新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
アルミサエル回完結編です!
レイがアルミサエルと対話をしていた頃
外で一体何が起こっていたのかを
描いた回となります。
前半はね。
※後半R15要素有り?です
「フィールド偏向制御を外部から強制起動!」
「制御シグナルロスト!起動しません!」
アルミサエルに侵食された零号機を、レイを救出するため
NERV本部発令所にいたゲンドウ達も職員総動員で
取れる対策を片っ端から試していた。
「プラグカバーを強制排除!」
「ダメです、侵食により装置破損!」
エヴァには非常時のために様々な安全装置や
パイロットの脱出機構が装備させられているが
その殆どが侵食の影響により動作しない。
『このッ!何なのよコイツ~っ!』
『武器がどれも通らないっ!』
エヴァ2号機も合流し必死の応戦が続いているが
NERVが保有する装備はどれもアルミサエルに通用せず
マステマに搭載されたN2ミサイルも、零号機との
距離が近すぎて安易に発射出来ずにいた。
「どうする?碇」
「我々にはもう打つ手が…」
ゲンドウが言うようにNERV側が持っていた手札は
ほとんど切ってしまっており、更にアルミサエルには
その多くが通用していなかったのだ。
「万事休すってワケね…」
MAGIが唯一使徒を殲滅出来る可能性があると推測した
エヴァの自爆装置はアルミサエルの侵食を受けて
外部からの起動という手段が絶たれてしまっており
ここでアルミサエルを殲滅することが出来なければ
もう1人誰かが使徒との自爆を決行する必要が出てくる。
使徒との戦いには勝利出来るかもしれないが
この後にはSEELEとの決戦が控えているのだ。
エヴァとパイロットは誰1人として犠牲になど出来ない。
ゲンドウ達が悲痛な面持ちで戦いを見つめ
シンジ達が決死の覚悟で戦い続けていた時──
「…零号機との通信が復活しました!」
侵食が始まって以降途絶えていた零号機との通信が
ノイズのみではあるが復活したのだ。
『使徒の動きが!?』
『…止まりよったで?』
アルミサエルの方へも目を向けると、先程まで零号機を
侵食しつつシンジ達へもその手を伸ばそうとしていたのが
まるで嘘のように大人しくなっていたのだ。
「何が起こっているの?」
「分からないわ…」
「レイが…何かしたのか…?」
ミサトは勿論リツコやゲンドウもこの状況には
思わず首を捻った。
「っ!?零号機、ATフィールド反転!」
突如、防壁として展開されていた零号機のフィールドが
アルミサエルを受け入れるようにして反転する。
「侵食が!加速していきます!」
「使徒を…抑え込むつもりなの?」
ATフィールドが反転した事でアルミサエルにとって
その侵食を阻むものの全てが無くなった。
アルミサエルは一気に侵食を早めていく。
「侵食、尚も加速──いえ!減速、反転します!」
「何ですって!?」
侵食が早まったと思った瞬間、生体部品の侵食が
減速へ転じ、あっという間にそれが反転
アルミサエルへと逆侵食を始めたのだ。
生体部品を侵食するなど、エヴァにはその様な機能は
一切搭載されていない。だがしかし、現にアルミサエルは
零号機の体へと吸収されていっている。
「零号機パイロットの生体反応確認!」
「レイが!?」
そして、ロストしていた零号機パイロットの反応も
復活する。レイが無事である事が確認されたのだ。
アルミサエルは零号機の体内へと取り込まれていき
それが完全に零号機へと吸収されるのと同時に
パターン青が消失、アルミサエルの殲滅が確認される。
「…使徒の反応はありません」
「使徒殲滅、でいいのかしらね?」
何が起こったのかは一切分からないままだったが
ひとまず第16使徒アルミサエルは殲滅された。
「司令…しかしこれは…!」
「あぁ、間違いない」
2号機に引き続き、使徒をその身に取り込んだという事は
恐らくは零号機にもS2機関が発現するという事──
事後処理が更に山積みになる事が確定したことに
渋い顔になったゲンドウ達だった。
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「何っ!?どうしたの?」
突如NERV本部内に再び警報が鳴り響く。
この警報が示すのは──
「パターン青っ!?し、使徒ですっ!」
使徒出現の報。しかし先程殲滅したアルミサエルが
