新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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新章第7話でございます。

この後は基本的にシリアス強めの予定ですが
中でも特にシリアス強めのパートです。



何かめっちゃUA伸びて評価バーの色も
赤色に復帰した直後にこれ投稿するの
すっごく怖いんだけど…

UAや評価本当にありがとうございますっ!



サードインパクト

 

 

 

──1番艦補機管理室。

 

「エヴァの乗り心地はどう?」

 

『何でだろう…妙に落ち着くんだ』

 

シンジはMark.04との戦闘直後、メンテナンス支援がてら

補機を稼働させているレンの様子を見に来ていた。

 

『お母さんに見守られてるような気分で』

 

エヴァに乗る前に感じていた恐怖はすぐに薄れていき

とても安心していられた、とレンは乗り心地を語る。

 

戦闘中は祖父(ゲンドウ)から受け継いだS-DATで音楽を聞いたり

整備長(リツコ)から両親のNERV時代について尋ねたりして

暇を潰していたとのこと。

 

 

『──まだ戦闘は続くんだよね?』

 

通信先の慌ただしさから、戦闘が先程の1戦で終わりでは

無いと悟っていたレンは再び操縦桿に手を添え

キリッとした表情へと戻る。

 

「すまないレン。もう暫くP-01を頼む」

 

『頑張ってねお父さん』

 

エヴァンゲリオンとは、通常の兵器や乗り物等とは

比較にならないぐらい様々な面で扱いが難しく

危険な機体である。そんな機体に子供たちを乗せる事に

内心ではひどく抵抗を覚えていたシンジ。

 

心配は要らないとばかりに自身へ激励の声を掛けたレンに

感動や後ろめたさなど複雑な感情を抱きつつ

シンジはそれを押し込めて戦闘の準備を続ける。

 

 

 

ゴゴゴゴゴッ…!

 

「ぐっ…何だっ!?」

 

突如ヴンダーの船体が轟音と共に大きく揺らぐ。

 

ジリリリッ!ジリリリッ!

 

「あぁ僕だ」

 

『右舷第2船体に被弾!いきなりやられました!』

 

警報と共に鳴り出した内線を取ったシンジへ

艦橋にいる日向から被害報告が齎される。

 

「本命のお出ましか…ッ!」

 

予想よりもかなり早い"本命"の襲来を知らされたシンジは

手に取った受話器を乱雑に本体へ戻すと、補機管理室から

艦橋方向へ全力ダッシュで駆け出して行った。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「状況は!?」

 

「損害は軽微!ダメージコントロールを実行中です」

「敵性エヴァを3機確認!後続の艦影も光学で捕捉」

 

艦橋へ駆け込んだシンジへブリッジクルー達から

先程の被弾の詳細および対応内容と、捕捉した敵機体の

詳細なデータが報告される。

 

[Evangelion Mark.08]

[Evangelion Mark.09]

[Evangelion Mark.10]

 

ヴンダーに移植されたMAGIが捉えた敵性エヴァとは

かつてシンジ達をエヴァ量産機と共に散々苦しめた

エヴァオップファータイプ3機だった。

 

「この18年間で新造したのか…ッ!」

 

 

──ビギュオンッッッ!!!

 

「ぐっ…全艦緊急発進ッ!敵、SEELEエヴァ3機ッ!!!」

 

「航行システム切り替え!ATフィールド展開!」

 

一機のオップファーが放った怪光線が戦端を開く。

 

シンジは速やかにヴンダーを発進させ、接近する3機の

敵エヴァの撃墜を目標とする戦闘を始めさせる。

 

「対空砲および対空防御ミサイル起動!」

 

「了解!各砲塔、対空戦闘用意!」

 

日向の操作によって対空砲(ファウスト)が起動し、エネルギー貫通弾が

凄まじい勢いで射掛けられていく。

ATフィールドを意図も容易く貫くエネルギー貫通弾は

SEELEのエヴァに防御という選択肢を与えず

回避に失敗した敵機に手痛いダメージを与える。

 

「被弾箇所の排熱処理完了!まだいけます!」

 

「爆発ダメージ軽微、VPS層蓄電量91.7%」

 

入射角の浅いビームは塗膜の鏡面加工(ナノラミネートアーマー)によって弾かれ

直撃したビームも熱エネルギーを装甲全体へ放熱

爆発ダメージを相転移(フェイズシフト装甲)が無効化して損害を減らす。

 

ここにATフィールドが合わさる事で、高い火力を持つ

エヴァオップファータイプ3機の連続砲撃をも

ヴンダーは掻い潜る事が出来ていた。

 

 

「敵艦、接近!」

 

ビギュオンッッッ!!!

