【旧バージョン】QOLのさらし場所   作:QOL

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旧版【妄想戦記】多分十九話から二十一話、USN編ラストまで

 

 

「オウノウ、髭だるまか・・・」

 

 

 

 

―――妄想戦記―――

 

 

 

 

 

やぁみんな、相変わらずしぶとく汚く生き残っている転生者フェンだよ。

何気にあの部隊全滅した戦いから数カ月が経過しました。

戦線が緊迫しているお陰なのか、部隊を全滅させた俺にはお咎めは無かった。

 

あるとすれば今までの戦闘での功績が剥奪された位である。

そして部隊が再編するまで待機と名目上相成った。

その為空いた時間を訓練や事務にいそしんだ訳だが…主に事務関係に殺されかけた。

 

他にも、何気に顔見知りが増えたりして、俺なりにこの生活を続けていた。

だが、俺の中には小さいながらも、とある感情が燻っていた。

それは・・・憤り。

 

信頼出来た部下の殆どが、OCUだと思われる敵兵に皆殺されてしまった。

しかも自分が殺し切れなかった所為で、あわや優秀な副長まで失うところだったのだ。

己の未熟さと馬鹿さを呪いたい気持ちでもあったのか、最近更に表情が硬くなってしまった。

 

何とも馬鹿らしい話だ。自分は今だ未熟であると思うが、人間の心まで失いそうである。

このままでは社会復帰も難しい事になってしまう事であろう。

純粋な戦闘マシーンになりそうで怖い・・・実はこれは陰謀じゃ無いのか?

 

「・・・ハァ」

 

全く持って馬鹿らしい・・・そして、そんなチンケな事を考えられる自分が恨めしい。

任務が無いと余計な事を考えてしまう自分にイライラする。

 

「あーもう・・・やってられん」

『マスター、訓練の時間です』

 

鬱だろうがなんだろうが、軍の規定により兵士は一定以上の訓練をする事が義務とされている。

当然俺もそれが習慣化しているので、重い足取りで部屋から出ようとした。

だが―――

 

≪コンコン≫

 

「?」

 

誰だろうか?今現在俺のところに来る人間はいない筈だ。

大体俺、部隊再編までは緊急事態にでもならない限り、名目上部屋で謹慎みたいなモンだし。

まぁ立っていてもしょうがない為、とりあえず扉の鍵を解除した。

 

 

………………………

 

 

…………………

 

 

……………

 

 

………

 

 

―――――そして俺は今、何故か知らんが髭のおっさんと二人っきりである。

あ、ウホっでは無いので安心してくれ・・・そうでなかったら逃げてるわい。

 

「―――君が最年少の隊長とラーダー中尉かね?」

「“元”・・・ですがね」

 

現在は隊長職では無いのだ。

なので今の俺は隊長室じゃなくて普通の士官室に住んでいたりする。

 

「・・・で、あなたは?」

「おおっと、こちらも名乗らないとフェアじゃないな。俺はヘクター・レイノルズとある部隊のしがない部隊長をやっている。ちなみに階級は少佐だ」

「失礼いたしました」

 

俺は慌てて敬礼を取る。

この髭親父は何かフランクな態度だが、一応こっちの方が階級が下である。

対外的にもきちんと敬礼をしなくてはならないのである。

 

「・・・敬礼はしなくていい。俺は固ッ苦しいのは嫌いだからな」

「ですが・・・」

「なら俺の前では普通にしていろ。命令だ」

「わかりました・・・・で、ご用件は?」

「順応が早いなオイ」

 

だってそう言う命令だし、命令なら仕方ないじゃ無いッスか?

しかし、ヘクター?・・・どっかで聞いたような?

 

「ま、要件はな?・・・お前の部隊が全滅したことに付いてだ」

 

その言葉に、思わず身体がビクンと反応してしまう。

あのことは、軍の中でもごくわずかな人間しか知らない筈だ。

敵魔導師の亡きがらも回収されたとは聞いたが、詳しい話は俺も知らない。

 

「・・・その件は既に裁断が下されており、自分にはソレを喋る権限はありません」

 

――――なので俺はこう返すしかない。でも何故軍の中でも内々で処理された事を知っている?

 

「ふん、大方上の連中に口止めされているってとこか」

「・・・・」

「まぁこの件は俺の管轄でもある。上の連中もそう文句はいえんから安心して話せ」

 

 

この件が管轄?上の連中が文句言えない?

あれ?そう言えばヘクター・・・っあ!!

 

「・・・“バーゲスト”」

「なんだ、俺の部隊の事をしてっていたのなら話は早い。ま、そう言う事だから知っている事を全て述べて貰おうか?」

 

バーゲスト、俺の元いた世界のゲームフロントミッション5に登場する部隊の名前。

『ソーコム直轄、特殊機甲分遣隊、通称バーゲスト』がゲームでの名称だ

ちなみにこの部隊が出来るのはもうチョイあとの筈なんだが、この世界では既に存在している。

この世界では『中央情報部直轄、特殊魔導師分遣隊、通称バーゲスト』となっている。

 

最初軍の資料にバーゲストの文字を見た時、嫌幾らなんでもまだ早いだろ?

