そして短編として原作でありそうな内容を書いてましたが、このお話で短編集としての区切りと考えてます。
それと両親どっちとも名前無かったなあと思って、一人称が微妙でした。
「うわあ、可愛らしいわー」
「こっちの小さい時はやんちゃ坊主だったんですねー」
「……これは魔法で遊んでたんですかな?」
「ですよ。手から魔法を放出してましたが、ようやくユウジ時代のゲームが元ネタだと理解できました」
親。
それは産まれてきた子供を愛し、そして子供が立派に成長して巣立つまで守り続け、愛する子供の記録を撮りながら、いつか子供に次の世代を任せる大事な役目。
だが同時に記録された内容は、時に子供にとっては恥ずかしくてしょうがないのに、親から見れば愛おしくてしょうがない歴史でもある。
「いやあ堪能しました。リナは可愛い娘ですが、時々はやっぱり男の子も欲しかったなーと思う時がありましたので」
マルデア側のパパはニコニコしながら、ユウジ時代の写真を見続ける。
「お二人はまだまだ若いじゃありませんか」
「いやあ、一時期から仕事が忙しくて、これが中々」
「おい、あんまりそういうのは」
旦那が少し注意してくるが、私とて年齢を重ねてきたのだから、そこら辺の機微は理解している。
「ふふ、私達もユウジを育ててた時は同じ気持ちでしたよ。当時は勉強せずにゲームばっかりしてたあの子がマルデアでは天才扱いなんて」
私は改めてリナの小さい頃の写真に目を綻ばせる。
「目標があったからでしょうね。元々魔法に対しては楽しそうにしてましたが、ある時期から勉強も頑張りだして、地球に行ってみたいと言ってましたから」
「そうか、あいつはそんな時から……」
ほんの少しだけ表情を変える旦那。
「ええ、改めて私はリナに産まれてきてくれてありがとうと言いたいです。
確かに特異な形でしょう。でも、そんなリナになれたのは二人のおかげでもあるんです」
パパさんがリナの写真とユウジの写真を優しい目で見る。
「その言葉だけで私らは救われます。
死んだあの子に、姿形も名前も何もかも違っていても、またあの子に会えた。
会うために必死に頑張ってくれた。
ただ、それだけで私達は果報者です。
同じように子供を亡くした人がどれだけいたことでしょう。
もう一度会えるなら、家族はどんな代償を払ってでも願う事を、私達は叶えることが出来たんですから」
私は気持ち的には穏やかでありながらも、涙をこらえようとする。
あの時、リナが訪ねてきたとき、私はいつも同じ年代くらいの子供を見る度に、ユウジを思い出していたのだ。
どんなに生意気な事をしていたって、どんなに馬鹿な事をしていたって、自分がお腹を痛めて命を懸けて産んだ子供なのだ。
たとえ何十年経とうとも忘れる事は出来ないし、その空虚感が一生消える事はない。
世界中を見渡せばどこにでもある悲劇だろう。
だが、その悲劇は覚えている限り、心を傷つけ続ける悲劇なのだ。
愛しているからこそ、絶対に失いたくない宝物で、自分の全てを捨ててでも守りたかった大事な大事な子供。
それは親として、家族として、当たり前だけど本当に大事な生きとし生けるもの全ての基本。
だけど、ユウジは私と同じように、私の子供は忘れないでいてくれた。
もう一度あの温もりを感じられて、母さんと言ってくれた。
それだけで充分だ。
旦那も同じ気持ちであろう。武骨で不器用ながらもユウジが本気で店を受け継いでくれるなら、喜んで店の事を教えようと考えていたのは知ってるから。
「せやから私達にはリナのことで配慮なさらないでください。
私達はもう……充分報われてますから」
そう言って、私と旦那は二人に頭を下げる。
ユウジは、リナは、もう私達の手からは巣立っているのだ。
「本当にそう思われているんですか?」
お父さんが少し戸惑うような目で、私達に問いかける。
「ええ、リナは私達夫婦から見れば、立派に1人で歩けています。
そしてふと振り返った時には、お二人が支えてくれると信じているのです」
そう、あくまでもリナは私達の子供でも、肉体はマルデア人なのだ。
だから、マルデアでは私達夫婦では力になれないだろう。