 

 

[NHG-***1 Buße(ヴーセ)]

 

MAGIが解析した情報によれば「ヴーセ」と呼ばれる

SEELEの巨大戦闘艦が艦首方向から接近して来る。

 

第2船体甲板上に設置された球体状の機器がまるで

生き物のような挙動で蠢き、X字状のカバーが開くと

オップファーよりも強力な怪光線が連続して放たれる。

 

ズドォンッ!!!

 

「3番対空砲大破ッ!火災拡大ッ!」

 

「超熱伝導体蓄熱率上昇!このペースでは…っ!」

 

まるで、人と神の格の違いを思い知らせるかのように

強烈な怪光線がヴンダーを襲う。

 

「怯むなっ!敵艦の後方へ回り込む!全砲門発射用意!」

 

それでもシンジは退く事はしない。

ここで退けば人類は全て滅ぶ──そんな危機を前にして

かつての英雄として退く訳にはいかないのだ。

 

「給電用回路解放、陽電子加速開始します!」

 

「了解。コース変更、回避用意」

 

高雄が陽電子砲(ジークフリート)の発射準備を、レイが艦の姿勢制御を

迅速に進めていき、オップファー3機が迫る中で

敵艦への対処準備が整えられていく。

 

「全砲門一斉射と同時に回避行動!」

 

 

バシュィィィーーーンッッッ!!!

 

 

「敵艦に命中!」

「回避行動っ!」

 

ジークフリートがヴーセの左舷側に大ダメージを与え

その直後に2隻の船体同士が擦れ合う程の至近距離で

ヴンダーはヴーセの左舷側をすり抜けていく。

 

「ファウスト砲撃開始!」

 

すり抜けつつも日向の声と共に3基の対空砲が火を吹き

ほぼ零距離射撃でヴーセを叩いていく。

 

 

 

「回避成功!」

 

「よし。ダメージコントロールの後追撃!」

 

ヴーセの左舷側主砲を損傷させヴンダーは一時離脱する。

艦尾主砲がまだ撃って来ているが、被弾の少ない艦尾側を

敢えて盾にして被害の大きい艦首側を修復させる。

 

 

 

 

 

「──些か早い気もするが…始めるとしよう」

 

大きく揺れるヴーセの艦橋でキールが呟いた。

"儀式"の始まりを──。

 

 

 

 

 

ピーーーッ!!!

 

[EVA-Unit Activation Signal Confirmed]

 

[Evangelion Mark.06 Activation]

 

[BLOOD TYPE BLUE]

 

「また旧式エヴァの起動信号ですッ!」

 

唐突なエヴァの起動信号受信を青葉が叫ぶ。

 

エヴァオップファータイプ計4機に続く新たな再建機体

敵が増えた事を示す報告に艦内は更に慌ただしさを増すが

この識別番号に見覚えのある旧NERVスタッフ達は

緊張感とは別の感情を浮かべていた──

 

「エヴァ…Mark.06っ!?」

 

「…まさか渚君が乗っているのか?」

 

エヴァンゲリオンMark.06とは、以前SEELEに誘拐された

渚カヲルが乗機としていた特別なエヴァンゲリオン。

SEELEが人類補完計画の鍵とするために建造したが

カヲルの離反によりNERV所属となった機体で

覚醒すると使徒と同じ虹色の光輪が浮かぶ異色の機体。

 

カンの鋭いシンジが全幅の信頼を置いていた辺り

それは無いだろうとは思われたが、彼がZUKUNFTを離反し

再びSEELEの手の者として牙を剥くのではという

不安感が少なからず湧き上がってくる。

 

