新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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前半日常回、後半サハクィエル登場回です。

UA8000、感謝感激ですっ!



落ちてくる巨影

 

 

 

「割引券、捨てるには勿体ないんだけどな…」

 

伊吹マヤは、今手に持っている物の使い道に困っていた。

芦ノ湖の沿岸にあるスイーツカフェの割引券だ。

ショッピングモールへ買い物に行った時に引いた福引で

当てたものなのだが、5枚で1セットになっており

NERVの業務に忙しい自分では使い切れそうにないのだ。

 

「シンジ君なら興味あったりするかしら?」

 

すぐ近くで仕事をしている日向や青葉はこんな物には

興味はないだろうし、ミサトも恐らくそうだろう。

自分の憧れの先輩は仕事の虫だし、となった時

マヤの頭に浮かんだのはサードチルドレンだった。

 

 

 

「ねぇシンジ君。これ、興味ない?」

 

「あ、このカフェ!確かに興味あります!」

 

シンジは見事に食い付いてきてくれた。

5枚セットであることにはやや驚いていたものの

友人の女の子で興味が有りそうな子がいるから

誘っていいかと聞かれたのでOKを返しておく。

 

「僕達の予定が空いてるのは…ここですかね」

 

「じゃあこの日のお昼にしましょうか」

 

シンジとマヤは自分達の予定をサクサクと調べあげると

数日後の昼に現地で落ち合うことを決め、2人はそれぞれ

自分の作業に戻っていった。

 

 

 

「ふふっ、シンジ君とカフェ…楽しみ!」

 

この日以降、やたら眩しい笑顔を浮かべるマヤが目撃され

マヤ推しの男性職員が一気に増えたとか。

 

 

 

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マヤは芦ノ湖を眺めながら、カフェ前のベンチに座り

シンジ達が来るのを待っていた。約束の時間までは

まだ十数分あるので、彼がどんな姿で来るのかを少し

想像してみる。

 

(学生服…かしら?私服はどんなの着てるんだろう?)

 

実はマヤとシンジはプライベートでは驚く程接点が無く

彼が着ている服は学生服か白衣か、プラグスーツの

どれかくらいしか知らなかったのである。

 

「マヤさん、お待たせしました」

 

「あの、洞木ヒカリです」

 

丁度約束の時間になった辺りで2人の少女が現れる。

茶色のショートボブで白いトップスに水色のレース付き

フレアスカートを着た、聞き覚えのある声をした少女と

ボーダーのトップスに白いレースのアウター

黒のミモレ丈スカートを着て、茶髪を左右のお下げにした

洞木ヒカリと名乗った少女だ。

 

「あれ?シンジ君はどうしたの?」

 

「僕が碇シンジですよマヤさん」

 

ショートボブの少女がそう名乗ったことにマヤは驚く。

改めて見てみると確かに碇シンジそっくりであり

彼に兄弟が居ないのは知らされている。

となれば、目の前の少女が碇シンジ本人ということだ。

 

「えーっ!?シンジ君凄く可愛いじゃない!

お友達と揃ってすっごく美少女よ!」

 

「え、あぁ、そうですか」

「ありがとうございます!」

 

ヒカリは素直にお礼を言っているが、普段のマヤを知る

シンジはやや興奮気味な彼女に驚いてしまっている。

 

「さぁさぁ、シンジ君。女子会始めましょ!」

 

「女子会…?一応言いますけど僕は男ですよ?」

 

「いいのいいの!ほら碇さん、行こ!」

 

女子会と聞いて戸惑うシンジを、マヤとヒカリで店内へと

連れていく。その様子を傍から見れば、友人達に連れられ

カフェにやって来た、やや内気な少女でしかなかった。

 

 

 

「シンジ君ってお菓子どんなの作るの?」

 

シンジはその質問に対し、普段はクッキーやプリンなどの

簡単なお菓子を作るが、気が向いたときには世界各国の

特にドイツのお菓子を作ったりすると答えた。

 

「さすが碇さん、グローバルね」

 

ストレートティーをお供にパフェを食べながら

会話に花を咲かせる3人。最初は遠慮気味に話をしていた

シンジも少しずつ流れに乗ってくる。

 

「僕最近このブランドに目を付けてるんですよ」

 

「私これ知ってる!お姉ちゃんも話してたわ」

 

「値段もお手頃で頼りになるのよね」

 

店に置かれていたファッション誌を持ってきて

パンケーキを食べながら3人でお気に入りを探していく。

気付けばシンジもすっかり女子会に溶け込んでいる。

 

「シンジ君のその服の色はプラグスーツ意識?」

 

「少し意識してたりします」

 

「あ~分かるかも」

 

上半身が白、下半身が水色という配色はマヤの指摘通り

プラグスーツの色を意識して揃えたものだったらしい。

シンジのプラグスーツ姿は、ヒカリも一度見ていたため

そのカラーの理由に納得していた。

 

「2人はこのリップクリーム使ってる?良いやつなのよ」

 

「あぁ、僕はすでに常備もんですそれ」

 

