダーがやってくる。

 

「久しぶりだね、ハルト」

 

「あぁ。久しぶりだな、鳶雄」

 

俺達は互いに挨拶を交わす。

 

「君がここに来るのは二、三年振りじゃないか? 急に来なくなったもんだから彼女、寂しがっていたよ?」

 

「仕方ねぇだろ。こっちにも事情ってもんがあるんだ。それに、毎回毎回ここに来てるわけでもねぇだろ? お前らもよ」

 

俺は呆れたような口調で言い、鳶雄は小さく笑う。

俺達が親しく会話しているのを見ていたミラナが俺に訊いてくる。

 

「……え、えっと……ハルトさん。もしかしてこの人が……?」

 

「ああ、コイツがそうさ」

 

鳶雄はミラナに向かって自己紹介をする。

 

「自己紹介が遅れたね。俺の名は幾瀬鳶雄。堕天使陣営のエージェントをやっている。よろしくね」

 

「……わ、私はミラナ・シャタロヴァ……です。よ…よろしくお願いします………」

 

「因みに、鳶雄は神滅具『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』の所有者だ」

 

俺の発言でミラナが固まり、恐る恐る訊く。

 

「………えっ? ……そ、そうなんですか………っ?」

 

ミラナの問いに鳶雄は苦笑しながら頷く。

ミラナはまた固まるがすぐに意識を取り戻す。

 

鳶雄は俺達に言う。

 

「まあ、自己紹介はこれくらいにしといて、ようこそ。───BAR『黒狗』へ。何か飲みたいものはあるかい? 今日はハルトが奢りに来ただろうから遠慮なく言ってくれ」

 

俺が奢る前提で言ってんのかよ。

まぁ、端からそのつもりだけどよ。

 

「……え、えっと、じゃあ……オレンジジュースで……」

 

「俺はぶどうのカクテル」

 

ミラナはオレンジジュースを頼み、俺はカクテルを頼んだ。

 

「そういえばハルトは、もうお酒は大丈夫だったね」

 

「若く見えるが、これでも千年以上は生きてるんでね。人間年齢に比べたらとっくに酒なんぞ屁でもない」

 

俺は千年以上生きてるからとっくにお酒は大丈夫だ。

この世界に来てから前の世界の法律として二十年は我慢していたが、数十年ぐらい前から飲み始めている。

 

つっても大して飲まないけど。

 

鳶雄は手早くジュースを用意し、次に俺が頼んだカクテルをシャカシャカと振って作り、俺とミラナの前に置く。

 

「あ…ありがとうございます」

 

「サンキュー」

 

受け取るなり、鳶雄が言う。

 

「まさかハルトが、学生をしているなんてびっくりだよ。しかも、こんな可愛らしい子を連れてるなんてさ」

 

俺はカクテルを一口呷り言う。

 

「学生は半分遊びみたいなもんさ。ドラゴンの一生は永遠に等しいからな。まぁ、ミラナに関しては………色々あったんだよ」

 

「ハルトといっしょに来たから察しはついていたけど……。ミラナさんは、やはり裏の世界を知ってるのかな?」

 

鳶雄はミラナに聞いた。

 

「……はい。元々私は……教会にいましたから……」

 

「ハルト、誘拐はよくないよ?」

 

俺はその言葉にすぐさま反論する。

 

「違うわ! 教会の奴らが馬鹿なことをしてミラナを殺そうとしたところを、俺が助けたんだ! 誘拐じゃねぇ!」

 

俺の言葉に鳶雄はクスクスと笑い、俺に言う。

 

「冗談だよ。君はそんなことをする奴じゃないからね」

 

この野郎……。

 

「……幾瀬さんはここで働いているんですか?」

 

ミラナが鳶雄に訊くと、鳶雄は自分用の野菜ジュースを用意しながら答えた。

 

「夜はね。昼間は大学生さ。これでも二十一歳だからね」

 

「確かここの経営者はあいつだよな?」

 

鳶雄は野菜ジュースを一口呷った後に答える。

 

「ああ、経営者は『総督』だよ。たまに顔を出しに来てくれるからね」

 

土地を所有するのはいいが、部下の管理ぐらいしっかりしてほしいもんだよ。

 

「……やっぱり、ここに来たのはコカビエルさんのことかな?」

 

やっぱそっちでも情報は届いてるか。

 

「ああ。お前、堕天使陣営のエージェントだからコカビエルがエクスカリバーを奪った目的を知らないかと思ってな」

 

俺がそう問うが、鳶雄は首を横に振る。

 

「俺も詳しいことはまだ分からない。教会からエクスカリバーを奪い、一部のはぐれ神父達と何かを企んでいるとは聞いてるけど」

 

「……そうか」

 

「……エクスカリバーを奪った目的って、何なのでしょうか……?」

 

俺は腕を組んで考えるがいまいちピンと来ない。

 

エクスカリバーを奪ってなんの得がある?

堕天使は悪魔と違って聖剣が怖いわけでもないだろう?

もしかして教会の連中と戦いたいのか?

