黎明の軌跡 Break the Nightmare 作:テッチー
《★穿ち抜いてハート★》
パンッと木の幹の裏側が弾け、葉っぱが数枚はらりと落ちてくる。
掌底の型から構えを解き、アニエスはジンとアンゼリカに一礼した。
「うむ、確かに勁と呼べる力の伝導だな」
「すばらしいよ、アニエス君。ジンさんから聞いてはいたが、本当に飲み込みが早くて驚いている」
いつものジェニス王立学園の裏山で、師匠であるジンとアンゼリカがうなずく。
ジンに基礎の稽古をつけてもらい、アンゼリカに女性特有の体捌きを教わり、アニエスの発勁はようやく形になった。
太い腕を組み、ジンが言う。
「アニエス。お前さんには成り行きで勁の扱いを教えることになったが、これでひとまずの伝授は終了になる。無論、完成はしていない。初歩の初歩だ。そこからさらに技を磨きたければ、自らの意思で試行錯誤し、修練を続けるしかない」
「道半ばであることは承知しています。それでも私の目的を果たすことができます。ご指導ありがとうございました」
「あー……なんだ。何度も言うが、みだりに人に打っちゃいかんぞ?」
「はい。しっかり熟考して打ちます」
「うん、まあ、そうなんだが、なんかニュアンスが違う気がするんだよな……」
アンゼリカは快活に笑った。
「まあまあジンさん。アニエス君が無用に力を振りかざしたり、誇示したりするような人ではないことがわかっていたから教えたのでしょう? 信じてあげて大丈夫ですよ」
「それもそうだな。いや、アンゼリカの言う通りだ」
「アニエス君。もっと新たな技術を覚えたくなったら私のところにきたまえ。門下でない以上、泰斗流は教えられないが、君の体躯に適合するようなオリジナル技を考案させてもらうよ。成長したその肉体を隅々まで調べさせてもらった上でね……」
デュフフ……と心の中の下卑た笑い声が聞こえた気がした。
アンゼリカからは稽古と称され、アレコレと触られまくったのだ。実際、その元に受けたアドバイスのおかげで実力は上がったのだから、いかがわしいだけの訓練法でないのはわかっているが。
それにしても胸枕をさせられたことに意味はあったのだろうか……。
「ではジンさん、アンゼリカさん。私、行ってきます」
『どこへ?』
二人の疑問に答える間もなく、アニエスは転移で消えた。
ようやくだ。ついに手に入れたこの力で、今日こそアーロンさんのセクハラを止めてみせる。
●
《★ヒマを持て余した魔女の戯れ★》
ヴィータ・クロチルダはヒマだった。
黎明樹《ユグドラシル》への突入作戦を控え、各々最後の準備に入っている。
「ないわ、やることが」
一番忙しそうなのはメカニックチーム。《パンタグリュエル》のメインエンジン復旧、機甲兵三機の起動整備、オーバルギアΣの開発。認識によるパーツ生成や召喚で大幅に時間短縮はできているものの、手がいくらあっても足りない状況だそうだ。
私はそっちの手伝いはできそうにないから、まあがんばって欲しい。
作戦立案チームは、主に各班のリーダーが集まってあれこれと討議を重ねている。
まあ、がんばって欲しい。
知恵を貸して欲しいと言われれば協力するけど、そのお願いは来ていない。
まあ、がんばって欲しい。
そんなわけで時間を持て余しているのだ。自室のベッドで横になる。自室とはいえエマの部屋をシェアしているだけだが。
私がいるとエマはあまり部屋に入って来ない。いじめられると思って怯えていたりするのかしら。ふふ、可愛い妹。
「んー……あ」
いいことを思いついた。
すぐにベッドから起きたヴィータは、アークライド事務所の前に転移で飛んだ。
《モンマルト》の入口付近に、適当に調達してきたメールボックスを設置し、立て看板を地面に突き立てる。
ここは情報交換の場だし、チーム関係なく色々な人が行き交っている。目にも触れやすことだろう。
「ふふ、楽しくなってきたわ」
立て看板にはこう書いておいた。
《ミスティお姉さまのお悩み解決BOX》と。
●
《★忘却の揺らぎ★》
「おかえり、アンちゃん」
アンゼリカがドアを開けてリビングに入ってくる。
それを出迎えたのはトワだった。
「ただいま、トワ。紅茶を淹れてくれたら嬉しいな」
「いいよ。砂糖とミルクは?」
「不要だ。代わりに愛情を注いでくれたまえ」
アンゼリカはテーブルにつく。
「どこに行ってたの?」
「ジェニス王立学院の裏山だよ。ほら、アニエス君に発勁を教えていると言っただろう」
「ああ。覚えが早いんだってね。すごいね」
「才覚は確かにあるよ。武術における習得の早さは、自分で考える人間か、素直な人間かによって決まる。彼女は両方を兼ね備えている」
「そこまでアンちゃんが手放しで褒めるって、何気にけっこう珍しいよね」
「良いものは良いと言うさ」
