新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
新章…第4話かな?
前回の評判があまり良くなかった、というか
お気に入り解除が多発して意欲低下気味な中で
書き進めたんで、少々雑な所があるかと…。
ストーリー構築って難しいですね。
そうそう、大人レイさんの声優ですが
甲斐田裕子さん(マリーダ・クルスetc…)
石川由依さん(ミカサ・アッカーマンetc…)
辺りでも合いそうだなと感じておりまして。
各々で合うと思った方にアフレコさせて下さいな。
「以上がドイツ支部の視察結果です」
「ありがとう、目を通しておくよ」
シンジはZUKUNFT本部の司令室で、ユーロ支部から
送られてきたSEELEの動静調査報告書に目を通した。
(ドイツ第3支部…表面上は問題ないけど…)
──ZUKUNFTドイツ第3支部。
NERV時代はドイツの第1支部として活動していた施設で
かつてSEELEが隠れ蓑として利用していた支部だ。
NERV解体の折にこの支部も大規模な人員入れ替えを実施し
規模が縮小されていたが、最近になって独自の活動が
少しづつ増えてきていた。
「関連の強い支部のデータも合わせて精査しようか」
その活動内容はごくありきたりなものばかりで
警戒する程のものでも無かったのだが
シンジはずっとそこに引っ掛かりを覚えていた。
「──MAGIを使う!?」
「不安の芽は摘んでおきたいからね」
NERV時代と比較してだいぶ静かになった第1発令所に
リツコの驚いた声が響いた。
MAGIとは
スーパーコンピュータで、世界でも無二の性能を持つ。
しかし、使徒との戦闘を終えた今MAGIを使うほどの
場面は少なくなっており、ここ最近で動かしたのは
ヴンダー級の基礎設計を立ち上げた時位である。
それをシンジがいきなり動かすと言い出したため
一体何事かとリツコは驚いたのである。
「物資、資金、人員──支部の全ての流れを調べる」
「分かったわ。マヤ、手伝ってちょうだい」
「はい!先輩!」
リツコが自身の後輩であるオペレーター伊吹マヤに
声を掛け、数年ぶりにMAGIを動かしに掛かった。
「物流及び資金の流通を可視化」
「人員の異動を反映」
第1発令所の巨大な空間投影ディスプレイに映った
世界地図にありとあらゆる"流れ"が重ねられ
今世界で起きている流通が一通り可視化されて行く。
「支部独自プロジェクト関連をピックアップ」
表示された流通の中から、ZUKUNFTの各支部が独自で
進めているプロジェクトに関わる流れだけが
ピックアップされ強調表示がなされる。
シンジは当然各支部が進めるプロジェクトの多くを
キチンと把握しているが、それでも把握漏れや
秘匿されているプロジェクトは少なからず存在する。
これらをMAGIの力を借りて素早く発見していく。
「──流通の多い経路をピックアップ」
「はい」
一通り独自プロジェクトの把握を終えたシンジは
世界各地を巡る流通ルートのうち、特にアクティブな
流通ルートをピックアップさせる。
「これは…!」
「ベタニアベースは北極にある支部ですよね」
その指示で浮かび上がってきたのは、ドイツ第3支部と
とある場所を結んでいた経路。
まず1つは北極にある特殊な支部ベタニアベース。
かつて使徒のコントロールを研究していた支部であり
現在は基本的に稼働していない支部だ。
そしてもう1つが──
「カルヴァリー…ベース?」
「南極に"存在した"支部よ」
──カルヴァリーベース。
2000年9月に地球を襲った大災害セカンドインパクトの
爆心地である南極に立てられていた支部の名である。
カルヴァリーベースは当時南極で発見された
巨大な人型生命体「第1使徒アダム」の研究のため
ミサトの父が率いた葛城調査隊の活動拠点として
