新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
44A達の登場回です。
今回と次回はほぼ戦闘パート。
・変更内容
細かい事ではありますがシャムシエルの乗機を
エンジェルズ1号機から4号機へ変更しました。
──パリ市街東部。
『目標地点到達。作戦開始時刻まであと300』
『120までにはゼルエルも出すんだ』
『2番艦、作戦コースへの投入完了』
『
ヴァンセンヌの森の一角、パリ動物園のすぐ近くに
深々と突き刺さった漆黒の柱を中心に
全長2kmを超える巨大戦艦が配置されていく。
シャルル・ド・ゴール広場に設置されている
「ZUKUNFTパリ支部第一号封印柱」から最も離れており
起動時の結界無効化範囲がほとんど重複しない
このヴァンセンヌの森の封印柱を「第二号封印柱」として
再起動させるべく、シンジらZUKUNFT主要職員達は
ここへ集結しているのだ。
「こちら4番機、配置に着きましたよォ。
ATフィールド干渉準備もオーケー!」
かつてのエヴァ零号機を思い出す様なデザイン──
新0号機をベースに青を基調とした塗装が施された
エヴァ・エンジェルズ4号機が、封印柱の傍らに立つ。
メインカメラユニットが新0号機と同型へ換装された
その機体を駆るのはシャムシエル。
特にATフィールドの操作に長けていることから
ラミエルの乗機である4号機を借り受けて
作業の補佐要員として出撃している。
『DSRV降着。脚部接地システム起動』
第二号封印柱上空に静止したヴンダーから
浄化結界対策が施された急造のDSRVが降りてきて
封印柱頂点部の制御ユニットへと着陸した。
「──結界密度は予定よりマイナス10、だいぶ薄いわ…
緑色の耐高密度結界型作業用プラグスーツを身にまとった
リツコがDSRVから封印柱制御ユニットへと降り立ち
浄化結界密度を測定する機器へと目をやる。
この密度の数値が高いと、耐結界スーツを着用しなければ
人間は5分と持たずにコア化ないしLCL化を起こし
命を落としてしまうのだが、第二号封印柱の付近は
リツコの視線の先にあるものの影響が及ぶからか
比較的結界密度は低めだった。
「復元オペの作業可能時間は当初の予定通りとします」
「900秒、ですね」
リツコに続いて、黄色のスーツを着たマヤが降り立つ。
彼女が口にした"900秒"という時間は作戦開始時刻から
復元オペのタイムリミットまでの時間だ。
尤も、すぐ近くに拠点があり後がない訳でも無いので
帰投時間も十分に考慮されている。
「これなら十分に行けそうですね」
「なんだよ、180秒位は短くなるって覚悟してたのに」
復元に用いる機材を持った男性作業員3人も
同じ様な男性用の黒いスーツを装備して降りてくる。
彼らは比較的最近ZUKUNFTに所属した若手ではあるが
赤木リツコ整備長の元で働く、期待のエース達。
十分に余裕が残されている今回の作戦を前に
慌てる事も無く機材をテキパキ配置していった。
「余裕ならこんなの着る必要ないっしょ~っ」
最後にDSRVから降りてきたのは、自身の藤色のスーツに
酷く不満気な表情を浮かべた北上ミドリ。
数日前、このスーツに対して「絶対に着たくない」と
嫌悪感を示していつつも、恐らく自分が着る機会は
特に無いだろうと思っていた彼女だったが
1番艦の艦橋オペレーターとして作戦のオペレートを
任せられた事で事態が一変。第一号封印柱の付近とはいえ
浄化結界のど真ん中に突き刺さっている第二号封印柱へ
直接出向く必要が出来たことで、この"ハズイスーツ"を
着用する機会が訪れてしまったのだ。
「文句は言わない!作戦開始まであと60秒よ」
「んもぉ~っ!分かってますぅ!」
──口では盛大に文句を言ってはいたが
ミドリも正式なZUKUNFTの職員、素早くモニター機器を
ヴンダーの観測システム等とリンクさせ
周辺環境のチェックを開始していく。
『では…第二号封印柱復元オペ、開始!』
通信越しにシンジからの作戦開始の号令が伝えられ
マヤ達が一斉に作業を開始する。
「…どう?
「ステージ4まではショートカット出来そうです」
「対浄化結界装置と基本は同じですからね」
マヤの問いかけに男達が余裕の反応を返す。
この封印柱はNERV時代から構造が変わっていないため
対浄化結界装置ではなくアンチLシステムと呼ばれる
人外未知の未解明システムで制御されているが
"それ"を解析して作ったのが対浄化結界装置である以上
アンチLシステムを起動する事は可能そうであった。
ステージ1からステージ5までの暗号化を解く訳だが
少なくともステージ4までは解析で判明している
ショートカットを用いて素早く復号を進められるのだ。
「復号作業、始めるわよ」
「「「はいッ!」」」
マヤの合図と同時に、全員が一斉にキーボードに触れ
猛スピードかつ滑らかに指を滑らせ始める。
──ピーーーッ!!