茶葉の用意を手早く済まし、トワは戸棚からティーカップを出す。
ここはヘイムダル地区、アルト通りにあるクレイグ邸だ。元々は第三学生寮を待機拠点にしていたが、人数が増えてきたのでエリオットにお願いして間借りさせてもらっている。
エリオットも『どうせ本当の家じゃないから好きに使って欲しい』と快諾してくれたのだった。
「はい、どうぞ」
ティーカップをアンゼリカの前に置く。
「おいしい」
「まだ飲んでないよね?」
「トワが淹れてくれたという事実でもうおいしい」
「どういうことなの……」
トワも椅子に座る。
ふと話題に上がったアニエスのことを考える。ノルドエリアで合流して、立て続けに空エリアの攻略に入ったから、実はまだあまり彼女との接点がない。
しかしあのアラミス高等学校の生徒会に所属しているというし、教職に携わる者として一度話を聞いてみたいとは思っていた。
カルバードの学校ってどんな感じなんだろう――
「あっ」
考え事をしていたせいか、うっかり指があたって、トワはティースプーンを床に落としてしまった。
それをアンゼリカが拾い上げた。
「おっちょこちょいなトワも可愛くて好きさ。新しいスプーンに変えてくるよ」
「あ、待って下さい、店員さん」
彼女に手を伸ばし、まったく無意識に発した言葉だった。
瞬間、視界にノイズが走り、見ている光景が別の何かに切り替わる。
木目調のテーブル。飲みかけのグラス。食べかけの料理。アンちゃんが左側に座っていて、クロウ君が正面にいる。
何年も前のような気がするし、さっきの出来事のような気もする。これはいつのこと? 何の話をしていたんだっけ。
「トワ?」
怪訝な表情でアンゼリカが振り向き、トワの視界はクレイグ邸に戻った。
「あ、あれ。私なんで今……」
「理解した。今日はそういうシチュエーションがお望みなのだね」
「へ?」
「店員と客の逢引か。悪くない。悪くないな……!」
ふんすふんすと鼻息が荒くなる。しまった。アンちゃんの変なスイッチを押してしまった。
「ク、クロウ君! エマージェンシーだよ! クロウ君!」
「あ~……?」
二階のエリオットの部屋から、クロウが気だるげに顔を出した。
アンゼリカとの二人暮らしが危険と判断したトワは、クロウもここを待機場所にするようにお願いしていたのだ。彼はあくび混じりで、吹き抜けから一階の様子を見下ろす。
「今日の私は昂っているぞお!」
「今日もでしょ!? やだああ!」
「……ほどほどにしとけよ。俺は昼寝の続きすっから。たまには惰眠を貪るってのも悪くねえ……」
そう言い残すと、クロウはまた部屋に戻ってしまった。無慈悲に閉じられる扉。
「ちょっとクロウ君ってば! 助けてよう!」
「とうっ!!」
何か大切なことを思い出せそうだったのに、天井灯さえ遮るアンゼリカの大ジャンプが全てを台無しにした。
●
《★弄んでシークレット★》
幻影の図書館にも書籍はあるらしい。中身まで再現されているのかはわからないが。
部屋で姉さんと二人でいると、呼吸をするようにいじめられる。
だからエマは時間潰しにトールズ本校にやってきていたのだった。
「あら……?」
図書館の二階に上がると、本棚の間に身を潜める人影を見つけた。
ミストマータか? 魔導杖を構えかけたが、すぐに警戒を解く。
「クロウさん?」
「うおっ!?」
声をかけると、彼は驚いた顔を振り向けた。
「なんだ、委員長か。どうした」
「もちろん本を見繕いに。というか、まだ私のことを委員長と呼ぶんですね。フィーちゃんからもたまに言われますが」
「退役軍人を当時の役職で呼ぶことは、慣例として珍しくねえんだぜ」
「卒業した学級委員長と退役軍人って同じ扱いでいいんでしょうか……? さておきクロウさんはどうしてこちらに? まさか読書というわけではないでしょう?」
「失礼なイメージを持ちやがって。俺だって本くらい嗜むっつーの。グラビア雑誌とかな」
「それを読書と言っていいのかどうか」
「れっきとした知識の泉だろうがよ」
「その濁った水溜まりはこの図書館にないジャンルですよ。私にはクロウさんがどこか周囲を警戒しているように見えましたが」
「鋭いな。まあ、なんつーか……リィンだ」
疲れたようにクロウは吐露した。
「そもそもさっきまで自室で寝てたんだけどな。トワとゼリカがキャンキャンうるせえから外出することにしたんだが……ただリィンに見つかりたくねえんだ」
「またリィンさんに怒られるようなことを」
「またって何だ。最近、やたらと教官に就職しろって勧められまくるんだよ。個人的には結社抜けて猟兵ルートかなって思ってんだが」
「社会的にクロウさんは今、住所不定無職ですからね」
「おい」
「個人的には似合うと思いますよ、教官職」
クロウは不服そうだった。この話を広げたくないのか、彼から話題を変えた。
