新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
2号機のデザインは首から上だけが
新世紀のものと思ってください。
あっちの弐号機の顔が好きなのでね。
それと、2号機にタンデムしている間は
2人は基本的にドイツ語で喋っております。
作者はドイツ語分からないんで
そこも日本語で書いてますが。
「Mil-55Dに乗れるなんて最高だよ!!」
ケンスケがやたらとハイテンションである。
「しかも向かう先はニミッツ級8番艦と来た!!」
…ケンスケがやたらとハイテンションである!
今シンジ達は、エヴァ2号機の非常用電源ソケットを
国連軍太平洋艦隊へ送り届けるために
NERVの大型ヘリコプターMil-55Dに乗っている。
ミサトから友人を連れてきても構わないと
言われたのでトウジとケンスケを連れてきたのだ。
「世界初の量産型原子力空母!
ニミッツ級8番艦、CVN-75オーバー・ザ・レインボー!!
こんな機会でもなきゃお目にかかれないよ!!」
重度のミリタリーオタクであるケンスケにとって
国連軍の艦船や航空機を間近で見れるこの状況は
天国かなにかに見えていることだろう。
「やっぱ持つべきものは友達だな!ありがとう碇!!」
シンジの手を握りありがとうありがとうと
ブンブンと手を振るケンスケ。
「「「「……………」」」」
このやかましさにはミサトやレイは勿論、トウジも
ヘリを操縦しているNERVの職員たちも
そして何故か付いてきたマリもドン引きである。
「…も、もうすぐ着艦ですので着陸準備を…。」
ヘリはオーバーザレインボーへと着艦する。
扉が開けられるとケンスケは真っ先に飛び降り
オーバーザレインボーの容姿を眺めている。
カメラによる撮影は基本NGだと言われていたらしく
ケンスケは空母にも穴があくのではというレベルで
隅から隅まで凝視している。
そんなケンスケを変人を見るような目で見つつ
黄色いワンピースの少女がこちらへ駆け寄ってくる。
「ハロ~ミサト、元気にしてた?」
少女はミサトさんに声を掛けた。
ミサトさんも使徒襲来の少し前までドイツにいたと
聞いていたのでその時知り合ったのだろう
少女は綺麗な金髪をエヴァ用のヘッドセットらしきもので
ラビットスタイルのツインテールにしている。
恐らくは彼女がセカンドチルドレンだろう。
「紹介するわ。惣流・アスカ・ラングレーさん。
エヴァ2号機の専属パイロットよ」
僕はその名前を聞いてどこか引っかかる感じをおぼえた。
「アスカにも紹介しないとね。青い髪の女の子が
ファーストチルドレンの綾波レイよ。
そしてこっちの茶髪の可愛い可愛い男のコが
うわさのサードチルドレン、碇シンジ君よ♪」
ミサトさんの紹介に凄まじい悪意が感じられる。
まぁさっきから屈強な海軍の男どもも数名僕のことを
チラチラと見ているので間違いはないのかもだが。
僕のことを聞かされた惣流さんはその内容に
どこか引っかかったような表情をしている。
「碇…シンジ、ねぇ…」
「惣流…惣流…どこかで聞いたような…」
僕がドイツにいた頃を思い出してみる。
こんな少女と出会っているとしたら学校だろうけど
ドイツで通っていたのは大学だけである。
大学の頃の記憶を探っていって思い出したのは
「飛び級で入学してきた文武両道の秀才美少女がいる」
という噂。
まさかとは思ったが一応惣流さんに問いかけてみる。
「「君(アンタ)、同じ大学にいた?」」
「「凄い飛び級生がいるって噂で…!」」
「……息ピッタリね、あんたたち」
惣流さんとピッタリ同じ質問をしていた。
慌てて彼女に出身大学を聞いてみれば
僕が通っていた大学と同じ名前だった。
「…確かにいた!確かに何度か見かけたよ!」
「…居たわね、私の周りでも話題になってたわ」
会話の場を艦内のフードコートへと移し
再び惣流さんと昔の話を再開する。
「え!?アンタホントに男の子だったの!?」
惣流さんは僕のことを
「飛び級で入ってきた日本人の天才少女(仮)」
と覚えていたらしい。
大学内では僕のことを男だと信じる派と
本当は女の子じゃないのかと疑う派に別れていたようで
惣流さんも印象に強く残っていたとのこと。
「せやで!ワシも最初は見間違えたもんや」
トウジが久しぶりに会話へ入ってきた。
僕と惣流さんがお互いしか分からないような話をしてて
今まで入ってこれなかったらしい。
ケンスケは今もこの艦隊を見て回っているだろうが。
「そういえばこのジャージとさっきの変態メガネは
アンタとどういう関係なのよ?」
「ジャージ…やと?ヒドい呼び方やな!
