新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
細かい設定に関してはだいぶ適当です。
ところによってはそれっぽい言葉を
並べただけだったりします。
ここのゲンドウ君は和解するまでは
シンジ君にかな~りイジられるハズです。
「エヴァンゲリオン、発進!」
バシュゥッ!!
ミサトさんの指示でエヴァ初号機が勢いよく射出される。
突如掛かった強烈なGに一瞬驚いたけど
あっという間に地上に到着する。
白いハズのビル群が橙色に染まりはじめている──
ここへ来た時はまだ昼間だったのにもう既に夕暮れだ。
『さて、シンジ君。使徒の活動再開まではまだ少し
余裕が残ってるわ。それまでにウォーミングアップを
済ませておきましょ。』
「了解です。民間人は避難済みだし思う存分やれるね」
僕はコントロールレバーを操作しUIを呼び出して
第三新東京市のマップや兵装ビル・電源ビルの配置
使徒の現在位置などを確認していく。
続いて武装のチェックに入ったんだけど
武装の情報は「プログレッシブナイフ」しか無い。
武器が2本のナイフだけなんて冗談は止してほしいから
ミサトさんに他の武器が無いか聞いてみる。
「ミサトさん、武装ってナイフの他にあるんですか?」
『兵装ビルにパレットライフルが入ってるわ
必要であれば出せるわよ?』
ライフルなんかの遠距離武器は持っていて損はないし
ブレードオンリーなど玄人のやることだろう。
ましてや初心者である自分が前線に立つのだから
装備した状態でも良かったくらいだ。
まぁ歩く練習としては良いだろう、ということで
ミサトさんにライフルを出すように伝えた。
「まずは歩きからか。思考だけで機体をコントロールって
まるでユニコーンみたいだな…」
自分の歩く姿を想像するとそれに合わせるようにして
エヴァが歩く。数ヶ月前にロボット工学を専攻する
友達から見せてもらった"モビルスーツ"を思い出すな。
サイコフレームやなんちゃら粒子はともかくとして
ファンネルとやらは作れたりしないのだろうか?
さあ走りの練習だ、と視線を大通りへ向けた時
視界の隅っこに小さな人影がいるのが目に入った。
逃げ遅れたのかビルの影で震えている少女がいたんだ。
「ミサトさん!民間人です、逃げ遅れがいます!」
『何ですって!?どこにいたの?』
「僕の前方2ブロック先、ビルの影です!」
使徒はまだ来てないとは思うが何かあっても嫌なので
保安部が彼女を保護しにくるまで周囲を警戒する。
『もうすぐ大人の人が探しに来てくれるから大丈夫だよ。
それまでは僕がそばで見守っててあげるから』
外部スピーカーを使って少女に声を掛けておく。
初号機はかなりイカつい顔をしている巨大ロボットなんだ
こちらに怖気付いてどこかへ逃げ出してしまっても困る。
少女と簡単な世間話をしながら見守っていると
数分ほどで保安部の男たちが駆けつけてきた。
『民間人は保護されたわ。見つけてくれてありがとうね』
少女が保護されたことにホッと胸を撫で下ろす。
「んじゃあ、ウォーミングアップ再開だな」
ライフルを一度ビルへしまい、走りの練習を始める。
軽く走ってみて急停止、勢いよくスタートダッシュして
素早くターン。上手くやれそうな感じはしている。
ジャンプや前転、側転なども試していく。
今度はナイフを取り出して、殴りや蹴りも含めた
戦闘機動を練習する。素早くパンチを数発
ナイフを持って切りつけ、切り返し、突き。
勢いよく中段蹴り、続けて逆の足で上段蹴り。
何度かバランスを崩しそうにもなったが
バランスの取り方を習得するのに
さほど時間は掛からなかった。
「こんなもん、かな。」
『ええ、そろそろ使徒が活動を再開する頃よ。』
すでに日は沈み、ビル街は暗闇に包まれていた。
初号機の蛍光グリーンの帯が綺麗な輝きを放っている。
「…来た!」
ついに使徒サキエルが山の向こうから姿を表した。
使徒の攻撃手段は光のパイルしか見ていないが
遠距離攻撃があるかどうかで厄介さが大きく変わる。
まだ有効射程とは言いづらい距離があるが
パレットライフルを取り出して数発撃ち込んでみる。
ガキィーーン!!!
