新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
新章第9話、お待たせ致しました!
日常回…とは言えるか微妙だけど戦闘はナシ
アスカ達との再会がメインとなります。
そして、名前が既に出ていた子を含め
エンジェルズ3名の登場回でもある。
1ヶ月ほど間が空いてしまいました…。
筆者が精神的に酷く不安定なせいで
文章構成やらストーリー構築やら色々と
苦戦しておりまして…申し訳無いです。
『1番艦、2番艦共に船体の固定完了』
『地上側アンカーの安定稼動を確認』
パリ北駅上空付近にヴンダー級2隻は無事停泊した。
『後部ハッチ解放。発艦は民間が優先だ』
『支部ヘリポートの着陸許可を確認』
第三新東京市からの少なくない避難民を載せた輸送ヘリが
複数機船体後方のハッチから発進し、受け入れ作業を行う
ZUKUNFTユーロ支部やユーロ連合軍仮設基地のヘリポートへ
列を生して降りていく。
「さて…また忙しくなりそうだな」
「そうね。色々手伝うわシンジ」
本部関係者らが乗るヘリには本部長シンジは勿論のこと
1番艦操舵士を務めていたレイも同乗していた。
現在ヴンダーの操舵は予備操舵士である
操作把握も兼ねて任せている。
「──で、何でワシらまで
「今の私達はただの民間人よ?碇さん」
自分達が乗るなら民間側だろうと疑問を投げかけたのは
鈴原トウジと娘ツバメを抱っこする鈴原ヒカリ。
彼らも何故か突然呼び出されて本部関係者として
ZUKUNFTユーロ支部の方へ降りる事になっていた。
「アスカからの指名だよ。僕も詳しくは知らないんだ」
トウジとヒカリを呼び出したのはアスカとの事だが
その詳細はシンジにも知らされて居なかった。
「着陸完了です」
程なくしてヘリは支部のヘリポートへと足をおろした。
ヘリの後部カーゴハッチが開かれ、シンジ達5人は
ZUKUNFTユーロ支部へと降り立った。
「久しぶりね!シンジ、レイ!」
「元気そうで良かったよアスカ!」
「生きていてくれて嬉しいわ」
エヴァのパイロットとして長い間戦線を共にした3人が
サードインパクトという災禍を乗り越えて再会を果たす。
それぞれ2~3年程前にも一度会っているが、やはり
あれだけの惨事から生還したという点は再会の喜びを
より大きくしていた。
「──"ジャージ"が来たわよ」
『了解。直ぐに向かうよ』
そして、アスカはシンジ達の後ろから歩いてくる
トウジ・ヒカリ夫妻の姿を見つけると
インカム越しに誰かを呼び出した。
「やァ碇、トウジ、委員長。直接会うのは久しぶりだな」
現れたのはミリタリーバックパックを背負った眼鏡の男。
SF映画監督とフリージャーナリストを兼業し
世界各国の軍事情勢に精通するこの男の名は──
「ケンスケ!?生きとったんやな!」
「ユーロに居るとは聞いてたけど無事だったんだね」
この相田ケンスケという男はシンジやトウジの同級生で
かつてNERVの広報担当として縁の下を支えていた男だ。
数年ほど前から映画製作の取材も兼ねて各国の軍部に
取材をして回っており、ここ最近はユーロ連合軍を中心に
フランスやドイツ、イギリス等を訪問していた。
「あぁ。
2週間ほど前にユーロ連合軍取材のためにパリ市入りし
パリ市内のビジネスホテルを拠点に活動を行っていたが
それが幸いしコア化等の被害を免れたとのこと。
「親父やおふくろは無事か?」
「皆無事だよ。今頃は艦を降りてるんじゃないかな」
旧友との再会に5人は和やかな会話を交わしながら
仮設避難所が設営され続けるパリ市街を歩いていく。
「まだ少し時間に余裕あるし──」
「『支部に寄ってく』ね?」
「うん。頼んだモノと、天使達の様子も。」
エリゼ宮殿での対策会議までは時間があるとの事で
ZUKUNFT支部へ立ち寄る流れと相成った。
この事態が予測された時点で本部からパリ支部へ
建造を依頼していたモノの作業進捗チェックと
サンダルフォンを始めとするフランス支部に滞在中の
エンジェルズとの合流を行うのだ。
「ラミエルがアンタに会いたがってたわよ、レイ」
「私?また射撃訓練の勝負…?」
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──ZUKUNFTパリ支部、第1特殊格納庫。
「頼んでたモノは?」
「昨日何とか仕上がったわ」
格納庫とを仕切るガラスのマジックミラー効果が切られ
そこに収まっていた「依頼品」の正体が露になる。
「ほぇ~…懐かしいモンやな」
「もう18年前だものね」
その姿を見たトウジとヒカリは、シンジ達と共に使徒と
戦っていた時代を思い出し感傷に浸る。
"それ"はヴンダー級の補機として使われているモノと
ほとんど同じ形をした機体──
「新生使徒に合わせた調整が施された最新式のエヴァ
