新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
アルミサエルは顔出し程度です。
次回から本格的なアルミサエル戦となります。
使徒戦の間の準備期間を描く回であり
シンジ君が可愛くなる回でもある。
ここまでするのはやり過ぎた気もしますが
シンちゃんは可愛いからいいんです。
『第15の使徒の殲滅、御苦労だった』
「恐縮です」
暗闇の中、ゲンドウを取り囲む様にモノリスが浮かぶ。
『鮮やかな使徒殲滅だった。賞賛しよう』
『被った被害も少ないと聞く…素晴らしいな』
使徒殲滅後の詳細報告を行うためにSEELEが普段会議で
使っているこの空間へゲンドウは呼び出されていた。
アラエルから受けた被害は地上の迎撃設備幾つかと
第三新東京市の兵装ビル数棟のみだったため
特段お咎め等も無く、SEELEのメンバー達の声色も
『計画完遂の時は近い。くれぐれも…頼むぞ?』
「分かっています」
全ての使徒を殲滅した後に儀式を実行することで
SEELEが望む究極の計画「人類補完計画」への
道が開かれるのだ。
その為にも残っている2体の使徒を殲滅せねばならない。
SEELEのメンバーはその任を確実に達成するよう
ゲンドウへと念押しした。
『独断で事を進めた時は…分かっているな?』
「はい」
議長キールは会議の締めに、ゲンドウに一つ釘を刺す。
「全てはSEELEのシナリオ通りに」という言葉にある様に
ゲンドウら全ての存在は"
行動していれば良い──と。
裏切る事は決して認めない、そう暗に告げたのだ。
『………タブリス』
ゲンドウが会議室を去った直後、円形に並ぶモノリスの
外側で退屈そうにしていた人物へ──渚カヲルへと
議長キールから声が掛かる。
「何だい?」
『…何故連絡を寄越さない?』
ポケットに手を入れたままパイプ椅子に腰掛け
余裕そうな表情を崩さないカヲル。
定期的に連絡を寄越すよう指示したにも関わらず
NERV潜入から一切連絡が無いのはどういう事だ、と
キールは彼を問い詰める。
「何故…って、何も無いからに決まってるだろ?」
カヲルはさも当然の様にそう答えた。
『………連絡を怠るな』
あまりにも適当な返事にキールは呆れつつ
これ以降特に何も無くても連絡はするよう指示を出す。
SEELEの元へ入ってきている情報を全て精査させても
2号機がS2機関を手に入れたのは偶然であるとの結果が
出てはいるが、不安は排除しておくべきだとキールは
そう判断したのだった。
実際のところカヲルがNERV離反の証拠を掴めていないのは
事実である。重要設備があるエリアへの立ち入りは
基本的に認められていなかったのだ。
──そこには"ワザと立ち寄らない様にしている"という
注意書きが付くことにはなるのだが。
「それじゃあ僕もこの辺で失礼するよ」
カヲルはポケットに手を入れたまま退室していった。
『タブリス…我らを裏切る気だとでもいうのか…?』
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──NERV本部。
「シンクロテスト、ですか?」
少々暇を持て余してNERV本部をブラついていたカヲルに
リツコからシンクロテストを受けてみないかとの提案が
投げ掛けられた。
「──万一の事が無いとも限らないからよ」
「…そうですね」
今まで本部所属エヴァには専属パイロットがいるから
という理由でカヲルのシンクロテストは行われずにいたが
いずれ来る第16の使徒に対して万全を期したいというのが
今回リツコがこの件を提案した理由だった。
「まずは零号機から試しましょ」
「シンクロ率…100%…ですっ!」
モニターに表示されたのは、
シンクロ率が100%を超えた事自体はシンジやアスカという
前例があったが、カヲルが叩き出した数値はなんと
ジャスト100%。その数値はブレる事さえ無かった。
「まさかとは思ったけれど…」
「コアの書き換えもしていないのにね」
ちなみにだが、シンジ達が他のエヴァに乗り換える場合
基本的にはコアを乗り換え先の機体へ移す必要があり
仮に必要無かったとしてもシンクロ率は落ちる事になる。
しかし、カヲルはそれすら必要としなかった。
エヴァンゲリオンとは、
始祖たる存在をコピーして作られた存在である。
シンクロを行う事などはとても容易い事だったのだ。
「次は初号機に──」
「無理だよ」
「えっ?」
零号機とのシンクロテストが終わり、そのまま他の機体へ
次は初号機とのテストをしようとリツコ達が
動き出した瞬間、カヲルは「乗れない」と言った。
「それは…どうしてかしら?」
今まさに目の前でエヴァを自由自在に操れる事を
証明して見せた少年が、何故か初号機には乗れないと
言ったのだ。
