夜叉の慟哭   作:大川原

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8話 邪馬台国からの脱出

ヴェルフ「いったいなんの施設だ?ここは…」

 

リリ「埃っぽい…地下に道が続いてますね」

 

地下へと足を運んだ一行は薪の跡を発見した、敵は来なさそうだ、一先ずここで休息を取り、気絶しているベルの回復を待つしか無い

 

アイズ「…ベル…」

 

ティオナ「アルゴノゥト君、本当に元に戻れるかな」

 

命「もし中途半端に力が残れば…」

 

最悪な事態を考えてしまい暗雲たる気持ちが立ち込める、だがもしもの事態など予測出来ない今は生きて地上に戻るのみであった。

 

レフィーヤ「…取り敢えず!今は回復を待ちましょう、何か食べ物とか探して来ます!」

 

命「自分も同行します、レフィーヤ殿」

 

ヴェルフ「おっと、そしたら俺もついて行く、なにがあるかわからないからな…リリとティオナと、剣姫は残っててくれないか?」

 

アイズ「…わかった」

 

一先ずこの施設を探索することとした3人は更に下へと降っていった、やはり道中にも夥しい数の死体があり、服も統制されていることから施設の職員のようだ。

 

ヴェルフ「ったく…なんだってんだココは…ん?なんだこの紙…」

 

廊下の片隅にある書類が落ちていた、そばの死体を見るに、誰かに当てる筈だった手紙だろうか。

 

『工作員ニ命ズ 停止

「トリニティ」ハ懸念シテイル 停止

「星」ノ獲得ハ許容不可 停止

枢軸の作戦妨害ハ至上命題デアル 停止』

 

ヴェルフ「トリニティ?星?なんだ星って…」

 

気がつくと扉の前に立っていた、ここから外に出られるだろう。

重い鉄扉を開けると、風が吹き込み、ここが崖の上の施設であることが確認された。

 

ヴェルフ「うっわ…」

 

眼前に広がる光景はまた異様な光景だった、沖合は嵐の暴風雨で先まで見えず、島の周辺で難破した船舶が海岸に打ち付けられていた、右手に見えるのは鋼鉄の船であろうか?立派な艦橋を備えた船であった。

 

命「ヴェルフ殿!探しました…うわぁ…」

 

ヴェルフ「嶋が言ってた島から出られないってのはこう言うことか、入ることも叶わず、出ることも叶わない…ある意味選ばれちまった奴らがこの島にたどりたくんだろうな…」

 

ここから出るには、18階層まで辿り着くのが必須条件だろう、海から出たとて、外の世界に通じている保証はないのだ。

 

ベースキャンプでベルの回復を待っている皆はギクシャクしていた、自分のせいで嵐の防人となってしまったと思っている者や、こいつのお陰で嵐の防人になったと思っている者…ありもしない憶測が取り巻き、ティオナはこの雰囲気を察し悩んでいた。

 

ティオナ「…ん〜と、取り敢えず、何か使える物探してくるね!」

 

ティオナは耐えきれず、去り際にアイズに耳打ちをした。

 

ティオナ(誰も悪く無いんだから、アイズの思った通りにね)

 

アイズ「…」

 

他のファミリアの仲間内での内緒話など普段ならどうでも良いが、その態度でさえもリリを腹立たせた。

 

リリ「…アイズ・ヴァレンシュタイン、あなた自分が何をしたのか分かってるんですか」

 

アイズ「…私は何もしてない」

 

リリ「…っいけしゃあしゃあと!ベル様が嶋に会う前に、ベル様と貴方の目撃情報があるんです!ベル様に何を吹き込んだのか知りませんがね!ベル様を普段から惑わせ、悩ませる貴方と話をした後の行動です!関係ないとは言わせません!!」

 

事実アイズは何もしていない、それに寧ろ邪馬台国には行くなと言った筈だ、その話を無視してまで行ったベルが怒られるべきである。

 

アイズ「…私は感謝の気持ちを持つのは大事とは言った、けど邪馬台国には行ってはダメと忠告した」

 

リリ「そんなの信用できるわけが…!」

 

激昂したリリに対し被せるようにアイズは反論する。

 

アイズ「あなたからの信用なんかどうだっていい、寧ろ怒りたいのは私の方、行かないって約束したのに…嘘までついて…」

 

