もう少しで投稿から一年経つのかあ。
大人になるほど時の流れは早いなあと思えども、時間の扱い方って幾つになっても難しいなあと思います。
「あ~楽しかった~」
「必殺技やる時がスカッとするぞー」
撮影とか気にせずに、存分に楽しんだ私とフェル。
うん、これならマルデアの皆も喜んで遊んでくれるという確信が持てる。
「お疲れ様です。
これだけ楽しんでくださったなら、こちらとしても嬉しい限りです」
担当さんがニコニコしながら、労ってくれるが遊んでただけだしね。
「急遽加わったシマエナガの商品も揃ったそうで、これで問題無く今回の輸出品目はお渡しできる形です。
今回は急遽だったので試し売り程度の量なので翻訳は間に合っておりません。必要になればまたご連絡いただければご用意いたしますのでよろしくお願いいたします」
「いつもありがとうございます。
さすがにマルデアでどうなるかは分かりませんが、地球のちょっとした紹介にもなるかなと」
「そうですねえ。確かにゲームを楽しむ為にも地球の常識とかは必要かもしれませんが、堅苦しい形で教えるより、気持ちよく見れるのから始める方がいいでしょう。
その点では可愛い生き物は受け入れられやすいと思いますよ」
既にうちの社員の心を鷲掴みにしております。
さて、これで訪問予定は終わろうとしていた時、
「え?」
「ん? 揺れたような!?」
間違いなく揺れた。
「地震!?」
即座に部屋にいた人の誰かがテレビを付けてくれる。
『緊急速報です。東北にてM6以上の地震が発生。
津波は現在確認できておりませんが、近隣の住民は避難を!』
「っつう!」
その瞬間、私は動き出す。
「リナ!」
フェルも私の服を掴んで、真剣な表情となる。
「お二人とも落ち着いてください。
その感情は嬉しいですが、断片的な情報で動くほうが危うい事になります」
担当さんの言葉で、私は少し冷静になる。
「君、政府に連絡をしてくれ。
同時に発生源先と被害状況も知りたい。
それとヘリをここへ来るように連絡をしてくれ。
状況次第では国連と政府より大使への正式な協力要請がくるだろう」
矢継ぎ早に指揮を執る担当さん。
そうだ、今衝動的に動いても私とフェルならそれなりに役に立つだろう。
だけど、的確な行動が出来るかと言われたら否定するしかない。
少し情けなくなる。
でも地震なんて何時発生するかなんて分からないのだ。
マルデアでは確かに地震さえも回避できるようになったが、それはあくまでもマルデアという星を研究し、地殻変動や星中を長年調査したからこそ、進化した科学的根拠に基づいて予見できるようになった。だけど、そのデータはあくまでもマルデアだからこそ通用する。
地球でも様々な人達が研究してるとは言え、正確な予見が出来るようになるなどいつになるかは分からないだろう。
もどかしい。既に私の中では協力をこちらから申し出たい程だ。
でも私の立場は地球親善大使であり、ある意味どこかで部外者の立場でもある。
先程は感情的に動きそうになったが、よく考えれば協力要請を受けてからでなければ地球側の立場が無いとも言えるからだ。
とにかく、私達は連絡が来ればすぐに動けるように移動する。
「大使、現在各所に連絡を取っており、既に緊急用のヘリもこちらに向かっています。
幸い、地震は収まったようですが余震も大いに考えられます。
現地や周辺の警察・消防は行動中。
自衛隊も出動する為の準備をしているそうです。
政府も国連に対して、大使への協力要請を依頼中です。
大使改めて確認させてください。
災害対処の依頼を受諾していただけるでしょうか?」
「お受けいたします。
地震がおさまったとはいえ、火事・倒壊した建物・津波・土砂崩れ・インフラ崩壊があります。
ヘリが来たら、すぐにでも移動するつもりです」
「ありがとうございます。
こちらでも災害で必要になる水・毛布・防寒対策関連を避難場所へ送るための準備に取り掛かります。
申し訳ありませんが、一度社内状況を確認する為退出させていただきます」
「承知しました。対処が終わりましたら改めてお会いしましょう」
そうして、私と担当さんは別れる。
数十分後、私とフェルは政府より正式な協力要請を受諾する。
その間に到着していたヘリに即座に乗り込み、私とフェルは移動を開始する。
そこからはヘリ内で指揮担当の人と話し合う。
「大使、現在ヘリは東北の震源地に向かっております。
幸いまだ死傷者などの連絡は入っておりませんが、多数の火事が発生しており地震の影響で消防車が十全に稼働していないとのこと。
その為、大使には魔法で周囲一帯の消火。
また倒壊寸前の建物を修復。
津波は現状確認されておりませんが、小雨ですが雨も降っています。
状況次第ですが土砂崩れの対処をお願いいたします」
「分かりました。
優先順位についてはお任せします。
あと、どれくらいで到着できますか?」
「現地には32分後到着予定。
災害後の対処として、大使の現地入りを最優先事項にしております。
また情報次第では最優先対処事項が変わるので、魔石に関しては大使の判断でお願いいたします」
その情報から私は移動中に出来る事は無いと判断する。
ただ、少しでも無駄な緊張を緩めるべく、深呼吸をするが完全には落ち着かない。
「リナ、大丈夫?」
フェルも私を心配そうに声を掛けてくれる。
「ごめん、少し落ち着かない」
「む~わちしもいるんだから、心配するでないわ~」
フェルがちょっと不満そうに私を軽くペシペシと叩く。
ああ、そうか。私は一人で頑張らなくてもいいんだって気付く。
あの火山噴火の時、この子に助けられたことを思い出す。
フェルが助けてくれなかったら、魔石と私の魔力でも足りず、抑えきれなかった部分での被害があったことだろう。
でも、フェルは一緒に手伝ってくれたのだ。
今回はあの時以上に魔石は潤沢で、私も勉強して魔法技術を磨いた。そしてフェルもいる。
なら大丈夫なはずだ。
そう考えると、中々成長できてないなあと思ってしまう。
突然の出来事に対して冷静沈着に行動できておらず、周囲を見る余裕が無くなってたんだから。
「そうだね。フェルもいるんだし、皆もいるんだから大丈夫だったね」
「おう」
そうしてフェルが私に笑顔を向けてくれる。
「よし」
気合を入れる為に、私は自分の頬を両手で軽くたたく。
さあ、行くぞ。
救助を待っている人達の下へ。
正直災害に関してもお話として大事と思うが、内容が内容なので不謹慎にならないかと書いていいか悩んだ。