新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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今回ちょっと視点変更が多めです。
見づらかったらごめんね。
ある人物をここのストーリーに組み込んだら
こうなってしまったんや。


絆のナイフ

「シンジ君、操縦訓練の調子はどう?」

 

『順調です。基本的なことは頭に叩き込んでありますし

その他細かいこともあとは慣れですから。』

 

シンジ君から返ってきた回答にリツコは感心する。

エヴァに触れ始めてからまだ1ヶ月も経っていないのに

既に基本操作はマスターしているのだ。

さすがはゲンドウ・ユイ夫婦の息子と言えよう。

 

「それと。学校の方はどうなの?」

 

私生活の面も聞いてみると、もう既に友人がいるとか。

ミサトからも特に問題は起きていないと聞いていたので

さぞかし良い学校生活を送っているのだろう。

彼の目付きは戦闘訓練をしているだけあって鋭いが

その表情自体に緊張感などは見られない。

 

『そこだ!当たれぇっ!』

 

「総合的な命中率は7割ほど…悪くない数字ね」

 

仮想空間で行われる戦闘はシンジ君が有利だ。

使徒のデータはサキエルを元にしたものしかないが

なめらかな足さばきで敵の攻撃をかわし

パレットライフルの弾丸を叩き込んでいる。

 

「それじゃあこの辺で武器を切り替えましょう。

次はガトリング砲を撃ってもらうわ。」

 

『了解です。』

 

ガトリング砲の命中率はざっと5割強。

反動に慣れてくるとパレットライフルの時と

さほど変わらない命中率をたたき出す。

 

「ところでシンジ君、あなた戦いは怖くないの?」

 

戦闘の様子を見たミサトが割り込んでくる。

戦うことに恐怖が無いのかはリツコも気になっていた。

わずか14歳の少年、しかも当然戦闘経験などないだろうし

やっぱり乗りたくないと言う可能性も想定にあった。

 

『あー、怖くないって言うと嘘にはなりますけど…

ミサトさん達のバックアップがあるのは

十分分かってますからね。安心は大きいですよ。』

 

「そっか。信頼には答えなくちゃね、リツコ!」

 

「そうね、頑張りましょ。」

 

2人はシンジが信頼を置いてくれていることを受け

気合いを入れ直した。

この後控える武装開発会議にはシンジ君を呼んでいる。

彼はエネルギー学や量子力学なども得意と言っていたし

特に武装開発は彼が本領発揮できる場だろう。

リツコは楽しみで仕方なかった。

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

「まだ設計段階ですけどね。N2リアクターの設計図です。

僕だけじゃ小型化がどうも上手くいかないくって…」

 

シンジ君に見せてもらったN2リアクターの設計図は

かなりしっかりと書き上げられていたものだった。

エヴァと同スケールで作れば十分稼働しそうだ。

そこにエヴァのケーブル接続口へと取り付ける

バックパックタイプへ改良するための考察メモが

そこらかしこに書き記されている。

 

「凄い設計図ね…NERVでもこれを元に作ってみるわ。

実現できればエヴァの稼働時間が実質無限化できる…

素晴らしい案をありがとうねシンジ君。」

 

「どうもありがとうございます。計画中の武装の

設計図を見せてもらってもいいですか?」

 

「いくつかあるけど…こんなところかしら」

 

シンジ君に手渡したのは「全領域兵器マステマ」を含め

5つの武装の開発案。まだどれも設計が仕上がっておらず

開発に手が着いていないものだ。

 

「ポジトロンライフルの開発は僕も全力を尽くしましょう

丁度欲しかったんですよ、高火力の遠距離武装が。」

 

まさかの全面協力を約束してくれた。

それとは別でシンジ君から近接戦用のショットガンと

プログナイフより大きめの近接武器を要求された。

エヴァの基本運用コンセプトからして必須だ、と。

近接武器には試作してあったプログダガーを

正式に採用すると答える。

ショットガンの方も計画にはあったので

それを推し進めていけばいい。

 

そしてなにより有益だったのが腰部ウェポンラックだ。

腰にアーマーを取り付け、そこへプログナイフや

ハンドガンをマウントするというものだった。

特別重要な武装をくっ付けていなければ

装甲としても十分な機能を発揮するだろう。

エヴァという人型に鎧を着せる──

なぜいままで思いつかなかったのだろうか?

