それはきっと思い遣る心の深さ
自分より大切な誰かのために
嘘をつける心の強さ
「演技のコツ?」
まだアクアが苺プロにいた頃。本読みをしているアクアに、ルビーは一度だけ聞いたことがある。演技のコツは何か、と。
「そういうのは人に聞いても仕方ないぞ。自分で見て、感じて、発見して、理解するしかねーんだよ。オレの感覚とお前の感覚は違うんだから」
言っている事は正しく、論理的だ。が、それは経験者ゆえの正しさであり、熟練者ゆえの論理。何も持っていないゼロの素人からすれば、たとえ感覚が違ってもヒントが欲しい。兄の感覚でいいから、教えてくれと妹は頼み込んだ。
「………まずは役への理解。特に内面。キャラクターについて考察する」
セリフを覚える事など、何とでもなる。それより何よりもインプットしなければいけないのは、役の内面だと言った。
「何が好きで何が嫌いか。何に喜び、何に怒り、何に哀しみ、何に楽しさを見出すのか。まずは喜怒哀楽を理解する」
それができたら、今度は役の行動を振り返る。
「子供の頃から今まで、どうやって生きてきたか。どこで、どんな決断をして今日まできたのかを遡る」
決断とは本人の気性が如実に現れる。有利な時、チャンスの時はどういう選択をするタイプなのか。不利な時、ピンチの時はどういう選択をしてきたのか。素早く行動する?それとも躊躇する?積極的?慎重になる?それらを知る事で内面の理解を深めていく。
「それができたら、今度は自分と照らし合わせる。共通項を見出し、経験と照らし合わせる事で、役とのシンクロを高めていく」
どんな役でも自身と共通する何かは必ずある、と兄は言う。16年という人生の中で似通った実体験。その時の感情を思い起こし、役と重ねる。
「ここまでできるようになると───」
目を瞑る。一度大きく深呼吸する。再びアクアが目を開いた時、ゾクリとルビーの背筋に寒気が走った。纏う雰囲気が、オーラが、目の色さえ、明らかに変わる。見慣れた苺プロダクションの事務所から、まるで荒野の中に1人風に揺られながら佇む少年が見えた。
「───と、このように。役そのものを憑依できるようになる。感情と心象風景を引っ張り出し、死せずして生まれ変わる……まで行けたら一人前だが、まあそこまでは一朝一夕には行かないだろう。役の内面を理解し、共通項を経験から探り出し、感情を掴んで浮かび上がる。まずはこの繰り返しだ」
いいか、覚えておけ。
「大切なのはイメージ。できるだけリアルに想像しろ。自分ならどうするか、じゃない。そのキャラならどうするかを自らの経験から探り当て、落とし込み、イメージするんだ。創造は想像の先にしかないからな」
▼
私は見つめる。LINKから告げられたとある一文。差し出し人は一年前、宮崎への旅行の際、連絡先を交換した人物。
黒川あかね。実力派若手女優で、実際に会った。一緒に旅行して、お泊まりもした。魅力的な人だった。容姿も綺麗で性格も優しくて。私のことを本当の妹のように接してくれた。私もお姉ちゃんがいればこんな人なのかなって思った。兄の彼女として、なんの不満もなかった。
けれど今は、この人が兄の彼女を堂々と名乗ることに、不満しかない。
だってこの人は、アクアのことを何も知らない。
彼がどれだけの努力で家族を支えてくれていたか。どんなに辛い時も辛いなんて顔、絶対見せず私を守ってくれた。今も昔も変わらない。斜に構えて、なんでもないように振る舞ってるけど、根っこはすごく優しくて、わかりにくい愛情を注ぎ続けてくれた。
そんなせんせーをずっと前から愛していたのは私であることを、あの人は全く知らない。
母親のことだってアクアが自ら暴露するまで知らなかっただろう。生まれ持った豊かな才能。誰もが振り返る美貌。炎上のどん底から救われた吊り橋効果。あかねさんがアクアを愛する理由なんて、きっとこれくらいのモノだ。なんて薄っぺらい。なんで表面的。
───何も知らないから、こんな事が言えるんだ
LINKのメッセージを再び開く。書かれた内容は今、せんせーが一生懸命作っている映画に関するモノだった。
『アクアくん、映画のヒロインで迷ってるんだって。私達で個人間オーディションして助けてあげない?』
───ちゃんとせんせーに相談してから提案してるのかな、コレ
相談してないなら勿論良くないし、していたとしても尚更問題だと思う。アクアが心血を注いで映画を撮ろうとしているのは個人的な理由からではない。
