黎明の軌跡 Break the Nightmare   作:テッチー

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第28話 煉獄レクイエム

 大皿を両手に抱え、デュバリィは忙しく《モンマルト》の中を動き回っていた。

 空き皿に料理の補充、ドリンクの残量把握などと、やることは多い。

「なんで! なんでわたくしがこんな給仕のようなことをっ!」

 ラウラ・S・アルゼイドの料理がアレなことを知っているのは、一部のⅦ組男子を除いては自分だけだった。

 だから協力を要請されたのだ。煉獄を回避するための協力を。

 断るつもりだった。知ったことではないと。

 しかしずいっと迫られたせいで、勢いに流されてしまった。卑怯な男たちめ。このわたくしを弄んで、いいようにコキ使うとは。

「おーい、デュバりん。こっちのテーブルに酒とつまみ追加で頼むわ」

「セルフって言ってるでしょーが! 取りに行きなさい、自らで! あとデュバりんと呼ばないで下さい!」

「へいへい」

 手をひらひら振ってくるランディをにらみつけてやる。

 わいわい、がやがやと賑やかだ。

 会場設置も済み、料理の下ごしらえも終わって、この親睦会が開催されたのが十九時のこと。そこからまだ三十分と経っていないのに、会場はしっかり盛り上がっていた。

「歌います! クローゼと一緒に! I swear…I wanna steer――」

「え、私も? ちょ、ちょっと待って下さい。――そーらを巡りゆけばいいんじゃない~」

 エステルにがっと腕を組まれ、デュエットを披露させられるクローゼ。

「はあ!? しけたこと言うなよ!」

「そうだぜ! 宴の席だろーが!」

「ダメだ。未成年はノンアルコールだ。少なくとも俺は見過ごさない」

 酒のドリンクコーナーにやってきたアッシュとアーロンの前に、ロイドが仁王立ちで立ちはだかる。

「アッシュはともかく、オレはもう二十歳になってるっつーの!」

「記憶の拡張のせいで進んだ月日が認識できているだけだろう。実際の時間軸ではまだ十九歳のはずだが?」

 警察手帳と二つ分の手錠をちらつかせると、二人はすごすごと引き返していった。

「ヴァンさんって面白い人ですよねー。あんな上司もいいなって思っちゃいますよ」

「上司としてですか? それならまあ……アリです」

「あー、お兄さんでもいいかも。休みの日とかドライブに連れてってくれそうじゃないですか」

「それはナシです」

 ヴァンに対するノエルの印象に、アニエスが謎の判定を下している。

 とまあこんな感じで、あちらこちらで談笑の花が咲いていた。実に明るい会食だ。

 自分は元より参加する気もなかったが、意義は理解している。コミュニケーションを取ることで連携強化を図るのは別に悪いことではない。

 アイネスとエンネアとチームを組む身なれば、普段からの良好な関係性は重要な局面で活きてくることを知っている。

 そういう趣旨なのだから、存分に楽しめばいいだろう。ご自由にどうぞという感じではあるが。

 だが皆々が笑顔でいられるのは、裏方でリィン・シュバルツァーたちが決死の作戦を遂行しているからである。そのことは誰も知る由がない。想像さえしていない。

「ほんと、貧乏クジを引くのが好きな者たちですわね」

 渋々とはいえ、事情を聞いて、受けた以上はやり遂げる。ラウラのアレに仕留められて脱落者が出れば、《ロア=ヘルヘイム》攻略の戦力ダウンに直結する。それは自分としても本意ではない。

 出てくる料理がまともなところを見るに、今のところその作戦は順調のようだ。このまま上手くやってくれれば何の問題もない。

 強いて不満を挙げるなら、この服くらいだろうか。

「……やっぱり騙されている気がしますわ、これ」

 敏捷性が向上する特殊装備だとか言って、クロウから手渡されたこのウェイトレス服。やたらとひらひらだし、スカートは短いし、もも下の防御力はゼロだし、作りが甘いのか色々なところがスースーするし。

 そもそも誇り高き鉄機隊の筆頭たるこのわたくしに。鎧と剣こそが常の衣たるこのわたくしに。街中の浮ついた小娘なんかが好むような、薄っぺらい衣装を勧めてくること自体が失礼極まりないのだ。

 まったくもって無粋! チョロいと思われるのも心外!

 でもまあ……この服、ちょっと可愛いかも。

 

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《――★第28話 煉獄レクイエム★――》

 

 

 《モンマルト》のキッチンは、技術班により増改築されていた。

 奥側のトイレスペースは取り壊され、キッチン全体が二回りは広くなっている。このおかげで複数人が同時に厨房に立てるようになったのだ。

「ボアの香草焼きが上がるぞ! 盛り付けを頼む!」

 そのキッチンのメインポジション。ラウラが指示を出すと、Ⅶ組の男子たちは機敏に動いた。

 エリオットが皿を出し、マキアスが瞬時に形を整え、ユーシスが提供カウンターに運ぶ。それらの動作を、彼らは自分の作業もこなしながら行う。

 統率の取れた完璧な立ち回りだった。

 だが肝心なのはここからだ。

 カウンターに置いた料理皿を、フロアを担当するデュバリィに持っていってもらう。本来はそれでいいのだが、ラウラが手がけたこのボアの香草焼きは、人体に投与してはならない危険物質に仕上がっている。

