黎明の軌跡 Break the Nightmare 作:テッチー
「――そういうわけで、イケてるダンディなオジサマが加入するまで、サラ・バレスタインはヘイムダルエリアに放置することにした」
アークライド事務所に帰還した全員の前で、ヴァンはサラの顛末を話す。
教官の恥ずかしい話は教え子たちも恥ずかしいようで、リィン、ラウラ、フィーは床に視線を逃がしたまま顔を上げようとしない。
「それでシュバルツァーと話し合ったんだが、これからの方針を発表する」
早い段階で《ロア=ヘルヘイム》で目覚めたヴァンとリィンが、必然的にリーダーみたいなポジションについていた。
ヴァンは何かと顔の利くリィンを取りまとめ役にしたがっていたが、逆にリィンはヴァンをその役に推した。結果、二人で担うことになったのだった。
「巡回の結果、城エリアではエリゼを、ヘイムダルエリアではスカーレットの解放に成功した。だが言った通り、一人はそのままだ。それの何がまずいかって言うと、《幻夢の手記》によれば新たな夢のエリアの構築に繋がる可能性もあるらしい」
らしい、というのは手記の文字通りである。なぜか㉘番のこの項目だけ、妙に曖昧なのだ。
「とはいえ、こっちから働きかけができるわけじゃねえ。一縷の望みにかけてオリヴァルト殿下が声をかけに行くってのもアリだが……」
目を向けられて、しかしオリヴァルトは首を横に振った。
「いやー、僕でもサラ君のお眼鏡には叶わないだろう。それにもう愛する奥さんがいるわけだし、他の女性を口説くなんてできないよ」
「あたしはいいけどね、別に」
「そ、そんなこと言わずに。そこは多少の嫉妬も欲しいところなんだが……」
シェラザードの淡泊な反応に、存外焦るオリヴァルト。
「ご夫婦の語らいは後でやって頂くとして。当面の問題は、まだ次のエリアへの道が開かないってことだ」
《幻夢の手記》の項目㉒にある通り、各エリアへの移動、及び転移はアークライド事務所エリアから繋がる《
城エリアへ向かった際は、新たに生成された青く輝く橋を渡ることで到達できた。
アニエスが言う。
「城エリアへの道ができた時は、別に特別なことはしていませんでしたよね。今回は条件があるんでしょうか?」
「それも《幻夢の手記》に訊いてはみたが、だんまりで返答無しだ。単純に橋ができるまでに時間がかかるだけって理由かもしれねえしな」
「だとして、ただ待つというのも、少し時間がもったいない気がしますね」
「ああ、そこでその時間を有効に使おうと思う」
ヴァンは事務所の隅からホワイトボードを引っ張り出してきた。
「まず今いるメンバーを巡回班と待機班にわける。巡回班は引き続きエリア捜索。夢に囚われた人間を探すと同時に、使えそうな物資があったら持ち帰ってきてくれ」
広すぎて見回れていない区域も多い。さらには資源調達だ。この先何が必要になるかわからない。
「続いて待機班はこの事務所で情報整理をしながら、巡回班からの報告を元にマッピング――《ロア=ヘルヘイム》の地図を作ってもらう。ただし報告内容によっては現地に急行できるようにしてくれ」
現状でできる合理的な動き方、かつ今後も見据えた行動指針だ。
それらを決めるにあたってのリィンの意見は、かなり参考になるものだった。さすがは海千山千の苦境を乗り越えてきただけのことはあると、素直にヴァンは感心していた。
肝心の班分けは、相性や戦闘技能も加味して決定された。
巡回班Aチームは、フェリ、フィー。
巡回班Bチームは、スカーレット、アルフィン、エリゼ。
巡回班Cチームは、ヴァン、デュバリィ。
巡回班Dチームは、アニエス、アーロン、クローディア。
待機班はセドリック、シェラザード、オリヴァルト、ラウラ、アルティナ
ホワイトボードにそれぞれのチームが書き出される。
「連携は密に頼むぜ。異常の報告は特に迅速にな。そんじゃあ各員、《ロア=ヘルヘイム》攻略に向けて出発だ」
応じる声音は頼もしかった。
この世界のどこかにあるという《バルドルの箱》を探し出し、俺たちは必ず元の世界へ帰ってみせる。
《★――第6話 ビヴロスト・シャドウ――★》
「導力通信はできるけど、《ARCUS》は《ARCUS》同士、《Xipha》は《Xipha》同士でしか繋がらないみたいだね」
がっちゃがっちゃとジャンク品を漁りながら、フィーは言った。
「はい。となると事務所には《ARCUS》持ちと《Xipha》持ちが、受信役として最低一人ずつは待機してもらったほうがよさそうです」