アイズは項垂れ、その姿を見てリリも反論する気力を失った、裏切られたとはこの事なのだろう、今はただベルが目を覚ますのを待つしかない。

 

リリ「…っ私も…何か使えるもの探してきます…!」

 

おそらくアイズが言っていることは真実だ、向こう水でお人好しのベル・クラネル、利用されることも気が付かずにただ感謝の気持ちを伝えるが為に邪馬台国に単身で行ったのだろう。

 

リリ「…っひぐ…ベル様のバカァ…」

 

ティオナ「…アルゴノゥト君が大切な存在なのはみんな同じだと思う、だからさ、アルゴノゥト君が起きた時くらいはみんなで蟠りなく迎えよう?怒るのは帰ってからでさ」

 

リリ「…はいっ…」

 

それまではもう少し泣いておけと、ティオナは一緒にいてあげた。

 

研究所に戻り、少し地下を探索したヴェルフ一行はある広間にたどり着いた、何かを祀っているような広間は左右には金剛力士を思わせる像が建立されており、壁には卑弥呼であろう姿とそれを守る男性の絵が描かれていた、それを見上げる様に一人の侍が事切れていた。

 

レフィーヤ「…ヴェルフさん、一体なんなんですかね…嵐の防人って人たち」

 

ヴェルフ「さぁてな、狂った集団か或いは…ただ一所懸命なだけなのか…」

 

命「切腹をしたようですね…まさかこの方は…先代の将軍…?」

 

レフィーヤ「あれ?その柄頭の部分…」

 

命「なにか入っていますね…ここの部分は小物を収容する場所ではないのですが…」

 

ヴェルフ「…手紙か?これは、侍さん失礼するぞ」

 

女王の命 果たせず

儀式半ばにして穢されたり

巫女はおのが命運悟りて自害せり

いにしえの女王の魂 朽ちゆく体に囚われ

怒り嵐となり その魂 この世に繋がれたる間

止むことなし

われ果てしのちも 嵐の防人とこしえに御守り奉る

 

 

ヴェルフ「…朽ちゆく体に囚われ…なるほどなぁ」

 

命「何か分かったのですか?」

 

ヴェルフ「女王卑弥呼ってのは肉体はもう死んでいるが…魂だけは身体の中…次代が自殺したお陰で今もなお囚われているって事だ、あの山から吹き下ろす風もアイツの怒りだ」

 

レフィーヤ「…てことは、その女王卑弥呼というのは…」

 

ヴェルフ「今の代は何百年と中途半端に生きながらえてるって事だ、嵐の防人は肉体もそのままに生きてるのかは何故かは知らんが…それに嶋の言っている様に卑弥呼ってのは別の器、それも卑弥呼の力を受け付けないと乗り移らないんだろうな、胸糞悪くて反吐が出るぜ」

 

何代もの女王候補の犠牲を繰り返し、器として受け付けられるものは卑弥呼となりを永遠と繰り返していたのだろう、それに至るまで何人の尊い犠牲を産んだのか。

 

ヴェルフ「まぁいい、食料も取ってきた、さっさとベルの回復を待ってこんなところからおさらばするぞ」

 

命「はい!」

 

 

夢を見ていた、初めてオラリオに来た時の夢だ、何もかもが新鮮でこの街に居るすべての人々が輝いて見えた。

そこに悪意など無く、ただ皆はひたすら冒険をして、パーティーは互いに切磋琢磨するものだと勝手に思っていた。

 

ベル(でも…最初はファミリアから尽く入団を断られた…何も持っていないのに身ぐるみ剥がされそうになる…思っていたのと随分と違っていた)

 

しかし、神ヘスティアに出会い、アイズに出会い、リリやヴェルフ、命や春姫が同じファミリアに入団して改めてオラリオは素晴らしく、ロマンに溢れた街だと思った。

 

ベル(人の善意に漬け込む人もいる…平気で仲間を見捨てる人達もいた…僕はそういう人に何回も騙された…)

 

嶋義貞にさえも謀られ、嵐の防人にさせられた。

しかし心に突っかかるのは何故18階層で冒険者たちを助けたのか、何故世話になった者がいると言ったのか…全ては本当に僕を謀る為だったのか…アイズさんにも、ファミリアのみんなにも多大な迷惑を掛けてしまった、起きるのが怖い、どう償おうか、夢の最中様々な考えが逡巡して、一筋の涙が頬をつたいベルは目が覚めた、記憶も完全に元通りだ。