とか突っ込み入れた事をよく覚えている。

そうかぁ、なんか見た事あるかと思ったら・・・ヒゲダルマの人か。

てことは、最初から俺が誰とか事件の事全部知ってたな?この髭狸。

 

「事件についてはお前が出した意見陳述書しか目を通しとらんぞ?」

「・・・声に出してましたか?」

「いや、顔見れば解る」

 

・・・・スゲェなバーゲスト。俺鉄面皮で通ってるのに。

しかしまぁ、とりあえずだ。

 

「はぁ、あんまり思い出したくは・・・無いんですがね」

「すまんな」

 

素直に起きた事を全部話すことにした。

このおっさん敵に回したら流石にヤバいからなぁ。

 

***

 

「―――――コレが起こった事の全てです」

「ふむ、たった一人の魔導師による惨殺。しかもデバイス無しか・・・同じだな」

 

あの時の事を全て話した俺。

トラウマってワケじゃないが、あんまし思い出したい事じゃないの思い出すのは苦だな。

 

「同じ?」

「・・・まぁ、あの“ラプター”を親に持つ貴様になら話しても良いか」

 

あのラプター?もしかして母上の事かな?

 

「貴様が交戦した相手。アレはOCUの連中じゃ無い」

「・・・成程」

「驚かんのか?」

「いえまぁ、うすうすは感じてましたし・・・」

 

どう考えても正規軍じゃない上、無理やり見かけだけOCUだったもんなぁ。

大体バリヤジャケットの設定は簡単に変えられるから、見た目の変化は重要じゃ無いし。

それよりも――――

 

「このご時世・・・デバイスを使っていないヤツは見ませんから・・・」

「ソレも含めて、とある話しをしてやろう」

 

髭狸から話されたのは、所謂国家機密、しかも暗い部分に近いところの話だった。

この世界にデバイスおよび魔法関連技術が持ち込まれて幾年。

各国はデバイスの開発に余念が無く、戦争も相まって技術的進歩は恐ろしい程だった。

 

そんな中、更なるデバイスの運用法として考えられたのが、術者とデバイスとの直結。

タイムラグを無くせるという画期的な方法――――

 

「我々はこうよんでいる。―――“S型デバイス”と」

「S型デバイス?」

 

――――それこそ、人間工学、生物学、医学、魔法技術の粋を集めて考えられたデバイスである。

 

通常のデバイスともっとも事なる点、ソレは脳と直結する事により、

デバイスそのモノをもう一つの魔法専用の補助脳にしてしまうというもの。

人間自体がデバイスとなると言っても良いだろう。

 

魔法を使うという行為自体が手足を動かすと同じである為、タイムラグが無いのだ。

おまけにデバイスのセンサー類もダイレクトで術者にフィードバック出来る為、

近~遠距離接戦に置いても、通常の魔導師のソレをはるかに上回る能力を有する事になった。

 

ある意味でベルカ式のユニゾン型デバイスとはコンセプトこそ似ているかもしれないが、

全く別の技術と観点によって生み出された新デバイスであると言っても良い。

外見的にもデバイスは保持している様には見えないのも特徴である。

 

何せ人間の脳自体、デバイスなのだから他に余計なモノを持つ必要が無い。

そして、簡単外科手術によって、少しでも魔力持ちの人間なら誰にでも扱えるようになる。

自分の思った通りに魔法を扱えるのだ。最初から歴戦の魔導師を手に入れる様なものである。

 

おまけにセンサーのフィードバックの影響からか、本人自体の視覚・聴覚などの感覚器も、

S型を使えば使うほど、鋭敏になっていくという。

 

――――何という・・・フロミ成分。

というかデバイスを使っていなかったじゃなくて、本人がデバイスだったのか。

 

「だがその分、我々には問題もある」

「我々?問題?」

「そう、我々だ。生体デバイスと化す以上、常にデバイスを起動し続けるという事になる」

 

ヘクターは己の頭を指しながらそう言った。

見れば彼の頭にも、銀色に光る小さなプレートの様なものが付いている。

 

「常にセンサーからもたらされる膨大な情報を処理する事になる。ようは脳を酷使するんだよ」

 

そう、それこそこのS型デバイスの最大の弱点。

長期的な面で見た場合の魔導師への負荷量の高さだ。

 

「他にも無理やりリンカーコアから魔力を引き出したりする。コレも負担がデカイ」

 

通常待機状態でのデバイスの魔力消費量は、通常魔導師が普段垂れ流しにしている余剰魔力とそう変わらない為、戦闘状態で無い限り魔力に置ける負担はそれほど高くは無い。しかし、それ以外の肉体と精神の面に置いての負担量は、常人のソレをはるかに超えるらしいのだ。

 

「考えても見ろ?鋭敏になった感覚の所為で、寝ていてもネズミの足音すら感じ取れるくらいなんだぞ?」

「それはまた・・・」

 

―――とてもじゃないが気になって眠れないだろうな。

 

「だがその程度ならまだいい。センサーを切れば良いし、最悪薬に頼るって手もある」

「問題はもっと別だと?」

「その通りだ。S型には向き不向きがあるらしく、時に精神障害、記憶喪失を引き起して行く。我々にとって、普段の日記は日々失われゆく己を保つモノとなる事もしばしばだ。まぁ症状にはピンキリだから、俺の場合はそれほど酷くは無い」

