黎明の軌跡 Break the Nightmare   作:テッチー

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第29話 紺碧シグナル

 体の具合がすこぶる悪い。ティラミスを口にしたところまでは覚えているのだが。

 胃が痛え。こんな調子で新たなエリアの攻略なんてできるのか。

 気を抜けば失せてしまいそうな意識を気合でつなぎとめ、ヴァンはハンドルを握り直した。

 ピックアップトラックは第六の《虹の影橋(ビヴロスト・シャドウ)》を渡っている。今回は緑色に光る橋だ。つーかマジで胃が痛え。

「ジョルジュ様のことが気になりますか?」

 額に滲む汗の理由を勘違いしたようで、後部座席からリゼットが訊いてきた。

「気にならないわけじゃねえが、まあ見張りはつけてるし大丈夫だろ」

「わたくしがジョルジュ様の同行を提案しましたので……もう少し慎重に判断すべきだったでしょうか」

「判断したのは俺だ。それにお前の進言がなくても、どのみち新エリアの攻略にはあいつを連れて行くつもりだった」

 メインエリア攻略は基本全員で動く。

 潔白が証明されていないジョルジュ一人を、誰もいない事務所に待機などさせられるわけもない。かと言って、見張りのためだけに人員を割くのも勿体ない話である。

 あえて近くに置いて、その行動を監視するほうが効率的だった。

 それに今回の同行は奴から願い出てきたという。裏があると考えておくほうが無難だ。

 ジョルジュにはクロウをつけておいた。今いるメンバーの中ではもっとも親しい友人らしい。普段と違う様子や、何かを企んでいる素振りがあれば、すぐに気づけるだろう。

 たとえばクロウがジョルジュの協力者でなければ、だが。

「それはさすがに考え過ぎか……」

「なにがでしょう?」

「リスクの話だ。可能性のリスク。とりあえずお前はフェリを離すな。絶対にな!」

 例によって破壊の権化はリゼットの膝の上に配置してある。そのフェリが不服そうに言った。

「どうしてわたしは毎回リゼットさんに抱えられているんですか? 静かに座っていられますし、そんなに小さな子供扱いしなくても……」

「やれやれだ。子供扱いじゃなくて危険物扱いだってのが、まーだわからねえか。支援課の中に爆発物処理班はいねえか今度聞いておいたほうが良さそうだな」

「むっ……あうっ、あうぅっ」

 むくれたフェリの頬を、リゼットがぷすぷすと楽しそうに突っつく。

 もはやお決まりの光景に、なぜかアニエスはうらやましそうだった。

「ま、仮に危険物じゃなくても、どのみち膝の上には乗ってもらわなきゃいけなかったがな」

 ピックアップトラックの定員は八人。現在のカルバードチームの人数はヴァン、アニエス、フェリ、アーロン、リゼット、カトル、ジュディス、エレイン、レンで九人。

 詰め込みはしたものの、座席スペースに余裕はない。

「なーによ、その目は。あたしに言いたいことでもあるの?」

 バックミラー越しの視線に気づいたらしく、最後部にいたジュディスが噛み付いてきた。

「別にねーよ。ただお前が増えたことで狭いなと思ってな。普通の顔して当たり前みたいに乗り込んで来てるしな。後続組のシュバルツァーたちに混じって歩けばいいのにな」

「めちゃくちゃ言いたいことあるじゃない! あたしだってあんたの事務所に雇用されてんだから、カルバードチームってことでいいでしょーが!」

「俺が契約書にサインさせたわけじゃないし? それに車に乗るのと、うちのバイトかどうかは別問題だし?」

「ぐっ、この男ぉ……!」

 ジュディスは青筋を浮き立たせた拳をぎりぎりと固める。

 あと一人でも増えれば完全に限界を超えてしまう。というか俺はいつまで人を雇い続けんだよ。さすがにもういない、よな……?

 

 

《――★第29話 紺碧シグナル★――》

 

 

 真っ暗闇だった。

 《虹の影橋(ビヴロスト・シャドウ)》を渡りきった途端、光が消え失せた。車のライトも勝手に消灯している。

「なんだ、ここは。闇エリアとかか……?」

 慎重に車から降りる一同。まったく何も見えない。この足元の感触は土か?