「そういや図書館にいきなり現れたよな。ここに来たのはエリア転移じゃなくて、魔女の転移術でか?」
「ええ。エリア転移は大まかな地点にしか行けませんし。その地点も増えてきてはいますけど、自分の感覚で座標決定ができる転移術の方が都合がいいんです」
「一般人の俺からしたら、このエリア転移も相当便利だけどな」
「あとは単純に使い慣れしているのもありますが。少ない霊力で長距離転移もできるようになりましたので、やはり利便性は転移術が一枚上ですね」
「ふーん、まあ反射的に使う場合は、自分の身に染みついた方なんだろうな」
その時、どこからか軽快なミュージックが大音量で鳴った。
「な、なんだぁ!?」
「聞き覚えのある音楽のような……?」
その曲に重ねて、澄んだ声が響く。
『はーい、リスナーの皆さん。ミスティでーす』
●
《★復刻のアーベントタイム★》
「はーい、リスナーの皆さん。ミスティでーす。霧も晴れて良いお天気が増えてきましたね。今日は特別にアーベントタイム《ロア=ヘルヘイム》バージョンでお届けします」
ヴィータはマイクに向かって声を吹き込む。
感度良好、音量問題なし。
トールズ第Ⅱ分校の二階放送室である。そこをブースにしてラジオ配信を行うのだ。
「まずはたくさんのお便りありがとう。みんな、たくさん悩み事があるのね。ミスティお姉さんのアドバイスで、少しでも解決の手助けになれば嬉しいわ。それじゃあさっそく、一人目行ってみましょうか」
メールボックスから一枚の便せんを抜き出す。この箱は《モンマルト》の入口前に“ミスティお姉さまのお悩み解決BOX”と銘打って設置していたものだ。
それなりに反響があり、面白半分で投函してくれた人も多いらしい。
「えーっと、リベール在住のE・Bさんからですね。『ミスティお姉さんこんにちは。実はあたしの幼馴染のJ君なんですけど、最近変な本を読んで影響受けちゃったみたいで、ちょっとなんていうか……ストレートな欲望を人目をはばからず口にするようになったというか……それであたしどうしたらいいのか困ってるんです。助けて下さい、ミスティお姉さん!』――うんうん、なるほど」
その内容に、ヴィータは納得した。
「つまりエステルさんはヨシュア君がエッチな感じになったことに戸惑ってるのね。わかるわー、思春期って大変よね。でもヨシュア君も男の子だもの。エステルさんの健康的な太ももにムラムラしてるのよ。ギンギンギラギラヨシュア君なのよ。ま、そういう感じで」
イニシャルから本名を全暴露し、雑にまとめて終わった。
ちなみに一応放送の形式を取っているが、実際はマイク音声を魔女の術で転送し、この学校エリアと街エリア全域に大音量で響かせている。
「ふふ、次々行っちゃうわよ」
嬉しそうに楽しそうに、ヴィータは二枚目のお便りを抜き出した。
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《★疾風のアーベントタイム★》
「次はカルバード留学中のレン・ブライトさんから『後輩の発育が止まらなくて困っています。助けて下さい、ミスティお姉さん』ですって。あら~切実ねえ。でもアニエスさんってまだ高一だから、これからさらにすごいことになるかもしれないわよ。よくわからないけど、体を縛って圧迫でもかけてみたらどう? 拘束で発育を抑制できたりなんかして」
次。
「続いてはクロスベル在住のエリィ・マクダエルさん。『男性二人が私の同僚を取り合うんですけど、なぜか私が蚊帳の外なんです。どういうことでしょう』だって。ロイド君人気ねー。ワジ君とランディ君の気持ちもわかるわ。一部には需要もあるし、アルフィン殿下もはかどるって仰ってるし、この際エリィさんが身を引いたら?」
次。
「エレボニア在住のクルトさん。『ラウラ先輩の料理がおいし過ぎて困ってます』。あらそう。じゃあ次」
どんどん解決。というか処理。
「住所不定のアンゼリカさん。『トワが可愛い。お風呂に一緒に入りたいのに鍵をかけられてしまう。どうしたらいいだろうか』ね。うん、鍵壊せば?」
次。
「エレボニア在住のエリゼさん。『トヴァルさんの存在に困ってます』かー。ずいぶんざっくりしてるけど、リーシャさんあたりにお仕事の依頼かけたら? 迅速丁寧低料金で片付けてくれると思うわ」
次。
「カルバード在住のカトルさん。『FIOとXEROSがヴァンさんとアーロンさんのせいで人類を憎んでいます。元に戻すいい方法はないでしょうか?』 そうねえ、そのヴァンさんとアーロンさんを生贄にしたら解決するんじゃない?」
ああ、楽しい。
やっぱり私ってトークの仕事が向いてるかも。そうだ、これもやってみよう。
「みんなのお悩み、解決できた? ここからはゲストもお招きしちゃおうかしら。転移術で呼ぶから拒否権はないわよ」
●
