新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作) 作:高橋ヒナタ
早くも物語の真相へ触れていきます。
ラミエル戦は次回。
新劇仕様で書くつもりです。
変形の表現、難しそうやね。
「これが使徒…!間近で見ると迫力ありますね。」
僕は第4使徒シャムシエルの死体を見に来ていた。
コアだけを一点狙いして倒したからなのか
光のムチを除いたほぼ全身がそのまま残っていた。
無論コアも砕かれてはいたが残っていたので
ここぞとばかりに調査に取り掛かっていたのだ。
「何か分かったことでもあったんですか?」
「残念だけどシンジ君、このとおりよ。」
「601…解析不能、と。さすが使徒ですね」
リツコさんと仮説研究室へ入ってみると
601というエラーコードがコンピュータに表示されており
ほとんど何も解析できなかったことを示していた。
「ATフィールドの調査結果は一定の成果が得られたわ」
隣りのコンピュータへ目を通すとそこにはシャムシエルの
ATフィールドの反応を記録したデータが映し出されている
本体を守るフィールドとは別にもうひとつ
ATフィールドの反応が出ているのだ。
「この反応は…アレですよね?」
「えぇ、使徒の光のムチ──」
リツコさんの解析によってシャムシエルのムチは
ATフィールドで作られたチューブの中に
使徒固有のエネルギーを充填しているものだと分かった。
「ひょっとしてATフィールドって…
単なるバリアってだけじゃあ無さそうだな
無限の可能性を秘めてるものだったりするのか?」
「あらシンジ君、奇遇ね。私も同じ考えよ。」
シャムシエルは翼やスラスターがある訳でもないのに
空中を泳ぐようにして第三新東京市へやってきたのだ。
それが使徒の持つ謎のエネルギーによるものでないなら
ATフィールドによって浮遊している事になる。
さらに言えばATフィールドは恐ろしく強固なので
板状に変化させて叩きつけるだけでも
相当な威力を発揮するのではなかろうか?
「リツコさん、ATフィールドの偏向制御をするような
システムって作れないですか?もし完成すれば…」
「ふふっ、難しいこと言ってくれるじゃない。
…でも良いアイデアね。まさに無限の可能性だわ」
自分のパソコンにもデータを送ってもらい
こちらでも色々解析や開発を進めていくことにする。
「相っ変わらず難しそうな話してるのね2人は」
ミサトさんも合流する。
「ねぇリツコ、他に何か分かった事ってあるの?」
「使徒の固有波形のパターンかしら」
画面を覗き込むと、使徒の固有波形パターンと
人間の遺伝子情報が並べられており
その一致率が画面端に映し出されているのだが
「99.89%!それって…エヴァと同じ!?」
猿よりも使徒の方が人間に近いということを示していたが
そんなことよりも重要なことが耳に入っていた。
「使徒とエヴァの波形パターンが同じ」という所だ。
「まさかエヴァって使徒のコピーとかだったりします?」
「シンジ君なら気付くわよね」
そしてリツコさんから語られたのは、エヴァが第1使徒
アダムや第2使徒リリスのコピーであるという事実だった。
ATフィールドが使えるのが何よりの証拠だ、と。
この話を聞いてかなり驚いたが、有り得ない話ではない。
毒を以て毒を制すという言葉があるくらいだ
相手は使徒、使える物は何でも使うしかないだろう。
「あぁ、面白くなってきたなぁ」
ここへ来てから新たな発見、面白い発見ばかりだ。
母さんと違って生物学や遺伝子工学は攻めてないけれど
エヴァのことを知るのは面白かった。
父さんと別れてからずっと人生の原動力にしていた
新たな発見とそれの理解で生まれる喜びは
やっぱりいいモノだと思いながら僕は調査現場を後にした
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『シンクロ率、前回よりプラス4.7%、平均84.4%です。』
『プラグ深度も前回よりプラス3です。これ以上は…』
『えぇ…シンクロ率を20%カットしてみて。』
シンジがしているのはいつものシンクロテストだ。
実はシンジはかなり深い領域でのシンクロをしているため
見ているモニター室の面々は正直ヒヤヒヤしている。
「……………」
シンクロ率が少しカットされたことで遠のいてしまった
エヴァとの繋がりを改めて深く意識する。
最初に搭乗して以降ずっと、あの時聞こえた声を
もう一度聞こうと思って色々試していたのだ。
『シンクロ率平均65.2%、プラグ深度変わらずです…。』
『やや問題ありかしら。シンクロカットを解除してみて』
『了解です。』
シンクロの深さが再び戻ってきた。
それと同時に一気にエヴァ側へ近づいて行く感じもする。
制限されていた反動だろうか、エヴァとの繋がりが
一気に深まっていく。これならもしかしたら
あの声を再び聞けるかもしれない。
そう思ったシンジは一気に意識を集中させて
エヴァの声に耳を傾けにかかった。
(…シンジ。)
(母さん!?)