「全員離れ離れになるな。近くの誰かをつかんどけ。そしてリゼットはフェリを野放しにすんなよ!」

「えっと、これヴァンさんですか?」

 アニエスが俺の腕に手を回してきた。

 複数の足音が後ろから近づいてくる。

「ヴァン、いるか!?」

 リィンの声だ。追いついてきたようだ。

「いるぜ。そっちも全員だな。ここから何が起こるかわからねえ。はぐれないようにつかみ合っとけよ」

「わかった。みんな聞こえたな?」

 多くの人の気配が動く。だが完全な闇の中。本当に全員いるのか、どれくらいの広さの空間なのか、何一つ判然としない。

「きゃっ! ちょっとリィン! 何してるの!?」

「ち、違うぞアリサ。空間の端を探していただけで、不可抗力なんだ!」

「知らないわよ!」

 ぱっちーんと張り手の音が響く。帝国の英雄がお決まりをやらかしたらしい。

「リィン、またそなたは!」

「俺はユーシスだ! 鼻をひねり上げるな! ラウラか!?」

「す、すまない。狙っていたのは耳だったのだが……」

「謝るのはそこではない!」

 トラブルはそこかしこで起こっていた。

「ふふ、ロイド。どこを触っているんだい? 相変わらずのいたずらボーイだね」

「絶対俺じゃない! 誰か証明してくれ!」

「ワジィ! 暗闇に乗じていかがわしいことすんじゃねえ! ロイドはさっきから俺と肩を組んでんだぜ!」

「おっと、ランディに取られちゃったか」

「いや、俺は何にも触れてないんだが」

「じゃあ俺と肩組んでるこいつは誰だよ!?」

 がちゃがちゃとクロスベルチームが揉めている。この手のアクシデントで女性陣が一人も絡まないとは。

 にわかに騒々しくなる最中、突然にスポットライトが闇の一点を照らし出す。そこに長身の青年が立っていた。

「大人数でお越し頂き光栄だ。リィンたちも久しぶりだな。息災のようで安心した」

 彼は柔和な笑みを浮かべた。

「ガイウス……なのか?」

「またシュバルツァーの知り合いかよ。トールズの関係者ってことでいいんだな?」

 いの一番に反応したリィンに、ヴァンは問う。

「ああ、ガイウス・ウォーゼル。俺たちの同回生で、いわゆる旧Ⅶ組だ。それと……」

「いいよ、隠さなくても。どうせ今さらさ」

 ワジが押し重ね、リィンは続けた。

「聖杯騎士団の守護騎士でもある。確か……第八位だったか」

「マジかよ!? いや、第八位……?」

 第八位は師父の……そうか。あいつだったのか。

 このタイミングでの登場。彼が主格者という可能性もある。

「ゆっくりと話したいのだが、まずは主催者を紹介させてもらおう」

 ガイウスが腕をかざした先、遠くに四角形の光が灯った。見上げる高さの位置に、大きなモニター画面がある。

 そのモニターの中に女性と思しき姿が映っていた。

『ようこそ、至高のエンターテイメントのステージへ。私はアンゼリカ・ログナーだ』

 ハスキーな声が響く。

 またざわつく一同だが、カルバード組には彼女の素性がわからない。

「はあ、シュバルツァーは知ってんだろ? 今度は何者だよ」

「アンゼリカ先輩はクロウやジョルジュ先輩の同期で、帝国の四大名門という大貴族のご令嬢だ。人となりは色々省くが、とりあえずそう思ってくれたらいい」

「ご令嬢? 俺が持ってる令嬢のイメージと違うな」

「そこは色々省いた部分に含まれる」

「重要なところだろ、絶対」

 俺の中で令嬢の代表格はエレインなんだが、雰囲気からしてずいぶん異なる。エレインが箱入り娘だとすれば、あのアンゼリカ嬢は箱を壊して外に出たがるような跳ね返りに思えた。まあ結局はエレインも箱を壊したわけだが。

『では各々方。刮目してくれたまえ』

 アンゼリカが指を鳴らす。一斉に照明がついた。闇が晴れ、辺りが見渡せるようになる。

「なっ、おいおい! こいつはマジか!」

 場内を広く囲むように観客席が並んでいる。天井は完全に屋根に覆われていて、形としては工房エリアのスクルドフロアに近い。

 興奮が止められない。最高かよ。

 ここはサーキット場だ……!

「おい、ヴァン! オレたちの服が!」

「今度はなんだ!? つーか俺と腕組んでたのってアーロンかよ!」

「興奮すんなよ」

「してねぇよ!」

 近くで声がしたからアニエスだと思っていた。ちなみにアニエスが抱き着いていたのはエレインだ。慌てて離れている。

 いよいよ第六のエリア攻略が始まったのだ。いつも通りに自分たちの服が変わっていく。

 上下一体のワンピース型で、肩や膝や首にプロテクターがついていた。生地の層は2レイヤー式。カラーは俺が青で、アーロンが赤。デザインもかっこいい。

 

【挿絵表示】

 

「やった! やったぜ! 憧れのレーシングスーツじゃねえか!」

「年甲斐もなくはしゃいでんなァ。けど当然だ。こいつで上がらなきゃ男じゃねえ!」

 テンションマックスの二人とは逆に、アニエスは戸惑っていた。

「この格好ってなんですか!?」

 彼女のコスチュームはレースクイーンだった。何となくわかってはいたが。

 チェックの入ったミニスカートに、ピンク色の薄手のジャケット。胸のインナーは極短の黒のタンクトップのみで、当然のごとくへそ出しルックである。

「わ、私たちまで!? や、ちょっと待って!」

 腕をばたつかせるエレインの抵抗もむなしく、女性陣の衣装がレースクイーンへと転じていく。

 エレインとジュディスとリゼットは、アニエスと色違いの同じ意匠だ。エレインはライトグリーン、ジュディスはオレンジ、リゼットはネイビーである。

 

【挿絵表示】

 

「いやいやいや! ウソでしょウソでしょ!? 僕は違うよ! 違うって!?」

 なぜかカトルまで足元からレースクイーンへと変わっていく。

 カトルがあたふたと狼狽していると――へそ上あたりまで変化したところで、映像を逆再生するかのように元の衣服へと戻っていった。

「あ、危なかった……というかレンさんとフェリちゃんは変化なしなんだ?」

 カトルの視線を向けられ、レンとフェリは自らの服を確認した。

「あら、本当ね。服が変わる人とそうでない人の基準でもあるのかしら」

「他のチームでは変化してる人もけっこう多いみたいですよ。アニエスさんはやっぱりせくしーです」

「フェリもアニエスみたいなせくしーになりたいの?」

「うーん、クルガとしては肌の露出が多すぎるので協議が必要ですね」

「誰との協議よ」

 ざっと見た感じだと、リィン、ロイド、ノエル、ユウナなんかはレーシングスーツで、ラウラ、エマ、ミュゼ、エステル、リーシャ、エリィなんかはレースクイーンだ。

 強制コスチュームチェンジは、ほぼ全員が工房エリアで経験している。なので驚いてはいないようだったが、いきなりレースクイーンにさせられた者たちは、さすがに困惑を隠せていない。

『よく似合っているね。風となって駆け抜けるレーサーたち、そしてレースを彩る麗しの花たちよ』

 モニターのアンゼリカは満足気に言った。

 レース。サーキット。スーツ。

 もう確定だ。

 ここはレーシングエリア。ならば求めてくるのは――

『準備は良いようだね。では私の望みを教えよう』

 モニターの画面が外側に向けて割れ飛び、そこから導力バイクが飛び出してきた。

 バイクに跨るアンゼリカは、空中で放物線を描くジャンプを魅せると、舞い散るモニターの破片の中でダイナミックに着地。そのままエンジン音を轟かせてバイクを走らせ、土煙を巻き上げながらヴァンたちの前で急停止した。

