新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
本作のメインストーリーもいよいよ終盤
SEELE戦へ備えて色々レベルアップする回です。
──芦ノ湖、湖畔。
「間もなく到着予想時刻です」
第16使徒アルミサエルの殲滅、もとい勧誘を終え
一通りの事後処理を済ませたNERVの主要メンバーは
厳重に閉鎖された第三新東京市の一角
芦ノ湖に面したエリアへとやって来ていた。
「エヴァMark.06…SEELE秘蔵の機体か」
「本当にここへ来るんですかね?」
彼らが待っていたのは、SEELEから渚カヲルへ直々に
与えられる新型のエヴァ「エヴァンゲリオン
カヲル自身から芦ノ湖へ降ろすとの指定を受け
シンジ達はここへ集まっていたのだ。
そして、月が丁度空へ登り始めた頃──
「…上空に巨大なATフィールドを確認!」
「ついに来たわね」
第三新東京市上空に発生した、覚醒した零号機をも上回る
非常に強力なATフィールド。
Mark.06が頭上で虹色のエンジェル・ハイロゥを輝かせ
月を背にして芦ノ湖へゆっくり降りてきていた。
「やぁ皆。お待たせ」
降下してきたMark.06とカヲルは、芦ノ湖の水面に
その重さを感じさせない様にしてふわりと足を着いた。
「これがMark.06…」
「確かにSEELE秘蔵と言えるわね」
他のエヴァとは異なる名を与えられた紺色のエヴァは
ロンギヌスの槍と似た真紅の槍も手にしていた。
名を「カシウスの槍」と言い、ロンギヌスの槍と対を成す
神殺しの力を持つ槍である。
予言が本当であれば、カシウスとロンギヌスが揃えば
世界の再生や造り変えすら可能とされる神槍であり
SEELEはこの槍とMark.06で補完を行う予定なのだろう。
「これで僕らの手元には2本の槍が揃った…」
「まずはSEELEの計画を阻止しなくちゃね」
だがMark.06はSEELEの手では無く、
シンジ達人類に味方することを選んだ。
これからやるべき事はSEELEがその事実に気付くまでに
SEELEの戦力に対抗しうる備えを可能な限り万全に
用意しておく事である。
「機体は7番ケイジへ格納しておいて」
「分かった。この子を運んでくるよ」
機体を降りていたカヲルはさも当たり前のように
Mark.06を外から起動・操作し、自身も共にふわりと浮いて
少しばかり格好をつけてNERV本部へと向かっていった。
「………なんでもアリね」
今更大騒ぎするほど驚くNERVの面々では無かったが
空いた口はしばらく塞がらなかったとか。
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「どうかしら?偏向制御式フィールド推進器は」
「もう少しです。あとは細部の調整を──。」
技術開発局第1課のエヴァ装備用整備室の一角で
シンジはシミュレーション画面とにらめっこしていた。
モニター上に映し出されている図面はエヴァ用の追加装備
ATフィールドの作用を利用し機動力を大きく底上げする
「偏向制御式フィールド推進器」の図面である。
「手を貸すわよ」
「ありがとうございますリツコさん」
対SEELE、もとい対量産機を意識し、NERV所属のエヴァを
持てる技術すべてを注ぎ込んで強化することとなり
シンジは技術1課と共同で装備開発に勤しんでいた。
「使った感じはどう?レイ」
『もう少し安定感が欲しいわ』
エヴァのシミュレータとも接続され、エヴァ零号機が
シミュレーション空間内で装備の使い心地を試す。
「ここには生体パーツを採用しよう」
「A.T.F.ランチャーの予備は余ってるわよ」
様々な部品、様々な設計を試しながら装備開発を進める。
「専用マゴロクソードは仕上がりました!」
「そうか!後で僕も確認に行きます!」
シンジと技術1課が今作り上げようとしているのは
改良を繰り返したN2バックパック或いはS2機関による
ほぼ無限の出力をフル活用する為の装備
「フィールド偏向制御実戦運用型増設アーマー」
通称「
全身へ増設した偏向制御装甲による防御力の強化と
フィールド推進器による低下した機動力の補強
そして、ジェネレータ出力を活用した高火力の兵装。
これがF型装備のおおまかなコンセプトである。
「5号機用A.T.F.ランチャーも完成です」
「3号機、4号機用装備に着手しました」
ATフィールド展開が可能な「F型専用マゴロクソード」と
