新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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ゼルエル戦後半です!

キリが良いので少し短め。
トウジの関西弁が地味に難しい…

30000UA突破感謝ですっ!



The Beast

 

「………仕方ないわね。マリ、"アレ"を使うわ」

 

アスカが使おうとしている"アレ"が何なのかはさすがの

シンジでもまるで予想がつかなかった。

この状況を打開出来る可能性を秘めたモノであることは

予想出来ていたが。

 

「…僕らはあの帯とコアのガードを何とかしよう」

 

たとえそれがどんなモノであってもシンジのやる事は

変わらない。すぐさまアスカを援護するための策を練る。

 

「伸ばして来るんは一番長いヤツだけみたいやで?」

 

「押さえ込んでぶった切ってやるかにゃ~」

 

マリは5号機のフィールド偏向を最大出力で起動し

プログダガーへと集束させる。フィールドを多少張っても

ゼルエルの火力の前では紙っぺらも同然である以上は

フィールドを攻めに用いるのが正しい判断だろう。

 

 

 

「モードチェンジ!裏コード…『ザ・ビースト』!!!」

 

 

 

アスカが音声認識を起動させ、専用のキーワードを叫ぶ。

その直後、2号機の肩と腰のウェポンラックがパージされ

水色の制御棒らしき物が両肩から2本ずつ飛び出す。

 

「2号機…ママ…ッ!ぐうっ…本気でやるわよ!」

 

続けて背中側の装甲もパージされ制御棒が複数本飛び出し

腕の長さなどといった体型が獣のように変化していく。

 

『エヴァに…こんな機能が!?』

 

『プラグ内、モニター不能!危険すぎます!』

 

プラグ深度が汚染区域に突入しているのはほぼ確定的で

先程からアスカの声に呻き声が混じっていることから

非常に危険な状態であることは容易に分かった。

しかしシンジは、アスカの覚悟を無駄にしないためにも

冷静になって指示を飛ばす。

 

「トウジ!僕と一緒にコアのガードを剥がすぞ!」

 

「ィよっしゃ、やったるで!」

 

「レイと洞木さん、マリさんで帯の対処を頼む!最悪でも

長い帯2本は封じ込めておいて欲しい!」

 

「「任せて!」」

 

「合点承知~♪」

 

シンジが指示を出し終えた辺りで2号機も変化を終える。

顎部拘束具を自ら引きちぎって鋭い牙の並ぶ口を開くと

ゼルエルへ向かって大きく吠える。

 

「だあァッ!!!」

 

「作戦開始だっ!」

 

アスカの叫びと共に2号機がゼルエルへ飛びかかっていく。

続いて初号機が備前長船を、3号機がマゴロクソードを

手に取ってゼルエルのもとへ駆け出す。

零号機と4号機、5号機はそれぞれ散るように駆け出し

帯攻撃を封じるべくチャンスを伺う。

 

「食らえーーッ!!」

 

ゴォーーーンッ!!!

 

一斉に動き出した6機のエヴァに対してゼルエルが取った

行動はまたもや防御。しかし形態変化した2号機を脅威と

見なしたのか、凄まじい数が重ねられたのATフィールドで

完全に防ぎにかかったのだ。そのあまりの分厚さゆえか

攻撃を受け止めた時の音もかなり鈍いものになっていた。

 

「でやァッ!!!だあァッ!!」

 

バリーンッ!バリーンッ!

 

しかし2号機は1枚でも手を焼いていたATフィールドを

拳を叩きつけるだけで次々とかち割っていく。

フィールド偏向制御を中和モード最大出力で両手のみに

展開しているため、2号機の拳はゼルエルの強固すぎる

ATフィールドであっても易々と破壊出来るのだ。

ゼルエルもフィールドを猛烈な勢いで再展開しているが

勢いはやや2号機にある。

 

「切り込むぞトウジッ!」

 

「鍛え上げたワシの力見せたるでッ!」

 

ゼルエルとの力量差を考えればこの2号機であっても

帯攻撃なりATフィールドなりで退けられてしまいそうだが

これほどの攻勢を保って居られる理由は、隙を突いて

攻撃を仕掛けている残りの5機のエヴァにあった。

 

「逃げんなオラァ!」

 

「洞木さんそっちへ行ったわ」

 

「今度こそ捕まえるっ」

 

ここまでゼルエルが主力技として使っていた長い帯は

零号機と4号機、5号機がずっと追い回し続けており

巻き取ろうとした瞬間を狙って攻撃することで

帯による攻撃の準備を行わせないようにしていたのだ。

さらに初号機と3号機がコアのガード剥がしを狙って

連続で切り込んでいくため、ゼルエルは2号機への対処を

ATフィールドのみで行わざるを得なくなるのだ。

 

──ゼルエルの攻撃手段が帯による攻撃のみなら、だが。

 

 

「ここだっ……ッ!?」

 

カッ!!!