確かにジャージばっか着とるけどな」
確かに僕とトウジやケンスケの関係は
見知らぬ人からしてみればちょっと変わっているように
見えているかもしれない。
「僕の友人だよ。本人たちは民間人だけど知り合った
きっかけはどっちもエヴァだったりするんだ──」
特にケンスケとの馴れ初めを話すと惣流さんも驚いた。
エヴァの戦いの危険性をある程度分かっていながら
戦場へ見物に来たともなれば驚きもするだろう。
それで戦いに巻き込まれ、エヴァに乗って一緒に戦って
NERVからスカウトまでされているのだ。
驚かないほうが不思議といえた。
「随分変わり者の知り合い持ってんのねアンタ」
トウジ達のことを知った惣流さんの、2人を見る目は
ある種感心しているようなものへと変わっていた。
話も弾んできた時、ミサトさんの後方から
無精髭を生やした男が歩いてきた。
彼は人差し指を口元に当てながらまっすぐ向かってくる。
ミサトさんにバレずに近づこうとしているようだ。
「!!やっ、ちょ…誰よ!?」
「よっ葛城、元気にしてたか?」
「げーっ加持ィ!?」
加持という男に後ろから抱き着かれたミサトさんは
厄介なヤツに見つかった、と言いたそうな顔をして
イスを蹴倒す勢いで加持から飛び退いた。
「ななななんでアンタがここにいるのよッ!?」
「アスカの随伴でね。しばらくは本部付きになるヨ」
しばらくNERV本部に残ることになると語る加持さんに
ミサトさんは至極嫌そうな顔を浮かべる。
知り合いのようだが過去に何かあったのだろうか?
「碇シンジ君は…キミかい?俺は加持リョウジだ。
君の活躍の噂は俺も聞いているよ。」
「あははっ、やっぱり知られてますよね…」
「あぁ、この業界で君のことを知らない奴は
モグリ扱いされるくらいさ」
加持さんは僕の凄さをやや誇張気味にベラベラと喋る。
初出撃時にはシンクロ率90%オーバーをマークし
その後の戦闘を無傷で終えたことに加え
ここまで3体の使徒を殲滅、オマケに新技術をいくつも
NERVへ提供している物凄いパイロットだ、と。
この話を聞いた惣流さんもさすがにイライラし始める。
まあいきなり自分の目の前で他のパイロットが
手放しで褒められていたらイラつきもするだろう。
…と思いきや惣流さんの視線は加持さんへ向いている。
「加持さん!そんな誇張表現しなくたってシンジの凄さは
よく分かってるわよ!大学であたしと並び立ててた
凄い奴なんだからコイツは!」
身体能力はアスカの方がかなり上回っていたが
学業成績に関しては、彼に追い迫ることはあっても
追い抜き引き離すことはまるで出来なかった。
大学を卒業するころにはアスカも理解していたのだ
「碇シンジとやらは自分と同じレベルの逸材だ」と。
「お、おぅそうか」
加持さんは不意打ちを食らったような顔をしている。
しかし気分を切り替えるように軽く首を振って。
「シンジ君は葛城と同居してるんだろ?
コイツの寝相、治ってるか?」
──突然爆弾発言を投下したのだ。
…加持さんとミサトさんは以前付き合ってたようだ。
そりゃミサトさんから見れば別れた元彼のご登場なわけで
ここまで不機嫌になるのも納得だ。
しかもその本人は飄々としているから尚更だろう。
「なななんてこと言うのよ子供の前で~ッ!?」
あっちへ行きやがれとミサトさんに怒鳴られた加持さんは
ケラケラと笑いながら立ち去っていった。
「ひ~めっ!」
「ちょっと!誰よあたしにまで!」
今度は惣流さんに抱き着いた人物がいた。
その人物は白いビキニとショートパンツという
軍艦にしてはラフすぎる格好をしていて
掛けているメガネは怪しく光っていた。
「げッ!?マリぃ!?アンタはなんでここにいるのよ!」
「姫が来るって言うから、来てみたんだにゃ!」
マリさんは指をワキワキさせながら惣流さんへと迫る。
彼女のメガネの輝きはさらに怪しさを増していく。
「姫がどれだけ成長したか確かめてやるにゃ~ッ!」
「ふんッ!」
ゴッ!!!
