黎明の軌跡 Break the Nightmare   作:テッチー

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★物語の記憶の断片★

虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》

虹の軌跡2.5 Dragon's breath




黒の史書《虹の追憶》

《七耀暦1204年》

 

『10月』

・十月戦役勃発。灰の騎神起動。リィン・シュバルツァーがトリスタから戦線離脱。

 

――【虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》】開始――

『12月』

・リィンがアイゼンガルド連峰で目覚める。

 

・ユミルにてアルティナがアルフィンとエリゼをさらうが、ヴァリマールの追撃を受けてエリゼのみ解放する。

 

・Ⅶ組を見つけるための各地への転移に、エリゼも同行するようになる。同時にエリゼは色々やらかしたトヴァルを警戒するようになる。

 

・各地での貴族連合との戦闘の最中、準契約者たちのマスタークオーツの特性を身に宿す騎神リンクが発動。

 

・ユミルの雪合戦にて勝利したエリゼが、母ルシアから《雪帝》の称号を背負わされる。

 

・ユミルに《パンタグリュエル》襲来。敵旗艦内にて、アルフィンとエリゼの身柄交換を行う。アルフィンはリィンたちの元に戻ってくるが、エリゼは貴族連合側に囚われる。

 

・クレアからの進言で、リィンたちは個々に新たな力の取得に挑む。

 

・双龍橋での戦闘で、リィンは準契約者二名と同時にリンクを繋ぐ《重奏リンク》を発現。

 

・カレル離宮の侍女として扱われるエリゼは、女性近衛兵のリゼット・ヴェールと出会う。突如として現れた幻獣を二人で倒すが、以降エリゼは秒針が進むようなカチカチという音を幻聴するようになった。

 

・ルーレ郊外での戦闘において、アリサ専用機甲兵《レイゼル》がロールアウト。

 

ジョルジュが寝不足解消のために、見たい夢を見る機械を作るも、他者同士の夢を繋ぐ機械として作動。そのような力を有していることをジョルジュは知らず、以降、度々リィンたちは夢の世界に呼び込まれる。黎明の軌跡へ。

 

・ケルディック焼き討ちの報を受け、《紅き翼》がオーロックス砦に介入行動を開始。スカーレットの《ケストレル》とアリサの《レイゼル》が交戦。その最中にアルフィンはスカーレットを自分の騎士になるよう勧誘する。

 

・オーロックス砦戦にてユーシスとマキアスが初のオーバーライズを果たし、お互いの過去と思しき光景を幻視する。加えてヴァリマールとリィンの成長に伴い、三人を同時につなぐ重奏リンクが発現。

 

・オーバーライズによる過去の幻視現象は、戦術リンクの臨界を超えたことで感情の写し鏡として機能した可能性があると、マキアスは推察する。

さらにそのオーバーライズとⅦ組全員での重奏リンクを同時に使うことでクロウの過去に迫り、彼の本当の気持ちを理解しようと提案した。

 

・カイエンに連れられるセドリックを護衛するために、エリゼもバルフレイム宮に同行する。

 

・カレル離宮奪還作戦にて、リィンがリゼットに狙撃される。致命傷を負ったリィンは、ヴァリマールの核内に取り込まれる。同時、ヴィータの魔王の凱歌(ルシフェンリート)により煌魔城顕現。

 

・リィンは戦線離脱。Ⅶ組を確実に煌魔城に送り届けるために、トワは《カレイジャス》で《パンタグリュエル》に制圧戦を仕掛ける。

 

・ヴァリマールの核内。異界の戦場に酷似した精神世界で、リィンはドライケルス・ライゼ・アルノールの意思の欠片と出会う。

 

・意識を取り戻したリィンは命の刻限が迫る中、ヴァリマールと共に最終決戦に挑む。煌魔城の天守でクロウの駆るオルディーネと一騎討ちを行う。

 

・Ⅶ組全員でのオーバーライズと重奏リンクを発動。クロウの過去と想いを知り、またクロウも戦意を失い、リィンとの戦いは終わった。

 

・カイエンはセドリックのアルノールの血を使って《テスタ=ロッサ》を起動させようとするが、エリゼの妨害によって失敗。皇族の遠縁にあたるシュバルツァー家であるエリゼ。彼女にも流れるアルノールの血の残滓を用い、《テスタ=ロッサ》の覚醒に成功。

 

・偶発的に《緋の騎神》の起動者となったエリゼだが、実はカレル離宮で幻獣を倒した日から《テスタ=ロッサ》に巣食う暗黒竜《ゾロ=アグルーガ》に見定められており、ずっと呼びかけられていた。時計の針のように聞こえていた音は、暗黒竜が牙を軋る音だった。

 

・エリゼをトリガーとし、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》顕現。

 

・不時着したカレイジャスに、魔煌兵《イスラ=ザミエル》が襲撃。

スカーレットが駆け付け、《ケストレル》で応戦。最終的にトヴァルが《レイゼル》を繰り、撃破に成功。しかし同時に《レイゼル》は大破。後日、トヴァルは百枚に及ぶ反省文と始末書をアリサに提出させられた。

 

・《エンド・オブ・ヴァーミリオン》によるクロウへの致命の一撃を、エリゼが拒否して止める。

 

・トワ、アンゼリカ、ジョルジュの三名が《蒼の騎神》の準契約者となる。

 

・精神世界でリィンは再びドライケルスと邂逅し、問答の果てに鬼の力の制御に至る。

精霊の道を通って地上から届けられたゼムリアブレードを振るい、ヴァリマールは《エンド・オブ・ヴァーミリオン》を一刀の下に切り伏せた。

尚、エマは単身で精霊の道を開いた反動によって、魔女の力を完全に失う。

 

・エリゼは解放されるも、《ゾロ=アグルーガ》の呪いは彼女の魂に絡みついた。《緋》の起動者としての権限は有したまま、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》の因子を自身に取り込むことになってしまった。

 

・十月戦役終結。

 

 

《七耀暦1205年》

 

『1月』

・煌魔城決戦で意識を失っていたリィンが、ヴァリマールの核内より復帰。まもなく、1月から勃発していたクロスベル戦役へに臨時武官として参戦。

 

『3月』

・リィンがクロスベルの臨時武官の任を終え、トリスタに帰還。

 

・エリゼは自身の呪いを解く為に、トールズ士官学院に入学することを決める。アルフィンとセドリックもトールズへの入学が決定する。

 

・帝都にてエリゼとリゼットとの再会。未だ友人同士であることを確かめて、二人の道は離れゆく。

その後、リゼットはクロスベルに渡り、アルカンシェルに入団。

 

・《イスラ=ザミエル》との交戦の功績が認められ、スカーレットに対する司法取引が成立。正式にアルフィンの騎士となったスカーレットは、新Ⅶ組の担当教官に命ぜられ、遊撃士に戻るサラの後を継ぐことになった。

 

・皇族護衛とスカーレットの監察業務を兼ねる為、シャロンの後を継ぐ形で、クレアは第3学生寮付きの世話係となる。あくまで任務としてメイド服を着こなす。あくまでも。

 

・ラインフォルトの試練で戦った《レジェネンコフ(リィン)式》の頭部を、ラウラが寮に持ち帰ってくる。

 

・クロウはヴィータの勧めで、《身喰らう蛇》の執行者となる。

 

・リィン以外のⅦ組は学院を休学することになった。それそれの事情を片付けたあとは復学し、リィンと共に卒業することを約束する。

 

・トワたちの卒業式の日、Ⅶ組の仲間たちを見送ったあと、リィンはヴィータの歌声に導かれてトールズ士官学院でクロウと再会する。

卒業証書と花飾りはクロウの手に渡り、いつかの約束の50ミラ硬貨はリィンの手に戻って来た。

――【虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》】終了――

 

 ★

 