 これをそのまま出すわけにはいかない。

「こいつを頼む」

 ラウラの様子を見つつ、クロウが別の皿を出した。付け合わせを作っていると見せかけ、密かに仕込んでおいたボア肉の角煮だ。

 戻ってきたデュバリィがそれを取る。

「そろそろ魚系が少なくなってきていますわよ。ミートボールの皿も減り具合が早いです」

「了解。こっちもピッチを上げていく」

 要するに“すげ替え作戦”である。ラウラが作った煉獄料理を、こちらで作った似た通常料理と入れ替える。

 もちろん簡単ではない。ラウラの調理行程を先読みし、完成のタイミングを合わせ、悟られることなく変更するのだ。

 間違いなく最難関ミッションと言えるだろう。ここまでに培った男子たちの連携が試される時だった。戦術リンクさえ駆使している。

「行けるか、リィン、クルト!」

 クロウが残った側の皿――つまりラウラの料理を二人に差し出した。

 それをリィンとクルトは一瞬で完食した。そろって白目をむき、体を痙攣させる。

 さすがに精魂込めて作った彼女の料理を処分するというのは、あまりにも心ない話だ。なので鍛えられた胃袋を持つ彼らが残さず食べることになっていた。

 煉獄に意識が飛んで一秒、二秒――七秒あまりでリィンたちは現世に帰ってきた。

「ふうっ、今回は魔物の群れが多かったな」

「まだやれますよ、リィン教官!」

 リィンとクルトは弾帯ベルトのように体に巻いていた小瓶の一本を取り出す。アセラスの薬だ。

 腰に手を当て、それを栄養ドリンクのごとく一息に飲み干してみせた。ぷはっと汗を切る。

「さあ、もう一本いこうか!」

 

 ●

 

「ほら、エリゼお嬢さん。このメロン、生ハムが乗ってるぞ? あっちのサラダも美味そうだぜ。な、な?」

「そうですね。よかったですね。あのお刺身もおいしそうですよ。トヴァルさんが釣り上げて、私の頬を尾びれで引っぱたいたブルマリーナじゃないですか?」

「おう……」

 スタスタと通り過ぎるエリゼを、トヴァルがどうにか気を引こうとがんばっている。釣りチームで何かあったのだろうか。

「あの……兄上。僕らだけ、ここに集まっていていいのでしょうか? 親睦目的ですし、色んな人と話をしたほうがいいんじゃ……」

 落ち着かない様子で、セドリックは辺りを見回した。

 ご機嫌斜めのエリゼはともかく、他の人たちは自由に入り乱れて立食形式のパーティを楽しんでいる。しかしアルノール家の面々だけは、いくつかある座席つきのテーブルの一つを与えられていた。

 オリヴァルトは笑った。

「まあまあ。家族で卓を囲むのも悪くないだろう? シェラ君との結婚以降、何かと忙しくて食事を一緒にするタイミングもなかったじゃないか。いい機会だよ」

「……兄上がそう言うのでしたら」

 アルフィンが口を挟んできた。

「なーに、セドリックったら。色んな人と話したほうがいいとか言いながら、どうせ人見知りが発動して中々声をかけにいかないくせに」

「うるさいなあ、アルフィンは! わかってるよ、自分の性格くらい!」

 アルフィンに仲介してもらいながら輪に入っていくのはいつものことである。

 それでも昔に比べて多少なり積極的に行動できるようになれたのは、バイブルである《猛将列伝》のおかげだ。そう、心の師と仰ぐ猛将エリオットのおかげなのだ。

 エリオットさんは厨房に入って、ラウラさんの手伝いをしているという。きっと荒々しい調理風景が展開されていることだろう。

 あとでアーロンさんを誘って見学にでも行ってみようか。《猛将列伝》繋がりで、彼とは仲良くなった。

「シェラ姉様、なにかお飲み物でも取ってきましょうか?」

「ありがとう、アルフィン。そうねえ、だったら――」

「お酒はダメだからね、シェラ君。絶対にダメだからね」

 シェラザードさんはお酒が好きなのだろうか。そんなことさえ僕は知らない。

「ドリンクなら僕が取ってくるよ。ソフトドリンクをね」

「では軽食はわたくしが」

 オリヴァルトとアルフィンが立ち上がり、そこに自分も続こうとして、

『セドリックは座ってて』

 二人に強く言い含められる。

 シェラザードと二人きりになってしまった。案の定、会話が途切れた。周りの喧騒がやけに大きく聞こえる。

「楽しめてる?」

 不意にシェラザードが訊いてきた。

「は、はい。シェラザードさんは?」

「私も楽しんでるわ。お酒を控えなきゃいけないのは、ちょっと残念だけど」

「お酒、よく飲むんですか?」

「え? んー……少しだけ」

 あれ、今日は割と話せる。アルフィンも兄上もまだ戻ってくる気配がない。色々質問してもいいだろうか……?

「体調どうですか? しんどくないですか?」

「うん? ええ、大丈夫。《ロア=ヘルヘイム》に来てもお腹の中で時々動いてるから。とても元気よ。男の子かしらね」

「へえ! あ、すみません。大きな声を出して……」

「いいわよ。賑やかなほうがこの子も好きっぽいし。生まれてきたら、セドリックさんもたくさん遊んであげて欲しいわ」

「も、もちろんです。いっぱい遊びます」

 実は密かに男の子がいいなって思ってた。大きくなったら剣を教えてあげたり、一緒に釣りとかしたり、そんな想像をしていた。僕にとっても宝物なんだ。

 だからシェラザードさんは、僕の何を差し置いても絶対に無傷で現実世界に帰還させる。

 ……今なら呼べるんじゃないか、姉上と。普通に、自然に、当然に。

「あ、あね――」

「え?」

「アーネンベルクって城壁がリベールにありましてね。グランセル地方を広く囲んでいるんですよ」

「それは私も知ってるけど、どうして急にアーネンベルク城壁の話を?」

「ははは……最近、各国の地理を学んでいて……外交の際に話題の一つになるかと」

「セドリックさんは立派ね」

 チキンな僕を叱ってくれ、クルト。

 そのクルトの姿が見えない。ああ、そうだった。彼も厨房で手伝いをするんだとか。できれば一緒にパーティを楽しみたかったな。

 ……そういえば、あの言葉はどういう意味だったんだろう?