《★今日もまた誰か、乙女のピンチ★》
「ねえ、どうしよう……」
「どうしましょうね……」
グランセル城のテラスから、エステルとクローゼは遠い目をして景色を眺めていた。
「まあ、なんていうの? 別にヨシュアも健全な男子だし? そういうの当たり前だし? 別に変なことじゃないし? だけど……」
「わかります。ヨシュアさんはそのままでいてほしかったといいますか、イメージ通りであって欲しかったという気持ちは強いですよね……」
「なんかもう《漆黒の牙》ってのも、あれな意味にしか聞こえないわ!」
「お、お気を確かに! エステルさんの心身がここまで消耗するなんて……!」
ヨシュアの部屋に《猛将列伝》を置いたのはクルトではなく、元をたどればアーロンらしいということまでは判明した。
「アーロンさんに話を聞きに行きませんか? 彼なら何か知っているかもしれませんよ」
「そうね……。アーロン君がヨシュアをそそのかしたパターンもあるもの」
「なんだァ、ここにもヨシュアいねえのか。一体どこ行ってんだか。本読んだか聞きに来たのによ」
タイミングが良いのか悪いのか、そこにアーロンが現れた。どうやらヨシュアを探しに来たようだ。
「ちょーっと待ちなさい! 本って言ったわね!? それってこれのことでしょ!」
「あ? なんでアンタが《猛将列伝》を持ってんだ?」
エステルは証拠品とばかりに、それをアーロンに突き付けた。
「ヨシュアの部屋にあったのをあたしが回収したのよ! よくもこんな……!」
「へぇ……好きモンだな、アンタも」
「勘違いしないでよね! あたしはこんな本なんかに興味なんてないんだからね!」
「いけません、エステルさん! そのセリフは興味ある感じに聞こえてしまいます!」
焦って止めるクローゼ。アーロンはくっくといやらしく笑っていた。
「ヨシュアは真面目で責任感の強い人よ! そんな本なんて読まないわ!」
「そうです、彼は紳士です」
「おーおー、耳がかゆいねぇ」
エステル、クローゼVSアーロンのレスバトルが始まった。
「そういうのを偏見っつーんだ。真面目で紳士は読まねぇだと? 押しつけがましいお宅らの願望をヨシュアに押し付けてやるんじゃねえよ」
「あたしは子供の頃からヨシュアのこと見てきたのよ! 誰よりも理解してる自信があるわ! 押し付けなんかじゃない!」
「四六時中見張りでもしてんのか? 違うだろ。理解したつもりになってるだけだ。アンタらは仄暗いヨシュアの欲望を知らねえだけだ」
「く、くうっ!」
「そうやって“ヨシュアはこうあるべき”みてぇな偶像の型に嵌めてよ。本当の自分をさらけ出せない一生があいつの幸せなのかよ! オレは抑圧からの解放を手助けしてんだ!」
「くううぅう~!」
ダメージを食らったエステルの代わりにクローゼが前に出た。
「あなたの言うことにも一理はあるのでしょう。確かに今まではイメージのヨシュアさんしか見ていなかったのかもしれません。でも、それでもあのような……」
「その先が言えねえのか。どうやら“しつけの章、従順王太女の懇願”を読んで自分と重ね合わせたようだな」
「っ!」
「あれがヨシュアの抱える本質だ。アンタよぉ……アイツに躾けられてぇんだろ」
「そんなこと……!」
「いいや、さっきから曖昧な言葉ばかりではっきりと否定をしてねぇ。それはつまりヨシュアの欲望を心のどこかでは肯定してるってことだ」
「ち、ちがっ」
「じゃあ想像しろよ! ヨシュアが《猛将列伝》みてぇにお仕置きかましてきたら、アンタどうすんだ!? 上辺ではイヤイヤ言っても受け入れちまうんだろ!? ええ、おい! リベールの従順王太女さんよォ!!」
「くうぅう!」
クローゼはへたり込んでしまった。
「言い返せない……!」
「正直、今のはちょっと言い返して欲しかったわ!」
「こいつは返してもらうぜ」
アーロンはエステルの手から《猛将列伝》を掠め取った。
「あっ、ちょっと!」
「改めてヨシュアに読んでもらうとするか。力を求めてるヤツは、この魔力に抗うなんざできやしねえ。夜に弾けるヨシュア・ブライト……くく、
「や、やめてええええ!」
エステルの慟哭の中、一人の少女がアーロンの背後に近づく。
アニエス・クローデルがゆらりと掌底を持ち上げる――
●
《★進撃のアーベントタイム★》
「ではでは一人目のゲストはジュディス・ランスターさんでーす。ジュディスさんはカルバードで有名な女優さんなんですよー」
いきなり転移術で呼び出されたジュディスは、ヴィータと対面して座らされている。
「ど、どうも。ヴィータさんのラジオに呼んで頂けるなんて緊張します」
「今はミスティお姉さんって呼んでね。ところでジュディスさんには尊敬してやまない憧れの人がいるのだとか?」
「えっと、はい。帝国のオペラ歌手のヴィータ・クロチルダさんですけど……」
