新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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新章第11話でございます。

封印柱復元オペの予定でしたがちょっち予定変更。
もう一本非戦闘パートを挟みました。
パリカチコミは次回以降に。



大暴走、再び

 

 

 

これは、レンとシイが正式にエヴァパイロットに任命され

最終決戦へ向けた準備が本格始動してすぐの事。

 

 

「対浄化結界型スーツ、ですか?」

 

「あぁ。全クルー分も含めて製造させるんだ」

 

シンジが製造を指示したのは、あの赤い大地を包む

強力な浄化結界(L結界)を無効化する特殊なスーツ。

 

これからシンジ達はSEELEと刃を交えるに当たって

新たなインパクトは必ず阻止する必要があるのだが

その場合、SEELEが拠点にしていると思しき

南極のカルヴァリーベースへ攻め込む事になり

結界密度の高い低空域が主戦場となる。

 

「…最悪サードの爆心地が戦場になるし」

 

「あー…確かに必要ですね」

 

交易ルートの利用頻度や物資の移動量を鑑みれば

決戦の地はカルヴァリーベースになるとの見込みだが

仮にそれが第三新東京市上空になってしまうと

サードインパクトの爆心地という結界の密度が

最も高いエリアでの戦闘になるのだ。

 

戦艦クルーや各パイロットが結界に耐えられなければ(コア化・LCL化してしまえば)

それこそ一巻の終わりである。

 

 

 

「赤木博士に依頼しておきますね」

 

シンジからの注文を受け取った若い本部職員が

当時エヴァのパイロットスーツの製造を担当していた

赤木リツコへ製造依頼を行うと返答する。

 

 

「ん?!…ちょっと待って?」

 

「…赤木博士がどうかしました?」

 

パイロットスーツおよびクルースーツの新調

そして赤木リツコの名を聞いたシンジは

己の脳内で強烈な警鐘が鳴るのを感じた。

 

突如難しい顔になった本部長碇シンジに

若手職員は首を傾げる。何の問題があるのか?と。

 

 

「そっか、NERV時代は知らないんだっけ」

 

「はい、私は。…過去に赤木博士が何か?」

 

「リツコさん…というかNERV組の大半かな」

 

支部の技術開発部へと向かいながら

シンジは少し昔話を始める。

 

 

「これ、誰だと思う?」

 

 

シンジが取り出したのは1枚の写真。

 

「シイちゃん…では無いですよね?」

 

「そうだね」

 

中央で非常に恥ずかしそうな表情で写っているのは

エヴァのパイロットスーツを着たとても可愛らしい子。

レンやシイにも似ていたが、その子の両隣には

14歳位だと思われる惣流中佐と、水色髪が特徴的過ぎる

本部長の妻碇レイもとい綾波レイが立っているため

少なくともレンやシイではない。

 

「………まさか!…本部長…ですかっ?!」

 

「あははっ………そのまさかだよ」

 

その"並び"からしてその少女らしき子の正体は

自分の隣を歩いている、長めの後ろ髪をラフに(加持さんの様に)束ね

軽く崩したZUKUNFTの制服を身に纏う碇本部長その人──

それに気付いた若手職員は大いに驚く。

 

 

「で、これを赤木博士が…と」

 

「まぁそんな所だね」

 

シンジが心配していたのは、スーツの新調をする際に

過去にされた様な「タチの悪い細工」を

自分のスーツに施されるのでは、というものだった。

 

30代の男を当時と同じように弄り回すとは

流石に思いたくは無いシンジだったが

今パリ支部に身を寄せている技術者達の中で

目的の品の開発に最も適しているのは

恐らくはリツコだろう。

 

「ま、頼むよ」

 

「はい」

 

不安は抱えながらも、シンジは新型スーツの製造を

リツコに依頼することにした。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

──数日後。

 

 

 

「本部長~赤木博士から呼び出しっす」

 

「…北上さん?今行くよ」

 

