住めば都のツブラヤ荘   作:タッコング

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はじめての『戦い』(その5)

【6】

 闇の底で轟々と燃え盛る炎の渦。

 まるで真っ赤な津波の様に押し寄せてくるその壁に、人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っていた。

 そんな、全てを焼き尽くす猛火の中で。

 唯一、煌々と金色に輝く巨人だけが町を睥睨する様に直立していた。

 

 ペダン星人の操るスーパーロボット。

 超合金で装甲された機械の魔人。

 

 数多の異名が銀河にその力を轟かす無慈悲なる脅威、キングジョーだ。

 

 人々の悲鳴すらもかき消す不気味な機械音を唸らせながら。

 キングジョーは足元にあったトラックを無造作に掴み上げると、建物へ向かって投げつける。

 また一つ、爆発と共に炎が吹き上がった。

 

《──大型車輌と建造物の破壊を確認。人的被害は無し。作戦行動開始から、死傷者数ゼロを継続しています》

「ええい! そんなことはいちいち言わんでええわい!」

 

 キングジョーのコックピット内部。

 E4のそんな報告に対して、ペダン星人は我慢しかねた様子で声を荒げた。

 なんせその報告の度に、ディスプレイに『エラい!』とか『Congratulations!』だとかの言葉を一杯に表示させてくるのだから、さすがに鬱陶しくてかなわない。

 

「まったく……侵略先の住民に気をつかいながら破壊活動を行う悪党がどこにおるっちゅーんじゃ」

 

 強いて言えば、ここにいる。

 

 キングジョーの全てを司る超AI『E4』──。

 空前絶後の高性能を有してはいるが、その行動原理には非論理的な部分が多く目立っていた。

 有り体に言い変えれば、あまりにも『人間くさい』のだ。

 例えば、森や町が燃えれば、E4はそこに住む生物の安否に注目してしまう。

 それはそれで他に類の無い凄さなのだが、戦闘用ロボットに搭載するAIとしては些か問題があった。

 

 

「とは言え、ヘソを曲げられてもかなわんからのう……」

 

 ブツクサと文句を吐きながら、ペダン星人は己のヘルメットをガシガシとかいた。

 E4は無闇に生物の命を奪うことを好まない。

 その為、派手な爆発や炎を伴いながらも人的被害は無しと言う、無駄に職人めいた事をペダン星人は行っていたのである。

 

《E4よりマスターへ、回答を希望します。なぜこの様に無益で目立つ破壊活動を行うのですか? この地域に潜伏し、密かに行動した方が、目的達成の為にも効率的だと考えます》

「ああん? なんじゃ、そんなことも分からんのか」

 

 ガシンガシンとキングジョーをさせるペダン星人は、この超AIの至極もっともな疑問に対して、やれやれとばかりに頭を振って見せた。

 

「こうしてカチコミをかけた時は、まず一発目で派手にガツンとかますのがセオリーと言うもんじゃ。ワシらの商売、ナメられたら終わりじゃからのう」

《また、不条理なことを仰っています》

「お主に言われたくはないわい!」

 

 心底呆れた様な声音をわざわざ合成して発するE4。

 それに対してペダン星人は、狭いコックピットの中でも器用に拳を振り上げ抗議を行う。

 

「……まあ、それにじゃ。もしかするとこの町に潜んでおるかもしれん()()()を炙り出すには、なかなか良い『開戦の狼煙』じゃろうよ」

 

 気を取り直す様に、ヘルメットをつるりと撫でると。

 そのバイザーの奥で、ペダン星人は悪い笑顔を浮かべるのだった──。

 




どんどん出せー(´・∀・`)
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