ハイスクールD×D  十二星座の使徒   作:ミニチュアコンセント

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第四章でございマス!


第四章 停止教室のヴァンパイア
1話 堕天使の総督


とある日の放課後。

 

俺は一人で駒王町内のとあるマンションに来ていた。

本来ならオカ研の部活があるんだが、『用事がある』と言って休みをもらった。

 

もらったって言ってもそんな意味ねぇんだが。

 

悪魔じゃない俺やミラナは他愛のない会話をしたり、お茶飲んでまったりするぐらいなんだけどな。

 

今頃、ミラナはアーシアたちと楽しい会話をしてんだろうな。

今やミラナとアーシアは、ゼノヴィアとすっかり仲良くなった。

 

元々三人は教会出身者だから、すぐに気が合ったそうだ。

 

それはともかく、ここの号室か。

 

そもそもなぜ俺がマンションに訪れているかというと、前にミラナといっしょにBAR『黒狗』に行ったときのことだ。

 

鳶雄から一枚のメモを渡された。

 

そのメモには住所や号室が記されていた。

 

渡された当初は何なのか分からなかったが、鳶雄曰く『今はそこに総督が滞在している。久しぶりに会ってみたら?』とのこと。

 

まさかあいつが駒王町内にいるとはな。

 

別に会う必要はないんだが、色々と話を訊かなくちゃならないことがあるからなぁ……!

 

俺はインターホンを鳴らす。

 

少ししたら鍵を開ける音が聞こえ、扉が開かれる。

 

「おー、ようやく来たか。悪魔…く……ん………」

 

「悪魔じゃなくて悪かったな?」

 

中から出てきたのは、和服を着た前髪が金で後髪が黒の男性。

 

俺はニコニコ顔で言う。

 

「久しぶりだなぁ。────アザゼル」

 

その男───アザゼルは俺を見るなり、高速で扉を閉める!

……が、俺は扉をすぐに掴み閉められないようにする。

 

「おいおい、せっかく客人が来たのにおもてなしとかないのか?」

 

「おまえをもてなす必要なんかないだろ!? そもそもどうやってここがわかった!?」

 

「なーに、おたくの優秀なエージェントが教えてくれたんでね。すぐにわかったよ」

 

「あいつらか! なんつー事してくれてんだぁぁぁぁぁっ!」

 

騒ぐな。

近所迷惑だろうが。

 

「とりあえず開けろ」

 

「無理に決まってんだろ! 開けたら俺は……殺される!」

 

「ほぉ~、よくわかってるじゃねぇか」

 

「お前、正気か!?」

 

おう、正気だぞ。

 

お前の組織の者はそれぐらいの事を仕出かそうとしてたんだからな。

 

……こいつ意地でも開けねぇ気だな。

仕方ねぇ、奥の手だすか。

 

「このまま開けないつもりでいるなら俺も考えがある。……シェムハザに通報されるかこの扉を開けるか。好きな方を選ベ」

 

「すまん、悪かった」

 

驚くべきほどの切り替えの早さで、扉を開ける。

 

こいつ、シェムハザのことになると弱くなるんだよな。

 

「そんじゃ、邪魔するぜ〜」

 

俺は玄関から部屋へと上がる。

 

その際、アザゼルはガックリと肩を落としていた。

 

 

 

 

俺は部屋に入るなり、ソファに腰掛ける。

 

いいソファだな。

家にあるのと同じくらいフカフカだ。

 

「ほらよ、茶だ」

 

「サンキュ」

 

俺は渡されたお茶を飲む。

 

「で? どうしておまえさんがここに来たんだ?」

 

アザゼルがソファに腰を掛けながら訊いてくる。

 

「訊きたいことがあって来たからな。……何でお前がこの町にいるんだ? ここは悪魔が管轄してる所だぞ?」

 

「おまえさんも大方は分かってるだろう? コカビエルが妙な動きをしていることを察知してな。目的がわかるまで監視してたのさ。ついでに『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の持ち主にも興味があったからな」

 

「イッセーのことか……」

 

大方そっちが狙いだろうに……。

 

まぁ、それはいいとして。

となると、コカビエルは単独で事を起こしたってことだな。

 

「だがなアザゼル。コカビエルがこの町を滅ぼそうとしたこと、それ即ちこの町の人間全員を殺そうとしたことだぞ? おかげで日本神話の神はお怒りだ」

 

俺は呆れたのように言うが、アザゼルは困惑した表情を見せる。

 

「ちょっと待て。日本神話だと……? おまえ、日本神話と通じてるのか?」

 

あー、そういえばこいつ知らないんだったな。

俺が日本神話と通じてるということに。

 

「あぁ、そうだが?」

 

俺が肯定すると、アザゼルが反射的に立ち上がり叫ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

うるせぇ!