――【虹の軌跡2.5 Dragon's breath】開始――

『4月 緋色の春風に』

・エリゼたち新Ⅶ組入学。担当教官はスカーレット。メンター役としてリィンがつくことになった。一般授業の際、リィンは二年Ⅰ組の教室で講義を受ける。

 

・オリエンテーリング実習で、エリゼたちは旧校舎地下に叩き落とされる。セドリックはエリゼを下敷きにし、しっかりと胸を揉みしだく。エリゼは反射的にビンタを繰り出し、セドリックの頬に手形を残した。その場で互いに謝りまくり、リィンとアリサのように後日まで引きずるようなことはなかった。

 

・リィンが生徒会長に就任。兄を補佐する目的で、エリゼも生徒会に入り、主務を務める。忙しいリィンに代わり、学院も町も問わずに舞い込む依頼を一手に引き受ける。この依頼の関係でケネス・レイクロードから釣り竿をもらい、エリゼは爆釣への道を歩み始める。

 

・フェンシング部と兼任する形で、パトリックは技術部に入部。エリゼを技術部に入れたいパトリックの作戦が盛大に失敗し、エリゼは水泳部に、セドリックは園芸部と料理部に、アルフィンは技術部と文芸部に、それぞれが掛け持ち入部する事態になってしまった。

 

・初の特別実習はルーレとなる。内戦後の兵器産業の実態を直に見るのと、スカーレットの新型機甲兵を受領するのが目的だった。宿泊先はアリサの手配でラインフォルト本社。リィンはアリサの部屋に泊まることになり、エリゼとアルフィンが荒れる。

 

・セドリックはかばんの中に、アルフィンによって《レジェネンコフR式》の頭部が詰め込まれていたことに気付く。

 

・新型機甲兵に使用するメインチップがなく、入手のためにセドリックとアルフィンが動く。事前にベッキーから教わっていた値切り交渉術とロイヤルパワーを駆使し、100万ミラのチップを10ミラで購入することに成功した。

 

・ルーレ工科大学見学中に、卒業生のステファンと出会う。彼が試作中の無人機甲兵《ステファニー》が目の前で暴走。勝手に工科大で暴れ始めた。

状況を収めるためにアルフィンは整備中の《ドラッケン》に乗り込むも、操縦を誤り、《ステファニー》と一緒になって工科大を破壊し尽くす。さらにプログラム停止に駆け付けたシュミット博士に電撃を食らわし、煉獄送りにした。

 

・暴走プログラムが《ステファニー》を中心にばら撒かれ、待機中だった別の無人機も次々に暴走を始める。

 

・セドリックの前での《テスタ=ロッサ》召喚をためらうエリゼに《ステファニー》が迫るも、《ケストレル・レギンレイヴ》を起動させたスカーレットが駆け付け、敵機を破壊。ヴァリマールも参戦し、暴走機甲兵を全滅させた。

 

・《レジェネンコフR式》を導力ネット接続。その演算機能でウイルスを走らせることで、ステファンのプログラムを崩壊させる。

 

・危険プログラムを作成した罰として、ステファンは停学処分を受けた。以降、やさぐれてしまい不良になる。

 

・ラインフォルト社を離れ、アリサが二年Ⅶ組に復学。

 

 

『5月 銀槍に導かれて』

・霊的な何かを隠していると勘ぐられ、エリゼは心霊写真部のベリルとレックスに尾行されるようになる。

 

・アリサをアドバイザーに迎え、アルフィンとパトリックによる《レジェネンコフR式》ボディ復活プロジェクトが始動。

 

・セドリックが《猛将列伝》を読んでしまい、最強の漢として描かれるエリオットに憧れるようになった。

 

・最初は抵抗のあったメイド服に、クレアは慣れつつある。鏡の前でターンする姿をエリゼに目撃された。

 

・二回目の特別実習としてセントアークに赴く。宿泊先はパトリックの実家であるハイアームズ家だが、エリゼへの接待が祭りのごとき凄まじさだったため、宿泊先を変更。クレアの手配で、旧リーヴェルト家に泊まることになる。

 

・かつてヘイムダルが《ゾロ=アグルーガ》の瘴気に汚染された際の遷都先がセントアークであるため、エリゼは実習の合間を縫って、暗黒竜に関する伝承を探す。

 

・個人行動中、セントアークのカフェで休憩していた際、リアンヌと名乗る女性がエリゼに話しかけてきた。槍の聖女と同じ名を持つ彼女は図書館勤めの司書で、歴史に詳しいという。この地で起こったことの詳細を教えてくれた。

リアンヌによれば、かつて暗黒竜を制御、あるいは消滅させるためのアーティファクトが捜索された記録が残っているという。結局は見つかっていないが、セントアーク郊外の遺跡にその痕跡があるとのことだった。

 

・仲間たちが寝静まった夜中、エリゼは宿泊先を抜け出し、一人その遺跡へと足を運ぶ。手がかりを調べている最中、三機の無人機甲兵が襲来。もうステファンのプログラムはないはずなのに動いていることに訝しみつつ、エリゼは《テスタ=ロッサ》を召喚し、敵機を圧倒する。

 

・無人機甲兵を倒した《テスタ=ロッサ》に、銀の騎神《アルグレオン》が急襲。まるで太刀打ちできないエリゼ。防戦一方を強いられる内に《テスタ=ロッサ》はダメージを受け、エリゼは核から外に放り投げ出されてしまった。

そのエリゼの前に《アルグレオン》から降りたアリアンロードが近づいてくる。甲冑を纏い、兜で顔を隠すアリアンロードはランスを突き付け、エリゼを威圧する。しかしそれ以上は何もせず、踵を返して去っていった。

エリゼの脳裏にかちりかちりと、いつかの音が響く。

 

・アルフィンから通信が入る。満身創痍ながら急いで戻ると、複数の幻獣が街を襲っていた。住民の避難誘導にスカーレットが奔走、ヴァリマールは大型幻獣と戦闘、中型幻獣はエリゼたちが押さえることになる。

連携を取りつつも苦戦する三人の前に、突如シャーリィ・オルランドが現れる。彼女の加勢もあって幻獣を撃破するも、なぜかシャーリィはエリゼたちに武器を向けた。

セドリックが前衛で戦うも、まったく相手にならず敗北。シャーリィはエリゼに「《テスタ=ロッサ》を召喚するところを見た。君はDB計画の要になる」と耳打ちして去っていく。

 

・シャーリィはセントアークを離れる道中、倒れている男性を発見。

彼はグレてルーレを飛び出し、そのまま行き倒れたステファンだった。

 

 

『6月 紺藍揺らぐ深淵へ』

・マキアス、エリオット復学。リィンがクレアの旧家に泊まったと知り、マキアスは修羅化。就寝中のリィンを襲撃する。神気合一で撃退された。

 

・今月から特別実習にリィンは同行しなくなる。授業も独立し、二年Ⅶ組が正式始動。

 

・教員免許取得のために、トワが教育実習生としてリィンたち二年Ⅶ組の担当教官となる。NGO活動は継続。

 

・シャーリィに完敗したことから、新Ⅶ組は新たな力の習得に励む。アルフィンはエリオットからムービングドライブを学び、セドリックは新武器を探す。

 

・アリアンロードのことも気がかりだが、《テスタ=ロッサ》がシャーリィにばれたことに、エリゼは気が気でない。そんなエリゼの前に再びリアンヌが現れる。セントアークからヘイムダルに越してきたらしい彼女は、エリゼと友人になりたいという。以降、度々一緒にお出かけする仲に。

 

・オルディス実習開始。オルディスに到着するや、桟橋にドリフト接岸したトヴァルのボートのせいで、エリゼは水浸しになる。思わず《テスタ=ロッサ》を召喚しそうになった。

 

・試験配備に搬入されていた無人機甲兵がまたもや暴走する。蒼の騎神《オルディーネ》がヴィータと共に現れ、事態の収集を図る。

 

・クロウとスカーレットの再会。クロウはここで初めてスカーレットが生きていたことを知る。

 