弾丸は全て八角形の光の壁によって阻まれてしまった。
『ATフィールド!?』
アレがエヴァの操縦説明の時に聞かされた
使徒とエヴァのみが持つ強力なバリアか。
相手のATフィールドをこちらのATフィールドで
中和し近~中距離戦闘を仕掛ける、それがエヴァの
基本的な運用コンセプトだと説明された。
どうやら使徒は僕に気付いているらしい
ゆっくりとだが確実にこっちへ進んできている。
このままビル街へ引き込めれば優位に立てそうだ。
「使徒をビル街へ引き込みます!4ブロックほど後方の
電源ビルの強調表示をお願いします!」
『了解よ。こちらからも弾幕で使徒を誘導するわ!
日向君、兵装ビルから使徒の左右へ弾幕を展開して。』
『はいっ!』
…上手い具合に引き込めている。
すでにケーブルの差し替えは終わった。
使徒は弾幕が薄い部分を選んでこちらを追ってくる
初号機を前にして消耗を避けたいんだろうか?
誘導されていることに気付ける知能はないらしい。
ここのビル街は一棟一棟が60m前後はあるから
ビルで視界を切りつつ攻撃のチャンスを伺う。
狙うは使徒の唯一にして最大の弱点「コア」。
サキエルの場合は仮面の下で紅く輝く球体がそうらしい。
『ATフィールド、中和可能距離に入りました。』
オペレーターから使徒との距離が縮まったことが
報告される。フィールドが中和されるということは
パレットライフルが有効射程に入ったことを示す。
「当たれぇッ!」
ズバババッ!!
「………ギュイィ…!!」
使徒が呻き声を上げて一歩後ずさる。
コアへはあまり当たっていないが効いているらしい。
これならナイフを叩き込む隙くらいは作れそうだ。
──ビギュオンッッッ!!!
突如使徒の仮面の瞳が輝いた!
「…ぐぅッ……ビーム、か」
『シンジ君!一旦距離を取るのよ!』
背筋に走った寒気に思いっきりエヴァを横っ飛びさせたが
左肩のウェポンラックが持っていかれてしまった。
自分の左肩にも火傷のような痛みが走っている。
これがエヴァとシンクロしているがために発生する
フィードバックダメージというやつみたいだ。
ミサトさんに促されるまま一度距離を取るが
悠長に考えては居られないだろう。
ビル群も一部が薙ぎ払われてしまっているから
グダグダしていれば使徒のビームで隠れる場所を
どんどん削られていってしまう。
「…ミサトさん、近接戦闘でいきます。いいですか?」
『………分かったわ。こちらも全力で援護します。
フィールド中和距離に入ったタイミングで
兵装ビルから弾幕を貼るわ。一気にカタをつけるのよ。』
『19番から27番までの迎撃設備展開!』
『誘導ミサイル、発射準備完了。』
僕はすぐに短期決戦の準備に取り掛かった。
ケーブルを幾度か切り替えて位置取りを大きく変え
パレットライフルを左手、プログナイフを右手に持つ。
『シンジ君、準備は整ったわ。あなたのタイミングで
始めてもらって大丈夫よ。』
ミサトさんの発言を聞いて初号機の操縦桿を握り直し
マップで使徒の位置を見ながら移動を続ける。
完全なインファイトに持ち込むつもりでいるため
後ろに逃がすわけにはいかないのだ
使徒が狙い目の場所へ踏み込むタイミングを待つ。
「………ここだッ!」
『フィールド中和距離です!』
『全兵装、撃てーッ!』
「ATフィールド全開ッ!!」
集中砲火を浴びて怯み続けるサキエルへ一気に詰め寄る。
初号機からもパレットライフルを乱射し
あのビームを撃たせないようにする。
サキエルの後方にはビルが見える。最高の状況だ。
「うおあぁぁッッッ!!!」
コアへナイフを突き立て、背後のビルへ叩きつける。
半ば瓦礫に埋もれるように仰向けに倒れたサキエルへ
さらに追撃を仕掛ける。左手のライフルを投げ捨て
サキエルの仮面を掴んで明後日の方向へ向けることで
厄介な光線を封じてやる。
続けて右手のプログナイフを逆手に握り直し
コアへ向けて思いっきり振り下ろす。
最後に突き刺さったナイフへ向けて足を振り下ろし
使徒にトドメを刺しにかかる。
『目標に高エネルギー反応!!!』
突然ビクビクっと全身を震わせ腕を伸ばしてくる。
まさか自爆でもするつもりなのだろうか?
