新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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日常回、そして4号機起動です。

だいぶ書くのに苦労しました…
1万5000UA突破、ホント感謝です!


舞い戻りし白銀

エヴァ3号機が日本へ来る数日前。

リツコとマヤは4号機関連の日程の合間を縫って

葛城ミサトの家を訪れていた。

 

「シンジ君、上がりますよ~」

 

勿論、この家のズボラな主人に用がある訳ではない。

3号機および4号機のパイロット選出の件や

その両機の武装構成についてシンジと考察しに来たのだ。

マリとアスカには先に話を通しておいたので

あとはシンジとレイから意見を聞けばいい。

 

なぜミサトの家まで来たのかというと、2人は実は今日

夕方まで予定がほとんど入っていないので

エヴァのことについて軽く話すついでに

新湯本まで出てショッピングしようとなったからだ。

ちなみにミサトはただ今絶賛仕事中である。

 

「待ってましたよ、上がっていって下さい」

 

「あのミサトの家とは思えないわね…」

 

靴もキッチリ揃えられ、廊下にゴミなどは落ちていない。

リツコは自分の親友のズボラっぷりを知っていたので

この家がキレイな状態を保っている事に感動する。

 

「チーズケーキ用意したんで、よかったらどうぞ」

 

「わぁ美味しそう…さすがシンジ君ね」

 

テーブルに用意されたのは小さなチーズケーキと

エスプレッソコーヒーのセット。リツコ達はここへ集まる

ことをシンジに提案したときに、飲み物を何にするか

聞かれてエスプレッソを注文していたのだ。

 

「エスプレッソとセットなら…リコッタチーズかしら?」

 

「さすがリツコさん、当たりです」

 

彼がわざわざチーズケーキを作ったというのなら

使われているチーズはエスプレッソの本場のアレだろうと

リツコはチーズケーキの種類を言い当ててやる。

相変わらずグローバルだな、と感心しながら。

 

 

「…3号機と4号機のパイロット候補はこの2人です」

 

マヤから手渡された資料に載っていた人物はシンジや

レイもよく見知った2人だった。

 

「トウジと委員長が…!?」

「相田君じゃないのね」

 

友人たちがパイロット候補であることにさすがのシンジも

驚いてしまう。ちなみにケンスケも候補の1人だったが

俺なりにエヴァに関われてるからいい、自分はあの戦いに

直接参戦する覚悟がまだ無い、と断ったらしい。

 

「これが機体データですね」

 

チーズケーキをつまみつつデータに目を通すシンジ。

正規実用型なだけにスペックは十分なものが備わっており

2号機以上に柔軟な運用が可能だろう。

最新鋭機の名に恥じぬ素晴らしいスペックだ。

 

「…随分良い性能してますね、4号機も含めて」

 

これ程の性能の機体をアメリカが手放したということが

シンジやリツコにとっては引っ掛かる点だった。

 

「父さんにも言いましたけど、再精査させましょう」

 

「S2機関の件ですか?でもそれは…」

 

「念には念をよ、マヤ」

 

シンジの意見を受け、3号機は一度細部まで検査を

行うことになり、起動実験を遅らせることが決定した。

 

続いて2機の武装面について話し合うことにした。

零号機と5号機が遠距離タイプ、2号機が近距離タイプ

初号機がバランスタイプと来ていたので、シンジは

近接重視とバランス重視で進めて行きたいと提案する。

 

「軽量型ESVは仕上がったそうよ?」

 

「それは良い報告だね」

 

「ESV…ヤシマ作戦の?」

 

軽量型ESVシールドはヤシマ作戦でシンジが使っていた

ESVシールドの改良型で、フィールド偏向を組み込んだ

強固で軽い防御用兵装として完成させたものだ。

 

勿論、改良元であるESVシールドも強化されていて

ラミエルの加粒子砲を2発は耐えられる性能があるが

初心者に持たせるにしては重たいだろう。

 

「軽量型ESVは洞木さんの機体に装備させましょうか」

 

ヒカリは戦闘が得意なタイプではないだろうということで

防御・生存面を重視した装備構成にすることを決定。

サブ武装にハンドガンとプログナイフを用意することで

遠近のバランスを取る形となった。

 

「トウジが乗る方は近接主体で組めばいいね」

 

トウジの乗る機体の方は現状はマゴロクソードを軸とし

サンダースピアやビームグレイグを選択肢として用意

腰部ウェポンラックへはスマッシュホークや

プログダガーを装備させよう、ということになった。

 

「こんなところですかね、武装面については」

 

「それじゃ、出掛けましょうか」

 

ササッと書類を片付け、出掛ける準備を済ませる。

そして、リツコ達が乗ってきた車で新湯本へと向かった。

 

 

 

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──新湯本。

 

第三新東京市から旧小田原方面へ向かった所にある

大きな街である。使徒迎撃に重きを置く第三新東京市とは

違って普通の街なため観光施設もかなりある。

4人は新湯本にある、箱根近辺で最も大きいと言われる

ショッピングモールへ来ていた。

 