・《オルディーネ》が戦闘中、ヴィータはエリゼに接近。《テスタ=ロッサ》は欲しいが、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》まではいらない。だから暗黒竜の呪いを解く手がかりを教えるという。だが情報の見返りにセドリックかアルフィン、どちらかの“アルノールの血”を持ってくるよう求めてくる。

エリゼはその要求を拒んだ。

 

・ヴィータから情報は得られなかったが、クロウがこっそり別の情報を教えてくれる。エリゼはその情報を元に、戦闘の混乱に紛れて旧カイエン公爵家城館に単身で忍び込んだ。

カイエンの書斎の隠し扉から地下に降り、そこで一冊の《黒の史書》を手に入れる。それには《ゾロ=アグルーガ》の呪いから《テスタ=ロッサ》を解放する方法が書かれていた。

 

・その場で読み解こうとするエリゼだったが、何者かが城館に火をつけたため、脱出を余儀なくされる。

地下通路を通って逃げるエリゼの前にミュゼが現れ、エリゼの持つ《黒の史書》を燃やしてしまう。トールズ第Ⅱ分校計画のことを告げると、なぜか彼女は燃え盛る城館側へと向かっていった。

 

 

『7月 黄昏に巻く骸竜』

・エリゼは水泳部での2泊3日合宿。アノール川上流にて、エリゼを溺愛するモニカ指導の元で泳ぎを学ぶ。

一人での自主練中、エリゼは勢いのある水流に足をとられて溺れかけてしまう。彼女を助けたのはリアンヌだった。朦朧とする意識の中で揺れる金髪に、エリゼはかつての友であったリゼット・ヴェールの面影を見る。

 

・調理部のセドリックは、エプロン姿が可愛いと先輩女子から評判。しかし本人は男らしくなりたいため、《猛将列伝》を読み込み、エリオットに教えを乞おうとする。筆者であるケインズと伝道師であるミントがセドリックに接触。

 

・アルフィンは文芸部の名誉顧問にガイラーさんを任命する。また技術部としてレジェネンコフR式のパーツを探す。

 

・一方でスカーレットは帝都で再びクロウと出会っていた。

《身喰らう蛇》の執行者ではあるが、自分とヴィータには結社から知らされていない情報があると、クロウは勘付いている。《身喰らう蛇》と《赤い星座》の動向が怪しいと踏んで、ヴィータと共同して独自調査をしているという。ヴィータには他にも目的がありそうだが……

 

・フィーとミリアムが復学。第二次ちびっこトラップ発動。制限時間内にミッションをクリアしないと、スカーレット、クレア、トワの内、誰かの服が溶けるという。結果、トワの服がリィンの前で綺麗に溶けた。

 

・クロスベル実習開始。占領下にある市内を査察することが目的。

 

・警察学校内にてユウナ・クロフォードと出会う。エリゼが灰の騎士の妹と知ったユウナは、複雑な想いをエリゼにぶつける。

 

・占領国に向けられる感情を目の当たりにして落ち込むエリゼだったが、アルカンシェル付近にてリゼットに似た人影を見かける。追いかけるも、結局その人物は見失った。

 

・リゼットらしき影を探してアルフィンたちとはぐれたエリゼの前に、シャーリィが現れる。シャーリィはエリゼにここで《テスタ=ロッサ》を呼べと迫る。

 

・なぜ執拗に《テスタ=ロッサ》を狙うのか? 《赤い星座》と結社は関係があるのか? そもそもの目的は何なのか? そしてそれは前に聞いた《DB計画》とやらと関係があるのか? それらを問いただすエリゼの前に、ステファンが現れる。彼は技術顧問として《赤い星座》に入団、猟兵になっていた。

 

・ステファンはスイッチ端末を掲げ、黙って言う通りにしないとこれを押すとエリゼを脅す。それは無人機甲兵を市内に呼び寄せるスイッチだった。

 

・ユウナの顔がよぎり、これ以上クロスベルを戦場にしたくないエリゼは、人気のない場所へ移動することを条件にやむなく要求を受け入れる。しかし《テスタ=ロッサ》を召喚する寸前、どこからか狙撃され、ステファンのスイッチが撃ち抜かれた。

エリゼはアルカンシェルの屋根の上に、ライフルを手にしたリゼットの影を見た。

 

・郊外に待機していた無人機甲兵数体が暴走。ステファンには予想外。街道側の敵機は、運び込んでいた《ケストレル》でスカーレットが掃討。

 

・ウルスラ病院を襲う制御不能の無人機甲兵。セドリックとアルフィンが避難誘導を行うが間に合わない。

エリゼは囮役を買って出て、一人でウルスラ間道に機甲兵を誘い込む。《テスタ=ロッサ》召喚。怒りの感情が溢れ出し、一瞬で敵機を八つ裂きにする。エリゼの左目が赤く染まり始めていた。

 

・遅れて駆け付けたセドリックが見たものは、破壊された機甲兵の残骸の中で、赤い光を収束させていくエリゼの後ろ姿だった。

 

 

『8月 せめて白き夏を』

・ユーシス、ガイウス復学。

 

・夏の長期自由行動日スタート。特別実習なし。

 

・セドリックはエリゼの異変に勘づきつつも、そこには触れずに日常を過ごす。

 

・本格的に《レジェネンコフR式》のボディ作成に着手。アルフィンの財力(オリヴァルト名義の借金)と、パトリックの技術の全てを惜しみなく注ぎ込む。

 

・トワやスカーレットをサポートをする内に、リィンは教官職に興味を持つようになる。

 

・エリゼには殿下ではなく、さん付けで呼んで欲しいセドリック。エリゼに色々とアプローチをしてみるも不発。

 

・シュミットが病院送りになる前に作っていた第二世代型魔導剣《フレスヴェルグ》を、トールズ士官学院として受領。セドリックが使い手となるも、仕様が特殊過ぎて扱い切れない。

 

・アルフィンはムービングドライブを習得。ただしエリオットと違って、全力疾走している時に限りムービングドライブが発動するという謎仕様になってしまった。すぐに体力が尽きる為、日々走り込みに明け暮れる。

 

・セドリックは《猛将列伝》をユーゲント皇帝に、アルフィンは《クロックベルはリィンリィンリィン》をプリシラ皇妃にそれぞれ上納する。後に八月戦役と呼ばれる内戦が勃発し、バルフレイム宮が二分される事態に。

 

・バルフレイム宮が八月戦役で荒れている頃、エリゼはリアンヌとヘイムダルに遊びに来ていた。各地区を回りながら、リアンヌはエレボニアの歴史を話してくれる。優しくも上品な彼女の佇まいに、エリゼはリアンヌを姉同然に慕うようになっていく。

 

・シュミット退院。トールズ第Ⅱ分校計画が表面化。第Ⅱ分校の特別顧問になるにあたってシュミットが出した条件は、アルフィン・ライゼ・アルノールを自分に近づけない事だった。

本校から分校への転入は本人の希望によっては可能だが、この条件を分校長予定であるオーレリア・ルグィンが呑んだことによりアルフィンら新Ⅶ組は、この先何がどうなろうとも分校所属になることは無くなった。

 

・結社にて《DB計画》が進む。それを中心として担うのがヴィータ・クロチルダとなった。

しかし《DB計画》に関してはアリアンロードも水面下で動いており、それを察していたヴィータは、アリアンロードに「あなたの目的は知らないけど、私の邪魔だけはしないで」と牽制する。

 

・十月戦役の最終戦にて《イスラ=ザミエル》に破壊された、アリサ専用機甲兵《レイゼル》の改修プロジェクトが進められる。開発にあたってはグエン・ラインフォルト、イリーナ・ラインフォルト、アリサ・ラインフォルトによる共同設計となった。

 

 