「けほっ、なんつー派手な登場だ……!」

「盛り上げたほうがいいだろう? なんといっても《A-(アンゼリカ)1グランプリ》が開催されるのだからね」

「A-1グランプリ? それがレースの名前か」

「説明は彼女からしてもらおう。おいで、マイプリティベイビー・トワ!」

 天井から吊り下げられるゴンドラが降りてきた。そこに小柄な少女が乗っている。

 シュバルツァーが教えてくれた。彼女はトワ・ハーシェル。トールズの元生徒会長で、これまたクロウの同期だという。

 ということは、あのナリで二十歳を越えているのか。空の女神はちょくちょく人間の設計図を間違える。

 トワもレースクイーンだった。ゴンドラは全面がアクリル板で作られた透明のものだ。

 アンゼリカはゴンドラの真下に移動して、そのミニスカの衣装をねっとりと凝視している。

「ひゃあ!? 見ないでよ、アンちゃん!」

「トワが恥じれば恥じるほど、それが私を昂らせる。わかるね?」

「わからないよぉ!」

「おお、まさに眼福としか言いようが……ふむぐっ」

 下降してきたゴンドラの底に顔面を押し付けられても、アンゼリカは強靭な背筋力でしばらく耐え続けた。

「シュバルツァーんとこって残念な先輩しかいねえのか?」

「いや、トワ先輩はまともだから……」

 否定しつつもクロウ、ジョルジュ、アンゼリカは、まとも枠からしれっと外したリィンだった。

 やがて完全にゴンドラに押し潰されたアンゼリカを尻目に、トワはこわごわと地面に降り立った。「すみません、お見苦しいところを……」とちょこんと頭を下げて、場を取り繕う咳払いをする。

「えっと、じゃあルール説明をしますね。見ての通り皆さんはレーサーなので、アンちゃんとレースしてもらいます。先に三周した方が勝ちです」

「あっさりした説明だな。要点はわかりやすいが……」

「それでは《A-1グランプリ》の開幕です!」

「テンポ良いな! ただ肝心のアンちゃん先輩の準備ができてねぇぜ?」

 対戦相手たるアンゼリカは、のそのそとゴンドラの下から這い出てくる最中だった。

 

 ●

 

 アンゼリカ・ログナー。ガイウス・ウォーゼル。トワ・ハーシェル。

 その三人が今のところ判明した“囚われ”だ。

「開幕すぐに自分からあっさり望みを口にするとはな。今までの主格者とはまた毛色が違うっつーか……そういう性格なのか?」

「主格者候補だろ、一応。……ゼリカはまあ、そうだな。うだうだ回りくどいのは好まず、言いたいことがあるならストレートに相手に告げるタイプだ。勝負事に余計な駆け引きや裏事情を持ち込むのも好きじゃねえ。あいつの言葉は言葉の通りと思っていい」

 ヴァンはうなずいた。

 旧知のクロウがいうなら、そうなのだろう。

「あとの二人は?」

「ガイウスとトワか。二人とも自己主張の強い性格ってわけじゃねえからな……ゼリカと比べると、主格者となって何かを創造するような破天荒には思えねえのが正直な感想だ」

「なるほど。参考になった」

 そうなると警戒しておかなければならないのは、まだ現れていない“囚われ”がどこかにいるかもしれない可能性か。アンゼリカが主格者ならそれでいいが、そうではなかった場合だ。

 たとえばアンゼリカにレースをさせることで、関節的になんらかの望みが叶う誰か……とかな。

「さてさて、俺らも準備をすすめるかね」

 クロウと別れ、ヴァンは自チームに戻った。

 レース勝負でアンゼリカに勝つ。それ自体は上等だが、差し当たっての問題はバイクがないことだった。車でのエントリーはダメらしい。

 そういうわけで、一同はサーキットエリアから撤退して、《ノルンの工房》改め《フェリちゃんの工房》に集合していた。

「今回も頼むぜ、カトルきゅん」

「きゅん言わないでよ」

 気やすく肩に置いた手が、すぱんと払われる。

 オーバルギア・ギガントの時と同じで、すでに各チームの作業場にわかれて導力バイクの作製に入っている。

 工房エリアを攻略して手に入れたのは、この工房自体だった。新たに立ちはだかるサーキットエリア攻略のために、これで必要な台数分のバイクを作れということだろうか。

 主格者から譲渡されるアイテムは、俺たちにとって都合が良すぎる。仮に何らかの“存在”が、それらを創造しているとして、意図はなんだ。

 俺たちを助けるためなら、もっとわかりやすいやり方があるはずだろう……?

「それで今回のコンセプトはどうするの? うちのレーサーはヴァンさんとアーロンさんの二人だから、二台必要になるわけだけど」

「待て、カトル。その話をする前にだ。――フェリ!」

「? なんですか」

 断固たる決意を持って、ヴァンはフェリをにらんだ。

 そう、同じ轍は二度と踏まねえ。

「いいか、フェリちゃんサン。今回は決してピックアップトラックを素体にしてくれんなよ。工房エリアで実証されたが、技術者ならある程度まとまった部品も呼び出せんだ。わざわざ俺の愛車を犠牲にする必要はないってことだ。いいか、絶対にだ!」

 ガミガミ怒るヴァンの背後のベルトコンベアでは、すでにピックアップトラックがプレス機へと流されていくところだった。

 

 ●

 