二回りほど小型化した「A.T.F.ランチャー改良型」を
主兵装として装備する。
アラエル戦で得たノウハウがフル活用された装備は
汎用性の低下をものともしないスペックが
叩き出されるとの予想が出ていた。
一方その頃技術2課では──
「アドル君、装甲板の差し替えはどうだ?!」
「はい。24層全て最新式へ差し替え完了です」
時田シロウらの手によって、NERV本部の施設面への補強
戦略自衛隊迎撃用の設備開発などが行われていた。
「PS層とラミネート層排熱設備の省電力化も、順次」
第三新東京市とジオフロントを隔てる特殊装甲板は
ゼルエルに開けられた大穴も綺麗に無くなり
稼働に大電力が必要だった問題も改善されている。
「…オートマトンの兵装、必要ですかね?」
「あぁ必要だ。奴らは人殺しのプロだぞ」
更に、侵入者迎撃用のオートマトンも開発されていた。
普段は本部内の清掃や整備を担当するが、有事の際には
内蔵する武器を起動して防衛にあたるのである。
加持と相田による引き込み工作は引き続き行われているが
SEELEの息が掛かった部隊が侵攻してくる可能性に備え
万が一への対策は講じておくに越したことはない無い。
「本部N2リアクターの改良はどうします?」
「上層施設が優先だ。先に隔壁をやるぞ」
本部地下にある、増設と改良を繰り返したN2リアクターは
10機全てをフル稼働させればNERV本部の中枢機能を
ほぼ半永久的に賄う事が可能なレベルとなっている。
そして本部施設の非常用シャッターもこの後に
時田達の手によって、エヴァの装甲板素材を流用した
とんでもなく強固なモノへと差し替えられる。
そして第1発令所では──
『ひとまずMAGIは任せたわよ、マヤ』
「はい!プロテクトはキッチリ仕上げてみせます!」
NERVが誇るスーパーコンピュータMAGIにも改装の手は及び
ファイアウォール、ネット回線、各通信設備など
様々な箇所へと補強が行われていく。
リツコは今エヴァ関連の開発に駆り出されているため
マヤは手元に抱えるリツコ謹製の資料を参考にしつつ
MAGIへのプロテクト施行をこなしていく。
「MAGIコピーへの対策も必須ですからね」
「加持君が松代を抑えてくれると助かるのだがね…」
MAGIはNERV本部第1発令所にあるオリジナル以外にも
松代のMAGI2号、ベルリン、マサチューセッツ
ハンブルク、北京など世界各所のNERV支部に
そのコピーが設置されている。
これらMAGIコピーから総攻撃を受ければ、オリジナルと
言えども無傷では済まない。
「先輩が戻り次第追加プロテクトですね」
エヴァの装備開発が一段落しリツコ達が戻った際に
MAGIの外装を開けての追加プロテクトも行われる予定だ。
シンジ達の活躍によって節約され貯蓄され続けていた
SEELEから提供された資金をごっそりと使い込んでの
NERV本部大改造が行われ、NERV本部は人類最後の砦と
呼ぶに相応しいトンデモ要塞へと進化を遂げたのだ。
しかし、相対するSEELEもS2機関搭載エヴァ量産機が9機
詳細不明のエヴァが4機、国連軍や戦自の指揮権も持ち
世界を裏から操る秘密結社である。
これでもまだかなりの不安が残る。
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「──これが復元したアダムだ」
天井にセフィロトの樹が描かれたNERV本部の司令室
総司令碇ゲンドウのデスクに、かつて加持が運んできた
対爆ケースが置かれる。
ケースに入っているのは硬化ベークライトで固められた
第1使徒アダムの復元された肉体。
胎児の状態に戻されているが、確かに使徒である。
「お前に…シンジ達に託す」
「あぁ、確かに受け取ったよ。お父さん」
ゲンドウの向かいに立つカヲルがアダムに触れると
カヲルの手のひらから吸い込まれるように吸収され
跡形もなく取り込まれる。
「……僕もこれで綾波さんと同等だね」
すうっと一瞬だけ虹色のエンジェル・ハイロゥが
カヲルの頭上に浮かぶ。
先日リリスの肉体を吸収し始祖としての本来の力を
取り戻したレイと同様、カヲルもアダムを取り込み
始祖の持つ本来の力を全て取り戻したのだ。
「──これで僕らの目的を果たせる」
計画がひと段落した事をシンジが喜んだ。
カシウスの槍とロンギヌスの槍、世界を作り替える力を
持つ2本の槍をシンジ達の意志でひとつにまとめ
神に等しき力を得たエヴァで"儀式"を行う。
セカンドインパクトが地球へと与えた影響を全て
