新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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新章開幕でございます!

と、その前にCVの変更のお知らせをば。
碇シンジ→神木隆之介氏
???→緒方恵美氏
???→林原めぐみ氏
綾波レイ→沢城みゆき氏

レイさんのCVに関しては、鈴原サクラと
クラピカを足して2で割った様な声を
想定しています。

以降は基本独自ストーリーなのでね…
合う合わないがきっとありますし
行き詰まって打ち切りになる可能性も
少なからずあります。ご了承下さい。



シン・天才少年シンジ君
始まり、再び


 

 

 

──旧ジオフロント。

 

神奈川県箱根町、かつて旧第三新東京市が存在した場所に

ポッカリと空いた大穴の底にあるドーム状の窪地。

 

雪が降り積もり真っ白になったジオフロントを

一台の車が、マツダのセダン(MAZDA6 SEDAN)が駆け抜けていく。

 

 

 

「さて、もうすぐZUKUNFT本部だ」

 

そのセダンを駆るのは、17年前に使徒との戦いに於いて

エヴァンゲリオンを操り世界に福音をもたらした

世界中が知る英雄「碇シンジ」である。

 

彼は今、解体された特務機関NERVの後継組織となる

地球環境保全機関「ZUKUNFT(ツークンフト)」の本部所長を務めており

ジオフロントにあるその本部施設へと向かっていた。

 

「…ここへ来るのも久しぶりだわ」

 

車窓に写ったZUKUNFT本部をチラリと見て

助手席に座っていた水色髪の女性が微笑みを浮かべる。

 

名を「碇レイ」といい、碇シンジと同じく17年前に

エヴァンゲリオンを駆って使徒と戦った英雄の一人。

今は働き詰めの夫シンジを支える専業主婦である。

 

「お母さんの昔の職場かぁ…」

 

「お父さんのエヴァを早く見に行きたいわ!」

 

後部座席で「ようこそ ZUKUNFT江」と書かれた

パンフレットを読みながら期待に胸を膨らませるのは

碇シンジ・レイ夫妻の子供たち。

 

少しばかり内気な、右目の赤い少年「碇レン」と

レンの妹で芯の通った、左目の赤い少女「碇シイ」だ。

どちらも髪色は茶髪で、所々にダークシアン色が混ざる

天然メッシュである。

 

 

 

「よし、着いたぞ!」

 

シンジ達の前にそびえ立つのは、NERV本部の象徴であった

巨大なピラミッド状の建物、現ZUKUNFT本部だ。

 

 

 

「やァシンジ所長、待ってたぞ」

 

「所長はやめてくださいってばリョウジさん」

 

シンジ達一行を出迎えたのは、無精髭が特徴の壮年の男

ZUKUNFT本部が進める「ノアの方舟計画」の

種子保存プロジェクト担当者「加持リョウジ」だ。

 

「君達がレン君シイちゃんだね?」

 

加持はレンとシイの頭をわしゃわしゃと撫で回す。

子供達2人と加持が顔を合わせたのは今日が初だが

加持曰く「意志を秘めた様な目」が気に入ったらしい。

 

「──それじゃ、案内するよ」

 

「はい…!」

「行きましょ!」

 

今回シンジが子供達と共にZUKUNFT本部を訪れた理由は

子供達から「エヴァが見たい」とせがまれたからだ。

どうせならそれを見るついでに本部周辺の施設を

いくつか見て回ろうという運びとなったのだ。

 

これから向かうエヴァンゲリオンの居る場所は

基本的には一般公開はされていないエリアとなる。

そのため、乗ってきた車からZUKUNFTの官用車へ乗り換え

改めて目的のエリアへと向かう。

 

 

 

「──17年振りだね、相棒」

 

「あれが…!」

「お父さんの?」

 

少し車を飛ばし、ジオフロント内の湖近くに

見えてきたのは80m程もある紫色の巨大ロボット。

 

独特な形の槍(ヴィレの槍)を両手で持ち片膝をついた姿勢で

眠っているこの巨人こそ、17年前にシンジ達が使徒との

戦いで乗っていた「エヴァンゲリオン」、その初号機だ。

 

「これが"ラスト・エヴァ"かぁ…」

 

「カッコイイわね…!」

 