 

対象者への心身の安全を考慮しないデバイス。

ある意味人道から外れた“兵器”と言えるものである。

何せそれ程高い魔力持ちで無くても、対人戦スキルを高めた人間なら即戦力になれるのだから。

 

「お前も見ただろう?敵の異常性を・・・」

「・・・・」

 

まるで支離滅裂、と言うか狂っていた。

いや、だが・・・

 

「レイノルズ少佐、質問があります」

「何だ?言ってみろ」

「・・・あの敵は、狂っていたと思われますが、何故ソレで軍事行動が取れるのでしょう?」

「ソレは正解であって正確では無いな」

「というと?」

「アレは軍事行動を取るんじゃない。取らされるんだ。脳に入れられたデバイスによってな」

 

予想していた事ではあったが、実際聞くと胸糞が悪いなんてもんじゃない。

つまり、あの敵は最初から人形であったという事なのだ。

 

「デバイス自体が脳と直結しているからな。理論上デバイスを介して人間を操る事も可能な訳だ」

「・・・かなりの軍事協約違反・・・ですね」

「もっとも、こちらでもおんなじ研究がされていた。一概にどっちが悪いとは言えんがな」

「?・・・少佐もその?」

「ああ、その時の生き残りだ・・・さて、そろそろ俺は行かなきゃならん」

 

部屋の時計を見れば、長針が一回りするくらいに時間が経過していた。

レイノルズ少佐とはそのまま一言二言喋り、部屋を出て行った。

 

***

 

「はぁ・・・」

『マスター先ほどの話は・・』

「ヴィズ、さっきの話は記録容量から削除しておけ。完璧に機密情報だアレ」

 

どう考えてもヤバいなんてもんじゃない。

ヘタすると、あの敵とまた戦わされるとかされるぞ。

 

『了解しました。ところで、どう思われます?』

「・・・半分ウソ、半分ホント。フィフティフィフティ・・・だ」

 

恐らくエサを巻いて、大きな魚釣りをしようって腹だろうさ。

このタイミングで話しかけるという事は、俺に敵討ち的な何かを促そうとしたんだろう。

俺のバック・・と言うか親は軍上層部に食い込む人物だし、人脈を作っておくにも悪くない。

 

「まったく・・・本当に狸だ」

 

あいにくだが、部下が死んだ事は確かに哀しし悔しいが、俺は仇討する程の度胸は無い。

この戦争が終わるまでは・・・と言うか今すぐにでも隠居したいくらいだからな。

 

「少なくとも・・・俺はアレの話には・・・乗らない」

『・・・記録削除します』

 

ああ、もっと平和で平穏に暮らしたかった。

生き残る為に必要だと思って力をつけて見たが、結局災いしか来ないんだよな。

過ぎた力は身を滅ぼすっていうけど、力がある時点で身を滅ぼしてるよ。

 

「・・・もしかして、モーガン生きてんのか?」

『マスター?』

「・・・今のも削除しておけ。今日は・・・やっぱり寝る」

 

最悪だ。全く持って最悪だ。と言うか転生しての特典が強すぎるからなのか?

ああ、この世界だとOCU側だろうけど、縁側とお茶が欲しいよぉ。

 

ストレスで胃袋がマッハでピンチだよ。

恐らくフラグ来てるけど、ぜっていイベントはおこさねぇからな。

 

「平穏が欲しい」

『同意します』

 

俺は痛む胃袋と共に、今日はかなり早めに床に付いたのであった。

 

***

 

 

 

・ある日の通信回線ログ

 

 

 

『ようラプター、久しいな?』

 

『レイノルズ、私をその名で呼ぶな』

 

『誰だかわかればそれでいいじゃないか?まぁそれはさて置き面白い情報があるんだが聞くか?』

 

『ソレは私にとって利益が出る話か?それとも損失か?』

 

『さて、そこら辺はお前が判断する事で・・・こっちの量分じゃ無いな』

 

『・・・まぁいい、聞かせてみろ面白い情報ってヤツをな』

 

『お前さんの子供が軍に居る』

 

『・・・・・・・・あー、レイノルズ。ジョークもほどほどにしといてくれると嬉しんだが?』

 

『俺はジョークは言うがウソは言わんぞ?気になるんなら確認して見れば良い。それじゃあな』

 

『お、おい!レイノルズ!!・・・切られた。―――とりあえず確認してみましょう・・・。』

 

 

 

 

 

 

――――この数日後、USN軍の人事をつかさどる部署に所属する人間が、何人か消え去った。

 

 

行方不明となり、軍当局も捜索したが何の手がかりも見つからず、OCUのスパイの仕業かと思われた。だが数日後、行方不明者たちはあっさりと見つかった。しかし全員心神喪失状態であり、運よくも意識があった一人は“弾幕が・・・空が落ちて・・”と言って、そのまま意識を落し、現在も意識不明である。

全員極度の精神的なストレスにさらされたとの診断結果であったが、結局全員口を聞けぬ状態にあり、当事者以外何が起こったのか解らないまま、戦争中で操作が出来ず、この件は迷宮入りとなったのであった。

 

 

 

「連中には幻術をかけて、心神を喪失してもらったよ」

「そう、ありがとうアナタ」

「何、僕たちの可愛いフェンの為じゃないか」

「そうね。さて、勤務地の変更をしなくちゃね」

「ああ、あの子の顔も久々に見たいからね」

 

 

――――こうして、フェンの預かり知らぬところで、10歳以下の少年兵たちによる魔導師部隊を作るプロジェクトが、潰されることとなった。その事を前線に居る彼は未だ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっ、両親自重してくれ」

 

 

 

 

 

 

 

ヤァ皆、激戦をくぐり抜けて来た歴戦の俺でも、今ちょっと拙い

―――――というかかなりヤバい状況だ……何でかって?