本来あるべき姿へと戻す──
それが、世界再生計画の裏で進められていた真の計画
シンジ達NERVが目指す究極の目的である。
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「それじゃあ、リナさんの誕生を祝って…乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
NERV本部の食堂には大勢の職員達が集まっていた。
少女アルミサエル改め綾波リナの誕生祝いと
SEELEとの決戦へ備えた英気の養いとして
大規模なパーティーが開かれていたのだ。
「綾波リナ、綾波リナ。…ウン、気に入ったわ!」
「そう?良かった」
ちなみにアルミサエルにリナと名付けたのはレイ。
良い名が無いかNERV本部職員に聞いて回って
雰囲気が似ていた
「皆して僕を振り回して!もうやめてくれよっ!」
「あっははっ!可愛いわよっ、シンちゃん♪」
「マヤ!テストスーツ、持ってきてくれるかしら?」
「はい先輩!まとめて持って来ますね!」
食堂のど真ん中では大勢の職員達に、主に酒に酔った
ミサトとリツコに弄り倒されていたシンジ。
持っている可愛い服を着せてみたい、と女性職員達から
着せ替え人形にされ、メイド服やチャイナ服、NERV制服
第1中学校の女子制服にとやりたい放題だった。
「トウジ!ケンスケ!助けてくれよぉっ!」
シンジが助けを求めた2人はというと…
「──あとは、台所に立つ男はモテるぞ~!」
「「参考になりますっ!」」
アルコールが回り始めた加持とのボーイズトークに
熱中しているのかそれに応える様子は無かった。
「ワシは委員長一筋──って何言わすんじゃボケ!」
「誰がボケですって!?」
そして始まる、トウジとヒカリの
──ドドドドドドドドッ!!!
「姫も着せ替えさせてくれにゃ~~~ッ!!!」
「だぁぁっ!この変態!あたしはやらないっつーのッ!」
メガネをギラリと輝かせ、ふんすふんすと鼻息を鳴らし
獣のようにマリがアスカを追いかけ回す。
マリの手にはメイド服と、先程すれ違ったマヤから
やけに透け感のある特殊なテスト用スーツが。
「そんなスケスケ人前じゃ着られないわよッ!」
「ノープロブレム!恥ずかしがる事は無いにゃッ!」
シンジが人に囲まれて着せられないのならばと
マリの視線は愛しのお姫様へロックオンされていた。
「冬月、お前はユイが戻ったら怒られるぞ」
グビっ…グビっ…
「そういうお前こそ、一時期不倫していただろう?」
ゴクッ…ゴクッ…
NERV本部のトップ2人は溜まっていた相手への嫌味を
吐き出しながら、互いに一杯ずつ強めの酒を飲み
先にダウンした方が負けの飲みくらべをしていた。
「碇、顔がだいぶ赤いぞ。降参したらどうだ!」
「冬月こそ!体がぐらついているぞ?」
2人とも決して若い訳では無いというのに、強めの酒を
一切の躊躇いもなくグビグビと飲み干していく。
「ゔえっ…ユイ!私に…ヒック…力を!」
「ヒック…私は、負けんよ…ユイ君!」
バターンッ!
そして、周りの皆が想像した通り2人はぶっ倒れた。
「あ~、担架!ジイさんとオッサンが倒れた!」
ゲンドウも冬月も医務室へと運ばれていったが
下手すれば明後日までは二日酔いという名の地獄に
苦しめられることだろう。
「シンちゃ~ん!加持ったらヒドイのよ!」
「ミサトさん、その話もう3回目ですよ?」
「…流石に飲みすぎよ、ミサト!」
勢いに乗って飲んだ結果案の定ベロベロに酔ったミサトは
シンジにだる絡みを繰り返していた。
ちなみにシンジは散々着せ替え人形にされた挙句
標的をアスカから切り替えたマリに捕まり
あの透け感強めのテストスーツを着せられている。
今は羞恥心より呆れの方が強いようだが。
熱狂と爆笑と酒の匂いに包まれたNERV本部の食堂で
今日の主役だった少女はポツリと呟く──
「今日の主役ホントにあたしよね?」
この後この大騒ぎにリナが積極的に飛び込んだことで
盛り上がりが更にヒートアップし、翌日の本部食堂に
酔いや疲れでぶっ倒れた職員を増やす事となるのだった。
──つづく。
Mark.06降臨。芦ノ湖に下ろした理由はですね
「花なら散りゆく~♪夢なら果てなく~♪」
オマージュです。
アルミサエルの性格をああした理由は
彼女の名前をリナレイもとい綾波リナにする事が
作者の中で決定していたからでした。
次回!ついに…SEELEとの最終決戦が始まります!