たった1機だけ残されたエヴァンゲリオンということで

ラストエヴァとも呼ばれている。

 

「でも動かせるのってお母さんと──」

 

「渚さんって人だけなのよね?」

 

世界に福音をもたらしたこの最後のエヴァは、17年前に

眠りについて以来長いこと目覚めていない。

コクピットハッチが開かず電源も充電出来ない

外部からの信号なども受信しないという状態なため

誰も動かすことが出来なかったのだ。

 

「そうよ。動かすつもりは無いけれど」

 

そして、その非常に数少ない例外というのが

シンジの妻碇レイと、元エヴァパイロットの一人

現在ユーロにいる渚カヲルという人物の2人だけだった。

 

「お父さんは動かせないの?」

 

「…僕も乗る気が無いだけさ」

 

レンの問いにシンジは「乗らないだけ」と答えた。

事実今のシンジに初号機は動かす事は出来ないが

仮に動かせたとしてももう乗る気は無い、として。

 

 

「なぁレン君達、イチゴでも食わないか?」

 

丁度八つ時(2時頃)、小腹が空く頃だろうと、加持が子供達を

いちご狩りに誘う。

 

「ジオフロントにあるの?」

 

「ぜひ食べたいわ!」

 

如何にも研究施設の集まりという雰囲気のジオフロントに

果たしてイチゴのビニールハウスなど有るのか?と

疑問に思うレンだったが、妹シイと両親にも誘われ

隠されたイチゴ農園へと向かうことにした。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「あれが俺たちの『葛城農園』さ」

 

「ホントにあった…すごいや」

 

初号機の元から再び車を飛ばすこと十数分。

ジオフロント内で少し小高い丘になっているエリアに

レンの想像より遥かに広大な「葛城農園」はあった。

 

この農園は加持が趣味で育てていたスイカの畑を

ZUKUNFT創設時に研究や種の保存を兼ねた栽培場として

大規模に拡張したものだ。

 

「やっほ~レン君♪」

「やぁレン君、父さんに誘われたか?」

 

「加持ミサトさん!コウキ先輩も来てたんだね!」

 

農園でレン達を出迎えたのは、凛々しさの残る黒髪の女性

「加持ミサト」とその一人息子「加持コウキ」だ。

 

加持ミサト、もとい葛城ミサトはNERV本部戦術作戦部に

務めていた人物で、エヴァパイロット達のまとめ役として

使徒との戦いに大きく貢献した女性。ミサトは今は

職から身を退き、第三新東京市で家族と生活しつつ

頻繁に葛城農園へ足を運んで農作業に勤しんでいる。

 

そして、使徒との戦いの1年後にリョウジ・ミサト夫妻の

間に生まれたのが加持コウキ。今は学業の合間を縫って

父親の管理するこの葛城農園の手伝いをしている。

 

 

「美味しそうに育ってますね」

 

「この辺はね、あたしが世話してるのよ」

 

シンジが手に取ったイチゴの株には「ミサト」と書かれた

タグが巻き付けられていた。形は少し不格好だが

皮には張りツヤがありしっかりと赤色に染まっている。

美味しいイチゴの証拠だ。

 

「コウキ先輩が育てたモノもあるんですね!」

 

「あぁレン君。きっと美味しいから食べてみてくれ」

 

タグの中には「加持」や「コウキ」と書かれた物は勿論

「赤木」や「マコト」、「青葉」など十数名分の名前が

含まれており、この葛城農園がいかに愛されているかが

よく分かる。

 

 

「お、サキエル君もここに居たんだね」

 

「碇所長!お久しぶりです」

 

シンジは、モスグリーンの農作業着を身につけた

銀髪の青年へ声を掛けた。

 

彼の名は「サキエル」。17年前にNERVへ所属した

特殊な能力を持つ13人の「エンジェルズ」のうちの一人で

そのまとめ役を請け負っている人物だ。

 

「僕の作物達、ちゃんと実ってくれたんですよ」

 

頬に付いた土を払い落とし、笑顔を浮かべたサキエル。

イチゴの他にも白菜やほうれん草など様々な作物へ

手から生み出した水を撒きながら、とても嬉しそうに

最近の収穫まとめをシンジへと見せる。

 