「ヴァンのやつ、すんげえ絶叫だったな……」

 魂を削る叫びとは、まさにあれのことをいうのだろう。ウヲヲヲンって言ってた。

「彼はいつもあんな目に遭うのかい?」

 クロウのぼやきに、ジョルジュが訊いてくる。

「まあ、だいたいな」

「不憫だね」

 二人は観客席に並んで、コース場を眺めていた。

 異常なし。強いて言うなら、そのコースの中でアンゼリカがトワを追いかけ回しているくらいか。

「トワと戯れたいってことなら、ゼリカの望みはとっくに叶ってるだろ」

「うーん……あ、トワが捕まった」

「おお、組み伏せられて……服が剥ぎ取られてんな」

「止めに行かなくて大丈夫かな」

「異常なし」

「確かにいつもの光景ではあるけども」

 まずはエリアのルールに従うのが鉄則。要するに“囚われ”たちの好き放題にさせるのだ。

 そうすることで主格者の望みの傾向を知りやすくなる。むしろ下手に介入してしまうと彼らの望みを壊すことになりかねない。

「そういや、導力バイクを全員分出してやることはできなかったのかよ。そうすりゃ相当な時間短縮になったんじゃねえか?」

「ああ、それは試したけどできなかった」

「なんでだ?」

「憶測の話になるけど……個々の部品ではなく、バイクそのものを呼び出せたのは、僕にはクロウたちと一からバイクを作った過去があるからだ。そして複数を呼び出せなかったのは、そのバイクはこの世に一台しかないという認識だからだ」

「そりゃまあ……納得できる話だな」

 つまり“そういう認識の元に創造された一台しかないバイク”という認識を持ってしまった俺も、目の前にその現物がある以上、二台目のバイクを生み出すことはできないという理屈になる。

 オーバルギア・ギガントを作成する際、ティオは素体にするためにエイドロンギアを召喚したが、同型の二機目は呼べなかった。これは一機しかないという深層心理化での認識が働いた結果だ。

 もっとも呼ばれたそれは活用されることなく、《フェリちゃん号》とかいう一発のジェットミサイルが作られただけに終わったが。

 なにはともあれ、ジョルジュがバイクを丸々召喚できたから、空いた時間でこうしてサーキットエリアの先行偵察に来れたわけである。

「しかし夢の中でもアンは変わらないな……らしいと言えばらしいか」

「トワもな。“囚われ”とは思えねぇ普段通りな感じだ」

 クロウはそれとなく、横目でジョルジュを見た。

 お前こそ普段通り、か。

 ヴァンに監視役を任されてはいるものの、ここまで怪しい素振りは一切ない。

「ジョルジュ、お前は……」

 俺はお前を疑いたくなんかない。隠していることがあるのかないのか。お前にかけられた疑惑を晴らしてやりたいが、真偽の判断は現時点では難しい。

「うん?」

「いや、なんでもねえ。早いとこあいつらの夢を覚ましてやらねえとな」

「同感だよ」

 二人は視線をサーキット場のアンゼリカたちに戻す。そして絶句した。

「……これは想定外じゃないか」

「ああ、方針の変更が必要になった。早くヴァンたちに知らせに行くぜ」

 

 ●

 

「かなり霧が晴れてきましたね。第六エリアを攻略すれば、もっと視界が開けるのでしょうか」

「おそらくは。でもあの場所だけは濃霧に覆われたまま晴れる気配もないね」

 二人はローエングリン城の最上階、そのテラスを訪れていた。

 遠くを眺めるエリゼの横顔を見やり、すぐにセドリックは遥か先にある“あの場所”に視線を転じる。

 ドーナツ型の陸地をしている《ロア=ヘルヘイム》の中央部。他のエリアの霧が消えようと、あそこだけは微塵も薄れない。

 何かの建造物らしきシルエットがかろうじて垣間見えるが、やはり判然としない影のままである。そこに近づくためには周りの霧を消滅させなければ――いや、違う。

 霧は消えていない。主格者の望みを叶え、エリアを開放する度に、霧は“あの場所”へと還っていくようなのだ。

 すなわち各エリアを開放すればするほど、霧は一か所に集中していく。

 七つ全ての“囚われ”の地を駆け抜けた先で、僕たちは本当に元の世界に帰れるのだろうか。

 《幻夢の手記》の開示ペースが落ちているのも気になる。もう第六エリアまで来ているのに、44項目中26項目しか開かれていない。このままのやり方で大丈夫なのか……。

「不安が顔に出ていますよ、セドリックさん?」

 エリゼがいたずらっぽく微笑んで顔をのぞき込んできた。なにそれ、可愛いが過ぎるんですけど。

 今日はアルフィンに邪魔されない。《フェリちゃんの工房》でバイク作りに勤しんでいるからだ。

「大丈夫です。たくさんの人が《ロア=ヘルヘイム》に囚われていますけど、その分協力者が増えるということでもあります。皆さんがいれば、きっとこの異世界の謎を解き明かせるでしょう」

「そうだね。うん、僕もそう思ってる」

「もしかして悔しがっていますか? 今回はご自分がレースに参加できないことを」

「えっ? あ、ああ! うん、残念だよ! 絶対一位を取りたかったんだけどね!」

 そう、僕の服はレーシングスーツに変わらなかった。

 レーサーとして認定されたのは、ヴァン、アーロン、リィン、クロウ、マキアス、ロイド、ランディ、ノエル、ジン、ユウナ、アッシュ、スカーレット、デュバリィ、トヴァルの十四名だった。

 仮に僕の場合はアルフィンが作ったバイクに乗ることになっていただろうから、選ばれなくてほっとしているというのが正直なところだ。

 残念というなら、君がレースクイーン衣装に変わらなかったことが一番残念なんだが……。

 そして乗り手でも作り手でもないメンバーは、いったん解散となっている。

 時間をただ消費するのも勿体ない話なので、セドリックはエリゼを誘って巡回に来ていたのだった。ささやかな勇気だ。

「今さらではあるんだけど、僕らもサーキットエリアの偵察に向かった方が良かったんじゃないの?」

 ローエングリン城に行きたいと言ったのはエリゼだ。

「サーキットエリアはクロウさんたちが出向いてくれています。同期のお二人が囚われているのですから思うところもあるでしょう。ここはクロウさんとジョルジュさんだけにした方が良いかと思いまして。それに……」

