リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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他の人が書く物語には、ご都合主義も笑って楽しめるのに、自分で書くと「……ねえよ」と思ってしまう。


飛ぶのは浪漫

 ノルウェーという国はフィヨルドというのが有名である。

 また山羊の放牧を仕事にしている人もいる。

 反対に森林率は3割となっているので、林業はそこまで盛んではないそうだ。

 で、何故このような事を説明しているかというと。

「……絶景ではあるねえ」

「原始時代?」

 人の手が入ってない岩山の上空から、私とフェルは地上を見下ろしているのである。

「フェル寒くはない?」

「だいじょぶ、でも服きといてよかった」

「我慢できなかったら、私の服の中に入ってるといいよ」

 私の服は耐寒性も優れているし、いざとなったら魔法使えばいいから問題はない。

 食料もあるので、慌てる事は無いのだが見える範囲だと人里が無かったりする。

「困った。電波も届いてないから地球のスマホは使えそうにないね」

 マルデアのデバイスならいけるけど、地球なので正確な位置測定は出来ない。

「ん~、何となく海の匂いが濃いのはあっち」

 フェルが指さすのは川。

 なるほど、確かに川沿いに進めばいつかは海に近づくだろう。

 フィヨルドが有名だから、最悪海岸まで行けば問題無く人里にたどり着けるだろう。

 上空から見下ろせるから、発見もしやすい。

「よし、フェル。

 川沿いに進んでみようか。このまま飛ぶから一旦私に掴まってて」

「うむ。くるしゅうない」

 意味分かってて言ってるのだろうか? でもマイナス気温だから気を付けておくほうが良い。

 しかし、綺麗な風景だなあ。

 人の手が入るからこその美しさというのもあるが、自然そのままであるからこその本来の美しさは生命が映し出す色でもあるのだ。

「ワングと巨神もある意味こんな感じを楽しむのも目的だしね」

 主人公である少年が少女を助けるために、禁忌とされた土地に存在する巨神達を倒すゲーム。

 雑魚的というのは存在せず、倒すべき巨神達を探しながら、様々な風景を楽しむことが出来るのだ。

 そして発見した巨神を前に、主人公はたった一本の剣と弓で巨大な巨神に立ち向かうという他には無いゲーム性が素晴らしい。

 他にも風の放浪者とかもいい。

 ほんの数時間程度でクリアできるのだが、これもまた綺麗な風景を見せてくれるのでプレイする手を止めて眺めていたくなる。

 ガイストオブツシムとかも作りこみが凄くて、風景を見てるだけで楽しくもなるのだ。

 あ~早くこれらのゲームもマルデアに届けたい。

 掲示板とかで皆が楽しく語っているのを見ているだけで、こっちは嬉しくてしょうがないんだから。

「お?」

 ふよふよ飛びながら進んでいると、フェルが気になったものを見つけてくれる。

「あの場所、えらい飛び出てる」

 その場所を見てみると、まるで大きな舌を出しているかのように飛び出ている。

 でも、柵も何も無いから結構危なそうだ。まあ気を付ければ落ちる事は無いだろうが。

「あれ? 人いるみたい」

 よく見ると、座り込んでる人が何人もいて撮影しているようだ。

「よし、人がいたし、ここがどこか聞いてみようか」

「おう」

 そうして相手の方に視認しやすいように飛んでいくと、気付いてくれたようで私を指さしてくれる。

 どうやら飛んでるのが私とフェルと理解したようで、しきりに撮影と手を振りだす。

 私も手を振り返すのだが、

「あ!」

 興奮した男性が崖に近づきすぎている。しかも足元を確認していない。

「駄目! 落ちる!」

 その瞬間、私は飛行速度を全開にして崖に突貫する。

 同時に脳内で魔法をイメージする。

『願う。風と大気の干渉』

 足を踏み外して落ちてしまえば、この高さだと確実に死んでしまう。

 ならば強烈な上昇気流のような風で、崖下から風を吹き上げればいい。

 そうして魔法を発動して、私はもうすぐそこまで崖に近づく。

 すると崖に近づきすぎていた人が私の魔法に驚いて、慌てて後ろに下がった。

 その行動に安心するが、もしかしたら断崖近くなのを理解していたのかもしれない。

 見た瞬間は反射的に動いてしまったが、軽率だったのかなあ?

 とりあえずは挨拶だ。

「こんにちは。驚かせてしまいましたか?」

「こんにちはマルデリタ嬢! いや、こちらも軽率でした」

 あちらも私が魔法を使った意味を理解してくれたんだろう。

 少しバツが悪そうに答えてくれる。

「確かに客観的に見れば危なかったし、マルデリタ嬢が反射的に助けようとしてくれたのが分かった。

 誤解させてしまって申し訳なかった。そしてありがとう」

 頭を下げて謝罪と感謝を口にする男性。

「いえ、私もとっさの判断でしたので、驚かせてすみませんでした」

 こちらも頭を下げておく。

 すると、近くにいた友達らしき人が近寄ってくる。

「マルデリタ嬢申し訳ない。

 私達にとっては慣れた場所だったせいで、客観的に見た場合の事を油断していたよ。

 改めてノルウェーにようこそ。

 前回はハリウッドで観光だったから、今回はこのトロルの舌を観光しに来たんですかな?」

 トロルの舌?