 

う〜ん、分からん。

鳶雄も知らないんじゃほぼ無理だな。

本っ当部下の管理ぐらいしっかりしろや。

この『閃光と暗黒の(ブレイザー・シャイニング・オア)龍絶剣(・ダークネス・ブレード)』野郎が。

 

俺がそう思っているとき、後ろから拍手が起こった。

どうやら歌い終わったようだな。

 

俺はふとあることを思い鳶雄に聞く。

 

「そういやあいつ(・・・)、ここに顔出したことあんのか?」

 

「一度だけね。まあ、彼女がいないときを見計らって来てたけど」

 

相変わらず彼女には頭が上がらないか。

ま、俺もか。

 

すると突然、背後から抱きしめられ背中に柔らかいものがムニュムニュと当たる。

 

「お久しぶりなのです、ハルくん。来てくれて私は嬉しいのです」

 

「あぁ、久しぶりだな。ラヴィニア」

 

「はいっ」

 

ラヴィニア。

──そう呼ばれた彼女は嬉しそうに頬を少し赤らめる。

 

「…………」

 

ただ、ミラナからの視線が非常に怖い!

これ以上続いたら何されるか分からん!

 

「と、とりあえずラヴィニア。久しぶりの再会で喜ぶのは分かるが、一旦離してくれないか?」

 

「いやなのです。もう少しギュッとしたいのです」

 

満面の笑みで断られてしまった。

 

さらにギュッとしたからむ、胸の感触がっ!

 

すると、突如横腹に激痛が走る。

 

「痛たたたたたたっ!」

 

ミラナが俺の横腹を抓っている!

痛い痛い痛い痛いっ!

 

「……幾瀬さん、この方は……?」

 

ミラナは若干嫉妬混じり声で鳶雄に訊く。

鳶雄は苦笑しながら答える。

 

「彼女は、ラヴィニア・レーニ。ここの専属歌手であり看板娘さ。彼女もハルトと親しい仲さ。いや、親しい仲より上かもね」

 

鳶雄の言葉で更に抓る力が強くなったぞ!?

親しい仲より上かもねってなんだよ!?

普通に親しい仲でいいだろうが!

 

しばらくしたら離してくれた。

俺は、涙目で横腹を擦っているとラヴィニアが言う。

 

「それよりもハルくん。なぜ、他の女の子といっしょにいるのです?」

 

その言葉に背中がゾクッとする。

恐る恐るラヴィニアの顔を見てみると、ニコニコ顔で濃密なプレッシャーを放っていた!

 

「い、いや! これには深い事情が!」

 

「二、三年振りの再会なのに、他の女の子を連れているなんて……ハルくんはいけない子になったのですね」

 

「い、いけない子!? だ、だからこれには深────」

 

「いけない子には…………オシオキなのです♪」

 

俺の言葉を遮り、目が笑っていない氷のような笑みを浮かべたまま俺は強制的に床に座らされ、お説教を受けることになった………。

 

 

 

数十分後。

 

 

 

「あ、足が………」

 

ラヴィニアの説教が数十分続き、ようやく終わったときには俺の足が限界を迎えていた。

今、ビリビリしてるからめっちゃ痛い。

 

でも、他の客がいないから助かった……。

こんな姿見せられるわけねぇよ。

 

「大丈夫?」

 

鳶雄が俺の肩を担ぎ椅子に座らせる。

 

「大丈夫なわけねぇだろ………。めっちゃ怖かったわ………。何で止めてくれなかったんだよ………」

 

めっちゃ怖かった。

ミラナと同じくらい怖かった。

俺は、何度も鳶雄に目線で助けを求めたんだが………、見事にスルーされた。

 

鳶雄が肩をすくめながら言う。

 

「無理だよ。俺も彼女には頭が上がらないのは知ってるだろ? あそこで介入したら俺まで説教される」

 

ラヴィニアが頬を膨らませプンプンと怒りながら言う。

 

「ハルくんが悪いのですよ。私を置いて他の女の子といるのですから」

 

「悪かったって。けど、俺にも事情ってもんがあるんだ。今日、ここに来たのもミラナと共にコカビエルのことを聞きに来ただけだからさ」

 

けど、収穫0だけどな。

コカビエルがエクスカリバーを奪った目的までは分からん。

 

すると、ミラナが俺に訊く。

 

「……え、えっと、ラヴィニアさんも裏の世界のことを知ってるんですか……?」

 

「ああ、ラヴィニアは裏の世界で名を馳せてるぞ。ミラナも一度はラヴィニアの異名を聞いたことあるんじゃないか?」

 

俺の言葉に首を傾げる。

 

あまり聞いたことないのか?