 この親睦会が始まる直前に言われたのだ。『僕もヴァンダール家の男です。皇族守護職の誇りにかけて、アルノール家の団欒を守り抜いてみせます』と。

 あの決意と悲壮感の入り混じった目。笑顔と泣き顔の狭間みたいな表情。

 まるで人生最後の誓いのようだった。

「クルト……?」

 

 ●

 

「これも頼む。仕上げにバジルを上から散らせてくれ」

「おうよ!」

 ラウラが差し出してきた料理をクロウが受け取った。ミートボールだ。

 問題ない。すり替え用のミートボールは、すでにマキアスが仕上げている。

「クルト、追加だ。やれるか?」

「はい!」

 すり替えた後のミートボールをクルトに渡す。ごろりとした肉玉が七つ。

 ラウラにばれないよう、クルトはそれを食べる。五つ目を食べきったところで、彼の手が止まった。

「どうした。腹いっぱいか? ここまでがんばったんだ。無理せずリィンに回しても――お、おい?」

 クルトも先ほどから料理が来る度に食べ続けている。さすがに満腹なのかと思ったが、そんなレベルの事態ではなかった。

 白目をむいたまま固まり、どれだけ経っても意識が戻る気配がない。顔が赤色に紅潮し、すぐに青色に変わり、次に紫、金、銀、黒、灰色へと、発光しながら目まぐるしく転じていく。

 一人で七の騎神を体現する単独《デウス=エクセリオン》劇場だ。

「リィン! クルトが限界だ。煉獄から帰ってこねえぞ! つーかなんだこの状態異常!?」

「くそっ、大丈夫か、クルト!」

 心配そうにリィンが声をかける。しかし今、リィンが話しかけているのは、ぐつぐつと煮立つ鍋だった。

「リ、リィン……お前……」

「あとは俺たちに任せろ。もう少しだ。そうだろ、みんな!」

 振り返ったリィンの目は、焦点が定まっていなかった。

 そしてどさりと倒れた。

 異世界の厨房にて剣聖墜つ。

「やべえ、やべえぞ!」

 二人とも、とうに限界など越えていたのだ。リィンとクルト以外に、まともにラウラの料理を食べられるやつはいない。

 そうなるとラウラが出してくる料理をすり替えられない。なぜなら彼女の気持ちを汲み、すり替えたあとの料理は完食することが自分たちに課した絶対のルールだからだ。

 どうする。考えろ、クロウ・アームブラスト。小賢しい策は得意だろ……!

「このミートボールは持って行っていいんですの?」

「ああ、そいつは構わねえ」

 カウンターに置いた、すり替え後のミートボール皿をデュバリィが取りに来た。二つ返事で了承するクロウだったが、ユーシスが気づく。

「ちょっと待て。クルトはミートボールを二つ食べ残していたはずだな? なくなっているぞ!」

「んだと!?」

 ない。二つともだ。まさか――

「戻ってこい、デュバリィ! そのミートボールは持っていくな!」

 こちらが作った正常なミートボールに、煉獄肉玉が混じってしまっている。しかもたちの悪いことに見た目の差はない。どれが暗黒物質(ダークマター)かわからない。

 笑い声や話し声に紛れて、クロウの声はデュバリィに届かなかった。

 マキアスが諸手を打つ。

「そうだ! クラウ=ソラスかアガートラムのスキャンにかけるのはどうだろう!? それで人体に有害な成分を検出したミートボールだけを取り除けば!」

「ナイスアイディアだぜ! 今日もメガネが輝いてんな!」

 料理に異物が混入した恐れがあるとかなんとか、適当な理由をでっち上げてアルティナかミリアムに協力を依頼すればいい。

 クロウはカウンター越しに二人のちびっこを探す。

 いた。まさに今運んでいったミートボール皿の前だ。

「はい、アーちゃん。あーん」

「子供じゃないんですから、もう」

 とか言いつつ、ミリアムの差し出したミートボールを、アルティナはパクリと一口食べた。

 間に合わなかった。しかし数あるミートボールの内、一発でハズレを引くなんてことが――

「あっ、あわぁっ、はわあぁああっ」

 あった。あのアルティナが悶絶している。

「た、たた、たすけて、お、おねえちゃ……」

「のどに詰めちゃったの!? こっちにおいで!」

 水でも飲ませるつもりなのか、アルティナはミリアムに連れていかれた。当てにしていた二人が一度に消えた。

 ならばカトルの持つFIOならどうか。あの導力ドローンとやらでもスキャンはできるはず。そう考えたが、最近のFIOは人間を敵視しているという。わざと煉獄肉玉を食わしてくるかもしれない。その可能性がある以上、下手には頼れない。