『9月 欠けゆく緑光』

・夏期自由行動日が終わり、通常カリキュラム開始。第二分校の設立が近くなり、教官であるスカーレット、教育実習生のトワ、灰の騎士としてリィンが、リーヴスまで出向いて地域住民への説明会を行う。

その準備が忙しく、9月の特別実習はなくなった。

 

・セドリックはユーシスから魔導剣の扱いの指導を受ける。ただしユーシスに教えられるのは、通常の第一形態のみで、《フレスヴェルグ》第二形態の使用までは教えられない。

 

・エマ、ミリアム、ラウラ復学。ただエマの失われた魔女としての力は、結局元に戻らなかった。魔法の行使はおろか、霊力の感知さえできないままである。エマはガイラーが文芸部の顧問になっていることを知り、復帰早々で絶望に両膝を折った。

 

・ミハイル・アーヴィングが分校就任にあたり、ヴァンダイク学院長への挨拶に来訪。トリスタにて偶然、メイド姿のクレアと出会う。無言のまま、二人は見つめ合うだけだった。

 

・クレアが三日間自室に引きこもる。後に東方神話由来で天岩戸事変と呼ばれることに。家事全般のライフラインが絶たれ、新Ⅶ組は自炊を余儀なくされるが、満を持してラウラが厨房に立つ。第三次(大惨事)クッキングフェス開催。

 

・トリスタを訪れたナイトハルトは、スカーレットの中間査察を行う。「スカーレットのことは信用していないし、皇族の騎士になることもおこがましいと思っている。所詮は元テロリストで、お前たちのせいで軍の仲間も多く失った。教官職などもっとも不似合いだ」と彼女を突き放す。スカーレットに言い返せる言葉はなかった。

 

・クルトが第Ⅱ分校への受験を決める。同年代であるものの、形上はセドリックの後輩になることに。

 

・ステファンは《赤い星座》で良くしてもらい、己の居場所を見つけた気持ちになり、猟兵として生きていく意志を固める。だが同時に無人機甲兵のプログラムに小さな違和感を覚えていた。

 

・ナイトハルトの言葉を受けて、スカーレットは教官職として新Ⅶ組を導けているのか不安になる。クロウからのアドバイスもあり、もう少し自分から歩み寄ろうと考える。

 

・度重なる《テスタ=ロッサ》の召喚で、エリゼの呪いが進みつつある。時々、自分の意思ではないことを口走ったり、衝動的に力を使いかけるようになった。

 

・リアンヌから体の心配をされるも、エリゼははぐらかす。会話の中で、次月の特別実習がレグラムであることを告げる。

リアンヌは不意に問いかけをする。「自分一人の命を犠牲にすることで、大勢の人の命を救うことができるとしたら、あなたはどうするか?」

なぜそんなことを問われるのかわからないままに、エリゼは答えようとして、しかし何も答えることができなかった。そんなエリゼを見て、リアンヌは「それが普通だ」と抱きしめる。同時に「それでも選ぶべき時は来る」とだけ告げた。

 

 

『10月 蒼月に呪う炎』

・セドリックはエリゼへの恋心を自覚しつつある。アルフィンもそれを察し、陰ながら応援。

 

・《レジェネンコフR式》のボディが完成し、《パーフェクトレジェネンコフR式》へとグレードアップする。自由に動かせる四肢を得たレジェネンコフは己の存在を唯一とするため、リィンを亡き者にせんと襲い掛かる。しかしアリサによってラインフォルト社製の制御装置を取り付けられ、これ以上暴れるならバラして《レイゼル》のパーツにすると脅される。以降はアリサ姐さんと呼ぶなどして、絶対服従の彼女の舎弟になった。

手塩にかけたレジェネンコフを取られて、アルフィンは納得いっていない。ちなみにレジェネンコフR式のカラーリングは赤と黒を基調としたもの。

 

・レグラム実習開始。名目上は帝国史に深い関わりのある場所での実地研修であるが、実際は休息を兼ねた慰安旅行の意味合いがあった。ここまでの特別実習がトラブル続きだったため、息抜きのつもりでスカーレットが手配した。リィンはユミルに、ガイウスはノルドに招待したがっていたが、じゃんけんでラウラに負けたのでレグラムが選ばれている。

 

・宿泊先はアルゼイド邸。ヴィクター始め、レグラムの人々が新Ⅶ組を歓待。ラウラお嬢様の想い人であるリィンが同行していないため、街の人々は終始穏やかだった。

エリゼは釣りをしたり、セドリックはアルゼイド流の門下生に混じって稽古をしたり、アルフィンは郷土料理のレシピを集めたりと、それぞれが楽しんで過ごす。

 

・釣りをしているエリゼのところにスカーレットがやってくる。エリゼの最近の異変に勘付いており、「悩み事があるなら、一人で抱え込まずに相談して欲しい」と伝える。

 

・スカーレットが去って、釣り道具を片付けるエリゼの前に、鉄機隊の三人が現れる。デュバリィから「自分が今、何に巻き込まれているのか。知りたければ今日の夜、一人でローエングリン城へ来るように」と告げられる。

「一人で抱え込まず――」というスカーレットの言葉を反芻するも、結局エリゼは単身で行動することを決めた。

 

・夜。船着き場にはデュバリィがいた。彼女の先導でエベル湖を渡り、エリゼはローエングリン城に向かう。

 

・ローエングリン城の天守には、兜で顔を隠すアリアンロードが待っていた。セントアーク以来での邂逅となる。

アリアンロードはエリゼを巡る一連の出来事の真相を明かす。

《身喰らう蛇》の狙いは、暗黒竜に呪われた《エンド・オブ・ヴァーミリオン》を用いて煌魔城の再顕現を果たすこと。ギリアス・オズボーンに乗っ取られた幻焔計画の奪還を目的としている。

その為にはエリゼに《テスタ=ロッサ》を繰り返し召喚させることで暗黒竜の呪いを進行させ、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》に変貌させる必要があった。

しかし結社内での思惑は三つに割れている。

 

★《身喰らう蛇》としては、『煌魔城を顕現させたあとは、エリゼを結社に引き入れ、制御できる形で《エンド・オブ・ヴァーミリオン》を手中に収めたい。その為に《赤い星座》と契約し、手段は問わずエリゼに《テスタ=ロッサ》を召喚せざるを得ない状況に追い込んでいくようにする』

 

★ヴィータとしては、『かつて魔王の凱歌(ルシフェン・リート)で煌魔城を甦らせたように、自分の歌と《アルノールの血》、そして《テスタ=ロッサ》があれば目的は達成できる。《エンド・オブ・ヴァーミリオン》は絶対条件ではなく、むしろエリゼの呪いは解いてあげたい。かつてクロウの命を救ってもらった恩がある。そしてアルノールの血は、自分の別の目的にも使いたい』

 

★アリアンロードとしては、『《エンド・オブ・ヴァーミリオン》は制御できる類の力ではない。煌魔城の再顕現はヴィータが提案するやり方でやるべきと考えるが、暗黒竜の呪いは解けないことも知っている。エリゼを結社に引き入れたあとは鉄機隊に加入させ、呪いの進行に影響する《テスタ=ロッサ》を召喚しないよう自分が面倒を見る。

――ただし仲間にならないならエリゼの命を絶つ。そうしなければいずれ《エンド・オブ・ヴァーミリオン》は復活し、人々の霊力を吸い尽くし、帝都を壊滅させる。ドライケルスが守ったヘイムダルは守らなければならない。

まずはエリゼという人間を見定めるため、リアンヌとして近づいてみる』

 

★エリゼの中に眠る暗黒竜の息吹を利用し、煌魔城の再顕現を行うことこそがDB計画――ドラゴンズブレス計画だった。

 

