新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
vs戦自。ある意味でこの後に控える量産機戦と
同レベルかそれ以上のえげつなさを誇る戦闘。
原作の戦自vs本作のNERVではNERVが圧勝します。
ですがそれでは面白みに欠けますよね?
…ええ、敵も強くなっておりますとも。
書くのが楽しくて完成が少し早まりました。
──
『タブリス…やはり我々を裏切ったか』
ナンバー1のモノリス、キール・ローレンツは
『DSSチョーカーもすり替えられていた』
裏切り防止用に装着させた自爆装置DSSチョーカーも
つい先程全ての信号が途絶え、それが取り外された事を
タブリスが裏切った事を知らせていた。
『これが本来の筋書きと考えるべきか』
『左様。彼が生命の継承者である記述は無い』
SEELEが保有する予言書、裏死海文書にはタブリスが
最後の使徒である事は記されていたが、補完の鍵となる
生命の継承者がタブリスであるとまでは記されていない。
『補完は我らの手で実行するべきではないのかね?』
『…アダムや使徒の力はもう借りぬ、か』
SEELEは、思い通りに事が進まない他者によってではなく
自分達の手で人類補完計画を行う事を決意する。
『──碇ゲンドウ。まずは彼を始末せねばならん』
人類補完計画の実行組織たるNERVを我が物のように扱い
再生の喜びを拒む者碇ゲンドウ。
人類補完計画を完遂するにあたり彼の存在は邪魔になる。
タブリスを除く全ての使徒を殲滅した今であれば
NERVを制圧しタブリス共々ゲンドウを始末することで
邪魔者の排除と儀式の発動条件達成を同時に行える。
『…期は熟した。始めよう』
『『『──全てはSEELEのシナリオ通りに』』』
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──NERV本部、第1発令所。
「先程、A-801が日本政府より発令されました」
「801!?」
特務機関NERVを法的に保護する特例の破棄
そしてNERVの指揮権を日本国政府へと移譲する
最後通告とも言える措置が発令されていた。
これが発令されるという事は日本政府が敵へ回った事
ひいてはSEELEの侵攻が始まるという事を意味する。
NERV本部に一気に緊張が走った。
「政府からは何と?」
「いえ、それ以外には何も…」
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「ッ!来ました!MAGIへのハッキングですッ!」
「始まったわね…」
A-801が発令されてすぐ、NERVと繋がる全ての外部端末から
一斉にMAGIへのハッキングが開始される。
「侵入者はどこだ?松代の2号か?」
松代は結局懐柔し切れなかったとの報告を受けており
先制してきたのは松代だろうと冬月は予想するが──
「ドイツと中国、アメリカからの侵入を確認!」
「…総力を挙げてきたか…少々分が悪いな」
冬月の予想は悪い方向へと外れる。
MAGIタイプが5台、SEELEのお膝元であるドイツは勿論
NERVアメリカ支部などのMAGIコピーからも
オリジナルを接収すべくハッキングを仕掛けて来ていた。
「Bダナン型防壁を展開しろ。侵入させるな」
「マヤ、シンジ君。やるわよ」
「「はい!」」
本部のあらゆる機能をコントロールするMAGIの占拠は
NERV本部を掌握される事と同義と言える。
それをさせないために、MAGIの外装を再び開け
リツコとマヤ、シンジの3人が配管の隙間へ潜り込んでの
プロテクト作業へと入った。
「やっぱり凄い量のメモですね」
「また力を借ります、赤木ナオコ博士」
MAGIの内部にはメンテナンス等のための隙間があるが
そこへ面するケーブルには裏コードなどを記したメモが
「ありがとう、本当に助かるわ母さん」
MAGIを構成する3台の大型コンピューターのうち
今まさにハッキングを受けている
残る
プロテクト作業を行う。
3人による猛スピードのプロテクト構築が行われ──
ピーーーッ
「ハッキング、停止しました」
最初にハッキングを受けたメルキオールの掌握すらも
許すことなく、ものの数分で対処は完了した。
このBダナン型防壁を展開したことにより、今後62時間は
外部からのあらゆる侵入をシャットアウト出来る。
2日半とはいえハッキングを完全に阻止出来るというのは
非常に大きなアドバンテージとなるだろう。
