アルセイアから3日目となると、流石に気分はのんびりとなってきている。
まあ引き続き仮面5Rの終盤をプレイしているのだが、
「リナー、ゲン君来てるで~」
奈良の母さんがゲンが来たことを教えてくれる。
まあRPGだから、いつでも止まれるのでメニュー画面に切り替える。
「よ~、明けましておめでとう」
「明けましておめでとー」
偶に遊びに来てるから慣れたものになってきていて、とりあえず居間に移動する。
「流石に3日目になると、やることないから遊びに来たわ」
「まあ年始休みなんてそういうもんだしねえ」
「それでも人んち遊びに来たから、お土産持ってきたで」
「ゲン君、別に気にせんでええよ?」
母さんが答えるが、私はとしては既にゲンのお土産に見当がつく。
だって昔からある定番の箱が見えているのだから。
「554のほ~さい♪」
大阪名物豚肉のまんじゅうである。しかも6個入りを2箱出してくれる。
「わーこれ久しぶりだ」
早速蓋を開けると出来立てのようで、食欲をそそるいい匂いがする。
「他にも買ってるから、おかずで食ってくれ」
「ありがとー。あつ」
すぐに1個手に取ってかぶりつく。
「うまああああ」
「あははは。動画でよく見る顔になったわ」
「お茶入れるから、ちょっと待っててな」
「おばさんありがとうございます」
「もぎゅもぎゅ」
何か子ども扱いされてる感じである。
まあ豚まんが美味しいのと、休みだから気分が緩んでるせいでもあるかな。
「そういえば、そっちはいつまで休みなんや?
俺は5日から仕事やけど」
「うちは6日までだね。
末の日イベントがあったから、年末休みの分を年始に回してるし」
母さんが目の前にお茶置いてくれたので、早速飲む。
「そういや、動画見たけどおもろかったなあ」
「そうやねえ。あの後きっちりニュースになってたし」
……2個目欲しいな。
「俺は気にせんでええから食うてくれ」
「私も1個あれば十分やから、欲しかったら食べ」
甘えてるなあと思いつつ、久しぶりの味でもあるので手を伸ばす。
「特にあの魔法パフォーマンスが話題性抜群で ヴェガが検索キーワードランキングに入ってて笑ったわ」
「新聞でも少しスタ2の事書いてたの読んだな」
ゲンと母さんの言葉に、私も楽しくなる。
「うん、実際皆も楽しんでくれてたよ。それにマルデアだと地球のマジックと一緒でパフォーマンスとして仕事にしてる人もいるよ」
「なるほど、楽しませる魔法の使い方か。
俺らの場合、リナの魔法が基準になるから、大ごとに構えてまうとこあるからなあ。
地球目線から見たら、奇跡にしか見えへんし」
「マルデアだと魔法は日常だから、その辺の違いだね」
さすがに2個も食べたら口の中がくどくなってくる。
「そういえば次の公式訪問はいつ頃考えてるん?」
母さんが聞いてくる。
「ん~正確には決まってないけど今月の下旬ごろかなあ。
今オールスター5とアーケード準備してもらってて、まだ時間かかりそうなんだって」
「おいおい、俺が聞いてええ話なんかいな?
輸出リストに入るゲームのタイトルが先んじて分かったら、また株価動くぞ」
ゲンが少し焦りだす。
「そうなの? 私は気にしてないけど」
こたつの蜜柑を手に取って、むきむき。
ゲンが溜め息をつくが、とりあえず理由を教えてくれそうだ。
「あ~の~な~、確かにこの前地球の事情なんて気にせんほうがええとは言うたけど、今の地球はマジでお前の一言で動くんや。
ぶっちゃけた話、もしお前が地球のどっかを貶したら、確実に地球の総力あげて行動する。
魔石と縮小ボックスが魅力なんは事実や。
でも、お前自身に嫌われたら、星間貿易どころじゃないからな」
「せやな。リナお前はもうちょっと自分を評価してええ」
父さんも話に加わってくる。
「いやいやおじさん。もうちょっとどころやないですって。
……まあ自分の事なんて実感わかへんのもあるやろうけど」
「そんなもんかなあ?
私としてはマルデアの皆にゲーム楽しんでもらえれば充分なんだし、それで対価として魔石や縮小ボックスで喜んでくれてるから、それでいいと思ってるけど」
「いや、あのな?
地球人感覚やと昔のゲームや新作ゲーム輸出したら、天災排除と河の浄化してもらえたんやと地球側からすればリターンが大きすぎるって理解してるか?」
ゲンが眉間に皺を寄せて、右手を額に持っていく。
「う~ん、魔石と縮小ボックスもマルデアだと普通に販売してるから、どっこいどっこいじゃない?
最近は業者さんもガレリーナ社で定期的に注文してるから、得意先認識されてきたし」
「駄目だこいつ何とかしないと」
頭痛そうにゲンが言うが、地球の人達が頑張ってくれてるからマルデアでゲームできて皆も同じように楽しんでくれて、結果として気持ちよくお金を払ってくれる。
その結果をきちんと還元してるだけなのだが。
「ゲン。あんまり気にせんほうがええ話や。
お前の考え方は善良で誠実や。そやからリナにそれだけの対価を貰ってほしいんやろ?
それは別の見方したら自分の気持ちを押し付けてしまうって事にもなる。
商売してる儂からすれば、リナにとってはゲームで皆が喜んでくれてるってことが重要なんや」
父さんが私の考えを少し補足してくれる。
ゲンも父さんの言葉で、少し考えをかみ砕くように頭をかく。
「確かにその考え方も一理あるかあ。
何やろうなあ。貰ったものが大きすぎるからこそ、どこかで自分の方ばっか得してるような気分になってるとこあるからなあ」
こっちはこっちでちゃんと得してるんだけどなあ。
とりあえず二個目の蜜柑に手を出しておく。
「でも私が訪問する度に皆歓迎してくれてるし、美味しいものいっぱい食べられて嬉しいよ。
それに何だかんだで現状、私が輸入するゲームソフト選んでるから、その要望にゲーム会社の人達は全力で応えてくれてるもん。
他にも動画投稿したら、皆喜んでくれる。
マルデアでもどんどんゲーム仲間が増えていく感覚だから、心は凄く満たされてるんだよ?」
私にとってはそういうことだ。
皆が喜んでくれて、楽しんでくれて、少しずつ地球とマルデアの距離が近くなっていく。
それはとっても素敵な事で、その切っ掛けをくれたのがゲームなんだから。
「……あかんなあ。大人の考え方が染みついてもうてるわ。
うん、そうやな。幸せってそういうもんやったなあ」
私の言葉にしみじみとするゲン。
そんなゲンを見ながら、3個目に手を伸ばそうとしたら、
「リナそれくらいにしとき。晩御飯入らんようなるで」
「あう」
母さんに突っ込まれるのであった。
その後はというと、
「くらえ! ジョーサーーのエイグオン!」
「見え見えや! カズキの筋肉にひれ伏せ!」
大乱闘スマッシュブルザーズで対戦する私とゲンは夕ご飯まで、対戦と気分次第の共闘したりで盛り上がるのだった。