同様に機材を仕分けつつ、フェリが応じる。彼女らは巡回班Aチームだ。
「今回の待機班の構成は……全員が《ARCUS》の使用者になっちゃいましたね」
「仕方ないよ。班分けの時点では、そこは気づかなかったし。次回からの注意点ってことで」
「
フェリとフィーはヘイムダルエリアの武器屋やら雑貨屋やらを回っていた。
ヴァンに言われた通りに物資調達である。しかし段ボールの箱には武器弾薬ばかりが詰め込まれていた。
「ふーん、ラインフォルト社製か。やっぱり品揃えもエリアの色が出てるね。あ、でもマルドゥック社のカートリッジも置いてる。使い勝手は悪くないんだけど、規格が合うかな……」
「あの、フィーさん。私たち、お店の商品を勝手に物色してますけど……いいんでしょうか?」
「いいんじゃない? 現実世界じゃないならミラも使えないだろうし。それにほら」
フィーが横目を向けた先には、カウンターで新聞を読むヒゲ面の店主がいた。接客する素振りもなければ、商品をどかどか箱に放り込んでも注意さえしてこない。
おもむろにフィーは店主に近づくと、
「ねえ。このガンホルダー、いくらかな?」
「そいつは3500ミラだな」
「お金ないから、タダでもらってくね」
「おう、扱いには気を付けろよ」
そのやり取りに、フェリは目を丸くする。
「多分、これがヴァンたちが言ってたイメージで作られた幻の人ってことなんだと思う。触ることもできるし、会話もできる。でも心がない。そう定められた役割を再現するだけみたいな感じ」
「この方、新聞も同じページばかり読んでますね……」
「そういうこと。そうそう。幻影の住人と、夢に囚われている人の見分け方、フェリはちゃんとわかる?」
「体から霧が出ているか出ていないかですか? 霧が出てたら“囚われ”で、出てなかったら“幻影”ですよね」
「正解。ただそれは主格者の夢が覚めて、霧が晴れたエリア限定での見分け方。解放されてないエリアはどこもかしこも霧に覆われてるから判別できないし。でもフェリは偉いね」
わしゃわしゃとフィーはフェリの頭を撫でた。
「わっ、えへへ」
「なんかこういうの新鮮。Ⅶ組の仲間内じゃ、私が妹扱いされることが多かったから。なんだろ、お姉さん気分?」
姉。妹。その言葉に胸の内が揺れる。フェリはアイーダとの別れを思い出した。
自分にとっては一週間にも満たないくらいの、ついこの前の出来事のはずだった。
しかし《ロア=ヘルヘイム》でアーロンと合流した際に記憶が拡張され、ラングポートでの事件と、その解決までが経験済みとして脳裏に刻まれている。
同時にクレイユ村でのアイーダとの別れは、“一か月以上前”のこととして心が認識するようになった。
あれだけ悲しかったはずなのに、一か月という時間が心に落ち着きを
死の悲しみは時間が癒す。だがそれだけの時間は経っていない。自らの感じ方が一か月前になったというだけだ。なのに確かに薄れかけている悲しみ。こんなの、あまりにも薄情では――。
幼いフェリには、まだ折り合いのつけられない後ろめたさだった。
「アイーダのこと考えてるよね?」
「あ、すみません。ちょっとだけ……」
「そろそろ教えてもらえる? どうしてあの戦いの最中にアイーダの名前を出したのか」
ローエングリン城での武闘会の終盤、フェリはその名前を言い放つことでフィーに隙を作った。夢から解放されたばかりのフィーには多少の記憶の混濁が見られたが、今はしっかりと戦闘の顛末を思い出せているらしい。
どのみち話そうと思っていたことだった。フェリは静かに口を開く。
「……私は《クルガ戦士団》という猟兵団の所属で、アイーダさんは《アイゼンシルト》という猟兵団の所属です。何度か戦闘訓練もさせてもらいましたし、妹分だと言って、私の面倒をよく見て下さいました」
「アイーダが中東の猟兵団に転籍したことは知ってる。……フェリは妹分か」
「もう一人の“妹分”の話も聞いていました。それを戦いの中でフィーさんだと思ったのは、ただの勘です」
「そっか。アイーダは元気にしてる?」
「それ……は」
「ん、でも私は七耀暦1207年から来てるっぽいから、フェリにとっては今だけど、私にとっては一年後のアイーダってことになるのかな。ややこしいね、この年代の差――フェリ?」
フェリは悩んでいた。
そう、フィーにとっては一年後の未来のことで、彼女の“
そのアイーダが一年後に死んでしまうことを告げていいのだろうか。いや、それをフィーに教えれば、未来を変えることができるのではないか?