 

 

 

 

 

 

それは………

 

 

 

 

「フェンちゃ~ん♪逃げないと死ぬわよ~?」

「・・・(ひぃぃぃぃ!!!)」

 

 

 

 

―――――――――親にバレたんだよ!軍隊に入った事!!!

 

 

 

 

実は既に軍に入ってから結構経ってんだけど、両親には話してなかったんだよね。

何気に俺活躍してたせいか、流れた噂が両親の耳にクリーンヒットしたらしい。

でもって、たまたま同じ作戦を行うことになって基地に猛禽と化した母上がいらっしゃったと…

 

 

 

「久しぶりに全力で行くわよ♪パーティクルダンサーズ!!」

 

 

 

ああ、視界いっぱいの魔法陣・・・もう、逃げられない・・・ハハハ、短い人生だったなぁ~。

 

 

 

***

 

それは何時もの朝だった。

 

朝起きてすぐ呼び出しがあり、司令官室に行ったんだが、その時から何故か背筋を撫でられるかのような感覚だった。

でも、特に何も変わらないのでそのまま司令官室に入ったんだ。

 

司令はいつもは、表情を変えたりはしていなかった。

だけど、その日だけは違った――――

 

「ラーダー中尉、ご両親が面会だそうだ」

 

――――と、いかにも笑いをこらえていると言った感じで、基地司令はそんな事を言ってくれた。

 

 

そして気が付けば部屋の扉が閉まる音・・・立っている両親の姿。

途端本能的な恐怖を感知した俺は、身体が勝手に動き基地司令室の窓を突き破って逃亡した。

セットアップしながら窓を蹴り破ったから、怪我とかはしていない。

 

当然の事ながら、母上が追っかけて来た上、問答無用で魔法をぶっ放し始めた。

一応軍基地では、非常時以外での私用による魔法の発動を禁止している。

しかし、母上は事前に訓練の目的で許可を取っていた為、ふつうに使ってきたのである。

 

 

そんで逃げ回りつつも、ものすご~く怒られました。演習場にて…。

何が起こったかって言うとデバイス起動させて、魔力弾を撃って叱るってどうよ?

アンタはどこの白い魔王さんですか?会話=攻撃ですか?

死なないためにこっちもヴィズを起動させるしかないじゃん!!

 

そして、スーパーフルボッコタイムが始まりました。

こっちが悪いことは分かってるから手が出せない。

 

 

「フルバスターカノン展開♪」

「!!多重プロテクション全力展開!!急げ!!」

 

 

母上は杖から三つのバレルを展開。三条の光線が迫ってくる。

ああ、時が見える…じゃなくてヤバイ!死んでしまう!!

 

 

「カッティング・ブラスト」

「――――あわわわ・・!!」

 

 

杖を振るえば、そこから20数個はあろうかと思えるほどの魔力刃が空を乱舞する・・・。

誰か、誰か助けてー!メ、メ、メディィィィクッ!

 

 

「よく耐えたわね?でも、いい加減止めよ♪」

「ちょっ!?」

「―――生と死の狭間より出でよ・・・フライング・ダッチマン!!」

 

 

そして母上の奥義、無機物召喚最大級、召喚されし亡霊船が通過する。

 

≪ゴイン!≫

 

そして船に跳ねられる俺―――――――この時、本当に流れ星がみえたんだお☆

 

***

 

気が付くと己の部屋に居た俺。

ああ、夢か・・・と思いたかったが、普通に両親が立っていたので夢ではない事が解った。

そして言葉による尋問訓練もとい・・・お説教がスタートし、俺の精神はドンドンすり減らされた。

消耗しきった感じの俺を見て、母上のお説教は終わったのである。

 

「――――軍は続けても良いけど、危ないことはしないように!」

「?・・・軍は危ないところなんじゃ「フェン・・・・ちゃん?」!ハイ!アブナイコトハシマセン。ガンホーノセイシンデス!サー!」

 

物凄いお仕置き(魔法有り)を何とか切り抜けた俺は、正座をさせられ両親に怒られた。

ちなみに父は言いたいこと全部母上に言われちまって、今は口を閉じてこっちを見ている。

でもさ・・・逆に見られているだけってのもつらいモノがあるよな?

無言の圧力ってヤツ?怒り顔じゃないのが余計にこうなんて言うか・・・堪えるんだ。

 

 

そして、お叱りタイムはもう終わりって事で、久しぶりの家族の団らんタイムになった。

俺はここまで来るのに何があったかを順を追って説明していった。

とくにお世話になったワイズ教官やソフィア教官と、どんな訓練をしたかの話もした。

 

意外な事にウチの両親と教官達は知り合いだった。

何でも母上も昔お世話になったんだそうな。

・・・ワイズ教官っていくつなんだろう?