「サモーナのチーズグリル、三種のキノコ盛り合わせも上がったぞ。ふふ、ここでメインのワイルドステーキも出してしまおうか。デザートの準備もそろそろだな」

 ラウラのピッチが速い。手際だけはめちゃくちゃ良いのだ。キッチンも綺麗に使うし、包丁捌きなんざ達人のそれだ。それなのに、なんでそんな魔の物ばっかり生まれ出てくるんだよ。

「こうなりゃ最後の味付けとか盛り付けでごまかすしかねえ……! 腹くくれよ、お前ら!」

 魚にはエリオット特製のベシャメルソースをたっぷりとかけて風味を変える。キノコにはスパイスを利かせ、仕上げに炙って毒気を飛ばす。キノコと目があった気がしたが、俺は何も見ていない。

 瘴気を立ち昇らせるステーキは、ポテトサラダをアイゼンガルド連峰のごとく盛り固め、その最下層へと封印する。

 工夫を重ねて被害を最小限に留めるしか、もはや方法はなかった。

 ラウラの脅威と俺たちの技巧の真っ向勝負だ。

 

 ●

 

 《モンマルト》の改装が半端じゃなかった。

 水回りの範囲を広げて、コンロを増設する程度の話だったから二つ返事で了承したのに、立派なバーカウンターまで(こしら)えてやがる。

「技術班の作り込みがおかしいだろ……」

「このバーカウンターのこと? 興が乗ってやれるところまでやったって、ティオさんは言ってたけど」

 ヴァンのぼやきに、横のエレインが肩をすくめた。

 二人はそのバーカウンターに並んで座っている。

「もはや業者の域なんだが。単発の立食パーティのために、ここまでやるか?」

「凝ったらとことん凝るのが技術職気質なんでしょう。別にいいじゃない。本当の《モンマルト》ってわけじゃないんだから」

「怒鳴るビクトルのおやっさんが夢に出てきそうだぜ」

「そもそもが夢の世界よ」

 エレインはグラスの氷を鳴らす。

 バーテンダーはいないからドリンクはセルフだ。エレインはホワイトレディ――ジンをベースにしたカクテルを飲んでいる。ヴァンはジャックローズ――リンゴを原料としたアップルブランデーだ。

「おつまみ足りてる? 取ってくるわよ」

「十分だ。しかし美味い飯ばっかりだな」

「ラウラさんってこんなに料理上手だったのね。羨ましい」

「そういやエレインって料理はできんのか? お嬢様生活に慣れてたら苦労したんじゃねえか」

「で、できるわよ。一人暮らしだし、掃除、洗濯、炊事、お買い物、なんでもね!」

「そりゃ買い物はできるだろ……」

 ミシュラムの一件以降、エレインの態度が多少柔らかくなった気がする。彼女はわざとらしい咳払いで話題を変えた。

「例の《王》と《夢の綻び》のこと、何かわかった?」

「いや……わからん。《幻夢の手記》も反応しねえ。ジョルジュ・ノームから出てきた新たな情報もない」

「そう。手がかりなしね」

 視線を少し離れたテーブル席に向ける。

 ジョルジュもこの会には参加している。あいつにはカトルをつけておいた。今のところ異常はない。

 ミストマータが言ったキーワードだ。

 しかし《夢の綻び》がどういう物かわからない。《王》の意味するところも不明だ。比喩や象徴的な言葉という可能性もある。

「やーねえ。大人になるとお酒とお仕事の話はセットになるのかしら」

 レンがやってきた。エレインとは反対側のヴァンのとなりに座る。

「仕事っつーか、今後に関わる推察だろーが」

「同じね。こういう時は割り切って楽しむものよ。ほら、エレインさんが自炊の話をしたのだから、『じゃあ手料理を食べさせてくれ。今度お前の家に行くからよ』くらいは踏み込まないと」

「な、何を言うのよ。ちょっとドリンク取ってくる」

 エレインはそそくさと席を立ってしまった。

「お前な、あんまり大人をからかうなって」

「また子供扱いする」

「学生は子供だろ」

「心はレディーよ。そう接して欲しいものだわ。これで気遣いもできる方なんだから。はい、どうぞ」

 レンはケーキ皿に乗ったティラミスをカウンターに置いた。

「こいつは……!?」

「もうデザートが並んでるわよ。無くなる前に取ってきてあげたの」

「やるじゃねえか! さすがだな!」

「ふふ、もっと褒めて」

 聞けば他にも種類があるという。これは全制覇しなくては。

 まずはティラミスを一口頂く。舌の上で転がすように、しっかりと味わう。

「ふむ……三層式か。エスプレッソパウダー、ココアパウダー……チーズも使っているのか、なるほど」

「あら、もしかしてヴァンさんの食レポが聞けるのかしら」

「ほのかなエスプレッソの苦みがココアパウダーの別種の苦みとも相まって、なんかすげえ苦い。鼻から抜ける香ばしさの主張が激し過ぎて、もはや火災現場の黒煙の臭いがしやがる。おっと、ここでひと工夫か。層ごとに触感も変えてアクセントをつけてるらしい。ほう、下層はコンクリみてえにクソかてえクッキー生地に、中層は雑草の風味のするジュレ、上層はスポンジ生地のはずだが、これも鬼のようにかてえな。ゼムリア鉱でも混ぜ込んでんのか。噛むと真ん中の雑草ジュレがはみ出して口の中に広がり、雨上がりの土を頬張っているかのような、今までに経験したことのない何かが――ウヲヲヲヲンッ!」

 負の食レポから流れるように絶叫し、ヴァンはカウンターに突っ伏した。

「え、ヴァンさん……なんで?」

 レンが肩を揺さぶるも微動だにしない。

 人知れず煉獄が始まっていた。

 