僕はついに声がハッキリ聞こえる領域までたどり着いた。
しかし、閉じていた目を開けるとそこはプラグ内ではなく
無限に広がる青空と浅瀬の海だった。
少し先に小さな島があり、木が1本だけ生えている。
その木の下には見覚えのある人影が立っていた。
(シンジ、立派になったわね)
(…やっぱり母さんだ!!)
僕は思わず母さんのもとへ駆け寄っていく。
思い出の中にうっすらと残っている母さんそのものだ。
(母さんがホントにエヴァの中にいるなんて驚きだよ)
(今のシンジになら話してもよさそうね…私がなぜ
エヴァの中に居るのか。そしてあの人、お父さんが
何を目指しているかも。)
母さんは僕に色々と教えてくれた。
自分が人の生きた証を残そうと思ってエヴァに残ったこと
父さんは母さんに会うため躍起になっているであろうこと
そして、SEELEというNERVの上層組織が
人類補完計画──人の魂をひとつにまとめあげ
新たな完全生命体になるという計画を行うために
サードインパクトの発動を目論んでいることも。
(………僕は…僕はたとえこの世界に滅びの運命しか
無かったとしても、綾波と…皆と生きていたい。
もちろん、父さんや母さんとも。)
(…シンジ…)
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ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「っ!?シンクロ率、急速上昇!100%を超えます!!」
「何が起こったの!?」
「いえ…分かりません…シンクロ率依然上昇中!
120、160、240!!」
実験室に突然アラートが鳴り響いた。
シンジと初号機のシンクロ率が急激に上昇を始め
エヴァ側へ引きずり込まれていっている。
「プラグ深度、120をオーバー!これ以上は危険です!!」
「シンジ君!!!」
リツコはこの状況が何なのか予想はついていた。
最初に初号機へのエントリー実験を行った人物も
似たような状況でエヴァへ取り込まれてしまったのだ。
このままでは大切なエヴァパイロットを
NERV本部の唯一無二のエースを失ってしまう。
リツコは部下に指示を飛ばしつつ自身も対処へ走る。
「シンクロ率、400%!自我境界線が崩壊します!!」
「初号機パイロット、反応消失!」
しかし必死の対応も虚しく、彼はLCLに溶けてしまう。
エントリープラグ内をモニターする画面に写るのは
彼のパイロットスーツだけが漂う様子だった。
「何があったの…シンジ君」
しかし、落ち込んでいるヒマなどリツコ達には無い。
零号機がまだ動かせない以上、彼を取り戻さなければ
使徒の侵攻を防ぐことが出来ないのだ。
さらに言えばせっかく手を結んだ優秀なメカニックを
失うわけにはいかないという意味でも
シンジをエヴァから取り戻す必要があった。
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(ふふっ、あの時のゲンドウくんったら)
(母さんやっぱり見てたんだね)
まさか父さんと初号機ケイジで会った時の
母さんのマネを見られていたとは…それもそうか。
(勿論。初号機として聞いていたのよ。あの時はまるで
もう1人の自分を見ている気分だったわ。)
(伯母さんに教えてもらったんだ。父さんは母さんに
頭が上がらないだろうから──って)
父さんの所へ行くことがあったら──と教えてくれた
父さんに要求を簡単に飲ませられる方法だ。
(その格好するときはお父さんだけじゃなくて
冬月先生にも気をつけなくちゃだめよ?)