しかしそうだとして、自分が生きる“
アイーダとフィーと一緒に笑える世界なら、ヴァンたちと共に在る世界はない。――違う、そうじゃない。自分の望みなどどうでもよくて、アイーダの存命を幸せと考えるべきで、それならば――
「ああ、アイーダはもういないんだね」
心臓が跳ね上がる。
「な、なんで」
「顔に出過ぎ」
おでこをツンとつつかれる。
「こういう稼業だからね。色んな事情で命を落とすことは珍しくない」
「悲しくないんですか? 助けたくないんですか?」
「悲しいし、助けてとアイーダが望むなら全力で助ける。でも後悔しない最期だったのなら、そこに誇りがあったのなら……私は見届けるんじゃないかな。まあ、いっぱい泣くとは思うけど」
「ア、アイーダさんの最期は」
「言わなくていい」
フィーは優しい口調で、しかしはっきりと止めた。
「一年後に知れるなら、それでいい。とは言っても、やっぱり何もしないことはできないね。《ロア=ヘルヘイム》を脱出できたら、カルバードに行ってアイーダを探そうと思う」
「だったら尚のこと、何が起こるか知っていた方が……」
「そういうことじゃないんだよ」
フィーはフェリを抱き寄せた。
「何があったか知らない。知らないけれど、きっとキツかったね。大丈夫?」
「はい……大丈夫です、多分。ヴァンさんたちもいますし……」
「仲間は大切。一緒にみんなで元の世界に帰ろう。そういえば、フェリと私は七耀暦1208年でも出会ってないんだっけ?」
「はい、今の私の記憶にはないです」
「現実に戻った時に時間の流れがどうなってるかわからないけど、フェリとまた会いたいな」
「私もです。えへへ、やっぱりフィーさん、お姉ちゃんみたいっ」
「じゃあ可愛い妹分に言っときたいことがあるんだけど。私、19歳なんだ。フェリは13歳だったね」
「? はい」
抱きしめる力がぎりぎりと強くなる。
「戦ってる時、私の年齢について『自分とそんなに変わらないはず』って言ってくれたよね」
「あ、痛い痛いですっ!」
●
「もしもーし、もしもーし?」
サラの目の前で、スカーレットはパタパタと手を振ってみる。彼女はジョッキを傾けて、もう何杯目になるかわからないビールを飲み続けていた。
「やっぱり反応がないわね。どうしたものかしら。さっきまで囚われてた私が言うのもどうかって話だけど」
スカーレットが振り返ると、エリゼとアルフィンが困った表情を浮かべる。巡回班Bチームは、今一度サラの様子を見に、オスト地区のバーに足を運んでいた。
エリゼが言う。
「でも変じゃありません? ヴァンさんやアーロンさんが声をかけた時には、一応会話にはなっていましたが」
「タイプじゃないけど、カテゴリーとしては男性だから応じたってことでしょ。夢に囚われた人間は、本人の主観が認識の全てらしいし」
「切実な問題なんですね。微妙なお年頃なんでしょうか」
「絶妙なお年頃なのよ」
スカーレットが嘆息し、アルフィンはクスクスと笑う。
「サラさんはともかく、スカーレットさんの望みはすぐに叶ってよかったです」
「何よ、その含みのある笑みは」
「わたくし達が卒業しちゃって寂しいんですか?」
「ちょっと黙って、お姫様」
「黙りません。スカーレットさんもエリゼも純粋な望みで、なんだか可愛いです」
頬を緩めるアルフィンに、エリゼが抗議した。
「そもそも姫様は、城エリアを作った主格者ですよね? というか姫様がどういう望みを叶えてもらって夢から覚めることができたのか、私まだちゃんと聞いてないんですけど」
「うん、この話はやめましょうか。大体、城エリアに関しては、セドリックとの共同主格者っていうイレギュラーなパターンみたいだし?」
「あとで兄様にでも教えてもらいますので」
「よりによってリィンさんはダメだから!」
「よりによって……? まさか姫様?」
じっとりとエリゼに見つめられ、アルフィンは首がねじ切れるくらいに顔をそむけた。三人が三人とも深掘りして欲しくない話のため、この話題は暗黙の内に葬り去られることになった。
「はあー。とりあえず外に出るわよ、エリゼ、お姫様」
「了解です」
「はーい」
新Ⅶ組に関しては互いの呼称が少しややこしかったりする。
アルフィンはスカーレットに対して、学院内にいる時は“スカーレット教官”で、それ以外の時は“スカーレットさん”と呼ぶ。
エリゼはアルフィンを昔からの通り“姫様”、セドリックのことは“殿下”と敬称付けしていたが、Ⅶ組一年目の終盤のとある出来事をきっかけに“セドリックさん”と呼ぶようになった。
スカーレットはアルフィンのこともセドリックのことも、教官として接するときは呼び捨てにする。《紅の騎士》として傍に控えたり、公的な場所では二人を“殿下”と切り替え、プライベートではアルフィンを“お姫様”と呼んだりする。
この《ロア=ヘルヘイム》での行動時は、そのどれにも当てはまらない為、“お姫様”呼びにしているらしかった。