仮称、エヴァ・エンジェルズ──か」
全て合わせて4機、本来であれば今後建造される予定の
ヴンダー級の補機とするために建造されたエヴァであり
戦闘能力を持たされる予定は無かった機体だが
この非常事態を受け、エンジェルズに合わせた調整と
新設計の武装を搭載する形で完成したのだ。
「──3人目以降の選出も急がないとね」
エヴァ・エンジェルズのパイロットは現時点で
ラミエルとゼルエルが選抜されており、3人目と4人目は
まだ決まってはいなかった。
「………ラミエル、合流しました」
「碇本部長、僕をお呼びですか?」
シンジ達の元へそのラミエルとゼルエルが合流する。
サファイアの様に綺麗な青色の髪の女性が「ラミエル」。
かつてのレイを彷彿とさせる程に寡黙かつ無表情で
使徒だった時の名残か射撃スキルは目を見張る物がある。
ラミエルの隣に立つ体格の良い青年は「ゼルエル」。
争い事を好まず表情も穏やかで優しそうな容姿だが
力を司るというその名に恥じない凄まじい戦闘力を誇る。
「待ってたよ。2人とも」
ラミエルとゼルエルはエヴァ・エンジェルズ調整の為
ここパリ支部へ滞在していたのだ。
ラミエルとゼルエルのシミュレータでの戦闘を見ながら
事務的な会話を交わしていく中で、シンジは1人の旧友の
ちょっとした違和感に気付いた。
「──ねぇアスカ、ケンスケとの距離がやけに近いけど…
何かあったの?」
「へっ!?」
以前見た時より遥かに2人の距離が近いのだ。更に言えば
距離が近付き過ぎるとアスカが気まずそうな表情になり
縮まった距離が再び開く、これを何度も繰り返していた。
「なっ、何でも無いわよ!」
ケンスケとの関係について否定の言葉を口にするが
表情にはハッキリと動揺が現れている。
(…なるほど…おめでとう。アスカ、ケンスケ)
この時点でシンジは確信した。アスカとケンスケは
中々に"良い関係"になっているのだろう、と。
意外なカップリングに驚きつつも、ツンデレ気質な彼女の
鉄拳を避けるため心の中で2人を祝福した。
「──ケンケンはちゃんと"アタシ"の事見てくれてるし
何だかんだ体力あるし、軍事にも詳しいし…
料理も不格好だけど美味しいし、でも別に…っ!?」
混乱していたアスカは盛大に自爆した。
「アスカ?」
「い、言わせるんじゃないわよッ!」
「ぐあっ!」
「何でワシまで…ッ」
──顔を真っ赤にしたアスカの理不尽な鉄拳が飛んだ。
それを聞いてしまったシンジと、ついでにトウジにも。
「…元エヴァパイロットへの偏見、やっぱり辛くて。
アタシらしくないけど」
「うん。分かるよアスカ」
偉業を成した人物に課せられる宿命と言うべきか
畏怖や畏敬といった感情を向けられる事が増え
『サードインパクトによって広がったこの惨状も
かつての英雄であればきっと何とかしてくれる──』
人類文明崩壊の危機を前に民衆は使徒と戦った英雄達へ
そんな過度な期待を向けてくるようにもなった。
民衆に悪意は無いとはいえ、流石のアスカでもこれには
神経が少しづつすり減らされつつあった。
「渚のヤツは碇しか見とらんかったやろうし──」
「真希波さんは恋人というより親友だものね」
そんな中色眼鏡を通さずにアスカの事を見ることが出来て
ミリタリー知識で仕事の手伝いも十分にこなせて
サバイバルスキルで美味しい料理も振る舞ってくれる
ケンスケという存在は良き精神的支柱になっていたのだ。
「おっひさ~ワンコ君♪私をお呼びかにゃ?」
「マリさん!」
部屋の隅でいじけていたアスカが復活して少しした辺りで
赤いメガネを掛けた女性が格納庫へとやってきた。
名前を「真希波・マリ・イラストリアス」といい
エヴァ5号機のパイロットを務めていた経歴を持つ
ZUKUNFTパリ支部所属の女性だ。
「──サンダルフォンを連れてきたヨン♪」
マリがここへやってきた理由は、パリ支部に滞在中の
エンジェルズの一員であるサンダルフォンを
シンジ達と合流させるためであった。
「遅れてすみません、サンダルフォンですっ」
首にヘッドホンを掛け、楽器と流れるメロディの意匠が
あしらわれたフルジップパーカーを着た女性が
マリの後ろから駆け足でやって来た。
彼女こそがサンダルフォン、エンジェルズでも一二を争う
大の音楽好きにして兄弟達の事が大好きな癒し枠である。
「気分は平気なのかい?サンダルフォン…」
シンジは、サンダルフォンの精神面を少し心配していた。
サンダルフォンの耳にも、最愛の兄が死んだという報告は
入っている筈である。カヲルの事が大好きな彼女にとって
辛すぎる事実を突きつけられて参って居ないか──と。
「お兄ちゃんは…『僕が死ぬ時はシンジ君が死ぬ時だ』
っていつも言ってましたから。きっと…いえ、確実に
どこかで生きている──私はそう信じてます」