「うん、去年よりだいぶ量も質も良くなってるね」

 

「生きてるって感じがして楽しいですから」

 

ダイコンを掘り起こしながらサキエルは呟く。

曰く、ゆっくりと育つ植物達の成長を確かめる時間が

地球と共に生きている感じがして好きだとのこと。

 

 

 

「サキエル兄さん、野菜余ってる?」

 

「アラエルか。それならこっちに──」

 

レン達が丁度イチゴを食べ終えた辺りで、葛城農園に

一人と一羽の訪問者が訪れた。

 

「ん、ありがと」

 

地に足をつけずにフワフワと飛行し、その胸元には

赤いトサカを持つ(チャボ)を抱きかかえる銀髪の小柄な女性。

 

「あ…え…ニワトリ?!」

「ニワトリだよね?可愛いわ!」

 

生きたニワトリを直接目にした事の無かったレン達は

目を丸くして驚いた。

 

「そうだよ。可愛いでしょ」

 

静かにコケコケと鳴くチャボを抱えているのは

サキエルと同じくエンジェルズのメンバーの一人

「アラエル」。

 

ここZUKUNFT本部で心理学や精神医学の研究を行いつつ

趣味としてジオフロントの葛城農園のそばで

数多くの鳥たちを飼っている女性だ。

 

「これが今月の余りになるやつ」

 

「相変わらずいい品質。皆喜ぶよ」

 

アラエルがここを訪れた理由は、葛城農園で生産された

野菜のうち余ってしまうものを引き取って

鳥たちのエサに再利用するためだ。

 

 

 

「ここ、研究施設よね?お父さん」

 

「間違いなくそうだよ」

 

シイは疑問に思っているが、光景としてはほのぼのだが

生産した野菜や果物の一部は種子や苗の保存施設へと

運ばれ、ノアの方舟計画の一環で管理されている。

 

また、アラエルの飼っている鳥達も一匹一匹にキチンと

足にタグが付けられており、飼育環境の調査や

品種存続のための研究に活用されているのだ。

 

「それじゃあ今度は"水族館"に行こうか」

 

「えっ!?まさか…そんなのあるの?」

 

シンジは、今度はZUKUNFT本部施設の中にあるという

水族館へレンとシイを招待すると言った。

 

「サキエルも用事あるだろ?」

 

「えぇそうですね。…また泳いでるんだろうか」

 

レン達はますます混乱する。水族館が本当にあるなら

魚たちは水槽の中を泳いでいるのが当然だろう。

しかし、自分達に続けて車に乗り込んだサキエルは

それが問題事かのように心配をしている。

疑問に思いながらも、レン達は葛城農園を後にした。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「本当に水族館だわ…!」

 

「ちょっと無骨だけど、凄いね」

 

無数に並べられた水槽の中で魚達が泳ぐ姿に

シイもレンも心を奪われる。

 

温度、塩分濃度、酸素濃度、対流速度などが

全て厳密に管理された水槽の中で、魚達が生き生きと

とても元気そうな姿で泳いでいたのだ。

 

確かに、無骨ながら水族館とも言えるだろう。

 

「水棲生物保存プロジェクト、専用区画だ」

 

世界中のあらゆる水場に暮らす生物達を飼育する区画で

こちらもノアの方舟計画の一環で管理されている。

 

日本とその近海に生息する水棲生物はどこかしらの水槽に

最低でも一組以上のつがいで飼われているのだ。

 

「シロナガスクジラも居るんだ!?」

 

「勿論。こっちはジンベエザメの水槽だよ」

 

シンジは慣れた足取りで区画を案内していく。

 

そして、ここの担当者が──

 

 

 

「よォサキエル!待ってたぜ!」

 

「全く…君って奴は…!」

 

レン達はサキエルの言っていた意味を理解した。

金髪オールバックの男が、普通の水着だけを着て(スキューバ等も無しに)

巨大な水槽の中で魚達と戯れていたのだ。

 

息継ぎもせず、彼から魚達が逃げていく様子も無く

彼はまるで元から海に生きる人魚(マーマン)かのように

楽しそうに水槽の中で泳いでいた。

 

「ガギエル!魚が好きなのは分かるけれど──」

 

「この水槽は今水質固定じゃねぇんだからいいんだよ」

 

