【本編完結】星をなくした子   作:フクブチョー

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忘れかけていた星をなくした子の最初の真心
かつての赤い宝石の目が蘇らせる
夕焼けを名に冠する少女は知る由もない
虜の魔性はなくした星から受け継がれていたことに


48th take dear my audience

 

 

 

 

 

 

 

好きにならざるを得ない人というのがいる。

 

何をしていても目がいく人。

 

何をしていても目が追ってしまう人。

 

何をしていても絵になってしまう人。

 

万人を惹きつける魔性の鱗粉を纏う人が。

 

───アイさんって、普段学校ではどんな人なんだろう

 

今みたいに、クラスの中心で、太陽のようにみんなの盛り上げ役みたいなことをやってるのだろうか。

 

それとも日陰の花みたいに、窓際の席でそっと一人佇み、遠くを眺めているのだろうか。

 

どんな姿を想像しても絵になった。もし自分が同じクラスにいたのなら、絶対に彼女の一挙手一投足を目で追ってしまうだろう。人気者も、孤高も、ミステリアスも、全てが似合う。似合ってしまう。

 

アイドルだらけの運動会の中、クリームで顔を汚し、遊んで歌って笑う目の前の光景も、背筋に寒気が走るほど似合ってしまう。

 

 

───ああ、こんな人誰でも……

 

 

好きになっちゃうでしょ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………此処って──」

 

ホテルを出た後、あかねをバイクの後ろに乗せ、あかねのナビの下、行き着いた先は公的施設だった。ぱっと見幼稚園っぽく見えるが、小学生らしき児童もいる。幼稚園というよりは恐らく───

 

「児童養護施設。ララライのメインスポンサーが経営してるの。身寄りのない子や家庭に事情がある子達の為の場所。私も此処で演劇会したことあるよ」

 

言葉にしないアクアの疑問にあかねが答える。星の瞳の少年はこの手の施設は少し苦手だった。

 

『二人が良ければ、本当にうちの子になりませんか』

 

記憶をなくしてしまってから、初めてミヤコと交わした言葉が脳裏に蘇る。恐らくオレが生きている限り、一生忘れない。

 

『もちろん二人の母親はアイさんしかいない。私のことも母親だなんて思わなくていい。でも私は君たちのことを自分の子供のように思ってる』

 

もしミヤコに出会えなければ。あの人が嘘偽りなく述べてくれた心からのあの言葉がなければ、オレ達もこういうところに世話になっていたのかもしれない。だとしたらオレとルビーの人生も大きく変わっていただろう。アイと交わした約束を果たす余裕などなく、今を生きるだけで精一杯だったかもしれない。

そう思うとここであまり冷静な対応ができる自信がなかった。

 

「こんなところで一体何を…」

「───鴫沢先生、お久しぶりです」

「あら、あかねちゃん、ホントに久々ね。ちょっと見ない間に随分綺麗になって。髪伸ばしてるの?」

「はい。ロングの方が彼の好みらしくて──」

 

開け放たれた門扉を堂々と通り抜ける。エプロン姿の鴫沢と呼ばれた保育士らしき人とあかねは知り合いのようだ。髪は後ろでお団子に纏めており、比較的美人の部類に入る人だと思う。何より纏う空気が穏やかで優しい。先生という職が向いてそうな人だった。

 

「その人は?いつもの?」

「はい。今度ララライの舞台で主演を務める一人の星野アクアさんです」

「はじめまして、鴫沢さん。星野アクアです」

「はい、はじめまして。鴫沢奈津美です。今日はお世話になります」

「…………お世話に?」

 

どういう意味だ、と隣のあかねを見る。にっこりと笑い、軽い口調で切り出した。

 

「感情演技のレッスン。この施設の子どもたちと仲良くなって。全員と友達になれれば合格。どれくらいの期間やることになるかはアクア次第。頑張ってね♪」

 

ヒラヒラ手を振ると園の外へと足を向ける。どうやら送るのはここまでで、あとは自分でやれということらしい。

 

「…………こういうこと、多いんですか?」

「はい。ララライの役者さんがボランティアで来ることはよくあります。皆さんは此処で大人になるまでで得た代わりに失ったモノを見つけて帰るそうです」

 

