リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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スカールさんの髪がどんどん剥げていく理由を考えたら、ぶっちゃけ頭の痛い話にしかなりませんでした。
スカールさんの立場から物事を考えると、どうしても人間の悪い面の対策と実行をしないといけないでしょうね。

なので、ある意味今回は和やかなお話は期待しないでください。
それとアンケートありがとうございました。お話の雰囲気を壊さないようにしながらソフトは登場させていくことにいたします。


外交官スカールの憂鬱

 ……何も考えずに思いっきりストレス発散したい。

「どこか遠くで思いっきりバズーカ砲でも撃って爆発させたい」

 馬鹿な言動であることは理解しているのだが、最近本当に精神的に疲労が激しいのだ。

 その原因の根源は、現在地球で最重要課題となっているマルデア星との外交である。

 始まりは宇宙開発の中で、遂に地球外生命体が発見されたことで、アメリカは世紀的発見で秘密裏とは言え盛り上がりを見せた。

 そして後に分かったマルデア星と交流を求めるべく、メッセージを投げかけた。

 当初は相手の文明も言語も何もかもが未知であれども、とにかく何かしらのアクションがあれば儲けもの。最悪数十年後に更に発達した宇宙研究で、直接交流することも出来るだろうという計画も聞かれていたのだから。

 だが……結果は余りにも衝撃的な結末だった。

 そう、我等地球の文明など一顧だにしないほど発展している星だということ。

 だからこそ、ある意味地球は命拾いしたと言えるのだ。

 地球上の歴史を紐解けば、文明の力が低いものは、高いものからは資源として狩られる。

 つまり我々は、未知だったために理解できなかったパンドラの箱を開けてしまったということだ。

 そのことを理解した一部の人間は恐怖でおののいている。

 中には捕らぬ狸の皮算用とばかりに、新しい資源と星が手に入ることで自分のポケットが潤うと考えていた者もいたのだから。

 だが、私からすればそれを理解してくれているだけでも、まともと思えてしまう。

 それさえも理解していない奴らが我が物顔でのさばっているのを、私はこの書類を見て実感するしかない。

「コメンテーター・芸能人・評論家・リアリスト・平等主義者・元政治家・現役政治家・狂信者がこれほどまでに声高々にほざき過ぎだ」

 つまりは無責任に意見や見解を発信し、自分の意見こそが最上であり、その意見を実行しない政府は無能。

 そして今の外交は弱腰であり、もっと成果を出せる……と。

 こんな内容は日常茶飯事なので普段なら気にしないのだが、マルデア星との外交は地球の破滅に繋がる可能性があることを理解していない輩が多すぎる。

 だが意図的に情報を隠している部分も勿論あるので、大概の誹謗中傷などは想定内だ。

 これが地球内で完結するなら……秘密裏に超法規的措置を発動して解決できる。

 このことについては国連も認めている。

 分かっているのだ。

 最早地球という星は、マルデア星のリナ・マルデリタに掌握されかけており、現状地球はまな板の上のコイでしかないということに。

 それもたった1人のうら若き少女相手にである。

 しかし、それはあくまでも地球人感覚だということを忘れてはならない。

 彼女が送ってくるマルデア星での動画を信じれば……彼女はマルデア星では少々立場は違えども一般人の範疇に収まると判断できる。

 だが。もし彼女が悪意を持って地球を攻撃してしまえばどうなるか?

 単身で星間移動が出来る程の科学力を擁する。

 魔石が必要とは言え、魔法による天災を排除する程の影響力。

 たとえ魔法を使っていなくとも、銃では傷をつける事も出来ない自衛手段を持つ。

 空を飛び、傷を癒し、様々な出来事を解決できる……一応はマルデアでは一般人枠に入るマルデア人。

 本当に彼女が友好的で良かったと安堵するしかない。

 それでも最初の交流の時、我々は戦々恐々としながら、交流を行ったというのに。

 それからも彼女の機嫌を損ねないように・常に楽しんでもらえるようにと、どれだけ入念に入念を重ねて外交をしているという事実は、まともな脳味噌を持っている者は理解している。

