……ダウンロード購入ソフトを考えた時、Wizardry外伝 五つの試練が最初に思いついた私はやっぱりハードゲーマー思考と認識しました。
もしくはLibrary Of Ruina。
そうして次の日、私は早速国連のあるニューヨークに移動する。
いつも通り護衛のマリアさんとジャックさんが迎えに来てくれて、フェルも顔見知りの二人だから挨拶している。
そんなこんなで、おなじみのスカールさんと会談である。
「マルデリタ嬢、ハリウッドは楽しめたかね?」
やはり自国の産業を観光してくれたので、上機嫌になっているように見える。
「ええ、色んな発想で彩られているので、華やかでしたから楽しかったです」
「それは良かった、いつか我が国の映画も輸出できる日が来ることを楽しみにしている」
すかさず、自国の営業してくるから流石だなあ。
「ではいつもの魔石と縮小ボックスをお渡ししますね。
ただ、フェルクル達から貰う木の実については、マルデアで換金とかの時間も必要なので、次回その分も持ってくるようにします」
「承知した。
それでゲームボイやグッズ関連の売り上げはどうだね?」
「ゲームボイに関しては、フェルクル達以外の売り上げについては次回報告できるかと思います。
今回はオールスターとはいえ、初めての違うゲーム機の販売ですから、中々難しいかもしれません」
「なるほど。携帯ゲーム機というのは手軽さが武器だが、初めて見る商品であれば売れ行きが読みにくいのも理解できる」
「だからこそソフト内容は鉄板でした。
ただ、ポツモン以降に販売したのがオールスター4・ゲームセンター関連・グッズ商品・そしてゲームボイ版オールスターでしたので、やはり次は大作という結論でした」
「ふむ、娯楽というものは時間が経てば経つほど、新鮮さと刺激が薄れていく。
期待感を煽る必要もあるし、我が国のソフトも必要になればいつでも準備できているので、よろしくお願いする」
「ええ、スカイリマとかガイストオブツシムとか面白かったです。
ただ、まだ2年目の市場に新しいゲーム機本体を販売するのは難しいですね」
輸入したいタイトルではあるのだが、さすがにスウィッツだと性能的に厳しいのだ。
確かにプレスタもいつか販売したいが、マルデアの市場的事情と地球の半導体事情がそれを阻む理由の一つとなっている。
「……口惜しいが世界的な半導体不足もあるから、優先順位をあげて輸出したとしても需要に対して供給が確実に追いつかないのは目に見えているのもある。
それに下手に未成熟な市場で機種を増やせば、顧客の混乱を招く可能性もありえる。
客観的視点として考えるならば、もう少しゲーム市場の活性化が必要であろうな」
「そうですね。マルデアではまだまだ一部の人達の娯楽でしかありません。
ただ、ゲームセンターのクレーンゲームとかは知らない人でも楽しめますから、認知度に一役買ってくれています」
「ブラームスゲームセンターのような理解者が増えればいいのだが、そちらについてはどうだろう?」
「地球で言う遊園地になる営業先には好評です。
それと新規営業先に国の公的機関が加わったのが大きいですね。
さすがに今はまだ小口ですが、上手くいけば大きな営業先に化ける可能性はあるかと」
マルデアの販売の仕方は勿論だが、地球側とて輸出の為の準備があるので、そういった点で私とスカールさんは様々な事を話し合う。
ちなみに、この間はフェルの相手をする人達が別部屋で担当しているそうだ。
さすがにこの前のようなことになるのは勘弁だそうで、地球の娯楽関連商品を用意し、美味しい食事や遊び相手など、様々な工夫を凝らしてフェルを接待しているそうな。
まあ、活火山の時は本当に助かったからね。
同時に改めてフェルの価値が上がったそうだし、フェルの羽の粉や木の実も研究してるそうだ。
「そして、現在企画中で難しいのがフルボイス化か」
「ええ、こればかりはマルデアで必要な作業になりますから」
「むう。これまでは字幕で対応していたと聞くが、確かに聞きなれた言葉というのは必須か。
地球で用意できるなら幾らでも協力できるのだが、マルデアでは私達は力になれんのが口惜しい」
「少しずつ協力してくれる人達は増えてはいますが、職種が違いますからね」
「映画に例えれば、下手な吹き替えをされたら興覚めとなって、見る気も失せるのは理解できる。
