新世紀エヴァンゲリオン 天才少年シンジ君(試作)   作:高橋ヒナタ

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本編扱いしますがちょっと短めです。
ほかの回の3分の2。

原作第7話を全く見たことがないので
オリジナルでストーリーを組ませてもらいました。
キャラも恐らくは崩壊しているかと。

ちなみに小話は文字数にして本編の約半分。


人の造りしもの

 

──旧東京。

 

セカンドインパクト後、世界中を巻き込む紛争の最中に

新型爆弾が投下され壊滅したかつての花の都だ。

今はビルの瓦礫が所々に見られる程度で

かつてあった華々しさは面影すら残っていないが

そんな旧東京を目指してNERVのVTOL機が飛んでいく。

 

「これがあの花の都とはね…」

 

ミサト、リツコ、そしてシンジは旧東京に設けられた

日本重化学工業共同体の試験場へと向かっていた。

そこで日重の作業用ロボット「ジェットアローン(JA)」の

試作機の稼働試験が行われる予定なのだ。

 

「歓迎はされないでしょうね、私たち。」

 

リツコは今回の招待にはあまり乗り気では無かった。

NERVは超法規的機関で非常に強い権限を持っているため

世間一般からの印象はあまり良くない。

この招待でもNERVへの嫌がらせを目論む組織が

何かしら面倒事をしてくれるだろうと予想していたのだ。

 

「大丈夫ですよ、きっと。」

 

シンジはそんな事は無い、と自信を持って言う。

彼が言うなら間違いはないのかもしれないが

リツコは一抹の不安を拭えずにいた。

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

[日本重化学工業共同体 特殊試験場]

 

旧東京でも比較的山間部に近いエリアに立てられた

JAの試験場に到着したNERV一行。

管制室などがあるだろうビルが異彩を放っている。

 

「碇シンジ様、赤木リツコ様、葛城ミサト様ですね?

お待ちしておりました。どうぞこちらへ。」

 

待っていた日重の職員に案内され、敷地内を移動する。

稼働テストの前にJAの概要説明を行う関係で

まずは管制室のある棟ではなく事務用の棟へ向かう。

たどり着いたのは広い会議室を改装して用意された

披露宴会場。

 

「NERV御一行様のお席は中央にご用意してあります。」

 

NERV御一行様、と書かれた札の置かれているテーブルは

大人数を想定したものが用意されており

豪華な食事やドリンク類などもキッチリ用意されている。

予想以上の好待遇にリツコは驚く。

 

「来てくれたんだな、シンジ博士。」

 

壇上に立って会話をしていた男が一人こちらへやって来て

親しげにシンジに声を掛けた。

ミサトとリツコはこの男を知ってはいたが

シンジとどういう関係なのかとても気になった。

胸元に掛けている社員証には

「日本重化学工業共同体代表 時田シロウ」

と書かれている。

この披露宴の主催者である日重の代表なのだ。

 

「お久しぶりです、時田博士!」

 

「久しぶりだなぁシンジ博士!」

 

2人は笑顔で再会の挨拶を交わしている。

 

「時田博士とは学会や論文発表会でも

よく顔を合わせていたんですよ。」

 

「まさか彼がNERVにいるとは驚いたものですよ。

2ヶ月ほど前に学会やらに顔を出さなくなったことで

界隈は結構揺れていたんですよ?」

 

とても親しげな様子の時田とシンジの姿に

ミサトとリツコは空いた口が塞がらなくなる。

それと同時にやけにNERVへの待遇が良い理由を知った。

 

「シンジ博士、N2リアクターの開発進捗はどうだい?」

 

「えぇ、順調ですよ。もうすぐ試作機が完成します。」

 

時田とシンジはお互いの研究の成果を

楽しそうに共有しあっている。

 

「やっぱシンジ君って天才なのね」

 

「えぇ、恐ろしい子だわ全く」

 

2人はシンジのハイスペックぶりを再認識していた。

そして、こうも思っていた。

彼に敵対視されていなくて良かった、と。

そうしなければ人類が滅んでいたとはいえ

かなりの強権を振りかざしてNERVへ連れてきたのだ。

彼であれば素直に従うように見せかけながら

NERVを内部から崩壊させることも出来ていただろう。

 

 

 

「さて、あと1時間ほどでJA試作機の稼働試験が始まる。

シンジ博士の参考になってくれると嬉しいよ」

 

そう言って時田は壇上へと戻って行った。

 

 

 

プロジェクタによってジェットアローンの姿が

スクリーンに映し出される。ジェットアローンは

使徒サキエルに近い体型をした人型のロボットで

赤と白のカラーリングが特徴的だ。

 

「これより、ジェットアローンの概要説明を始めます」

 

時田はジェットアローンの概要を語っていく。

──JAとは自然災害や紛争によって被災した地域の

復興を強力に支援する多目的ロボットである。

無人機であるため放射線災害などにも対応している。

 

「では、続いて動力源についてです」

 

今回稼働テストを行う機体は試作機であるため

核分裂炉を搭載しているが、正式採用予定の機体は

現在開発中のN2リアクターを採用することになっており

炉心融解による放射線事故のリスクも無い。

連続稼働日数もおよそ200日にもなる。

 

「続けて、機体を人型とするメリットですが──」

 

人間に近い形をしているため非常に柔軟な対応が可能。

マニピュレーターが人間と同じ5本指になっており

瓦礫の撤去作業なども丁寧に行うことが出来る。

この後の稼働テストでも実践する予定だが

山間部など地形状況の悪い箇所でも足を使って

問題なく走破することが可能な設計である。

 