 唯一の救いはマルデアそのものは地球に興味がないから、宇宙からの襲撃は無いとの見解では一致しており、とにかく現状はリナ・マルデリタとの親交を深め、尚且つゲームでマルデアプレイヤーを楽しませることが最重要課題の一環である。

 つまりゲーマーを増やすことで、地球を植民地計画・略奪を考える輩が出たとしても、ゲームが出来なくなるという観点から、反対者も増やせるかもしれないのだ。

 同時に地球に好感を抱く人を増やすことで、今後の星間貿易に対して更なる発展を促すことが可能になるようにと。

 ……頭が痛い。

 まるで本当にゲームや物語のようで、地球はマルデアというプレイヤーのご機嫌を必死に損ねないように顔色を伺うしかないNPC星みたいなものだ。

 多分、リナ・マルデリタ本人は自覚が無い。

 これも秘密裏にプロファイリングをした成果だが、結局は……地球人のデータを基にしているのだからマルデア観から見ればどこまで通用するか。

 投稿される動画と訪問中の行動から見れば、彼女は温厚・憂慮・配慮・知的・義憤・義理等は持ち合わせているのだから、善人としてのカテゴリーに含まれている事は間違いない。

 だが聖人ではない。

 そして……地球の政治事情は念頭に置く気は無い。

 当たり前と言えば当たり前だろう。

 話す限りリナ・マルデリタは一般庶民的な価値観の持ち主であり、政治・経済界における欲望など自分にとっては何の価値も無いと言う事も示しているのだから。

 そこまで配慮するほどであれば、反対に譲歩を引き出して利益を入手するべく動こうとした。

 しかし、ゲームという媒体は様々な弊害も含まれている。

 中毒性・生産性・思考誘導・身体障害・精神障害などなど。

 地球でもゲームに対して、子供への悪影響・特異な性癖開花・健全な精神と肉体への影響。

 結果として、ゲームへの忌避感が一定以上の人間にはある。

 現在はまだまだそこに至るほどではないだろうが、今後も星間貿易を進めていけばマルデアで発生する事象であろうという結論は出ている。

 一応リナにもその点の議論はしたことがあるが、細部まで詰めてはいない。

 下手をすれば星間貿易そのものが無くなるかもしれない内容でもあるのだから。だが、考えておかなければ星間貿易に悪影響を及ぼす可能性は少しでも下げておくべき。

「……そして研究の方も遅々として進まずか。

 未知の研究であり、積み重ねてきた技術が通じないと理解はしていても、歯痒いな」

 それは魔石と縮小ボックスの研究成果。

 世界有数の研究機関と人材を擁しても、魔石の構造・材質は未知のままである。

 これまでの星間貿易のおかげで消費しても問題無い魔石は集まったが、魔石を研究するための機材を開発しなければいけないという結論も出ている。

 これまで設備投資してきた機材はあくまでも、地球の物体だったのだ。

 そこに地球外の物質を持ち込めば、納得も行く理由でもある。

 他にもリナがスウィッツ用に使われている魔力変換アダプターとて、完全に理解しきれたとはいえないのだから。

 縮小ボックスに関しては完全に論外。

 質量を百分の一?

 更に高性能な輸送機であれば、もっといける?

 ……産業革命以降の地球の文明発達による歴史など、そこら辺の草むらに投げ捨てられたような気分にしかならない。

 この縮小ボックスだけで世界中の経済界が大混乱しているのだが、あくまでも地球の話でありリナにとってはマルデアで普通に売ってる商品を持ってきてるだけという認識なのだ。