少しばかり気丈に振舞っている気がしなくは無いが
その目は絶望し切った者の目では無かった。
使徒サンダルフォンは、マグマの中という過酷な環境下で
NERV本部への侵攻を虎視眈々と狙っていた。
この子も同じように、辛い現実を前にしても挫けない
強い精神も持ち合わせていたな──と、シンジは改めて
彼女の精神の強さに感心したのだった。
──ところで。
サンダルフォンもエンジェルズの一員に共通する点として
特殊な能力や色濃い個性を持っている。
「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと
信じ抜く事♪駄目になりそうな時っ、それが一番大事♪」
マリと並んで常日頃から何かしら音楽を口ずさむ位には
音楽を愛してやまないのも彼女の個性。
"兄弟"を意味する名を持ち、天国の歌を司る天使──
名は体を表すとは言うが正にその通りと言わんばかりに
「サンダルフォン」の名が良─く似合っていた。
「~~♪…あれ?惣流さん──」
そしてもう1つ、サンダルフォンにも"特殊能力"がある。
彼女は"何か"に気付いたのかアスカの方へと近寄り──
「ご結婚なさるんですか?!」
「──ゔぇっ!?…ゲホッ…いきなり何よ?」
「惣流?俺何も聞いてないぞ?」
「えっ?アスカ結婚するの!?」
「おめでとう、アスカ」
「なっ、なんや!?ケンスケとでも結婚するんか!?」
何をどう解釈してそういう結論にたどり着いたのか
サンダルフォンからとんでもない爆弾発言が飛び出した。
別にアスカは左手薬指に指輪をはめている訳でもないし
衣服に既婚者を意味する意匠が施されている訳でもない。
なぜサンダルフォンはそう解釈したのか?とその場にいた
全員が彼女の話の"続き"を固唾を呑んで待つ。
一発目を超える爆弾が飛び出すとも知らずに──
「お腹の赤ちゃん、無事に産まれるといいですね!」
場の空気が一瞬、ビシッと凍り付いたように固まった。
「………マジ?」
「…サンダルフォンが言うって事は──」
恐らく当事者であろうアスカとケンスケは
喜ぶべきなのか慌てるべきなのか、困惑したままだ。
サンダルフォンが見抜いた通り、アスカは妊娠していた。
本人にさえ妊娠しているか確かめようのない時期だが
サンダルフォンにはそれが分かる。
その人が妊娠しているかどうか一発で見抜くことが出来
更には性別もエコー検査などせずとも外から分かる──
これがサンダルフォンの持つ特殊能力であった。
「おーおー、姫もとうとうお母さんかにゃ~♪」
「…そっか。アタシがママに、か」
衝撃の事実を告げられたアスカは大いに驚きこそしたが
密かに続けてきた自身の理想のパートナー探しに
そろそろ終止符を打ってもいいのではないか?と
軽く下腹部をさすってそう呟いた。
彼ほど良い男をもう1人探そうと思ってもそう居やしない
仮に見つかっても色々と遅過ぎる事になっていそうだ、と
そう思いながら。
「…惣流…いや、アスカ」
新たなステージへ踏み出す決意を固めたアスカのもとへ
改まった表情のケンスケが歩み寄ってくる。
「………何よ」
彼の口から出てくるであろう言葉は想像は付くとはいえ
アスカは彼の表情を見て、信じられない位緊張した。
それはもう、エヴァパイロットの最終採用テストの
結果発表時よりも何倍も何倍も緊張していた。
そして、永遠にも感じられる刹那の時が流れ──
「俺と…結婚してほしい…!」
「うぅ…っ!絶対!絶対ケンケンの事離さないからッ!」
アスカは大粒の嬉し涙を流しながら彼の手を取った。
「指輪、用意出来てなくてすまないな」
「気持ちだけでもっ…ぐすっ…十分嬉しいわよ」
相田ケンスケは王子様というには庶民的すぎる男だが
生涯の伴侶となる男とアスカは遂に結ばれたのだった。
この後アスカとケンスケは、部下達があっという間に
手配を進めた市内の高級ホテルへと送り届けられ
つかの間の休息を堪能することとなった。
「SEELEの企みは絶対にぶっ潰してやるんだから!」
「俺も何か出来る事を探してやらないとな」
この休暇をフル活用しアスカは極限まで英気を養う。
いずれやってくるSEELEとの決戦に勝利しなければ
この幸せはつかの間のもので終わるどころか
全てひとつになって無に帰ってしまうのだから。
──つづく。
アスカとケンスケが結ばれました。
本編開始時点では誰とくっつけるか未定で
なんなら未婚で自由に人生謳歌させようかな
なんて考えていたんですが…
「シン」を見て色々考えた結果
私はケンスケとくっつける事にしました。
また、現時点ではまだ全くの未着手ですが
アスカ×ケンスケのR18パートも
書けたら書こうかなと思っとります。
ラミエルちゃんとゼルエル君の活躍については
この後沢山書く予定なのでお楽しみに。