 

ベル「…んっ…」

 

アイズ「…ベル、おはよう」

 

アイズ(ベル、泣いてる)

 

アイズは膝枕をすることに少しトラウマがあった、いつかベルに同じように膝枕をしたら逃げられたことがあったからだ。

しかし今回は逃げなかった。

 

ベル「アイズさん…ごめんなさい…」

 

アイズ「…本当に怖かった、ベルがあのままこの島に残るんじゃないかって、それに悲しかった、みんなの事を忘れ、私の事も忘れてしまってたらどうしようかって…」

 

ベル「ごめんなさい…アイズさんの忠告も無視して…」

 

アイズ「…それもとても悲しかったよ、でもベルが無事に帰ってきてくれたら、私はそれでいい」

 

あのアイズが涙を流している、好きな人を悲しませて泣かせてしまった、お爺ちゃんに怒られるだろう。

ベルはボーッとする思考の中辺りを見回した、そして頭がスッキリするほどびっくりした。

なんせ周りにはヘスティアファミリアの仲間や、アイズの仲間達がこちらを見てニヤニヤしたり怒った表情をしているのだ。

極め付けはリリだ、今にも泣きそうな顔をしている。

 

ベル「…リリ」

 

リリ「ベル様の…バカっ…!」

 

平手をくらった、当然だ。

 

リリ「みんなが…どんだけ心配したのか…」

 

ベル「リリ、ごめん、本当に」

 

泣きながら抱きしめられたベルはただ謝るしかなかった。

 

ヴェルフ「さてとベル、今回ばかりは仲間の俺も許せないな、これじゃ俺らはお前に信頼されてないから邪馬台国に行ったと思われても仕方のない事だ、そうだろう?」

 

ベル「…うん…」

 

ヴェルフ「それに剣姫を危険に晒し、他のファミリアにまで迷惑をかけた、それ相応の懲罰は覚悟しとけ」

 

兄貴分のヴェルフに説教を受けて、地獄の果てまで落ち込むベル、アイズが弁護に入ろうとすると。

 

アイズ「そんな…」

 

命(アイズ殿アイズ殿、コレはヴェルフ殿の作戦でして…)

 

アイズ(作戦?)

 

勝手に突っ走る団長の鼻っ柱をへし折り、自信を少し失くさせる作戦だ、こうすれば勝手に死にに行く事も無くなる。

 

リリ(アイズ様も乗っかってやってください、多分一番効果がありますよ)

 

アイズはこう言った悪戯には生憎疎かったが、少しだけ楽しそうでもあった、何よりベルが死地にいかなくて済むのなら。

 

アイズ(何を言おうか…)

 

一番効果がありそうな事、思ってもない事…

 

アイズ「…私を裏切るベルなんか、大嫌い、もう知らない…かな」

 

ベル「ッカハァッ…⁈」

 

命・ティオナ「吐血した?!!」

 

レフィーヤ「全く、そのまま寝かせとけばよかったんですよ」

 

ヴェルフ「まぁまぁポーションでも適当にぶっかけとけば回復するだろ、さてと、あとは帰るだけだが…ベル、立てるか?」

 

アイズの言葉が中々良いところに突き刺さり、小鹿のように足を震わせて立っているが大丈夫そうだ。

 

ベル「へ、平気です…」

 

腹拵えを済まし、一行は建物を後にした、風は穏やかになり、ここらなら18階層の入り口まですぐだ。

 

ベル(嶋義貞…最後までわからない人だったな…)

 

一行はあと少しで18階層と言ったところで、絶句した。

 

嶋「…ベル・クラネル、任務を捨てて何処へ行くつもりだ?」

 

 

 

少し遡り 寺院

 

嶋「…左近、逃したな?」

 

左近『元ヨリアノ少年ハ防人ノ器デハ』

 

嶋「黙れ、やはり女王の力も弱まっているのか…?」

 

左近『…アノ少年ノ内ニ秘メラレタ力ガ強大ナダケダッタノデハ、将軍モ気ガ付イテオイデデショウ』

 

嶋「…あの光、女王卑弥呼の力を打ち払ったという光…」

 

左近はずっと気になっていた、何故あの少年に固執するのか、そのような不可思議な力を持った者が嵐の防人となれば、女王卑弥呼の存在も危ぶまれるのではないか。

 

嶋「何故ベルに固執するか…か、左近、ここは昔みたく腹を割って話そう…」

 