 

久しぶりに両親と水入らずの雑談をしていく。

やっぱりね、精神が身体に引き摺られているのか。

両親と居ると安心できるんですよ。

 

 

 

しかし、その後、あまり話したくない話題を、両親は繰り出してきたのであった。

 

 

 

「ところで、なんでフェンちゃんは軍にはいったの?」

 

えっと、それさっき言いましたよ?軍の人から勧誘を受けたって。

俺がその旨を言うと―――――

 

「違うわ…貴方が何故傷付いてまでここにいるのか?ってこと。」

 

あーごまかしは効かない雰囲気だな…仕方ねぇ、本当の事を話すか…

 

「…俺が軍に入ったのは、他の子供を守るため(ソレと保身の為)」

「でもそれは大人がやること…」

「(フルフル)俺が軍に入らないと他の子供がこの役をする筈…」

 

その言葉に母上は言いかけた言葉を飲み込んだ。

 

「しかも俺よりも魔導師ランクが低い子供が…彼らでは、まだ人を殺すことに耐えられない…」

「でもフェンちゃんも…」

「そう、普通は耐えられない…」

 

実際血反吐を吐いたからね…言葉のあやじゃなくて文字通り血を吐いたからな。

死にかけて…死にかけて…何度壊れるかと思ったものか…。

 

「でも母さん言った。強い力を持つものが、弱いものを守ることは当然だって」

 

今でもその言葉は、俺の心に刻み込まれている。

絶対に忘れることは無いだろう・・・・戦争怖いけど。

 

「その思いがあったから・・・・俺は耐えられた」

「………」

 

あながち嘘じゃ無い…英雄願望こそないけど、何クソォ!って感じで耐えていたからな。

兎に角、自分と自分の周りの人の為に精いっぱいだッたヨ。

 

「力がある俺でもここは辛い…それにもう俺は戻れない。この手で…もういっぱい殺したから、

 でも他の子供たちの心と平安が守れるなら…俺は耐えられる。殺した人たちの事も忘れない。

それが俺の背負う罰だから…」

 

これが俺の今の気持ち。

あの時、俺が行かなかったら他の誰かが犠牲になっていた事だろう…。

中身が大人の俺でも吐くほどヤバかったんだ…こんなとこ子供が耐えられる訳無い。

 

元の世界じゃ一般人だったんだがなぁ…使い古された言い回しだと、俺の両手は血塗れだ。

もう人を殺している以上、俺は一線を越えてしまっているし、今更戻るなんて贅沢言わない。

 

そんなのは、俺が死んでから地獄で懺悔すればいいだけの事何だからな。

なんじゃかんじゃでここまで来ちまったんだから、今更逃げないさ。

 

こうなったら意地でも終戦まで意地汚く生にしがみついてやるんだもんね!

じゃなかったら何のためにこの世界に転生したんだかわかりゃしないんだからな!

 

 

「だから逃げない…立ち止まらない…終わるのは…後悔は死んでからでいい…」

 

 

ここまで話したら両親が俺の前に立ち、黙って俺を見つめている。

スッと両親の腕が上がっていく…叩かれるかな…と思い身構えた。

だが、俺は叩かれることは無く…俺は両親に――――

 

「「………ギュ」」

「―――?!」

 

 

 

 

 

――――両親に…抱しめられていた…。

 

 

 

 

 

「もう泣かなくても大丈夫…不甲斐ない親でゴメンね?」

「………ッ………」

 

 

 

 

いつの間にか泣いていたらしい…うろたえる俺を両親は再度抱きしめてくる。

 

 

肌に伝わる両親の温もりは、俺が小さかったころから全然変わっていない。

 

 

それが何だが無性に懐かしくて、そして悲しかった…

 

 

約束を破り、この両親に心配をけてた俺が、こんなにも愛されてもいいのだろうか?

 

 

そう思うと涙があふれ止まらなかった―――――

 

 

「…ごめん……」

 

 

そう言葉を述べた俺は、両親に抱きついてひたすら泣き続けた。

 

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

 

恥も外聞もなく、“フェン・ラーダー”個人として…この両親の子供として泣いた。

 

 

だって状況が状況だったとはいえ、選んだのは俺だから…。

 

 

周りがそうだからと逃げたのは俺だから…。

 

 

 

 

 

 

涙を出し尽した俺は眠ってしまい、そのまま気が付くまで両親に抱きしめられていたそうな。

こうして両親と再会した俺は、何故か両親と一緒の作戦に出されることが多くなった。

噂ではウチの母上が、俺と一緒の作戦に出る事を上伸(脅し)したという。

 

 

・・・・・昔から思っていたけど、ウチの母上ってどんだけぇ~?

まさか母上、OHANASIが出来るのでは?・・・・勝てるわけがねぇ。

 

***

 

さて、両親との再開と言うなんかフラグ的なイベントがあった。

だけど、俺の日常は変わらず、暇な時はいつも書類整理に追われている。

 

そこら辺どうなのよ?と両親に尋ねたところ、

二人ともちゃんとこういった事は終わらせていらっしゃるんだそうで…。

私たちにも出来るんだから、貴方も出来るわよ。とは母上の言である。

 

とりあえず何回目だったかは忘れたが俺はこう言っておこう。

俺はまだ年齢一桁の子供やっちゅうねんッ!!