「それに?」

「異世界のローエングリン城に来るのは初めてです。この場所は私にとっての“思うところ”なので、一度直に見ておきたかったんです」

「……そっか」

 エリゼの待機拠点はバルフレイム宮なので、行こうと思えばすぐに行けるのだが、あまり足が進まなかったのだろう。

 ここはたくさんの想いが交錯した運命の坩堝(るつぼ)だ。彼女はその渦の一つを生み出すきっかけとなるトリガーでもあった。

 緋の騎神、暗黒竜の呪い、槍の聖女、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》――とても一言では語れない。

「感傷的な気分にはなっていませんよ? 静かなところですし、物を落ち着いて考えられるかなと思ったのが大半の理由ですから。本格的な新エリア攻略に入る前に、現時点での不明確な情報を少し整理しておきませんか?」

「だね。といっても不明確な情報の方が多いけど……まずはミストマータのローゼリアさんが言った《王》と《夢の綻び》かな。重要なキーワードだと思う。でもさっぱり意味がわからない」

「《夢の綻び》は私たちが隠しているとも言ったそうです。ヴァンさんが全員に情報を回していましたが、心当たりのある人はいませんでしたね」

 であれば、隠している認識が無いという線もある。いずれにしても《夢の綻び》とやらは、ミストマータにとって重要なものだと予想できる。

「《王》は……普通に考えればミストマータよりも上位の存在ということでしょうけど……」

「学校エリアで現れたミストマータのエリオットさんが、倒れた時にこう言ったのを覚えてる? 『お前たちが霧を晴らすのか』そして『伝えなければ、あの方に』って」

「“あの方”……それが《王》?」

「可能性は高いと思う」

 ここから推測できるのは、関係性はわからないが《王》とミストマータは密接に繋がっていること。ミストマータにとっても《王》にとっても、《ロア=ヘルヘイム》の霧を晴らされるのは都合が悪いこと。

 その二つだ。

「《王》と《夢の綻び》の、中間点にいるのがミストマータ……という気がします」

「うん、謎を解く手がかりがそこにある。あとミストマータは攻略したエリアに現れたことがない。多分、霧の中でしか活動できないんだ。霧を晴らせば動ける範囲が狭まるから、僕たちの行動を疎んでいるのかもしれない」

「なるほど。では逆に霧を全て消してしまえば、ミストマータたちを無力化できると」

 希望の持てる憶測だった。ミストマータの力は桁違いだ。あれらをまとめてどうにかできるなら、必ずやっておくべきことである。

「ど、どうかな。僕の考え」

「すぐにヴァンさんにもお伝えしましょう。さすがはセドリックさん。すばらし――」

『素晴らしい考察ですね』

 足音が聞こえた。最上層の間からテラスに向かって、誰かが歩いてくる。

 長大なランスを携え、白銀の甲冑をまとい、流麗な金髪をなびかせる女性が――

「え!? リ、リアンヌさん!?」

「エリゼさん、違う!」

 闇のような霧が、その甲冑を漆黒に染めていく。

 リアンヌ・サンドロットの――いや、アリアンロードのミストマータだ。解放されたエリアなのに、平然と登場してくれた。

 

【挿絵表示】

 

「僕の考えは外れだってさ。格好悪いな」

「逃げますか? 生身で叶う相手ではありません」

「逃がしてくれればいいけどね。だけど好機かもしれない」

 ミストマータには狙って遭遇できるものではない。情報が欲しい。

「貴女は何をしに来たんです」

『すでに把握しているノでしょう。《夢の綻び》を見つけに来ました。セドリック殿下、エりゼさん。ああ、デュバリィはここにいないようですね』

 僕たちが個人としてわかるのか。工房エリアに出現したローゼリアさんと同じだ。

「《夢の綻び》が何なのかは知らないし、仮に知っていても教えない」

『自信に満ちた目をするようになりまシたね。人から借りた力を使って戦ってきた割には』

「それは……」

 言い返せなかった。

 かつてセドリックが《アルグレオン》を行使できたのは、アリアンロードから銀の騎神の起動者としての権限を継承されたからに他ならない。

 アリアンロードが動いた。目にも止まらぬ速さでテラスまで間合いを詰められ、セドリックを狙うランスが引き絞られる。

 しかし繰り出されなかった。瞬時にエリゼがアリアンロードの喉元にレイピアを突きつけていた。

「それはセドリックさんの力です。始まりはどうあれ、最後まで戦い抜いたのはセドリックさんの意志があったから。貴女に責められる謂れはありません」

「エリゼさんも強くなりまシたね。あの時よりも」

「あの時がいつを指しているのか知りませんが、やはりあなたは記憶があるだけで、本物のリアンヌさんとは違う」

 レイピアの切っ先から、アリアンロードは飛び退いた。

「好機というのは私も同感です。逆に《王》についても教えてもらいましょう。大丈夫ですか、セドリックさん」

「心配いらない。いけるよ」

 呼び出した魔導剣《フレスヴェルグ》を手にし、セドリックは呼吸を整えた。

 借り受けた力であるなんてわかってたさ。そんなこと、僕が一番。ずっと心に引っ掛かっていたことだ。

 けれどそれを真っ向から否定して、僕の力だと肯定してくれた。あんなに強い相手を前にして、どうやったら君みたいに凛としていられるんだ。

 僕にないものを持っている君が羨ましい。いつだって輝いて見える。

 僕はそんな君が――

「好きだ、エリゼさんのことが」

「え?」

「ん?」

「はい?」

「うん?」

 いや、待って。僕今なんて言った。

 心の声を口に出していた? 出していたね!? うっそだろ僕。平静を装うしかない、ごまかしとおすんだ!