「……やっぱり少し霧が濃くなってる気がする。このままだと本当に主格者になって、大きなエリアを創り出してしまうかもしれないわ」
「その場合、どんなエリアになると思います?」
エリゼに訊かれて、スカーレットは即答した。
「イケオジエリアじゃない? アルゼイド子爵とかカシウス中将とかをハーレムに加えちゃうのよ、きっと。イメージだけで創造できるなら、猟兵王ルトガー・クラウゼルとか、特務支援課のセルゲイ・ロウとかも入ってきそうね」
「それは手が付けられないですね。何気にスラスラと壮年の殿方の名前が出てくるスカーレット教官もどうなんでしょう。ところで、その中にゼクス中将とクレイグ中将は入れて差し上げないんですか?」
「ん? ふふっ」
スカーレットはこれ以上ないくらいの乾いた愛想笑いで流した。
「そういえば新Ⅶ組って言うなら、セドリックもこの班のメンバーだったら完璧だったのにね。その辺り、こそこそとお姫様がヴァンに進言していたのは気づいてるけども」
「あら、さすがスカーレットさん。これもいい機会かと思いまして、一計を講じておきました」
「在学中にあなたの思い付きの一計で、どれほどの学院生がトラブルに巻き込まれたか忘れたの?」
「トラブルじゃなくて楽しいレクリエーションです。ねえエリゼ? エリゼ? どうして無言なの?」
●
なんで僕を巡回班に入れてくれなかったんだ。
おそらくアルフィンのせいだ。チーム分けの時点で、ヴァンさんに何かを頼んでいた。巡回班への志願かもしれない。不思議な街を回ってみたいとか、どうせそんな理由だろうけど。その幅寄せを受けてか、自分は待機班になってしまった。
せっかくエリゼさんと一緒にいられると思ったのに……。
卒業してから彼女は、いったん故郷のユミルに戻っている。ヘイムダルで働いて一人暮らしをしたいらしく、両親の許可を得るとのことだった。
エリゼさんはどんな仕事をしたいのだろう。教室なんかでアルフィンとその話題で盛り上がっていた時は聞き耳を立てていたりしたものだが、ガールズトークに参加するほどの胆力は、二年間の士官学院生活を終えてもまだ身についていない。もしかしたら僕には一生身につかないかも。
想像してみる。
ブティックショップはどうだ。さぞ可憐な接客をこなすに違いない。パン屋なんかもいいんじゃないか。ふんわりキャスケットを被る姿は似合い過ぎる。変化球で保育師は? 甲斐甲斐しく子供の世話をするだなんて、天使の生まれ変わりじゃないだろうか。
待て。そんなエリゼさんにちょっかいをかける者もいるかもしれない。彼女の出退勤時には、近衛兵から護衛を出すべきか。
「くっ、落ち着かない……!」
「何か?」
独り言に返され、ビクリと姿勢をただす。この部屋にはもう一人、シェラザードがいた。
「あ、すみません。つい口に出てしまって」
「いいえ、大丈夫よ。セドリックさんも外に行きたかったの?」
「や、そんなことは……」
「私と留守番じゃつまらないでしょう。ごめんなさいね」
「な、何を言うんです。シェラザードさん」
ぎこちない会話だった。オリヴァルトとシェラザードは結婚し、セドリックにとって彼女は義理の姉となった。
しかし距離感がわからない。
「……前、失礼します」
「どうぞ」
対面して座るも、切り出せる話題がセドリックにはなかった。
シェラザードとアルフィンは気兼ねないおしゃべりができる。アルフィンは十月戦役のあとですでに彼女との面識があるし、生来の人懐っこさも相まって距離感など無いに等しい。むしろ姉妹の間柄になってから、連れ立ってのお忍びで買い物なんかにも行くようになったし、より仲良くなっていると思う。
半面、自分はそうではない。もちろん結婚前に紹介はされていたが、どんなふうに接すればいいか掴めないままだ。
元々が人見知りの性格。それに配慮してか、話好きのシェラザードも無理には距離を詰めて来ず、どこか一線を引いている節がある。
シェラザードは親し気に“アルフィン”と呼ぶのに対し、自分のことは“セドリックさん”である。
アルフィンは普通に“シェラお姉様”と呼ぶのに対し、自分は“シェラザードさん”である。
さらに言えば、シェラザードの一人称は“あたし”だが、自分との会話では“私”に置き替えている。
壁と言うほどのものではなく、互いに遠慮があるがゆえの微妙な空気感だ。
「………」
「………」
お腹の子供のことを聞いてみたい。あんまり表には出していないつもりだが、すごく楽しみにしている。僕の姪か甥になるのだから。
「………」
「………」
その前に“姉上”と呼ばないと。いつまでもこのままでは良くない。
「あ、あね――」
「ん?」
「アネモネの花って好きですか……」
僕のチキン野郎。叱ってくれ、クルト。
「ええ、花は好きよ。セドリックさんは在学中、園芸部に入っていたんだっけ」
「え、ええ。よくご存じで。料理研究会と馬術部も兼任していました。入部は事故みたいなものでしたけど」