 

俺はとっさに両耳を押さえる。

 

「おま、どういう事だよ!? そんなの今まで聞いたことねぇぞ!?」

 

「言ってないからな。それに、ここが悪魔の管轄区域だとしても日本全体が日本神話の領域なんだぞ? コカビエルが起こした事件も日本神話が見過ごす訳ねぇだろが」

 

アザゼルは俺の話を聞くと、正気を吸い取られたようにソファに座り額に手をやり大きくため息をついた。

 

「ならこれだけ訊かせてくれ。おまえさん『神の死』をそっちの連中に伝えたのか?」

 

やっぱアザゼルも神の死は知ってるか。

ま、こんなんでも堕天使のトップだからな。

 

「いいや、それはまだ伝えてない。けど、すぐにバレると思うがな。あんな大声で『神は死んだ!』なんて叫んだらな」

 

俺は肩をすくめながら言う。

 

「あの野郎……! とんでもないことしてくれたなッ!」

 

いくらコカビエルが単独で行ったとしても、てめぇのせいでもあるからな。

 

アザゼルは一度咳払いして俺に言う。

 

「まぁ、とにかくだ。今回の件で近いうち堕天使・天使・悪魔のトップで首脳会談が行われることが決まった。どうせおまえさんも出ることになるだろうな。『神の死』を知っちまったんだから」

 

ほぉー、三すくみのトップが会談すんのか。

となると、サーゼクスは出るだろ?

ガブリエルも出んのかな?

 

俺はそんなことを考えていたが、あることが気になる。

 

「ん? そういやお前、仕事どうした?」

 

俺がそう訊くとアザゼルが一瞬、横に目を逸らす。

 

「コカビエルがバカなことして、こっちは書類が山ほどあるんだぜ? 少しぐらい休憩したっていいだろ?」

 

ははーん、こいつサボってんな。

 

俺は片耳に小型の魔法陣を展開し、とある人に連絡を入れる。

 

とある人ってのは勿論シェムハザだ。

 

「お、おい……。一応訊くけど今誰に連絡入れてんだ……?」

 

「シェムハザ」

 

俺がそう言うと、条件反射で立ち上がりダッシュで玄関に向かう。

 

俺はそんなことなど最初(ハナ)から見通してたから対して驚かない。

なぜなら、玄関にあるものを用意しといたからな。

 

「げっ! こいつらは!」

 

俺はソファから立ち上がり、玄関の方へと赴く。

 

そこには、レオ・ダスタード二体によって床に押さえつけられているアザゼルの姿が。

 

そう、俺はこうなることを見越してひっそりとレオ・ダスタードを出していた。

 

「うぉぉおおいっ! シェムハザに連絡は入れない約束だろうが!」

 

「そんな約束はしてない。それに俺は『シェムハザに連絡は入れない』とは言ってないからなぁ?」

 

俺はニヤニヤ顔でアザゼルを見下ろす。

 

「悪魔か! おまえ!」

 

「俺はドラゴンだ」

 

 

 

 

「くそったれ!」

 

シェムハザに連絡を入れ、アザゼルがサボってると伝えたら一分でここに来た。

 

「いやー助かりましたよ、ハルト殿。アザゼルが自身の偽物の人形を使って人目を盗んでサボっていたとは思いもよりませんでした」

 

「……こいつ偽物の人形を使ってサボってたのか? 本当そういう所は用意周到だな……」

 

「えぇ、全くです……」

 

俺とシェムハザは呆れ、アザゼルは特に悪びれた様子はなかった。

 

当のアザゼルは逃げられないようにロープでぐるぐる巻きにされていた。

 

「それでは私達はこれで。さぁ、帰りますよ。仕事が大量に残っているんですからね!」

 

そう言うとシェムハザは転移魔法陣を起動する。

 

去り際、アザゼルは俺を睨みながら怨み言のように言う。

 