「そのあたり詳しく」
「そうですね。歌唱力やパフォーマンスの高さだけじゃなくて、ミステリアスな雰囲気も合わせて持っていて、カリスマ性っていうんでしょうか。すごく惹きつけられますよね」
「いいわ、もっとちょうだい」
「その……美人だし、スタイルいいし、きっとすごく努力をして、でもそういうのを人には見せなくて、生き様からしてかっこいい女性だなって」
「最高よ、ジュディスさん。全人類があなたを見習えばいい」
「き、恐縮です」
「ところで何か面白い話ない?」
「ええ!? そんなキラーパス!?」
「お友達の暴露話でもいいわよ」
尊敬するヴィータのために、ジュディスは一生懸命考えて、
「じゃああたしの親友のR・Mさんのことなんですけど」
「リーシャ・マオさんね」
秒で実名をばらす。
「最近、意中の男性へのアピールに手こずってるみたいで、可愛い系路線で攻めるか、セクシー系路線で攻めるか迷ってるみたいなんです」
「いやいや、今の時点ですでに歩くセクシーでしょうが。セクシーの広告塔みたいなものでしょうが。何言ってるの?」
「自覚ないんですよ。それでまあ、ヒラヒラの服とか探すのにファッション雑誌とにらめっこして。散々迷走した挙句に買ったのが謎のイラスト入りTシャツで、しかも結局一度も着てないというチキンっぷりで――」
ズガンッ! と放送室のドアが外側から攻撃を受ける。斬撃や爆発が立て続けに起こり、何者かが無理やり突破しようとしてくる。
「ひっ! リーシャ!?」
「あら、場所が特定されちゃった。でも大丈夫よ。私の結界はそうそう壊れないから。他には?」
「ま、まだやるんですか?」
「セクシー繋がりのアクシデントとかないわけ?」
「私事であれなんですが……ヴァンにあたしの裸見られました」
「よくあるやつね。リィン君も定期的にやらかしてるわ」
「これあるあるなんですか……?」
「灰の剣聖はやりたい放題よ。同期、教え子、先輩、後輩、見境なし。きっと更衣室とかシャワールームとか、自分の専有部だと思ってるんじゃない? それであなたはヴァン君にどんなふうに見られたの?」
「真正面からガン見です。しかもその後なんかハードボイルド気取って、『好きにやってくれや』みたいに頬を差し出してきて」
「あーはいはい、勘違い男の恥ずかしいやつ。クールに取り繕う感じがまた痛々しいわ~」
ズドンッ! と新たな攻撃が扉に直撃。廊下側に電撃がバリバリと走っている。さらに重ねて別の斬撃が連続する。八葉の太刀筋だ。
「ヴァンも来たんですけど……あと話題の剣聖も」
「作戦の打合せ中のはずなんだけど、ヒマなのかしら」
「あたし、殺されませんかね……」
「そろそろゲスト変えましょうか。ジュディスさん、ありがとうございました」
「あ、こちらこそありが」
セリフ途中に転移で送り返されたジュディス。ゲストの扱いさえ紙のごとく軽かった。
●
《★妄言のアーベントタイム★》
「ミルディーヌ公女とお呼びするべきかしら?」
「もちろんミュゼで構いません」
次に放送室に召喚されたのはミュゼだった。ちなみに彼女はヴィータから魔術の指南を受けたことがある。
「とりあえず身内の暴露話で場を沸かせればいいのでしょうか?」
「話が早くて助かるわ」
ミュゼは神妙な面持ちになり、重い口調で切り出した。
「その方の名誉のために名前を明かすことはできませんが……私が普段お世話になっているリィン教官の話なんですが」
「言ってるじゃないの」
「てへっ」
コツンと自分の頭を叩くミュゼ。とても良い性格をしているわ。
「そのリィン教官がどうしたの?」
「ある日、誰もいない放課後の教室に呼び出されたんです。何かの打ち合わせかと思っていたら」
「いたら?」
「そこに待っていたのは欲望を隠そうともしないケダモノティーチャーでした。嫌がる私を押さえつけ、無理やり言うことを聞かせようとして……」
「あら大変。それから?」
「私のささやかな抵抗をあざ笑うかのように、リィン教官はこんなことを言いました。“俺に従え。そうすればユウナとアルティナには手を出さない”と。私は自己犠牲の精神から、その要求に応じました」
扉への斬撃が激しくなる。件の教官の圧が強くなった。
「ですが、その時の私は知りませんでした。同様の手口で、すでにアルティナさんとユウナさんも教官の手に堕ちていたことに」
「とんでもない鬼畜教官ね」
「それからというもの、時間や場所を問わず、私は教官の望む奉仕を強いられました」
「どんなシチュエーションがあったの?」
「更衣室、保健室、音楽室、屋上、廊下、厨房、プール、掃除用具入れ、教官の机の下、機甲兵のコックピット、アインヘル要塞では魔獣に囲まれながら……。リィン教官は夜行列車デアフリンガー号の権化です」
「おそろしく突き抜けたな性癖ね。人として終わってる。もはや廃の剣性だわ」