殺人未遂のみでしか立件できないかもしれないカミキヒカルへの余罪追及。そしてアクアに近しい人たちの安全確保のための映画。きっとアクアが守ろうとしている人の中には黒川あかねさんも入っているはずだ。
───なのに個人間オーディション……せんせーの意向を無視してキャストを私達で決めようなんて。
私ならそんな事はしない。せんせーの意思を何よりも尊重する。せんせーが私にママを演じてほしいと言うならきっと直接頼みにくる。言ってこないという事は演じてほしくないという事。それはきっと私のことを思い遣っての決断のはず。なら私は否定しない。あの人の全てを肯定する。ママの役は私がやりたいと思うのと同じくらい、やりたくないと思っているのも事実だ。そしてそのことをせんせーは気づいてる。だから何も言ってこないんだ。
───実力不足なことだって、わかってるし…
映画はおろか、ドラマや演劇にすら出たことのないアイドル上がり。アクアが撮ろうとしているのは何年にも渡って大衆に見られる傑作映画。そんな大舞台に私がヒロインとして立つなんて、役不足なことは重々承知している。
───わかってるけど…
このメッセージを見て、少し変わった。この人がオーディションやろうなんて言い出したのは、自分に自信があるから。アクアが求めるクオリティを自分なら出せると思っているから。
アクアのヒロインに相応しいのは自分しかいないと思っているから。
「何も知らないくせに」
アクアがあの日から14年間、どうやって生きてきたのか、何も知らないくせに。貴女がアクアに関わった時間なんてこの2年ちょっとのくせに。
私は違う。
生まれた時からずっと一緒だった。
生まれる前からずっと一緒だった。
貴女がアクアを好きになるより遥か前に、私が好きだった。
貴方が救われるより遥か前に、私が救われていた。
「───この人にだけは、負けたくない」
体を起こし、大きく深呼吸する。思い出すのはかつての記憶。一度アクアに演技のコツを聞いた時のことを、鮮明に思い返した。
『まずは役への理解。特に内面。キャラクターについて考察する』
「大切なのはイメージ。私ならどうするか、じゃない。ママならどうするか」
目を閉じる。イメージする。星野アイの人生に想いを馳せる。嘘ばかりついてきた、私と同じ、演じてばかりいた、人生を。
『憎い。辛い。馬鹿馬鹿しい。どうして。ウザい。許せない。妬ましい。気持ち悪い』
暗い部屋で呟かれる。両目に暗い星を宿した少女の心が。愛しい人にも隠した
▼
産むことを、躊躇しなかったかと言われれば、嘘になる。
最初は怖かった。だって彼の負担になる事は分かりきってたから。
だから隠した。相談なんて一切しなかった。
彼が限界なことも、わかってたから。
芸能界の闇にたくさん触れて、侵されて。自分の大切な人はその闇から守ろうとして。その人達のためにたくさん嘘をついて。けどその嘘にはいつも誠意があって。誠意があるからこそ責任が生じてしまって。貴方はその全てに完璧に応えてしまった。応えられるだけの能力を持ってしまった。
能力を証明すればするほど背負う責任は増えていって。芸能界に高いモチベーションを持っていない貴方が押しつぶされそうになっているのは、私だって気づいてた。
そんな中、絆のことまで伝えてしまえば、もう耐えられないかもしれないと、わかってたから。
だから距離をとった。少しずつ距離をとって、フェードアウトして。私達が貴方の人生からいなくなれば、まだ大丈夫だって思った。
───でも結局、出来なかった
離れることも、忘れることも、堕ろすことも。何もかもできなかった。
ずっと一緒にいたかったから。
背負ってる物を一緒に背負って、傷を分け合って、一緒にいきたかった。
初めて愛した人だから。
一目惚れ。私が今まで数え切れないほどされてきて、私自身少しバカにしてた恋に、初めて落とされた人だったから。
同年代で初めて対等になれる人に出会えたから。この人を愛したいと初めて思わされたから。そして心から愛することになってしまった、初めての人だったから。
「愛してない、なんて嘘でも言えなかった」
言えたのは、『関係ない』なんてくだらない嘘。それが精一杯だった。そんな嘘を言ったところでアクアは私を切り離すなんてできない。そんな嘘、あっという間に見抜いて、責任を感じて、責任を取ろうとする。そんなこと、わかっていたのに。