地球人がマルデア語を入れたとしても、細かな言葉遣いや発音が違う。
地球側でもマルデア語を読み書きできるようにはなってきてはいるが、流暢に話せるかと言われれば否定する事しか出来んな。
外国語を流暢に話せていると合格を貰っても、いざ留学先に行ったら殆ど通じないことも珍しくないからな。通じても相手が発音の違いを理解してくれるからの時もある。
そして私達地球人では、マルデア語で話されても完全には理解できないし作業を代わることも出来ないから、専門外の私が想像するだけでも難しいな」
テイルスの時は、あくまでも私が歌うだけだったし、歌だとリズムに合わせるから何とかなった。
「わかった。であれば専門家の方にも私が改めて出来る事が無いか協議してもらうようにする。
日本のゲーム会社もこの問題には取り組んでいるだろうが、考える人間が多ければ解決策が見つかる可能性も高まるだろう」
「ありがとうございます。
こちらもマルデアで実現するための方法を模索中ですので、吉報を届けられるように頑張ります」
そこから次の議題は魔石と縮小ボックスに移る。
「魔石に関しては今迄同様国連管理だが、出来れば災害の度に全ての魔石を消費することを避けたいというのがある。
しかし、魔石の消費に比重を置いたせいで、災害が止められなかったとなれば意味が無い。
その点で、魔石の扱いは常に国連で議論を重ねている。
使い方に関しては問題無いのだが、最悪君の助けが無く、どんなに効率が悪くても消費しなければならない事態も考えなければいけないのが、我々の仕事だからな」
「ええ、私も同意です。
それと縮小ボックスについてはどうでしょうか?」
魔石と違い、縮小ボックスは使い捨てではないし、この2年でかなりの数量になってもいる。
「運送関連企業を中心に試験的に貸し出しているが、報告書類を確認する限りでも劇的どころか革命的な進化を遂げたとしか言いようが無いな。
ガソリンの消費量は一割以下。
輸送時間・輸送量が段違いであるし、輸送中における荷物のトラブルも無い。
荷物受け渡しでも倉庫にそのまま降ろせるから、輸送中の移動時間以外に必要な時間は全て削られたようなものだ。
本来であればトラックからの積みこみ・積み下ろしの必要な作業であるフォークリフト作業が無いというのも大きい。
輸送方法とて、これまでは大型トラック等で運ぶしかなかったところが、ヘリや普通乗用車でさえ持っていけるようになったんだ。
特に建築現場で高層ビル建設中だと、建築資材や機材の運搬でコストダウン・安全性・作業日数も桁が変わるほどだ。
それに運送コストが下がったおかげで売り上げは向上しており、運送依頼をしている企業側も、商品販売における値下げも検討中だそうだ。
おかげで試験的な貸し出しで契約してるのに、企業側の中には1億ドルでもいいから買い取らせてくれと、うるさくて敵わん」
「あはははは」
単純計算で100億円かあ。マルデアだと私の給料で買えるから、場所が違えば価値が変わるとは聞くが変わり過ぎである。
「だが、おかげで様々なことが前向きな形で進んでいる。
今は目に見える形で表れていないが、二酸化炭素排出量は確実に減っているだろう。
中々思うように進まなかった事柄の1つだったから、これはとても喜ばしい事ではあるんだ」
「それなら持ってきている甲斐がありますね」
「ああ。地球人全ての代表というのはおこがましいが、本当に感謝している。
今後も星間貿易に対して、私達は全力で応えるのでよろしくお願いする」
そう言ってスカールさんが頭を下げるのに合わせて、私も同じように下げた。
「いいえ、こちらからもありがとうございます。
マルデアでもゲームで遊ぶ人達は本当に楽しく遊んでいます。
その笑顔は地球の皆さんのおかげなんですから」
そうして、私とスカールさんの会談は終わりを迎える。
後は、日本であの大作を受け取ってマルデアに戻るだけだ。
ちなみにフェルは待っている間、大層ご満悦だったそうな。
マルデアに持って行ってないゲームソフトを触らせてもらったり、体を使った娯楽商品で相手して貰っていたり、美味しい食事を食べてたり。
何か完全に幼児みたいにあやされていたような気がする。
まあ気を取り直して日本へ行こう。
あの大作を受け取るために。
いざ、スク・ウェニへ。
次回でソフト登場になります。
選んだソフトに間違いはないだろうと思えども、やっぱドキドキ。