ドゴン、ドゴン! と外からの衝撃で放送室が揺れ動く。
これは神気合一まで使っている。
「うーん、耐えられるかしら、私の結界」
「あ、じゃあそろそろ逃がしてもらえます?」
「あなたこれ、逃げたところで後でお仕置き受けるんじゃない?」
「それはそれで」
●
《★終劇のアーベントタイム★》
「今日のアリサお嬢様の下着は白のフリルです」
次に召喚されたシャロンは、椅子に座るよりも早くそう言った。第一声がそれだった。
「今日のエマの下着は黒の花柄よ」
負けじとヴィータも言う。妹分たちを辱めるためだけの挨拶だった。
「それじゃあ復刻アーベントタイムもそろそろ幕とするわ。あなたが最後のゲストなのだけど」
「暴露と言われましても、わたくしにはお嬢様の日記大公開くらいしか……」
「そうよねえ、私も残るネタはエマが子供の頃に書いた恋愛小説を朗読するくらいしか……」
窓の外から矢が何本も飛んでくる。魔術による火球も連弾で撃ち込まれた。全て結界に阻まれて、こちらには到達しない。
「エマやアリサさんの抗議かしら。可愛いこと」
「ええ、お嬢様はいつだってお可愛いんですよ。今日だってリィン様がセントアークの帰りに立ち寄るからと、ずいぶん早くからルーレ駅でお待ちになられて」
「まあ、いじらしい。……ってそれいつの話?」
「あら……?」
ビキビキッと結界に亀裂が入った。あらゆる人たちの度重なる猛攻に、ついに障壁が限界を迎えたのだ。
「ヴィータ様。これはまずいかと」
「承知しているわ。じゃあ最後の一人を呼ぶわね」
「最後はわたくしでは?」
「身代わりマペットって知ってる?」
「なるほど」
ヴィータが転移術を発動。
呼び寄せられたのはクロウだった。
「あ? いきなりなんだ、ここは?」
「いらっしゃい」
「お前が呼んだのかよ。つーか暴露放送聞いてたぜ。やばいんじゃねえのか?」
「そうなのよ、やばいのよ。私は逃げるから、時間稼ぎをして欲しいの」
「やるわけねえだろ。なんで俺がそんなこと」
「まあまあ、そう言わずに。私の騎士様」
ヴィータはクロウに魔術をかける。
ベキベキィと扉に異音が軋んだ。
「はい、終了」
「……俺に何した?」
「あなたの姿が私に見える幻術をかけたわ。じゃ、あとよろしく」
それを言い残すとヴィータはシャロンを連れて転移術で離脱した。
同時、扉が突破される。怒りに満ちた被害者の皆様が、エマを先頭に放送室になだれ込んできた。
●
《★閃光の発ケス★》
「アーロンさん、またセクハラまがいなことをしていたんですか? しかもリベールのお二方に」
グランセル城のテラスに現れたアニエスは、静かな口調でそう言った。
「勘違いすんなよ。元々この二人に用はねえ。用があんのはヨシュアだ」
うなだれていたエステルが言った。
「うぅ……アーロン君がヨシュアに卑猥な本を見せて、その道に引きずりこもうと……」
「理解しました」
そもそもアーロンはヨシュアとの関わりがそこまでないはずだ。何を企んでいるかは知らないが、ろくでもない事には違いない。
ここで止めなくては。それに私の大好きなクローゼさんにまで、何かしらのショックを与えている。
「もう、アーロンさんったらっ」
「おおっと、暴力反対」
見た目は軽いノリでアーロンをはたこうとする。アーロンも冗談だと受け取って、身をひるがえして避けた。
背中がこちらに向いた。アニエスはごく自然な動作で、その背に手のひらを添えた。
ジンさん、アンゼリカさん。使わせてもらいます。
修行の成果を今――
何かがおかしい。それは0.001秒の違和感だった。
避けたはずのアニエスの平手が、再び背に触れている。しかもその手の平は吸い付くように、隙間なく密着している。
発勁だ。
思考よりも先に直感がそう告げた。
なぜアニエスが勁を扱える。ヴァンが教えたのか? しかしそんな素振りはなかった。では誰が。いや、そんなことはどうだっていい。
こいつはオレを本気で仕留めに来てやがる。
だが甘い。素人に毛が生えた程度の打撃でやられるもんかよ。
アーロンは即座に動いた。
アーロンが体軸を前にずらした。
アニエスの手のひらが、わずかに彼の背から離れかける。感づかれたのだ。
こんな些細な動きから察し、瞬時に“勁外し”に切り替えるなんて。これが天賦の才の片鱗。
それでもやるしかない。ここで引くなんてできない。
アニエスはアーロンが前に出た分だけ、自分も重心移動を行い、力の伝導の正確さを保とうとした。
腰を入れ、脇を軽くしめ、前足の膝は地面と垂直に。後ろ足で地を踏み、そこに生み出た力を、螺旋を描くイメージで腰、背、肩、腕の順番で流す。
途切れさせてはいけない。力が丹田を経由するよう、意識は常に切らさない。
手首にまで熱さと重さが伝わった。撃てる――!