「凄い人だな。凄い人だよ、絆。あなたのおばあちゃんは」
自宅で主演オファーが来た台本を読みながら、傍らで眠る絆に語りかける。凄い人だ。私にはできなかった。突き放すことも。愛せないなんて言うことも。どちらも嘘でもできなかった。
1人で子供を産むこともできなかった。子供を育てることもできなかった。アクアに助けてもらえなければどうなっていたか、想像さえできない。十数時間に渡るあの苦行を…この人はあの手の温かさなしで成し遂げたのだ。
同じ境遇にいながら、私には何もかもできなかった。
───私なんかよりよっぽど深く愛してたんだな。
「怖いな」
初めて思う。演じる前から怖いと思う。アクアはきっとやるだろう。この凄い人を、完璧に演じてみせるだろう。彼も凄い人だから。
この凄い2人の代役を。アクアと同じカメラに収まるカットだけの短い時間だとしても、演じなければならない。怖い。できないかもしれない。
「貴女ならできるのかな、あかね」
LINKに表示されたメッセージに向けて呟いた声は、我ながら驚くほど震えていた。
▼
「ふーん。そんなことになってるんだ」
陽東高校。とある空き教室。人通りが殆どないと言っていいその場所で、泣きぼくろの少女はスマホを眺めながら息を吐き、星の瞳の少年は少女の傍で壁にもたりかかり、寄り添っていた。
2人とも忘れがちだが高校2年生。数ヶ月前までフリルはリモート登校だったが、先日から少しずつ高校にも顔を出すようになり始めている。アクアも最低限の出席日数は稼がなければいけないし、定期試験もある。この2人が登校しても何の問題もないし、いちいち騒ぎになったりせず、SNSへのアップもないのは芸能科の良いところだった。
そして学校内とは生徒にとって密談するにはこれ以上なく安全な場所と言える。マスコミ連中が入り込むなどほぼ不可能だし、人通りの少ない場所は生徒なら把握している。というかそういう場所は密談の場所として立ち入り禁止なのが暗黙のルール。
不知火フリルと星野アクア。変装もサングラスもマスクもなしに外を歩けば瞬時に情報が拡散され、人が集まり、炎上する。鮫がうようよ泳ぐ海に血を一滴垂らすようなもの。2人が素顔で外に出るなどという暴挙が許される数少ない場所が、この陽東高校だった。
「あかねからこんな連絡が来たのはそういう事」
スマホを取り出し、LINKを開く。秘密裏に集まろうという誘いだった。用件は来た時に説明する、と。
アクアももちろん知っていた。あかねと一夜を過ごした後、実際に送るところを見ていたから。
「あなた何かしたの?」
メッセージを見せながら穏やかに問い詰める。無表情の中の怒りにアクアはあっさりと白旗を上げ、あの夜にあったことを白状していた。
自分以外でアイ役が必要になりそうなこと。その役にアクアとしてはゆらさんを選びたかったこと。打診の現場にあかねが現れたこと。その夜の暗い星の瞳についても。
「私の演技で殺してやる、か」
───凄いセリフだな
言った方も、言わせた方も。凄いセリフだ。逆の立場なら言えただろうか。私があかねだったのなら。私がアクアだったのなら。彼氏に寄ってくる女に対して言えただろうか。彼女にこの言葉を言わせるほど魅力的な男になれただろうか。
───私なら、多分言えない。言わせられない。
アクアの彼女だったとして。彼に寄ってくる女達にいちいち気にしてはいられなかっただろう。だってキリがないし、仕方ない事だというのも身をもってわかっている。アクアが他の女に営業かけたとして、止めることなんてしなかっただろう。実際してない。アクアの才能を蓋しないために、彼の自主性は常に尊重してきた。
───言えない私は、やっぱり浅いのかな
あかねの愛の深さは、もしかしたらあの人に迫るのかもしれない。
「こんな事、勝手に役者でやったら不味くねーか?」
アクアの言葉で意識が現実に帰ってくる。できるだけ間をおかず答えた。
「不味いね。バレたら怒られるくらいじゃ済まない」
「ならフリルから断って──」
「ダメだけどやろ。やりたい。これだけアクアの愛と憎しみが。好意と悪意が詰まった台本の主演。私がやりたい。あなたと、やりたい」
手元にある本を見つめながら、確固たる意志を込めて答える。この役をやりたい。あなたと2人で演じたい、と。