「なんでもない。戦いに集中しよう。僕は左から攻めるから、エリゼさんは右側を。相手は強敵だ」

「いえ、その、しっかりめに聞こえてしまいまして……えっと」

「行くぞお! ミストマータあああっ!!」

 

 

 ――つづく――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――another scene――

 

 カトルが導力バイクの作製に本格的に入ったから、フェリに手伝えることはなくなってしまった。

 なので工房内の見周りをすることにした。ここは元《ノルンの工房》で、現《フェリちゃんの工房》。

 一応わたしが現場責任者になるらしい。

「おお、すげえじゃねえか、ノエル!」

「ヴァンさんに褒めてもらえると嬉しいですね!」

 作業スペースはいくつか点在している。その一番近い作業場からそんな声がした。

「どうしたんですか?」

「うお! フェリちゃんサンか……」

「巡回お疲れ様です、フェリちゃん教官!」

 声をかけると、ヴァンさんは露骨に渋い顔をして、ノエルさんは姿勢を正して敬礼してくれた。

 クロスベルの皆さんはわたしに優しいのに、身内であるヴァンさんには少し警戒されている節がある。

「あたしのバイクがもうすぐ完成しそうなので、ヴァンさんに見てもらってたんですよ」

「大したもんだ。生粋の技師じゃねえのに、パーツを一から呼び出して形にしてみせるなんざ、他の奴にはそうそうできねえよ。バイクへの愛が伝わってくるな」

 ヴァンさんのノエルさんに対する評価がどんどん上がっている。

 カルバードチームの作業場から、アニエスさんがそわそわとこちらの様子を伺っているのはなぜだろうか。

「そういうわけだ。フェリちゃんサンはどっかで遊んで来い。ここじゃねえどこかでな!」

「むっ!」

 むくれてみるが、ヴァンさんは手をひらひらと振って、わたしに他に行くよう促した。

 この扱い。納得いきません。

 

 他というので、適当にぶらつく。

 今度はレンさんとユーシスさんが作りかけのバイクを前に、図面を片手に打合せをしている。

「珍しい組み合わせですね。誰のバイクなんですか?」

「マキアスだ。わかるか? あのメガネをかけたメガネだ」

 それだと特徴がメガネしかない。ユーシスさんは一見不愛想だけど、とても優しい。この前こそっとお菓子をくれた。

「なぜ俺がレーサーに選ばれなかったのだ。あいつよりは俺の方が適正はあるはずだが……」

「もしかして現実世界で二輪免許を持ってるか持ってないかが、一つの選定基準じゃないかしら?」

 図面を眺めながら、レンさんはそう言った。

 なるほど、異世界でも免許を持っていないといけないのか。

 二年程前に導力バイクがラインフォルト社から正式に発売され、それが各国にも普及して以降、共通道交法が見直されたのだと、レンさんが教えてくれた。

 そういえばデュバリィさんがレーサーに選ばれていたけど、あの人も免許を持っているのかはちょっと微妙な気がする。

 でも誰が免許を持っていて、誰が持っていないというのは、どうやってわかったのだろう。

「マキアスお兄さんのバイク、どういうコンセプトで行きましょうか?」

「とにかくハイスペックにしてやってくれ。出力重視。安全性は二の次で良い」

「それだと並の操縦者には扱えないレベルになると思うけれど」

「まあ、どうとでもするだろう」

 投げやりなのか信頼なのか、よくわからない。ただあれこれと指示を出すユーシスさんはどこか楽しそうだった。案外凝り性なのかもしれない。

「おーい、レン。俺のバイクなんだか……」

 ジンさんがやってきて、なにやらレンさんに物言いを始めた。

「あのデザインなんとかならんのか……乗るの俺なんだぞ」

「作るのは私なのだから、美的センスに文句は言わないで欲しいわ」

「しかしなあ……俺だぞ?」

「そもそもジンさんが乗れるバイクってだけで一苦労なのよ。色々注文つけられたら困っちゃうじゃない」

「お前さんのキャパなら余裕でやり遂げるだろうに……」

 ジンさんは追い返されてしまった。

 

 続いて訪問したのはクロスベルチーム。レーサーはロイドさんとランディさん、そしてさっき会ったノエルさんの三人だ。

「こんにちは、ティオさん」

「フェリちゃん教官!? お疲れ様です!」

 作業の手を止めると、ティオさんは素早く立ち上がり敬礼してくれた。

「今から作るのはロイドさんのバイクですか?」

「はい、コンセプトを考えている最中でして、やはり安定性を――」

「バイクは早い方がいいですよっ」

了解(ウーラ)っ!」

 ロイドさんが焦った様子で走って来た。

「な、なにを了解(ウーラ)しているんだ。オーバルギアがあんなのだったから今回は安全なやつをって言ったじゃないか!」

「フェリちゃん教官のご指示ですので」

「ぐっ!」

 その向こうで、ランディさんがそそくさと何かにブルーシートをかけている。

「そうです、ティオさん。良かったらこれを使って下さい」

「これはなんでしょう……樽?」

「クルガ戦士団謹製です。きっと役立つと思いますっ」

 認識で呼び出したその大きな樽の中身を開けて、ティオさんは青い顔をした。

「ま、待て、ティオ。それはなんなんだ……!?」

「気にしない方がいいかと」

 蓋を固くしめるなり、ティオさんは頑なにロイドさんに中身を見せようとしなかった。

 

 他にもレーサー認定――ようするにレーシングスーツにコスチュームチェンジさせられたユウナさんやトヴァルさん、クロウさんの様子を見に行く。

 ひとまずそれぞれでマシン作成は進められているようだった。

 最後に訪れたのが、スカーレットさんとアルフィン殿下の作業場だった。

「ねえお姫様、本当に余計な機能とかつけてないわよね?」

「スカーレットさんは心配性なんですから。何度も言ったでしょう。ゴテゴテとパーツを付けていくのはナンセンスだと。優れた技術ほど無駄がなく、シンプルにまとまっているものなんです」

