新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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天才少年シンジ君、ついに最終回です!

今まで約1年と1ヶ月、長い間のご愛読
本当にありがとうございました!
お気に入り、感想、評価をして下さった方々
完走する気力をありがとうございます!

では、どうか最終回をお楽しみ下さい!



エヴァンゲリオン

 

 

 

「レイは……っ…やらせないッ!!!」

 

 

 

グググッ…

 

───初号機は再び立ち上がった。

 

 

 

『動いてる…?!活動限界の筈なのに…』

 

──その双眸に赤い輝きを宿して。

 

『暴走?』

 

『分からないわ…』

 

再び動き出した初号機に、ミサト達発令所の面々も

6人のエヴァパイロット達も目を奪われる。

 

「………」

 

それは量産機達もオップファータイプ達も同じであり

その視線を初号機へと注ぐ。

 

 

ズゥン…ズゥン…

 

立ち上がった初号機はゆっくりと歩き始める。

光を失っていた蛍光グリーンの部位が真紅に輝き出し

頭上には零号機と同じエンジェル・ハイロゥが現れる。

 

 

 

──ビギュオンッッッ!!!

 

1機のオップファータイプが怪光線を放った。

 

 

「ッ!」

 

キィイィィーーーンッ!!!

 

初号機は残っていた右腕を前へ向けて突き出すと

虹色に輝くATフィールドが現れ、怪光線を防ぐ。

 

ビギュオンッッッ!!!

 

そして、初号機の双眸が一際強く輝き、お返しとばかりに

撃ってきたオップファーへ怪光線を撃ち返す。

撃ち返されたオップファーもATフィールドを展開したが

それを紙っぺらの様に引き裂いて光線が命中

オップファーの胴体をゴッソリと持っていく。

 

「シンジ…」

 

「レイは僕が守る。絶対にッ!」

 

レイの無事を確かめたシンジは、失った左腕へ意識を

集中させ、その腕をATフィールドの塊で再生

それを零号機の近くにいた別のオップファータイプへ

凄まじい勢いで撃ち込んだ。

 

 

「やっと分かったよ…"エヴァ"の倒し方!」

 

シンジはすぐそばに居た量産機へと近付くと

フィールドで再び生成した腕をその胴体へぶち込む。

 

バキンッ!

 

「エントリープラグ!?」

 

「なるほど~そういう事ね、ワンコ君」

 

初号機は引きずり出した量産機のエントリープラグ(赤色のプラグ)

グシャリと握り潰したのだ。

 

プラグを砕かれた量産機は胴体に風穴が開けられたまま

二度と動き出すことは無かった。

 

そう、今戦っている相手は使徒ではなくエヴァ。

いくらでも傷を再生する能力があったとしても

それを操作する存在(パイロット)が居なくなってしまえば

仮に再生しようとも動く事は出来ない。

 

 

「やってやるわッ!」

 

「反撃開始や!このウナギっ!」

 

 

 

覚醒したエヴァ初号機の戦闘能力は凄まじく

オップファータイプの強力な光線を気にも留めず

光線とATフィールドの塊で次々と敵エヴァを破壊する。

 

「くらえッ!」

 

「…当てる!」

 

「シンジ君の邪魔はさせないよ」

 

初号機と零号機、Mark.06の覚醒エヴァ3機は

オップファータイプ4機を相手にしてもまだ

他の量産機にまで目を向ける余裕があった。

 

「ひとつめ!」

 

アスカがダウンした敵エヴァのプラグを握りつぶす。

シンジと同じく胴体をぶち抜いて破壊したその姿は

まるで鬼神のようだった。

 

「すまんな…ワシらは勝たなあかんのやッ!」

 

続けてトウジも量産機のプラグを1本破壊した。

トウジの瞳にも彼女(ヒカリ)を守るという強い意思が宿っている。

 

「はいはい~大人しくしててにゃ~」

 

マリが量産機の背中にパレットライフルをねじ込んで

機体に刺さったままのプラグを破壊する。

 

 

 

 

 

「よし、これで終わりだ」

 

初号機が最後のオップファータイプのプラグを

握り潰した。

 

「…酷い光景ね」

 

全身の様々な部位を千切られ吹き飛ばされ、量産機と

オップファータイプ達は無残な姿で地に転がる。

 

辺りには無数に飛び交った光線の余波で出来た火の海と

敵エヴァから飛び散った大量の体液が散らばり

一種の地獄絵図のような有様となっていた。

 