 

俺が疑問に思ってるとき、ラヴィニアが一礼してミラナに自己紹介する。

 

「初めまして。私はラヴィニア・レーニ。『灰色の魔術師(グラウ・ツォベラー)』所属の魔法使いなのです」

 

──────『灰色の魔術師』。

 

この単語が出て来てミラナが驚く。

ミラナも恐縮気味に一礼してから自己紹介する。

 

「………は、初めましてラヴィニアさん。……私は、ミラナ・シャタロヴァ………です」

 

ラヴィニアは笑顔で言う。

 

「ラヴィニアでいいのですよ?」

 

ミラナは首を横に振り、言う。

 

「……い、いえ、ラヴィニアさんと呼ばせてください……」

 

ミラナが自己紹介したあと、再び俺が追加情報を言う。

 

「ラヴィニアも鳶雄と同様神滅具所有者だぞ。『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』を持っている」

 

ラヴィニアも十三ある神滅具の一つ、『永遠の氷姫』を持っている。

 

驚愕していたミラナがあることに気づく。

 

「……もしかしてラヴィニアさんの異名って、『氷姫のラヴィニア』ですか……?」

 

「はいなのです」

 

ミラナの問いにラヴィニアが頷く。

 

 

 

──────『氷姫のラヴィニア』。

 

 

 

それが彼女の異名だ。

『灰色の魔術師』所属であり、最強の魔法使いの一角。

 

まぁ、神滅具を持ってるから最強の魔法使いと言われても納得がいく。

 

「やっぱ教会から聞いたのか?」

 

俺はミラナに訊くと、ミラナは頷き言う。

 

「………い、一度だけその異名を聞いたことがあります……」

 

やっぱ教会でも名は轟いてるわな。

 

すると、ラヴィニアがミラナに話しかける。

 

「ミラは教会の人なのですか?」

 

ミラナのことだな。

ラヴィニアは、自分の言いやすい呼び方で人の名を呼ぶ。

例えば、俺なんかハルくんって呼ばれてるし、鳶雄はトビーと呼ばれてる。

 

「……は、はい。……けど、教会から追放されてしまって……。今は、ハルトさんといっしょに住んでます……」

 

「!?」

 

ミラナの言葉を聞いて、ラヴィニアが固まる。

俺が恐る恐るラヴィニアに声をかける。

 

「ラ、ラヴィニア……?」

 

すると、俺の方に振り向き再び目が笑っていない氷のような笑みを浮かべながら言う。

 

「……ハルくん。どういうことなのか説明してほしいのです」

 

俺は顔を横に逸らすが、ガシッと顔を掴まれ強制的に正面に向けられる。

 

「ちゃんと私の目を見て言ってほしいのです。怒ってるわけではないのですよ?」

 

や、やべぇ……!

これに逆らったら殺される……!

つーか、怒ってるだろ!?

だって、プレッシャーが放たれてるんだぞ!?

 

俺は正直に言った。

 

「……ミ、ミラナから聞いたろ…? 教会から追放されたって……。そ、その時居場所がなくなったから、俺の家に住んでるってわけだ……」

 

うん、何一つ嘘はついてないぞ。

教会の連中から殺されそうになっていた所を、俺が助け居場所を与えた。

ただ、それだけだ。

 

そして、俺の言葉を聞いたラヴィニアは……、

 

「……い……す……」

 

顔を俯かせ、何か小声で言っていた。

 

「ん? なに?」

 

俺が聞くと、顔をバッと上げ頬を膨らませながら言った。

 

「ミラだけずるいのです! 私だってハルくんといっしょに住みたいのですぅ!」

 

………はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

俺といっしょに住みたい!?

そもそもラヴィニアはまだ表に出ちゃいかんだろ!

 

俺はそのことをラヴィニアに言った。

 

「待て待て待て、ラヴィニア! そもそもお前はまだ表に出てはならないとお前の所の『会長』とあいつから言われてるだろ!?」

 

「なら許可を取れば良いのですね!」

 

「許可を取れば良いとか悪いとかそう言う問題じゃねーんだよ!」

 

って早速連絡を入れようとしてるし!

 

俺は、鳶雄に助けを求める。

 

「鳶雄! お前からもなんか言ってやってくれ!」

 

「ハルトの家に住むぐらいならいいんじゃない? あまり表に出なければいい話だからさ。『会長』も『総督』も反対しないと思うよ」

 

いやいやいや、何でお前まで賛成してんだよ!?

 

鳶雄は話を続ける。

 

「まぁ、仮に反対したとしても誰もラヴィニアを止めることは出来ないけどね……」

 

………そーだったな。

 

すると、ラヴィニアが俺の背中に抱きつく。

 

「理事からお許しが出たのです。『本人が良ければいいよ』と」

 

……これは何を言っても聞かないな。

目が本気(マジ)だし………。

 

「……はぁ、分かったよ。なら、極力表には出ないでくれよ」

 

「はいなのです!」

 

とラヴィニアはニッコリと微笑みながら言った。

 

俺はミラナに言う。

 

「悪いな。こんなことになっちまって」

 

ミラナは苦笑しながら言う。

 

「……いえ、なんとなくこうなるんじゃないかなと思ってましたから……」

 

コカビエルの情報を手に入れるために来たんだが、想定外のことが起こった……。

 

今日一日おかしな日だった。

 

帰ったらすぐベッドにダイブして寝よう。

 

うん、それが良い。

 

 

 

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