───大人になるまでで失ったもの、か。

 

そんなモノ、オレにあるんだろうかと思ってしまう。あの日、病院で目覚めてから今日に至るまで、我ながら子供らしくない人生を送ってきた。フリルや有馬ほどではないが、オレもかなり早熟だろう。感情の出し方に戦略を纏うのが当たり前になっている。

 

子どもたちと触れ合えというのはそういった戦略の無い感情を子供達から思い出せという意味のはずだ。あかねが課したレッスンの意味はおおよそわかる。感情を大げさに、けれど自然に表現するための技術。それは確かに大人より子供の方が優れているかもしれない。

 

───けど、元々ないモノを思い出すなんてこと、できるのか?

 

なくした記憶。その中にはきっと赤子の心も入っている。オレがこのレッスンでやらなければいけないのは、ないモノを思い出すのではなく、ないモノを他の何かで埋めること。

 

「では星野さん、子供たちに紹介しますので」

「…………はい、よろしくお願いします」

 

戸が開かれる。ワラワラガヤガヤ遊んでいた子供達の視線が集中する。興味、違和感、不信感、いわゆる誰コイツ的な空気が教室中を支配した。

 

「みんな、今日は特別に新しい先生が来てくれたわよ」

「はじめまして、皆さん。星野アクアです。よろしくお願いします」

 

これ以上なく綺麗で、友好的な笑顔。同年代なら男女問わず誰でも好印象を得るだろう。しかし目の前の人種達は容姿の良さが通じにくい、というより良し悪しが今のところまだよくわかってない人間達だった。

 

「なんだなんだみんな暗いぞー!パーっと外で遊ぼー!お兄さんなんでもやってやるぞー!」

 

盛り上げようと口調を軽いものに変え、大げさに身振り手振りをやってみせたが、響いている気はしない。笑っても騒いでも彼らの心にはまるで届いていない。自分達とは異なる異物を見る目が突き刺さり続けた。

 

猜疑心に満ちた子供達の目。コレを見た時、オレにはなぜか既視感があった。以前どこかで見た目だった。オレに直接向けられたわけではないけど、その隣で、一番近くで、ずっと見てきた。

 

 

───この目は……

 

 

幼い頃、ルビーがオレ以外の大人達を見る目だった。

 

 

───あの時、オレはどうしたんだっけ

 

 

ミヤコに引き取られるまでの間、何とかしなければいけないと思ったオレは、あの時何かをした。少しずつだが確実に以前の明るい朗らかで能天気なルビーを取り戻すために、オレは確か…

 

 

あははっ

 

 

───………ああ、思い出した

 

 

アイツが好きなことを。

 

 

『ア・ナ・タのアイドル♪サインはB♡』

 

 

アイツに喜んでもらうことを、したんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───いきなり洗礼浴びてるなぁ、アクアくん

 

苦戦している様子のアクアを青みがかった黒髪の少女が園の陰から様子を見守っている。唐突に現れた自分に向けられる異物感。コレはこの養護施設に来た者なら誰もが通る試練。実際にあかねもこの洗礼を受けている。

 

施設に預けられる子供というのは、基本的に家庭に事情がある。そしてその事情とは8割以上ネガティブなモノだ。

幼くして両親を亡くしてしまったとかならまだマシ。親に捨てられた子などザラ。ひどくなってくると虐待を受け、親から引き離された子さえいる。

 

───感受性が豊かな幼年期に心の傷を負ってしまった子供達。彼らから信頼を得るのは容易じゃない。

 

私はまだ演劇というイベントで、彼らの興味関心をかっていたからやりやすかった。けれど前情報も何もないアクアくんの現状は私の時よりはるかに厳しいだろう。

 

───さて、どうするかな?私の彼氏様は

 

アクアくんは頭が良い。感覚派の役者だけど、後から理論をくっつけて再現性を見出すタイプ。学習能力もコミュニケーション能力も高い。誰とでも仲良くなる術を心得ている。

けれどそれは同年代、もしくは彼の分析力が通じる相手にのみ効果がある。

 

外国人に日本語が通じないように。犬や猫に人間の顔の良さがわからないように。

 

彼らにはアクアくんの戦略は一切通じない。戦略も言葉も通じない彼らと仲良くなるためにはあることをしなければいけない。

 

───まずはそこに気づくところから……え?