発勁を打ち込まれた際の対処法は大きく二つある。
あえてこちらの体軸をずらして、相手からの力の波を正しく伝わらなくする。いわゆる受け流しだ。だがこれは今、失敗した。
オレがずらした体軸の分だけ、アニエスが軌道修正してきたからだ。
もう一つが、勁の相殺。
相手の発勁に合わせて、こちらも発勁を放つ。波に波をぶつけて威力を消すという“勁返し”の概念だ。
今オレは背を向けている。しかし発勁は肩や背からでも打てる。達人の繰り出す勁を混ぜた鉄山靠は、岩をも砕くほどだ。
そこまでではないにせよ、オレも背からの発勁の基礎は扱える。
若干前に傾いた重心を正中線上に戻す。息を吐き、脇をしめ、丹田に集中。後ろ足の踵で一気に地を踏み、アニエスの手のひらに逆に背を押し付けてやった。食らえ――!
アンゼリカから言われていた。
“勁外し”から“勁返し”を相手がしてきた場合の対処法は二つだと。
一つはその軸のずらしを意に介さないほどの威力で圧砕する。ただしこれは実力不足の私にはできない。
もう一つは。
アニエスは間髪入れず、自分の前足をアーロンの後ろ足の下に潜り込ませた。自らの足の甲で、彼の踵を滑らせる。
「てめっ……!」
力の発生点を崩した。これでアーロンは勁を生み出せない。
読みには競り勝った。
アニエスから放たれた発勁が先に到達する。衝撃がアーロンの背から胸までを貫いた。
「小……娘、が……」
アーロンは膝からくずおれる。ついに諸悪の根源を討ったのだ。
「や、やった。やりましたよ、クローゼさん!」
「えっと、おめでとうございます……? でも、アーロンさん動かなくなっちゃいましたけど」
「はいっ!」
「はいじゃなくて」
●
《★未来に過去は★》
「ひでぇ目にあった……マジでヴィータ、あの野郎」
自分が暴露の対象となるや、エマは血相を変えて飛んで行った。
そしてまもなく自分も転移でヴィータに呼びつけられた。ただの生贄として。
やっとのことでトールズの図書館に戻ってきたが、もうエマは帰って来なかった。
「あら、クロウじゃないの」
代わりにそこにいたのはスカーレットだった。
「おう、珍しいな」
「あなたこそ」
「さっきまでいたんだよ、ヴィータの身代わりで呼ばれるまでは」
「ああ、さっきの暴露放送。私はご意見BOXに投函しなかったからね。今、心底安心しているわ」
「賢明な判断だ。で、何してんだ?」
スカーレットは近くの椅子に座った。
「感傷に浸ってるのよ。さすがに二年務めたから、思うところもあってね。ほら、一度離れたら気軽に敷地内には入れないでしょ?」
「そういうとこ律儀だよな」
スカーレットはサラの後を引き継ぐ形で、先日までトールズの臨時武官を担当していた。
アルフィンたちの卒業と同時に、晴れて《紅の騎士》としてバルフレイム宮に勤務地異動となったのだった。
「それなりに私の授業は人気だったのよ。メアリーほどじゃないけど」
「メアリー教官か? 音楽教官の?」
「知らなかったのね。定年退職したベアトリクス教官に代わって、保健医に転向したのよ」
「あ、いや。聞いてはいた。そういえばそうだったか」
しかし何をどう間違えたのか、とんでもないセクシー女医キャラになったらしい。その背景にはエリオットの影響があるとも噂されたが、真相は闇の中だという。
「二階から飛び降りたりしてね、わざわざケガをこさえて保健室に運ばれていく輩もいたぐらいよ」
「ははぁ、どの世代にもバカはいるんだな」
「そのおバカさんの面倒をこれから見るくせに」
「あ?」
「え、あなたも教官になるんじゃ」
「はああ!? リィンとかトワから聞いたのか!?」
「まさにその二人からだけど。なに、まだ確定事項ってわけじゃないの?」
あいつら外堀から埋めて、既成事実を作ろうとしてやがる。あのモンスターティーチャーどもめ。
「ならねえし、なれねえよ。俺は元テロリストだぜ」
「うん、私もだけど」
「そうだった……」
「ひどいわ。一緒に国家転覆を企てた仲じゃない」
「同じ部活の仲間くらいのノリで言うんじゃねえよ!」
「合うと思うけどねぇ、教官」
思い返せば、『教官になるのはどう?』という話題の大元は、少し前のスカーレットとの会話がきっかけだった。
うかつにもそれをリィンとトワに洩らしてしまったから、今の事態に陥っているのだ。
