新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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UA6000突破、評価バーに色がつきました!
感謝感激です!

さて、今回は貞本エヴァには居なかった
サンダルフォン戦です。
やはり書くのに苦戦しましたよ。

今回最後の方にR-15要素アリです。
R-18には入らない…ハズ。


マグマダイバーズ

 

 

 

『総員第2種警戒態勢!繰り返す、総員第2種警戒態勢!』

 

使徒らしきものが発見されたという事を知らせる警報が

NERV本部内に鳴り響くなか、ゲンドウは司令室で

ある人物が来るのを待っていた。

手元には浅間山地震観測研究所から送られてきたデータ。

 

「父さん、入るよ」

 

「待っていたぞシンジ」

 

ゲンドウが呼んでいたのは息子であるシンジだった。

 

「今回の事態にどう対応すべきかお前の意見が聞きたい」

 

ゲンドウは今置かれている状況がやや複雑だったため

事態の対応策をシンジにも聞こうとしていたのだ。

 

「浅間山の火口内に…使徒らしきもの?」

 

「あぁ、葛城君に調査へ向かわせたんだが…」

 

浅間山の火口に異変があり、それを調べたところ

マグマ内に不自然な影のようなものが見つかったのだ。

研究所からの観測データにも確かに写っている。

葛城ミサトらを現地へ送り、NERV本部でも調査しているが

MAGIですらそれが使徒である可能性は半々と答えたのだ。

 

「僕からは…もう少し情報が欲しいね」

 

仮にそれが使徒だったとしても場所が場所である。

マグマの中で戦わされる可能性が大きい以上

どう対応するべきか判断するには情報が足りなかった。

 

ピーッ、ピーッ、ピーッ

 

『司令、葛城です。観測結果が出ました。』

 

観測所へ出向いていたミサトから連絡があり

詳細なデータが送られてくる。

 

「青…やはり使徒か」

 

「厄介なヤツが出てきたもんだね」

 

観測機器を壊れるまで潜航させてギリギリ採れたデータは

その影が確かに使徒であると物語っていた。

ゲンドウはそれが使徒であると薄々勘づいてはいたものの

こうしてシンジを呼んでいるように、対抗策はあまり

いいものが思いつかなかったのだ。

 

ただ、どうやらその使徒はまだサナギのような状態で

一切活動をしていないとのことだった。

これを捕獲出来れば貴重な「生きた使徒のサンプル」を

手に入れられそうだと思ったゲンドウは、捕獲作戦を

行ってまで手に入れる価値があるかどうかシンジにも

尋ねてみることにした。

 

「シンジ、使徒の捕獲をしようと思うのだがどうだ?」

 

「確かに使徒のサンプルは欲しいところだね」

 

ゲンドウはこの反応を受けて今回の使徒を捕獲する方針で

作戦を組み立てようとするが、ふとシンジの表情が曇る。

 

「…父さん、使徒がサナギみたいな状態ってことはさ

成長して成体になる可能性は大いにあるよね」

 

「だろうな」

 

シンジが指摘した問題というのは、成体になった使徒を

どうやって大人しくさせるのかというものだった。

ゲンドウはこれを指摘され、ハッと我に返った。

確かに今までの使徒も、エヴァを使っても殲滅するのに

四苦八苦するほど強力な存在だったのだ。

いちど成体になってしまえば、人の手では研究は勿論

抑え込むこともロクに出来ないだろう。

 

「使徒封印用呪詛柱があるにはあるが…」

 

「用意するのが難しい、と?」

 

──使徒封印用呪詛柱。

それは表面に赤い模様が浮かぶ巨大な黒い柱で

これで囲まれたエリア内の使徒の活動を制限する

未知の技術が含まれた特殊な物体のことである。

 

「使徒を封印出来る可能性があるほど強力なものは

ベタニアベースで実験中のやつしか無くてな」

 

「なら、捕獲作戦は断念するしか無さそうだね…」

 

「そうだな…」

 

ゲンドウとシンジはそろって頭を悩ませる。

使徒を殲滅する方針へ切り替えたのは良いのだが

やはり使徒が火口内にいるという事実が重くのしかかる。

 

「現行の武器では歯が立たないだろうな」

 

「あの環境で生きていられる体だもんね」

 