だからマルガリータ先輩とポーラ様先輩にはよく可愛がって頂いた。お二人とも元気だろうか。
そして終わる会話。
早く戻ってきてよ、兄上とラウラさん。事務所周りの確認なんてすぐ終わるでしょう。どれだけ時間かけてるんですか。
冷蔵庫のケーキを出してお茶の時間にでもすれば、多少は会話も弾むかもしれないけれど、あれはヴァンさんに指一本触ってはならないと言われてるし。触れたらヨルムンガンド戦役の比じゃなくなるとまで言われたし。
かっちこっちと時計の針の音だけが響く。そういえばこの世界、時間の概念ってあるのだろうか。
「アルフィンが気を回したみたいだが……はは、そう上手くは行かないか」
扉越しにこっそりと事務所の中の様子をうかがうオリヴァルト。一通りの顛末を見届けると、肩をすくめつつ階段を下りる。
「やあ、ラウラ君。付き合わせてしまってすまないね」
「は、私は構いませんが、一体何を?」
ラウラは事情をわかっていない。一階の《モンマルト》の前で待機中だ。
「まあ色々あってね。そちらは問題ないかな?」
「はい。ある程度見回りましたが、特段変わったところはありません。アルティナは《クラウ=ソラス》で上空を旋回中で、今のところ異常もないようです」
「なるほど。とはいえこの空間自体が異常なんだから、言い得て妙ではあるがね」
「確かに」
《アークライド事務所》エリアはヴァンの解決事務所の建物を中央に据え、直系100アージュほどの円形の大地になっている。大地の端は崖に囲まれていて、その下は見通せない。
各エリアへ繋がる《
「どうしてこの場所だけが特別なのでしょう。明らかに他と空気が違う気がします」
「ふむ。それなんだが、やはりヴァン君が関係しているのだとは思う。僕らはどういう経緯かでこの《ロア=ヘルヘイム》に呼び込まれ、囚われた。しかし彼はこの事態を解決するために呼ばれているみたいだ。あの《幻夢の手記》の不自然さと言い、多分、何かしらのカラクリがある」
「ヴァン殿をここに呼んだのはフードの男性――もしかしたらジョルジュ先輩かもしれないとのことでしたが」
「仮にその男性がジョルジュ君だとして、彼はどうして顔を隠したんだろうか」
「……知られたくなかったから? そういう事情があったから?」
「その事情こそが問題なんだ。正体を明かして最初から全てを話していれば、《幻夢の手記》なんていう段階的に情報を与えてくるアイテムなど不要だと思わないか?」
「まだ“裏”があると?」
「さあ。ただわからないことだらけの現状で、裏を考えるというのも飛躍し過ぎかもね」
オリヴァルトは《モンマルト》のガラス戸に寄りかかると、
「セドリックのこと。話していいかい?」
「私がお聞きしていいのであれば」
「大した話じゃないさ。彼はアルフィンと違って奥手でね。なんとなくシェラ君と打ち解けていないんだよ。お互い苦手ってわけじゃない。歩み寄るタイミングが中々見つからないだけで」
「だから事務所内で二人きりに?」
「アルフィンがそう仕組んだらしい。しかしあまり効果はないだろう。何かいい方法があればいいんだが……」
ラウラはしばし考え込んで――提案した。
「食卓を囲めばいいと思います。それで自然と会話は増えるもの。いかがです」
「……いいかもしれない。考えてみれば結婚してから今日、かしこまった場での会食はあったが、家族だけでこじんまりした食事というのは機会がなかった。いや、いい案だ。さすがはラウラ君」
「恐縮です」
続けてラウラは言った。
「ではその席での料理は、全て私が担いましょう」
「ほう、君は料理ができるのか。おっと、すまない。失礼な意味ではないんだ」
「実は学生時代からの趣味でして。それなりに自信もあります。幸い《モンマルト》はビストロレストラン。調理器具はそろっていますから、食材さえあれば問題ありません」
「え、この《ロア=ヘルヘイム》で、その催しをやってくれるのかい?」
圧倒的料理上手の雰囲気を漂わせて、ラウラは宣言した。
「皇族の御為に力を尽くすのが貴族の本懐なれば。このラウラ・S・アルゼイド。研鑽の果てにたどり着きし、至高のフルコースをご覧に入れましょう」
●
ぶるるっとデュバリィは震えた。
「うぅ……なんだか悪寒が……?」
「風邪か? 今のところ薬は手に入ってねえし、体調が悪いなら戻っていいぜ。温かくして休んでろ」
となりを歩くヴァンが言うと、デュバリィは「ふんっ」と鼻を鳴らした。
「よっけーいな気遣いですわ! 体調も悪くありません!」
デュバリィはプンスカと、ヴァンの前を歩いた。巡回班Cチームである。
やれやれ、と悟られないように嘆息を吐く。
あんまり馴染めてなさそうだったから俺と組ませてみたのだが。ちなみにデュバリィは甲冑を脱いで、動きやすそうな旅装に着替えていた。
ローエングリン城の通路。バルフレイム宮やグランセル城と違って、普段は誰も使っていない様子で、照明も落ちて薄暗い。帝国のレグラムという場所にある古城らしい。
