リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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現実味や表現は難しい。
ホラゲーだけでなく、物語上必要な表現でさえ内容によってはえぐいけど、そうしないと面白くないのも理解できます。
ニトロプラス関連は特にそうだし。


配慮

「なんでマルデアでは普通に売ってくれないんですか?」

 最近、ドワフ国限定でオールスター4に入っていたDOOOOMを販売してほしいという問い合わせが増えてきている。

 当初はサムシティやラミングスなどで、充分評判は良かった。

 しかし、時間が経つごとに他のゲームを軒並みクリアし終わり、未プレイのゲームをしたいという人が増えてきていた。

 結果、マルデアではDOOOOOMをネット情報から仕入れて、また配信する人のプレイを見たことで遊びたい要望が出て来たのだ。

 勿論私としてもそのこと自体は大歓迎なのだが、やはりえぐい表現が多いゲームというのは販売に対して腰が引けてしまう部分もある。

 無論その表現があるからこそ、面白さを感じられるし現実味があってこそだ。

 だが、実際地球でもあったが、余りにも現実味がありすぎてトラウマになるような場面も存在するので、中々難しいと思っている。

 とりあえずここは地球のやり方に倣うべきで、

「推奨年齢対象を入れる事を考えています」

「悪くはないが、それだけで問題は解決しないだろうな」

「ですが、何も考えずに販売するよりはいいですね」

 ガレナさんとエヴァンスさんに相談に乗ってもらいながら、私は対応策を告げた。

「バイアは面白かったですが、客観的に見れば表現方法がきつすぎます。

 無論ホラーゲームというジャンルはそれがあってこその魅力です。

 ただ、精神的に幼い人や怖いのが苦手な人だと、どうしても難しいでしょうね」

「そもそもプレイしないという考えは?」

 エヴァンスさんの言葉にガレナさんが問いかける。

「怖いもの見たさというのがあります。

 それに覚悟していても、予想以上の場面もあるので、記憶に刷り込まれてしまうのはどうしようもありませんね。

 法律面から考えれば、ゲームでおかしくなったと言われても、別にうちに責任はありません。

 ただ、顧客満足度や信用を考えれば事前に対応しておくことは大事です。

 それに今後のゲーム販売だと、やはり現実味を帯びたのは増えていきます。

 ホラーゲームじゃなくても、戦闘中心のゲームだと流血表現はよくあることですし、爆発や肉体損傷が物語として必要になるのもあります」

 そうなのだ。スーファム時代が終わる次世代機からは、ゲームソフトの進化は加速度的に上がっていく。

 ドット絵からポリゴンへ、ポリゴンからコンピューターグラフィックへ。

 セル画も少しずつ廃れていった時代なのだ。

「表現方法を和らげてもらうことは?」

「それも理解できるんですが、配慮したことで現実味が無い事による違和感で面白さが半減どころかつまらなくなった事例があったそうです」

「理解できますね。ヘッドショットで倒したのに頭部爆散しなかったり流血表現が無かったら、倒した気分にならないというのも考えられるでしょう」

 エヴァンスさんが結構ぐろい言葉を言うが、ある意味他の社員達だと言えない意見でもある。

 ガレナさん以外にも、ホラーゲーム苦手な社員もいるからなあ。

 私もそこまで得意ではないけど、会社の皆がプレイしてるの見てる時は面白そうだった。

 ただ、私の場合皆と一緒だから恐怖感が減っている部分も有ったりするが。

「う~む。サニアのやっていたソウラシリーズでも時折怖いと思ったから、客観的に見れば必要と分かるんだが、個人的な目線で考えると難しい部分だな」

 そうなんだよねえ。

 ホラーゲームというジャンルって心理的ストレスが凄いのに、なんであそこまで人気になったんだろう?