16番目、最後の使徒である渚カヲルが17番目。
使徒は全部で17体と言われているのだが、この反応が
新たな使徒であるなら存在しない18番目の使徒となる。
そして、存在しない使徒である可能性の他に残るのは
「使徒だと?だが第16使徒は確かに──」
殲滅されたハズのアルミサエルが生きている──
再び零号機の体内で侵食を始めている──
考えられる最悪の事態を避けるため、NERV職員達は
大慌てで対応へ走りだす。
そして、オペレーター日向マコトも今まで通りに
観測されたパターン青の解析に取り掛かる。
この反応が一体誰によるものなのかを。
「…分析パターン出ました!…こ、これはッ!?」
[
「第2ッ!?第2は──」
「リリスが目覚めたとでも言うのか!?」
──第2使徒。NERV本部のセンサーが捉えた反応は
本部の地下深くターミナルドグマの最深部で
磔にされ眠っている筈の第2使徒リリスのものだった。
「発信源は!?」
「現在捜索中です!」
第2使徒リリスはゲンドウが南極から持ち帰った
目覚める事はまず有り得ない。しかし、もし本当に
リリスが覚醒を始めているのなら、つい先程殲滅した
アルミサエルなど比較にならないほどの
「…ぜ…零号機から発せられています!」
「まさか!レイが!?」
第2使徒が現れた位置というのは、信じられない事に
エヴァ零号機のエントリープラグの中だった。
これらの情報から導き出される答えはレイの魂である
リリスの魂が覚醒した、というもの以外には無いだろう。
『ミサト!零号機がっ!』
「これは…」
第2使徒の反応が零号機から発せられていると判明したのと
ほぼ同タイミングで、現地にいるエヴァパイロット達から
零号機に異変が起きたとの報告がもたらされる。
「覚醒…!」
零号機の頭上には白いエンジェル・ハイロゥが浮かび
その足も重力の鎖から解き放たれ宙に浮いている。
始祖のコピーたるエヴァが、本来の力を取り戻したのだ。
『…心配掛けてごめんなさい、みんな』
「レイ?レイなのっ!?」
通信ウインドウが開かれ、レイの姿が映し出される。
いつも通りの、最近よく浮かべる穏やかな笑みをした
レイの姿が。
ただ唯一異なっていたのは、レイの綺麗な紅い瞳が
暖かく輝いていたこと。
『使徒とも、分かり合えたわ』
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──ターミナルドグマ。
「………」
「………」
カチリ、カチリ、と階層を刻むエレベーターに
シンジとレイ、カヲル、ゲンドウの姿があった。
このエレベーターは「レベル
普段は誰も立ち入る事の出来ない特殊な区画へと
繋がるエレベーターであり、ここの最深部に
第2使徒リリスが眠っている。
「ヘブンズドア…この先に…」
「あぁ。リリスが眠っている」
たどり着いた場所はヘブンズドアと呼ばれる
通常の扉より遥かに重厚な扉。
この先にリリスの眠る部屋があるのだ。
ピーッ
[OPEN]
ゴゴゴゴ…
幾重にも重なった扉のロックが外されていき
リリスの眠る部屋へ繋がるヘブンズドアが開いていく。
「あれが…リリス」
100m以上はあろうかという巨大な赤い十字架に
足のちぎれた白い巨人が磔にされていた。
エヴァの元にもなった「第2使徒リリス」である。
リリスからは生命の源LCLが常に流れ出していて
十字架の周囲は広大なLCLのプールで囲われている。
「…レイ、行っておいで」
「うん」
レイは一歩前へと踏み出すと、赤い瞳を輝かせて
ふわりと地面から浮き上がる。
「………」
リリスの胸元まで飛んだレイは、その手でそっと
リリスの体へと触れる。
──バシャァッ!!!
その刹那、リリスの白い巨体は全てLCLとなって弾けた。
弾けたLCLが一斉に流れ込んだ足元のLCLプールは溢れ
岸に立っていたシンジ達の足元がLCLで満たされていく。
そして弾けたLCLは仄かな光を放ちながらレイの身体へ
少しずつ吸収されていき、LCLのプールの水位が
元に戻った時、レイの心に声が響く──
(………ただいま)
「おかえりなさい」
レイはただ一言、帰ってきた半身を迎える言葉を発した。
「どうだい?綾波さん」
「問題無いわ」
レイはゆっくりとシンジ達の所へ戻ってきた。
──その身に宿る始祖の力を覚醒させて。
「ATフィールドは使えそう?」
「見たい?分かった」
ガキィィィーーーンッ!!!