解放済みのエリアを巡回するに当たり、デュバリィは最初にここに来たがった。『別にどこでもいいですわ』とか言いそうだと思っていたので、その主張は少し意外だった。
現実世界でも訪れたことがあるのだろう、迷うことなく彼女は進んでいく。
「にしても内装までボロいな。もしかしてエレボニアの文化財か何かか?」
「はあ!? あなた、ローエングリン城を知らないのですか? 信じられません。一般教養ですけど」
「いやいや、誰もが帝国史に詳しいと思うなよ。ただでさえ俺はカルバード人だ」
「仕方ありません。わたくしがレクチャーして差し上げます」
「結構だ」
「遡ることおよそ250年前。帝国の騒乱の中で、かのドライケルス大帝はノルドの地にて挙兵し――」
「いいって言ったのに始まった……」
道すがらの長広舌が始まってしまう。最初は流していたが、それなりに興味深く、不覚にも聞き入ってしまったが。
十五分程度は歩いただろうか、とある部屋の前でデュバリィは足を止める。
「ここですわ」
中に入ると書斎のようだった。
デュバリィが埃にまみれた本棚の一つを押すと、ガラガラとスライドして奥に繋がる通路が現れる。
「隠し扉か!? な、なんでこんなの知ってんだ?」
「細かいことを気にしないで下さい」
これは細かいことなのか。質問には答える素振りもなく、すたすたと行ってしまった。
デュバリィを追って、ヴァンも下り調子の通路を進む。しばらくすると、小部屋に行きついた。
簡素な執務机が一つ。痛んで変色し、所々が破れたカーペット。だがわかる。長い時の中で劣化しているが、調度品の数々は全てが一流だ。
壁際に立ち尽くすデュバリィはそれらには目もくれず、額縁に飾られている肖像画をじっと見つめている。長いブロンド髪をした美しい女性の絵。
「……リアンヌ・サンドロット様。さっき話した帝国史に、何度も名前が出てきたでしょう」
「何百年も前の人間に、思い入れがあるのか?」
「そうですね……そんな簡単な言葉ではとても言い表せませんが。――もう行きましょうか。私のわがままに付き合ってくれて、ありがとうございます」
「気が済んだならいいさ」
素直に礼も言えるんだな。
踵を返しかけるヴァンに、「一つ、妙なことがあります」とデュバリィは言った。
「妙?」
「この世界は思念、認識、記憶、主観。そのようなもので構築されていると理解しています」
「ああ、俺もそう思ってる」
「城エリアはアルフィン皇女とセドリック皇子が主格者となって生み出した。お二人はグランセル城への訪問経験があるそうですし、もちろんローエングリン城を訪れたこともあるでしょう。皇族なら縁の深い場所ですからね。だから城内部の創造は不自然ではありません」
「……ああ、なるほど。妙だ」
「けれども彼女たちはこの隠し部屋のことまで知るはずがない。だから再現されるはずもない。……一体これは、誰の認識ですか?」
●
「ここが屋上テラスです。普段は鍵がかかっているのですけど、普通に開いてましたね」
クローディアの案内で、アーロンとアニエスはグランセル城の天守まで登ってきていた。
アニエスはぐーっと伸びをする。
「本当に綺麗なお城ですね。授業の風景資料でしか見たことがなかったんですが、こうして目の当たりにすると荘厳さがまるで違います」
「そう言って頂けると嬉しいです。次はぜひ本物のリベールにお越し下さいね」
「恐縮です。クローディア殿下」
優しげな面立ち。気品のある佇まい。言葉の一つ一つに滲み出る教養。これが王族に連なる方の立ち振る舞いというものか。
夢の世界とはいえ、グランセル城に踏み入る機会などそうあるはずもなく、加えて王太女とこの距離で会話をするなど、ことさらにあり得ない話だった。
どうやっても態度が硬くなるアニエスに、クローディアは朗らかに微笑んだ。
「そんなにかしこまらないで下さい。ああ、そうです。親しい方は私のことをクローゼという愛称で呼んで下さいます。アニエスさんも、どうかそれで」
「ええ!? 殿下を愛称でお呼びするなんて恐れ多いです!」
「そう言わずに。ね?」
「で、では……ク、クローゼ殿下」
「敬称もいりません。クローゼと」
「うぅ……せめて、クローゼさん……では?」
「はい。アニエスさん」
嬉しそうに笑うクローゼ。
アルフィン皇女にセドリック皇子といい、高貴なる血筋の方は親しみやすさも兼ね備えてるのだろうか。
「私、自己紹介を受けてから、ア二エスさんとは特に仲良くなりたいと思っていました。だって私の好きな小説の主人公と同じ名前ですもの」
「あ、それって!」
「やっぱり知ってました? そう、《陽溜まりのアニエス》です」
共通の話題で盛り上がる。そこに水を差したのはこの男だった。
「おいおい、小娘。ピクニック気分かよ。クローゼサンもあんま気を緩めてっと――」
「アーロンさん! 不敬ですっ!」