 いやまあ、死ぬのはあくまでもゲーム主人公だし、プレイヤーは絶対安全が保証されてるからこそ、安心してプレイできるのだろう。

 遊園地や映画でだって、日常では体験できない気分を味わえるからこそでもあるのは理解してる。

 だが、根本的な問題はマルデアできちんと受け入れてもらう事なのだ。

「そうだな。

 なら年齢表記以外にも、サニアの配信で事前に公表。

 それと地球同様ソフトのパッケージに推奨年齢を分かりやすくしてもらおう。

 オールスターの中にあるなら、説明書やプレイ前には明確に記載してもらえばいけるか?」

「いいと思います。

 嫌な言い方ですが、事前にこれだけ配慮したという意志を見せれば、責任は回避しやすいですから。

 言い訳・責任転嫁・自己判断が通用するのとしないのとでは、顧客満足度も大きく変わってきます。

 可能なら、体験版をしてもらえれば更に避けられる気もしますが、店頭で宣伝したら多分そっちのほうがきついかもしれませんね」

 エヴァンスさんが法務としての考え方で教えてくれる。

 会社経営者としてのガレナさん。

 法律上から会社責任を考えるエヴァンスさん。

 そしてゲーム販売を考える私。

 多種多様な立場だからこそ出される意見があるからこそ、会社というのは成り立つので、こういう相談は大事と実感できるのだ。

「となると、マルデアでも正式に販売をしていく計画が必要か。

 だが一度オールスターで販売している以上、また違った形で販売するべきだろうな」

「ですね、今後再販するオールスター4に入れますとか言ったら、既に購入済みの人に申し訳ありませんし」

 販売前より販売後の事考える方が大変だなあ。

 ようやく三年目に入るゲーム文化だが、マルデアでの販売元は所詮小さな企業である我が社だけであるから、信用を無くせば一瞬で会社が潰れる事だってありえる。

 それはお金とか権力とかの問題じゃなく、遊んでくれるお客さん達が受け入れてくれるからこそガレリーナ社と地球の星間貿易は成り立っているのだ。

 もし、これでお客さん達に嫌われるような事が起これば、売り上げどころの問題ではなく、地球への親しみさえも無くなってしまうと考えれば、配慮というのは本当に大事なのだ。

 全体的に見ればマルデアから地球への感情はマイナスのほうにまだまだ傾いているのだから。

 さすがにゲーム自体が面白くなかったと言われたら謝るしかないので、ある意味お手上げ状態だが。

 ただ大ヒットしたゲームだけでなく、そろそろニッチなゲームも販売計画を立てている。

 好みというのは様々で、大多数の人が気に入るようなゲームに見向きもせず、ただ只管に自分が気に入る世界観を持ったゲームのみ遊ぶ人もいる。

 確かに売り上げとしては大したことが無いだろう。だがそういった人は非常に熱心なファンとなってくれて、少々のことではファンをやめる事は無い。

 結果、長期的に見れば安心して売り上げを見込める客層にもなり得るのだ。

 とはいえども、そういう人達程ある意味沈黙の客層でもあるので、ファンになってもらうまでが大変ではあるのだが。

 話を戻す。

「ならば、そのシリーズの新作を出すことも検討しておくべきか。

 あとは表現的に配慮したと告知しておけば、少しは納得してもらえるか?」

「そうですな。問い合わせでは既に答えておりましたでしょうし、正式に告知すれば問い合わせは減少するでしょうね。

 まあ中には気にしないから売ってほしいと言われるでしょう」

「儘ならんなあ」

「商売って難しいですねえ。あちらを立てればこちらが立たずってやつですね」

「八方美人はやめておけ。

 基本的に自分のやり方をころころ変更するほうが信用は無くすからな」

「吐いた唾は吞めぬもあります。

 そして覆水盆に返らずというのが、商売でなくても世の中では大事ですよ」

 その後、何だかんだで話は進み、配慮が必要なソフトはプレイ前に分かるようにすることにしてプレイヤーの自己判断に任せるということになるのだった。




今回の投稿はここまでです。
また書き溜めるのでお待ちください。
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