冬月、ということは副司令をやってるあの人か。
父さんよりもしっかり者ってイメージがあるけれど
副司令のどこに気をつければいいのだろうか。
(お父さんほどじゃないけどあの人も
私のことが大好きだったでしょうから。)
母さんが言うには、副司令は母さんのいた大学の教授で
教え子としてよく面倒を見てくれたらしい。
つまりは孫か娘のように想っていた人物が
帰ってきたかのように喜んでいる、ということか。
まぁ別に気にするほどの事でもないか。
(…シンジと話すのは本当に楽しいわね)
(うん。僕も楽しいよ。)
ここなら食べ物を食べる必要も寝る必要も無い。
今まで失った時を取り戻すように母さんと話をしていた。
特に形而上生物学は興味をそそられる内容が多く
長いこと話が弾んだものだ。
砂浜はここまで2人で指で書いてきた図面や計算式で
埋め尽くされていた。
もちろん、料理のレシピを聞いたりもしたし
可愛く着飾るコツだとかメイクのコツだとか
そういう類いのことも教えてもらった。
(………そろそろ僕は帰らなくちゃ)
(…そう、行くのねシンジ。)
(父さんにも話を通しておくよ。
………またね母さん。)
僕は来た道を戻るように浅瀬を歩いていく。
やがて周りが光に包まれると、眠りへ落ちていった。
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「ッ!?初号機パイロットの反応です!!」
「シンジ君!?戻ってきたのね!」
サルベージ計画の準備を進めていた初号機ケイジは
重苦しい雰囲気から一転、歓喜に包まれた。
ようやくサルベージ用の機器を取り付け終わった
そんな時にいきなりプラグ内にシンジが戻ってきたのだ。
いそいでシンジの容態をチェックさせれば
バイタルは問題無し、精神汚染も起きていないという
完全な健康体で帰ってきてくれたのだ。
リツコやミサトはホッと胸を撫で下ろしていた。
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シンジは初号機の中から帰還してからというものの
毎日ノートへ得た情報を元にエヴァの拡張開発プランを
特にフィールド偏向制御に関する設計を書き込んでいた。
この日も学校の昼休みを利用して屋上で書いていた。
隣ではレイがお弁当を食べている。
「んーっ、今日はここまでだな」
少し行き詰まったので一度手を止め、ぐっと体を伸ばす。
空を見上げれば雲ひとつない青空に
一機の航空機が飛んでいる。
それとあれはパラシュートか何かだろうか
何かが空を舞っている。
「…碇くん、こっちへ来ているわ。」
「えっ…ホントだ!」
確かにあのパラシュートは風に流されている。
しかもあのルートだと落下予想地点はここだ。
まっすぐこちらへ突っ込んで来ている。
「どいてどいてどいてぇ~~~っ!!!」
「うわあああっ!!」
「う~痛たた…あれメガネは?…どこいったんだにゃ~」
シンジはなんとか激突を回避することに成功したが
問題の落ちてきた高校生くらいの女の子は
そのまま校舎屋上の金網に激突しフラフラしている。
激突の拍子にメガネを落っことしてしまったらしい
シンジはすぐそこに落ちていたメガネを彼女へ手渡す。
「はい、これだよね?君のメガネ。」
「おっ!サンキュ~!よっこらしょっ……と?」
メガネをかけ直した女の子は顔を赤くして固まった。
(…どこかで見た光景だな)
「あれ…先輩!?先輩なんか小さくないですか?」
やはり誰かと間違えているらしい。
自分にそっくりで自分より背の高い人物といえば
母さんしかいないだろう。
この女の子が母さんとどう知り合いなのかは置いといて
まずは誤解を解いておく。
「僕は碇シンジ、君とは多分初対面だよ。」
「ありゃ!?まさかまさかのワンコ君!?