「支えるのは当然です。家族なんですから。
ですが、それはお二人にも言える事なんです」
パパさんは力強く答えてくれる。
「ええ、その通りです。
あの子は小さい時に自分は地球で生まれ育った記憶があると言っていました。
子供だったから当時の私達は冗談だと受け止めて、本気にはしていませんでした」
二人の表情はとても真剣だ。
「それだけ会いに行きたいと思う子供と親の関係に対して、配慮しないなんて出来ませんよ。
それにお忘れですか? たとえ社会人として立派に働き始めてはいますがリナはまだまだ子供ですよ。
確かにユウジとしてリナとして生きてきた時間を考えれば、30年以上になるでしょう。
でも、それは子供時間が長かっただけで、大人としての時間はまだ2年目に入ったばかりなんです。
しかも、肉体的にはまだ成熟しきっておらず、精神年齢で考えてもリナはまだまだ幼い部分もあります。
診療する医師の観点から見ても、リナは保護者が必要ですよ」
そう言って、パパさんは私の手を握ってくれる。
「それにですね、リナがお二人の下へ向かい、そして帰ってきた時の表情を私達は知っています。
産まれてきてからずっと見てきたリナが、本当の意味で安心した顔をしていたんですから」
「私達二人にしか分からない変化でした。でも明らかにリナが成長したんだなと実感もしたんです」
その言葉に本格的に涙がこらえきれなくなる。
あの時、一夜を過ごして帰った後、私と旦那はどんなに嬉し涙を流しただろう。
リナがユウジだったことを知る前は、リナがユウジと同じように宇宙人やのにゲームが好きだけど大使として立派な仕事をしている凄い子という認識だけだった。
でもユウジだと知った後は、リナのニュースは常に追いかけて、新聞に載れば切り取ってファイルに纏めていった。
そうしてみると、ユウジだった時の癖を見つけて、また嬉し涙を流してしまったりもした。
神様なんて信じてはいないが、この奇跡に感謝する。
もう一度、もう一度愛する子供の成長を見れるという失ってしまった日常を感じられることに。
「だから……もっと私達とお話ししましょう。
リナもフェルちゃんもいます。
すぐには距離は縮められないかもしれません。
でもお互いに努力し合えばいいんです。
同じ時間を過ごして、同じ思い出を紡いで、少しずつ知っていきませんか?」
お父さんと同じようにお母さんが優しい笑顔で、私の手を握ってくれる。
旦那は私の背中をさするが、言葉は発しない。
年をとっても不器用なままで、行動で気持ちを語る性格は変わらない。
だけど、そんな旦那だから一緒になった。そしてその選択を本当の意味で後悔したことはなかったから、私は人に恵まれていたのだろう。
そして、その人に恵まれるという大切なことが、ユウジにも備わっていたんだろう。
だから、だから。本当にこの二人の下へ産まれてきてくれてよかった。
こんなに素敵な両親の下だから、あの子は幸せな子供でいれたんだ。
「あ、りがとうございます。お二人が両親で本当に良かったです」
もう涙は堪え切れなかった。
それからは少し時間はかかって、ようやく平常心を取り戻した後に、お互いの他愛もない会話をする。
喉が渇いたら、旦那の作った饅頭を食べてもらい、温かいお茶を出して飲んでもらった。
他にもリナの時、ユウジの時好きだった食べ物の話をしたり、お互いにどんな生活をしてるのかとかでマルデアと地球の違いで笑ったりもした。
そうしてるとリナとフェルちゃんが帰ってくる。
「ただいま~。お腹空いた~夕飯何の予定?」
「帰ったぞー」
確かに子供みたいな帰宅台詞だなあと思いながら、私は何十年ぶりかに言える台詞。
「お帰り。お疲れ、リナ 」
日常の中で当たり前に言っていた、子供へのお帰りという言葉を。
とりあえずネタを思いついたら、短編は書く予定です。
ただ、アンケート結果で許容して下さった未登場ソフトを考えると、今後は原作に無い第二部以降のお話になる予定です。
なので、考えを煮詰めたいと思うので、ちと投稿をお休みする予定です。
その間に作者帰ってきてほしいけどね!