かつては同じ任務に着いた中で、相棒と言っても過言ではない仲であった二人、女王卑弥呼を幾千の年月をかけて護り続けている嶋には、限界が来ていた。

 

左近『限界ダト?貴様何ヲ…』

 

嶋「寝惚けたと取るのならそれでも良い、将軍の位を賜り今までやってきたが…オラリオという街に行って分かった、人間を捨てて、世を捨てて今の今まで女王卑弥呼を護り通して来た、しかし次の代も来ない、女王卑弥呼は力が弱くなって来ている、もし体が朽ち力が果てた時、嶋義貞はどうなるのか…」

 

左近『…』

 

嶋「自分はベルにこう言った、守る者があるから強くなれると、しかし守るべきものは失いつつある、失われた時嵐の防人はどうなるのだ…その先が恐ろしくて…」

 

左近『俺達ハ、只管ニ女王卑弥呼ヲ護ルダケダ』

 

何も考えず、何も迷わずただ主人を守る、それだけの事だ。

しかし将軍に迷いが生まれた以上、もうこの位にはつけさせられない。

 

左近『ソレニ貴様、何故アノ少年ニ執着スルノカヲ答エテイナイ』

 

嶋「あの少年は…希望だった」

 

左近『希望?』

 

嶋「…今より強くなりたいと言っていた純粋なベルを育てたかった…そして嵐の防人として共に高みを目指したかった…どうせ残り少ない我々の命…いつまで続くのかは分からないが…残りの人生に花を咲かせたかった…」

 

左近『…俺達トデハ花ヲ咲カセ無カッタ…ソレガ本音カ…嶋義貞、如何ナル理由ガアロウト私情ヲハサミ守護ノ任務ヲ怠ッタ罪ハ重イ…城カラタチサレ』

 

左近(嶋…最早我々ハ残リ少ナイ命ダ…有意義ニ使エ…)

 

将軍の位を外され、流浪の人間となった嶋義貞、邪馬台国にも、地上にも居場所はなかった。

いずれ卑弥呼の力は途絶え、嵐の防人も共に絶えるだろう。

たまに思い出す故郷の景色、それらが嶋義貞を中途半端に人間として繋ぎ止めてしまった要因だ。

 

 

ところ戻って 18階層入り口付近

 

ベル「嶋…!!」

 

城から追放された嶋、ここにいる理由は一行は知るところにあらず、後を追って来たのだと認識された。

 

アイズ「…嶋、あなたがベルにやった事は絶対に許さない」

 

ヴェルフ「どうしてもウチの団長が欲しいっても、悪いが聞き入れられねぇ」

 

しかし嶋一人で来るのは何かおかしい、裏でもあるのだろうか。

皆敵が敵なだけに勘ぐっていた。

 

嶋「…ベル」

 

ベル「…何かあったのですか?」

 

リリ「ベル様、ダメです」

 

嶋「自分が行った行為に謝罪をするつもりはない、全ては邪馬台国の為、女王卑弥呼の為だ」

 

ティオナ「自分が随分身勝手なこと言ってるけどわかってる?」

 

嶋「分かっている、ベル…この本差と脇差を受け取って欲しい」

 

嶋義貞の二振りの愛刀が腰から引き抜かれ、ベルに渡された、嶋と幾千の年月を共に過ごしたこの刀をベルに渡すと言うことは、嵐の防人の任務はしないという事なのか、ベルには理解が追いつかなかった。

 

ベル「これ…」

 

嶋「自分の流派は二刀流でな、ベルにあっていると思ってな、それに残り少ない人生で共に眠るのも悪くなかったが…更に強みを目指すベルに使って欲しいのだ」

 

残り少ない?どういう事だろうか、更に質問をしようとした矢先、いきなり邪馬台国全体が震え出した。

 

ヴェルフ「んだこれっ!?まさか女王様が激怒してんのか?!」

 

嶋「その通り、弱りかけている御身で無茶をなされる…早く立ち去られよ、そちらの世界とは歪みとして繋がれたのだ、今帰らねばあとから帰れる保証などないぞ」

 

レフィーヤ「早く立ち去った方がいいですね…!」

 

命「行きましょう!」

 

断崖に建てられた廃墟が崩れ、山が崩壊していた。

 

ベル「嶋…嶋さん!!」

 

