リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

27 / 83
次回で大作のお話は区切りとなります。
そしたら末の日になるのですが、こちらはまだ作成中となりますのでしばらくお待ちいただく予定です。


新作配信

「こっれでポツモン達全部getーーー!」

 可愛いもの好きのラナが遂にクレーンゲームに入っているポツモンキャラクター達を手に入れた瞬間だった。

「ニニアちゃん、ようやくだよー」

 手に入れたミウの縫いぐるみを満面の笑みで見せてくれる。

「おめでとう。頑張ったね」

 いや、本当に頑張ったのだラナは。

 ゲームの縫いぐるみは人気が高いが、その中でポツモンは一番人気である。

 その為、入荷すればポツモンファンだけでなく、可愛いもの好きの人達もクレーンゲームに参加するのだ。

 結果、縫いぐるみが入荷してもプレイする人が多くて、タイミングが合わないと既に手に入れられていることもある。

 他にもカービアやぷやぷやのマスコットキャラクター等、ラナにとって可愛いと思う縫いぐるみはいっぱいだった。

 また欲しいポツモンがあっても、底の方にあったり埋もれていたら、まず辿り着くまでが厳しいのだ。

 学生である私達のお小遣いだと、クレーンゲームだけにつぎ込めないからお財布の残高と睨めっこもしていたりする。

 なのでラナはラナなりに必死に考えながら、クレーンゲームをしていたそうだ。

 私は超スタ2が基本なので、コンボとかダメージ量とか駆け引きをどうするかとかで頑張っている。

 今年こそは末の日イベントで優勝するのだ。

 あの猫さんも参加するだろうから、今度こそ勝ってみせる。

 それと隠しボスの鬼も倒せるようになったが、リウ以外のキャラだと中々勝てなかったりする。

 勿論私のマイキャラはリウだが、他のキャラも理解しないと対戦で不覚を取ることもあるのだ。

 ただ、新作も凄く気になってるけど。

「ん~あと20分ほどかあ。

 でも今回のは私の好みじゃないかもしれないんだよね」

 新作情報はいつものようにブラームス専門店でラナと一緒に見る事にしているし、同じように配信を楽しみにしているゲーセン仲間もいる。

 お姉さんは……仕事である。

 タイミングが合えば一緒に見るけど、社会人だから仕事優先は当たり前なのだ。

「そういえばニニアちゃん。テストどうだった?」

「うん、手ごたえあったよ。まあ魔法関連は相変わらずなんだけど」

 去年の親との会話以来、魔法関連で私はあまり言われることはなくなった。

 だけど、その代わり魔法以外の成績は逆に上がっていったのだ。

 末の日のリナさんとの会話で私は、どこかで才能が無いせいで鬱屈した気分になる魔法に心を引っ張られていたことが理解できた。

 そこからは少しずつ世界が広がっていって、魔法以外で出来る事を増やしていけばいいと思えるようになった。

 勿論ゲームは楽しい。

 だから私は可能ならばガレリーナ社に就職したいという気持ちが芽生えてもいた。

 そして改めて両親と話をすれば、だったらまずは勉強を頑張ればいいと思えるようになった。

 そうするとゲームを知るまでの私と比べたら、私はどんどん変わっていった。

 学園ではピハチュウのキーホルダーが切っ掛けで話せるようになった友達や、他にもいたゲーマーと一緒に勉強することが出来るようになったし、好きなゲームを語ることでイメージが変わったとも言われるようになった。

 そうして自分の意見を言えるようになったからこそ、母さんが私を大事にしてくれていたと実感したことで、のびのび出来るようにもなったのだ。

「それと末の日はやっぱり超スタ2で出場するんだよね?

 私はポツモンで参加するから、また一緒に行こう」

「うん、今度こそ優勝してみせるよ!」

 そんなこんなで会話してると、配信時間になったので皆で椅子に座る。

「皆さんこんにちは。ガレリーナ社のリナ・マルデリタです」

「サニア・ベーカリーよ。今月下旬に発売する新作ソフトを紹介するわよ。

 それじゃあ、早速この映像を見て頂戴」

 いつものリナさんとサニアさんが登場するが、挨拶が終わるとすぐにゲーム動画を流し始める。

『僕にその手を汚せというのか』

 まるで絵画のような絵で登場した青年が、苦渋の表情を浮かべながら拳を握りしめていた。

 そうして次々と動画は流れていく。

 盾を構え、剣を振り上げ、吶喊して突撃していく兵隊たち。

 それを待ち構えて迎撃すべく、弓を引き絞って矢を解き放つ部隊。

 空に向かって両手を掲げたと思えば、その空から敵部隊に向かって飛んでいく魔力。

 まるで映画の1シーンのような動画から、本格的なゲームシーンへと繋がる。

 見た目はオールスターで発売されていた、ファイオーエンブラムに似ている。

 でもよく見ると、ステージは凸凹があるようで、移動しようとする指定ユニットがジャンプしながら上に登っていくのだ。

 もしくは背中に羽を持つキャラが、羽を羽ばたかせて建物の上に降り立つ。

 そして敵を攻撃する時に同じ高さから攻撃する場合と、1段高い場所で攻撃する時のダメージは違っていた。

「えええ? 高さの概念でいいのか?」

 後ろにいる男子が困惑したように話す。

「お判りでしょうか?

