住めば都のツブラヤ荘   作:タッコング

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はじめての『戦い』(その2)

【3】

 新しい畳の匂いがする和室。

 その居間の中央に据えられたちゃぶ台の前に、不思議と落ち着いた様子で、陽輔は腰を降ろしていた。

 そんな彼のもとへ台所から、妹──を装っていた『自称宇宙人』がお盆に湯飲みを二つのせて運んでくる。

 

「粗茶ですが」

「あ、どうも……」

 

 そんな『自称宇宙人』こと。

 自らをメビウスと名乗った少女は、湯飲みをちゃぶ台に置くと、にっこりと笑いかけてから陽輔の対面へ座った。

 その湯飲みを手に取ると陽輔の視線は自然、目の前のちゃぶ台へ向けられる。

 

「このちゃぶ台……」

 

 ピカピカする様な部屋の雰囲気に比べると、ずいぶん使い込まれた様子のちゃぶ台。

 陽輔はそれに見覚えがあった。

 いや、それだけではない

 視線を巡らした先にある、まるで何年も前からそこにあったかのように鎮座している家具の数々。

 それらはどう見ても、かつての自分の部屋に置いてあった物ばかりだった。

 

「みょ~~~に落ち着くと思ったけど、そのせいか」

 

 我ながら単純な男だと感じつつ、陽輔は湯飲みのお茶を口にする。

 

「……あ、美味しい」

「ありがとうございます! ボク、陽輔さんが来る前に何度か練習してみたんです」

「だからって、この味はそうそう出せるものじゃないよ」

 

 お茶の葉のポテンシャルを最大限に引き出した様なその味わいに、思わず陽輔が感想をこぼすと、メビウスは「えへへ」とはにかむ様な笑みを見せて頬をかいた。

 こうしていると、いよいよ年相応の女の子にしか見えない。

 

「あっ、いけない。そうじゃなくって──」

 

 メビウスも話の本筋から離れつつある事に気づいたのか。

 ハッとした様にゆるんだ表情を引き締めると、とっても真面目な顔になった。

 それに釣られて、とりあえず陽輔も正座に座りなおす。

 

「今回の事……陽輔さんには突然で、とても驚かれた事と思います」

「はい、死ぬほど驚きました」

「うう……ごめんなさい。でも、こちらにも時間があまりなかったんです」

 

 ハッキリ堂々と頷く陽輔に、本当に申し訳なさそうな顔を見せるメビウス。

 ……どうやら、決して悪い娘ではないらしい。

 その表情を見ていると、陽輔にはそう思えた。

 

「でも、どうしてこんなことを?」

 

 ──だからこそ。

 なんでこんな大掛かりな事をやったのかが気になってくる。

 悪戯にしてはあまりにも度が過ぎてるし、そもそも、そう思うには無理がありすぎた。

 

「そうですね……それには先ず、ボク達がこの宇宙でどういう役割を担っているかをご説明したほうがいいでしょう」

「……()()()?」

「えっと、ちょっと待ってくださいね」

 

 小首を傾げる陽輔を前に、メビウスは取り出したスマホをペペぺと操作する。

 その姿はやっぱり、今時の女子高生と言った感じである。

 

「誰かに電話でもするのかい?」

「いえ、実際に見ていただいた方が話も早いと思って」

 

 手にしていたスマホをちゃぶ台の上に置いて。

 きょとんとした表情を浮かべる陽輔へと、メビウスは微笑みかける。

 

 ──次の瞬間。

 

 二人の体は宇宙空間に放り出されていた。 




書けたとこから出していこうー(´・∀・`)
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