建てられた支部であり、セカンドインパクトと同時に
消滅し今は存在すらしていない支部なのだ。
「これはもう…」
「確定ね」
存在しない支部や稼働していない支部とのやり取りが
これはほぼ確実にSEELEの活動を証明していた。
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──ZUKUNFT本部総合開発ブース。
「ふわぁ…ヴンダーを改造するんだって?」
「待ってたよリウェト」
眠そうに目を擦りながらシンジの元へやってきたのは
エンジェルズの一員である女性「リウェト」。
長い銀髪をだいぶボサボサのまま後ろで束ねており
掛けているメガネも少し傾いていた。
来ているZUKUNFTの制服もだいぶシワが刻まれている辺り
大方それを着たまま仕事場やらで寝ていたのだろう。
非常にルーズだというのが伺える。
「え?リウェトひょっとして寝てない?」
「キミが呼んだから飛び起きてきたんだよ」
眠そうにしながらもこれから行うヴンダーの改造に
とてもワクワクしているらしくその手で液晶タッチペンを
クルクルと回している。
「研究開発はボクの全てだからね」
リウェトは寝ても醒めても研究開発、晴れの日も雨の日も
ひたすら研究開発という研究開発バカなのである。
「…で、何を作るんだい?」
「ヴンダーを戦艦に造り替えようとね」
シンジは、方舟として作られたヴンダーを宇宙戦艦へ
複数機のエヴァンゲリオンを相手取ることを想定した
戦闘艦へと改造することを計画していた。
「ワクワクするねぇ♪まずは主砲を作ろうか!」
「そうだね。対空防御砲も作りたいかな」
かつて猛威を振るった使徒と同レベルかそれ以上の相手を
複数同時に殲滅する宇宙戦艦、というトンデモ機体を
開発するというシンジの目標に、開発大好きなリウェトも
人が変わったようにキビキビ動き出す。
「主砲のベースはこいつにしようか」
「装甲材はキミが作ったアレが使えるんじゃないかな?」
1人でも色々なモノを作り出す開発バカが2人集まった時
更にとんでもないものが作り出される。
ヴンダー級の設計図に次々と追記が加えられていき
主砲および対空砲の追加と装甲材の更新、推進器の改良と
様々な方面での改造が立案されていく。
「ちょっとシンジ君!本当にこれを作るの?!」
「戦争でもする気かい?!シンジ博士」
シンジによってNERVが誇った技術者・科学者が呼び出され
ヴンダー級の改造に加わる。
テーブルの天板モニターに映し出された設計概要には
呼ばれたリツコと時田は驚きを隠せずにいたが
シンジがわざわざこれ程の物を造ろうとする理由は
必ずあるとして、深く指摘する事はしなかった。
「…リウェトと所長が手を組みましたかァ」
「こんなん本気で作る気なんかいな」
リウェトがエンジェルズの中でも機器開発に長けた
シャムシエルとバルディエルを呼び出し、彼らも改造に
参加させる。
エンジェルズの面々はリウェトが発明バカであることを
とても良く知っているため、彼女がとんでもない物を
造ろうとしている事に驚く事は無かった。
ただ、リウェトとシンジが手を組んだ事に関しては
「これの更に遥か上を行く発明が飛び出すのでは」という
言いようのない不安感が残ったが。
ZUKUNFTが誇る天才技術者・科学者6人が集まり
ヴンダー級の大改造が始まったのだった。
──数週間後。
「これが装甲材になるって訳ね」
リウェトが完成した装甲材の試料を手にした。
一見するとただの金属のパネルで変わった点など無いが
このパネルには山ほどの技術が詰め込まれている。
[
かつてジオフロントと第三新東京市を隔てていた
特殊装甲板に小型化・改良を施したもので
使徒やSEELEの覚醒エヴァが使用する高火力な怪光線も
鏡面加工により屈折、熱エネルギーは拡散し放熱
爆発ダメージを相転移により軽減、と複数の反応を