 

「あぁそうだ、あれも言っておこうと思ったんだ。

リツコさん、使徒がどうやって周囲の状況を…

もといエヴァの存在を認識しているか

調べておいて貰いたいんですよ。」

 

「確かにそれは気になるわね…何を以て敵と識別するのか

次の使徒襲来時に調べておくわ。」

 

リツコはここまでにシンジから貰った提案などを

一通りまとめてパソコンへと打ち込んでいった。

 

 

 

「とても有意義な時間だったわ。ありがとう。」

 

「いえいえ、僕も楽しかったですよ。」

 

2人でコーヒーを飲みながら休憩する。

そんな休息のひとときを終わらせたのは

使徒襲来の警報だった。

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

『いい、シンジ君。まずは様子を見るわよ!

フィールドを中和しつつガトリングの一斉射、いいわね』

 

「はいっ!」

 

『エヴァンゲリオン、発進!』

 

ミサトさんの指示でエヴァが射出される。

最終安全装置の解除を確認し近くの兵装ビルから

エヴァ用のガトリング砲を取り出す。

劣化ウランを使った弾丸なので威力はそれなりにある。

 

「ATフィールド、展開!」

 

「……………」

 

使徒は前方3ブロックほど先からスーッと空を泳いでくる

その姿はまるで海洋生物、赤いイカのような容姿をした

「第4使徒シャムシエル」だ。

 

使徒はこちらへ近づくとゆっくりと体を持ち上げ直立する

 

「一斉射撃開始ッ!」

 

そこはすでにフィールドの中和距離だ。

ダダダダダッと轟音を上げながら弾が撃ち込まれていき

使徒はみるみるうちに爆煙に包まれていく。

しかし、何の反応も無いので逆に不安になる。

使徒殲滅の報告も無いので死んではいないだろうが

不気味なのである程度距離を取る。

 

ビシュビシュッッ!!

 

「!!」

 

ムチだ。爆煙を切り裂いたのは使徒の光のムチだった。

素早く振るわれた光のムチによって

周りにあった兵装ビルはまるで紙っぺらのように

切り裂かれていた。

あれに触れればエヴァの装甲でもタダでは済まないだろう

素早く位置取りを変え何度かガトリング砲を撃つが

頑丈な表皮に阻まれているのか傷は付けられなかった。

 

「くそっ…ラチが開かないぞ、これじゃあ…」

 

『近接戦闘…ちょっちリスクが高すぎるわね…』

 

パレットライフルやハンドガンも試してみたが

やはり効き目はない。コアは使徒の顔に隠れており

銃弾で狙おうと思ったら相当の腕前が要るだろう。

今の僕の腕前ではとても狙えたものではない。

 

使徒から距離を取り銃火器を一斉射──

使徒がムチを振るいながら距離を詰める──

それを繰り返すだけだ。アンビリカルケーブルがあるため

エヴァの電源が切れることも無い。

まさに千日手な状況に追い込まれてしまっていた。

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「ちぇっ、また文字だけだ」

 

ケンスケがそう愚痴る。手元にある小型カメラには

特別非常事態宣言が発令されました、と出ている。

詳しい情報は追って伝えるとも書かれているが

前回は特にそれを知らせる報道は無かった。

 

「一度で良いから見てみたいもんだよ!」

 

「それって、上のドンパチをか?」

 

このミリタリーオタクは相変わらずだなと感じる。

強大な敵と戦う巨大ロボットというのが

男のロマンだっていうのはトウジにも理解できる。

 

「なぁ、内緒で外へ見に行こうと思ってるんだけど

トウジも協力してくれないか?」

 

「マジで言うとるんか?」

 

「あぁ、親父のパソコンをちょっと覗き見てさ

シェルターから抜け出すルートを見つけたんだ。」

 

本気で言ってるのかこのバカは…とも思ったが

トウジもエヴァの戦いには少し興味があった。

妹を守ってくれたシンジが、一体どう戦っているのか。

 

「お前ってヤツは…ホンマ自分の欲求に素直やな。

ええで、ワシもシンジの戦いには少し興味があるんや」

 