「ここに来るのも久しぶりですね~」

 

「私達は基本仕事だものね」

 

やはりリツコやマヤはNERVでの仕事が忙しくてここへ

来る機会は少なかったらしい。シンジやレイもそう頻繁に

来ている訳ではなかったが。

 

「あ!シンジ君、これですよこれ!」

 

ショッピングモール内を歩き回っていた一行は

マヤのお目当てだった洋服のブランド店を見つけた。

 

「深乃ヨウジ氏がデザインしたドレス…ですか?」

 

深乃ヨウジ氏は有名なゴシックドレスのデザイナーで

このモールの5周年を記念して店を出していたのだ。

シンジもこのブランドから日本向けにデザインされた

ドレスやタキシードが出ているのは知っていたが

実際日本に来てから目にしたのは初めてだ。

 

「シンジ君、レイちゃん、どう?」

 

マヤはモノトーンのゴシックドレスを2着ほど手に取ると

2人へずいっと差し出してくる。

 

「え?まさか僕もですか?」

 

「きっと似合うわよ♪」

 

いくら普段から女装しているとはいえ、ゴシックドレスは

自分には似合わないだろうと思うシンジだったが

さぁさぁ、と勧めてくるマヤに押し負けドレスを試着して

みる事にしたのだ。

 

 

「着てみましたけど、どうです?」

 

「似合ってる~!私も買っちゃおうかな」

 

シンジが着てみたのは白がメインカラーのドレス。

胸元の色が左右で異なるなど非対称が特徴のデザインだ。

このブランド特有の十字架のアクセサリは腰にあり

首元には黄色いリボンが付けられている。

 

マヤは自分とシンジの容姿はそれほど変わらないと

思っていたので、彼に似合うなら自分も似合うだろうと

シンジが着たこのドレスの購入を決めたようだ。

 

「シンジ、どう?」

 

「似合うね~レイ」

 

レイもマヤから手渡されたドレス、黒ベースのゴシック

ドレスを着て戻ってきた。元々ミステリアスな雰囲気を

纏っているレイにゴシック系のドレスは合うらしい。

ちなみに十字架は首元のチョーカーに付いている。

 

「あら、レイは黒も似合うのね」

 

「スーツが白ですし、無彩色が似合うんですかね」

 

 

 

その後も4人はこのブランドのドレスやスーツを物色し

各々気に入った物を購入した。なおシンジはというと

スーツスタイルのものを1着だけ買う気でいたのだが

レイとマヤも買っていたドレスを追加で持たされている。

マヤとリツコが買ってあげていたのだ。

 

「…で、なんで僕までこれを着せられてるんですかね?」

 

シンジは今、彼が最初に試着したドレスを着ていた。

レイも先程選んだゴシックドレスを着ているのだが

なぜ自分まで、と問うシンジにリツコとマヤは2人揃って

こう返した。

 

「「シンジ君が可愛いからよ」」

 

仲睦まじく手を繋ぐドレス姿のシンジとレイは

周囲の目を良い意味で引き付けまくっていた。

 

 

 

時間は丁度正午を回った頃、4人はイタリアンレストランで

ランチタイムを堪能していた。

 

「シンジ君はイタリア料理とかも作るの?」

 

「向こうに居た時は結構作ってました」

 

4人でそれぞれ違うパスタを頼み、お互いのパスタを

食べ比べながら世間話に花を咲かせる。

マルゲリータピザは8枚に切って、2枚ずつ皿に取る。

 

「レイとは最近どうなの?」

 

「どうって…いつも通りですよ?」

「シンジと居られるだけで幸せ」

 

リツコはエスプレッソを飲みながら鋭く切り込んでくるが

シンジとレイはそれをさらっと受け流す。

あっさり受け流されたリツコはぐぬぬと唸る。

 

「メイク道具のブランドって拘ってたりするの?」

 

「いいえ、僕は自分に合うかで決めてます」

 

マヤはティラミスコーヒーを片手にメイク関連について

シンジと色々語り合った。

 

「ここの料理も美味しい…!」

 

レイはキノットのジュースとヘーゼルナッツ味の

ジェラートを1人黙々と堪能している。

一番は気持ちが込められたシンジの手料理だが

ここの料理も十分美味しいようでご満悦の様子だ。

 

 

 

「「「「ご馳走様」」」」

 

食事を終え、お会計のためレジへと向かう。

レジに立った店員は今日のキャンペーンにチラリと

目をやるとお会計に取り掛かった。

 

「本日はレディースデイですので4名様分の──」

 

シンジは慌てて店員に待ったをかける。

自分は男だから割引を受ける訳にはいかないと説明するが

店員は信じられないとでも言いたげな表情をしている。

 

「これでどうです?」

 

「え、…えーっ!?」

 

学生証を見せることでようやく納得してくれたようで

3人分の割引がされ、会計は無事済んだ。

 

「…シンジ君って律儀なのね」

 

「紛らわしい格好してますからね」

 

