新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
お久しぶりです…約1年ぶりですね
他の小説にかまけていたら
こんなに間が空いてしまった…
完結はさせます。なんとか完結させます。
どうか気長にお付き合い下さい
『『エヴァンゲリオン、発進!!』』
2隻の巨大戦艦から、ハヤタ作戦の根幹を担う
4体のエヴァンゲリオンが一斉に飛び立った。
レンとゼルエルが前衛に、シイとラミエルが後衛に立ち
Mark.06の再建が行われているであろう旧NERV本部を
攻め落としに向かうのだ。
「目標物を確認、最大戦速で向かう」
「了解。追加ブースターを起動」
4号機のウェポンラック増設飛行ユニットに装備された
三本の白い帯が少しばかり不気味な蠢きと共に束ねられ
ロケットブースターへと変化する。
これはかつてSEELEの本拠地であったドイツ支部の
強制捜査を行った際に押収された試作品で
当時のパリ支部が完成させながらも使用機会に恵まれず
廃棄されないまま収蔵されていたもの。
そして、そのブースターに火を入れて加速を開始した瞬間
旧NERV本部から何かが無数に飛び出し始めた。
「何だあれっ?!」
「少し…気持ち悪い光景ね」
目を凝らして見れば、まるで羽虫の大群が舞うように
白い何かがこちらへ漂ってくるような光景が見える。
しかし、しかしだ。まだ旧NERV本部までの距離は
凄まじい距離があるというのに、その敵機らしき姿は
砂粒サイズではあるが目視確認が出来る。
つまり──
『SEELE量産型エヴァを確認!数はちょーいっぱい!
計測不能ですっ!』
グリューンに次ぐSEELEの量産型エヴァである。
暫定的に「Mark.12 スケレットシリーズ」と名付けられた
痩せ細った骸骨頭のその機体は、ミドリが告げたように
ヴンダー級の索敵システムですら総数を数えきれないほど
おびただしい数が出撃してきていた。
「突破する…!」
「あぁっ!」
今雑魚に構っている余裕などは無い。
4人は各々機体に武器を握らせ、強行突破を図った。
「加粒子砲、いきます!」
口火を切ったのは、エンジェルズ4号機の加粒子砲。
カメラアイではなく青い結晶体がはめ込まれた頭部から
かつて二子山周辺を火の海へと変えた加粒子砲が放たれ
スケレットシリーズの大群に大穴を開ける。
加粒子砲の冷却中は手にしたA.T.F.ランチャー改弐型で
必要最低限の狙撃で邪魔になるであろう敵機を撃墜する。
以前レイに指摘された「狙いが正確過ぎる」という欠点も
ここでは絶大な武器となった。知能の低い量産機相手なら
回避先を読む事や敢えて射撃を外し敵を誘導する事も
それほど必要にはならないからだ。
ラミエルのワントリガーで2機、3機と敵が墜ちていく。
「シイ、援護を頼むっ!」
「任せて!」
レンが「大型切断武器デュアルサーキュラー」を手に
無謀にも正面から突っ込んでくる敵機を切り刻む。
スケレットシリーズはグリューン以上に知能が無いのか
分割し二刀流になったサーキュラーソーが
アクティブ状態で向けられていても突撃してきて
次々と切断──否、粉砕されていく。
大型武器を振り回す過程で生まれた隙はシイがカバー。
「3砲身ガトリング砲」や荷電粒子ライフルを使い
レンに取り付こうとしている機体を叩き落としながら
前方の敵機へ弾丸の雨を叩き込んでいく。
射線を向けられていようがロックオンされていようが
敵機は馬鹿正直に真っ直ぐ飛び込んでくるので
ガトリング砲を叩き込んでやれば十字の光が無数に輝く。
「ターゲット、ロックオン」
──ビギュオンッッッ!!!