「お前……覚えてろよ…………」

 

「ま、せいぜい頑張れ。『閃光と暗黒の(ブレイザー・シャイニング・オア・)龍絶剣(ダークネス・ブレード)総督』さん♪」

 

俺は満面の笑みでそれを言うと、アザゼルは顔を真っ赤にする。

 

「お、おま─────」

 

何か言いたげだったが、転移の光に包まれそのままこの場を去っていった。

 

さてと、一応リアス部長に伝えておいた方がよさそうだな。

 

俺も転移魔法陣を起動して、オカ研の部室へと転移した。

 

 

 

 

「冗談じゃないわ!」

 

おーおー、すんごい怒ってるな。

 

あの後、オカ研の部室に転移しリアス部長にアザゼルがこの町にいることを話したら……ご覧の通り。

 

「堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて! しかも、私のかわいいイッセーに手を出そうとしただなんて、万死に値するわ!」

 

まぁ、リアス部長って眷属のことを何よりも大事にしてるからな。

自分の大切な物を迂闊に触られたら、そりゃあ嫌だわな。

 

俺が苦笑しながら、朱乃さんに用意してもらった紅茶を一口飲んだとき、ミラナが言う。

 

「……やっぱり、イッセーさんの神器を狙っているのでしょうか……?」

 

「狙っているって言うより、興味を持ってるって言ったほうが正しいんだろうな。本人もそう言ってたし」

 

全員が俺の話に聴き入る。

こんなかじゃ俺が一番アザゼルのことを知ってるからな。

 

でも、アザゼルの性格上殺して奪うなんてことはないと思うが。

 

現に仕事サボってたしな。

 

イッセーが不安そうな表情をするが、木場が口を開く。

 

「心配いらないよ、イッセー君。僕が君を守るからね」

 

聞くだけならたくましいと思うが……木場、その目はなんなのさ?

 

「……いや、う、嬉しいけどさ………。そんな目で見られても反応に困るぞ……」

 

「君は僕を助けてくれた。僕の大事な仲間だ。仲間の危機を救えないようじゃグレモリー眷属の騎士は名乗れないさ」

 

言ってることはわかるな。

大事な仲間だし、友だしな。

 

んー、けどそれは男に言うことなんか?

 

「問題ないよ。僕の聖魔剣とイッセー君の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が合わさればどんな危機でも乗り越えられそうな気がするんだ。……ふふ、少し前まではこんなキャラじゃなかったんだけどね。君と付き合ってるとそれも悪くないと思ってしまったよ。それに………なぜか最近、胸の辺りが熱いんだ」

 

「………キ、キモいぞ、おまえ……。ち、近寄るな! 触れるな!」

 

「そ、そんな……」

 

………これぞまさしくBoys Love、BLなんだな。

 

そういうのを書いてる小説家が、ここにいたら良い台本になっただろう。

 

「ってなんでハルトは頷いてんだ!」

 

イッセーの言葉に俺は、不意に思いついたことを笑みを浮かべて言う。

 

「いや、やはりイッセーにそういう趣味があったんだなって思ってな。あぁ、別に否定はしないぞ? 人の趣味はそれぞれだからな」

 

「俺はBLなんか真っ平ゴメンだぁぁぁぁっ!」

 

「ハハハハッ! そいつは失敬!」

 

俺たちがそんな話をしてるさなか、リアス部長は指を顎にあて何かを考えている。

 

「しかし、どうしたものかしら……。あちらの動きがわからない以上こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督。下手な接触はできないわね」

 

そこまで考えなくてもいいと思うが。

つっても会ったことのない奴に警戒しない方もおかしいか。

 

………俺が言ってもなーんか説得力なさそうだしな。

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ」

 

突如、この場の誰でもない声が聞こえてきた。

 

声がした方向に視線を向けると、そこには紅髪の男性がにこやかに微笑んでいた。

 

朱乃さんたちがその場で跪き、イッセーも朱乃さんたちに続いて跪いた。

 

アーシアとゼノヴィア、ミラナが頭に疑問符をあげている。

 

そっか、ミラナは知らないもんな。

 

「お、お、お兄様!?」

 

驚愕するリアス部長の声。

 

ミラナがリアス部長の言葉を聞いて、少し困惑した表情で俺に訊いてくる。

 