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 ●

 

「それじゃあ僕はロイドのところに行くから。いつか君と語らいながら飲み交わせる日を楽しみにしているよ」

 ウィンクをして、ワジは去っていった。わざわざ一声をかけに来てくれたらしい。どう答えていいかもわからず、「はあ、どうも」としか返せなかったカトルは、離れていく背中をただ見送った。

 華奢な体つきなのに、意外と筋肉質なんだな。そんな取り留めのない感想を抱いた時、対面して座るジョルジュが意外そうに言った。

「彼と仲がいいのかい?」

「どうなんでしょうね。ワジさん、何かと気にかけてくれているみたいですけど……その理由は僕にはわかりません」

「ふうん、何か思うところがあるのかな」

 立食パーティとはいえ、疑惑のジョルジュ・ノームを自由にするわけにも行かず、こうして監視役を任されている。

 お互い技術職だから、話が弾めば御の字。会話から何かしらの情報を引き出せれば、という意図があって自分が選ばれたのだが、別に僕はおしゃべりが得意というわけではない。

 しんどい時間が続くんだろうな――と思っていたが、これがまた話が盛り上がってしまった。

「それでジョルジュさん。さっきの続きなんですが」

「ああ、機甲兵のアームパーツの機構だったね。実は人間を模しているけど、中身の仕組みはまったく異なるんだ。特に関節部の可動域はスライド式を組み合わせた立体構造が基盤になっていて――」

 とても勉強になる。教え方も抜群にわかりやすい。

 彼はすごい人だった。しかも話している限り穏やかだ。悪意をもって何かを隠しているようには思えない。

「ん?」

 リゼットがこちらをちらちら見ている。

 僕に用事? もしくはジョルジュさんに?

『料理、取ッテキタ』

 ビュッフェコーナーから、FIOが皿を持ってきてくれた。

「何回見ても驚くよ。導力ドローンだっけ。本当に素晴らしい技術力だ」

「僕だけで作り上げたんじゃないですけどね」

『食エ』

 感心するジョルジュの前に、FIOはぞんざいに皿を投げ落とした。キノコの盛り合わせだ。

「はあ、いつになったら元のFIOに戻ってくれるんだろう……」

 ヴァンとアーロンのせいで陥った人間不信が根深い。

 でもこうして料理を取ってきてくれたから、少しは人間に歩み寄ろうとしているのかもしれない。

「せっかくだ。頂こうかな。カトル君もどうぞ」

「ありがとうございます。じゃあ右端のキノコをもらいますね」

『待テ。カトルハ食ベルナ。ジョルジュ、オ前ガ食エ』

 怪しい。手を止めるジョルジュに、FIOは銃口を向けた。

『食エ。食ワナケレバ、尻ノ穴ガ増エル事ニナルゼェ』

「げ、下品だよ、FIO」

「撃たれるくらいなら食べるけども……」

 半ば脅される形で、ジョルジュはキノコをつまむ。

「むぐっ……!? かはっ!」

「ジョルジュさん!?」

「く、口の中で獅子戦役が再現されている……っ」

「どういうこと!?」

 一仕事終えたとばかりに、FIOはどこかに飛んで行った。

「FIOが何かやったのかな……ど、どうしよう。あの、誰か」

「わたくしにお任せを。休める部屋までジョルジュ様を運んで参りますので」

 事態に気づいたリゼットがやってきて、意識朦朧としたジョルジュの肩を支えた。

「あ、リゼットさんだけじゃ……僕も手伝うよ」

「いえ、わたくし一人で大丈夫です」

「こう言ったら失礼かもだけど、ジョルジュさんって重そうだし」

「問題ありません。わたくしはSCですから」

「それ関係あるかな?」

 カトルの心配をよそに、リゼットは手際よくジョルジュを上階へと連れて行った。

 

 ●

 

「すみません、これだけしか残っていませんでした」

「いいのよ。わざわざ取ってきてくれてありがとう」

 セドリックはミートボールが乗った小皿を一つ、シェラザードの前に置いた。

「それにしてもオリビエもアルフィンも遅いわねえ。料理を見繕いに行ったっきり、戻ってこないじゃない」

「なぜか向こうで兄上が『あばばば』って泡吹いていまして。アルフィンはその介抱をしていました」

「変な物でも食べたのかしら? いえ、変な物はないわよね。全部この場で作ってるわけだし」

「うーん、最初からお腹の調子が悪かったとか……ですかね」

 食中毒はないだろう。仮にそうだったとしても、こんなに早く症状は現れない。

 しかし周りを見渡せば、そこはかとなく調子の悪そうな人が多い。

 アーロンは消沈してうなだれている。ロイドは不可思議な恰好で固まり、謎のオブジェクトと化している。ユウナは笑いながら頭を壁に打ちつけている。ジュディスはグリムキャッツになって天井に張り付いている。