※ただしこの時点でアリアンロードがエリゼに明かすのは、以下の三点のみ。

①結社は煌魔城の復活が目的で、そのために《テスタ=ロッサ》の力が欲しい事。DB計画の大まかな概要。

②暗黒竜の呪いを解く方法はないこと。このままだと《エンド・オブ・ヴァーミリオン》に取り込まれ、周りの大切な人たちを、エリゼ自身の手で殺してしまうことになる。

③もう呪いは臨界まで達している。これ以上の召喚は危険。自分と一緒に来るなら、《テスタ=ロッサ》に頼らねばならない状況にはしないようにする(呪いの進行を停滞させる)ことができる。

 

・アリアンロードは自分の考えを述べ、「煌魔城を顕現させても、以前のように帝都の人々の命までを脅かす事態にはならない」として、エリゼの協力と同行を求める。

 

・苦悩するエリゼは何よりアルフィンとセドリック、リィンたちとの別離になることに強い抵抗があった。それにまだ、どうしても呪いを解く方法を探すのを諦めきれない。

 

・エリゼはアリアンロードの誘いを拒絶する。アリアンロードは「残念に思う」とだけ告げると、《アルグレオン》を召喚した。エリゼも《テスタ=ロッサ》を召喚し、ローエングリン城の天守を突き破って夜空に舞う。

蒼き月光の下、《緋の騎神》と《銀の騎神》が激突する。

 

・《アルグレオン》の高速飛行とランスの波状攻撃を、《テスタ=ロッサ》の能力である武器精製で凌ぐ。しかし地力の差で押され、エリゼは追い詰められる。ランスが《テスタ=ロッサ》の核を貫く刹那、かつてクロウが同様の攻撃を受けかけた映像がフラッシュバック。強烈な死のイメージが爆ぜ、赤黒い闇が瞳の中へと流れ込む。

 

・《エンド・オブ・ヴァーミリオン》顕現。咆哮だけで《アルグレオン》を弾き飛ばす。さらに追い打ちの一撃で、ローエングリン城の外壁に叩きつけた。立ち昇る灼熱の炎。

しかし《エンド・オブ・ヴァーミリオン》は半覚醒状態だった。エリゼが己の意志でどうにか呪いを封じ込み、《テスタ=ロッサ》に戻す。

 

・核から出たエリゼは、力を使い果たして膝をつく。《アルグレオン》からもアリアンロードが出てくる。

その兜が砕け落ち、エリゼはアリアンロードの素顔を見た。

 

・アリアンロードは、自分の慕うリアンヌだった。ショックを受け、エリゼの精神の均衡が崩れる。進行する呪いに呼応するように、ローエングリン城が光に包まれる。霧の古城は異界の中に沈み、レグラムから消滅した。

 

 

『11月 灰舞いし空を』

・ローエングリン城の消滅から一週間。エリゼは行方不明だった。

レグラムで捜索隊を組むも発見には至らず、新Ⅶ組はトリスタに戻ることになる。

 

・スカーレットは責任を感じ、エリゼの悩みを聞けなかったことを悔いる。同時に、自分は誰かを導くような教官職には向いていないのだろうと考えるようになる。

 

・リィンはヴァリマールに乗り、エリゼの捜索に参加。しかし発見できないまま、その数日後に北方戦役へと招集されてしまう。ギリアス・オズボーンを通じた要請を、彼は拒むことができなかった。

 

・著しく集中を欠いた状態でのハリアスク市街戦で、リィンは鬼の力を暴走させ、数日間の昏睡状態となる。その際、業火の中にエリゼが消えていく夢を見た。

 

・その頃、レグラム周辺の異変は聖杯騎士も調査に動く事態となっていた。ロジーヌが尽力してくれる。

 

・ロジーヌの調査の結果、ローエングリン城は消えたのではなく、瘴気に蝕まれた精霊の道を通って位相空間に取り込まれたと判明。しかし道を伝ってどこに送られるかは不明だという。

 

・見知らぬ場所で、エリゼは目を覚ます。そこはアイゼンガルド連峰の一角に隠された《赤い星座》の拠点の一つだった。ローエングリン城と一緒に位相空間に囚われる寸前に、エリゼはシャーリィに救い出されていた。

 

・シャーリィは「行き着くところまで呪いが進行している。いつ暴走するかもわからない。大切な人たちを傷つけたくなければ、自分たちと一緒にいるように」とエリゼに告げる。もしも暴走した場合、《赤い星座》なら誰かに害を成す前にエリゼを殺すことができる、とも。

 

・心が疲れ切っていたエリゼは、自分の命などどうでもよくなっていた。シャーリィの申し出を受け、《赤い星座》に身を寄せることにした。

 

・与えられる食事もろくに摂らず、日に日に衰弱していくエリゼ。その様子を見かねたシャーリィは、かねてより知り合いという理由から、ステファンを世話係にあてがう。

 

・ステファンと言葉少なに会話を交わす内に、エリゼはある違和感を覚えた。

ルーレ実習でステファンのプログラムがバグを起こし、無人機甲兵が暴走した時のこと。しかしエリゼが無人機甲兵に執拗に襲われるのは、《テスタ=ロッサ》を何度も召喚させたい《赤い星座》の画策だったと、アリアンロードから聞かされている。この繋がりに作為的なものを感じた。

 

・それをステファンに伝えたところ、彼は《赤い星座》のデータ端末にアクセス。ハッキングで何重ものプロテクトを突破し、結社から送られてきているDB計画の全容、及びそれに伴う《赤い星座》への指示を閲覧することに成功した。そしてルーレでのプログラム暴走は、ステファンの作ったデータに、赤い星座がウィルスを混入させたことが原因だと判明する。

加えてクロスベルでエリゼを脅すのに使ったスイッチは、市内の導力ネットに多少の不具合を起こす程度と聞かされていたのに、実際は無人機甲兵を呼び寄せるものだった。

 

・さらに暗黒竜の呪いは、定着からおよそ一年をかけてエリゼを侵食し、完全に自我を乗っ取るとも記されていた。

 

・故に前回の煌魔城決戦から一年。呪いが極まる翌1月に煌魔城を再顕現させたあとは、精神が壊れて人形と化したエリゼにアーティファクトで別人格を与えて結社の傀儡にする。あるいは《エンド・オブ・ヴァーミリオン》だけを抽出し、エリゼは廃棄。純正のアルノールの血を持つセドリックかアルフィンに呪いを移植させることが、結社の考案するドラゴンズブレス計画の最終地点だった。

 

・シャーリィたちがエリゼを保護するのは、一月まで身柄を確保することが目的。《赤い星座》も結社も信用してはいけない相手だった。エリゼに伝えなければと振り返るステファンの背後には、すでにシャーリィが立っていた。『気づいちゃったんだね』パターンにより、ステファンは始末されそうになる。

 

・消火器で目眩し、ステファンはエリゼの元に急ぐ。彼女を解放し、仲間の元に戻るように伝える。同時に自分が知り得たDB計画の全てを伝える。

ここでローエングリン城で聞いたアリアンロードからの情報も繋がり、エリゼは自分を取り巻く状況の全てを知ることになった。

 

・ステファンの手引きで《赤い星座》の拠点から逃げ出すも、すぐに追っ手が来る。ステファンは自分を囮にしてエリゼを逃がそうとし、捕まる。

無人機甲兵まで出され、エリゼはアイゼンガルド連峰中腹で追い詰められた。呪いが臨界に達した今、一度でも《テスタ=ロッサ》を召喚することはできない。

 

・オルディーネが現れて敵機撃破。クロウは騎神の手のひらにエリゼを乗せて離脱。彼は個人的にエリゼを捜索していたという。トリスタに向かう道中、「エリゼがその呪いを受けたが故に、今の自分の命が続いている」と改めて一年前の礼を言う。同時に「隠し事は自分の心を絞める。きっといつか後悔する。リィンたちには打ち明けるべきだ」と諭す。

 

・トリスタ帰還。リィンも北方戦役から戻ってきていた。決意を固めたエリゼが集まった皆の前で口を開こうとした時、「俺の仮説を聞いてくれ! もしかしたらエリゼお嬢さんは暗黒竜の呪いを受けているかもしれねえ!」と、呼んでもいないトヴァルが学生寮の扉を蹴り開けて駆け込んできた。