 

 

まぁそれは置いておくとしようか、ウン。問題はだ。戦争終わりました。

現代の戦争は電撃戦だって言うけど、まさかこれほど速く終わるとは・・・。

 

なんでも停戦協定を結んだダケらしいので、結局ハフマン島は半分に分けられたままだそうだ。

でも戦争が終わったことにかわりは無い。

 

戦争が終わったことに、喜びをあらわにする市民達の騒ぎが、基地にまで聞こえた程だ。

・・・・・流石に魔法乱射で花火代わりにするのは、どうかとも思うが。

まぁみんな喜んでいたって事でしょう。俺も柄にもなく笑顔になれたからね。

 

 

とにかく、そんなこんなで戦争も終わったし、ようやく軍から抜けられる。

・・・・・とは、問屋が下さなかった。どうやら俺はまた頑張り過ぎたらしい。

 

以前の失態で軍歴こそ剥奪されてはいるモノの、任務達成率はかなり高かった俺。

どうやら軍はそれを失う事が嫌だったらしい。

気が付かない内に俺は、母上の部隊に配属される運びになっていたんだそうな。

 

ちなみにその事を知ったのは終戦3日後。両親からそう話された。

ようやく帰れると安堵していた矢先の話だったので相当驚いた。

 

まぁ大方、別の部隊に回される所を、今度はなんとか自分の手元に引き寄せたってとこか。

相変わらず母上はすさまじい。G(グレート)M(マザー)の称号がふさわしいんじゃないか?

 

そんな訳で俺は今だ軍にいなければならないらしい。

最も戦争中では無い為、活動的には各紛争地帯でのPKFが主な任務になるそうだ。

前線真っ只中にいるよりかは遥かに安全である。

 

そして何よりも楽になったのは、もう俺に指揮権は無いのである。

故に戦闘だけに集中出来るのだ。これ程楽な事は無い。

母上の部隊だから、俺との連携は慣れてるし、慣熟訓練も必要ないだろう。

 

序でに何故かジャニスも俺と一緒に母上の部隊に入ることになったらしい。

彼も了承しているらしいので、なんだか今までと変わらんと言う感じである。

問題は彼が母上の扱きに堪えることが出来るのかと言うところであるが、まぁ大丈夫だろう。

 

 

 

―――――こうして俺は、新たなる道へと進むことになった。

 

「ようこそ、特殊機甲強襲魔導師連隊、ストライクワイヴァーンズへ・・・ってか?」

 

今度は空母が駐屯地かい?・・・・船酔いしなければ良いけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬのはイヤ…だけど死なせるのはもっとイヤ」

 

 

 

 

―――転生か?第9,1話―――

 

 

 

 

さて、心機一転、今回新たな任務を受けた俺達。

両親の部隊と俺は、とある研究施設をジャックした敵部隊の制圧任務に来ていた。

この施設は、時空管理局の技術協力の下、所謂次元航行エネルギーを研究していた所らしい。

 

故に下手に破壊すると周辺を巻き込んで消えてしまう可能性もある

その為、俺を含めて母上父上…ソレと部隊の数人の少数鮮鋭で制圧する運びとなったのだ。

ちなみにその施設の出資者はサカタインダストリィである・・・陰謀臭ぇ。

 

こんな所で戦闘なんて、ある意味正気の沙汰じゃないと思ったんだけど…

母上の部隊の人間はもう調教が進んでいて、イエスかハイしか言わなかったし。

俺も信頼されてるのか、俺と殆ど俺専属の副官ジェニス以外は待機する運びとなった。

 

部隊の運営として、こんな事でいいのだろうかと母上を問い詰めたいところだけど…

――――――まぁウチの母上だから……うん、仕方ないよね。

 

それに魔導師の軍隊は、普通の軍よか個人の融通も聞くからさ…多分問題無い。

突っ込みどころ満載だけど…突っ込んだらそこで試合終了だよ(何が?!

 

――――――兎に角、色々気にしないで任務にあたる事にした。

 

しかし、この時は思わなかった。

この任務両親との、最初で最後の初任務となるなんて・・・・。

 

***

 

―――施設内最奥―――

 

 

「…この奥が最重要区画か…ヴィズ?」

『そうです。いまハッキングして扉を開きます。』

 

≪プシュー≫という音と共に、エアロックがはずれ気密の高い部屋に入った。

 

「(こちらレッドクリフ、重要区画へと侵入した。指示を乞う)」

「(ラプターマム了解、敵性反応が多数ある。まずはソレらを殲滅せよ)」

「(レッドクリフ了解)」

 

通信を切る。ちなみに俺のコールサインが変わらないのは、俺がそう頼んだからである。

引き摺るつもりは無いけれど、前の連中のことを忘れたくないと・・・。

まぁ案外あっさりとOKされた。流石母上、大抵のことは何でもできるんだね。

 

「・・・・」

『敵正反応、接近中』

 

途端、背後の扉が閉まりロックされ、遠くで隔壁が閉まる音も聞えた。

多分トラップの1つなんだろう、序でにわらわらと無人機の団体さんが現れた。

 

俺以外の小隊のメンバーは、それぞれ重要なところを制圧しに行ってる為、ここには俺1人だ。

1人でこの狭い空間でやるのは、少々骨が折れるが・・・問題はねぇ!