 

視線をアクアへ戻すと、複数の子供達が屯しているところに座り込んでいた。子供達は東京ブレイドのコミックをみんなで読んでいるらしい。二言三言話しかけると、アクアくんはニッと笑って、一度咳払いをして立ち上がり、目を閉じた。

 

『心に火を灯せ!新宿クラスタの勇士達よ!』

 

それは、誰もがアニメのブレイドを思い起こさせる声色だった。

 

漫画のページに沿ってアクアくんが演技を続ける。喜ぶブレイド。悲しむブレイド。怒るブレイド。楽しむブレイド。喜怒哀楽全てを見事に演じてみせ、子供達の興味を丸ごと惹き込んだ。

 

───出来てる……全身を使った感情表現

 

この短期間で、なんてものじゃない。あのアフタヌーンティーから1時間も経ってないのに、出来ないと言っていた感情に潜り込んだ後、水面から全身浮かび上がる演技が、出来ている。

 

───あの動画とは、まるで別人

 

私を救ってくれた今ガチ総集編。あの時の動画は衝動的で大胆な感情表現が多かった。カメラもアクアくんに寄り添ってくれていたし、だからこそ表情の変化や感情の起伏だけでも視聴者に没入と表現を理解させられていた。だがあの演技を演劇でやっても通用しなかっただろう。

 

しかし今の演技なら…

 

───もちろん、まだスタートラインに立ったに過ぎない。大変なのはここから。

 

台本に入って、キャラクターを掴んで、姫川さんのブレイドや刀鬼とギャップが出過ぎないように役作りをしなければいけない。大変なのはここからだ。

 

───それでも、驚いた。この課題を一日で終わらせた人、初めて見た

 

こんなに早く、こんなにあっという間に子供達の心を掴んでしまう人は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喜怒哀楽の感情表現。表情を変えるだけでは伝わらないモノ。それを子供達に伝えるために、まずは何をすればいいか。

 

───思い出せ。オレはもう知っているはずだ。あらゆる感情の発露の源泉は……

 

 

愛に決まってるじゃない

 

 

脳に声が響く。鼓膜を震わせない、オレにしか聞こえない声。時々忘れそうになるが、この声はいつもオレにまとわりつき、オレのパフォーマンスの源になっている。

 

───そうだ。あの時学んだだろう。愛の使い方を。愛の伝え方を。それを全身で表現する

 

って、どうやるんだろう。あの時、『今日あま』の時と今とでは条件が違う。雨音や逆光を利用できる状況ではない。周囲に真心を注ぐ方法は成り立たない。

 

 

難しく考えすぎじゃない?

 

 

かもしれない。表現なんて言葉を使うから難しくなる。思い出さなきゃいけないのは表現方法などではなく、オレの初期衝動。目覚める前の俺の記憶ではなく、オレが目覚めてからの感情の発露。

 

───オレの初めての表現は……

 

記憶の補完のために見まくった、そしてルビーの前で見せた、アイのモノマネ。あの時のオレができた、精一杯のアイドルダンス。

 

今思えばひどく拙い。もしビデオなど残っていて、他の誰かに見せられたのなら、即座にテレビごと破壊したくなるほど恥ずかしいクオリティ。今のオレが同じことをやったのなら9000倍は上手くやれる。

 

───でも、ルビーは喜んでくれた

 

技術もクソもない。児童の見様見真似のアイドルダンス。けれどあの時のオレができる精一杯のことをやった。心から笑顔を見せて、全身でアイの真似をして、喜怒哀楽全て曝け出していた。

 

全てはルビーの笑顔を守るために。

 

───ルビーを喜ばせるためにやったことを、今度は子供達のためにする

 

東京ブレイドのストーリーはわざわざコミックを見なくても全て頭に入っている。演じること自体は難しくない。難しいのはこの子達に共感してもらえるかどうかということ。

 

『心に火を灯せ!新宿クラスタの勇士達よ!』

 

オレが鼓舞すれば、アイツの頬が紅くなる。

 

『俺はシースを守るために強くなる!』

 