エヴァを火口内へ突入させるための装備は存在するが

今回の使徒はマグマの中という高温高圧な環境下でも

生きていられるのだ、恐ろしい程に体が頑丈なのだろう。

となれば並の武器でなくても攻撃はほとんど通らない。

 

 

 

「コーヒーでも飲んで考えなおそうか」

 

「だな」

 

シンジがコーヒーメーカーを使ってコーヒーを淹れ

ゲンドウの元へ持ってくる。シンジが来る前までは

ゲンドウのデスク以外何も無かったこの司令室には今

応対用のテーブルとソファ、コーヒーメーカーが

新たに置かれていたのだ。

2人はソファへ座り、コーヒーを飲む。

 

「それは学校の教科書か?」

 

「うん、さっきまでアスカ達と勉強しててね」

 

ゲンドウはシンジのカバンに第壱中学校の教科書が

入っているのを見かけた。どうやらテストが近いようで

軽く覚え直しをしていたらしい。

 

「あぁ、熱膨張か。父さんも子供の頃やったもんだ」

 

「丁度今理科はこの辺をやってるからね」

 

理科の教科書で付箋が貼られていたページでは

温度による体積の変化やらが解説されている。

それを見たゲンドウは懐かしい気分になっていたが

突如ピンと来たのである。

 

「…シンジ!これだ!!これを使おう!」

 

「父さん!?……そうか!」

 

すぐにゲンドウはNERVの各所に連絡を取り、作戦の準備を

進める。シンジもミサトへ電話を掛けて作戦を伝えると

司令室を飛び出していった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「これが…使徒?」

 

「まだ幼体みたいだわ。サナギみたいなものね」

 

繭に包まれた胎児のようなその姿に、アスカはこれが

使徒だとは想像がつかないらしい。

見せられた資料にじっくりと目を通している。

 

「この作戦あんたと司令で作ったの!?」

 

作戦立案者にはシンジとゲンドウの名前が書かれている。

普段はここにミサトの名前が入っていたので

アスカは少し驚いていたのだ。

 

「先制攻撃する作戦ですね」

 

「そうよレイ、幼体とは言え使徒は使徒だもの」

 

アスカとレイへ今回の作戦の概要を説明すると同時に

新調したプラグスーツを手渡したリツコ。

この新スーツの解説も行うからいちど着替えてきなさいと

言われて2人は更衣室へ入っていった。

 

 

 

「リツコさん、これ前と何が違うの~?」

 

アスカ達が着てきたプラグスーツはパッと見だと前の物と

全く変わらないデザインをしている。

そこへ、正式に技術2課所属になったアドルが

ヘルメットを2つ持って現れる。

 

「技術2課で作った物です。付けてみてください」

 

アスカとレイ、それぞれのスーツに合わせた赤と白の

ネコミミのような物が付いたヘルメットだ。

ヘルメットに付いているネコミミは中の温くなったLCLを

外へ排出するためのものだとか。

 

「ネコミミ…ねぇ。マリのがあれば付けてやったら?」

 

ヘルメットを被りスーツのコネクタと接続した2人。

レイはネコミミに対して特に何も言わなかったし

アスカはヘルメットが邪魔だとでも言いたそうな顔だ。

 

「2人とも、右手首のスイッチを押してみて」

 

2人はプラグスーツの右手首にあるスイッチを押す。

 

「ちょっと!エアーが入っちゃってるわよ!?」

 

本来スーツは内部のエアーを抜いて肌に密着させるのだが

手首のスイッチを押したスーツは逆にエアーを入れたかの

ようにゆったりとした状態へと戻っていってしまう。

 

「……いいえ、正しい動作みたいだわ」

 

「…ホントだ!涼しくなってきた!」

 

プラグスーツがゆったりしたものへ変化した理由は

2層になっているスーツの生地の間に冷却用のガスが

充填されたからである。ヘルメットの内部の方は

今はバックパックで冷やされた空気が循環している。

エヴァに乗った時はこれが冷えたLCLに変わるだろう。

 

「さて、エヴァの方も準備が進んでるからついてきて」

 

 

 

リツコさんに案内されてたどり着いたのはエヴァのケイジ

ではなく起動実験などで使われる実験場だ。

そこにいたのは、真っ白な潜水服のようなD型装備を

着せられたエヴァ零号機だった。

 

本来零号機に特殊装備は規格外で使えなかったのだが

イスラフェル戦後に量産化改造が施されたことで

対応する特殊装備の幅が2号機と同等になっていたのだ。

 

「えっ~!?ちょっとこれはダサすぎない!?

