「あけましておめでとうございます。
昨年はお世話になりました。
今年もよろしくお願いします」
久しぶりに日本式の元旦の挨拶をする。
「なるほどー、地球だと新年はこういうふうにするんですね」
父さんが私と奈良の両親の挨拶風景を見ながら、とりあえず真似てみている。
「今年もよろしくお願い致します」
「よろしく~」
フェルも新年の挨拶ということで、皆に深々とお辞儀していく。
「それじゃあリナ。これがプレゼントよ」
母さんが取り出したのは手編みの帽子。
昨年はイカのセーターだったが、今年の帽子には小さくピハチュウのキャラ絵が入っている。
「ありがとう。母さん」
外出時には早速使わせてもらおう。
その後は、新年用に用意されたご飯を食べて、後は自由だ。
まあ早速ゲームするべきでもあるのだが、お店はいつも通り開いてるし、近所の子供達も遊びに来るので久しぶりに手伝おう。
「なあなあ、このステータス高いポツモンと交換しねえ?」
「それよりステータス高いポツモンを効率よく見つける方法無いかしら?」
末の日イベントの影響か、クリアしたのにまた遊びなおしてくれる子が、攻略法を語り合っている。
「私はアニメが楽しみ♪ ピハチュウも可愛いけどプルンが見たい」
「俺はケメックスかな。ドラクアのアニメはどんな感じになるかな?」
アニメの方も楽しみにしてくれているようで、子供達は色々想像してくれているようだ。
そして、
「五回分お願い!」
アーケードを遊ぶフェルクル達が母さんにクレジットをお願いする。
「はいはい、少し待ってねー」
とはいっても、小さい店とはいえ店員は母さんと臨時の私だけだから、結構忙しい。
でも、子供達もフェルクル達も地球の娯楽を楽しんでくれている。
こんな風景を見れると、本当に持ってきている甲斐があるというものだ。
ただまあ、今年はまた違った風景が加わってくる。
「おお、本当にフェルクル様達が遊んでおられる」
「噂は本当だったチュウ。これだけのフェルクル様達が遊ぶものなら布教せねば」
そう、幾人かのネズム人がお店に来たのだ。
正確にはうちで遊ぶフェルクル達を見に来たのだが。
確かによく考えれば、フェルクルを信仰するネズム国だから、日常的に娯楽を楽しんでいるフェルクル達の光景を、この眼で見たいと思うだろう。
とはいっても、あくまでも見ているだけで、どっちかというとマナーの良い観光客みたいなもんである。
詳しくは知らないが、日本の有名な歌劇団のファンは、物凄くお行儀いいらしい。
多分そんな感じかと思いながら、暫くの間ゲームを楽しむフェルクル達を眺めている。
ある程度満足すると観光客らしく、うちの店で幾つかの商品を買って、家族へのお土産にするそうだ。
やはり買う内容はサニックとピハチュウグッズだったけどね。
しかし、改めて母さんの業務を見ていると忙しそうにしている。
開店した当初は、近所の子供や熱烈なゲーマー達ぐらいだったので、家事の片手間で済んでいた。
子供達は学校帰りだから、夕方近く。
ゲーマー達は不確定だが、アーケード中は対応する必要は無いし、あくまでも買い物の時だけでいい。
でもフェルクル達は開店と同時に遊びに来る。
しかも木の実が対価なので、クレジット対応が必要となっている。
結果、母さんは家事よりお店の対応に時間を取られだしてきている。
休みなら私も手伝えるし、お店には出れないが、家のなか限定なら奈良の両親も手伝ってくれることもある。
でも、これが常態化するのはお互いが負担に思ってしまうかもしれない。
少し気になったので、ようやく手の空いた母さんに問うてみる。
「ああ、それなら大丈夫よ。
時々手伝ってもらえるように近所で手が空いてる友達に頼んでるから」
「え? それ聞いてない」
とっくに対応していたようだ。
「近所の子供達の遊び場だからね。自然とご近所同士で話題になるのよ。
それに家族でスウィッツを遊んでる家庭もあるし、手が空いてる時は手伝ってくれたりするのよ。
勿論時給は払ってるわよ」
何か母さんがどんどんやり手になってきてるような?
「それにフェルちゃん達もいっぱいだから、他にはない場所になってて治安管理の人も偶に巡回してるのよ。
そのおかげで、子供達が安心して遊べる場所ってことで、ご近所さんからは評判いいのよ」
……全然実感が無かった私は、改めてご近所ネットワークは侮れないと理解した。
とりあえずお店のことは問題ないことが判明したので、私は昨年同様に編集した末の日イベントを地球の動画サイトに投稿することにした。
すると、すぐに皆が反応してくれる。
『うあああ、もう再販してないイラスト集じゃないか!』
『ちょっと待て! あれ来月発売のカービアグッズやろ!?』
『マルデア人羨ましい!!! よ~こ~せ~』
『ヴェガ様のパフォーマンスしてくれたマルデア人さん。ちょっと地球に来ませんか?』
『またドラクアコンサート行ってみるかなあ』
『生で聞くと更に感傷に浸れるからお勧めよ』
『よし皆の衆、会社にグッズ再販しろと要求しようぜ』
『ノ』
『ノ』
『この会場でコスプレして写真撮られたい』
『強烈に食欲をそそる屋台だして、飯テロしてえ』
『そんな君にはシュールストレミング』
『処刑だ!』
『ポツモンとドラクアのアニメか。懐かしいなあ』
『マルデアで地球アニメ流行るといいなあ』
『ドラクアアニメとはいえ、当時打ち切りだったからなあ』
『え? こんなドラクアアニメあったの?』
『30年前のアニメだし、知らない子だらけでもおかしくない』
『ネットで探したらすぐに見つかるよ』
「劇場版ポツモンも見てほしいなあ」
等々、色んなコメントをしてくれていた。
流石に全てのコメントを確認できないし、偶に返信したくなるようなコメントもあるけどね。
「リナ、まだかかりそう?」
フェルが私を見て、今か今かとせっついてくる。
「ううん、終わったよ。
待たせてごめん、それじゃゲームしようか!」
「おう!」
そうやって今年もフェルと対戦ゲームで遊ぶのだった。