 

 

 

「あ"あぁァあぁッ!!!」

 

ゼルエルはついに怪光線という切り札を切った。

狙われたのは最もゼルエルまで接近してきていて

防御の甘かった初号機。

 

『シンジ君!』

 

狙われた初号機はかろうじて怪光線の直撃は免れたが

その左腕は肩口から綺麗に消し飛んでしまっていた。

発令所ではミサトが思わず心配の声をあげる。

 

「ぐっ…があっ…まだだァッ!」

 

しかしシンジと初号機は折れることなく立ち上がる。

片手を失ったことで持ちにくくなった備前長船を投げ捨て

腰からプログダガーを取って再び駆け出す。

 

「負けて…らんないのよッ!アンタなんかにィッ!」

 

アスカも瞳に宿す緑色の輝きをより一層強めると

ATフィールドの防御を解いたゼルエルに突撃する。

ゼルエルは間一髪でフィールドを再展開するが

2号機がフィールドを破る勢いは先程よりも増している。

 

「コイツで釘付けにしてやるにゃッ!」

 

ついに長い帯が1本封じられる。5号機のサンダースピアが

地面ごと帯を貫き釘付けにしたのだ。凄まじい力を以て

引き抜こうとするゼルエルだったが5号機が全重量を掛けて

地面へ押さえ付けているため、中々引き抜けていない。

 

「この帯は…もうしばらく足止めさせてもらうにゃん♪」

 

腰のプログダガーとプログナイフを手に取り、さらに帯へ

突き刺していく。2号機が投げ捨てていたビームグレイブも

おまけにと突き刺した結果、ゼルエルの帯は文字通り

地面に縫い付けられてしまったのだ。

 

「洞木さん!」

 

「うん!もう一本を!」

 

ヒカリは軽量型のESVシールドを上手く使って帯を弾きつつ

レイと共にもう一本の帯を追い詰めていく。

零号機と4号機が残った帯を捕らえるのも時間の問題だ。

 

カッッ!!!

 

「ッ!?…ちぃッ!」

 

ゼルエルはいい加減鬱陶しくなったのか2号機へ向けて

怪光線を放ったが、アスカは反射神経も鋭くなっており

脚部装甲が少し溶けた程度で回避に成功する。

 

「逃がすかァッ!!」

 

ATフィールドを解除した一瞬のスキを突くべくアスカは

2号機を数回横っ飛びさせゼルエルの懐へ一気に飛び込む。

 

ゴォーーーンッ!!!

 

「まだまだァッ!」

 

最初はATフィールドにしがみついて攻撃していたが

今は2号機の足がしっかりと地面についている。

踏ん張りを効かせたことで限界まで力が乗ったその拳は

凄まじいスピードでATフィールドを割っていく。

 

カッ!!!

 

「それは通じないっつってるでしょうがァッ!」

 

何度も怪光線を放ち2号機を引き剥がそうとするが

研ぎ澄まされていくアスカの戦闘センスは怪光線の回避を

より洗練されたものへ昇華させていく。

しかし、いくら回避してもATフィールドをもっと一気に

割れないのであれば延々とこの繰り返しである。

 

「センセ!先に光線をどうにかしぃひんと!」

 

「あぁっ!最悪仮面を引き剥がすッ!」

 

 

得物を手にゼルエルへ再度突撃する初号機と3号機。

近づく度に短い帯の攻撃に晒され、すでに全身の装甲が

かなりボロボロになっているが動きは鈍ってはいない。

 

「うおァァァーッ!」

 

「ワシの攻撃もくれてやるでッ!」

 

ゼルエルの眼に深々と初号機のダガーが突き刺さる。

2号機の攻勢を防ぐことに手一杯だったゼルエルは

フィールドによるカバーを初号機まで回せなかったのだ。

大きく怯んだこのスキをついて飛びかかった3号機は

マゴロクソードを逆手で持つともう片方の眼へ突き刺す。

 