まっ、まさかあたしの2号機もとは言わないわよね?」

 

「2号機も勿論D型装備よ」

 

キッパリと告げられたリツコの言葉に項垂れるアスカ。

確かにこれはダサい。これではまるで雪だるまか

かのネコ型ロボットを白くしたかのようなそんな感じだ。

 

「惣流さん、これでも性能は確かなんですよ?

技術2課も総力をつぎ込んた自信作ですから」

 

「そうね、耐熱耐圧の面で言えば1.5倍くらいあるわ」

 

そう言われても、自分の2号機までこの有り様になるのが

よほどショックなのかアスカの機嫌は良くならない。

そしてある事に気付きシンジの方へ振り向く。

 

「初号機には着せられないの!?」

 

「残念、初号機はD型装備非対応よ」

 

しかも、試作型フィールド偏向制御装置のテスト中であり

戦線投入自体が不可能だと言われてしまった。

 

「仕方ない、やってやるわ!見た目をひっくり返すような

鮮やかな戦い見せてやるんだから!」

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

──浅間山。

 

溶岩の赤い輝きが白煙の切れ目から時折見えているなか

零号機と2号機の降下準備が進められていく。

電源ケーブルを含めた6本のパイプが背中に繋がれ

手には7本目のパイプを持たされている。

両機の腰アーマーにはプログナイフがセットしてあるが

使っても精々トドメを刺すのに使う程度だろう。

 

『降下用クレーン、準備完了です』

 

『レーザー打ち込み開始』

 

 

着々と準備が整っていくなか、パイロット2人は

それぞれのエヴァの搭乗デッキで会話をしていた。

 

「あんたとまともに組むのは初めてね」

 

来日直後のガギエル戦はシンジと組み、イスラフェル戦は

3人とはいえアスカは実質ソロだった。

今回こうしてレイとアスカが組むのは初だったのだ。

 

「シンジ君は惣流さんを信頼している。私も信頼するわ」

 

つい顔が緩むアスカ。しかし、一応は共同戦線を張った

仲である。故にこう続ける。

 

「にしては堅っ苦しいじゃない、アスカでいいわ」

 

「ならそうする。今作戦はよろしく、アスカ」

 

そう言って手を差し出してくるレイ。

満点の答えにアスカは笑顔で握手を交わした。

 

「こちらこそよろしく、レイ」

 

 

 

『作戦開始時刻です』

 

ついにマグマダイバー達が動き出す。

 

「ジャイアントストライドエントリー!」

 

「じゃ、ジャイアント…なに?」

 

そう言って2人はおどけてみせる。死地へ向かうとはいえ

緊張し過ぎていては逆に良くないだろう。

そして、その白い巨体がマグマへと潜っていく。

 

「何にも見えなくなっちゃったわね」

 

「CTモニターへ切り替えれば見えるわ」

 

マグマ内にいるため肉眼では何も見えないだろう。

レイの言葉を聞きアスカもCTモニターへ切り替える。

 

『深度400、450、500、550』

 

指揮車両にいるマヤの声で今いる深さが伝えられる。

予想では目標は1300ほどの深さにいるとのことだったので

まだもう少し潜る必要があるだろう。

 

『深度1100、1200、1300、目標予測地点です』

 

「レイ、いる?」

 

「見つからないわ」

 

アスカとレイは辺りを見回してみるがそれらしきものは

まだ見つからなかった。

 

『対流が早いのかしら。マヤ、再計算して』

 

『もう少し降りてみましょう』

 

パイプにもD型装備にもまだ異常は出ていない。

理論上では2000ほどまで潜れる仕様なのでさらに潜る。

 

『…深度1780、目標予測修正地点です』

 

「「…いた!」」

 

『目標を映像で確認しました』

 

ついに「第8使徒サンダルフォン」の姿を捉えたのだ。

アスカとレイは未接続のパイプをサンダルフォンへ向け

接近するのを待ち構えている。

 

『目標接触まであと30』

 