シンジは、最近ヴンダーの艦橋オペレーターとして

採用された、厚めの唇が特徴的な黒髪の若い女性

「北上ミドリ」から同行を求められていた。

 

要件としてはリツコからの呼び出しとの事だったが

彼女が言伝を預かっているのは中々に珍しかった。

シンジと良く仕事の連絡を取っているのは確かだが──

 

(何だろう?所属も分野も違うし…)

 

シンジは少しばかり訝しんだ。

 

リツコは1番艦ヴンダーの整備長なのに対し

ミドリは同艦所属とはいえ艦橋オペレーター。

受け持つ場所が全く違うため、リツコからミドリへ

声が掛かる事は連絡役だとしても滅多に無い。

何なら、リツコからシンジへ用事がある時は

基本的に向こうから直接連絡を取ってくるのである。

 

(嫌な予感するんだよな…)

 

シンジは猛烈に嫌な予感がしていた。

 

 

 

そして連れてこられたのは──

 

 

「……君達、僕をどうする気なのかな?」

 

支部技術開発部の"女子更衣室"。

 

「また可愛い碇さん見れるとか感激やわぁ~」

 

そして、いつの間にか真後ろに現れていた鈴原サクラ。

ミドリと同様最近ZUKUNFTに所属したのだが

彼女は兄共々医療班所属。尚更ここに居る理由は無い。

 

「やるよサクラ!」

「全力でやりましょ!」

 

「ちょ…ちょっと!2人とも…待っ──」

 

シンジは無情にも女子更衣室へ引きずり込まれていく。

 

 

 

「本部長マジ可愛すぎだって!」

 

「常にこっちでいましょうよ碇さん!ね?」

 

十数分程して更衣室から出てきたシンジは

20代女子2名による最先端のナチュラルメイクが施され

全くの別人のような姿へ変えられていた。

 

綺麗に整えられてまとめられたポニーテール

30代男性とは思えない様な柔らかそうな質感の肌

瑞々しさのある綺麗なピンク色のリップ──

これを男というには余りにも可愛い

素敵な女性へ変身していたのだ。

 

 

で、そんな美人本部長碇シンジさんは

首から上だけが女の子な状態のまま

ミドリとサクラに連れられていく。

 

「正直アタシちょっと悔しいんですけど…!」

 

「分かるわぁ~うちらと変わらへんもんな」

 

目的地はそう──

 

 

 

「あらシンジ君、待ってたわよ」

 

「やはりリツコさん貴方でしたか」

 

先日新型スーツの製造を依頼した赤木博士の元である。

 

伊吹マヤを初めとするNERV時代からの職員達も

とてもワクワクした表情でシンジを見ており

彼女達の手元には完成した新型スーツ以外にも

結構な種類の衣服が握られている。

 

 

「じゃあまずはこれからですね」

 

まずはマヤが件の新型スーツをシンジへ手渡す。

ヴンダー級2隻に乗艦するクルー全員に配布される予定の

制服扱いとも言える基本的な衣服であり

プラグスーツを開発元として作られた

黒を基調とするジャケット付きのスーツだ。

 

「貴方専用で作ってあるからサイズは丁度の筈よ」

 

「…上半身側がやたら重いのは気の所為ですかね!」

 

ご丁寧に特注したというシンジ専用のそのスーツは

手に取った瞬間、上半身側が重いと分かる謎の仕様。

ジャケットは別だというのにやたらと重い。

 

 

「これで男とか冗談っしょ!」

 

「ホント可愛いですよね、シンジ君は」

 

上半身側が1kgほど余計に重いそのスーツを身に纏うと

シンジの両胸には綺麗な双丘が形作られる。

 

母ユイ譲りか元々スリムで柔らかいシンジの体つきが

プラグスーツ特有のボディライン強調によって際立ち

そこに先程ミドリとサクラの手によって施された

最先端ナチュラルメイクが加わることで

ついさっきまでラフな雰囲気の中性イケメンだったとは

とても思えない美人女性へと生まれ変わっていた。

 

 

カシャッ!カシャカシャッ!