 

「光学映像でも確認しました」

 

「間違いない…Mark.06だ…!」

 

青葉が主モニターへ映した映像には、紅色のバイザーが

特徴的な紺色のエヴァンゲリオンの姿が確かにあった。

 

 

「オップファータイプ、急速接近!」

 

「ちぃっ…再度対空戦闘用意ッ!」

 

まるでMark.06の起動に呼応するかのように駆け付ける

オップファータイプに、シンジは思わず舌打ちする。

 

 

──ビギュオンッッッ!!!

ビギュオンッッッ!!!

 

「艦尾より砲撃!艦尾N2リアクター損傷!」

「1番対空砲被弾!FCS回路断線ッ!」

「敵性エヴァに取り付かれました!排除出来ませんッ!」

「超熱伝導体熱量増加!放熱回路緊急閉鎖!」

 

「ぐっ…くそぉッ!」

 

オップファータイプ3機とヴーセからの総攻撃を受け

あちらこちらから損害報告が飛び込んでくる。

 

主機N2リアクター一機損傷、対空砲2門破損

ラミネート層排熱システムダウン──

全力の抵抗も虚しく、ありとあらゆる箇所が損傷し

あっという間に戦闘能力を奪われていくヴンダー。

 

「全砲門発射っ!エヴァを一機でも持っていくッ!」

 

バシュィィィーーーンッッッ!!!

 

「Mark.08、Mark.10中破!」

「逃がすなッ!残った対空ミサイルで叩くッ!」

 

ズドドドドッ!!!

 

「Mark.09中破!Mark.10撃墜!」

 

だがシンジ達も深く取り付かれた事を逆利用し

至近距離から回避困難な砲撃を叩き込み

敵エヴァ2機を中破、1機を大破へと追い込む。

 

 

 

「Mark.06!第三新東京市上空へ侵入!」

 

しかし、そうこうしているうちにMark.06を取り逃し

第三新東京市上空への侵入を許してしまう。

 

「Mark.08および敵艦、尚も接近!」

 

「Mark.09が第三新東京市上空へ移動していきます!」

 

ヴーセからの妨害は続き、Mark.06を止めようにも

第三新東京市上空へ戻る事が困難な状況に

追い込まれていく。

 

「Mark.06に通信を繋げっ!」

 

「はいっ!」

 

シンジは一縷の望みを賭けてMark.06への通信を

繋がせに掛かる。敵機体へのハッキングという形に

なるため時間がかかってしまうが、インパクトの

起動までに何とか間に合えば希望は残る。

 

 

 

「敵性エヴァ、S2機関を解放!」

「次元測定値が反転!マイナスに突入!」

 

「来るかっ…サードインパクト!」

 

Mark.09を侍らせたMark.06が光の翼を広げ

早くもサードインパクトの始まりが告げられる。

 

「翼…っ!18年前…いえ、33年前と同じ!」

 

神々しさよりも禍々しさを感じさせるその翼は

ミサトの記憶にある翼のうち、福音を齎した翼ではなく

氷の大地を浄化した始まりの使徒の翼を想起させた。

 

 

 

ゴゴゴゴ………

 

「あれは…黒き月?」

 

光の柱が天に立ち昇るかのような凄まじい爆発と共に

第三新東京市があった場所からまるで聖杯のような形の

巨大な物体──「黒き月」が地を割って現れる。

 

黒き月はまるでMark.06に導かれるようにして

第三新東京市の遥か上空へと浮遊していく。

 

 

「アンチATフィールドが臨界点を突破!」

「個体生命の形が…維持出来ませんッ!」

 

「対浄化結界装置をフル稼働!まだ耐えられるっ!」

 

日向と青葉がアンチATフィールドの発生を告げると

その力の広がりと共に大地がコアの様な真紅に染まり

無数の十字の光がそれを覆っていく。

 

人類の原罪を贖罪し再び楽園へと戻るための結界が

地球上の人々を神の子へと新生させていく。

──知恵を持たずただ永遠を生きる存在(エヴァンゲリオンインフィニティ)へと。

 