4人がステージ1の復号作業を開始した瞬間
ミドリの持っていた端末から警報音が鳴り響いた。
[BLOOD TYPE BLUE]
[Evangelion Mark.04 Code:
「やっぱり来ました!お邪魔キャラですッ!」
その警報音は、エヴァンゲリオンMark.04シリーズが
作戦の妨害に現れた事を示す警報であった。
遠く離れた空域に開けられた位相空間と繋がる穴から
凄まじい量の敵機体が飛び出してくる様子が確認出来る。
「…数はちょーいっぱい!4時方向から接近中!」
出現位置があまりにも遠すぎるため実感が湧かないが
エヴァと同程度のサイズはあると思われる
平坦な形状の"何か"が、文字通り夥しい数接近してくる。
で、その容姿というのが──
『何スかアレ?!Mark.04はこんなのばっかかよ!』
『分かるよ多摩君…4号機はカッコよかったのにね』
ヴンダーの艦橋で多摩ヒデキがそう叫んだ様に
前回戦ったMark.04シリーズ「Code:4C」と同じく
あれをエヴァンゲリオンとは認めたくない
異質な形状をしていた。
ざっくりと言うならば、両手足を大の字に広げたエヴァを
向かい合わせに2機くっ付け、それを青いビニールで
真空パックした様な意味の分からない外見。
両手足の先端にはドローンのローターに当たると思しき
回転するユニットが取り付けられていて
機体の頭部──があった場所には使徒サキエルと
同形状の仮面、そしてその中心からは
ロンギヌスの槍の先端部分が生えている。
「…見事な単縦陣ね」
「第一波、ヴンダー隊3番機との交戦距離に入ります!」
そんな意味不明な機体達は、リツコが呆れてしまう程に
綺麗すぎる単縦陣を敷きながら更に接近して来た。
使徒にも近い存在だというのに見事な群れを作るなど
最早それは新しい生物と言っても差し支えは無い程だ。
「迎撃を頼むわゼルエル。あと740秒保たせて」
「了解です」
リツコからの44A迎撃要請を受け、静かに配置に着いていた
エヴァ・エンジェルズ3号機が動き出す。
「ディフレクションウイング起動…!」
ゼルエルは機体のバックパックを起動させる。
すると、ウイング部が薄らと光を帯び
機体がふわりと宙へ浮かび上がった。
『──すまないねゼルエル、新装備テストが実戦で』
「いえ。戦闘は任せて下さい」
まだテスト稼働すらしていない新装備を
ぶっつけ本番で使わせる事になってしまった事を
シンジが詫びるが、ゼルエルはそれを気にも留めず
素早く戦闘の準備に取り掛かる。
「高収束荷電粒子ライフル装備、射撃開始!」
バシュゥッ!バシュゥッ!
腰部ウェポンラックに取り付けられていた
パレットライフルと同程度のサイズの
荷電粒子式ビームライフルを2丁手に取ると
それを44Aへ射掛けていく。
「……ッ!!」
──ビギュオンッッッ!!!
それだけでは無い。かつて使徒ゼルエルの必殺技だった
怪光線も、エヴァ搭乗時であれば使いこなす事が出来る。
威力はだいぶ落ちてしまっているが、それでも
信じられない火力を誇っている。
ドォンッ!ドォンドォンッ!!
「命中確認。引き続き目標を殲滅する」
ゼルエル機から放たれた2種類のビームに対し
臆すること無くATフィールドを展開して
真っ直ぐ突っ込んで行った44Aであったが
その防御壁が何か意味を成すことは一度たりとも無く
まるで紙っぺらの様に撃ち落とされていく。
44Aの第一波は、ゼルエルが放つビームを前に
意図も容易く殲滅されていった。
「第二波出現!数がさっきより増えてますっ!」
「了解」
しかし、44Aはまだまだやって来る。
第二波はミドリが言うように出現数が更に増え
殲滅される傍から増援が現れる。
「──44Aは3番機に釘付けです!」
そんな「戦いは数だよ」と言わんばかりの44Aだが
肝心の戦法があまりにもお馬鹿だった。
銃火器の一つも備えていない44Aの取る行動は
ただひたすらゼルエル機目掛けて突撃する事ばかり。
攻撃が飛んでくれば多少は回避を試みる様だが
それでも回避の成功率はほとんど無い。
「…ステージ3を突破!十二分に押してます!」
「一気に巻くわよ!」
そうこうしている内に封印柱の起動は進んでいく。
ショートカットを利用して一気に復号を押し進め
既にステージ4へ突入した。これを突破すれば
再起動を実行する為のステージ5の攻略に
取り掛かる事が出来るのだ。
マヤ達4人は更に指の動きを早めていった。
「第二波殲滅を確認!続いて第三波、来ますっ!」
ゼルエル機による荷電粒子ビームと怪光線
ヴンダー・ホフヌングからの対空砲火
ホフヌング直掩のレン・シイからの支援砲撃で
44A達はあっという間に第二波が殲滅され
続く第三波が現れる。
しかし、第三波は44Aのみでは無く──
ピピピピッ!