「仮にあなたがその道に進むって言ったら、ギデオンやヴァルカンは笑うでしょうね」
「だろ、馬鹿にして笑う姿が想像できちまうぜ」
スカーレットはおかしそうに破顔した。
「そうかしら? 彼らなら笑ってあなたの背中を押すと思うわ」
●
《★竜の泉★》
街エリア区画を抜け、道なりにまっすぐ。
その道も途中から途切れ、舗装されていない路面を遊撃士トラックは進む。
「――そうなんですか。SCのお仕事というのは大変なんですね」
「エリゼ様ならつつがなくこなせると思いますよ。マルドゥック社の事務業務に興味はありませんか?」
その車中の後部座席では、エリゼとリゼットが仲良さげに話していた。
運転席はもちろんトヴァルだ。
「お嬢さん方、もうすぐ目的地だ。ミストマータが近くにいないか、注意して周囲を見ておいてくれよ」
「かしこまりました」
「わかってますけど」
エリゼお嬢さんの言葉にだけトゲを感じる。ツンデレってやつか。相変わらず思春期の女子は難しい。
道端にエリゼお嬢さんが一人でいたから、『一緒に行くかい』と遊撃士トラックから声をかけたところ、秒で『行きません』と断られた。
しかしリゼットが先に乗っていることに気付くと、『リゼットさんを守るために』という理由で彼女も乗車したのだった。まったくツンデレだぜ。
相当の長距離を移動し、ようやく目的地の近くにたどり着く。
「この向こうがフヴェルゲルミル湖か」
トラックは湖の前方2000アージュほど手前で停車した。
霧の大元にして、幻竜《ニーズヘッグ》の住処。そして中央に黎明樹《ユグドラシル》がそびえ立つ煮えたぎる湖。
「これ以上近づくとあのドラゴンに見つかるかもしれんし、何より再び霧に囚われちまう可能性もある。何か情報を持ち帰れれば良かったんだが……」
すでに蒸気だか霧だかが、うっすらと漂い始めていた。
「でしたらわたくしが偵察に行きましょうか? 《Xipha》持ちですから、囚われる心配もありませんので」
「ダメですよ! リゼットさんに何かあったらどうするんですか!? トヴァルさんが行きますから!」
「うん。うん……?」
それだと俺になら何かあっても構わないという意味に聞こえる。ツンデレも程々にな、お嬢さん。
「ではせめて、どの程度の温度なのかを計ってみましょう。熱さの度合いで、そこを根城にするニーズヘッグの表皮の強さに憶測がつきます」
「ではトヴァルさん、潜水のご準備を」
「え、泳いで計ってくんの、俺」
煮えたぎるってんだから100度は超えてるだろ。
「しかしエリゼ様。それだとトヴァル様の皮が煮込んだ玉ねぎのようにズルッとむけてしまうかもしれません。温度計測くらいであれば、《Xipha》のサーチでこの距離からでも拾えるかと思います。わたくしにお任せを」
なんかリゼット嬢も怖いこと言ったよな。
《Xipha》を取り出し、何やら細かな設定をしつつ、彼女は測定波を《フヴェルゲルミル》へと飛ばした。
まもなく《Xipha》の画面に推定温度が表示される。それを三人はのぞきこんだ。
『……3000度?』
★ ★ ★
破鏡の光が失われていく――
《話末コラム①》【街エリアの呼称】
街の位置関係を把握しやすくするために、ヴァンたちは『主格者エリア→区画→地区』の順に呼称している。
たとえば
『街エリア、ヘイムダル区画、オスト地区』
『街エリア、クロスベル区画、旧市街地区』
『街エリア、リベール区画、ロレント地区』
などである。最初は《ヘイムダルエリア》とひっくるめて呼んでいたが、後から様々な各国の場所が見つかり、このような呼称管理の仕方になった。
最近ではヘイムダルの外れにレグラム地区も発見されており、『街エリア、ヘイムダル区画、レグラム地区』と少しややこしかったりする。
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《話末コラム②》【アーロンのその後】
アニエスから発勁を受けた後、アーロンはしばらく経ってから目を覚ましている。
小さなトラウマが芽生えたらしく、アニエスに背後に立たれると落ち着かなくなるようになった。アニエスが目を光らせるので、多少はセクハラ発言も収まったらしい。
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《話末コラム③》【シェラザードの地図】
【挿絵表示】