「やっぱ良いやつなんだ!後で買ってみよっと」

 

今度はメイク関連の話で盛り上がる3人。

特にヒカリはこれから色々覚えることになるから、と

メモ帳に2人からのアドバイスを書き込んでいく。

 

 

 

「ん~美味しかったぁ!」

 

「良いスイーツカフェですねここ」

 

「また来ましょ、シンジ君」

 

丁度ランチタイムが過ぎた頃、3人はカフェを後にした。

シンジとヒカリはこのあと特に何も無いが

マヤにはNERVでの仕事が入っているのである。

 

「さ~て、気合い入れてお仕事しますか♪」

 

仕事へ向かうとなれば足取りが重くなりもするだろうが

十分にリフレッシュしたマヤの足取りはとても軽かった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

シンジとヒカリはモノレールに乗って第三新東京市へと

戻ってきた。まだ3時頃で日は高いままだ。

 

「おっ?委員長とセンセやないか!」

 

「鈴原!?」

 

駅前から自宅の方面へ向かおうとして友人達と出くわす。

トウジとケンスケは遊び歩いていた途中だったらしい。

 

「あ!そうだ碇、ちょっと頼みがあるんだ」

 

学校では明後日から中間テストが始まるのだが、2人は

かなりピンチなようで困っていたらしい。

丁度会ったことだしシンジの家で勉強会をしないか

と持ちかけてきた。

 

「あの鈴原が…勉強会?雪が降る、っていうのコレ?」

 

「ワシだってやる時はやる男や!」

 

どうせ皆この後は予定無いだろ、とケンスケに言われ

ヒカリも一緒に4人で勉強会をする運びになった。

 

 

 

「──センセの隣、誰か越してきたんか?」

 

「…さぁ?」

 

自宅に着くとすぐ隣の玄関ドアの脇に大量のダンボールが

積み上げられていた。引越し業者のロゴが書かれていて

誰かが越してきたようだがシンジは知らされていない。

 

「あれ!?シンジじゃない!」

 

「お、ワンコ君!いい所にいてくれたね!」

 

なんと隣の扉から出てきたのはアスカとマリだ。

話を一通り聞いてみると、マリが最近アスカの部屋に

入り浸るようになってきたので、何ならシンジ達のように

マンションの一室を借りて住もうか、となったらしい。

 

「ちょっとシンジ借りるわよ~!」

 

シンジは問答無用とばかりに荷物整理に駆り出された。

 

「ちょっ!?センセ…あーもうワシも手伝ったるで!」

 

彼がいないと勉強会が始まらない、とトウジとケンスケ

そしてヒカリも荷物整理に手を貸した結果

マリとアスカの引っ越し荷物の片付けはあっという間に

終わったのである。

 

「お~シンジ君達じゃない!仲良くやってる~?」

 

そこへちょうどミサトも帰ってくる。

ペンペンもご主人様の帰宅に気付きグワっグワっと

駆け寄ってくる。

すると突然、ミサトを見たケンスケが姿勢をビシッ!と

直してこう言った。

 

「葛城三佐、ご昇進おめでとうございます!」

 

「え?あ、あぁ…ありがとうね」

 

それを聞いたシンジも襟のところをよーく見てみると

確かに襟章の線が1本増えている。

ミサトは使徒殲滅の功績を讃えられ、一尉から三佐に

昇進していたらしい。

 

「そんなん気付くのお前だけや」

 

ただ、それを一発で見抜いたケンスケはその場にいた皆に

軽く引かれてしまっていたが。

 

 

 

「葛城三佐の昇進および惣流さん真希波さんのお引越しを

祝して!カンパ~イ!」

 

ミサトの昇進を知ったケンスケは怒涛の勢いで準備を始め

あっという間に焼肉パーティーの場を整えたのだ。

テーブルに置かれたホットプレートの上には

沢山の肉が美味しそうな音を立てて焼かれている。

 

「せっかく用意してくれたんだし、楽しもうよ姫~」

 

「それもそうね!」

 

ちょうど肉が焼け始めた頃に加持が松代の土産を持って

合流し、メニューにわさび漬けと桜肉が加わる。

ミサトは加持の乱入に面倒くさそうにしていたが

ビールが進むにつれてそれも気にしなくなっていった。

 

「レイのは僕が作っておくよ」

 

「ありがとう、シンジ」

 

レイはまだ肉への苦手意識が根強く残っているので

シンジが別のメニューを用意していく。

彼氏の作ってくれた美味しい手料理にレイもご満悦だ。

 

「ちょおい惣流、それはワシが狙っとった肉やで!」

 

「先に取ったのはアタシよ~!モグモグモグ…」

 

9人と一羽という大人数で行われた焼肉パーティーは

使徒との戦いの日々を忘れさせるほどの大盛況となる。

奢りだし飲みまくるかと調子に乗って飲みすぎたミサトは

早々に酔いつぶれてリタイアしてしまったが。

 

「ウノ!あたしは1上がりだにゃん♪」

 