同時に発生させる事で被害の大幅な軽減が可能。
この装甲材で作られたハニカムパネルがヴンダー級の
船体装甲板として採用される予定である。
欠点として非常に高コストな点が挙げられるが
多少の支出には目を瞑る事にするとのこと。
「コイツはちぃとやり過ぎやないか?」
「SEELE相手には必要になる。きっとね」
バルディエルがそう指摘したのはヴンダー級の主砲。
使徒と同等のATフィールドをぶち抜いての広域殲滅が
行えるレベルというとんでもない火力を誇っており
これをなんと2門も大型搬出入ゲートと差し替える形で
取り付けることとなっている。
「うんうん、ボクが手を掛けただけはある」
リウェトが満足そうに出来栄えを眺めるこの主砲もまた
非常に高コストであるという欠点が付きまとっているが
SEELEを相手するのに手抜きなどは出来ないという理由で
製造・搭載することが決定された。
ピーッ、ピーッ、ピーッ
シンジの仕事用携帯電話に1本の通信が入る。
『碇所長!ユーロ支部より秘匿回線での通信です!』
「秘匿回線!?」
パリのユーロ支部から、普段は決して使われる事の無い
秘匿回線で本部司令室へ緊急連絡があった事が
総務部の海外支部担当部署によって知らされる。
この回線はNERV時代で言えば使徒出現やエヴァの暴走など
すぐさま情報を伝えなければならない状況下で
他の一般回線に干渉する事無く接続される非常用回線。
これが今になって使われたのである。
『ユーロ空軍所属
「アスカから?分かった、すぐ行く!」
通信相手が馴染みのある戦友であると理解した瞬間
シンジはすぐに通信を取りに行く事を決定。
携帯電話を乱雑にカバンへしまい込み全速で駆け出す。
(…ついにSEELEの活動再開か!?)
万一の事態に備え各国政府などとの連携策も考えつつ
シンジは司令室へと急いだ。
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──ZUKUNFT本部司令室。
「カヲル君が…拐われた…っ!?」
司令室で戦友からの通信を取ったシンジに齎されたのは
ここまで何度も
耳を疑う様な信じ難い報告。
「そんな…!だってカヲル君は──」
『あたしも最初は耳を疑ったわ』
つい先程拐われたというシンジの親友「渚カヲル」は
新生すること無く人類と手を取りあった最後の使徒
「第17使徒タブリス」でもある人物だ。
その身に始祖たる存在「第1使徒アダム」の肉と魂を宿し
同じく始祖を身に宿す碇レイと同様
持っている存在なのである。
そんな彼は使徒が持っていた非常に強固な防壁
「ATフィールド」を完璧に使いこなす事が出来るため
通常兵器はおろか、核やN2ですら傷を付けられるか
怪しいレベルの戦闘能力を秘めている。
そんな彼が誘拐されるなど万に1つも有り得ないのだ。
『送られてきた映像データよ』
だが通信相手である惣流中佐はその誘拐事件が事実だと
目でもハッキリと語っていた。
「一体何が…」
シンジはアスカから送られてきた映像データを
恐る恐る再生する。渚カヲルを封じ込め誘拐するなど
神以外に誰が居るのだろうか、と考察しながら。
『どうだい?サンダルフォン。パリの街は』
『わたし、この街好き!』
映し出された映像にはまずパリの街を観光している
渚カヲルと、エンジェルズの一員である小柄な女性
「サンダルフォン」の姿が映し出されていた。
渚カヲルは新生した使徒達もといエンジェルズの
情操教育などを担当しており、今回のユーロ圏遠征では
精神的に最も幼いサンダルフォンを連れて
最後の教育を実施していた。
「…こんな市街地で誘拐を?」
大都市という雰囲気でこそないものの、彼らの歩いている
地区はパリ近郊の新興住宅街にあたるエリア。
しかも真っ昼間であり、白昼堂々襲撃を掛けるにしても