ザバッと音を立てて水槽から上がってきたこの男こそ

エンジェルズの一員にしてこの区画の担当者を務める

「ガギエル」だ。

 

金色のベリーショートヘアをオールバックにし

肌も小麦色に焼いているという、エンジェルズにしては

非常に変わった出で立ちがガギエルの特徴である。

 

「群れの変化は今まで通り。個体数も纏めてあるぜ」

 

「仕事は真面目なんだもんな…はぁ」

 

ガギエルは「個体数の変化に伴う繁殖行動の変化」と

銘打たれた書類をバインダーに挟んでサキエルへ手渡す。

 

彼はパッと見の外見は不真面目だが頭は切れる男で

書類の提出期限などはしっかりと守った上で遊んでいる。

あまり煩く口出し出来ないという意味ではガギエルは

中々に厄介な男でもあった。

 

 

「俺はまた泳がせてもらうぜ!」

 

「あっ!ちょっ…待てっ!」

 

バシャァーンッ!

 

ガギエルは余程の魚好き、そして余程の泳ぎ好きであり

休みの日には日本各地の海へ出向いては泳ぎ、そして

海洋生物を何匹も捕獲して此処へ連れて帰ってくるのだ。

 

目の前の水槽にいる魚達の多くも、実を言うとガギエルが

連れ帰ってきた魚達の子孫に当たる。

 

 

「凄いのね、お父さんの職場」

 

「何でもあるんだね。すごいや」

 

非常に"濃い"父シンジの職場に、レンもシイも

少しばかり語彙力が溶けてしまう位には驚いていた。

 

 

 

ピリリリッ…ピリリリッ…

 

「はい。レイです…分かりました」

 

レイの携帯に一本の電話が掛かる。

発信元には「赤木」の文字。

 

「──船を見にこないか、だそうよ」

 

電話相手の赤木という人物がレイへ伝えたのは

地下で建造中のとある"船"をレンとシイにも

見せに来たらどうだ、との持ち掛けだった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

──ZUKUNFT本部第1層、超大型特殊ドライドック。

 

 

 

「すごい…これもお父さんの仕事なの?」

 

「そうだよ。どうだい?レン、シイ」

 

第3層付近にあった水棲生物の保存区画から階層を上がり

第1層と第2層の殆どを占める区画へやってきた

レンとシイの目に飛び込んできたのは、1km以上も続く

巨大すぎる工場のような区画そのものだった。

 

「何を…作ってるの…?」

 

この区画で一体何を作っているのか、大きさが余りにも

巨大過ぎてレンとシイにはイメージが湧かなかった。

 

 

「あら碇所長。右舷第2船体は粗方仕上がったわよ?」

 

「だからリツコさん、所長は……了解です」

 

金髪ベリーショートに白衣が特徴的な女性が

シンジ達一行を出迎える。ZUKUNFT本部技術開発部所属

「赤木リツコ」博士だ。

 

リツコはレンとシイを案内しながら、ここで建造中の

船について説明をしていく。

 

 

「貴方達のお父さんが中心となって作り上げた

究極のスペース・アーク、その1番艦よ」

 

[WunderClass SpaceArk Wunder]

 

レンとシイの目の前で建造が進められていたのは

ZUKUNFTが誇る全長2kmを超えるスペース・アーク

「ヴンダー級スペース・アーク1番艦 ヴンダー」だった。

 

 

 

──つづく。





原作完結から17年後を起点とする新ストーリー
Qやシンの要素も取り入れた私なりのエヴァ
「シン・天才少年シンジ君」開幕です。

今回出てきた"船"については次回以降で。

シンジ達の子供の名前は、2人から1文字ずつ
持ってきて「レン」と「シイ」にしました。
加持リョウジ少年は名前そのまんまだと
親父と被っちゃうので、中の人から取って
「加持コウキ」としました。

エンジェルズもある程度キャラ付けをして
しっかりとストーリーに介入して行きます。
今回はサキエル君、アラエルちゃんと
ガギエル君でした。

シンジ君の車にMAZDA車を選んだ理由としては
その車のナンバーを『20-22』と想定している
とだけ言っておきます。

追記:8万UA、お気に入り1000件、総合評価1400突破
本当にありがとうございますっ!
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