2号機はS2機関という特異性を備えているが
初号機は他のエヴァと何ら変わりのない機体だ。
一体どんな理由があるのか、とリツコは訊ねた。
「あの機体は魂が覚醒しているんだ」
「魂…まさかユイさんの事?」
"魂"と言われて思い当たったのは、コアに眠っている
碇ユイや惣流・キョウコ・ツェッペリンの存在。
「そう。僕は拒絶されてしまう」
[シンクロ率:00.0000%]
「──そういう事だったんですね」
初号機のシンクロ率を示すモニターを見て
マヤは納得の声を上げる。
彼の言葉通り、
どれだけ調整を行っても上昇する事は無かった。
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カヲルがシンクロテストを終えてから数十分後──
「待ってたわよ。シンジ君、レイちゃん」
「いつものシンクロテストですよね?」
「宜しくお願いします」
定期シンクロテストの準備が整い、シンジとレイが
実験室近くの更衣室へと呼び出されていた。
「あの…なんでここ集合だったんですか?」
シンクロテストを行う時は基本的に実験室集合だったり
本部内であればミサトやリツコが呼びに来たり
学校であれば黒服達が車で迎えに来たりするのだが
何故か今回は更衣室の前という異例な集合場所だった。
「2人のスーツを新調したのよ」
新しいスーツの入った袋をミサトが持ってくる。
「え?…僕、何も聞いてないんですけど」
エヴァに関わる事はシンジの要望もあって
最低限の連絡は入るのだが、このスーツ新調に関しては
シンジの元へは何一つ連絡が入っていなかった。
「ま、良いの!ホラ早く着替える!」
「あのっ、ミサトさんちょっ…イテッ!」
シンジはミサトに背中をバシンッと叩かれて
有無を言わさず更衣室へ放り込まれたのだった。
──数分後。
「………なんですか…コレ」
新しいプラグスーツへ着替え終えたシンジが
物凄く不機嫌そうな表情で戻ってきた。
「イイじゃない!似合ってるわよ、シンちゃん♪」
「…これはマヤも薦めてくる訳ね」
目の前に立っているミサトとリツコは、新スーツ姿の
シンジをつま先から頭のてっぺんまで穴が空きそうな程
ジッと眺めながら、とても良い表情で絶賛する。
厚みが減った事で更にスマートになった肩周り
邪魔なパーツが取り払われスッキリしたウエスト部
ボディラインを強調するかのような鼠径部のデザイン
そして、柔らかそうなラインを手に入れた胸元──
「──何で女子用なんですかね」
どこからどう見てもシンジのプラグスーツは
男子が着る様なモノでは無い。
ご丁寧な事に、"男の象徴"は目立たない様になっているし
胸元にはしっかりと柔らかい素材が充填されている。
要するに、
「似合ってる」
「…レイ?」
嬉しそうな表情でシンジの隣に立つ。
「…訳を聞かせて貰いますね」
「分かったから!シンジ君、顔が怖いわ」
久々に発せられたシンジの"
ミサトとリツコは己の知りうる限りの事情を
ひとつひとつ丁寧に説明し始めるのだった。
「怒りにくくなったじゃないですか…」
このスーツは、プラグスーツもシンジとお揃いにしたいと
レイに頼み込まれた技術1課が開発したモノだった。
その証拠とばかりに先程からレイはシンジの姿を見て
嬉しそうにニコニコと微笑んでいる。
「然るべき対処はさせて貰います」
「あの…シンジ君、お手柔らかに…ね?」
実は最近NERV本部のセキュリティ強化の一環として
全データベースの検査が行われていたのだが、その際に
非常に厳重なセキュリティで何重にもロックが掛けられた
怪しげなファイルが発見されていた。
『…シンジか。何かあったのか?』
「あぁ父さん。副司令辺りの事でね──」
MAGIによってロックを解かれたそのファイルの中には
白衣やメイド服を着た
保存されていたが、どこからソレを持ち出したのか
女子用プラグスーツを着ているものまで確認されたのだ。
「ちょっと…シンジ君…待ってくれないかしら」
そしてその写真は誰の手から漏れたのかは不明だが
消去される前に流出、リツコ経由でレイから依頼を受け
プラグスーツを新調していた技術1課の元へと辿り着く。
そこからは単純、感銘を受けた課の
あれよあれよという間にスーツのデザインが変更され
現在のデザインへと至ったのだった。
「リツコさん、言い逃れはさせませんよ?」
「…本当にごめんなさいね」
少なくとも
悪ノリし過ぎたリツコを含む技術1課には厳重注意が
しかし、発見された数百枚の写真はというと
何故かそれらの一部がブロマイドや写真集と化し
NERVから大々的に市販されてしまう事となる。
その裏には、
「レイ、シンクロテスト…行こうか」
「うん!」
可愛い彼女からの頼みを断る事が出来なかったシンジは
