ユーネクテスvsマドロック1   作:トリケラプラス

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第6話

 部屋の外では。

 

 「流石マドロックだ。完勝じゃないか」

 

 「見たか隊長の実力を!」

 

 歓喜に沸く元マドロック小隊の面々。

 

 「ユーネクテスさん……」

 

 ボロボロになっていくユーネクテスの身を案じるLancet-2。

 

 この場にいる誰もがマドロックの勝利を確信していた。

 

 「いや、まだだ」

 

 ただ一人を除いて。

 

 「ズゥママはまだやれるぜ」

 

♦ 

 両手で造った大槌を高く高く振り上げてマドロックはトドメの一撃を解き放つ。

 

 放たれた終末の一撃は正確にユーネクテスの元へと振り落とされ戦いに決着をつける。

 

 はずだった。

 

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」

 

 「!?!?ガッ!?はっぁ……!?」

 

 ユーネクテスを捕えていた土壁は崩壊し。自由を得たユーネクテスは瀕死の身とは思えぬ速度で岩崩しを躱すと、深く。強く。激しく大地を踏み砕き。真っすぐに拳をマドロックの鳩尾へと抉り刺した。

 

 三撃目を受け、激痛に嘔吐し、喘ぎつつもユ―ネクテスは気付いたことを冷静に整理する。そして勝機を組み立てる。

 

 新たに気付いたことは二つ。一つ目はマドロックだ。彼女の周りに障壁が展開されていない。攻撃に集中するためか。それともあまりの怒りで我を忘れているのか。どちらにせよこれは好機だった。

 

 そしてもう一つ。自身を包む。土壁だ。幾度か補修はなされているもののマドロックの岩崩しの衝撃に耐えきれず脆くなっていることを感じる。

 

 抜け出し。攻勢に転じる目が出た。だが既に攻撃は目前に迫っているこのタイミングで抜け出してももう攻撃は躱せない。そうなれば冷静になったマドロックは障壁を張り直し最早逆転の目はなくなる。だから次だ。そのために、この一撃は必ず耐える。

 

 受けた。痛みが全身を走る。胃液の逆流が、吐血が止まらない。衝撃に意識が遠のく。だが、耐えた。

 

 

 今敵は最後の一撃を構えようとしている。その隙にこちらも渾身の力を込める全身を震わせる。

 

 烈震崩撃。ユーネクテスの得意とする必殺技。その応用。本来はトマホークを用いて敵に叩きつけ、埒外の衝撃で持って敵を行動不能に陥れるという技だ。その力を全身の膂力の上昇と全身の振動に転換。土壁を破砕する。自由を得る。後は、

 

 (その無防備などてっぱらを打ち抜くだけだ!!)

 

 その通りにした。

 

 人体の急所を深々と打ち抜かれたマドロックは瞬間、力を失った。その機を逃さず飛び掛かる。押し倒す。

 

 「……ッまさか……ぐッ!?あぁッ!」

 

 「おおおおぉぉぉぉぉぉぉお。うおおおおおおおおおお!!待たせたな!お前に貰ったもの全て倍にして返してやるぞ!礼は!いらないッ!!」

 

 マドロックに対してマウントポジションを取ったユーネクテスは一心不乱に拳を振るう。一撃ごとに折れたあばらが軋む。破裂寸前の内臓が悲鳴を上げる。それら全てを無視して放つ。

 

 「ガッ、”あ”っ、この……、ぐぅ……ぉぼ、ふ、くぅ……やめ、う!ぎ、”あ”、ぁあ……グぁ」

 

 マドロックもただ打たれるだけでなく反撃やガードを繰り返すだがユーネクテスの勢いが止まらない。次第に防戦一方になり。その防御も飲み込まれ。一方的に打たれるだけになる。

 

 ユーネクテスは降らせる。拳撃の雨を。それは次第に激しさを増し泥岩を穿ってゆく。その激しさは彼女の故郷、サルゴンの密林を襲う暴風雨を思わせた。

 

 

【挿絵表示】

 

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