「……ハルトさん、あの方は……い、一体誰なんでしょうか……?」

 

俺は苦笑しながら答える。

 

「あいつはリアス部長の兄であり、そして現四大魔王の一角、サーゼクス・ルシファーさ」

 

「………」

 

俺が言ったことに言葉が出す、ただただ驚いてる。

 

そりゃ驚くわな。

リアス部長の兄が魔王だなんてな。

 

けど、あれはルシファーと言う肩書き(・・・・・・・・・・・)を背負ってるだけなんだよな。

 

元はと言えばリアス部長同様、グレモリーの者なんだから。

 

白龍皇の本当の(・・・)正体を知れば、驚愕じゃすまないだろうな。

 

……それはイングヴィルドも同じか。

 

「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ているのだから」

 

サーゼクスがそう言うと、イッセー達が立ち上がった。

 

すると、ゼノヴィアがサーゼクスの前に出た。

 

「あなたが魔王か。私はゼノヴィアというものだ」

 

「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダルの使い手が妹の眷属になったと聞いたときは耳を疑ったよ」

 

「私も悪魔になるとは……我ながら大胆なことをしたと今でもそう思うよ。……うん、そうだ。なぜ私は悪魔になったんだろうか? 確かあの時は、えーと………」

 

何故か急に自問自答し始めたぞ。

 

それを見てサーゼクスは愉快そうに笑う。

 

「いや、リアスの眷属は愉快な者が多い。ゼノヴィア、どうか妹の眷属としてグレモリーを支えてほしい」

 

「伝説の魔王ルシファーにそこまで言われたら私も後には引けないな。やれるところまではやらせてもらう」

 

「ありがとう」

 

サーゼクスとゼノヴィアの顔合わせが終わったところで、リアス部長が言う。

 

「それよりも、お兄様。どうしてここへ?」

 

すると、サーゼクスは一枚のプリントを出した。

 

あれは────

 

「もうすぐ授業参観だろう。ぜひとも妹が勉学に励む姿を見たくてね」

 

あー、そういえば授業参観があるんだったな。

ま、俺には関係ないけど。

 

イッセーの親は来んのかな?

 

いっちょ訊いてみるか。

 

「イッセー、おまえの両親は来るのか?」

 

「あー、まぁな。父さんは有給取ってまで乗り込んでくる気満々だよ。けどそれは、アーシアの授業風景が見たいからだと思う。娘同然に可愛がってるし……」

 

「そ、そうか……」

 

俺とイッセーは互いに苦笑する。

 

「グ、グレイフィアね!? お兄様に伝えたのは!」

 

「はい。サーゼクス様はこの学園の理事をしてます故、私にも学園の情報は入ってきます。無論、サーゼクス様の女王でもありますので主へ報告致しました」

 

「安心しなさい。父上もちゃんと来る」

 

それを聞いたリアス部長は嘆息する。

 

「お兄様は魔王なのですよ? 一悪魔を特別視するのは………」

 

リアス部長がそこまで言いかけると、サーゼクスは首を横に振る。

 

「いいや、これは仕事の内でもあってね。三大勢力の会談をこの学園内で行おうと思ってね。会場の下見に来たんだよ」

 

「「「「!?」」」」

 

サーゼクスの言葉に俺たち全員が驚いた。

 

アザゼルから会談をこの町でやるとは聞いていたが、まさかこの学園とはな。

 

それに………俺が日本神話と関わりがあることは分かってなさそうだな。

 

「そういうわけで、私は前乗りで来たわけだが………こんな時間帯で宿はとれるのかな?」

 

時計を見るとかなり遅い時間帯だった。

 

流石に、こんな時間帯じゃ宿は空いてないだろう。

 

すると、イッセーが手をあげながら言う。

 

「あ、それなら俺の家に泊まりますか?」

 

イッセーの案を聞きサーゼクスは目を丸くしていたが、リアス部長がイッセーの家に住んでいることを思い出したのかにんまりと笑みを浮かべた。

 

「それはいい。一度下宿先のご夫婦に挨拶したいと思っていたのだよ」

 

サーゼクスの言葉を聞き、リアス部長が「ダメ! ダメよ!」と抵抗していたが、魔王とその女王を止められるはずもなくその日は解散となり、サーゼクス達はイッセー宅ヘ、他の者達はそれぞれの帰路ヘついた。

 

 

 

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