「意外とアッサリだったな」
「流石はシンジ君達だ」
オペレーターの日向と青葉はホッと一息ついた。
この後もまた息が詰まる様な時間がやって来るのだ。
少しでも休息を取っておくのは大事である。
それからしばらくして──
…ピリリリッ…ピリリリッ
「緊急通信?どこからだ?」
NERV本部へと1本の緊急通信が入った。
「日本政府、総理大臣から直接です!」
「総理からだと?!」
この通信を届けてきたのはなんと日本政府、それも
総理大臣から直接でであった。
最後通告まで行っておいて一体何の用があるのかと
ゲンドウは少し迷った末に通信を繋げる──
「…つまり、SEELEが動いたと」
『ああそうだ。急ぎ伝えておきたくてな』
日本政府総理大臣からもたらされた情報とは
第三新東京市を包囲し待機させていた戦略自衛隊から
独断で先行した
SEELE指揮下の国連軍が日本へ向けて多数の部隊を
出撃させたということの2つだ。
敵に回ったかと思われた日本政府はSEELEに従う振りを
しつつNERVへそれらの情報を回すため動いていたのだ。
「総計でおよそ3個師団相当とは…」
「ヤツらも本気という事だ」
NERV本部へ向け進行する部隊は戦自の離反者を含めると
最低でもおよそ3個師団、人数にして5万人を超える兵が
投入されているだろうとのことだった。
『N2爆撃機が動いたとの情報もある』
「手加減無しか。厄介だな…」
日本政府が掴んだ情報によれば、国連軍の攻撃機部隊に
N2ミサイルを積んだ爆撃機が含まれている可能性があり
今しがた市民へ避難勧告を出させたとのことだ。
第三新東京市の市民を巻き込むことも厭わない辺りに
SEELEの本気具合が見て取れた。
「すまんがシンジ、対策を頼めるか?」
「分かった父さん。やっておくよ」
シンジは何時でも出撃出来るようプラグスーツを着たまま
特殊装甲板の制御を行うコントロールルームへ走った。
「他のエヴァパイロットは!?」
「2号機、5号機パイロットは既に搭乗済みです」
国連・戦自合同部隊の本部侵攻の狙いがエヴァであるなら
エヴァパイロット達は真っ先に狙われ射殺される。
ミサトは日向と青葉に各パイロットの捜索を指示した。
アスカとマリは既にエヴァに搭乗し出撃準備中なため
残りで優先すべきなのはトウジとヒカリだ。
「零号機パイロットを発見しました」
レイが居たのはジオフロントにある小さな庭園。
シンジが忙しい時に彼女が良く訪れている場所だ。
「付近へ零号機を射出!レイへも連絡急いで!」
レイには始祖が持つ強力なATフィールドがあるが
国連軍が占拠する前に零号機へ乗せたいところだ。
ミサトは零号機をレイの付近へ射出させる様指示。
ちなみにカヲルは外部からエヴァを起動出来るために
国連軍の占拠も意味は無いだろうとのことで
細かい対応は本人に任せる方針とした。
『大観山第11番レーダーサイト沈黙!』
『同様に9番サイトも沈黙!』
「いよいよだな」
そしてついに、NERV所有設備が破壊されたとの
連絡が入ってくる。
『強羅防衛線に2個特化大隊!』
『3個大隊が御殿場方面から接近中です!』
国連軍がNERV本部目指して侵攻を始めたのだ。
『西館搬入路からの侵入を確認!』
「そいつは陽動だ!東館から隔壁下ろせ!」
生きているレーダーサイトや監視カメラの映像から
部隊の侵攻ルートを推測、職員の退避を終えた区画から
時田の指示で次々とシャッターが下ろされていく。
『──まだ足りん!もう1発
『クソッ!
エヴァの装甲板を流用したシャッターの強度は
ATフィールドなど無くとも通常の兵器で破壊するには
凄まじい量の爆薬が必要になる。
カメラに映る国連兵達は大量の爆発物をつぎ込んで
シャッターの爆破を試みている様だが、そのペースでは
中枢施設へ辿り着く前に爆薬が尽きる可能性すらある。
「Cブロックは閉鎖したな?オートマトンを起動しろ!」
『了解!メインシャフトCブロックへ投入します!』
職員の退避とシャッターの閉鎖が完了した区画
特にメインシャフト等の重要ルートへは
侵入者を次々と排除していく。
『何だコイツッ!?ギャアッ!!!』
『ぐわあッ!おのれNERVめッ!』
いくら白兵戦に長ける国連軍であろうとも
遠慮を知らないオートマトンの前には苦戦を強いられる。
既に非戦闘員を含む職員を何名も殺害している相手に
手加減や情けなどかける必要は無いのだ。
『──N2ミサイルです!爆撃機2個中隊!』
「くっ…分かった!電圧調整、排熱効率19%アップ!