シンジの素朴な疑問にレイは笑顔でそれに答えた。
くるりとカヲルの方へ振り向くと、スっと手を掲げ
巨大なATフィールドの塊を投げつけたのだ。
「…綾波さん…事前に声を掛けて欲しいな?」
「貴方へ使うのが分かりやすかったから…」
言ってしまえば、
大好きな彼からの質問に少しばかり浮かれた事で
さじ加減を間違えたレイのATフィールドは
ゼルエルと戦っていた時を思い起こす程強烈な音を立て
シンジとゲンドウはそれに思わず腰を抜かしていた。
レイは第2使徒の力を完全に自らのモノとしたのだった。
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──零号機ケイジ。
『全圧力、およびエネルギー反応正常』
『S2機関安定。異常ありません』
レイ達がドグマへと向かっていたのとほぼ同時刻
エヴァ零号機が収容されたケイジでは、戦闘の影響
もといS2機関の有無とその影響がチェックされていた。
「今回も大丈夫そうね」
「使徒との融合。想定外もいい所だわ」
以前第14使徒ゼルエルを喰らいS2機関を手に入れた
2号機と同様に、第16使徒アルミサエルを取り込んだ
エヴァ零号機も当然のようにS2機関を手に入れていた。
2号機の時に得られたデータと手法を用いたことで
零号機へのチェックは特に何事も無く終了。
「で、次はレイの"頼み事"よね」
「えぇ。使徒が増えるわ」
チェックを終えた零号機へ、機器が大量に接続された
特殊なエントリープラグが挿入される。
以前、初号機に取り込まれたシンジを救出する際に
初号機へ取り付けられ、彼が早々に自力で戻ってきた事で
結局未使用のままだったサルベージ用のものだ。
『全探査針打ち込み完了』
『スペアのバイタル、異常無し』
今零号機のエントリープラグには、魂の入っていない
レイのスペアボディが乗せられている。
「レイったら…ホント凄い事するわよね」
今回サルベージするのは、零号機のコアに宿った
第16使徒アルミサエルだった少女の魂。
熾烈な戦いを繰り返していた使徒と分かり合い
人として生きる事を決意させたレイの行動力には
ミサトも大いに感心したのだった。
『サルベージ準備完了』
『第1信号、送信します!』
そして、全ての準備が整いサルベージが始まる──
『………ふわぁ…』
コックピットシートで眠っていた少女は
可愛らしい欠伸と共に目を覚ました。
『…ねぇ!綾波レイはどこにいるっ!?』
「え?レイ?レイなら今は──」
綾波レイと同じ姿からは想像出来ない程に快活な
ハキハキとした声が飛び出した。
突然信じられない声色でレイの居場所を尋ねられ
ミサトは豆鉄砲を食らったハトのような表情のまま
レイの今の居場所を答えたのだった。
『よ~し、会いに行ってくるわ!』
「…ちょちょっとォ!待ちなさいってば!」
少女アルミサエルはレイの居場所を聞くとすぐさま
エントリープラグから飛び出し、自分へ居場所を
与えてくれた親愛なる少女の元へと駆け出した。
しかし少女アルミサエルは、レイのスペアボディを
そのまま持ってきた所へ魂をサルベージした直後。
要するにそれが何を表しているのかというと──
「レイお姉様!今会いに行きますわ~っ!」
「…服っ!服を着なさぁーいッ!」
一糸まとわぬ姿なのである。
元々が使徒で羞恥心を知らない彼女にとっては
衣服を身に纏う事よりもレイに会いに行く事の方が
優先順位が高かった。
「リツコ!ちょ~っち白衣借りるわよ!」
「ちょっとミサト!?待ちなさい!」
そして始まる、ミサトと少女アルミサエルの鬼ごっこ。
レイの元目指して一目散に駆けていく裸の少女と
リツコの白衣を片手に鬼の形相で追うミサト。
使徒との戦闘直後だというのに、余りにも気の抜ける
バカみたいな光景が繰り広げられ、NERV本部には
とても和やかな空気が漂うのだった。
「…プラグスーツだけでも着せておくべきだったわ」
そして零号機のケイジには、唖然とする作業員達と
親友に白衣を剥ぎ取られて呆然としながら
スペアボディをそのまま乗せたことを後悔する
赤木リツコ技術課長が取り残されていたとか。
──つづく。
零号機とレイさんが覚醒しました。
なお機体の関係上現時点ではカヲルを超える
NERV本部最強のパイロットとなる模様。
そして、レイの手を取ったアルミサエルが
彼女のスペアを借りて人間の姿を手にしました。
セリフや性格は「早乙女らんま」をベースに
リナレイを意識して書く予定です。
次回からいよいよSEELEとの最終決戦。
しばらくほのぼのは無い予定。
追記:R18編33.5話を投稿致しました。
決戦を控えたシンジ君とレイちゃんが
イチャイチャする回です。