しかしその勢いはすでに非常に弱々しかったため
コアを踏みつけていた足をそのままバネにして
後方へ大きくバックステップした。
「フィールド全開ッ!」
爆風に備えフィールド全開も忘れない。
ドォーーーンッッッ!!!
使徒は綺麗な十字の光を放って消滅したのだった。
『…初号機、パイロット共に生存確認!』
『…やった…やったぞーッ!』
発令所の主モニターにも初号機の姿が映し出される。
爆炎のなかからゆっくりと歩いてくるその姿は
恐ろしいながらも頼もしさを感じさせるようだった。
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「え…何この状況?」
ミサトは結果報告のため司令室を訪れたのだが
異様な光景が目に入ってきた。
すぐそこに立っているのは眩しい笑顔の碇シンジ。
出撃前にも見せていた、とても良い表情だ。
そこに特に変わった点は無いだろう。
ミサトが驚いたのはシンジの前にいる人物の様子だ。
「さぁて父さん、色々聞かせてもらうからね」
「………………………」
いつも仏頂面で冷徹な雰囲気すら漂わせる
NERVの総司令官、碇ゲンドウである。
しかしその彼は今サングラスをかけておらず
目が泳いでいるのがハッキリと見て取れた。
冷や汗をびっしょりと流していて小刻みに震えている。
使徒戦の最中まるで姿を見かけなかったが
その間に何があったのだろうか。
「僕がどこで何をしてるのかは調べてたんだよね?」
「…はい…調べて…いました」
シンジの問いかけに対しやけに丁寧に返すゲンドウ。
いつもの彼であれば「あぁ」程度しか言わないだろうに。
これが出撃前にシンジが言っていた「お話」だろうか
突然呼び出した件について問いただされているらしい。
「呼ぶなら事前に連絡を入れるのが常識でしょう?」
「…れ、連絡は送っただろう」
「アレを連絡って言い張るつもりなんだね」
シンジは突然振り返った。手元に1枚の手紙を持って。
既にその手紙の内容を知っているミサトは
それを見て笑いだしそうになった。
「ここにいる人たちに意見でも聞いてみようかな。
副司令さん、リツコさん。見てみてください。」
事情を知らない冬月とリツコは手渡された手紙を見る
そこには「来い」としか書かれていないわけで。
「…碇。…ふはっ…これは怒られても文句は言えんな」
「司令…さすがにこれは………」
冬月は苦笑い、リツコは呆れた表情をしていた。
自分の部下たちが完全にシンジの側に付いたことで
ゲンドウはもはや何も言えなくなっていた。
が、次の発言に司令室の面々はさらに困惑することになる
「僕は色々やらなくちゃならない事があるんだ
いちどドイツへ帰らせてもらうよ。
大学での講義やら論文の発表会やらで
帰ってくるのは1年くらい先になると思うから。」
ある種の搭乗拒否である。
「…待ってくれシンジ!お前が必要なんだ!」
ゲンドウはプライドをかなぐり捨ててシンジを呼び止める
次の使徒がいつ来るかは分からないが
今また来られるとレイではとても対処し切れない。
シンジに残っていてもらわねばならない
この場の大人たちは彼へと目線を向ける。
「…今回呼び出されたことでおじゃんになる講義の分は
後々NERVの方から補償を出してもらうことを前提として
僕が最前線で命を賭ける以上やってもらいたいことや
許可して欲しい事がいくつかある。」
シンジが主にNERVへ要求したのは
非常時以外は作戦の最終決定を現場の判断に委ねること
エヴァの整備や武装開発の会議に自分を参加させること
エヴァやそのパイロットに関する情報の開示
現在いるパイロットとの面会
この4つだった。
ゲンドウはかなり渋っていたようだったが
