リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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原作であったバーのマスター視点で書いてみました。
原作の感想で私が自分で書いてて、思いついたネタになります。


ゲーマー達の憩いの場

 ここはマルデアでマスターが1人で経営しているお酒と会話を楽しむバー。

 静寂な空気を感じながらも、ゆったりとした時間を楽しむこともあれば、お酒を飲むことでちょっとした開放感で気分を変える事もある。

 または不意に訪れたお客と行きずりのような会話をしたり、ただ仕事が終わって帰る前に何かやり残したかのように時間を置いていく為のバー。

 そんなお店だからお客の質は良く、当たり前だが他の客に迷惑をかけるようなことはしない。

 しかし、そんなバーでは最近になって少し変わったサービスを提供している。

 それはゲームという映像の中のキャラを動かして遊ぶものだ。

 お客は自分で買ったゲーム機を持ち込んで、同じように来店した同好の士と対戦をする。

 もしくはゲームを知らずに訪れたお客に遊ばせて、新しい体験を教えたりする。

 または好きなゲームを語り合ったり、進捗具合やお互いのプレイの仕方で驚き合ったりもするのだ。

 偶に興奮した客が声を上げる事はあるが、そこらへんはマスターがやんわりと注意する場合もあれば、本人自身がすぐに気を付けるので、あまり問題は起きていない。

 寧ろゲームという趣味はまだまだ新しい娯楽の部類な為、知らないお客が戸惑うこともあった。

 しかし、楽しそうに会話をし、映像から飛び込んでくる分かりやすい娯楽性が分かれば、実際に興味を持ってゲーム機を買って、ハマってしまうお客さんもいる。

「マスター、頭をすっきりさせるようなのをくれないか?」

「……ゼの字に相変わらずなようだね。つまってるようなら新しい視点から考えてみるといい」

「ああ、時に今までの固定観念が邪魔してしまってね。まったく色々な意味で考えさせてくれるよ」

 謎を解こうとやっきになっていると、時に視野狭窄になってしまうこともある。

 反対に一瞬で回答を導き出せると、まるで万能感を味わえたりするのもゼルドの魅力の一つだ。

「俺は未だにテトラスとぷやぷやをやってるよ。

 俺は思った以上にパズルをするのが好きで、対戦したがりだったようだ」

 ゲームを語るネットの掲示板でこの店を訪れた客の一人が楽しそうに呟く。

 パズルというのは一人でも出来るようになっているが、やはり対戦というのは張り合いが生まれることで更なる楽しみを感じられるのが魅力だ。

「いいですなあ、では後でまた勝負いたしますかな?」

「望むところです」

 二人の表情は子供のように純粋にゲームが好きだと言う事を物語っている。

 こうやって客たちの交流を見るのも楽しいものだが、最近はまた違った交流が生まれた。

 それは、

「マスター、今日も来ました! 私の書き込みに反応ありましたか!?」

「いらっしゃい、いくつか条件を書いてくれた人いたから、確認して」

「よし! これで私のパーティーは更に強くなる」

 ちょっと興奮気味だが、これくらいなら目くじらを立てる程ではない。

「ふむ、ふむ。うん、この条件に一致するポツモンは持ってる。

 あう、こっちは持ってない。うう欲しいけどあくまでもレートはゲーム内だけ」

 そう、それはポツモンによる交換システムだ。

 マスターもプレイはしているが、その進みは非常にゆっくりだ。

 その間にオールスター4も出たので、どちらかというとそっちのゲームの方が魅力的だったので少し攻略が止まっているのだ。

 だがお客の半分以上はポツモンにハマっていて、お店に来れば対戦をしながら語り合い、また自分のポツモンをどう鍛えるか考えている。

 だが、一定時期にガレリーナ社が配信した内容が、またポツモン界隈に激震を齎す。

 それは同じポツモンでも最大能力値に違いがあるということ。

 つまり151のポツモンを捕獲し、同じポツモン同士で対戦したとしても最大値で負けてしまうと言う事だ。

 結果、ポツモンをやりこむプレイヤー達は改めて最大値の高いポツモンを捕獲するためにまた冒険をするのだ。

 しかし、そうはいっても全ての最大値ポツモン達を捕獲するには時間がかかり過ぎる。