新しいプラグスーツを着たまま定期シンクロテストへと
向かったのだった。
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──新強羅駅。
「相田君、素晴らしいプレゼンだったぞ」
「加持さんこそ良い交渉でしたよ」
第三新東京市を走るモノレール駅の近くの喫茶店で
2人の男がブレイクタイムと洒落込んでいた。
「また次回も頼むよ」
コーヒー片手にタバコを吸う、無精髭を生やした男
加持リョウジと──
「あぁ、碇の力になってやりたいからな」
メガネを輝かせながら愛用のビデオカメラを弄る男
相田ケンスケだ。
2人は日本政府や戦略自衛隊への根回しとして
NERV本部が置かれている状況やSEELEの目論み
使徒との戦況やこれまでの戦闘記録などを
可能な限り詳しく説明して回っていたのだ。
軍事関連にも詳しく映像編集技術も持つケンスケが
エヴァや使徒について分かりやすくまとめた
プレゼンテーション資料を作り、それを元に加持が
つい先日戦略自衛隊への説明を終えて区切りがついたため
こうして第三新東京市へ戻ってきていた。
「そろそろ葛城が合流する頃か」
「碇達に会うのもなんだか久しぶりだな」
この後、私用で第三新東京市を離れていたミサトが
車で戻ってくる時に2人を回収し、そのままNERV本部へ
向かう予定になっている。
「相田君、おまたせ~!…加持もね」
「何か俺に対して冷たくないか?」
ブレイクタイムを堪能し終えた辺りでタイミング良く
「それじゃあ、行くわよ」
2人を乗せたミサトの車は豪快な走りで強羅市の郊外へと
駆け抜けていく。ジオフロントへ向かうルートとしては
新強羅モノレール駅から接続するルートもあるが
今回使うのはNERV職員専用のカーゴトレインである。
車を少し飛ばして新強羅市街を抜け、周辺の景色が
街から森へ変わり始めた頃──
「…葛城!」
窓を開けてタバコを取り出し、火をつけようとした加持が
ふと車窓へ視線を向けた時にあるモノへ目が留まる。
ピピピピッ!ピピピピッ!
「ミサトさん、あれは!」
「もっと飛ばすわよ、掴まって!」
ポケットの中で音を立て始めた携帯電話を加持へ投げると
ミサトはアクセルフルスロットルで山間を行く道路を
猛スピードで飛ばし始めた。
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「パターン青です!旧小田原方面より接近!」
ミサト達が
NERV本部ではその存在からパターン青が検出されていた。
事実上最後の使徒となる「第16使徒アルミサエル」が
第三新東京市へと姿を現したのだ。
「目標、尚も進行!大涌谷上空へ侵入します」
「光学映像も捉えました。主モニターへ出します」
その使徒の容姿を分かりやすく言うなら
円環状の白く光るDNA。プラスミドにも似た形状で
ゆっくりと回転を続けていた。
前回に引き続き攻撃方法の推測が難しい見た目である。
「碇、どう見る?」
「…前回を鑑みるなら目的はエヴァとの接触か」
タイミング悪く作戦部長が不在なため、今作戦指揮権は
ゲンドウが持っていた。
単体で見ると性質や攻撃方法がまるで想像つかない
アルミサエルだが、ゲンドウはこれまで戦った使徒達の
行動の変化からそれを推察しに掛かった。
エヴァやNERVの施設を攻撃して破壊し、本部地下にある
第2の使徒リリスへの接触を試みていたが
前回のアラエルはそういった様子がほとんど見られず
レイの心への接触を図ってきていた。
「前回が精神なら…今回は肉体へ、か?」
「分からんが可能性はある」
アルミサエルがどんな手段でエヴァと接触するかは
相変わらず不明だが、恐らくは何らかの接触があると見て
ゲンドウと冬月は慎重にエヴァの準備を進めさせる。
「2号機はまだ出すな。中距離以遠で対応させろ」
『了解。装備の手配を進めます』
仮に物理的接触を行ってくるとした場合、S2機関を備える
エヴァ2号機は他の機体より被弾時のリスクが高いとして
攻撃の詳細が判明するまでは原則待機。
残る5機も装備の方向性を遠距離重視とすることで
接触の可能性を極力減らす方針を取った。
「…エヴァへの被害は避けたい所だな」
使徒と分かり合う道は果たして有るのか──
使徒との最終決戦の幕が切って落とされようとしていた。
──つづく。
次回、アルミサエル戦。
ここまで目立った活躍の無かったケンスケですが
裏で色々と重要な事をやっていて貰いました。
これがどんな意味を持つかはもう少し先で。
ちなみにシンジ君の新スーツはエヴァQに登場した
アヤナミレイが着ていた物とほぼ同デザインです。
要するに…更に可愛くえっちになりました。
R指定はないです。大分センシティブですけど…。
それと、これ以降彼のスーツはこのままとなります。