「まあ、それならいいけど……」

「それにわたくし、デュバリィさんのバイクも作るのでそこまで凝っている時間がないんです。余裕があれば高出力メガブースターくらいは取り付けたいのですけど」

「やる気じゃないの。やる気満々じゃないの。――あら、フェリ?」

「こんにちは、見回りに来ました」

 スカーレットさんが気付いて、先に声をかけてくれた。

「そっか、自分の工房だもんね。偉いじゃない」

「わっ、えへへ」

 スカーレットさんはわたしの頭を撫でてくれる。

「フェリは今のメンバーの中で一番年下だからね。リィンとかトワとか私で、時々勉強見てあげてんのよ」

「まあ、スカーレットさんったら先生みたい」

「先生よ。忘れたなら思い出させてあげましょうか。久しぶりに煉獄ランニングでもする?」

「うふふ、遠慮しまーす」

 皇女と騎士という関係なのだとか。仲良しはいいことだと思う。

「そういえばお二人だけですか? エリゼさんとセドリック殿下は?」

「あの子たちなら巡回に行ったわよ。バイク作りに携われるわけじゃないから、時間を有効活用するって」

 真面目な方々だ。

 スカーレットさんがしみじみと言った。

「それにしても二人だけで出かけるなんて、セドリックも進歩したわね。最初の頃はエリゼと二人きりになると緊張して会話が続かなかったのに」

「でもセドリックは奥手なので、このままじゃいつまで経っても進展が見込めなさそうですね」

「いいじゃないの、こっちはゆっくり見守っていけば。どうせすぐに何かが動くわけもないし」

「そうですねえ」

 うふふ、あはは、と穏やかに笑う二人。

 よくわからないけど、私も笑っておくことにした。

 

 ★

 




《話末コラム①》【第六エリアにおけるコスチュームチェンジ】

★レーサー★
カルバード :ヴァン、アーロン
エレボニア①:リィン、マキアス、クロウ、スカーレット
エレボニア②:ユウナ、アッシュ、デュバリィ、トヴァル
クロスベル :ロイド、ランディ、ノエル
リベール  :ジン

以上が《A-1グランプリ》に出場するレーサー14名。ヴァンなら青、アーロンなら赤など、それぞれのレーシングスーツにはカラーバリエーションがある。尚、全員が二輪免許を取得している。

★レースクイーン★
カルバード:アニエス、リゼット、ジュディス、エレイン
エレボニア:ラウラ、エマ、ミュゼ、アルティナ、クレア、ヴィータ
クロスベル:エリィ、リーシャ
リベール :エステル、クローゼ

以上が《A-1グランプリ》を盛り上げるレースクイーン14名。コスチュームはカラーバリエーションに加えて、20歳以上ならホットパンツ、未満ならミニスカートになっている。
エリアのルールには従わなければならないので、恥ずかしがりながらも精一杯スポンサーボードを掲げながら応援するが、スポンサーがついているのかは不明。ミュゼ、リゼット、エステルなんかは割とノリノリだったりする。
尚、アリサ、ティオ、レン、ティータ、アルフィンなどのバイク作成に関わる技術者は、レースクイーン枠からは外されているらしい。


 ●


《話末コラム②》【マシン紹介】

名前:機体名
走者:レーサー名
作成:作成者名
出力:加速性能
速度:最高速度
操作:旋回性能
耐久:衝撃耐性
色彩:カラーリング
刻印:機体マーク

エントリー①
名前:ナイトブレイカー昇天
走者:ヴァン・アークライド
作成:カトル・サリシオン
出力:A
速度:A
操作:B
耐久:B
色彩:ブルー
刻印:インゲルト社
解説:オーバルギアと化した《ナイトブレイカー堕天》に続き、フェリとカトルの手によって導力バイクに変えられたピックアップトラックの亜種。加速力に重きを置いたバランス重視の設計で、安定した走りを見せる。例によってターボチャージャー機能は残されている。

エントリー②
名前:紅輪鳳皇
走者:アーロン・ウェイ
作成:カトル・サリシオン
出力:B
速度:S
操作:B
耐久:C
色彩:ワインレッド
刻印:鳳凰
解説:立ち上がりはやや遅いが、リミッターを外しているため最高速度はトップクラスを誇る。カラーリングは全てアーロン自身が手掛け、赤をベースにした東方紋様に、空を舞う鳳凰をペイントするなど趣味全開のデザインに仕上がっている。

エントリー③
名前:セブンスソウル
走者:リィン・シュバルツァー
作成:アリサ・ラインフォルト
出力:A
速度:B
操作:A
耐久:A
色彩:レッド
刻印:赤き有角の獅子
解説:アリサが設計したハイスペック機。最高速を押さえた代わりに、加速力とハンドリング機能の向上を図り、咄嗟の取り回しが利きやすい性能になっている。このコンセプトはリィンが事故を起こさないようにとのアリサの配慮である。尚、オーバルギアにあったマスタークオーツチェンジシステムは搭載されていない。

エントリー④
名前:グラスオブダークネス
走者:マキアス・レーグニッツ
作成:レン・ブライト/ユーシス・アルバレア
出力:S
速度:S
操作:D
耐久:D
色彩:グリーン
刻印:メガネ
解説:レーサーに選ばれたマキアスを面白がったレンとユーシスが共同で作成した。速さだけを追求し、操作性は完全に度外視。操縦士にはまったく優しくない仕様だが、クレアにいいところを見せたいマキアスは、この尖った性能に満足している。

エントリー⑤
名前:フェリちゃん号Ⅱ
走者:ロイド・バニングス
作成:ティオ・プラトー
出力:A
速度:SS
操作:C
耐久:C
色彩:ダークブラウン
刻印:クルガ戦士団(クロスベルのマークを上塗りされた)
解説:ティオが設計図面を引いているところに遊びに来たフェリちゃん教官の「バイクは早い方がいいですよっ」の一言で方向性が固まってしまった。その結果、鬼のような最高速と加速力を兼ね備えたリミットブレイクマシンが完成した。ちなみにさらなる加速を実現するための謎システムが搭載されている。

エントリー⑥
名前:ワイルドスタンピード
走者:ノエル・シーカー
作成:ノエル・シーカー
出力:A
速度:A
操作:A
耐久:B
色彩:ダークグリーン
刻印:クロスベル警備隊
解説:パーツ召喚から組み上げまで全てノエルが実施。本人はめちゃくちゃ楽しかったらしく、自分好みにカスタマイズされた導力バイクをイケイケで作成した。バイク通を唸らせるほど性能も高く、ノエルに対するヴァンの評価がまた上がった。