ゼルエルはついに攻撃手段の殆どを失った。

しかしそれでも短い帯とATフィールドを使って

必死に抵抗を続けるゼルエル。

 

「次は…ぐっ…コアのガードだッ!」

 

「ここで退く気はァ!あらへんでェッ!」

 

初号機と3号機は全身を使ってコアのガードを無理やり

引き剥がしにかかる。短い帯による抵抗を受け続けた結果

2機は全身裂傷まみれになってしまっているが、シンジも

トウジも一切力を緩めることはしない。

 

 

「捕まえたっ!」

 

「私も力を貸すよ綾波さん!」

 

残っていた長い帯もついにレイに捕まえられてしまう。

帯を切り落としてしまうと再生されると判断したマリが

レイ達に帯は切らずに捕まえておけと伝えていたのだ。

零号機と4号機も全身の装甲にかなりの切り傷が刻まれ

ボロボロになってしまっていたが両機とも健在だった。

 

 

「センセ!もうちょいやァッ!」

 

「剥がれろぉぉぉッ!!」

 

シンジもトウジも必死の形相でコアのガードを引っ張り

コアを露出させようと試みる。

 

「あとォ……一枚ィィッ!!!」

 

バキィーーーンッ!!!

 

ついに2号機がゼルエルのATフィールドを全て破壊し

正面突破を成し遂げてみせたのだ。

 

背中や肩から出ていたリミッターがすでに何本か

抜け落ちているようで、手には鋭い爪が見えている。

掛けられたリミッターをさらに外していくその行動は

正直あまり良い気はしないと思ったシンジだったが

パワーが上がってゼルエルのフィールドを破れたのなら

ここでは吉報だと言えよう。

 

「これで…っコアをッ!!!」

 

「トウジ!いくぞッ!」

「センセ!いくでッ!」

 

初号機と3号機、そして2号機がフルパワーでガードを

こじ開け、ついにゼルエルのコアが射程圏内に収まった。

両手をガードをこじ開ける為に使っていたアスカは

コアを砕くために2号機の牙を使うことを選ぶ。

 

「があァァッ!ぬう"う"~~ッ!!!」

 

コアへ食らいついた2号機に合わせるようにしてアスカも

必死で顎へ力を込める。

 

 

 

バキィッ!!!

 

ついにコアが光を失い、粉々に砕け散った。

 

『パターン…青………消失していますッ!!』

 

ゼルエルはついに殲滅されたのだ。

パイロット達も発令所の面々も歓喜に包まれた。

ここまで大きな被害も無く戦闘を切り抜けてきたエヴァが

初めてまともな損傷を被ったほどの激戦がようやく

幕を閉じたのである。

 

 

 

 

 

「…んぐっ…あぐっ」

 

皆が歓喜に包まれていた中、妙な音が耳に入ってきた。

グチャりグチャりと何かを食べているような音だ。

声の主が乗るエヴァの方へ視線を向けてみるとそこには

ゼルエルの残骸を無心で貪る2号機の姿があった。

 

『…アスカ!?使徒を食べてる…の!?』

 

コアは既に食べ終わっているようで、2号機はゼルエルの

胴体へと手をつけた。その食べっぷりは餌にありついた

獣と言って間違いないものだった。

 

『うっぷ…先輩、ちょっと…任せます』

 

あまりにもグロテスクなその光景に、発令所ではマヤが

吐きそうにでもなったのかどこかへ駆けていった。

 

 

 

「アスカ…寝た、のかな?」

 

「まるでネコだにゃ~…ちょっと保存しとこ」

 

ゼルエルの死骸を食べ終えた2号機は満足したのか

その場で丸くなるようにして活動を停止した。

まるでネコが眠るかのように。

 

 

 

ゼルエル戦という激戦は幕を閉じたが

シンジ達にはまだもう1つ激戦が待っている。

 

──事後処理という名の激戦が。

 

 

                      つづく




初号機は今回覚醒しませんでした。
レイも無事だし、彼のメンタルも無事だし。

新世紀視聴済勢には私が何を書こうとしてるか
何となく分かっちゃいますかね…?
ええ、次の使徒は「鳥を司る天使」さんですからね。

…初号機必殺とかMark6降臨とかやりたかったなぁ
でもそれやっちゃうとストーリー崩壊するんでね。
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