 調子の悪いレベルではない気がする。これ集団幻覚とか見えてるんじゃないだろうか。

「みんな酔ってるのね」

「酔う……? あれが!? 天井に張り付いてる人いますけど!?」

「あ、そっか。セドリックさんはまだ未成年だから知らないわよね。私はもっと凄いのを見たことがあるわ」

「えぇ……僕はお酒を好きになれそうにないですね……」

「適量を守ればいいだけよ」

 壁相手にヘッドバンキングを続けるユウナさんは未成年なのでは。

「あら、ミートボール食べないの?」

「それはシェラザードさんに持ってきたものですよ」

「じゃあこうしましょう」

 シェラザードは手元のナイフで、ミートボールを割った。

「ほら、半分こ。大きい方はセドリックさんが食べて」

「あ、ありがとうございます」

 優しいな。シェラザードさんは。こういう女性が兄上の奥さんで――僕の義理のお姉さんで本当に良かったと思う。

 もっと仲良くなりたい。やっぱり僕はあなたを姉上と呼びたい――

「あ、あねう――」

「失礼します!」

 だんっとクルトが勢いよくテーブルに手をついた。はあはあと息を切らせて、目は血走っている。

「ク、クルト? なに? え?」

「無礼は承知!」

 言うが早いか、クルトは二つに割られたミートボールの両方を自らの口に押し込んだ。

「ぐあああっ!」

 いきなり苦しげにうめき、仰向けに倒れてしまった。

「殿下、そこにいますか……」

 目が見えていないらしい。力なく差し出された手を、セドリックは固く握った。

「いったいどうしたんだ、クルト! こんな……何が君をここまで……」

「皇族守護の任を果たしたまでです。妃殿下もご無事で良かった……」

「最初から最後まで君の行動の意味がわからない! 毒見のつもりなのか!?」

「毒? そんな生易しいものじゃありませんよ。呪い――そう、これは呪いに近い……ぐっ」

「クルト!」

「兄上……。兄上のようにはできませんでしたが、僕なりに一生懸命がんばりました。褒めて……下さいますか」

「幻覚を見てる? ということは、まさか君も……お酒を飲んでしまったのか!?」

 真面目なクルトのことだ。自分から飲んだというのは考えにくい。ソフトドリンクと間違えて、アルコールドリンクを取ってしまったのだろう。

「最後に一つだけ言い残したい。僕はセドリック殿下と……兄上とオリヴァルト殿下のような関係になりたかった……」

「なれるさ! 僕たち昔から親友だろう! 敬称なんていらない! 呼んでくれ、セドリックと!」

「あり、がとう……セド、リック……」

 がくりとクルトの体から全ての力が抜け落ちた。

「クルトーッ!」

 終始よくわからないまま見守るシェラザードの前で、セドリックは叫んだ。

 

 ●

 

 煉獄に旅立った数人の亡骸を片付けて、立食パーティはお開きとなった。

 運悪くハズレに当たってしまった者たちには不憫だが、“悪酔い”で処理されたのは幸いだった。

 概ね親睦会の目的は果たせた。可能な限り災禍も抑えた。ラウラの面子も保たれた。これ以上ない戦果と言えるだろう。

「燃え尽きたぜ……」

 厨房の壁に背を預けて、クロウはずるずるとへたり込む。

 もはや戦場の跡だった。

 他のⅦ組男子たちも床に倒れ、屍と化している。ラウラの料理に強制アレンジを加え、どうにか胃に収められるレベルのものにしたのだ。どうやっても無理なものもあったが。

 肉体、精神、共に疲労は限界を越えていた。デュバリィも疲れ果て、クロウの横で女の子座りである。

「そなた達には感謝しかない。ここまで力を尽くしてくれるとは思わなかった。なんと礼を述べればいいのか……」

 感極まった様子のラウラが目じりをぬぐった。

 クロウは弱々しく笑う。

「へっ、気にすんなよ。俺たちは俺たちにやれることをやったまでだ」

「しかしわかっていたことではあるが……そなた達はパーティに参加できなかった。それだけが悔やまれるというか、申し訳ないというか」

「気にすんなって言ったぜ。俺たちはそうしたいから、この道を選んだ。ただそれだけの話だ」

「男前だな、クロウは」

「とっくに知ってら」

 こん、とクロウとラウラは拳を打ち合わせる。

「それにしてもリィンはぐったりと横になって。そんなに疲れたのか?」

「寝かしておいてやってくれねえか。ずっと戦い続けてきた男が、ようやく全てを忘れて眠ってんだからよ。こいつはよくやった。本当によくやってくれた。……ははは……わりぃ……ちょっと涙が……」

「ふむ……実はな。そなた達に何か労いができないものかと考えていた」

「ん?」

 ラウラは冷蔵庫の奥から、大きなトレイを引っ張り出してきた。

 そこには色んな種類のアイスやフルーツや菓子がこれでもかと盛られている。

「……なんだ、それ」

「見ればわかるだろう。そなた達のためだけに作っておいた特別なデザートだ。その名も《エクストリーム・ラウラマウンテン》。疲れた体に甘いものは欲しかろうと思ってな。オリジナルの味付けとトッピングも施している。ささやかだが私の気持ちだ」

「ささやかの意味知ってるか」

 信じがたいものを目の当たりにしたデュバリィは「ヒィアアァ……」と言葉にならない悲鳴を上げていた。

 どん! と台の上に置かれた《エクストリーム・ラウラマウンテン》を見上げたクロウは「ふっ」と笑みをこぼす。

「おう、リィン。とっとと起きろ。お前の仕事残ってんぞ」

 眠る後輩の頬をベシベシ叩く無慈悲な先輩の姿がそこにあった。

 

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 ●

 