まさかこんな所で会えるなんて思わなかったよ!」
向こうは僕のことを知っているらしい。
僕がエヴァパイロットである以上NERV関係者には
その名前が知れ渡っているだろう。
しかしなんだろうか「ワンコ君」って。
「私はマリ。真希波・マリ・イラストリアス。
ユーロNERVからの応援でね。ホントは5号機と一緒に
来る予定だったんだけどワンコ君に会いたくってね♪
一足先に飛んできちゃった♪」
5号機という発言からして彼女もエヴァパイロットらしい
ユーロNERVということはパリ支部から来たようだ。
しかしそんなところからわざわざ僕に会いに
はるばるやってきたということは、彼女を惹き付ける
何かが僕にあるということなのだろうか。
「ねぇワンコ君、今日って本部へ行く用事ってある?」
「あるけどどうするの?」
「ついて行ってもいい?」
「あぁ…NERV関係者だし別にいいか。構わないよ」
とりあえずマリさんは第壱中学校から見れば部外者なので
一旦第三新東京市の観光にでも行ってもらった。
なんというかまた騒がしくなりそうな感じだ…。
「へぇ~これが5号機か。目が8つあるのになんというか
可愛いって感じるな」
「でしょでしょー!最初はモスグリーンだったんだけど
ちょっと無理言ってピンクに変えてもらったんだにゃ」
マリさんに5号機のデータを見せてもらっていた。
蛍光グリーンの目が全部で8つあり機体カラーはピンク。
まだ詳細は知らないが3号機や4号機と違って
遠距離重視で作られているとのことで
目標位置の計測や射撃誘導の精度はとても高いらしい。
「うぉ~これワンコ君が設計手掛けたの!?
N2リアクター…!凄いモン作るねぇ!
フィールド偏向装置もまた面白そうじゃないの!」
初号機や零号機のデータはすでに持っているとのことで
こちらからは開発中のN2リアクターや
ATフィールド偏向制御装置の設計図を見せてみる。
ある程度仕組みを理解してくれている辺り
彼女も聡明な頭脳の持ち主のようだ。
「……しっかしホント可愛いねワンコ君。
並の男ならイチコロなんじゃないの?」
「あーうん。ありがとう。並の男かどうかは知らないけど
ある意味でノックアウト出来た人物ならいたよ。」
母さんの知り合いかどうかを確かめるのも込みで
僕はカバンの中の1本のUSBを取り出す。
母さんと知り合いなら父さんとも面識はありそうだし。
そのUSBにはある2つの場所の監視カメラの映像が
記録されている。ひとつは初号機のケイジ内。
そしてもうひとつがケイジの上にあるモニター室だ。
『あなた、後でお話がありますから。
覚悟しておいてくださいね。』
『…………………』
「ぶはっ!あははっゲンドウくんじゃん!
いつも仏頂面だったあのゲンドウくんだよね!?
すっごい冷や汗してんじゃん爆笑モンだよコレ!?
ワンコ君、相変わらず凄いことしてんねー!」
そう、初出撃前の父さんとのやり取りだ。
どこから流れてきたのかは知らないが
NERV本部内で密かに話題になっている映像だ、と
ミサトさんからUSBで手渡されたのだ。
どこで知り合ったのか父さんとも知り合いらしく
笑いのツボにクリーンヒットしたらしい。
マリさんは腹をかかえて転げ回っている。
「あ~~笑った笑った、お腹痛いよまったく…
ワンコ君といれば面白いことに何度も出会えそうだね。
あらためてよろしく、ワンコ君。」
「こちらこそよろしく、マリさん。」
マリさんとガッチリ握手を交わす。
そしてマリさんはまた父さんと僕の会話を再生して
しばらく笑い転げていたのだった。
つづく
コネメガネ、胸の大きいいい女こと
真希波・マリ・イラストリアス、来日。
なお、彼女にもユイと間違えられたもよう。
5号機のデザインは8号機αのものを採用。
Q最序盤、US作戦で出てきた方
ヴィレカスタムじゃない方です。