 同時に運も絡んでくる。となるとプレイヤー達の考えは同じ方向に向いた。

 つまりお互いで捕まえたポツモン交換し合おうと。

 そして都合よくここはゲーマーが集まる場所。

 ならば自分が欲しいポツモンと交換してもいいポツモンを提示し、それを見た他のプレイヤーが応じれば、その欲しいポツモンを手に入れれる。

 まさしくwin-winである。

 中にはお金で解決しようとしたプレイヤーもいたが、さすがにマスターの目が届くところでは風情も無いので許可しなかった。

 しかし、何とか目当てのポツモンが欲しい客もいる。

 そこでマスターはお店にあるものを用意した。

 それは掲示板のような大きめのノートだ。

 

【WANTED】最大値のピハチュウを求む

 こちらの条件は最大値のルコン。またはそちらの欲しいポツモンを提示してほしい。

 

 まるで賞金首のようなやりかただ。

 しかしマスターとしてはちょっと楽しかったりする。

 マルデアには娯楽が少ないとはいえ、映画や小説は当たり前にある。

 その中では賞金稼ぎが主役の物語もあるし、オールスター4に入っていたメトルはまさにそんな雰囲気を醸し出していた。

 これにマスターとしてはちょっとした子供心を擽られる。

 つまりは遊び心だ。

 自分の店の中にある掲示板ノートに、WANTED以外に書き込みをする。

【追記 ピハチュウもルコンも可愛いが、ケビゴンのずんぐりむっくりな体型も愛らしいぞ】

 ……マスターとしては本心でもあるが、これはちょっとした悪戯である。

 ゲーマー達はそれぞれにお気に入りのポツモン達がいて、ネットの掲示板で自分のお気に入りを語りたくてしょうがないのを知っている。

 だがネットの掲示板では物足りないのだ。

 やはり自分の声で、自分の感情をそのまま相手に伝えて、相手が楽しそうに反応してくれることを期待している。

 その為に、このゲーマーが集まるバーに来るのだ。

 語りたい・同志が欲しい・この楽しさを教えたい。

 そして、そこにお酒とつまみがあれば最高というやつだ。

「ケビゴンも確かに可愛いけど、一番可愛いのはミウでしょうが!?

 これ書き込んだの誰だ!?」

 その言葉にマスターとしては小さな悪戯が成功したことで楽しくなる。

 そして、お客はお客でまた反論するべく、追加で書き込みをする。

 そうすると、また違うお客が反応してノートへの書き込みが凄い事になる。

 マスターはマスターで書き込む隙間が無くなったノートを新しいのに入れ替える。

 ちなみにマスターは使い終わったノートを保管して、偶に読み直して楽しんでいる。

 これはある意味ちょっとした特権だ。

 他のゲームを書き込む客もいるが、マスターとしては皆が楽しそうに書いてるのを見る度に、嬉しくなる。

 そこには色んな客達の感情が込められていて、個性豊かな人間模様が書き込まれているのだから。

 そういった意味ではマスターはガレリーナ社に感謝でしかない。

 新しい娯楽を提供してくれて、その魅力に酔いしれた新しいお客が訪れてくれる。

 勿論売り上げ的にも向上しているし、未成年のお客も偶に来るが、それとてあくまでもゲームが目当ての子だ。

 その時の子供達の反応は大体決まっている。

 未成年がこんなところに来て怒られないだろうか?

 同じゲーマーは本当に集まっているのだろうか?

 受け入れてもらえるだろうか?

 そんなふうに不安な気持ちを押し隠しながらも、楽しい気持ちになれることを期待してくれてここに来てくれたのだ。

 であれば、勿論お酒は出さないが優しく迎え入れて笑顔で楽しんでくれれば、いつか大人になった時に記念の一杯を送りたいとも考えている。

 それが出来るのも、そんな出来事の切っ掛けを作ってくれたのも、あのガレリーナ社がゲームを販売してくれたおかげなのだから。

 そうしてマスターは今日もお店でゲーマー達を迎え入れる。

 ゲームキャラクターをイメージしたカクテルを開発途中だが、そうなるとさすがに許可が必要かなと考えてもいたりするマスターだった。

 




こういうちょっとした悪戯を楽しむのっていいですよねw
ちなみにノートへ書き込み元ネタの1つは、司馬遼太郎の記念館だったりします。
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