 

 

『12月 救いの黒手は』

・仲間たちはエリゼの呪いを解く方法を探す。リィンたち先輩組も各地に散らばり、手がかりを模索する。

 

・ガイウスはノルドでバルクホルンと知り合う。七耀教会関係者である彼にエリゼの相談をする中で、とある事件が勃発。聖痕を託されることに。

 

・《レイゼル》の完成が間近に迫る。アリサは製作に関わることで、この機体の本当のコンセプトを理解した。

 

・全てを打ち明けたエリゼを、セドリックもアルフィンも受け入れる。特にセドリックは「呪いを受けるのも、《テスタ=ロッサ》の起動者になるのも本来は自分のはずだった」と、ずっとエリゼに救われてきたことを知る。

 

・セドリックとアルフィンは暗黒竜の呪いの手がかりを求めて、マーテル公園のクリスタルガーデンの地下に出向く。そこはかつてリィンたちが《ゾロ=アグルーガ》の骸と戦った場所でもあった。

 

・暗黒竜との交戦跡地にたどり着くと、アリアンロードと遭遇する。構えるセドリック達だったが、「ドライケルスの子孫を傷つけるつもりはない」とし、戦闘には至らなかった。いくつかの会話をする中で、セドリックとアルフィンはエリゼを助けたいと想いを告げ、アリアンロードの助力を乞う。

アリアンロードから二人に出された条件は二つ。

 

①『もしも《エンド・オブ・ヴァーミリオン》が暴走した場合、殺さずに止めるならさらに強い力がいる。《アルグレオン》も騎神リンクを使えるよう、セドリックには《銀の騎神》の準契約者となってもらう。ただしそれでも止められないなら、エリゼは本当に始末する』

 

②『アルフィンはセドリックよりアルノールの血が魔法寄りで濃い。これも騎神の強化になるかもしれないから、小瓶一杯にアルフィンの血を提供してもらう』

 

・二人はアリアンロードからの条件を受け入れる。セドリックは帰る間際に、悟られないよう暗黒竜の骨の一欠片を回収する。

 

・ユウナ・クロフォードがクロスベル軍警学校の単位を取り消され、クレアの勧めもあってトールズ第Ⅱ分校への入学を決める。

 

・分校設立に伴い、本校の学院制服も来年からリニューアル。新デザイン案はアルフィンに一任された。ガイウス、リンデの美術部と共同で案を絞る。卒業生のクララも協力してくれ、彼女が考案したボディペイント制服も候補に残る。

 

・ユミルに帰省したいと、エリゼはリィンにお願いをする。冬季自由行動日を使ってリィンと新Ⅶ組とスカーレット、レジェネンコフR式で、ユミルへの小旅行に行くことになった。

 

・レジェネンコフの録画機能が発端となり、第二次温泉騒動勃発。

 

・エリゼは呪いのことを両親に打ち明けられなかった。自分に何かあったら後のことをお願いしたいと、リィンに頼む。リィンは必ず呪いを解く方法を探すと言ったが、それが無理なことをエリゼは知ってしまっていた。ユミル旅行は最後の別れのつもりだった。

 

・セドリックはどこか自身を諦めているエリゼに寄り添うしかできなかった。夜、屋敷の屋根の上。二人だけでユミルの月を見上げる。意を決して自分のことを『殿下』ではなく『さん』付けで呼んで欲しいと伝えるが、「私はあくまでも従者だから、それはできない。踏み込ませない壁を作っていたのは私の方で、結局はクラスメートとしての関係にもなれていなかったのだと思う」と、初めて心情を吐露する。

セドリックは支えにもなれない自分に不甲斐なさを感じた。

 

・自分の呪いが臨界を越える一月。

ドラゴンズブレス計画の最終は、煌魔城の再顕現。そして《エンド・オブ・ヴァーミリオン》を保有したまま自我を失ったエリゼを別人格の傀儡にするか、エリゼを廃棄したあとで緋の呪いをセドリックかアルフィンに移植するか。

二人を守るために、全てを終わらすために、エリゼは己の運命の行く末を決めた。

 

 

《七耀暦1206年》

『1月 紅天の決戦』

・正月を皆で過ごす。最後の穏やかな時間。

 

・1月15日、ヘイムダル駅が《赤い星座》に占拠された。これにより鉄道運航が完全にストップ。さらに結社の人形兵器と無人機甲兵が街中に解き放たれた。声明は出されず、目的はわからない。

 

・正規軍が迎撃に出るも数が多く、市街で戦車も運用しにくい。トールズ士官学院も現地に合流。学院生たちは避難誘導と救護支援を担う。

 

・敵はヘイムダルの全地区に広く展開。ヴァリマール、ケストレルで無人機甲兵との戦闘。結社でありながらも執行者の自由権限を用いてクロウとオルディーネも加勢。

 

・アリサを操縦者として《レイゼル雷閃式》ロールアウト。電磁加速砲オーディンズサンとリアクティブアーマーは撤廃され、代わりに一対多数殲滅用のリアクティブブラスターが実装されている。

 

・エリゼを狙いとした騒動である可能性もあり、エリゼは一切前線に出ず、後方で待機させられていた。

そこにシャーリィから『ヘイムダル郊外に走るレールの東西南北の四カ所に結社製の列車砲を配置、40分後に市街中心部に向けて砲撃する』とエリゼの《ARCUS》に個別通信があった。

 

・エリゼはそれを指揮官であるトワに伝えると、彼女の静止を振り切って中心部へと駆け出す。

 

・列車砲を統括して制御している場所が、ヘイムダル地下遺跡の奥にあることを、レジェネンコフR式が突き止める。そこは赤い星座の隠れ拠点の一つだった。トワはリィンを除くニ年Ⅶ組とレジェネンコフR式で突入班を編成。発射阻止作戦を敢行する。

 

・タイムリミットが迫る中、Ⅶ組たちはアジト最奥部の管制室にたどり着く。拘束されていたステファンを解放。彼のハッキングスキルとレジェネンコフR式の演算能力を活用して、列車砲の無力化を推し進めていく。

 

・しかしいきなりシステムロックされた上、アジトの自爆プログラムが作動。罠だと悟り、脱出を図る一同。停止は間に合わないと判断し、地上のリィンたちに列車砲の破壊を依頼。

 

・脱出の最中、マキアスはステファンとレジェネンコフがいないことに気づく。彼らは残り、プロテクト解除を続けていた。それはステファンの罪滅ぼしだった。そしてレジェネンコフはいずれアルフィンたちが治めることになる国を守ろうとしていた。

 

・レジェネンコフをシステムに直結させて、演算機能をフルに使う。メイン回路を焼き切らせながら、列車砲を停止させていった。アルフィンたちと過ごしたレジェネンコフの一年間の記憶が順番に消えてゆく。ステファンも逃げる事はせず、最後までキーボードを弾いた。

 

・ステファンたち諸共アジトは爆発した。同時に列車砲の一つが発射される。三つ目までの停止には成功していたが、四つ目は間に合わなかった。

 

・リィンたち地上チームは列車砲破壊のために市街から離れていたため、砲撃から街を守る手段がなかった。

帝都の空に《テスタ=ロッサ》が現れる。シャーリィの狙い通りにエリゼは武器精製を行い、砲弾を撃ち落とす。その瞬間、呪いがついにエリゼの全身を蝕んだ。

 

・《エンド・オブ・ヴァーミリオン》覚醒。その存在に呼応して、赤黒く侵食される七耀脈。レグラムで消失したローエングリン城がマーテル公園に出現し、霧の古城を依代として煌魔城が再顕現を果たした。

 

・一年前と同様に《エンド・オブ・ヴァーミリオン》は、帝都全域――80万人の霊力を吸い取り始めた。第二、第五機甲師団が迎撃に出てくるも、エリゼは腕の一払いでそれを壊滅させる。