そして、先鋒として獅子奮迅の活躍を見せるのは
力を司る天使の名を冠する男ゼルエル。
A.T.フィールドでコーティングされた黒い蛇腹剣を
自由自在に操って近寄る敵機の尽くを両断し
行く手を阻む敵機には鋭いツインアイから怪光線を放ち
まとめて塵芥へと変えていく。
新生し使徒としての力が大幅に弱まったエンジェルズだが
ゼルエルは力を司る天使の名を持っているだけあって
戦闘面においては比類なき実力を発揮するのだ。
「くそぉっ数が多すぎるっ!」
「破壊するのは必要最低限だけでいい」
しかし、敵がロクな戦闘能力を持っていないとはいえ
文字通り雨あられの如く飛んでくるとなると
すんなり強行突破させてくれる訳では無かった。
「くっ…邪魔…っ!」
「シイちゃん、大丈夫?」
このスケレットシリーズ、彼らはとにかく数出てきて
とにかくレン達目掛けて真っ直ぐ飛んでくる訳だが
攻撃方法はあろうことか"噛み付き"。
頭蓋骨そのままな上顎とどこか初号機にも似た下顎を使い
飢えた獣のようにエヴァの首に食らいつこうとして来た。
あとは強いて言うなら高速飛行からの体当たりだろうか。
一機一機は強くないし殲滅自体は容易な訳だが
一度取り付かれるとがっちりしがみついてくるので
ただひたすらに邪魔で鬱陶しい。
「──意地でも通さないつもりか」
「流石にキツイな…っと!」
そして、後方へ置き去りにしてきた敵機はというと
飛んで行った勢いそのままに集団の後方へと大回りして
戻っていき、またレン達目掛けてすっ飛んでくる。
しかもスケレット達は中々取り付けない敵機に焦ったのか
何千、何万という同型機達と共に蜂矢の陣──
超巨大な槍と見紛う様な陣形を形成し迫ってきた。
目標地点への最短経路を見事潰すように立ち塞がる
エヴァで形作られた凄まじい大きさの槍。
これには今まで冷静さを失わなかったゼルエルの顔にも
僅かに緊張の色が浮かぶ。
「あれを突破しようとするとっ!武器が何本要るかっ!」
武器自体はまだまだある。敵に食い込んで持っていかれた
デュアルサーキュラーの片割れ以外はまだ健在だ。
しかしあれほど密集した敵陣を強行突破するなら
どれだけの武器弾薬が溶けるか分かったものでは無い。
当然ながら侵攻速度も確実に低下してしまうだろう。
更に言えば旧NERV本部への突入に成功したとしても
Mark.06再建区画までにどれだけ敵機がいるのかも不明。
最低限の武器は温存しつつ最短で突破せねばならない。
「加粒子砲2射目、いきます!」
ドォォォォーンッ!!!
クールダウンの終わっていたラミエル機の加粒子砲が
先頭に立っていたスケレット達に直撃するが──
「くっ…」
「次から次へとっ!」
その"槍"を完全にへし折り切る事は叶わなかった。
確かにラミエルの加粒子砲はスケレット達を相当な数
跡形も残さず消し飛ばす事に成功していたが
何万も居る敵機の大群を吹き飛ばすには力及ばず
後続の敵機であっという間に陣形は修復されてしまった。
「なら!皆で力を合わせようっ!」
そこでレンが思いついたのは、同時攻撃。
「A.T.フィールドか」
シンプルながら非常に強力な攻撃手段だ。
「やるよ…!」
キィィ………ンッ!!
レンの声掛けで4機のエヴァが一斉に手をかざす。
その直後、目の前に眩く輝く虹色の光の壁が現れ
結晶体となって少しづつ渦を巻き始める。
「「「「うおぉぉぉーーーっ!!」」」」
4人が力を合わせて作り上げた"輝き"は更に強くなり
やがて1本の光の矢のようになっていく。
「行けえぇぇぇーーーッ!!!」
そして、灰色の大槍と光の矢が激突し──
ズドォォォォーーーンッ!!!
とうとう、槍がへし折れたのだ。
光の矢に貫かれた槍は砂粒が四散するように掻き消え
その直後、特大の花火となって光へ消えていった。
「このまま旧NERV本部へ突入する!」
最大の障害を突破したレン達はそのまま加速し
ジェットアローン達が開けた穴へと着陸する。
「よし…内部構造図をインターフェースへ投影」
「…地形は手を加えられていないわ」
ラミエルは不要になったブースターをパージ
各々閉所戦闘に合わせて装備を持ち替え
ここのどこかにあるエヴァ建造区画を目指す。
恐らくMark.06はそこで再建されているだろう。
そうして旧本部内を進み始めると、各機のセンサーが
施設内で蠢く何者かの反応を察知する。
[Unknown Moving Object]
エヴァではない、小型の物体。
「…来るぞ!」
「なっ…何だコイツっ?!」
それは、「腕」だった。
それで何を伝えたいんだ、と思われるかも知れないが
レンたちの目の前に現れたその存在はまさに「腕」。
コアと思われる球体にエヴァのウェポンラック2つと
腕2本をくっ付けただけの奇怪な存在だったのだ。
強引に識別名を付けるならば「アームユニット」か。
色は濃淡こそあれど全体がオリーブグリーン系──
つまり、Mark.06´グリューンと全く同じ色。
恐らくは建造段階で出た不良品をかき集めて
自律稼働するよう仕立て上げた急造品なのだろう。
「…邪魔っ」
2本の腕を交互に使って軽快に飛び跳ねてくるソレは
とにかく動きが不規則で振り払いにくい。
しかも──
ピッ…ピッ…ピッ…ピピピピッ!!