「復興支援用にはピッタリな性能ね」

 

「これをエヴァでやったら大変な事になりそうね」

 

リツコとミサトはJAに確かな有用性を見出す。

仮にエヴァを復興支援に使おうと思ったら

その莫大な消費電力や整備性の悪さゆえに、

普通に復興するよりコストがかかる可能性すらある。

 

 

 

「…概要の説明は以上になります。」

 

「では、試験場管制室へご案内いたしますので

少々お待ちください。」

 

時田によるジェットアローンの概要説明は終わった。

シンジも時田の研究成果に感心しているのか

とても良い表情だった。

 

 

 

「NERVの御三方、少しいいですかな?」

 

「時田博士、どうしたんですか?」

 

概要説明が終わった時田がシンジ達のもとへ歩いてくる。

 

 

「私は近いうちにNERVへ移籍したいと思っているのです」

 

時田は自分を日重から引き抜いて欲しいと言ってきた。

NERVが世界のために謎の巨大生命体と戦っているのなら

我々もそれを支援すべきだとして日本政府へ

追加予算の申請をしたのだが、日重がNERVへつく気なら

資金援助を全て打ち切ると脅されたとのこと。

それがNERVへ移籍する事を考えていた理由だった。

 

「世界の危機を前にしても下らない争いをしているような

醜い役人どもの下には付いていたくないですから。」

 

「………分かったわ。上層部へ掛け合ってみるわね」

 

「感謝します。」

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

『ジェットアローン、起動しました!』

 

全身を固定していた安全装置が解除され

キャリアーから降ろされるとJAがついに動き出す。

 

『歩行試験、開始』

 

今はまだ敷地内の平坦な場所を歩いているため

JAの歩行速度はエヴァの歩行と比較しても

決して見劣りしないくらいには速度が出ている。

 

『続いて、山間部歩行試験を開始』

 

JAは敷地内から移動し山間部へと向かっていく。

この試験場からもJAの姿は見えているが

映像中継用のヘリが飛ばされているので

JAの歩いている姿をハッキリ見ることができる。

 

「随分しっかり歩けんのね、JA」

 

山間部へ入ったJAだが、歩行速度こそ落ちたものの

そのバランスを一切崩すことなく歩いている。

傾斜や岩石地帯にもキッチリ対応出来ており

被災地への派遣は全く問題無さそうだ。

 

『山間部歩行試験終了、損傷率も問題無し』

 

山間部から帰ってきたJAの脚部は泥まみれではあるが

大きな損傷を負っている様子はない。

 

『続けて、作業試験に移ります』

 

JAは敷地内に用意されてあった瓦礫の山へ向かう。

瓦礫の山にはダミー人形が埋もれているらしく

それに大きな損傷を与えずに取り出すのが

この試験の内容のようだ。

 

JAは指先で器用に瓦礫をつまんで退かしていき

数十秒もしないうちにダミー人形が取り出された。

ダミー人形はしっかりと原型を維持している。

あれの強度は人間とほとんど同じで作られていると

解説していたので試験は合格だろう。

 

『専用輸送コンテナの離合試験を開始』

 

JAの両肩に用意されたマウントラッチへ

専用の大型輸送コンテナが接続される。

JAはその状態で少し歩いてみせ、こんどは接続を解除し

コンテナを取り外していく。コンテナは大容量なので

物資輸送の面に関してもかなりの性能のようだ。

 

『被災地への電力供給に関しては──』

 

さらに電力供給機能も実演される。

JAはN2リアクターの搭載を予定されているが

機体稼働用の電力をすべて外部出力へ回せば

大規模な避難所などであってもその電力需要を

1年分近くを賄うことも不可能ではないだろう。

腰部へ専用コネクタを接続することで

様々な形式で電力供給が行えるとのことだった。

 

 

『─以上でジェットアローンの稼働試験を終了します』

 

JAの稼働試験は特に事故などが起こることも無く

予定通り終了したのだった。

 

 

 

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「シンジ博士はエヴァの武装開発もしてるんだって?

凄いことやってるじゃないか」

 

「はい、結構楽しいんですよ」

 

「時田博士のJA、もとい大型の無人作業機械の話は

僕もよく耳にしてますし凄いと思ってますよ?」

 

「そいつは嬉しいねぇ」

 

完成披露宴と稼働試験が終わり、静かになった会場で

時田とシンジは軽く会話をしていた。

2人とも今回の完成披露宴は有意義なものだったのだ

お互いに嬉しそうな顔をしている。

 

「時田博士がNERVに来る時を楽しみにしてますよ」

 

「私もNERVへ行くのが楽しみだよシンジ博士」

 

宴会ホールには時田とシンジのやや黒い笑い声

そしてミサトとリツコの苦笑いが響いた。

 

──このあと、時田シロウと彼を慕う部下数名は

リツコらの奔走によって無事に引き抜かれ

シンジと手を組んでNERV本部を改造しまくるのだが

それはまだもう少し先のお話。

 

 

 

                      つづく




時田シロウの口調や性格を知らないので
思い切ってオリジナルで書きました。
公の場では誠実で、親しい人とはフランクに。
口調は中の人繋がりでヤザン・ゲーブルを
参考にしてあります。

JAは運用コンセプトを変えれば
かなりいい機体になると思うんよ。
追加したのは肩のコンテナ用コネクタと
腰の外部用ケーブルコネクタのみ。

次回からいよいよ「アスカ来日」です。
お楽しみに!
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