 このゲームでは基本的に横移動・縦移動でありますが、そこに高さという概念が加わっています。

 現実でも上から物を落とせば当然勢いよく落ちていきますし、下からだと威力は減っていきます」

「つまりユニットを配置する時に、敵より低い場所だと不利ってことよ。

 そして他にも当たり前に思えるけど、重要な要素があるの」

 次に見せられるのはユニットの接敵方向。

 ユニットを動かしたのちに方向を決めるのだが、敵が背中に回って攻撃するのだ。

 そうするとユニットはまるで不意打ちされたかのように、対応できていない。

 他にもユニット達に属性という概念が加えられていて、そこも考慮しなければ大ダメージを与えられないというシステムも教えられる。

 また味方ターン・敵ターンという概念ではなく、個人個人の速度によって行動順が変化することも動画シーンで見せてくれた。

「こ、これは相当難しそうじゃねえ?」

 この時点で少し許容範囲を超えてきてる人もいる。

 だが私は反対に凄いとしか思えなかった。

「このゲームは正直覚える事も沢山です。

 ですが、それだけではありません」

「このゲームで大事なのはステージ攻略前に行う貴方だけの部隊を作り上げ、準備を整え、彼らを鍛え上げる事が重要よ」

 今度はキャラクター達のステータス画面をみせられる。

「装備についてですが、このゲームでは単純に強い武器を装備するだけという考えだけではいけません。

 そんなに強い装備でない代わりに行動順が早くできるもの。

 特定の装備セットをすることで、特殊効果を得られるものもあります。

 これによりどのユニットに装備させるか? どんな闘い方でステージを攻略していくかはプレイヤー次第となるのです」

「じ、自由度が高すぎる」

 少し驚きながらも呟く男の子は楽しそうにしている。

 ファイオーエンブラムがジャンル的に似たようなものだが、そちらだと武器だけで済んだしユニットもステージを進めるごとに用意されていた。

 また平面方式だから、ダメージ計算も容易だったのだが、この新作は間違いなく考える事が桁外れに多いのだ。

「しかし、勿論戦闘がゲームの主役とも言えますが、この物語こそ皆にお届けしたいのです」

「そう、既に皆も理解できてるだろうけど、この物語は戦争でもあるわ。

 でも戦争が起こる理由は様々。

 私達の歴史だと戦争なんて2000年以上前だから実感しようにも出来ないでしょう。

 ある意味、地球は争っていることが多いからこそ、私達よりリアリティを持って作れてるのかもね」

 サニアさんがブラックジョークみたいなことを言う。

「だからこそ、彼らは何故戦争をするのか? どうして戦うのか?

 そこに籠められた主義主張は物語を進める事で皆さんは理解するでしょう」

 勿論ゲームソフトだから架空のキャラクター達ではある。

 でもそんなキャラクター達が私達にゲームの楽しさを教えてくれている。

 だから、私達はそんな架空のキャラクター達を大好きになっているのだ。

「ですが主人公の主義主張を決めるのは貴方です」

「そう、貴方が決断した選択肢によって、物語は進んでいく」

「その結末は衝撃的でしょう。その結末に憤慨するかもしれません。

 ですが、後悔はしないでください。それは貴方なりに迷いながらも決めた選択肢なんですから」

 ポツモンの時は大いに騒いでいた場所なのに、今は静まり返っている。

 でも幾人かの表情は楽しそうにしているのだ。

「そして最後にこのゲームにおけるサプライズよ」

 何となく緊張が漂うような気分になっていたが、サプライズでまた楽しそうに思えてくる。

「この時点で分かるだろうけど、このゲームは自由度が高いからやりこみ要素も多いの。

 そして、強さを極めたいプレイヤーは、その鍛えたキャラクター達の力を存分に発揮させてくれる敵にも強さを求めるでしょう。

 そこでやり込み用にあるダンジョンが用意されているわ」

「クリアするには自軍を相当鍛え上げないと不可能です。

 ですが、そんなダンジョンをクリアした人には、ある限定プレゼントを用意いたしました」

 何それ!? ゲーマーとしては物凄く気になる。

「1つはゲームアイテムを見た目だけだけど、実際に制作したものよ」

 そうしてサニアさんが見せてくれるのはクリスタルみたいな品物。

「もう一つはシークレットです。

 これは手に入れた人にこそ価値があるでしょう」

 あ、コレクター心擽られたようで、目がぎらついてきてる人が幾人か出て来た。

「期限は発売から二か月以内に、ダンジョンクリアした証明をガレリーナ社に送ってきて頂戴。

 ただ、想定以上の応募だと申し訳ないけど抽選になるから、ペンネームでもOKならクリアランキング作って紹介する動画も考えてるからよろしくね」

 うわあ、更に火を燃やすような内容をサニアさんが告げた。

 私としては勿論プレイするけど、勉強も大事と理解したので期限内に応募できればいいかなと思ってる。

 でも明らかに一緒に配信を見ているゲーマー達が、サニアさんの言葉に煽られているのが分かった。

「絶対に驚かせてやろうじゃねえか」

 完全に獲物を狙う表情と口調がちょっと怖いけど、楽しみという感情を隠してない。

「う~ん。私は今回は末の日まではポツモン優先かなあ」

 ラナとしてはそこまで惹かれなかったようだ。

 まあ可愛いという感じじゃなかったしね。

 でも改めて私は思う。

 本当にゲームは想像力があれば、どんなゲームでも作れるんだということ。

 ジャンルも絵も物語も見せ方も、本当に様々な形で表現しているのだ。

 ああ、やっぱりガレリーナ社に就職したいなあ。

 その為にも、末の日イベントで優勝するんだと、私は再度決意するのだった。




ニニアちゃんは昨年の家族との出来事で、いい方向に進んだと想像しました。
なので、プロゲーマーも可能なら考えてますが、ガレリーナ社に就職考えててもおかしくないかと思いました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。