またPCのエミュレーターで、このアーケードをアニメ・POP曲で遊べるようにしていた人もいたなあ。
会社を出て、私は早速マジックランドに営業に向かう。
もうマジックランドからは購入の連絡が来ていて、あとは設置作業して納品するだけである。
しかし、商品説明はしっかりしないといけない。
今までのゲームより音が出るゲームでもあるから、設置場所も大事になってくる。
今日は休日前日の午前だが、それでもマジックランドはお客さんで賑わっているようだ。
「待ってましたよ。ガレリーナさん」
「いつもありがとうございます。今回もマジックランドさんのとこなら賑わう事間違いなしです!」
マジックランドで顔馴染みになった担当さんに私は自信を持ってお勧めする。
「最近はゲーム目当てにマジックランドに来てくれるお客さんも増えているんですよ。
それで1日3回限定で無料で遊べるサービスを年間パスに加えたら、購入者が増加したんでうちとしても利益がいい感じなんです」
「そうなんですか!? 確かに3回も遊べて、他遊具も遊べるならお得感凄くありますね」
近場で気軽に遊びに来れる人なら、確かにいいだろうね。
「まあ遊びに来たら他にも飲食や3回で物足りない人が結構いてね」
「なるほど。何だかんだで衝動的に欲しくなることもありますよね」
雑談になるが、その間に私は準備をする。
「それで新作についてなんだけど、一番目立つ場所に置く予定です。
音が大きめで、見てるだけでも楽しめるアーケードなんですよね?
なら、周囲にスペース開けておいたほうがいいと思います」
そう言って設置場所を示してくれる担当さん。
実際、BEATMAXは地球だと屋根付きの店外に配置している所もあった。
また、いつか持ってくる予定の太鼓も屋外に配置されていることは結構あるので、周囲を気にしないでいいなら、目を引く事が出来る音ゲーには持ってこいである。
「では、こちらに設置いたしますね」
そうして私はBEATMAXの設置準備を始めるのだが、
「おい、あれ新作じゃないのか?」
「この前配信で言ってたから、早速遊べるの!?」
「うわあ、今日は3回だけ予定だったから、お小遣いあんまり持ってきてないー」
「格ゲーでもないし、サニックやぷやぷやみたいなやつとも違うな?」
「ボタン5つと円盤っぽい? ボタンはなんか鍵盤に見える」
周囲にいたお客さんが設置している私と担当さんの周りに集まってくる。
設置完了しても担当さんがまず試遊するんだけどなあ。
「……試遊する予定だったんですが、この状況で私が最初にやったら批難されそうですね」
担当からすれば正常に稼働するか確認するのは当然なんだが、お客さんにとっては店員が不当に権利を行使していると思われるのかなあ。
遊び方は簡単だから、すぐにお客さんに遊んでもらえるけど、どうしよう?
「設置完了までは、どれくらいかかりますか?」
「遊べるようになるのはすぐですけど、もう一台設置しますし初期不良が無いかの稼働確認で、1時間は最低でも頂きたいんですが」
一応ワンコイン分プレイして、正常動作するか確認しておきたいところである。
それにX-TYPEもあるから、作業することはいっぱいだ。
「正式稼働は午後からと告知しましょうか」
「お願いします。それとこちらが操作方法と取扱説明書になります」
作業しながら私は担当さんに書類を渡す。
「地球の商品だから形式が違うのは理解してるんですが、相変わらず丁寧に制作してますなあ。
読んでてすぐに理解できますよ」
地球ではマルデア用の書類作成に関しては、常に試行錯誤しているようで如何に分かりやすく見やすい書類形式になっているか研究しているそうだ。
書類作成において、社会の常識とも言える表計算ソフトやワープロもマルデア用書類に活用されている。
「ふむふむ、なるほど遊び方はシンプルですね。
流れる曲に合わせて落ちてくるバーをタイミングよく押す。
円盤の方は押すというよりずらす感じで、自分で音楽を奏でてるような気分になる」
「はい、好きな曲って聴くのは勿論ですが、口ずさんだり弾きたくなったりしますから、それを楽しめるようなゲームなんです」