 

「ちょっ!撮るなってば!」

 

そして、そんな可愛い可愛いシンジさんを

リツコが、マヤが、サクラが、ミドリが──

その場にいた職員達が次々に写真へ収めていく。

 

「今更よ、諦めなさいシンジ君」

 

「そりゃあそうだけどさっ!」

 

既にシンジの可愛い姿は18年前から散々撮られている。

プラグスーツは勿論のこと、メイド服やNERV女性用制服

セーラー服にチャイナドレス、果ては水着まで──

更に言えば、シンジとレイが結婚式を挙げた時にも

レイの要望でウエディングドレス姿が撮影されている。

 

そう、完全に今更なのである。

 

 

 

「──次は船外活動用スーツね」

 

「う~わ、例のハっズイスーツじゃん」

 

今シンジが着ているのは船内用のスーツであり

リツコが今手渡したのが船外活動用である。

 

こちらは、より浄化結界の密度が高いエリアに対応する

気密性も高い物なのだが、ジャケットが存在しないうえに

デザインもよりボディラインを強調するものになっていて

ミドリが「絶対に着たくない」と評したシロモノ。

 

 

「ひょっとしてこれも──」

 

「勿論特注品よ」

「碇さんなら絶対似合います!さ、ほら!」

 

当然のようにこちらもシンジ専用の特注品。

いつぞや(「迫る終わり」)の新調スーツにもあったような

タチの悪い細工が随所に施された逸品だ。

 

「あぁもう分かったよ!最後まで付き合ってやるよっ!」

 

シンジは彼女達の暴走に付き合う事にした。

 

──教え子の事が大好き過ぎて仕方ない老人(冬月)

見た目の割に言動が昭和チックだった元同僚(マリ)

乱入してくる前に事を終わらせなければ、と。

 

 

 

 

 

しかし──

 

 

「やっほ~ワンコ君~~~っ♪」

 

「私がここに来ている事はユイ君には秘密で頼むよ」

 

今のシンジにとってSEELEよりも遥かに恐ろしい2人は

何処で情報を聞きつけたのか、ご丁寧に2人揃って

目の前に現れてくれやがったのである。

 

 

 

「NERV時代のシンジ君の写真、見ていくかね?」

 

「マジ?!ちょー見たい!」

「うちの知らない碇さんがそれに…!?」

 

冬月が手に持っている「秘蔵」と書かれたアルバムには

彼がNERV副司令を務めていた時代に収集した

碇シンジの様々な姿が収められていた。

 

エヴァに乗って使徒と戦う凛々しい姿も含まれているが

このアルバムのメインは彼の可愛らしい姿──

サクラやミドリら当時NERVとは無関係だった者達にとって

まさにお宝と言える様な、美少女碇シンジの姿が大量に

それこそアルバムの8割程を占めている。

 

「冬月先生!僕それ削除でって言いましたよねッ?!」

 

「すまんなシンジ君、如何せん歳なものでな」

 

わざとらしく白を切る冬月。

 

確かに彼はNERV副司令をしていた時で既に60歳と

ボケが現れていてもおかしくは無い年齢だが

元京都大学教授にしてNERVの頭脳冬月コウゾウが

使うにしては実に苦しい言い訳である。

しかし、目の前に立つ当人はそんなもの何処吹く風だ。

 

 

 

「姫といい君といい弄り甲斐があって最高だにゃ~♪」

 

「──君の揉んでるそれは作り物だよ?分かってる?」

 

冬月に文句の一つや二つぶつけるシンジに

艶めかしく絡みつき、シリコンで出来た彼のバストを

もにゅもにゅといやらしい手付きで揉むのはそう

相変わらずメガネが妖しく輝く真希波マリだ。

 

作り物だと分かっていてもそれを揉みしだいてやれば

彼は抱き着く自分を押し退けようとする力を緩め

ほんの少し顔を赤らめるのである。

実にからかい甲斐がある。それこそ、自分が「姫」と呼び

可愛がっているツンデレちゃんに匹敵する程。

 