その分誠実に対応しているだけだと語るシンジに

リツコとマヤは立派な子だと大いに感心していた。

 

 

 

ちなみに、今日自分に大量の仕事を寄越してくれたのが

シンジとお出掛けをしたリツコ達だと知ったミサトは

しばらく不貞腐れたままになってしまったらしい。

最終的にはリツコが折れ、ミサトに高級ビールセットを

奢ることで手を打ったとのこと。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「委員長、頑張れよ!」

「応援してるわよヒカリ!」

 

「う、うん!頑張る!」

 

──松代、NERV第2実験場。

オレンジ色のプラグスーツを着た洞木ヒカリが

エヴァの仮設ケイジへと歩いていく。

3号機の起動実験を少し先送りにした関係で、4号機の方が

先に起動実験を行うことになっていたのだ。

 

ちなみに、ヒカリが4号機に乗ることになった理由は

トウジが3号機のカラーリングを気に入ったからである。

 

 

 

『エントリースタート』

 

ついにエヴァ4号機の起動プロセスが開始される。

 

『LCL電荷、圧力正常』

 

無機質なプラグの内壁がスクリーンへと変わり

外の様子が映し出される。以前にも目にした光景だが

すごい仕組みだとヒカリは目を見張る。

 

『A10神経接続異常なし、コンタクト正常。』

『双方向回線、開きます!』

 

エヴァとのシンクロが開始され、温度とは違う暖かさを

ヒカリは感じ取る。先程までかなり緊張していたが

それが少しずつほぐれていく。

 

『ハーモニクス正常、暴走ありません』

 

そして、エヴァの起動ラインである絶対境界線を超える。

 

「え…エヴァンゲリオン4号機、起動します!」

 

白銀のエヴァの双眸に力強い輝きが宿る。

暴走なども懸念されていたがその瞳の光は4号機本来の

僅かに桃色がかった白い光。エヴァンゲリオン4号機は

無事起動したのだ。

 

『平均シンクロ率、38.8%です』

 

シンクロ率が最も低いレイでさえ80%前後で安定する

現役パイロットたちと比べるとかなり低い数値だが

初心者であるヒカリとしては素晴らしい数値と言える。

シンクロに慣れ、母との意思のやり取りができれば

ヒカリも十分シンジ達に追いつけるだろう。

 

『やるやん!流石は委員長やで!』

『いい数字してるじゃないヒカリ!』

 

「えへへ、ありがとう」

 

通信越しに聞こえてくる友人たちからの賞賛に

ヒカリは顔を赤くして喜んでいる。

 

 

 

続いて、機体のシステムを訓練用のものへと書き換え

簡単な操縦訓練を行う。

 

「わわっ…歩くだけでも難しいですね」

 

ヒカリがそう言うように4号機はまだフラフラしている。

歩きと走り、ジャンプや物を掴む動作など基本的なものを

マスターするのには少し時間がかかっていた。

問題なく行動できるようになると次の訓練に進む。

 

『ダミーターゲット出現、攻撃はしないから安心してね』

 

「はいっ!」

 

手元にある武器を使って、ダミーの赤い球体──コアを

破壊してみろと言われたヒカリはまず腰に装備してある

ハンドガンを手に取る。

 

「目標をセンターに入れて…スイッチ!」

 

『ダミー撃破。次はガードの練習ですね』

 

4号機のもとへ大きなシールドが現れる。

軽量型ESVシールドだ。大きさの割にはとても軽く

ヒカリも余裕をもって構えることができた。

 

『では、今から敵の攻撃のガードをしてもらいます』

 

「えっ…当たったら痛いですよね?」

 

『いいえ、攻撃の方もダミーだから大丈夫よ』

 

その言葉にホッとしたヒカリはダミーの方を向き

シールドを構える。ダミーの仮面が強く輝き

レーザーサイトのようなものが4号機へ照射される。

4号機やシールドに当たるとピッピッと音がなり

ガードや被弾のカウントがそれぞれ加算されていく。

 

「まだまだ!ガードっ!」

 

『ガード成功率は6割くらいですね』

 

そしてここからシンジら先輩パイロットによる指導も

加わったことで、前転や側転などを使った攻撃回避や

簡単なATフィールドの展開を会得することに成功。

 

「これで…ダミー撃破!次いいですよ!」

 

『次のダミー、行くわよ』

 

操縦訓練のプログラムを終える頃にはヒカリは4号機を

スムーズに動かすことが出来るようになっていた。

まだ荒削りではあるが、ついにエヴァ4号機も

戦場に立てるようになったのである。

 

──対を成す漆黒の目覚めも近い。

 

 

 

                      つづく




4号機のパイロットはヒカリちゃんです。
トウジ君といいペアになれそうですね。

今回シンジ君達が着ていたドレスは
「エヴァ カレンダー 2008」で調べれば
出てくるかと思います。
深野洋一さんデザインのものだそうです。
本作中ではゴシックドレスのデザイナーとして
名前を変えて登場させました。

次回、3号機起動実験。
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