ケンスケと2人立ち上がり、クラス委員長の洞木ヒカリに

トイレだと伝えてこっそりと動き出す。

 

 

 

「はっ、はあっ、早すぎるでケンスケェ!」

 

「こっちだ!この上からなら見えるハズだ!!」

 

ケンスケを追いかけて神社の階段を駆け上がっていく。

確かに山腹にあるこの神社であれば第三新東京市を

ある程度見渡すことができるだろうが

やたらとケンスケが早い。

長く続いている階段をひたすら駆け上がっているのに

自分とこれほど差をつけて走っていくとは

趣味へ突き進むマニアの執念とは恐ろしいものだ。

 

 

 

ゴゴゴゴゴ…ガシャァン!

 

「「来た!」」

 

ついに目の前にエヴァ初号機が姿を表した!

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、早すぎるでしょあのバカたちっ!」

 

洞木ヒカリは石の階段を必死で駆け上がっていた。

怪しげに会話をしていたバカ2人を追いかけてみれば

シェルターの扉が開けられていたのだ。

近くに警備員の姿も無かったため

2人を連れ戻そうとひた走っている。

 

自分の後方では凄まじい爆音が鳴り響いているが

恐怖に震えている暇は無い。

一度飛び出して来た以上は2人を連れ戻すつもりだ。

 

 

 

「げっ、委員長!?なんでここにおるんや!?」

 

「それはこっちのセリフよ鈴原!

シェルターから抜け出して何してんのよ!」

 

トウジとケンスケを連れ戻そうとするが

特にケンスケが頑なに戻ろうとしない。

爆音は今も鳴り響いており、いつここが巻き込まれても

おかしくはない状況なのだ。

 

「ケンスケ!シンジのヤツやられ始めよったぞ!?」

 

「大丈夫っ、まだだ!」

 

後方へ視線を向けると紫色のロボットが

光のムチに翻弄され始めている。

こうなったら2人を引きずってでも連れ戻すか

そんな考えをしていた時だった。

 

「初号機がやられた!?」

 

紫色のロボット、初号機の腹部が敵の光のムチで貫かれる

敵はそのままムチを振るい、初号機が投げ飛ばされた。

 

「こっちへ飛んで来るで!?」

 

その飛ばされた方向はまさに私達のいる方向だった。

 

「「ぎゃああああァァァッ!!!」」

「いやぁァァァッ!!!」

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「うぐッ…痛ったぁッ」

 

『シンジ君!大丈夫!?』

 

「はいッ…なんとか。」

 

光のムチで脇腹を貫かれ、派手に投げ飛ばされたシンジ。

結局使徒には有効打となりうる攻撃は出来ず

アンビリカルケーブルも切断され

かなり劣勢に追い込まれている状況だ。

状況を立て直すべくUIにざっと目を通した時

初号機の手のひらのすぐ側で固まって震えている

クラスメイト3人の姿が目に入った。

 

『シンジ君のクラスメイト!?なぜここにいるの!?』

 

「トウジ、ケンスケ!委員長まで…ハッ!?」

 

ビシュゥッ!!

 

使徒は待ってはくれない。

体を倒した飛行形態で接近しムチを振るってくる。

すぐさまムチを掴み取ったはいいが

ジュウジュウと初号機の手が焼かれ

シンジの手にも激痛が走る。

 

『シンジ君!そこの3人を一旦回収するのよ!』

 

「そこの3人!!早く乗るんだッ!!」

 

初号機を固定しエントリープラグを解放、

ワイヤーを降ろして3人に乗るよう叫ぶ。

 

 

 

「!?なんやコレっ!水やないか!」

 

「ああっカメラカメラっ!」

 

「碇さん!私たちはどうしたらっ!?」

 

「この液体を吸い込むんだ!呼吸は出来る!」

 

コックピットが液体で満たされていたことに驚き

騒ぎ出す3人にLCLを吸い込めと告げると

すぐさまプラグを再挿入、シンクロを再開させる。

 

「あちっ、あちちッ!シンジ、手が熱いんやが!?」

 

「ぐえっ…脇腹も地味に痛いぞトウジ」

 

「ごぼぼっ…碇さんもこの痛みを…!?」

 