 

・レイゼル雷閃式とケストレルは街中の無人機甲兵の制圧に向かい、ヴァリマールとオルディーネは《エンド・オブ・ヴァーミリオン》との交戦に入る。エリゼに呼びかけるも応じない。相手がエリゼということもあり、攻めあぐねる二機は瞬く間に半壊させられる。

とどめを放たれる寸前、ヴァリマールたちをかばうように《アルグレオン》が立ちはだかった。

 

・迎撃命令を受けた第四機甲師団がヘイムダル郊外に到着。エリゼへの一斉攻撃が始まろうとしていた。

そこにケストレルが駆けつける。スカーレットはなんとかするから時間が欲しいと交渉するが、二団隊を壊滅させられたクレイグ中将は応じない。整ってしまう攻撃準備。ナイトハルトも《シュピーゲル》で前線に出て来ている。

スカーレットは自らの生徒を守るために、たった一機で第四機甲師団に向けて剣を抜いた。

 

・司法取引の特別条項を破った為に、スカーレットは紅の騎士としての任を解かれ、帝国解放戦線の《S》として正規軍からの殲滅対象になってしまった。

そもそも失っていたはずの人生に悔いは残していないと、連立式オーバルエンジンを全開にした《ケストレル・レギンレイヴ》は一対二十五の死闘を繰り広げる。

スカーレットは機体に宿る空属性の特性――フルグラビティモードを開放し、鬼神のごとき力を振るう。装甲をズタズタにされながらも、ナイトハルト機さえ撃破。大破し擱座したケストレルの周囲には、第四機甲師団全機の残骸が転がっていた。そしてスカーレットは自らの意思で軍に投降した。

 

・《エンド・オブ・ヴァーミリオン》対《アルグレオン》。エリゼとアリアンロードが再び剣を交える。《アルグレオン》はセドリックとの騎神リンクを使って優勢に立つも、緋の魔王の力は秒単位で増していた。元に戻すことはできないと判断したアリアンロードは、セドリックの制止を無視してエリゼの命を絶つためにランスを構えて突撃する。

 

・核を穿つ刹那に、アリアンロードはエリゼとの思い出が胸によぎる。過ごした時間の全てが偽りでは無かったが故に、彼女はほんのわずかな逡巡をした。微かに鈍ったランスの先端が《エンド・オブ・ヴァーミリオン》に弾かれる。反撃をまともに受けたアルグレオンは地上に叩きつけられ、大ダメージを追ってしまう。

 

・他の騎神を圧倒した《エンド・オブ・ヴァーミリオン》だったが、急にその動きが鈍る。銀髪紅眼となりつつも、エリゼはかろうじて自我を残していた。

「緋の魔王を消滅させる」とだけ告げ、両親への最後の言葉をリィンに託すと、エリゼは空へと急上昇を始める。

追いすがるリィン。しかしヴァリマールやオルディーネのスラスターでは一定高度以上の飛行はできない。追いつけるのは翼を持つ《アルグレオン》とアリアンロードだけだった。

 

・アリアンロードの元に向かおうとするセドリックとアルフィンの前に、シャーリィが立ちはだかる。『この状況に思うところはあれど、受けた依頼は完遂する。銀の騎神にこれ以上余計な力を注ぎ込ませない。エリゼは抜け殻の状態にする』というのが彼女の立ち位置だった。

本気で怒る二人は武器を抜いた。アルフィンはムービングドライブで、セドリックはフレスヴェルグ第二、第三段階を開放してシャーリィと激闘。これを突破する。

 

・一方、ヴィータは爆発の寸前にステファンを救い出していた。しかしレジェネンコフは間に合わなかった。クロウからの頼みで彼女は動いており、たった今転移術で地上に戻ってきた。

そこで彼女はアルグレオンの核から放り出されて、地面に横たわるアリアンロードを発見する。

 

・歩み寄ってくるヴィータに、アリアンロードは自分の胸を貫くよう頼む。ヴィータは「あなたの望みを叶える理由がない」と拒否。しかし「隠し持っているアルノールの血が入った小瓶を渡すなら、受けても構わない」と交換条件を出す。アリアンロードはその条件を受諾した。

その直後、虚空に生成された氷の剣が、アリアンロードの胸に突き刺さる。

 

・セドリックとアルフィンが駆けつけたのと、アリアンロードが胸を貫かれたのは同時だった。それは彼らに想いを遂げさせるための、アリアンロードの最後の策。

致命傷を負ったアリアンロードを、戦闘続行不可能と騎神のシステムが判断し、彼女は正起動者から外される。同時に準契約者であるセドリックが繰り上がり、銀の騎神の正起動者となった。

 

・セドリックはアルフィンを自身の準契約者とし、二人で《アルグレオン》の核に乗り込む。砕けたランスの代わりにと、リィンはゼムリアブレードを託す。

力強く銀の翼を広げると、セドリックとアルフィンはエリゼの待つ天空へと駆け昇った。

 

・その頃エリゼは上空9000アージュに到達。この高度では《エンド・オブ・ヴァーミリオン》の能力は及ばず、帝都の人々の霊力を吸うこともできない。エリゼの顔にはマクバーンのような紋様が浮き立ち、半人半魔の状態と化していた。自我が食い尽くされる前に力を振り絞り、エリゼは太陽にも匹敵するほどの超高熱の火球を生み出す。

自分ごとエンド・オブ・ヴァーミリオンを包み込み、灼熱の業火で緋き終焉の魔王を灰燼と帰す。それがエリゼの考えていた、暗黒竜の呪いに端を発する事象を消滅させる唯一の方法だった。

全てを終わらせようとしたその時、エリゼの前に《アルグレオン》が現れた。

 

・エリゼが緋の魔王と共に自決するつもりであることを知ったセドリックたちは、思いとどまるようエリゼを説得する。しかし「これしか方法はない」として、彼女は応じなかった。

「たとえ拒否しても力付くで連れ帰る」というセドリックとアルフィンに対し、「たとえ二人であっても邪魔はさせない」とエリゼは彼らを地上に追い墜とそうする。

銀翼と緋翼が開かれ、《アルグレオン》と《エンド・オブ・ヴァーミリオン》が紅天を駆けた。

 

【挿絵表示】

 

・虹の軌跡2.5、ラストバトル。

上空9000アージュ。空と宇宙の境界に灼熱が走り、眼下の雲海が真っ赤に染まる。凶々しい武器精製による全方位攻撃を、アルフィンの騎神リンクも使いながら、セドリックはギリギリでしのぎ切る。死闘のただ中で二人はエリゼを大切に想う気持ちを伝え、エリゼもまた二人を大切に想うことを伝える。だが双方の想いは「死なせたくない」と「死ななくてはならない」で相反しており、どこまでもすれ違う。

《アルグレオン》は特攻。猛攻に装甲を痛ましく砕かれて尚、《エンド・オブ・ヴァーミリオン》に組み付いた。

どうしてわかってくれない。こんなにも自分はあなたのことを。

重なる三人の感情が爆ぜた。全員の《ARCUS》が強く輝き、黒炎を散らす虹色の光が天空に広がっていく。

 

・重奏リンクとオーバーライズの同時発現が起きていた。景色が移り変わる。エリゼら三人はいつもの赤い制服を来て、トールズ士官学院の屋上で向かい合っていた。新Ⅶ組に入ってからの四方山話に花が咲く。

アルフィンは一番の親友だったエリゼの苦悩に気付けなかったことを悔いていた。セドリックはエリゼがずっと呪いを引き受けてくれたことに感謝と悔恨を抱いていた。エリゼは誰よりも大切な二人を、何を引き換えにしても守りたかった。

ダイレクトに感情が伝わる空間で、三人は誤解なく互いの気持ちを理解した。

そしてエリゼは、一緒に地上に帰りたい、二人と一緒に卒業したいと、ずっと殺していた感情を吐き出して心から叫んだ。

 