「は、離れろこのぉっ!」
ドォンッ!!
なんとエヴァに掴まると短い警告音ののち自爆するのだ。
幸い今掴まれたレンは警告音が鳴り終わる前に
ソレを振りほどく事に成功したが、厄介極まりない。
「パレットライフルで応戦しろ。先を急ぐ」
「分かりましたッ!」
とはいえ、こんな所で足止めを食らっている暇はないので
レン達は群がるアームユニット共を最低限蹴散らしつつ
最短距離でエヴァ建造区画へと急ぐ。
「少し下がっていろ。壁を破壊する」
ビギュオンッ!!
ゼルエル機の怪光線で壁をぶち破ってショートカットし
かつてはリフトを使って昇り降りしていたリニアラインを
エール・ド・アンジュの飛行能力にものを言わせて
素早く飛び降りていく。
ズドォンッ!!
そして、遂にたどり着いた。
「ここに…Mark.06が…」
広大なL.C.Lプールが広がるMark.06再建区画に。
「レン君、強制停止信号プラグを」
「…うん…!」
新1号機が腰に装備していた楔のような装置を手に取る。
起動すると十字へ変形するそれは、打ち込まれたエヴァを
問答無用で停止させる最終兵器。
たとえ過去に神に匹敵する力を得ていたとしても
ソレを打ち込まれている状態では「起動」すら出来ない。
そう、Mark.06もエヴァンゲリオンである以上
このプラグの効力からは逃れられないのである。
「あれね」
黄金色の泉の中央に鎮座するは、古き神の寝台。
自ら死を選んだ"本物の神"を再び蘇らせる祭壇。
第一使徒の魂を抱いたまま眠るMark.06がそこに──
「………いない…っ?!」
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「これよりSEELE戦艦群を討つ!陽電子砲再起動!
ファウスト右舷1番2番、エネルギー貫通弾装填!」
「了解!全回路接続、陽電子加速開始!」
「貫通弾装填完了、照準2番艦エアレーズング!」
「ヴーセからの砲撃が来る。黒き月を盾にしつつ
3番艦の背後へ回り込めるか?」
「はんっ!お茶の子さいさいに決まってるでしょ!
マリ!反撃のタイミング、任せたわよ!」
「あいよ〜♪全ては姫の仰せの通りに〜っ!」
レン達が本部内を攻略していた頃、南極海上空では
熾烈な艦隊戦が繰り広げられていた。
ヴンダーとホフヌングが相対するはSEELE戦艦群
1番艦ヴーセ、2番艦エアレーズング、そして
遅れて海底から現れたNHG3番艦「
超巨大戦艦による大気圏内でのバレルロールという奇策で
ヴーセとエアレーズングを激突させて時間を稼ぎ
遅れて出てきた3番艦を叩いたが、撃沈には至らず。
旧NERV本部が吊るしてきた黒き月を盾にしながら
砲撃の応酬を繰り返している。
「本部長!何かちょーデッカイのが出てきますっ!」
そんな激闘の最中、決戦の地に異変が起こる。
「何だ…あれは…?!」
ミドリが指差した辺りの海が隆起し始めたのだ。
ヴンダーなど比較にならない巨大な何かが
莫大な量の海水を押しのけて上昇しようとしている。
丁度今盾にしていた黒き月とほぼ同じサイズの何か──
「まさか…白き月か!」
そう、かつて第一使徒アダムが眠っていた「白き月」だ。
「SEELE戦艦群が戦線を離脱?!上昇していきます!」
それに合わせるようにしてヴーセらが離れていき
黒き月を取り囲んでいく。
ついさっきまで自分達へ猛烈な砲火を向けてきていた
NHGが3隻とも手の平を返したように無視し始めた事で
シンジもゲンドウも彼らの行動を訝しんだが
その"答え"は、すぐにNHGの船体から放たれた──
「…っ!光の翼!?」
真っ先に反応したのはミサトだ。
かつて三度見た、始祖たる存在が放つ翼。
この星に住む古き命に浄化をもたらす翼。
「フォースを起こすつもりか…!」
「しかし碇、槍は我々の手元にあるんだぞ?」
とはいえ、彼らがインパクトを起こすためには
決定的に足りないものがある。槍だ。
ロンギヌスとカシウス──2本の聖槍は1本にまとめられ
今もなお初号機の手の中。
槍が出てくる前に光の翼が出てくるなど想定外だった。
そう思っていると、白き月の直上で待機していた黒き月に
信じられない変化が起きる。
「黒き月の形が…変わる!?」
「──っ!まさか!新しく槍を作るつもりか!」
なんと、黒き月が真っ二つに割れたのだ。
あれ程巨大な物体が音もなく割れる光景も凄まじいが
そこから更に黒き月は形を変えていく。
仄かな赤い光を放ちながらねじれるように変形し
エヴァと同じサイズの新たな槍となったのだ。
「まさか黒き月を槍に変えるだなんてね…
でもフォースインパクトは起こさせない…!