『敵性エヴァ、生体反応無し!』

 

「終わったのね…」

 

日向によってもたらされた、敵エヴァの殲滅完了報告に

アスカが安堵の声をこぼす。

 

SEELEとNERVの決戦はNERVに軍配が上がったのだった。

 

 

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

「さぁ…時が来たね」

 

「やろう、カヲル君」

 

SEELEとの決戦は終わりを告げたが、シンジ達にはまだ

やるべき事が残っている。

 

「レイ。アスカも」

 

「分かった」

「あたしに出来るかしら…」

 

ジオフロントの中央に、初号機と零号機、そして2号機と

Mark.06が集まった。

 

零号機はロンギヌスの槍を、Mark.06はカシウスの槍を

手に持ち、初号機も含めて頭上に光輪を浮かべている。

 

 

「僕達で世界を直すんだ」

 

シンジの宣言で、零号機とMark.06が手に持つ槍を

交差させるようにして掲げる。

そして、初号機と2号機が掲げられた2本の槍へ

それぞれ手を添えた。

 

「示そう!僕らの"意志"を!」

 

「みんなと…生きていきたい!」

「そうね…あたしもそんな世界が良いわ!」

「…僕らの槍をひとつに!」

 

 

4機のエヴァが槍へ祈りを、自分たちの意志を捧げると

ロンギヌスの槍とカシウスの槍はふわりと浮き上がり

捻れるようにして1本の槍(ガイウスの槍)へと変形していく。

 

中心の白い槍を軸に、両側の赤と青の槍が絡み合う

3本の槍をまとめたような形状の槍へと変化する。

 

「これが…!」

 

「僕達の意志の槍……ヴィレ(WILLE)の槍ってとこかな」

 

シンジ達の意志を神へと届ける、"奇跡"を起こす槍。

 

 

 

「いくよ…!」

 

ゆっくりと降りてきたヴィレの槍をシンジ達は掴む。

 

 

ヴィレの槍を掴んだエヴァ達が一斉に覚醒し

2号機の頭上にも光輪が浮かぶ。機体色は4機とも

全身が眩いばかりの純白へ変化していく。

 

 

 

 

 

「世界の再生が始まる…!」

 

エヴァから降りてその光景を眺めていたマリが

いつもの語尾も忘れて4機へ視線を向けた。

 

「シンジ君…頑張るのよ」

 

「ユイ、シンジを頼む…!」

 

リツコやゲンドウ、そして日向や青葉らオペレーター勢も

本部内での戦闘や後始末などが粗方片付いたため

最低限必要なものを手にジオフロントへとやって来た。

 

 

「綺麗やな…」

 

「そうね」

 

同じくエヴァを降りていたトウジとヒカリも

無意識に手を繋ぎながらシンジ達のエヴァを眺める。

 

 

「翼…15年前と同じ!」

 

そして、上空へと上がった4機のエヴァは背中から

一斉に輝く光の翼を広げていく。

 

ミサトだけがその光景をかつて眺めたことがある

始祖が神としての力を解放した時(セカンド・インパクト)の翼。

人の域に留めておいたエヴァ達がその呪縛を解き

エネルギーの凝縮体(神に近い存在)へと姿を変えていく。

 

「セカンドインパクトの続きではなく──」

 

「…シンジ君達の願いを叶えるために!」

 

日が傾き出した空に煌々と輝く16枚の翼が広げられた。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「あたし、今なら何でも出来そうな気がするわ」

 

「僕らは今始祖そのものだからね」

 

シンジ達は、地球と月が背景に浮かぶ不思議な空間に

生まれたままの姿で浮かんでいた。

ここは、神そのものとなったエヴァの中に広がる世界。

 

かつてシンジが初号機の中でLCLへ溶けた時のように

4人の魂とでも言うべき存在だけがここにいる。

 

 

 

「でも…私たちの記憶だけでは不完全」

 

世界の再生を行うには、その世界の姿を思い描く必要が

あったが、シンジ達はセカンドインパクト後に生まれ

それ以前の世界を知らなかった。

 

「──なら、知っている人たちを呼べばいい」

 

「呼べるの?カヲル君」

 

その人を知っているなら呼べるさ、とカヲルは言う。

4人は始祖そのものであるため、自分たちが知っていれば

その人物の魂──もとい意識をここへ呼ぶことなど

造作もない事である。

 

 

「………っ!?シンジ君?」

 

「ミサト?ここは一体…」

 