惣流さんの胸元へ向け飛び込んで行ったマリさんだったが
キレた惣流さんの拳に一撃で伸されるのだった。
「痛たたぁ~相変わらず姫は乱暴だなぁ」
「アンタが変態じみたことするからでしょーが!!」
実はマリさんはここへ着くなりどこかへフラフラと消え
今まで一種の行方不明状態だったのだ。
恐らくは惣流さんを探してウロウロしていたのだろう。
ちなみにだが、マリさんが惣流さんを探しに行った方向は
惣流さんがやって来た方向とは真逆だったりする。
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「まさかシンジがエヴァのパイロットだなんてね…」
「それを言ったら惣流さんだってそうだろう」
シンジとアスカは輸送艦オセローへ向かっていた。
アスカがぜひ2号機を見せたい、と言っていたので
2人で話をしながら向かっているのだ。
「堅苦しい言い方はやめてよ、アスカで良いわ」
「そうか。アスカって呼ばせてもらうよ。」
傍から見ればシンジとアスカは2人とも美少女なので
屈強な男どもの集まる太平洋艦隊においては
とても貴重な目の保養になっていた。
甲板上の視線も2人へ集まっていたが
2人は特に気にすることも無く輸送ヘリへ歩いていき
輸送艦オセローへ飛んでくれと指示を出す。
「これがあたしのエヴァ、エヴァ2号機よ!」
そこにいたのは冷却用の赤紫の水に浸かっている
額に角を付けても似合いそうな赤い四ツ目のエヴァ。
エヴァンゲリオン正規実用型2号機だ。
「スペックデータは見させてもらってるよ。
汎用性高くていろいろ弄りがいがありそうだな」
「え、まさか本部のエヴァを改造してるたりするの?
『マカイゾウ』ってヤツで異形になってないわよね?」
「いやいや、魔改造みたいな事はしてないって」
アスカは日本のサブカルにも一定の興味はありそうだし
日本へ戻ったら色々教えてあげるのも良さそうだ。
一応アスカから今の2号機の状態も見せてもらう。
「これが今のデータよ」
「海路輸送なのにB型装備?海の上で使徒に会う可能性も
ゼロとは言いきれないだろうに…」
「でも使徒は第三新東京市に向かってくるんでしょ?」
使徒と偶然ルートが重なる可能性は残ると言えば
アスカもそれはそうねと納得する。
2号機のデータを確認し終えたところで
掛けられたシートから出てオセローの甲板上へ戻る。
ズゥゥゥ……………ン
船が突如鈍い揺れに襲われた。
アスカと顔を見合わせ、水中衝撃波だとの結論を出すと
後方では凄まじい水しぶきが爆炎と共に上がっていた。
「…まさかこれ、もしかしてよ?」
「…使徒…!」
後方で護衛艦を沈めた巨大な影はこの艦隊の下を
何かを探しているかのように泳ぎ続けている。
この艦隊で使徒が狙うようなものと言ったら
さっきまで見ていたあれしか考えられなかった。
「シンジ!一緒に来なさい!」
「ああっ!」
シート内へ戻るなりアスカに2号機へ同乗しろと言われ
僕もプラグスーツへ着替えてからプラグへと飛び乗る。
エヴァ2号機は思考言語がドイツ語とのことで
思考回路をドイツにいたときのものへ切り替えた。
「………」
アスカの動きを妨げないよう最低限シンクロをしにかかる。
初号機には母さんの魂が眠っていたから
2号機にもアスカと親しい人が眠っているハズだ。
(2号機の人…アスカと共に戦うことになった碇シンジです)
(………)
2号機からの反応は帰ってこない。
(僕もアスカの力になってあげたいんです!)
(………!)
少しだけ2号機から感じる雰囲気が柔らかくなる。
「あたしの2号機とシンクロするなんて流石ねシンジ」
アスカは僕が2号機とシンクロしたことに気づいたらしい。
何か意識してることでもあるのかと聞かれたため
2号機の中の人に協力してくれと頼み込んだと言うと
流石に怪訝な顔をされる。
「エヴァの中には人の魂が封じ込められていてね──」
エヴァのコアには人の魂が入っていて
それを介して初めてエヴァを動かすことができると
エヴァの基礎理論を作った人から聞いた
初号機に入っていたのは自分の母だったと説明する。
「えっ!?初号機にシンジのママが!?」
アスカは「母親」というキーワードに強い反応を見せた。
まぁ恐らく2号機も"そう"なのだろう。
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『巨大生命体、輸送艦オセローへ接近!!』
無線から響いてきた報告にアスカは思考の海から
現実へと引き戻された。使徒が迫っているのだ
このままでは2号機もろとも海の藻屑だ。
アスカは速やかに2号機を立ちあがらせる。
さっきシンジから聞いた、エヴァのコアに母親がいる
という話はにわかには信じ難いものだったが
思い当たる節があったアスカは2号機に意識を向けた。
(…2号機、ママだったらあたしに力を貸してッ!)