───この作品で、あなたは父親を殺そうとしてる
台本を読んでわかった。アイの半生を描き、罪を晒しあげている。自身への殺人未遂だけではない。余罪があることを世間に知らしめ、世間に探らせ、暴こうとしている。
たとえ刑務所から出てこられたとしても、カミキヒカルの生きていける場所を消し去ろうとしている。社会的抹殺を図っている。賢いやり方だ。法にも触れないし、大切な人たちの安全という目的も果たせる。実に星野アクアらしいやり方。
アクアにとって自身の業の責任であり、そして背負った罪への罰でもあるのだろう。
だからこそやりたい。演じたい。この人の最も深い傷を抉り、曝け出す作品を、この人だけに背負わせたくない。
辛いことや悲しい事は2人で分け合いたい。たとえ愛の深さで私はアイさんやあかねに負けているのだとしても───
私達は、夫婦なのだから。
内縁関係とはいえ、今現在、星野アクアの妻は自分しかおらず、不知火フリルの夫も、アクアしかいないのだから。
「あなたは私にアイさんの役、演ってほしい?」
形のいい眉が歪む。目は口ほどに物を言うとはまさにこのこと。顔に感情を出してくれるのが嬉しかった。どうでもいい人には息を吐くように嘘をつくこの人が、私には嘘でもやってほしいと言えないことがたまらなく嬉しく、愛しかった。
「やっぱり、ちょっとやりたくないも出てきた」
「………なんで?」
「私はあなたの母親じゃなくて、妻だから」
一瞬目を見開き、フッと逸らされる。照れている時の顔だ。視線を逸らした先に回る。しゃがみ込み、無理やり目を合わせた。
「──なーんちゃって。少しは元気出た?」
「………お前な」
「そんなに辛そうな顔で悩まないで」
頬に手を添える。眉間によっていた皺が、少し緩んだ。
「あなたにそんな顔されたら、私も辛い。私が辛い時より辛い。あなたにはいつも不敵な笑顔で笑っていてほしい」
「フリル……」
「悩んでる顔も艶かしくて素敵だから、困るんだけどね」
頬に目を添えたまま、唇を寄せる。啄むようなキス。優しく、甘い、慰めのキス。いくら学校とはいえ、少しやりすぎ。けれどだからこそゾクゾクして、気持ちよかった。
「辛い事や悲しい事は分け合おうよ。あなた1人で背負い込まないで。傷は私達で分け合おう。ね」
再び唇が合わさる。さっきよりもずっと深く。激しく。唾液を交換する。アクアのリップの味が舌から鼻へ、僅かに通った。
───ああ、やっぱり。この瞬間がたまらない
たくさんの人を魅了する、星の瞳。熱く、眩しく、美しいこの瞳に、私が映っている。
私だけが、映っている。
この瞬間が、たまらなく嬉しく、苦しく、心地よく、蠱惑的で、愛おしい。
この瞬間があるから、やめられない。止められない。離れられない。
「このキスで窒息できたら、楽なのにね」
私も、アクアも。このキスで呼吸を塞がれて、息ができなくて、キスもやめられなくて。お互いの究極のパーソナルスペースを差し出しあったまま死ねれば、どんなに素敵だろう。どんなに幸せだろう。どんなに楽だろう。このままこの人と一つになって。重なり合って。そのまま死ねたなら。どれだけ。
───だけど、それはできない
アクアにはアクアの目的があり、映画を撮ろうとしている。その映画を成功させるまで、アクアは死ねないだろう。
私もダメだ。私1人が身勝手な幸せに身を委ねたまま死ぬには大切なものが出来すぎた。
それに、なにより、私の手でこの人を殺したくない。この人の手で私を殺させたくない。
私を殺すのはあなたがいい。あなたを殺すのも私がいい。まだ子供だった頃、彼に何度も言った言葉。あの時は本心からの言葉だったけど、今はもう同じ言葉を心から言う事はできない。
この人が私を手に掛けたら、一生心に傷を残すだろう。死んでしまったらその傷を私は愛でることも癒すこともできなくなる。
私がこの人を手に掛ける事はもう不可能だ。それをするには私はこの輝きに魅せられ過ぎた。魅入り過ぎた。この人の最後の女になりたいけど、その手段に殺人はもう絶対選べない。
───何より、絆を置いて、私もあなたも楽になる事なんて赦されないから
だからせめて。この人と、死の淵まで。
始業のベルが鳴るまで、淫らな水音は鳴り止まず、2人の影は重なり続けた。
▼
芸能界に数多ある暗黙の了解の一つ。それはトップタレントに対してオーディションはかからないこと。