 

「ヴィズ」

『了解、キーンセイバー展開・・・いけます。』

「さて、それじゃあ・・・舞い踊ろうぞ・・・?」

 

 

―――――――俺は敵の集団の中に突っ込んだ。

 

前列の無人機の一機に狙いを定め、兵装を破壊してからキーンセイバーを突き刺す。

破壊したのは兵装部分だけなので、機関部は破壊して無いから爆発は起こらない。

そのままローラーダッシュの馬力に任せ、無人機を盾にして吶喊する。

 

AIのプロトコル上、誤射は避けられるように設定されている為。敵は攻撃を停止してしまう。

だがすぐに命令が書き代わり、此方への攻撃が再開されるが、この一瞬があれば問題無い。

 

「ガルヴァドス!」

 

次々発射される魔力弾達。凶悪な威力のソレらは爆発という牙で無人機達を蹂躙していく。

部屋が狭い為、爆発の威力は恐ろしく集中するのだが、俺の防御力を揺るがすほどでは無い。

 

次の部屋では大型無人機械2体が待ち構えていた。

そいつらは俺を見た瞬間、肩の大型のキャノン砲を俺目掛けて発射した。

だが、こんな狭い場所で大砲を扱えるわけがない。

 

「多重プロテクション」

 

多層構造シールドに阻まれて、砲弾はあらぬ方向へと飛んで行ってしまった。

次弾がヤッシャされる前に、出力を上げたキーンセイバーで撫で斬りにして撃破した。

どれも強力な機械達だが所詮は無人機、対処法さえ覚えていれば楽なモノである。

 

 

その後も事務的に敵を薙ぎ払って行き、全ての敵を破壊したところで念話が入った。

 

 

「(ラプターマムから各チームへ!)」

「母さん?・・・(こちらレッドクリフ・・・)」

「(捕虜にした奴の情報で、ここの次元航行エネルギーを暴走させたらしい!全員直ちに離脱準備!)」

 

最悪だ。俺の現在位置が特に最悪だ。

ここ施設の一番奥だぞ?ココに到達するのにどれだけかかったと思ってんだ。

 

「(・・・暴走が起こると、どうなる?)」

「(研究所の資料によると、周辺30kmが虚数空間に消える!)」

「(!止める方法は?)」

「(残念ながら・・・無い。だが最重要区画を越えた先にある、次元航行エネルギー機関の制御室にある端末から直接制御を行えば、周辺へのエネルギー拡散は抑えられるらしい。だが、その代わり施設自体は虚数空間に飲み込まれ、操作した人間は助からない)」

 

ここら辺は・・・確か来る時に近くに町を見かけたな・・・

それに多分、俺の場合今から避難しても間に合わないか・・・。

 

俺は少し考えたが、どうにもこの考えが頭から離れない。

ふふ、自己犠牲は無かったんだがな。俺も変わったか。

 

「(レッドクリフからラプターマムへ、秘匿通信の使用許可を…)」

「(こちらラプターマム、許可する)」

 

――――許可が出たので、俺はラプターマム事母上に、直接秘匿通信を開く。

 

「(・・・母さん、聞えてる?)」

「(どうしたのフェンちゃん、早く脱出しないと間に合わなくなるわよ)」

「(今ちょうど、制御室にいる。・・・・直接制御の仕方を転送してほしい)」

「(だめっ!フェンちゃん逃げなさい!制御室には別の人を回すから・・・!!)」

 

悲鳴をあげるかの如く、声を荒げる母上。

 

「(多分、間に合わない。それに制御室への通路は異常事態を感知して、隔壁が全部降りてる)」

 

この場所に来るまでに大分騒いだからな。

センサーが感知して、隔壁の殆どが降りてしまっている。

時間をかければハッキングで出られるが、力づくじゃ俺ではまだ無理だ。

 

「(此方からの脱出も到底間に合いそうに無い・・・)」

「(だけど・・・とにかく貴方は脱出しなさい!)」

「(ムリ・・・もう時間が無い)

「(貴方を失いたくは無いの・・・お願いだから)」

 

泣きそうな母の声、普段の強い母上はどこに行ったんだか。

だけど、どうあっても逃げるわけにはいかねぇんだ。

どちらにしろ逃げる時間も無いしな。

 

「(この近くには町がある。誰かが直接制御しないと・・・ソレが出来るのは俺だけ・・・)」

 

俺がそう言うと母上は黙ってしまった。

 

「(・・・・ごめんなさい)」

 

たった数秒の沈黙だったけど・・・俺には恐ろしく長く感じた。

 

「(母さん哀しまないで、こういうのは覚悟はしてたから・・・とにかく早くデータを・・・)」

「(……判ったわ)」

 

―――――転生して7年と半分、長いようで短かったな・・・っとヴィズにデータが届いた。

 