サンダルフォンはマグマの対流に乗っているため

このチャンスを逃せば次は無いだろう。

2人と指揮車両の面々は慎重にタイミングを伺う。

 

『接触まであと3、2、1』

 

 

「「冷却材放出!!」」

 

2人の持つ7本目のパイプから冷却材が一気に吹き出し

サンダルフォンへと吹き付けられていく。

 

『使徒、急速に羽化していきます!』

 

「「まだよ!」」

 

突然の攻撃に驚いたのかサンダルフォンは羽化を急いだ。

まるで人間の胎児のようだった姿が一気に変化し

腕の生えたカレイのような姿へと変貌する。

しかし、止むことのない冷却材攻撃に晒され続けた結果

羽化直後の姿で動けなくなってしまったのだ。

 

「おまけよ、これも喰らえーっ!」

 

そして、急速冷却で脆くなったサンダルフォンの体は

アスカのプログナイフの一撃でコナゴナに粉砕され

マグマに溶けていってしまった。

 

 

『パターン青消失、やけにあっさりですね』

 

オペレーター日向マコトはあまりの瞬殺に驚く。

イスラフェルの前例があったため油断は出来なかったが

今回はパターン青がキッチリ消失しているのだ。

この使徒殲滅は確かなものだろう。

 

「パターン青残ってたなんて言わないわよね!?」

『たっ、確かに消失しています!』

 

そして両機の引き上げ作業が始まる。

冷却材パイプにも傷は入っていなかったので

問題なく2機は地上へ引き上げられた。

 

「お疲れ様、レイ、アスカ」

 

「良い作戦をありがとねシンジ!」

「戻ったわ、シンジ君」

 

エントリープラグを降りた2人はシンジに迎えられ

この後宿泊する予定の温泉旅館へ向かったのだった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「ふう~…日々の疲れが取れるなぁ~…」

 

シンジは1人で温泉を堪能していた。

この温泉旅館は戦闘待機のために修学旅行へ行けなかった

シンジ達へとミサトが手配してくれていたのだ。

NERVの男性陣は皆本部へ帰っていってしまったので

男湯はシンジ1人で使えていた。

 

「アスカの肌ってほんとキレイよねぇ~」

 

「ちょっとミサト!?どこ触ってんのよ!」

 

女湯から聞こえてくる会話はガン無視を決め込む。

こんな会話に一々反応していたら、マリとアスカの絡みや

ミサトのイジりには精神が持たないからである。

 

「あ、そうだレイ。あのね──」

 

「本当に!?」

 

アスカがレイに対して何か吹き込んでいるらしい。

それが何だかは分からないがシンジは嫌な予感がした。

 

「行ってくる!」

 

「ちょ、レイ!冗談だって!待ちなさいってば!」

 

それを聞いたレイはどこかへ駆け出してしまったらしい。

シンジはレイの行き先に何となく検討がついた。

だからこそ下手に扉の方へ振り向くようなことはしない。

後ろの方でガラガラと扉が開かれた音がしたが

今この旅館はNERVの貸し切りで一般客は1人も居ない。

つまり──

 

「シンジ…っ…」

 

「れれれっ、レイ!?」

 

シンジの隣にザバッと音を立ててレイが入ってきたのだ。

レイの体には白いタオルが巻かれてはいるがそれだけだ。

さらにレイが「君」を付けずに呼んだため

さすがのシンジもこれには心臓がバクバク鳴り響き

頭が混乱に陥る。

 

「シンジ、こっち見て?」

 

「─んむっ…んーっ!?」

 

 

 

─その瞬間、シンジは鼻血を吹いて卒倒した。

 

 

 

レイの悲鳴を聞いて駆けつけたミサトが応急処置し

シンジはただの鼻血で済んだ。

がしかし、彼が目を覚ますまでの間のレイは

普段の落ち着きが嘘のように取り乱していたとか。

そして、レイへ冗談半分で誘惑を教えたアスカは

ミサトにキッチリ怒られたそうだ。

 

 

 

                      つづく




原作のD型プラグスーツはもはやギャグなので
少し改変を加えてみました。
ヘルメットはQ冒頭でアスカとマリが
被ってたアレと同じようなデザイン。

サンダルフォン君は瞬殺されました。
捕獲したあとどうすんのよ、ということでね
ゲンドウ君から殲滅指示が出ました。
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