「いいんですよ。アーロンさんの言う通りですね。新しいお友達ができそうで、ちょっと浮かれちゃってました。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げるクローゼを、慌てて否定するアニエス。
「違います、クローゼさんは何も悪くありません! 一から十までアーロンさんが悪いんです! こんなアーロンさんですみません!」
「どんなアーロンさんだよ。小娘ってオレには容赦ねえよな。オッサンには何かと甘いくせに。この違いはどこから来るもんなのかねぇ」
「知りません! う~っ」
「はっ、これ以上は噛みつかれそうだし、このくらいにしといてやっか。……さてと」
アーロンはテラスの端に立った。アニエスとクローゼもそこに続く。
グランセル城はここら一帯では一番高い建造物だ。一望とまでは行かないまでも、かなりの範囲が見渡せた。
「へえ……こいつは収穫だ」
「これが《ロア=ヘルヘイム》……!」
一度には視界に入りきらないほどの、巨大な大地だった。大陸と言っても過言ではないかもしれない。その地形を覆うように、真っ白い霧がかかっている。この広大な陸地こそが、自分たちが囚われる幻夢の世界――《ロア=ヘルヘイム》。
だが霧が晴れて、視認できる区画もあった。
それがこの城エリアと、隣接するように繋がるヘイムダルエリアだ。主格者の望みを叶え、夢から解放したからだろう。
しかしまだこれほどの白霧が拡がっている。つまりそれだけの主格者が“夢”を見ているということ。
「おっ、あれは我らがアークライド解決事務所だな。ん……なんだ、あのエリアだけ離れ小島じゃねえか?」
ここからだと遠く、小さくしか見えないが“離れ小島”という表現はまさしく的を射ていた。
《アークライド事務所》エリアは、なぜか大地の外側にある。ぽつんと浮かぶ直径100アージュほどの浮島だ。そこから《
「どうしてヴァンさんの事務所だけが外側なんでしょうね? まるで切り離されているみたいです」
「それも気になるが……やっぱこの街エリア、変だぜ」
「変といえば変なことしかないですが……どこがです?」
「一言で言えば、合成され過ぎてる」
街並みを睥睨する鋭い目つきが、より険しさを帯びる。
「リィン・シュバルツァーはエレボニアの人間だ。印象強い帝都がメインフィールドになるのはわかる。クロスベルにも何度も足を運んでいるらしいし、そこが融合されてるのも、まあわかる。だがありゃどこだ? 明らかに“色”が違う」
アーロンが指さす方向に、クローゼが目を凝らす。
「あれは……多分、王都グランセルの居住区だと思います。特徴的な白煉瓦の造りは、他に見たことがありません」
「王太女サマが言うんなら間違いねえだろ。そういうこった」
「そういうこったと言われても……グランセル城があるんなら、城下町もあるんじゃないですか?」
アニエスが言うも、アーロンはかぶりを振った。
「グランセル城は城エリア。創造したのは皇子と皇女だ。だが街エリアの主格者はシュバルツァーのはずだ。他国の王都を再現できるほど、あの男はそんなにリベールと縁が深いのかよ?」
「それは確かにそうかもしれませんが……じゃあなんでリベールの王都が?」
「オレが知るかよ。剣聖サマがお忍びで訪問したって可能性もゼロじゃねぇだろうが。……あるいはエリアが構築されるにあたって、主格者以外の要因が働いている――とかな」
「主格者以外の要因?」
聞いたところで答えが返ってくるはずもなかった。アーロンも憶測でしか話していない。
一瞬の沈黙のあと、クローゼがその異変に気付いた。
「あ! お二人ともあれを見て下さい。《アークライド事務所》エリアです!」
「まさか……!?」
「来たかよ!」
黄色い光が揺らめき立ち、《ロア=ヘルヘイム》本土へ向かう三つ目の橋が形作られていく。
●
【⑳夢であることを自覚しても現実世界に戻ることはできないが、エリア間の移動は可能となる】
【㉓アークライド事務所からの転移は、各エリアに点在する象徴的な地点にのみ行ける。逆に各エリアからアークライド事務所への転移は、どの地点からでも可能である】
試しに一度、転移機能とやらを使ってみたところ、《幻夢の手記》の新項目が開示された。
⑳番は読んで字のごとく。逆に読み解くなら、“夢に囚われている間は、そのエリアに縛られ続ける”ということでもある。
㉓番は転移のルールについて。
《
ただしそのエリアのシンボル的な地点――たとえば城エリアならバルフレイム宮やローエングリン城に、街エリアならサラが囚われてる酒場など、印象強いいくつかの場所にしか転移ができない。これもどうやら認識が影響しているらしかった。
距離を無視できる便利なショートカットではあるが、好きな場所に自由に、という使い勝手の良さはなかった。
ゆえに建物内を捜索するなら足を使うか、エリアの広範囲を巡回するなら、やはり車を始めとした移動手段は必須と言える。
そして手記の通り、《アークライド事務所》エリアに戻ってくる時だけは、《ロア=ヘルヘイム》のどの位置からでも、念じるだけで帰還することができた。