オレが怒れば、アイツも怒り

 

『兄さん、なんで!?俺は……貴方を信じていたのに!」

 

オレが悲しめばアイツも悲しみ

 

『俺たちは、東京を統一する唯一のクラスタになる!』

 

オレが笑えば、アイツも笑う

 

オレはずっと、やっていたことだった。

 

観客(ルビー)を喜ばせるためなら、オレはどんな感情も全身で表現できる。

 

意図しなくても溢れる感情。それこそが愛の表現。愛情とは無くしてしまったとしても、誰かがどこかに種を蒔き、いずれ芽吹く。消し去ることなどできない感情。それこそが、オレの思い出さなきゃいけないことだったんだ。

 

「ご清聴、ありがとうございました」

 

恭しく頭を下げる。先生が手を叩いてくれたのを皮切りに、子供達からも拍手が巻き起こった。

 

「お兄ちゃんすごーい!」

「ブレイドみたいだった!」

「お兄さんってブレイドなの!?」

 

先ほどまでとは打って変わって、キラキラした瞳で子供達が押し寄せてくる。やはり彼らの信頼を得る(こどもをだます)ために最も手っ取り早いのは、ヒーローだ。

 

「少し違うな。お兄さんは魔法使いなんだよ。誰にでもなれるし、何でもできる。けどそれは特別なことじゃない。努力すれば君たちにだって出来ることだ」

「そうなの?俺たちもブレイドになれる?」

「なれる。演劇は死せずして生まれ変わる芸術なんだから」

「よーしっ!『オレタチハコノトウキョウヲトウイツスルユイイツのくらすた二ナル!』」

「なんかちがーう。お兄さんみたいなブレイドじゃなーい」

「ははは。いきなりは無理さ。お兄さんだってここまで出来るようになるのに10年以上かかったんだから」

「じゃあお兄ちゃんなら刀鬼も出来る?」

「勿論」

「じゃああのシーンやって!ブレイドと刀鬼が新宿と渋谷の境界で決別するシーン!」

「『残念だ、ブレイド。貴様は俺の糧に過ぎなかった』」

【すごーい!!】

 

それからしばらくはお遊戯会だった。子供達のリクエストに応えてオレが演じ、子供達も思い思いのキャラを必死に演じる。男の子とはチャンバラごっこを。女の子とはお姫様ごっこをして、ママゴトに興じる。

 

───ん?

 

視界の端で何かが留まる。遊びに加わらず、一人隅で何かの本を開いている女の子がいた。髪を二つ結びにした幼い少女。歳は7〜8歳といったところだろうか。背を向けているため、美醜はよくわからなかった。

 

───なんか、引っかかる

 

ずっと昔、どこかで似たような子供を見たような。あるいはオレ自身に覚えがあるような、そんな既視感。放置することはできなかった。肩車して遊んでいた子供達を地面に下ろし、彼女の元へと向かう。名札には平仮名で、りこと書いてあった。

 

「りこちゃん。一緒に遊ばないか?」

 

子供達が一つの空間に集められる施設。周りに馴染める子もいれば、馴染めない子もいる。遊びの輪から一人離れ、本を読む少女の元へアクアがしゃがみ込んだ。

 

「バイエルだな。りこちゃんはピアノ習ってるのか?」

「…………わかるの?」

「もちろん。お兄さんもその楽譜から始めたからな」

「ピアノ、弾けるの?」

「人並み程度には。りこちゃんは?練習中かな?りこちゃん好きな曲ある?できる限り弾いてあげよう」

「…………『紅蓮の華』」

「東京ブレイドの主題歌だな。オッケー。その代わり、りこちゃん歌えよ」

「っ、ムリ!わたしっ、音痴だから…」

「大丈夫。オレが魔法をかけてあげるから」

 

教室に備え付けてあるピアノの座椅子をひき、鍵盤を開く。一度フッと指に息を吹きかけると、日本全国のオリコンチャートを独占し続けた曲のイントロが流麗に流れ始める。

 

「りこちゃん、歌って」

 