手順に沿って操作し外周部の加速リング内のエネルギー流を操作、方向を炉心中心に集約させる。

緊急事態の為、エネルギーを別空間に流すヴォイドフィールドが展開されている。

炉心に集まった次元航行用エネルギーは、自身のエネルギーを圧縮されながら縮退。

最終的には落ちついていくらしい。

 

だが当然ながら、制御室はヴォイドフィールドの内側、エネルギーの圧縮で何が起きるのやら。

さて、後は臨海を越える瞬間にボタンを押すだけ・・・まだちょっと時間があるな。

 

「(母上、聞える?父上も・・・)」

 

俺はつないだままの秘匿通信を入れる。

既にエネルギーの奔流が流れこみ始めているから、まともな通信は今の内にしかできない。

まぁ、簡単に言えば・・・・最後のお別れってヤツかな。

 

「(・・・聞えている)」

「(ここにいるぞ)」

 

若干、軍人モードが入っている母上と、こんなときでも変わらない父上。

コレが最後だなんて、急展開過ぎるなぁとか思いながら通信を続ける。

 

「(多分、臨界に入ったらもう話が出来なくなるから・・・今のうちに言っとくね・・・)」

 

俺は思いっきり息を吸って、ゆっくりと吐く。

そして今まで言いたかった事を、この場で言う事にした。

 

「(・・・ありがとう。そして大好きだよ?お父さん、お母さん)」

「(・・・っ・・・)」

 

息をのむ音がした。だがソレは見えない。既に通信の画像は砂嵐状態だからだ。

なんとかヴィズの機能のお陰で、声だけは聞こえているが、時間は殆ど無いらしい。

 

「(二人ともまだ若いんだから、もう一人子供を作りなよ・・・俺は妹が欲しい・・・よ)」

「(あぁ!任せとけ!お前と同じく可愛い妹を作るとも!)」

「(うん、後二人とも・・・ムリはしないでよ?俺も最後までがんばるから・・・)」

「(うん・・・うん・・・)」

「(それじゃあね二人とも・・・・元気で)」

 

そう言うと俺は、一方的に二人への念話をカットした。

限界だ。これ以上二人と話したら・・・耐えられなくなっちまう・・・。

 

「・・・っ~!・・・」

 

湧きおこる生への渇望、まだ死にたくは無いと何かが叫ぶ。

だがもう遅いのさ。既に臨界が始まった。

・・・・まだ通信回線は生きているな?

 

「(ジェニス少尉、いる?)」

「(・・・はい)」

 

どうやら、もう俺が逃げられない事を知っているらしいな。

話しが廻るの早く無いか?――――まぁ母上の部隊だしなぁ。

 

「(こんな子供の下で・・・大変だったでしょう?)」

「(いいえ・・・いいえ!)」

「(でも、もうすぐ解放だ。俺の部屋に何故か酒があるから部隊の連中と分けていい)」

 

 

なんか停戦祝いのお酒だったらしいんだけど、ちょろまかしておいたんだ。

 

 

「(それと・・・今まで付いて来てくれて・・・ありがとう)」

「(―――中尉は・・・)」

「(・・・うん)」

「(中尉は俺がいままであった中で、最高の軍人でした)」

「(・・・うん)」

「(だからさよならは言いません!無事に戻ってきてくださる事を祈っています)」

「(ありがとう・・・最後まで足掻いて・・・みる)」

「(どうか・・・ご無事で――ザ―ザザ――――)」

 

ついに通信回線もつながらなくなった。ヴォイドフィールドが機能し始めたらしい。

―――――そろそろ時間みたいだな・・・。

 

「ねぇ・・・ヴィズ」

 

『なんでしょうか?』

 

「不甲斐ない主人で・・・ごめんね」

 

『・・・・謝らないでください。貴方は私にとって最高のマスターです。あなた以外にマスターは要らない』

 

「うん・・グスッ・・・ありがとう」

 

 

どこか冷静な部分が、強く出ているお陰で取り乱す事は無い。

訓練で身に付けた事に感謝だな。

 

≪ゴゴゴゴゴゴ―――――≫

 

 

さぁ、言いたいことは言った。あとは野となれ山となれだ!

 

 

『次元航行エネルギー、臨海突破まであと10、9,8,7―――』

 

 

「6」

 

 

「5」

 

 

「4」

 

 

「3」

 

 

「2」

 

 

「1」

 

 

「制御弁・・・・開放!」

 

 

 

 

 

 

 

――――――ブーーーン――――――

 

 

 

 

 

 

 

あれ?何もおこらない?≪ズゴゴゴゴゴ!!!≫―――な訳ないか…

 

 

『炉心が誘拐を始めましたね・・・この区画が飲み込まれるまであと10秒』

 

 

うん、的確な解説ありがとうよ、ヴィズ。

 

 

「時間みたいだな。皆・・・俺、先行ってるよ」

 

 

目の前では巨大な光球となった炉心が、徐々にエネルギーを増しながら広がっていく。

 

次の瞬間、まるで風船がはじけるかの如く、膨大な量の次元航行エネルギーが放たれた。

 

俺はそのエネルギーの奔流にのみ込まれる。

 

 

「ぐぐ・・・う、あぁ・・・・」

 

 

そして身体の中をグチャグチャに引っ掻き廻される感覚と共に意識を失い。

 

 

―――――その流れに身を任せたのであった。

 

 

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