中々不利なエリアとなる。
『次はどこへ…ATフィールド!?』
カヲルがATフィールドを発する存在を感じ取ったらしい。
どうやら彼が把握していないイレギュラーな存在の様で
その発生源を突き止めようと辺りを見渡しだす。
『渚さん!上からッ!』
『くっ…サンダルフォンを退避させるんだっ!』
撮影者であるZUKUNFTスタッフがカメラの向きを
下へ向けてしまったために映像には地面だけが映るが
飛び交う声や足音から察するに、カヲルは咄嗟に
サンダルフォンをスタッフへ預けたらしい。
『ガシャァンッ!!!』
直後に強烈な轟音──まるで巨大な建造物が倒れた様な
大きな音が複数回鳴り響いた。
『カヲルお兄ちゃんっ!』
『はっ、早く逃げましょう!』
撮影者が落ち着きを少し取り戻したのか、カメラの画角が
ある程度前を向く。
そして、カヲルが拐われた原因が映り込む──
「封印柱!」
映りこんだのは「使徒封印用呪詛柱」と呼ばれる
表面に不可解な紋様が無数に浮かんだ黒い柱状の物体だ。
使徒に類する存在の力を大きく封じ込める能力を持ち
始祖クラスでもなければ基本的に活動すら不可能。
その効力は使徒であるカヲルには当然発揮される。
エンジェルズのサンダルフォンへの効力は不明なものの
カヲルが封印の効力の中に立ち入れば、彼が持つ能力は
ほとんど封じられてしまうだろう。
『惣流中佐に繋いで下さいッ!…これは…!』
『ズゥゥゥン…』
手ブレで揺れるカメラ映像の中に、この柱を撃ち込んだ
主犯と思しき存在がハッキリと捉えられる。
下手なトラックより巨大な靴の様な金属のカタマリ
そのサイズからして80m近い人型と思しき機体──
「エヴァMark.07…っ!なんで!?」
X字状のスリットの入った仮面を持つSEELEのエヴァ
エヴァンゲリオンMark.07がカヲルに手を伸ばしていた。
エヴァンゲリオンは17年前に初号機以外を除いて
その材料諸共全てLCLとなり消滅している筈である。
加えてMark.07を初めとするSEELEのエヴァンゲリオンは
シンジ達が駆るエヴァによって破壊・殲滅されている。
しかし、映像に映るMark.07は
周辺調査の結果でも判明しているというのだ。
『お兄ちゃん!お兄ちゃぁんっ!』
『逃げましょうサンダルフォンさん!』
ZUKUNFT職員が兄を助けようとするサンダルフォンに
退避を促し、映像はプツリと途切れる。
恐らくは逃げるためカメラを止めたのだろう。
『──映像はここで終わり、以降
アスカは苦虫を噛み潰した様な顔でその後の経緯を語る。
カヲルを誘拐したMark.07はATフィールドを使ったのか
レーダーによる索敵を逃れて逃走。
ユーロ空軍が捉えた飛翔体の目撃情報を辿って追跡した所
取り逃したと思われる
その後は電源が落とされたのか反応そのものが消失し
詳しい位置情報の特定は出来ていない。
現在ユーロ連合軍がドイツ第3支部周辺を中心に
強制捜査網を展開し行方を調査中とのことだった。
「…だいぶマズイ事になったね」
『あたしらは浄化結界への対策を進めてるわ』
SEELEは再誕した。
2人はSEELEがどれ程厄介な組織かを知るが故に
これまで立てていた行動指針の大幅な方向転換を
余儀なくされたのだった。
──時に、西暦2033年
福音は再臨し、三度の報いの時は訪れる。
──つづく。
リウェトさん登場でございます。
発明に没頭し過ぎて年中寝不足空腹気味な
典型的なマッド気味な科学者、そんなイメージ。
天災ウサギとか某アプリのタキオンとかそんな感じ。
アスカとサンダルフォンについては
この後また本格出演させる予定なので
今回はまだ顔出し程度としました。
Mark.07、原作で言うところのMark.09は
シンジ君ではなくカヲル君を拐っていきました。
さぁ…何故でしょうね?
今後をお楽しみに。