すると一気に機体が軽くなった気がしたので、
ケーブルソケットを受け取るために船を飛び移って
向かおうと思っていたオーバーザレインボーの甲板へ
一気に大跳躍する。
「エヴァ2号機、着艦しま~すッ!」
『『『うわあああッ!?』』』
ズダァーンッ!と凄まじい音を立てながらも
無事オーバーザレインボーへ飛び移れたので
ケーブルを接続する。
UIに表示されていた内部電源の残り時間が消え
外部電源に切り替わったことが表示される。
「武装は?」
「ナイフしか無いのよ、ケチってくれちゃって…」
ウェポンラックからカッター状のプログナイフを取り出す
艦の右舷側からザザザザーッ!と白波を立てながら
巨大な影が迫ってくる。
ザバァーーーッ!!!
ついにその使徒が姿を表した。
口が大きく裂けた白い魚のような使徒
「第6使徒ガギエル」だ。
「こんのぉッ!」
アスカは姿勢を低くしてナイフを使徒の下顎へ突き刺し
そのまま艦の左舷側へと投げ返す。
使徒はオーバーザレインボーに匹敵する巨体なため
甲板上でのしかかられでもすれば船ごと転覆して
海に叩き落とされる可能性があったのだ。
「せめて海洋戦闘用のO型装備が残ってれば…」
オセローに一応O型装備は積まれてはいたらしいが
2号機がオセローから離脱した瞬間に
ガギエルによって真っ二つにされてしまっている。
今頃は海の底だろう。
ミサトも良い作戦を思いつくことが出来ず
シンジとアスカの集中力だけが削がれていく。
「…あれ?使徒が離れていく!?」
飛びかかってくるガギエルを受け流し続け、さすがに
疲れが見え始めてきた頃、突然使徒が離れていったのだ。
この行動にはシンジもアスカも、ミサトたちも驚いた。
そして、使徒の逃げていった方向をよく見てみると
一機のVTOL機が離れていくのが見える。
『…加持のヤツがいない!』
オーバーザレインボーの艦橋にいたミサトが叫んだ。
さっきまで自分と一緒にここに居たはずなのに、と。
『甲板に停まってたハズのYak-38改が居ません!』
甲板からVTOL戦闘機が一機消えていたと
オーバーザレインボーのクルーが報告する。
離着陸の管制は行われていなかったので
部外者か誰かが勝手に飛ばしたのだと思われる。
そこから導き出される結論は…
『あんのバカッ!逃げやがったっ!!』
「加持さんが危ない!」
逃げていくVTOL機は恐らく加持が飛ばしていて
その機内には使徒を強烈に惹き付けるような
「何か」が載せられているのだろう。
ガギエルは今海中を泳いでいるが、今まできた使徒のうち
シャムシエルとラミエルは飛行することが出来たのだ。
VTOL機をはるか上空へ待避させたとしても
ガギエルも空を泳いで追っていく可能性が高い。
「2号機が海を泳げれば…ッ!」
このままでは加持はVTOL機ごと使徒に殺されてしまう─
アスカにとって加持とはチャラチャラしてはいるものの
自分たちと親身になって接してくれる良い人でもあった。
そんな彼を失うのはなんとかして避けたかったが
今の2号機では海に落ちた瞬間動けなくなってしまうため
アスカは何も手出しをすることが出来なかった。
「フィールド偏向制御を使ってみよう、アスカ」
しかしシンジにはまだ策があった。
この状況を打開できる可能性を秘めた未完成の切り札が。
つづく
アスカを誰かとくっつけるか否かは
まだ考えていません。
が、アスカがリタイアする要因になりうるものは
徹底的にフラグ折りしていきます。
O型装備のOは"O"CEANのOを取ってきました。
ガギエル君は当然"アレ"を狙っています。
2号機が自分の領域へ降りてこようとしないので
スルーした模様。