オーディションが発生するキャスティングはほぼ脇役に対してのみ。主演級を比較するなんてこと、日本の芸能界ではあってはならない。
映画の主演や作品の主題歌は基本的にオファーは一つずつ出していくもの。同時に複数に出すのは暗黙の了解としてNG。第一候補に断られて初めて次のオファーを出せる。
主演級の役が黙ってても集まる不知火フリルや星野アクアはもはや仕事は選ぶ立場にある。面接官は彼らなのだ。
というのが裏方の大人のルール。正直演じる側としては、少なくともアクアはそんなことより作品の質や意義にこだわってほしいと思う。
良い作品を作るために出来ることを出来る範囲で、ただし全力を尽くす。それだけが俳優の存在意義。実力で選んでくれなければ『今日あま』の悲劇が繰り返される。今回ばかりはそれでは困る。
───だから、この催し自体にオレに否はあまりないのだが…
公民館のとあるホール。そのパイプ椅子に腰掛けた星の瞳の少年は目の前の光景にため息を堪えるので精一杯だった。
慣れない様子でキョロキョロするルビー。
アクアのそばを離れないフリル。
この場にいるのがいたたまれないかのような、バツの悪い顔をする有馬。
そして暗い星の瞳を輝かせながらブツブツと何かを呟くあかね。
───地雷原が生優しく思える地獄絵図だな…
ほとんど自らが蒔いた種ではあるが、それでもこの4名が一堂に介する場に、わざわざオレが来る必要はなかったのではないかと思ってしまう。
「仕上がってるねー、あかね」
フリルがオレのそばで耳打ちする。確かに尋常でなく集中しているのがわかる。今のあかねならどんな役にも瞬時に憑依し、ほぼ100%の精度で演じることができるだろう。
───私の演技で殺してやる…か。
その言葉の意味。わかっていたつもりだったが、甘かったと認識させられた。
「あーく……アクア」
フリルとこそこそしているのが気に入らなかったのか。有馬がこちらに近づいてくる。それがきっかけになったのか。あかねとルビーもアクアの元へ歩み寄った。
「それじゃ、はじめよっか。個人間オーディション。候補者はこの4名。審査員は星野アクア。みんな、異論ないよね」
15年の嘘を支える女達の戦いが、始まった。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
遂に2期がスタートしました。やっぱり凄い。まさに開演。モニターの扉が開く。OPEDもヤバい。OPで舞台カーテンコールのカットあってニヤける。やっぱそこ必要ですよね。解釈一致で安心です。拙作の東京ブレイド編を振り返りながら観ていきたいと思います。同じ見方をしている人がいればめちゃくちゃ嬉しいです。
次回は地獄オーディション本番です。果たしてアクアは一体誰を選ぶのか。その結果、運命の刃車はどこへ向かうのか、
以下、本誌ネタバレ
筆者から拙作のアクアへのインタビュー中
筆者「なんでフリルがアイを演じるの酷過ぎるとか言うの?」
アクア「酷すぎるからだよ」
筆者「いや姫川愛莉役も充分酷じゃん」
アクア「愛莉さんとフリルはそこまで共通点ないからまだマシ」
筆者「いやあるでしょ。筆者フリルのこと愛莉ポジでイメージして描いてたよ?」
アクア「それはアンタの考察が浅いんだよ」
筆者「どういう意味?」
アクア「……映画見ればわかる」
コメントでも指摘されましたが、フリルがアイを演じるのなんでそんなに嫌がるのか不思議でインタビューしたうえで、アクアがアイ役のキャスティングに悩んでいたことを描写したのですが。
…心から謝罪します。筆者の考察が浅かったです。すみません。
けれどキャラクターへの理解は正しかったのでどうか許してください。
これ以上はアニメおよび単行本勢の方へのネタバレが過ぎますので(今更)控えますが、めっちゃ愛されてたんじゃん、カミキヒカル。それなのにあれからも人殺ししまくってたとか。もう⚪︎刑確定だわ。芸能界の闇に晒され続けたことも、妊娠させてしまったことも、限界だったところも拙作のアクアと同じ。拙作のアクアとの違いは恐らく出会った女の差ですね。レン先輩もハルさんもナナさんも彼女たちなりにアクアをちゃんと愛してましたから。
それでは励みになりますので、感想、評価よろしくお願いします。面白かったの一言でも頂ければモチベーション爆上がりです。時間がかかっても感想には必ず返信します。