エヴァに乗った以上ほんのわずかにシンクロしているのか

フィードバックダメージが3人にも行っているらしい。

仮にシンクロしたまま初号機の首が飛んでも

3人は死にはしないだろうが…

 

『シンクロ率が急激に低下しています!!現在47.1%!』

 

最低ラインは下回ってない。十分にやれる。

まずはこの状況を脱するため使徒を引き剥がしにかかる。

今の使徒は飛行形態で踏ん張りが効かないのか

ムチを引っ張ってやると簡単に振り回すことが出来た。

 

「うおぁァァァッ!」

 

ジャイアントスイングのように使徒を振り回し

その勢いのままビル街の端の方へ叩き付けてやる。

使徒が怯んでいるうちに山を駆け下りて

電源ビルからケーブルを取り出して接続する。

 

『エヴァ初号機、外部電源に切り替わりました。』

 

とりあえずバッテリー切れの心配が無くなったことに

ホッと胸を撫で下ろす。

 

『さてシンジ君、あたしの頭には今とある作戦しか

浮かんできてないわ…多分シンジ君なら分かると思うけど

何か良い作戦があったら言ってちょうだい。』

 

「肉を切らせて骨を断つ…ですよね?」

 

『えぇ。今回兵装ビルの兵器は使い物にならないから

シンジ君に全てを託す形になっちゃうけれど…

やってもらえるかしら?』

 

ミサトさんに言われるまでもない。

それしか無いだろうと薄々勘づいていたし

言われなくてもやっていただろう。

…あとは一応後ろの3人にも言っておかないとな。

 

「さて、3人とも。大変だろうが力を貸して欲しい。

僕は今からヤツの弱点にナイフを突き立てる。

その時3人にもナイフを刺すイメージをして欲しいんだ。

反撃を喰らえば痛みが走るだろうけど

どうか協力して欲しい。」

 

「あ、あぁ!シンジがこれだけ頑張っとるんや!

ワシも覚悟決めてやったるで!」

 

「オレも同じだ。ぜひ協力させてくれ!」

 

「私も。それが碇さんの力になるなら!」

 

3人とも気合いは十分なようだ。

僕も軽く両頬をはたいて再度気合いを入れ直す。

たいした効果も期待出来ないだろうが

ビルの影から奇襲できるよう位置取りを変える。

 

 

「………ここだぁッ!」

 

ガッ!!ギィィィィィーーーンッ!!!

 

使徒のコアに上手くナイフが突き刺さった。

立ち上がった状態だったためすっぽ抜けるようなことは

無かったが、ダメ押しとばかりにビルへ叩きつける。

 

バシュゥッ!!

 

使徒のムチが左肩と右太ももを貫いたが

ここで止まるつもりはない。

 

「うぐぅッ…!!」

「痛いッ…」

「負け…へんでェ!」

 

3人の気合いもまだ残っているようだ。

一気に畳み掛けるべく声を掛ける。

 

「行くぞ3人とも!押し切るッ!」

 

「「「「うおおおおぉッッッ!!!」」」」

 

 

 

バキバキッ…バキィッ!…

 

ついに、使徒は固まって動かなくなった。

 

『パターン青、消失しました!』

 

『やったわシンジ君!!』

 

発令所から使徒殲滅の報が上がった。

完全勝利とは言えない損傷を負ってしまったが

今回も使徒を撃破することに成功したのだ。

 

「やったなシンジ!」

 

「あぁ!」

 

「オレ感動したよ!最高のトドメだったな!」

 

「はぁ~良かった…正直すごく怖かったのよ」

 

友人と勝利を祝っていると発令所からも

歓声と拍手が聞こえてきていた。

やはり褒めてもらえるというのは嬉しいものだ。

そして、この後友人達に待っているであろう説教を想像し

心の中で3人に合掌しながら回収スポットへ歩いていった。

 

 

 

                      つづく

 




リツコが見せた開発計画書は
マステマ、デュアルソー、マゴロクEソード
サンダースピア、ポジトロンライフルの5つ。
当然そのうち出す予定です。

シャムシエルは形象崩壊しませんでした。
理由はなんとなくだ。
してもしなくても4号機は爆ぜるからね。

ヒカリさんの口調が正直よく分からん。
違和感あったら申し訳ない。
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