嶋「ベル…自分が生まれ変わったら…!嶋義貞がそちらで生まれ変わったらどうか頼む!!」

 

残り少ない人生?嶋さんは僕と本当は何をしたかったのか、聞きたかった、しかしここで去らなければオラリオの他は二度と踏めないだろう。

 

ベル「…っ嶋さん!!僕強くなります!英雄になります!!だから…だから!!」

 

アイズ「ベル!!急いでっ!」

 

アイズに手を引かれ、18階層まだ走った、洞窟は崩れ始め左右から壁から押し寄せて来ている、洞窟が完全に閉塞する間一髪で一行は脱出できた、息を整え後ろを振り向くと、そこにあったはずの邪馬台国に通ずる洞窟は消え去り、19階層へと繋がる道が続いていた、まるで何事もなかったかのように。

 

ヴェルフ「…ははっ…んだよあの国…」

 

命「最初から最後まで完全に理解できない国でした…自分はあのように…狂信的に主人を守れるでしょうか…」

 

ティオナ「う〜ん…護らざるを得なかったんじゃないかな」

 

不死の命を与えられ、女王卑弥呼を永久に守り奉る…彼等はそうなった以上それ以外の事は出来なかったのだろう、しかし嶋義貞はどこか違った、だが今となってはそれだけの事だ。

 

リリ「…兎に角、ベル様!」

 

ベル「はい…!」

 

リリ「…おかえりなさい、短い家出でしたね」

 

ベル「へっ…?」

 

ヴェルフ「…まさか俺らのファミリアが少しだけ嫌になったからって家出することはないだろ〜!なぁ命!」

 

命「…はい、嫌な部分があればちゃんと話して欲しい」

 

だってヘスティア・ファミリアのパーティーなのだから。

 

ベルが邪馬台国に行った原因は家出とギルドに報告された、オラリオやファミリアがちょっと嫌になった反抗期にありがちな家出だ。

 

邪馬台国での出来事は皆で伏せると口裏を合わせ、彼方では何もなく、この刀も偶然たまたま拾っただけだと、それで終わらせた。

 

邪馬台国、風の噂も流れずその後どのような道を歩んだのか誰も知らない、邪馬台国の出現は見た目的に極東の神々の遊びとして片付けられた、(当の神々達は邪馬台国など知る由も無かったが)連中が飽きたからその扉が閉じられたとして終わった。

 

 

 

ヘスティア「…」

 

ベル「…」

 

とても空気が重い、昼前にファミリアに帰還し、謝罪と報告をしにベルがヘスティアのもとに向かったが…それから夕刻までずっと口を開いてもらっていない、そろそろベルが泣きそうになっていると。

 

ヘスティア「…少しだけ僕のファミリアが嫌になった…ねぇ、ギルドの報告書にはそんな感じで書かれてるけど…」

 

ベル「…」

 

ヘスティア「ベル君、僕は今神生の中で一番怒っていると言っても過言ではない」

 

ベル「申し訳ありません…」

 

ヘスティア「報告書の内容なんかどうでもいい、ベル君が無事に帰って来てくれればそれで良かったが…ファミリアの仲間を裏切り悲しませた事実は消えないってことだけは心に留めてくれ、絶対に何があっても」

 

ベル「はい…」

 

ヘスティア「おおよそベル君の事だ、恩人の嶋義貞にあってお礼がしたくてあわよくば訓練の助教を乞うて強くなろうとしたんだろう、確かに悪いヤツではなかったよ、個人としてはね」

 

だが、帰ってきた面々の表情を見るに、何か大ごとがあったのだろう、敢えて言及はしないが。

 

ヘスティア「無茶も無理もするなって言っても、君はするんだろうね、人の為ならなんだって…だけどその分悲しむ人も怒る人もいると分かってくれるかい…?」

 

ベル「…ッグス…ヒグッ…ヘスティア様ァ…」

 

ヘスティア「…何があったかは聞かないよ、嶋義貞との間に何があったかも…今は泣いて、後で迷惑を掛けた人達に謝りに行くようにね?」

 

ベル「はい…ウウッ…」

 

後日、ベル・クラネルは世話になった方々に謝罪行脚を行った、その時事件も起こったが、それは後述する。

邪馬台国は幻の国とされ、嵐の防人も神々の遣いとなり、オラリオでは伝説上の存在とされた、ベル・クラネルは今後の人生において邪馬台国に関わる事は二度と無かった。

 

 

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