「《
町エリアの赤色、城エリアの青色に続き、黄色である。
ヴァンの後ろには、その転移機能で戻って来た全メンバーが揃っていた。
アーロンが言う。
「次のエリアへの道が開いてるみてえだが、また待機メンバーと巡回メンバーに分けんのか?」
「いや、今回は全員で行く」
班を分けることも考えたが、主格者のエリアであれば一筋縄では行かない可能性が高い。この先行き不透明の状態で事務所に待機させるよりは、総員の発想力と行動力をもって事に当たった方が良いという判断だ。
「っても強制じゃねえ。何が待ち構えてるか不明なのは変わらねえし、ここに残りたければ――……はあ、聞くまでもなかったか」
振り返ると、リィンたちのウォーミングアップはとうに済んでいた。
「ヴァンさん、これ持って行きます?」
フェリが宝箱をずりずりと引きずって来た。用途のわからないゼムリアコインとやらが詰まった、アルフィンとセドリックから渡された箱。
「次のエリア攻略に役立つって話だったよな。ああ、持って行くぜ。そのまま車に詰め込んで――いや、俺がやる」
「別にこれくらい、一人でも乗せられますよ?」
「お前を俺の車に接触させると、ロクなことが起きねえ気がする」
「むっ」
なんでむくれるんだよ。車の下に手榴弾敷き詰めてアサルトライフルで滅多撃ちにするなんざ、鬼の所業じゃねえか。あの時は精神崩壊するかと思ったぐらいだ。
「俺、アニエス、フェリ、アーロンのカルバード組四名は車で先行する。他は後から徒歩で追ってきてくれ。アニエスはフェリを膝の上で抱えておけよ!」
「むうっ、また子ども扱いしてっ」
「危険物扱いしてんだよ」
ピックアップトラックを走らせ、他のメンバーに先駆けて《
白く濁る視界を突き進み、やがて開けた場所に出る。眼前にその“エリア”が広がっていた。
いの一番にアーロンが車を飛び降りる。
「おいおいおい……マジかよ。こうきたかよ……テンション上がるぜ!」
霧の中、色彩豊かに煌めくネオン。ギラッギラに輝く外壁。とにもかくにも光っている。建物全体が発光しているのではないかと思えるほどの眩しさだ。
「第三の主格者が見るのは一攫千金のミラの夢――カジノエリアか!」
豪奢な施設を見上げるヴァンのテンションも、実は上がっていた。賭け事は結構やるタチだ。
「あ? なんだオッサン。いつの間に着替えた?」
「は? いやお前こそ」
ヴァンとアーロンは襟付きのワイシャツとジャケットを着こなす、いわゆるスマートカジュアルなスタイルになっていた。
「わあっ、わたしの服も変わってますね」
フェリは赤を基調としたワンピースで、手にはコンパクトなクラッチバッグを持っている。
「まさかドレスコードに合った衣装に変えられるとかか? 《幻夢の手記》に情報開示はねえが……」
「フェリちゃん、可愛いです! じゃあ私は――え゛」
ブラックレオタードに網タイツ。うさぎしっぽにうさぎ耳。アニエスはド直球のバニーガールだった。
「な、ななな、なんで私だけこんな格好!?」
「アニエスさん、せくしーです。こぼれ落ちそうです」
「落ちません!」
がばっと胸を隠すアニエス。
咳払いするヴァン。
「うっし、カジノエリアに突入だ。主格者を探し出して、その望みを把握し、叶えてやる。やることは変わらねえ。気合入れろよ、お前ら!」
「ヴァンさん、スルーはやめて下さい! 別にコメントが欲しいわけじゃないですけど!」
――つづく――
第6話にお付き合い頂きありがとうございます。
物語における転移システムの捕捉をしておきます。
①アークライド事務所→各エリア……《虹の影橋》を渡りながらその場所をイメージすると“各エリアの象徴的な地点”にワープできる。
②各エリア→アークライド事務所……どのエリアのどの地点であっても、念じるだけでアークライド事務所に帰還できる。
③各エリア↔各エリア……どの地点からでもエリア間転移は可能。ただし転移先は“各エリアの象徴的な地点”に限定。
④エリア間転移の場合、転移元と転移先の両方のエリアが解放されていることが条件となる。
⑤夢に囚われている人間は自らエリアの外に出ることはないし、ヴァンたちが連れ出すこともできない。
要するにオープンワールドゲームにおけるファストトラベルですね。
そして物語上の呼称について捕捉がもう一つ。
★トールズⅦ組(リィンたち元祖Ⅶ組を指す)
★本校Ⅶ組、あるいは新Ⅶ組(エリゼたち本校の新Ⅶ組を指す)
★分校Ⅶ組(アルティナたち第Ⅱ分校のⅦ組を指す。新Ⅶ組という呼称はエリゼたちと紛らわしいので使用しない)
本作ではⅦ組チームが三つあるため、こんな感じで表記分けしています。
早くも三つ目のエリア攻略となりました。ここからは総力戦!
引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。ご意見ご感想などは随時お待ちしております。