 

「絵になるわぁ~碇さん♡一生の宝物にします!」

 

「ね。見ててドキドキするんだけどホント」

 

全身をいやらしく這い回るマリの手に悶えながら

冬月の持つ秘蔵アルバムを没収しようとする彼の姿は

場にいる多くの女性達の目を惹き付けていく。

 

サクラは恍惚とした表情を浮かべながら写真を撮り続け

ミドリも隣の友人に軽く引きつつも視線は外せていない。

 

 

「そのうち性転──ゴホンッ若返りの薬でも作ろうかしら」

 

「いいですね先輩、その時は私も力になります」

 

18年前からこんな光景に慣れているNERV組は

微笑ましい光景だ、といい笑顔を浮かべているが

その中でも昔からレズの気があるとの噂が囁かれている

リツコとマヤは何やら怪しげな会話を。

 

「そこの2人っ!余計なモノ作らないで下さいね?!」

 

「あらシンジ君、何の事かしら?」

「邪推は良くないですよ~?」

 

特にリツコは眼鏡がマリと同じ光り方をしているので

何かえげつない事を考えているのは確定的だが

こちらもまた何処吹く風で受け流されてしまう。

 

 

 

そして、彼女達の暴走の収拾が付かなくなってきた時──

 

 

 

「冬月先生…何をしてらっしゃるのですか?」

 

 

 

場の空気が絶対零度のように凍り付く声が響く。

 

その声はとても良く透き通った女性の声でありながら

それを聞いた者はそれこそ全身が凍り付いたかの様に

指先1つ動かせなくなってしまう。

 

 

「…あ~あ、僕じゃ止められないですよコレ」

 

唯一動く事が出来たのは碇シンジただ1人。

だがそんな彼でさえ、声の主を止めることは不可能。

 

 

 

「ははは。なに、ちょっとした戯れだよ」

 

冬月は己の肩に手を置く女性の方へ顔を向ける。

ただし、ギギギ…と錆び付いた音を奏でながら。

 

そこに居たのは──

 

 

 

 

 

「…すまない、私が悪かった。許してくれユイ君」

 

不気味なぐらい眩しい笑顔を浮かべた碇ユイだった。

 

彼女の笑顔は、冷徹だった頃の碇ゲンドウのメンタルを

一撃で打ち砕いたシンジの笑顔より遥かに眩しく

冬月は適当に軽口を叩いた事をひどく後悔した。

 

その眩しすぎる笑顔の裏には、地獄の鬼も裸足で逃げ出す

阿修羅をも凌駕する憤怒の形相が隠れている様に見える。

 

 

 

「シンジ。少し休んで来なさい」

 

「………母さん、程々にね?」

 

シンジは母に促されて部屋を出ていく。

 

冬月やリツコ、マリからの「助けてくれ」という視線が

背中に突き刺さっていたが、こうなってしまった以上

シンジに出来ることは彼らの無事を祈る事だけである。

 

 

「さぁ…"お話"をしましょうか」

 

「待ってくれユイ君!」

「ユイさん…悪かったわ」

「ちょ…ワンコ君…待っ──」

 

 

 

 

 

その日、件の事態の原因となった者達が──

中でも年長者に当たる面々がどうなったのかについては

シンジは知る由も無かった。

 

 

 

──つづく。





…まだWILLEクルーがシンで着ていたあの服を
出すのを忘れていたと気づきましてね。

シンエヴァ最大のツッコミ役登場。
彼女はインフィニティが誕生する前に
家族共々第三新東京市から避難しているので
あのピンク髪ではありませんし
シンジ君を恨む様な事はありません。
…ここの彼女がZUKUNFTに所属した理由は
それ程深いものでは無いかと。

あ、私は-46h本編は未視聴です。

特に予定変更とかがなければ
次回からは第二号封印柱復元編!
4444Cと44Bのお目見え…まで行くかな?
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