「お加減はいかがですか?」

「だいぶマシになったよ。ええと、君は」

「リゼット・トワイニングと申します。本来の所属はマルドゥック社のSCです」

「マルドゥックの……」

 ベッドから起き上がろうとするジョルジュをやんわりと制して、リゼットはコップに注いだ水を渡した。

 それを飲み干すと、彼は深く息を吐く。

「ふう、あの導力ドローンに一服盛られたのかもしれない。これは本当に初期化した方がいいんじゃないかな。あとでカトル君に提案してみるよ」

「それは控えるべきかと。カトル様を怒らすだけですよ」

 ヴァンが同じ提案をして、カトルを憤慨させていた。

「あと一応見ていましたが、料理に何か混入させた素振りはありませんでした。ただ皿を持ってきただけのようです」

「そう……?」

 ジョルジュは室内を見回した。

「ここリゼットさんの部屋だろう。いいのかい、僕を招き入れて」

「上階のジョルジュ様の待機室にはベッドがないでしょう。休んで頂く場所が必要でしたので」

「いや、年若い女性の寝床を借りるのはどうにも……」

「紳士なのですね。それとも想っている別の女性に対して、なんだか後ろめたい気持ちになるからでしょうか?」

「ははは、どうかな」

「《ノルンの工房》に囚われていたということは、そういうことかと推察していますが。ウルズフロアの最奥の端末には、唯一ロックのかかったANフォルダなるものがあったとも聞いております」

「やれやれ……気づいちゃったんだね」

 ジョルジュは体を起こして、ベッドから足を下ろした。

「アンというのですか、その方は。献身的で優し気な母性溢れる印象のお名前ですね」

「愛称だよ。ちなみに君の抱いた印象は的外れかな」

「あら」

「そんなことより、何か僕に話があるんじゃないのかい。カトル君と話していた時にも、リゼットさんの視線は感じていた。ただの監視かと思っていたが、少し違う気がしていてね」

 存外鋭い人だ。

「実はジョルジュ様にお礼を申し上げたくて」

「お礼? 初対面だと思っていたけど。1208年じゃ僕は君と出会ってるとか?」

「いえ、今のわたくしの記憶ではお会いしておりません」

「じゃあなんで」

 リゼットは無言のまま腕を差し出した。

 ジョルジュにはすぐにわかったようだった。

「これは……生体パーツか!」

「ええ、義体です。ちなみに腕だけではありません」

「なるほど……けど礼というのは?」

「あなたも生体部品の研究、開発を進めておられたでしょう。その技術が巡り巡って、わたくしは生かされました」

「君の体を作ったのはマルドゥック社だろう。僕じゃない」

「少なからずジョルジュ様のノウハウも入っておりますよ。マルドゥックの研究チームから、あなたの名前が出たことだってありますから」

「だとしてもだ。僕が生体部品の研究をするのは贖罪の意味合いが大きい。誇れることじゃないんだ」

「だとしてもです。わたくしが救われた事実は変わりません」

 そのことをジョルジュに言いたかったのだ。彼も彼で色々あったようだが、そんなことは関係ない。こちらにあるのは感謝のみだ。

「……僕には過ぎた言葉だ。ただでさえ疑いをかけられている身なのに、ずいぶんと良くしてくれて」

「良心が痛みますか?」

「その言葉を肯定すると、僕が後ろめたい何かを隠しているという前提になってしまうよ」

「引っかかりませんね」

「思ったよりしたたかな女性だな、君は」

 ジョルジュは立ち上がった。

「ヴァン・アークライドが君たちの中心人物ということで間違いないかな」

「はい」

「頼みがある。僕を次のエリアに同行させてくれ。必ず役に立とう。そう彼に進言して欲しい」

「それは……」

「来たよ。六つ目の《虹の影橋(ビヴロスト・シャドウ)》が」

 ジョルジュの視線の先――部屋の窓には、立ち昇る緑色の光が映っていた。

 

 

 ――つづく――

 

 

 

 




《話末コラム①》【虹の軌跡ver アルフィンの受難】

 実はアルフィンも十月戦役中にラウラの料理の被害にあったことがある。一応リィンはそれを知っていたが、その後に胸を撃たれて生死の境をさまよったり、続けて煌魔城突入などもあったりで完全に失念していた。
 そして今回の親睦パーティの料理をラウラが手掛けていることをアルフィンは知らなかった。
 パーティ終盤の料理を食べたオリヴァルトが「あばばば」となって、初めて進行している事態を察したのだった。

 ●

《話末コラム②》【★クロウ・アームブラストによる料理解説】
※親睦パーティで振舞われたラウラの料理レパートリーを抜粋。尚、Ⅶ組男子たちの奮戦のおかげで提供されなかったものもある。

料理:煉獄マグマスープ
効果:状態異常耐性ダウン/混乱/炎症
解説:舌が焼け爛れるほどに辛い真っ赤なスープだな。前菜なのに一皿目から胃を破壊しに来てんのは何なんだよ。さらにコースの初手で状態異常耐性を下げてくんのが悪質過ぎるぜ。

料理:ペインズサラダ
効果:バランスダウン/リンクブレイク/毒/DEF・ADF低下−50%
解説:こいつも前菜扱いだが、一口ごとに足元がおぼつかなくなってきやがる。絶対食べちゃダメな雑草とか突っ込んでるだろ。これ食ったクルトが目から出血してたし。

料理:謎魔獣のローストビーフ
効果:封技/封魔/腐食/恐怖/錯乱/精神がどこかの魔獣とランダムで入れ替わる
解説:血抜き処理とかしてんのかってくらい獣臭いローストビーフだったな。複数の状態異常も面倒だが、食べたやつの行動が魔獣そのものになるのがヤバ過ぎる。

料理:ギガシュリンプのガーリック痛め
効果:混乱・強/毒・強/気絶・強/石化・強
解説:状態異常の効果が無駄に強く、キュリアの薬でも解除がすぐにはできない代物だ。ユウナが柱に頭を打ちつけてたのは、これの混乱効果が原因らしい。あと炒めだろ。痛めつけてどうするよ。