[BLOOD TYPE BLUE]
[≒ Evangelion Mark.06]
Mark.06と同じ形状をした緑色のエヴァンゲリオン
後に「グリューン」と名付けられるエヴァが
パリ市街を含む作戦エリアを取り囲む様に現れたのだ。
旧式ではあるもののパレットライフルを手にしており
生身であるマヤ達にとってそれは凄まじい脅威となる。
『2番艦を奴らの迎撃に回せっ!シェルターが無事なら
地上施設は多少損壊しても構わんッ!』
シンジもすぐさまグリューン達の対処へ走る。
パリ市街の避難民達はZUKUNFT支部の持つシェルターへ
避難訓練として退避させているため
今最も優先すべきはマヤ達の安全なのだ。
『レン!シイ!頼むぞっ!』
「任せてよお父さん!」
「やるわよ、レン」
臨時戦闘仕様として改修され、それぞれ名を
新1号機・新0号機と改めたレン達の駆るエヴァが
ホフヌングの艦首甲板に立ち、迫るグリューン達へ
大量の射撃を放っていく。
グリューンらは以前交戦したMark.07らと同様
飛行能力を有していたが、それ以外に特筆する点は無く
パレットライフルの狙いも非常に甘い。
「行っけぇッ!!」
「当てる…っ!」
バシューーーッ!!
新1号機と新0号機はこちらも実戦テスト前ではあるが
かつてシンジ達が使徒アラエルとの戦闘で使った
高火力遠距離武器「A.T.F.ランチャー」の改良型を装備し
コンスタントな長距離射撃を行うことが可能だ。
四方八方から押し寄せる44Aとグリューンの大群を
ゼルエルやヴンダー級2隻の対空砲と協力して
次々と撃墜する。
「ステージ4、全セキュリティ突破!」
「行けます副整備長!」
「焦らず詰めるわよ!」
レン達が第三波を殲滅し第四波との交戦を開始する頃には
アンチLシステムの攻略はステージ4をクリアし
残すはステージ5へのショートカット構築と
ステージ5復号のみとなっていた。
今押し寄せている第四波を乗り切る事が出来れば
第五波の途中辺りでアンチLシステムを起動させ
DSRVでヴンダー艦内へ退避出来るだろう。
そうなれば、残りのウェーブは煮るなり焼くなり
流れ弾の行き先等気にせず殲滅する事が可能だ。
「真希波さんッ!!」
『でかしたぞ
そして、その第四波に早くも王手が掛かる。
レン達によるレイ仕込みの牽制射撃に誘われた44A達は
1箇所に集められ、ホフヌングの主砲が向けられたのだ。
『…べらぼうめェおとといきやがれーーーッ!!!』
バシュィィィーーーンッッッ!!!
2番艦の火器管制を担当するマリの渾身の叫びと共に
桃色の閃光が青空を駆け抜け、進路上の邪魔者どもを
文字通り完全消滅させていった。
飛び回るグリューン達もゼルエルに軽く薙ぎ倒され
既に1機残らず殲滅されている。
『ふふん♪御茶の子さいさいよん♪』
第四波を綺麗さっぱり殲滅出来た事に喜ぶマリ。
──だがマリを含むZUKUNFTメンバー達は知らなかった。
この戦力が陽動でしか無い事など。
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
[
[
──バリバリバリーンッ!
「大物出ました!ボスキャラですッ!」
けたたましい警報音と共に位相空間から現れたのは
複数機のエヴァを組み合わせて作られた更なる異形達。
4本の触手状の脚部を有する土台に、腰から下が無い
エヴァが4機埋め込まれ、その4機が神輿を担ぐように
"
腰から上が無いエヴァ2機が発電ユニットを保持し
4444Cに付き従ってパレードの様に行軍する「
更に、これまた見覚えのある
計8機現れ、4444Cと44B達を守る様にして前へ躍り出る。
『シンジ君!これって──』
『葛城副長…まさかッ!?』
───ヤシマ作戦。
かつて第5の使徒ラミエルを撃破する為に
日本中から2億キロワット近い大電力をかき集め
陽電子砲を用いて超遠距離から狙撃させた必殺の作戦を
今まさにシンジ達はやり返されようとしていた。
──つづく。
予告にしか出てこなかったあの機体を
ちょっと出してみました。
Mark.06は今もゼーレの手の中なのでね
…で、結局アレは何だったんですかね?
次回、血戦。