エヴァパイロットとの情報交換無しで
一体何をするつもりなんだ、と押し負けたのだった。
「じゃ、サングラスは返すよ父さん。」
シンジが立ち去ったあとのゲンドウの背中は
まるで妻に叱られしょぼくれる旦那とでもいうべき
とても哀愁漂うものだった。
「随分とユイ君の尻に敷かれていたんだな、碇。」
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「ねぇシンジ君、あたしのウチに来てみない?」
ミサトはシンジに同居の話を持ち掛けていた。
エヴァパイロットの監督役として便利だからというのも
あったがシンジの正体が気になるというのが大きい。
「別に一人暮らしでも問題ないんですけど…」
「聞けばシンジ君、伯父さんのとこ離れてからは
ずっと一人暮らしだっていうじゃない。誰かと暮らす事で
新しい発見があるかも知れないわよ?」
「あー、そうですね。お言葉に甘えさせてもらいます」
シンジは思ったよりあっさり首を縦に振った。
断られるだろうと思っていたミサトは驚いたが
気を取り直してリツコへと連絡を入れた。
「リツコ?シンジ君ウチで引き取ることにしたからー。」
『急にどうしたのよミサト!?』
「人事部に許可取っといてね~」
電話口の向こうの親友は唐突な提案に驚いているが
ミサトは自分の意思を曲げる気は無かった。
『シンジ君はなんて言ってるのよ?』
ちょうどその本人が居るので彼へ電話を手渡し
自分の意見を言ってやれと伝える。
「あ、碇シンジです。僕はこれでいいですよ。」
『シンジ君がいいって言うなら私は構わないけど…』
どうやらリツコからもOKが出たらしい。
「んじゃ、あと宜しく~!」
強引に話を切り上げ、シンジを自分の車へ乗せると
歓迎パーティのために街へと走り出した。
コンビニに立ち寄ったシンジは野菜を物色していた。
ミサトがパーティの料理を「作る」ではなく
「買う」と言ったあたりで何となく察していたのだ
恐らく彼女は料理はしないクチなのだろうな、と。
「シンジ君、野菜なんて買って何するの?」
「簡単なドイツ料理を作ろうかなと。」
シンジがカゴに入れていたのはジャガイモと玉ねぎ
ソーセージ、キャベツとツナ缶、さらに何種類かの
調味料だった。NERVから呼び出された日に
明日の朝食にでもしようかと準備していた料理を
こっちでも作って食べることにしたのだ。
「それとミサトさんってビールとか飲みます?」
ちょうど今自分が作ろうとしている料理に合いそうな
ビールを見かけたためそう声を掛けた。
「ビール大ッ好き!あたしね、ビール大好きなのよ!」
ミサトは目を輝かせながらそう告げてきた。
「…ならちょうどいいや。これ、飲んでみません?」
ミサトに手渡したのはレーベンブロイ。
このコンビニに売っていたドイツビールである。
「いいわね!シンジ君が何かご馳走してくれるんでしょ?
エビチュ一筋のあたしとしても楽しみだわ~♪」
ミサトは小躍りしそうなほどウッキウキである。
「今日からここはシンジ君のお家よ!さ、ホラ
上がって上がって~!ちょっ~ち散らかってるけどね」
「ただいま。」
ご飯食べてお風呂入ってゆっくり寝ようかな──
ここ数日の疲れを癒すために
シンジは新たな自宅に足を踏み入れた。
まさかこのトビラの先に、ある種の地獄絵図が
広がっているとは思いもせずに……。
つづく
まだ苦戦という苦戦はしない(ハズ)です。
まぁサキエル君ですからね。
作品中に出てくる「○○ブロック」というのは
新劇場版第6使徒戦で爆砕ボルトによって
落下していった街1区画を1ブロックと想定してます。
まぁそれでも適当なんですけどね。
追記:更新情報
1話同様細かな調整を加えました。