 だが、この縮小ボックスは徹底的どころか過剰なほどに管理している。

 平常・緊急問わず常に使える縮小ボックスは、誰もが欲しがる。

 それは犯罪者どももということだ。

 上手く使えば麻薬を通常では考えられないほどの量を持ち運び可能。

 荷物も一つとなるので、一度確実なルートを確保してしまえば、莫大な利益を得る事が可能なのは誰でも理解できるのだ。

 また武器や弾丸・または条約で禁止されている商品・通常では持ち運び出来ない品物とて縮小ボックスを使えば可能なのだ。

 実際、縮小ボックスは常に犯罪者集団から狙われている。

 国連では縮小ボックスの管理は確実に上がる議題の1つである。

 既に未遂は数えきれないほどであり、実際に奪われた時は、秘密裏に本気で組織を壊滅させた。

 忘れてはならない。これは地球全体の信用にも掛かってくるのだから。

 これが地球だけの問題で済むのであれば一部地域だけなら必要悪だとか、地域柄だとかである程度目こぼしがあったかもしれない。

 しかし、これがリナの耳に入れば下手をすれば、今後新しい縮小ボックスが届かなくなるのだ。

 たとえ縮小ボックスが無くても、魔石だけでも地球としてはとんでもない利益を叩き出しているという事実。

 台風排除・活火山停止・チタルム河浄化だけで、災害発生による災害対策関連における人命救助に復興予算と時間という金だけの問題では済まされない内容をリナと魔石があっさり解決する。

 ……金で計算するのはおかしいが、どんぶり勘定でも兆単位の経済活動になる。

 他にもリバイバルブームによるレトロゲーム界隈の活性で、娯楽施設の賑わい。

 新作ゲームの制作のための人員拡張・ポツモンのようなリメイク作品の盛り上がり・サムシティのようなシリーズ新作によっての世界的記録ヒットなどなど。

 世界全体に明るい話題を齎すことで、社会全体が未来は明るいと思わせてくれているという、国を動かす者達でも至難の御業をあっさりとやってくれている。

 他にもあるのだが、つまりは魔石だけで地球側はリナに対して全面降伏するしかないのである。

 つまりこういうことだ。

 地球全体の好景気・歴史的瞬間・大発明・災害排除・環境破壊・SDG’zがマルデアでは一般人の範疇であろうリナ・マルデリタとの交流で地球丸ごと巻き込まれたのだ。

 ……これどないせえっちゅうねん。

 前向きな内容だから、歓迎と言えば歓迎だがな?

 ただ、そのせいで各国がゲーム関連に省庁や研究機関を本気で立ち上げようとしている。

 国連・アメリカ・nikkendoには自国のゲームソフトと本体輸出させろと、ゲームソフトのある各国がせっつく。

 スウィッツを作っている企業の国である日本は、最近ちょっと調子に乗り出してきた。

 スウィッツの会社の株価は常にストップ高。

 ソフト会社の株価も軒並みリナが来る前の数十倍にあがり、リリースしてない会社でも有名なソフトが出ている会社も上昇中。

 まあここまで来ると調子にのる会社もあるだろうが、そこは星間貿易代表商品であるスウィッツの会社が良識的なのでほっとしている。

 結果、企業とソフトメーカーは純粋に喜んでいるが、無関係な多数決用国会議員達が自分達の成果のように騒ぎ立てているという証拠も掴んでいる。

 実際、既にゲーム会社に賄賂と口利きを要求している与党議員が何人も出てきているようだから本当に日本の政治家の殆どは愚かだ。

 権力を維持するために権力を行使し、国家や企業から甘い汁を吸う事しか考えておらず、反対に企業からいいように使われていることを理解しておらず、そうすることが自分の生き方と勘違いしているのだから。

 他にもリナに対して、美人局をすることで更なる利益を得ようと考えているやつら。

 ……そしてマルデアを新たな寄生先として睨んでいる厄介な存在。

「本当に……頭が痛い」

 誰か私の代わりを暫くの間務めてくれ。

 いや下手な奴に任すと、地球が本当にマルデアの手中に入るから任せられない。

 癒しをくれ。

 娘と妻はリナのおかげで、私の家庭内での地位は向上したが、それだけでは足りないのだ。

 最近更に頭が寂しくなってきた。

 もういっそ開き直って剃るべきだろうか。

 そんな事を考えながら私は今日の業務を終了する。

 とりあえず今日は帰ったらFPSをやろう。ゲーム内だけでも思いっきり破壊しまくってストレス発散しまくろう。

 ……私がFPS系統やるからって、輸出品目に入りそうと思わないでくれ!

 業務は忠実に遂行するが、後ろ指差されるかもしれないのは勘弁だ!




どんなに誠実に向き合いたくても、様々な原因により友好がこじれてしまうことがある。
とりあえずお話の中には入れましたが、こういう暗い内容はスカールさんが全部しょい込んでる形になります。
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