リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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今回はちょっと短め。
家族の何でもない日だけど、幸せな日常。
両親双方いると、すぐにどっちの親かわかるようにしたいけど名前無いからなあ……。


朝食と出発

 会議をした翌日であり、出発の日。

「ん~よく寝た~」

 いつも通りの朝を迎えて、布団から出て、おもいっきり体をのばす。

 大きく口を上げて呼吸し、首をぐるぐる。

 両手もゆっくり広げていって、肩回りの筋肉をほぐしていく。

 そうして体にも起きろーという声を掛けていき、頭と体を起こしていく。

 部屋の中を見渡せば、色んなソフトやゲーム機が棚に配置されていて、昨日スーファムで遊んでいたゲームソフトを見る。

 クロナがあの時代のRPGにおける最高傑作であれば、昨日遊んでいたソフトはまた違ったジャンルの金字塔でもある。

 だから、これから地球に行って受け取りに行くのが楽しみなのだ。

「リナー今度はわちしを置いていくなよ」

 フェルが以前置いていったことを根に持っていたようで、今回は乗り遅れないためにも、私の布団の横で寝ていたのだ。

「はいはい、ちゃんと連れて行きますよ」

 まったく、何だかんだで地球に行くときの相棒になっているが、前回のニューヨークでの好き勝手は勘弁してほしいものだ。

「リナ、朝ごはんよ~」

 母さんの声が聞こえてくる。

 私は早速服を着替える。

 今日は奈良のお母さんがご飯を作ってくれる日だ。

 私の誕生日に地球と繋がった日から、タイミングが合えば双方の両親と一緒にご飯を食べている。

 なので、時々は地球側の料理、つまり日本食が食べられる日と言う事だ。

 そうして居間に来てみれば、懐かしい味噌の香りがする。

「おはよう。

 今日は豆腐とわかめの味噌汁。

 卵焼き・秋刀魚の塩焼き・きんぴらごぼう・ホウレン草のお浸し・奈良漬やで」

 それは定番の朝食だった。

 であれば温かいうちに食べなければ勿体無さすぎる。

「いただきま~す」

「こら、先に顔と手洗って、口ゆすがな」

 先走ろうとした私をお父さんが注意する。

 既に何時間も前に起床していて、店の準備をしていたお父さん。

 しかし、準備も一段落しており、座って新聞を見ていたようだ。

「地球の新聞では、リナの事書かれていますか?」

 父さんが興味深そうにお父さんの新聞を見ている。

「ああ、今月もそろそろリナが来るやろうって事で、今度はどんなゲームが輸出されるかっていう内容ですわ」

「なるほど。本当にリナは地球では大人気なんですねえ」

 まあ、確かに父さんは地球滞在中の私を見れる訳が無いから、いくら私が地球の事を話したとしても、実感はわかないよね。

 でも、こうやってお父さんから聞くと実感してくるらしい。

「こういう香りもいいものですね」

「今時の子らやと、小麦粉から作られたパンの方を食べたがりますけどねえ」

 母さんとお母さんが、急須から湯呑にお茶を入れてくれる。

 その間に言われた通りに顔と手を洗って、口をゆすぐ。

 そうして座布団の上に座って手を合わせる。

『いただきます』

 まずは味噌汁に口を付ける。

 出汁と塩味の塩梅がちょうど良く、そして温かいお汁が心地いい。

 秋刀魚も脂がのってて、焼いたことによる皮のパリパリ感と魚肉部分のしっとり感で幸せな気分にさせてくれる。

 そして炊き立てのご飯をかっこめば、

「うまあああ」

 もうこれだけでも、ああ日本人の心ここにありって感じである。

 肉体はマルデア人でも、食べ慣れていた久しぶりな飾らない日本の朝食というやつなので、余計に美味しく感じるのだ。

 後はホウレン草のお浸しで、醤油と鰹節をかけて食べて、口の中を変える。

 そして、漬物。

 奈良県伝統の漬物だが、正直私はこれが苦手である。

 ようは保存食にする為の酒粕漬けだから、匂いがきつかったし、子供にとってはお酒の匂いには馴染めなかったのだ。

 とはいえ、さすがに今は苦手とは言え昔ほどじゃないので、ちょっとくらいなら食べられるのである。

「……まずい、これ嫌い」

 私より先にフェルが一口齧ったが、やっぱり合わなかったようだ。

「独特な味付けですね。これ」

 父さんも一口食ってみたが、その味に面食らったみたいだ。

 それでも、各自に用意したのは2切れ程度なので、私はお茶で流し込んだ。

 次にきんぴらごぼう。

 ゴボウの柔らかさの中にあるシャキシャキ感と、刻んだ唐辛子が残った眠気を吹き飛ばしてくれる。

 美味しいなあ。地球に行けば最高級の食材を使った料理を御馳走してくれるが、やっぱり基本庶民感覚な舌としては、こういうご飯の方が落ち着くのだ。

 そしておかずを食べ終われば、久しぶりにやりたかったことをする。

 それは味噌汁にご飯を入れる事。

 所謂ネコまんまだ。もしくはぶっかけご飯ともいう。

「あんたのそれ久しぶりに見るわあ」

「え? あの食べ方は地球だとよくある事なんですか?」

 お母さんと母さんが私の行動に、懐かしさと驚きを見せるが、私にとってはこの久方ぶりのじゅるじゅる感がたまらない。

 だって食べやすいし美味しいから、行儀悪い食べ方と言われようとも幸福感には勝てないのだ。

 さて朝食も食べ終えれば、私は昨日の夜には準備していた魔石と縮小ボックスに変換器を輸送機に詰め込んでいる。

 なので、後はガレナさんに送ってもらうだけだ。

「それじゃ行ってくるね」

「行ってらっしゃい、怪我しないようにねー」

「いつもより安心して見送れるのがありがたいね。お二人からリナの事が新聞やテレビで放送される内容を教えてもらえるから楽しみにしてるよ」

 四人に見送られながら私とフェルは第三研究室に向かう。

 途中でガレナさんとも合流し、帰りがいつ頃になるか?

 今後マルデアのゲーマー達にどんなソフトを持ってくるか?

 ソフト以外の娯楽商品やゲームセンターで遊べる商品を考えながら、部屋にたどり着いた。

「さて、今回はアメリカと日本だけに寄る予定だったな。

 それで、降りる場所はこの前にも設定したアメリカの誇る観光地だそうだが?」

「ええ、昔からの観光名所であり制作現場。またゲームソフトの元ネタとしても有名な場所です」

「確か蝙蝠に蜘蛛に飛蝗とかと融合? そんなヒーローを主役にしたゲームソフトもあったな」

「それ日本のやつも混ざってますよ」

「そうなのか?」

 まあゲームだけ遊んでいると考えれば、どこで作られた作品かなんて調べない限り、あやふやになってしまうだろう。

「では、行ってきたまえ。この前の場所でもあるから多分いけるはずだ」

「ええ、では行ってきます」

「いくど~」

 そして私とフェルは地球へ向かう。

 次の瞬間目を開ければ、大きな文字が岸壁に建てかけられているのが見える。

『HollyWood』

 やはり同じ場所なおかげか、今回も無事目的地に降りることが出来たようだと確信する。

 そう、私はもう一度世界有数の観光地であり、そして映画産業の中心地を訪れたのだ。




遅れましたが、誤字報告ありがとうございます。
CURURUさん・名無しのミリオタにわかさん・さーくるぷりんとさん・小山田ノッブさんに感謝。
何度も確認してても、やっぱりどこかで誤字脱字あるなあ。
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