「お、俺もウノだな。お先に!碇、トウジ!」

 

料理を食べ終えたあともトランプやUNOを持ち出して

皆で遊んだりと、パーティーは夜遅くまで続いた。

 

「今日はなんだかんだいい1日だったよ」

 

「またこういう日が作れるといいね、碇さん」

 

昼間にカフェで女子会、帰ってきて皆でパーティーという

とても濃い1日を送ったシンジとヒカリは

疲れてはいたが皆の中でも特に良い笑顔だった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「目標を第3監視衛星が光学で捉えました」

 

「まさか宇宙からとは…恐れ入るわね」

 

NERV本部内は突然の使徒出現に慌ただしさを増す。

主モニターへ映し出されたのは巨大な黒い球体。

ラミエルを凌駕するであろう巨体がATフィールドを纏い

ここNERV本部目掛けて落ちてきているのである。

 

「NERV本部への命中確率、99.99%です!」

 

「当然、ここへ落ちてくるわよね…」

 

上空ではN2航空爆雷を使った軌道修正が試みられていたが

光をも歪めるほどの強力な使徒のATフィールドに阻まれ

1ミリたりとも効果を得られていなかった。

このN2航空爆雷は新型のもので、一発一発にサキエルを

自己修復に追い込むほどの威力があるのだが

その威力に傷つくどころか怯みすらしないのである。

 

「ヤツがここに直撃すれば、ジオフロントどころか

ドグマまで丸裸にされる威力ですよ」

 

凄まじい質量がATフィールドと落下エネルギーを伴って

落ちてくるのだ。その威力は恐ろしいの一言に尽きる。

 

「南極の碇司令は?」

 

「使徒の放つ強力なジャミングにより通信不能です」

 

使徒自身の位置もジャミングで分からない状態だが

恐らくはまだかなりの高度にいることだろう。

そんな位置からでも、南極との通信が途絶えるほどの

強力なジャミングが扱えるのだ。

仮に狙撃しようとしてもまるで命中させられないわけで

ヤツが相当べらぼうな相手であることは間違いない。

 

「独自に判断してやるしかないわね…」

 

ミサトはまず特別非常事態宣言D-17の発令を指示し

半径120キロという凄まじい範囲へ避難指示を出させる。

それほど今回の使徒による被害想定は大きいのだ。

車で、鉄道で、船で、航空機で。一斉に民間人が避難し

第三新東京市から人がいなくなっていく。

 

 

 

「MAGIのバックアップは松代に頼みましたが…」

 

一般市民の避難はひと通り終わったが、だからと言って

使徒に対抗する手段を思いつける訳ではない。

 

「シンジ君はどう?何か思いつく?」

 

「ちょっとお手上げですね、手の打ちようがない」

 

さすがのシンジも、宇宙から落ちてくる使徒を相手に

どうこう出来る術を思いつくことは出来なかった。

 

 

「……シンジ君、作戦を思いついたんだけどイイ?」

 

なんとミサトが思い付いた作戦とは、使徒をエヴァの手で

もといATフィールドを使って受け止めるというもの。

それにはシンジは勿論、リツコも賛同しなかったが

しばらく思案したシンジはその作戦の成功率を高める

いくつかの要素を挙げていく。

 

「まずはフィールド偏向を仕上げるのが前提ですかね」

 

受け止める際にATフィールドを使うのでそれを補強する

偏向制御装置の完成を急ぐことを前提として上げる。

これが無ければ、特に零号機は受け止めた際の衝撃に

耐えられない可能性があったからだ。

 

「それと、エヴァ3機の配置を計算させましょう」

 

使徒のロストまでの軌道から落下予想地点を割り出させ

MAGIを使って作戦開始時のエヴァの位置を決定させる。

各機体のスペックまで正確に反映されたその配置は

いずれかのエヴァが90%以上の確率で使徒の落下に

間に合うというものに仕上がっていた。

 

「…シンジ君、お手柄だわ」

 

先程まで作戦成功率は1%未満、MAGIが全会一致で撤退を

提案するほどだったミサトの作戦は、シンジがそれに

色々手を加えたことでヤシマ作戦程度には成功率を

引き上げることが出来たのだ。

 

「これならまだ…」

 

「リツコはこれ以上の作戦を提案出来るの?」

 

この質問にリツコは首を横に振った。この作戦をベースに

詰められる所をしっかり詰めれば、勝機は十分にある

そうリツコも思っていた。

 

「やるなら徹底的にやりましょミサト。勿論シンジ君にも

色々協力してもらうことになるわ。」

 

NERV本部は落ちてくる巨影を受け止めるべく一丸となる。

彼らが奇跡をひとつ手にするまで、あともう少し。

 

 

 

                      つづく




次回、Catch The G-Shock!
さぁ〜てこの次も、サービスサービス♪



…ここのシンジ君なら多分マヤちゃんも
仲良くなれるんじゃないかな?
並の女の子より女の子してますから。

マリとアスカがミサト宅の隣に越してきました
投稿時点では対した意味は考えてないです。
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