シンジ達が目を閉じその姿を思い浮かべると

次々と見知った人たちが呼び出されていく。

ミサトが、リツコが。

 

「…父さんの力が必要か?シンジ」

 

「私が教鞭を振るっていたのはだいぶ昔の事だぞ…?」

 

ゲンドウが、冬月が。

 

「葛城も呼ばれたのか」

 

「私も手を貸そうシンジ博士!」

 

加持が、時田が。

 

セカンドインパクト前を知る大人たちが呼び出された。

 

その記憶を元に地球は本来あるべき姿を取り戻していく。

捻じ曲げられてしまった地軸が、浄化された南極が

何もかもがセカンドインパクトの無かった世界の姿へと

生まれ変わっていく。

 

 

 

「リナと分かり合えたなら、きっと──」

 

「綾波さんは優しいね…僕も力を貸すよ」

 

レイは手元に槍を呼び出し、自らの体を貫いた。

始祖たる者が槍で自らを貫く時、ガフの扉は開き

そこに眠る魂たちを出入りさせる力を得る。

 

「サキエル、シャムシエル、ラミエル──」

 

「ガギエル、イスラフェル、サンダルフォン──」

 

神の使いたる残酷な天使たちが再び舞い降りる。

 

「リウェト、サハクィエル、シャルギエル──」

 

「レリエル、バルディエル、ゼルエル──」

 

アダムとリリスが手を取りあったことで

いつかどちらかが滅ぶ運命にあった2つの種族(人類と使徒)

同じ姿で(人間として)手を取り合う。

 

「君で最後だね、アラエル」

 

アダムはそれと同義となる存在タブリス、もといカヲルが

リリスもその肉体を取り込み一体化したレイがおり

アルミサエルも一足先に人と分かりあっているため

残酷な天使たちはアラエルで最後だ。

 

 

 

「………最後の仕上げだね」

 

シンジは、この儀式の締めを宣言する。

 

──世界をあるべき姿へと戻し、天使たちと分かり合い

その役目を終えたある存在を眠らせる事を。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「…これからどうなるんでしょう?」

 

4機のエヴァの上空に広がった巨大な虹色の輪(ガフの扉)を見上げ

マヤがポツリとそう呟く。

 

「さあな。シンジ君達にしか分からんさ」

 

「ですよね…!」

 

青葉の言った通り、この現象が一体何のためのもので

これからどうなるかはシンジ達にしか分からない。

 

だが、彼らなら「世界を再生する」との宣言通り

セカンドインパクトで傷ついたこの世界を

癒してくれるだろう、とマヤは確信していた。

 

 

「……っ…いよいよ、始まるわね」

 

「葛城さん!?大丈夫ですか?」

 

意識を失っていた(シンジ達の元へ行っていた)ミサト達も目を覚ました。

 

気絶していた6人は目を覚ますと揃って空を見上げ

4機のエヴァへと視線を注ぐ。

 

 

「…!?エヴァが!」

 

「引き寄せられていく!?」

 

すぐ近くに待機させていた3号機、4号機、5号機と

ジオフロントに転がる量産機達、オップファータイプの

残骸も輝きを放ちながら空へと浮かび上がった。

 

「…やってるの、シンジ君達ですよね」

 

マヤの推測通り、エヴァとその残骸達は遥か上空で

尚も輝きを放つ4機のエヴァへと引っ張られていた。

 

その効果は地球全体に及び、世界中からエヴァの素体や

LCLなどがジオフロント上空へと集っていく。

 

 

 

「──形状制御のリミッターが消失!」

 

「…来るわよ!」

 

エヴァがより一層輝きを強めたかと思ったその瞬間

それらは光り輝く花火のようにLCLとなって弾けた。

 

 

「綺麗ですね…!」

 

「あぁ」

 

キラキラと金色に輝く光が空一面へと広がっていき

それがゆっくりと地球全体へと降り注いでいく。

まるで、世界が祝福されていくかのように。

 

 

 

そして───

 

 

 

「誰か降りてくるっ!」

 

エヴァが飛んで行った上空から、巨大な影がひとつと

小さな人影が数十人降りてくる。

その人影は4人の少年少女を先頭に、13人の子供たちと

多くの女性たちを連れてゆっくりと降下してきていた。

 

 

 

「──あれはッ!」

 

そしてその人影の中に求めてやまなかった人の姿を

見つけたゲンドウが歓喜の声を上げる。

 