・戻った現実の視界。アルフィンは自らの腕を傷つけて、鮮血を流す。

エリゼと違って純正のアルノールの血で、しかもセドリックよりも魔に長けた血。《エンド・オブ・ヴァーミリオン》の反応が増大した。宿主の天秤にかけたら自分に傾くと確信していたアルフィンは、暗黒竜の呪いを己の身に移させるつもりだった。

 

・黒く得体の知れない邪悪な揺らぎが、エリゼの深淵から這い出ようとしている。魂を引きちぎられるような激痛の中、それだけはダメだとエリゼは拒絶する。

引き出そうとするアルフィンと、引き戻そうとするエリゼ。引き合い反する強い意志が、《アルグレオン》と《エンド・オブ・ヴァーミリオン》の中間に呪いの揺らぎを顕現させた。しかしそこに留まりはせず、すかさず呪いはアルフィンに乗り移ろうとする。

 

・マーテル公園地下で手に入れ、隠し持っていた暗黒竜の骨の欠片を、セドリックは揺らぎに投げ入れた。それを媒介にして強制的に受肉させることで、《ゾロ・アグルーガ》を実態として現界させることに成功する。

 

・「お前がエリゼさんを苦しめる元凶か」と激昂したセドリックは暗黒竜に立ち向かう。しかし逆に牙を突き立て、《ゾロ・アグルーガ》は瘴気を吐き出した。それはかつてヘイムダルを死の都と化したおぞしましき毒。《アルグレオン》が闇に侵食されていく。核の中、セドリックとアルフィンの足元から、新たな宿主を見定めた呪いの影が這い上る。

 

・突然攻撃を受け、《ゾロ・アグルーガ》は《アルグレオン》から離れた。

核の中で紺色の髪が波打つ。呪いから解放されたエリゼは、緋の騎神を100パーセント扱えるようになっていた。《エンド・オブ・ヴァーミリオン》としての拘束を打ち破った《テスタ=ロッサ》がその真の力を発揮する。空を埋め尽くすほどの幾多の武具を虚空に精製し、《ゾロ・アグルーガ》を滅多刺しにする。

その隙を突き、《アルグレオン》は暗黒竜の心臓をゼムリアブレードで貫いた。

ついに《ゾロ=アグルーガ》はその身を崩壊させていき、やがては断末魔を上げて完全に消滅した。

 

・限界を超えていたセドリック、アルフィン、エリゼは騎神の核に留まる力も残っていなかった。身一つで外界に投げ出され、しかしそれでも互いを手繰り寄せる。抱き合いながら、三人は上空9000アージュから地上へと落下していった。

「ありがとう、姫様、セドリックさん」と、初めて呼び名を変えたエリゼは、その言葉を最後に瞳を閉じた。

 

・地上ではエマの前にヴィータが現れていた。ヴィータはアリアンロードから入手したアルフィンのアルノールの血を触媒にして、自身の霊力のほとんどをエマに注ぎ込む。

失われていたエマの魔女としての力が復活していく。ヴィータが結社の意向を無視して独自行動を取っていたのはこのためだった。「あとは好きにすればいい」とヴィータはその場を去る。

 

・ヴィータに匹敵する力を手に入れたエマは、落下してくるエリゼたちを感知。転移術で三人を引き寄せ、無事に地上まで帰還させた。

 

・煌魔城は消え、ローエングリン城はレグラムに戻った。街中の無人機甲兵はアリサが全滅させた。《赤い星座》は撤退。人々の混乱は軍が収めつつある。

結社のドラゴンズブレス計画は失敗に終わり、長い一日の幕が下りた。

 

 

『2月 黄金に廻る花』

・エリゼ体調不良から復学。《エンド・オブ・ヴァーミリオン》の攻撃を内部から逸らしていたため、機甲師団に人的な被害はなかった。事情を鑑み、軍からの咎めはない。

 

・スカーレットは未だに牢に拘束されている。このままだと極刑の判決が下されかねない。エリゼ、セドリック、アルフィンで救出作戦を決行。その手段はここまでのコネクションをフル活用することだった。

リィンの灰の騎士としての功績、アリサによるラインフォルト社の技術提供制限のチラつかせ、アルバレア家、アルゼイド家、ハイアームズ家による連名直訴文、レーグニッツ知事の進言、ヴァンダイク学院長の裏工作、クレアの手回し、フィーとミリアムによる裁判官の弱み入手、マルガリータの投入、ガイラーさんの暗躍――など全てを結集させ、再度司法取引に持ち込んだ。

 

・スカーレットが教官として復職。

 

・リィンは教職資格取得の受験に挑む。猛勉強のおかげで合格水準には達していたが、ラウラとアリサの差し入れで、記憶の全てが試験前日に飛ぶ。エマの暗示やヴィヴィの逆行催眠をかけまくったおかげで一応意識は戻ったが、目がバッキバキの状態で試験会場入りする羽目になった。

 

・リィンたちは残された学院生活を謳歌。エリゼたちも思いで作りのイベントを大量に企画しまくる。ロイヤルパワーを行使して、昨年の卒業生たちも片っ端から招集しまくった。

 

 

『3月 虹光の未来へ』

・次期生徒会長はリィンからエリゼへ。エリゼはセドリックを推していたが、掛け持ちの部活が多すぎて辞退。代わりにセドリックとアルフィンはダブル副会長として、エリゼを支えることに。

 

・4月からの新制服のデザインが決まった。赤と黒を基調とした格式を感じさせる学院服。アルフィンがデザインしたそれは、レジェネンコフR式を忘れないためのカラーリングだった。

 

・ステファンがルーレ工科大に復学。新たな研究テーマはロストデータのサルベージ。彼は大学生活の全てを賭して、レジェネンコフのメモリーを復活させると決意した。トールズ卒業生の同期からは、一時的にでも猟兵になったことをいじられまくる。

 

・リィンが教職免許取得。教育実習はエリゼたちのメンター役や、スカーレットの補佐をしていた実績が適用され、改めての実施は不要となった。4月からはトールズ第Ⅱ分校の教官としての着任が決定。

 

・ガイラーさんもトールズ第Ⅱ分校の用務員に転属することが決定。

 

・エリゼ、セドリック、アルフィンは、リィンたち卒業生へのサプライズを企画。そのイベントを最後に、彼らの学院生としての日々は終わった。

 

・多くの人に見送られる中、一年前の約束通りに、リィンたちⅦ組は全員でトールズ士官学院を卒業した。各々が切り開く虹色の未来へと旅立っていく。

 

・その二週間後。講堂には新入生を迎えるセドリックたちの姿がある。新たな生徒会長として、エリゼ・シュバルツァーは舞台へと上がった。

 

――【虹の軌跡2.5 Dragon's breath】終了――




●閃Ⅲの相違点
・エリゼが緋の起動者(暗黒竜は解呪済み)
・セドリックは銀の起動者。
・エリゼはセドリックを“殿下”ではなく“さん”付けで呼ぶ。
・セドリックはカスルートではない。ミリアムの《根源たる虚無の剣》化には、彼は関わらない。
・クルトはセドリックの同年代だが、入学時期の差で一学年下となる。互いに遠慮するところはありつつも、関係は良好。
・シャーリィは2年Ⅶ組に編入してくるため、エリゼたちのクラスメートになる。

●閃Ⅳの相違点
・相克にはエリゼとセドリックが参戦。とことんリィンに力を貸す。
・セドリックが《アルグレオン》を引き継いだためにリアンヌは死亡せず、不死者でもなくなり、大戦後は結社を離脱してセントアークで薬屋を営む。エリゼとは良好な関係に戻った。尚、鉄機隊三人は売り子として勤務。
・これによりデュバリィとルーファスに確執は発生しない。
・セドリックは終始リィン側なので、結社には入っていない。

●この世界線の元で、《黎明の軌跡》はスタートしています。
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