 

「ガフの扉が開いていく…!」

 

Mark.06が頭上に浮かべていた光輪が7色の輪となって

急速に広がっていき、世界を紅色に染め上げる。

 

──ガフの扉。

かつて人類が追放された神の楽園(マイナス宇宙)へと繋がる扉。

以前開かれた時は分かりあった神の子(使徒)を新生させるため

シンジ達の手によって極わずかな時間だけ開かれたが

SEELEは人類を新生させ再び神の国へ舞い戻るために

利己的な思想の元にその扉を開いたのだ。

 

「結界密度尚も上昇…!この艦も危険です!」

 

「……カヲル君…ッ」

 

強固な対浄化結界装置を搭載しているヴンダーでさえ

神そのものと化したMark.06が放つ強力な結界に

徐々に装置の効力が押し返されていく。

 

地上では結界の効力を防ぎきれず支部やシェルターが

次々と真紅色に染め上げられていき、施設の内部にいた

職員や避難民が一斉に新生し新たな生物へ生まれ変わる。

新生した人類の姿は、神の子に相応しいと言うべきか

儀式を起動させたMark.06にとてもよく似た姿をしていた。

 

 

 

 

 

「Mark.06との通信、繋がりました!」

 

そんな惨劇の中、事態の主犯であるMark.06との通信を

ようやく繋げる事に成功した。

 

 

『──ごめんシンジ君、僕は君の幸せを守り抜く事が

出来なかった…』

 

「カヲル君…」

 

銀髪赤目の青年渚カヲルの姿が映し出される。

 

「DSSチョーカー…!」

 

彼の首にはDSSチョーカーと呼ばれる首輪型の爆弾が

セットされており、四肢にも使徒封印用の呪詛文様が

刻まれた拘束具を取り付けられている。

 

その様子からして、SEELEに誘拐された後に

指示に従わせる為に装着させられたのだろう。

 

 

『ガフの扉は僕が閉じる。僕が起こした事に対しては

僕がキチンとケジメをつけるさ』

 

「何を…言ってるの?!」

 

この事態を引き起こした事への責任は必ず取る、と

カヲルは覚悟を決めたような表情を浮かべる。

 

Mark.06は手に持っていたロンギヌスの槍の複製を

自身の胸へと突き刺し、アンチATフィールドを

更に強めていく。

 

 

『君はもう十分立派になった。僕がいなくてもきっと

新たな安らぎと自分の居場所を探せるだろう?』

 

「ダメだよ…カヲル君…っ!」

 

カヲルが何をしようとしているのか(自ら死を選ぼうとしている事)を察したシンジは

悲痛な面持ちで考え直すよう促す。

 

──シンジは分かっていた。"そう"する以外には

この惨状を止める手段が残っていない事を──

人類の滅びを止める方法が他に無い事を。

 

「カヲル君が何を言ってるのか…分からないよっ!」

 

それでもシンジは、カヲルを止めたかった。

自分を支えてくれた大切な親友を失いたくは無かった。

 

 

 

カヲルはコクピット内のとあるバーを引き

中から出てきたテンキーにカチ(2)カチ(8)カチ(8)カチ(7)

四つの数字を入力する。

 

「Mark.06内部に高エネルギー反応ッ!!」

 

「ダメだカヲル君…っ!」

 

 

そしてその直後、Mark.06から新たな光が溢れ───

 

『君が望めば、また会えるよ。シンジ君』

 

 

 

ドォーーーンッッッ!

 

 

 

「カヲルくんッッッ!!!」

 

 

 

紅く染まった空に儀式の終わりを告げる十字の光が

ひどく残酷に輝いた。

 

 

 

「ううっ…僕は確かに大人になった…けどッ!

君を失いたくなんて無かった…っ…!」

 

 

 

──つづく。





………はい、新章第7話でした。

この次の回の中盤位までシリアスパートです。



あまりオマージュ元がどうたらとか
話すべき場面じゃないですね…覚えていたら
この回の分は次回サッと紹介します。
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