料理:ゴルドサモーナのズタズタ活け造り
効果:恐怖/悪夢/幻惑/凍結/物理反射解除/魔法反射解除
解説:とにかく身を守ろうと発動させた反射状態を一撃で解除してくる慈悲なき刺身だ。活け造りにされたサモーナの恐怖は悪夢を呼び、幻想の中で足元から凍結させていく。もうやめてくれ。

料理:ランナーズボアの姿焼き
効果:DEF低下−150%/ヘイトUP/マーキング/AGL−120%
解説:まず防御力を馬鹿みてえに下げられ、敵から狙われやすくなった挙句、クリティカルを必中で受ける上、回避力も根こそぎ奪われるっつー拷問のごとき肉料理だ。アガットも膝をついてたし、完食は困難を極めるだろうな。

料理:反応兵器的リブロースステーキ
効果:セピス全消滅/アイテム全消滅/ミラ全消滅/装備品全消滅
解説:どういう理屈が知らんが、持ち物が消滅するらしい。苦労して貯めてきたものが一瞬で水の泡に。最後の戦いの前とかに食ったら絶望しか残らねえぞ。

料理:因果律反転テリーヌ
効果:ゼムリアストーンを魔獣の肉×1に変換/ゼラムカプセルを目薬×1に変換
解説:超レアなアイテムが雑貨屋で変えるレベルのそれに置き換わる意味不明な効果が発生する。いっそのこと消滅してくれた方がまだメンタルダメージは少ないんじゃねえか。逆に。

料理:ラウラ式刀削麺
効果:行動毎にセット中のレアクオーツが崩壊/戦闘後にマスタークオーツ及びホロウコアのレベルが強制初期化
解説:レアクオーツからってのが悪意以外の何物でもねえよ。マスタークオーツの初期化とか、そこにかけた労力と時間をマジで返しやがれ。

料理:不死鳥、焼いてみました
効果:戦闘不能解除、HP全回復/1ターン後に絶対即死
解説:数千年生きるという伝説の鳳凰を焼き鳥にしやがった。しかしようやくまともな効果が――って生き返ったあとに即死ぬとか、鳳凰の呪いが絶賛発動中じゃねえか。

料理:熊手鍋
効果:幻聴/自分と親しい女性の声が全てガルシア・ロッシに変更。
解説:想像してくれ。あんなイベントやこんなイベントが全てガルシア・ロッシの声に置き換わっているところを。アリサの「会いたかったわ、リィン」とかミリアムの「やっほー」が全部キリングベアだぞ。心が折れない方がおかしいっての。

料理:怪しの炒飯
効果:幻聴/自分と親しい男性の声が全てツァオ・リーに変更。
解説:想像してくれ。他愛のない日常会話まで全てツァオ・リーの声で、何かにつけて「フフッ」って含み笑いしてくるところを。もう絶対裏切るだろ、こんなもん。え、お前が言うなって?

料理:重力に囚われしエスカルゴ蒸し
効果:Sクラフト待機時、自身への絶対遅延が継続発動。永遠に自分のターンが回ってこない。
説明:あ……ありのまま今起こった事を話すぜ! 俺は大技を撃つために力を溜めて構えていたんだが、全然自分の番にならねえんだ! 何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

料理:黄金カブトのツノキャンディー
効果:高揚/発情/脱衣
解説:レンが採取してきた謎のカブト虫の角をべっ甲アメにしたお菓子だとよ。妙なフェロモンが分泌されてるみたいで、レンにひとなめさせられたアニエスがそりゃもう凄いことになってたぜ。あとエマも。

料理:茶碗虫
効果:頭痛/腹痛/吐気/発熱/目眩/幻覚/混乱/幼児退行
説明:茶碗から突き出た四本の虫の脚が、当たり前のように自律歩行をしてやがる。もはや普通に食中毒症状じゃねえか。幼児退行したジンが駄々っ子になる様は熊が暴れてるのと大差なかったな。最終的にはエレインに仕留められて終わったが。

料理:ショートケーキ・乱
効果:麻痺/混乱/石化/瞑暗/腐食/恐怖/気絶/封技/封魔
説明:こんな負の効果が集中することあるかよ。一つのショートケーキに入り切る状態異常の量じゃねえんだわ。

料理:不動のジン・トニック
効果:腹痛・強/MOVゼロ
説明:大人向けアルコールカクテル。たったの一口で強烈な腹痛に襲われ、同時に足がその場に固定される鬼仕様だ。
『さあ“全員”で見届けてやるとしようぜ』
『この最悪で、クソッタレなお伽噺の結末をな!』

料理:零の柚子ゼリー
効果:CP・EPゼロ、加えて5ターンの間は回復不能/5ターン経過後にセーブデータ全削除
解説:あらゆるものをゼロにしてくる柚子風味のゼリー。食べ進めると半端じゃない脱力感と倦怠感に襲われる。最終的には記憶がなくなるどころか、ここまでの旅路そのものが消失しちまうエグいデザートだ。

料理:エクストリーム・ラウラマウンテン
効果:絶対即死/戦闘不能解除無効/永遠悪夢/
説明:え? ウソだろ、すげえ美味いぞ。なんだよ、ラウラもやりゃあできるじゃねえか。これならいくらでも食えちまうぜ。眺めてるばっかじゃなくて、お前らも遠慮せず食ってけよ、なあヴァルカン、ギデオン!

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