エントリー⑦
名前:ソニックベルゼルガー
走者:ランディ・オルランド
作成:ティオ・プラトー
出力:A
速度:S
操作:B
耐久:A
色彩:ダークレッド
刻印:クルガ戦士団(クロスベルのマークを上塗りされた)
解説:フェリちゃん教官が来た時にランディがとっさにブルーシートで隠したおかげで、魔改造の指示をされることなく済んだクロスベルチームの二機目。大型のバイクで耐久性もあり、パワーで押し切っていくタイプの機体になった。しかし最終的にはフェリちゃん教官に見つかり、《クルガ戦士団》の刻印を押された。

エントリー⑧
名前:ブラストエッジ1203
走者:クロウ・アームブラスト
作成:ジョルジュ・ノーム
出力:A
速度:A
操作:A
耐久:A
色彩:メタリックブルー
刻印:Vita Clotilde
解説:かつて同期四人で作り上げた機体を、ジョルジュの認識でそのまま呼び出した。それをベースにリファインを行い、最新機を凌駕する性能にまで強化。全てのシチュエーションにおいて、高いレベルでまとまったパフォーマンスを発揮する。機体のマークはヴィータが勝手にサインをした。ちなみに名前の「1203」はこの機体のプロトタイプが完成した思い出の年号である。

エントリー⑨
名前:エクセル=ソラス
走者:ユウナ・クロフォード
作成:アルティナ・オライオン
出力:B
速度:B
操作:S
耐久:A
色彩:ブラック
刻印:黒兎
解説:「あたしがレーサー!? 機体どーすんのよ! 技術者の人たちもう手一杯よ!?」「じゃあクラウ=ソラスをバイクにトランスさせましょうか? 各種機能も色々使えますよ」という流れでそうなった。とにかく汎用性に優れている。ミュゼ曰く「ユウナさんは絶対レースクイーン側だと思っていました」とのこと。

エントリー⑩
名前:ギルティバレット
走者:アッシュ・カーバイド
作成:カトル・サリシオン
出力:S
速度:A
操作:A
耐久:B
色彩:ライトシルバー
刻印:銀の狼
解説:学校エリアでの協力してくれたことから、カトルはアッシュに何かと便宜を図る。今回もアッシュが困っていたので、カルバードチームに続いて三機目の作成を手がけるに至った。アッシュの性格に合うように、速度、加速、操作をストレスなく扱えるようなスペックに仕上げた。なんならヴァンとアーロンのより力を入れている。

エントリー⑪
名前:ぽむぽむベアー
走者:ジン・ヴァセック
作成:レン・ブライト/ティータ・ラッセル
出力:SS
速度:B
操作:B
耐久:SSS
色彩:きらきらピンク
刻印:くまのぬいぐるみ
解説:レンとティータの親友ユニットによる共同作成。ジンの体躯にも合うよう設計したハイパーモンスターマシン。出力と耐久は他の追随を許さず、全てを撥ね飛ばすほどのパワーを有している。その分造形が厳つくなったため、レンとティータはデザインやカラー、名前を可愛らしくしようとがんばった。ついでにジンのレーシングスーツも無駄に可愛く変えた。

エントリー⑫
名前:クリムゾンローズ
走者:スカーレット
作成:アルフィン・ライゼ・アルノール
出力:A
速度:S
操作:A
耐久:C
色彩:シルバー&レッド
刻印:真紅の薔薇
解説:オーバルギアに引き続き、またもアルフィンのロマンを詰め込んだスカーレット専用機。直線での立ち上がりは随一で、コーナリングにも安定感がある。ただし機体の軽量化を図った為、耐久値にはやや脆弱性が見られ、洗練された操縦を求められる上級者向けバイク。それはそうとアルフィンが訳の分からない機能を仕込んでいないか、スカーレットは気が気でならない

エントリー⑬
名前:ハイカーネリア
走者:トヴァル・ランドナー
作成:トヴァル・ランドナー
出力:B
速度:A
操作:A
耐久:A
色彩:ゴールド&ホワイト
刻印:レッドジュエリー
解説:持てる技術の全てを結集し、最高のマシンポテンシャルを発揮できるよう設計したトヴァルのトヴァルによるトヴァルのためだけのオンリーワン機。カラーリングも自分の白コートと金髪に映えるようにし、かなり満足のいく出来に仕上がった。それをさっそくエリゼに意気揚々と見せにいったところ「そうですか」とのコメントを頂いた。

エントリー⑭
名前:ロードオブナイツ
走者:デュバリィ
作成:アルフィン・ライゼ・アルノール
出力:S
速度:B
操作:A
耐久:S
色彩:メタリックグレー
刻印:兜とランス
解説:なぜかレーサーに選ばれたデュバリィのために、アルフィンが設計した淡い鈍色に輝く機体。鉄機隊の甲冑をモチーフにしたデザインは、デュバリィの心をわしづかみにした。パワー寄りの性能だが、一番秀でているのは耐久性であり、その内部構造に至るまでかなり頑強に作られている。

 ●
 
《話末コラム③》【召喚の法則】

《ロア=ヘルヘイム》では“自分の所有物であるという認識のもの”は呼び出すことができるが、たとえばマスタークオーツや武器などは一つ以上呼び出すことができない。
これは“現実世界ではそれらの道具を、自分は一つしか持っていない”という認識が働いているからだと予想される。このため、オーバルギアやバイクを固有認識だけで量産することは叶わなかった。
逆にヴァンとエレインのミシュラムデートを追跡したレンが、大量の盗聴器を召喚できたのは現実世界でも複数所持していたからだと思われる。何やってるんですか、レン先輩。
尚、これらの物品が現実世界から呼ばれているのか、認識により《ロア=ヘルヘイム》内で創造された物質なのかは今もって不明である。
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