 ……あ、思い出した。

 ノルウェーの観光名所の1つであるトロルの舌。

 オッダという町に存在し、この突き出た岩場がまるで巨大な舌のように見えると言う事で、その名前が付いたそうだ。

「ええ、とても良い景色が見れるそうなので、この眼で見たいと思ったんです」

 偶々だけどね!

「あとは、可能ならオーロラを見てみたいなと思いまして」

 こちらは本心であるが、同時に北極圏でもあるトロムソという町に行ってみる予定だ。

「それはいいですね! 私もオーロラは見たのですが、とても神秘的で幻想的な光景が見れますよ。

 ただ、自然なので運が良ければになりますが」

 まあそこは自然相手だからどうしようもない。

 あくまでも運よく見れたらいいなという気持ちなので、本命は北極圏体験なのだから。

「ええ、そこは承知しています。

 ちなみに皆さんはまだ下山予定じゃなかったりしますか?」

「いえ、そろそろ下山です。何せ五時間かかりますからな。

 私達は何回も来てるので慣れていますが、それでも冬山だから危険ではあります」

 おおう、つまり往復で10時間。大変だけどこれなら前のワシントン山みたいにいけそうだ。

「なら一緒に行かせてもらえませんか?

 荷物は私の輸送機で全て預かりますし、こういう場所を歩くのも楽しそうなので」

「よろしいんですか!? 寧ろマルデリタ嬢に直接出会えただけで奇跡なのに、一緒に下山できるなんて」

 驚かれるが歓迎してもらえそうだ。いやまあ道案内もしてもらえるし、ただ空を飛んで町に行くのは味気ないしね。

 その後、私は彼らの荷物を輸送機に入れる。下山途中に必要な道具は所持したままだが足取りは相当軽くなり、下山時間は結構短くなるそうだ。

 道中で絶景を教えてもらったり、一緒に写真を撮影したり、フェルも綺麗な景色を見る事で機嫌よく浮遊している。

 あと、足を滑らしそうになるが、魔法で足裏に滑り止めを形成させる。

 日常生活に役立つ魔法の使い方をしたら、彼らは関心を示してくれて今までの私の魔法の派手さと違うのを見れて楽しそうにしてくれた。

 そして思った以上に下山がスムーズに出来そうで、私はスマホでトロルの舌を観光したことをSNSに投稿した。

『トロルの舌を観光してきました。とても良い景色を見れて楽しかったです』

 写真も加えて、フェルの防寒服姿を入れておく。

 すると、早速反応してくれる。

「フェル様のもこもこ衣装可愛いいい!」

「景色はいいけど、1100Mの場所怖いよー」

「親方! 空からリナちゃんとフェル様が降ってきた!」

「ふええ、ノルウェーにはこんな観光場所あったのか」

「行くならツアーにしなさい。冬に行くのは慣れた登山客だ」

「今年最初の訪問に感謝!」

「リナちゃん、少し遅めだけど明けましておめでとう! 今年もよろしくね」

 すぐにコメントやいいね表記がたまっていくのは、何回見ても嬉しいものだ。

 正直なところ、3年目になる星間貿易だから日常として扱われて、少しずつ動画チャンネルでの賑わいも減っていくと予想していたんだけどね。

 その後、一緒に下山した彼らと別れ、オッダの町を散策する。

 そうしてると、いつもの現地警察さんの登場だ。

「マルデリタ嬢を確認しました。これより警護に移行します」

 仕事とはいえ、毎回振り回しているような感じで申し訳ないが、ワープのことは公表するわけにもいかない。

 下手したら誤解産むかもしれないし、そこらへんはスカールさん側の政府関連の人だけの秘密だ。

 そうして私はノルウェーの首都であるオスロに移動する。

 マリアさんとジャックさんも私が来たことが分かった瞬間、アメリカから即座に飛んでるそうだ。

 いや、本当に頭が下がる。富裕層なら当たり前に人を使ってなんぼだろうが、生まれも育ちも一般庶民であり一般庶民的感覚だから、いくら地球で超VIP待遇と理解してはいても当然という気持ちにはなれないのだ。

 なので、私の都合で振り回してるのでいつか御礼したいものである。

 さあ、ここからはノルウェーで大使としての仕事をしよう。




地球防衛軍5の乗り物は操作が難しい。
6ではもうちょっと扱いやすくなってほしいなあ。
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