「あなたっ!」

 

「ユイッ!ユイ~ッ!」

 

 

 

「ただいま、父さん」

 

碇シンジ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー

渚カヲルのエヴァパイロット4名と

碇ユイや惣流・キョウコ・ツェッペリンを初めとする

エヴァのコアに宿っていた母親達が帰還を果たしたのだ。

 

 

「あぁっ!あぁ!よくやったぞシンジぃっ!」

 

「わっ、父さん!嬉しいのは分かったからっ!」

「あなた、シンジが困ってますよ…!」

 

ゲンドウはユイとシンジを抱きしめながら

人目を気にせず大粒の涙を流して号泣した。

 

 

「改めて…やっとこっちでも会えたわね」

 

「ありがとうね~アスカちゃん♪立派だったわよ」

 

地面へ降り立った惣流母娘も感動の再会を果たす。

母キョウコに愛おしそうに抱きしめられるアスカも

平静を装ってはいるが、目元に嬉し涙が浮かんでいる。

 

 

「レイお姉さま~っ!おかえりなさいっ!」

 

「うん。ただいま、リナ」

 

無事に帰ってきた愛しの姉の胸元へリナは飛び込んだ。

離れていたのはそう長い時間では無かったとはいえ

やった事が事なだけにリナはレイの無事を喜ぶ。

 

 

「僕たちも…地球で生きていけるんですね」

 

「そうさサキエル。シンジ君たちのおかげだね」

 

カヲルと同じ位の年頃の銀髪の少年が嬉しそうに呟いた。

後ろに立つ12人の兄弟達と共に、アダムとリリスの力で

新生を果たした少年サキエルである。

 

滅びの運命から解き放たれた喜びを感じつつ

サキエルはそっと大地を踏みしめた。

 

 

 

そして、巡る月日がひとつの節目(新年)を迎えた時──

 

 

 

「…冷たっ!」

 

シンジの頬には、綺麗に白く煌めくものが付いていた。

 

「雪…だわ」

 

「ふぅん…やっぱり綺麗ね」

 

15年前、日本の季節から夏以外が全て奪われて以降

1度たりとも日本では見かけることの無かった、雪。

 

アダムとリリスの取り合った手で鳴らされた福音は

白く煌めく雪となって、今を生きる全ての子供たち(アダムとリリスの子供たち)へと

届けられていく。手を取り合った全ての子供たち(人類と使徒)へと。

 

 

 

 

 

「………今までありがとう」

 

号泣するゲンドウから解放されたシンジは

自分たちと共にジオフロントへと降りてきた

1体のエヴァへ感謝の言葉を投げかける。

 

これまで幾度となく死線を潜り抜けてきた相棒にして

もう1人の母とも言える存在、エヴァ初号機。

 

「またいつか…僕らを守ってくれると嬉しいな」

 

人類の生きた証を永遠に残しておきたいという

母の願いを叶えるため、いつか遠い未来人類の前に

新たな脅威が現れた時に彼らを守るために

たった1機だけ残されたエヴァが初号機だった。

 

「──おやすみ、エヴァ初号機」

 

それを最後に、エヴァ初号機はそっとその瞳を閉ざした。

その手にシンジ達の意志(ヴィレの槍)を抱きながら。

 

 

 

 

 

「全ての人たちへ、エヴァンゲリオン(福音)を──」

 

シンジは空を見上げ、そうとだけ告げると

エヴァ初号機の元を後にした。

 

 

 

 

 

──時に、西暦2016年。

 

運命から解き放たれた少年達は新たな道を歩み始める。

手を交わした残骸な天使たちと共に。

 

 

 

 

 

──天才少年シンジ君 FIN





はい、これにて「天才少年シンジ君」は
一旦の完結となります。
ですが、このあとも後日談もとい続編として
まだまだ物語は続いていく予定です。

今回出した"槍"、登場経緯が原作とだいぶ違いますが
訳あってこの形で登場させたかったので…
そこはどうかご容赦ください。

──裏タイトル「使徒、新生」



SEELEとの決戦を制した碇シンジ達は
新生した使徒達と共に幸せな生活を謳歌する。
しかし、そんな生活に再び魔の手が迫る──
突如行方を晦ませた渚カヲル
再び目覚める望まれぬ福音たち
大きく成長した碇シンジ達は幸せな生活を
再び手にする事が出来るのか!?

次回「シン・天才少年シンジ君」!
さぁてこの次も…サービスサービス♪
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