演奏と共にアクアが軽く歌う。するとチャンバラやママゴトをして遊んでいた子供達が少しずつピアノを取り囲み始める。

旋律に乗せられ、他の子供達が歌いそうになった時、ツインテールの少女は少しずつ歌い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの演技の後も、私はずっとアクアくんを見続けた。ブレイドだけでなく、刀鬼や他のキャラクターを演じ、子供達のごっこ遊びの中にアクアくんは見事に溶け込んでいった。

 

───あ

 

一人だけ女の子が遊びの輪に入っていないことに気づく。ほどなくアクアくんも気づいたようだ。肩車していた子供を下ろすと、少女の元へと向かう。二、三言話をすると、アクアくんはピアノの前に座った。

 

───『紅蓮の華』……東ブレの主題歌

 

東京ブレイドのアニメOPテーマをピアノで演奏する。すると少女だけでなく、他の子供達もアクアの周りを取り囲み、旋律に耳を傾ける。

 

誰か他の子が歌おうとしたその時、ツインテールの少女はようやく口を開いた。

 

───気持ち、わかるな。

 

せっかくアクアくんが自分のために弾いてくれた曲。他の誰かに歌わせたくはないだろう。少なくとも一番乗りは自分が良い。そう思うのは当然だ。

 

女の子の歌を盛り上げるように、演奏のピッチが上がる。二人の歌と伴奏に惹かれ、他の子供達も歌い始める。サビに差し掛かった時、子供達は全員笑顔で、大きく口を開けて、あの日本中を風靡した大ヒットソングを歌っていた。

 

「すげー!りっちゃん歌うめー!」

「なんで黙ってたの?もっと一緒に歌おうよ!」

 

演奏が終わった後、りこちゃんの下に子供たちが集まる。確かに子供にしては上手だった。多分音楽的な習い事をやっていたのだろう。子供達の人気を集めるために最も手っ取り早いのは優れた特技。彼らくらいの年齢なら男の子は足が速い子がモテるアレと同じだ。彼女の場合は音楽だった。彼女もこれからは輪の中に入れるだろう。

慣れない人気者扱いにりこちゃんはオロオロしていた。助けを求めてか、アクアの方をチラリと見る。孤立していた少女を救った魔法使いは視線にウィンクを返した。

りこちゃんの頬がカッと紅潮する。女子が恋に落ちる時の顔というのは、幼くても変わらないらしい。

 

多分私も今、似たような顔をしてるんだろう。

 

─── 好きにならざるを得ない人というのがいる。

 

何をしていても目がいく人。

 

何をしていても目が追ってしまう人。

 

何をしていても絵になってしまう人。

 

万人を惹きつける魔性の鱗粉を纏う人が。

 

───アクアくんって普段学校ではどんな人なんだろう。

 

今みたいに、クラスの中心で、太陽のようにみんなの盛り上げ役みたいなことをやってるのだろうか。

 

それとも日陰の花みたいに、窓際の席でそっと一人佇み、遠くを眺めているのだろうか。

 

どんな姿を想像しても絵になった。もし自分が同じクラスにいたのなら、絶対に彼の一挙手一投足を目で追ってしまうだろう。人気者も、孤高も、ミステリアスも、全てが似合う。似合ってしまう。

 

ピアノの前に座り、次の曲をリクエストされ、演奏し、沢山の子供たちと一緒に遊んで歌って笑う目の前の光景も、背筋に寒気が走るほど似合ってしまう。

 

 

───ああ、こんな人誰でも……

 

 

好きになっちゃうでしょ

 

 

 

 




最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
感情演技の学習完了。ようやくスタートラインに立ったアクアはついに舞台へと挑みます。感情演技できるようになったらあのシーンはどうなるのか?安心してください。ちゃんとトラブります。
次回共演者顔合わせ。大根なアイツとの再会。原作者との秘密の関係。看板役者との螺旋のつながり。もうぐちゃぐちゃドロドロですが、果たしてどうなるのか。あと最新話ヤバい。やっちまったなアクア。最近本誌の感想コレしか言ってない気がする。物書きにあるまじき語彙の貧困さ。でもヤバいとやっちまったなしか言えない。
それでは励みになりますので、感想、評価よろしくお願いします。面白かったの一言でも頂ければモチベーション爆上がりです。時間がかかっても感想には必ず返信します。
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