実際私もゲームしてる時に好きなBGM流れると、思わず鼻歌をしてしまうこともあるからね。
音楽ってやっぱり人の心を揺れ動かす力が本当に凄いのだ。
「いいですねえ。私も好きな歌手の曲は繰り返し再生してしまいます」
そんな風に作業しながら雑談するが、担当さんもマジックランド用のお知らせでアーケード稼働の告知や、アーケード設置作業場所周辺への立ち入り禁止を行ってくれる。
でもお客さんは私のアーケード設置作業にも興味津々なようで、デバイスで撮影したり知り合いに連絡したり、観客同士で雑談しながら正式稼働開始を待ってくれている。
「早く遊びたいなあ」
「明日返すから、今日だけお金貸してくれない?」
「今のうちに早めの昼食済ましておいたほうが良いかも」
「あ、マジックランドのお知らせでも稼働開始投稿してる」
「俺らはその前に実物の設置作業見てるんだから、優越感に浸れる」
「私、設置作業風景投稿した」
待ち望んでくれてるお客さんからの期待と圧力を感じながら、私は作業するのであった。
その後、私は問題なくアーケードを設置し、担当さんに稼働確認してもらう。
そして担当さんも扱い方を理解したことで、既に列を作って待っていたお客さんに正式稼働を宣言すると、
「いっちば~~~ん!」
最初のお客さんとなった女性が、どこぞの駆逐艦のようにはしゃぎながら、早速ゲーム開始。
稼働確認するためにゲーム操作しているのを見てたから、淀みなく曲選択画面を円盤で動かしまくる。
「えっふえふ~♪」
速攻で定番OPのBGMを選択し、目をキラキラさせながら遊びだす。
「た~た~た~~た~」
うむ、きっちりリズムと音程に合わせて鍵盤を叩きながら鼻歌も追加。
「5面白かったよなあ」
「他のナンバリングも早く売ってほしいよ」
「幻獣召喚する時が好き」
「ああ、画面で名場面や戦闘画面見てるだけでも楽しくなる」
お客さんもきっちりやりこんでいる人達だったようだ。6も今度遊べますからもう少しお待ちくださいねー。
さてと、これでマジックランドでのお仕事は終わったのでブラームスさんの方に行かないと。
「では、これで作業完了です。
購入有難うございました。今後ともよろしくお願いいたします」
そう言いながら私はマジックランドからゲームセンターに向かう。
他の営業先で設置作業している仲間もいるから、そろそろ新作アーケードで盛り上がりだすお客さん達もいるはずだ。
ゆっくりとご飯食べる余裕が無いので、適当に食事を済ましながらネットを確認する。
『マジックランドで早速遊んだ。ゲーム音楽好きだからめっちゃ楽しい!』
『自分は曲選択する時にサビで気になった曲で遊んだ』
『難易度上げたら失敗して、すぐにゲームオーバーなってしまった』
『ドラクア音楽たのし~。末の日イベントで公開した動画をもう一度見れて嬉しい』
『自分はゼルド選んだ』
『サニック!』
『べべっべっべべべっべっべ♪』
『なんだそれ?』
『地球の音楽も入ってたから、そっちも良かったよ』
『10分くらいでゲーム終了するし、待ってる間もゲーム画面見てると楽しいから順番が待ち遠しい』
もう遊んだ人たちの声が投稿されている。
反対にまだ仕事中やお昼休みだった人たちからは、
『ぐあああああ! 仕事が憎い~~~』
『ガレリーナ社からのお知らせでも動画出ててめっちゃ楽しそうだな、おい』
『友達と遊ぶ予定を速攻で立てたわ』
『お小遣いがどんどんお空に消えていく算段です』
『オールスター5用のお金以外はこっちにつぎ込む』
『ガレリーナ社め! 俺達の財布をどこまで狙っているつもりだ。もっと新作ください』
『マルデアの楽器で弾いてみるのもありかな?』
『あ、それいいね』
『違う楽器で聴くのも新鮮で楽しくなる』
『テイルスのOP曲歌ってたな~自分』
そんな内容見ながら私はニヤニヤしてしまう。
さてと、次はブラームスさんのゲームセンターでX-TYPEの設置完了したら、そっちの反応も楽しませてもらいましょうか。
ちょっと悪ノリしてるような気分で皆の反応を楽しむ私であった。
お話どう書くかは大体決まってるのに、中々筆がのってくれない。