主砲発射用意!損傷の激しい3番艦から沈めるッ!」
これ以上好き放題はさせない。
そう言わんばかりに、シンジが攻撃指示を出す。
「待てシンジ!NHGは4番艦まであるはずだ!
姿が見えていない今──」
今不在の4番艦については、シンジも把握している。
だがSEELEは急いで建造を進めていたのか
3番艦でさえ大した艤装も行われていない有様。
となれば4番艦はもはや飛ばすので精一杯なはず。
どちらにせよ、早急にいずれかの艦を破壊し
少しでもインパクト発動を妨害せねばならないのだ。
副長ミサトもシンジと殆ど同じ意見のようで
ヴンダーの全ての砲門を3番艦へと向けさせ──
ガシャァンッ!!!
直後、ヴンダーを凄まじい衝撃が襲った。
「ぐぅっ…状況は!?」
「なっ、何かに両舷第2船体を貫通されましたっ!!」
「主砲用エネルギー回路断線!システムダウン!」
「ファウスト両舷1番2番大破!応答しません!」
ついさっき見た事があるような鋭く尖ったものが
ヴンダーの両舷第2船体から突き出ていた。
「4番艦ゲベート…っ!?」
ヴーセらと全く同じ形状の鋭い艦首だ。
ゲンドウの危惧が現実となってしまったのである。
あのNHG4番艦「
他の艦にあった球体状の主砲は全く設置されていない。
シンジの予想通り戦う事もままならない状態だったが
戦艦での体当たりというまさかの攻撃手段によって
ヴンダーは主砲と対空砲を一手で失ってしまった。
しかし凶報は更に続く。
ピ---ッ!!
[New EVA-Unit Activation Signal Confirmed]
ここに来て新型エヴァの起動である。
「敵艦より新型エヴァの発進を確認!数は…12っ!!」
それがなんと12機も。
「見るからに敵側って顔だねぇ…」
量産機にそっくりな、翼を持つ12機の白いエヴァ。
それぞれ水、赤、白、紫のパーソナルカラーを持ち
手には鎌や杖、槍などの武器を手にしている。
何よりマリが「敵側」と評したように、彼らは全員
第3使徒とほぼ同じ仮面を身につけていた。
最後に──
[Evangelion Mark.06 Activation]
その締めとして、とうとう出てきてしまった。
レン達が無力化するはずだった、Mark.06が。
旧NERV本部からではなく、カルヴァリーベースから。
未知のエヴァンゲリオンと共に。
──つづく。
エンジェルズ4号機(ラミエル機)の増設ブースターは
原作Mark.09が装備していたアレと同じものです。
ゼルエル機の蛇腹剣は、近いものを挙げるなら
レギンレイズジュリアのジュリアンソード。
新型エヴァ
アポストルシリーズ。
仮面のデザインはサキエルのものより少し機械的で
目の穴のふちには上下にミゾが彫られている。
ミゾの位置は機体番号に対応していて
上下のミゾを結ぶとローマ数字が浮かび上がる。
次回から本格的にインパクト本番へ。
プロットは一応あるけど上手くいくか不安…。