8番から20番までエネルギーバイパスを接続!」
ジオフロントを閉ざす特殊装甲板を破るための
N2ミサイル爆撃機が確認されたとの報告を受け
シンジは最適な調整を装甲板へ施していく。
「本部リアクターからの送電量43%上昇!耐熱、耐衝撃の
アブソーバーのバランスを最適化!」
物理的衝撃を吸収する
行っている排熱機関への電力供給量を的確に操作し
N2ミサイルの爆発を最小限の被害に抑えるのだ。
『着弾まであと3、2、1!着弾しますッ───』
ゴゴゴゴ………
『特殊装甲板、第4層まで損壊!第5層も中破!』
『後続の2個中隊接近!次弾着弾まであと約120秒!』
「めちゃくちゃだなぁ全くっ!」
N2ミサイル第一波で第三新東京市の大部分は壊滅
特殊装甲板の第4層までが破壊され、第5層が中破。
さらに第二波が接近中とかなり押され気味な状況だった。
『シンジ君!装甲板はいいわ、エヴァへ向かって!』
「分かりました!格納庫へ向かいますッ!」
国連軍の侵攻が進んだと報告を受けたミサトから
特殊装甲板の調整を中断しエヴァへ向かえと指示される。
シンジは装甲板のコントロールルームを飛び出し
エヴァ初号機の居る第2ケイジへと急いだ。
「第2層に侵入者!ブロックFからです!」
「第2層までを破棄!第3層で食い止めるわよ!」
NERVの抵抗を受けながらも国連軍は着実に侵攻してくる。
ついに第2層のメインシャフトのうちブロックFが落ち
第1層から一斉に国連軍がなだれ込んで来る。
これを受けミサトは早々に第2層の破棄を選択
第3層に戦闘員を集めそこで食い止める方針を取った。
ゴゴゴゴゴッ…
『N2ミサイル第3波着弾!装甲板第17層まで損壊!』
「くっ…奴ら遠慮無いわね」
地上では爆撃機部隊によるN2ミサイル攻撃が再三直撃し
残っていた装甲板がさらに持っていかれる。
残る7層も第5波辺りまでで抜かれてしまうだろう。
ジオフロントが露呈すれば空挺降下による増援の侵入も
許してしまうため、出来れば長く持って貰いたかったが
シンジがいた操作室の付近へも侵攻が迫っていたため
彼の安全を考慮し操作を中止させざるを得なかった。
『3号機、4号機が発進準備に入りました!』
トウジとヒカリが格納庫へと辿り着き、エヴァへ搭乗
大急ぎで両機の発進準備が進められる。
『2号機と5号機がジオフロントへ到着!』
そして、ジオフロントへ先行して射出された2機は
既にジオフロント露呈に備えて準備を進めていた。
『第2層、オートマトンが全滅!』
「何ですって!?」
「技術2課の傑作を…敵さんもやるねェ」
国連軍の部隊はオートマトンの対処に慣れてきたようで
第3層の侵入を防ぐため第2層最下層付近へ配置していた
オートマトン達が早くも全滅する。
「ケイジ区画に侵入させるなッ!主要隔壁閉鎖!」
『敵の勢いが強すぎて防御し切れませんっ!』
「やはり狙いはエヴァか!」
侵攻ルートからして国連軍は確実にエヴァ格納庫を
目指しており、そこへ向かえるルートを片っ端から制圧
どんな手段を使ってでもパイロットとエヴァの接触を
絶とうとしていた。
「はっ…はっ…第1格納庫!あと少しだ!」
チラリと視線を向けた先に見えた第1格納庫への案内。
遠くから聞こえてくる銃声や爆発音を気にも留めず
シンジは初号機のいる第2格納庫目指してひた走る。
『シンジ君急いで!敵が来てるわ!』
「はっ、はいッ!」
耳に着けた通信機からの声にシンジは足を早める。
「居たぞ!サードだッ!」
「──くそぉっ!」
後方から爆発音が響き、国連兵がなだれ込んでくる。
国連兵はアサルトライフルの弾をばら撒きながら
何としてもシンジを射殺しようと追ってくる。
『初号機のプラグと第2格納庫の隔壁を一時解放!』
「うおぉぉぉッ!」
ガシャァン!
「ハァ…ハァ…辿り着けた…っ」
『よくやったわシンジ君!エヴァ初号機起動開始!』
すんでのところでケイジ内へ滑り込み、シンジは初号機へ
飛び乗った。
『全安全装置、全拘束具解除!』
既に起動に必要な作業はほとんど終わっているため
あとは初号機を起動させるだけである。
『…シンジ!派手にやってこい!』
「うん!…エヴァ初号機、強制発進しますッ!」
父からの声を受け、シンジが初号機を起動させる。
「遅かったか!うわあっ!?」
「紫も手遅れだ!クソッ…撤退するぞ!」
初号機の周りに"置かれているだけ"となった拘束具を
周辺の壁ごと派手にぶっ壊して発進する。
先程まで自分を殺そうと追ってきていた国連軍兵の事は
意図的に巻き込むことこそしないが構いもしない。
エヴァへも果敢に銃を撃っていた男たちが何人か
瓦礫の中へ消えていった気がするが、今のシンジに
それへ構っている余裕など無かった。
『監視衛星がエヴァ輸送機を捉えました!数は9!』
──
NERV本部目指してやって来ていたのだから。
──つづく。
原作では戦自1個師団が投入されていましたが
本作ではUN+戦自で約3個師団が攻め込みました。
その数実に3倍。原作のままならアウトでした。
「部隊単位と人数が合ってねぇよ」とかあったら
こっそり教えてください。直しときますので。
──ついに始まったNERVとSEELEの最終決戦!
シンジ達の前に立ち塞がる9機のエヴァ
戦いの最中に投入される新たな犠牲たち
果たしてシンジ達は明日を手にする事が出来るのか!?
次回「Beginning of the End」!
この次も、サービスサービス♪