リナの星間貿易異聞録   作:ayasaki

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今もそうだけど、昔から雑誌で懸賞企画ってありました。
それで思いついたら、一日で書けた……自分でびっくりです。


当たると嬉しい企画

「懸賞ですか?」

「ええ、地球でも頻繁に行っているイベントです」

 懸賞。それは企業がお客様への感謝と宣伝と企業イメージを同時に寄与できるものだ。

 企業からすれば応募総数が多ければ、それだけ人気があるということに繋がるし、お客の直接の声も知ることが出来るので、金額以上の価値を見出している。

 逆にお客からすれば、応募するだけなのでそんな労力は必要ないそうだ。

「すみません、確かにマルデアでも実行している企業はあるんですが、労力が大変だと思うんで難しいかと思うんです」

 私がユウジだったころに、ゲーム雑誌とかにあるプレゼント企画に応募したことはあるが当たった記憶はない。

 欲しいゲームソフトが懸賞に入ってたことがあったから、子供なりに母さんに切手をねだったりした。

 ただ、あれって今考えてみると全国から同じような人達がハガキを送ってくるから、確実に人海戦術が必要になるはずなんだよね。

「そこは承知しております。

 なので、こちらで全て企画内容・プレゼント内容・集計なども実行いたします。

 ガレリーナ社側にお願いするのは、送られてきたものを輸送機でまとめて、次回の訪問で渡してくださるとありがたいです。

 そして、こちらで当選者宛に贈るプレゼントも一括で送れるように宛名書きもやりますので、極力ガレリーナ社の労力が無くなるように準備いたします」

 う、う~ん。どうしよう想像以上に企画に力入れてるみたいだ。

「ちなみに初めての懸賞企画にするので、当選者数・懸賞商品も豪華にしています。

 例えば特賞で等身大ポツモンぬいぐるみセットやスウィッツ本体・スウィッツ周辺機器セット・ゲーム設定資料集・ゲームボイ・限定キーホルダー・キャラクターTシャツなど、他にもマルデアで受け入れられそうな商品をご用意します。

 マルオ・ゼルド・ドラクア等のフィギュアも考えておりますが」

 ……私が欲しいよ!

 というよりこれ、うちの社員が知ったら絶対に欲しがるよ。

 しかも当選人数がすごい。これ応募したら5人に1人は当たるんじゃないかな?

 Wチャンス賞とかもきっちり用意してるし。

「あとは懸賞ハガキの内容についてですが、

 ・好きなゲームを3つ選んでください

 ・販売してほしいジャンル

 ・ソフトの金額は高いか安いか?

 ・追加してほしい周辺機器

 ・品質

 ・画像

 ・ゲームで楽しかった時

 ・どんなゲームがやってみたいか

 ・要望などご自由に

 このような内容で記入をお願いしようと思います。

 マルデア語も地球側で翻訳できますし、アンケート内容も纏めたらガレリーナ社にお渡しいたします」

 なるほどー、……私ここまで詳細詰められてると、やるしかないかと思ってきた。

「分かりました。ではマルデアで相談してみますので、企画書をお預かりします。

 でも、ここまで大盤振る舞いして大丈夫ですか?」

 どんぶり勘定しても、これ金額で見れば億単位になってるような。

「いえ、これでもかなり揉めましたよ?

 懸賞内容は多すぎても少なくても駄目なんです。

 それに応募してくるのは予想ですが、ゲーマーだけにとどまりません。

 こういう懸賞だとお得感があるので、ある意味宣伝効果も期待できるのです。

 ですが、マルデアではご足労おかけするしかありませんので、どのように進めていくかでしたから」

 そう言いながらサンプルを横に置いてくれる。

 しかもサンプルの配置の仕方まできっちりしてくれてるので、本当に労力がいらないようにしてくれている。

 私の営業力なんて目じゃないよ。

 同時に如何に地球側がマルデアとの星間貿易を大事にしてくれてるか理解できるよ。

 この営業力は見習いたいかなあ。

 前は縮小ボックスに全て詰め込んでいてくれたりで、物凄く気を使ってくれてるし。

 その後、私はマルデア語で作られた企画書を預かり、いつもの商品を受け取ってマルデアへ帰る。

「リナ、これどうすんの?」

 フェルが私の肩に止まって、話しかけてくる。

 地球で商談中、フェルはゲームボイで企画しているサンプルゲームをやってたので、大人しかったのだ。

「とりあえず皆と相談だね。企画内容はいいと思うけど、実際にやろうとしたら2か月はかかるだろうし」

「ふ~ん」

 フェルは分かってないだろうが、大変であることは間違いない。

 でも盛り上がりそうなネタでもあるし、当選した人にはいい思い出になるはず。

「リナさーん」

 考えている間に会社近くまで来たので、私を待っていた皆が窓から顔を出している。

 相変わらずうちの社員は自由だなあ。

 ちょっと恥ずかしいけど、何だかんだでこんな空気が心地いいんだよね。

 と言うことで、社内で皆を集めて地球側からの企画を発表してみるのだが、

「……複数回の応募も有りっすか?

 他にも家族全員で応募や友達の名前借りたりとか。

 最悪当選した人が売り飛ばしちゃうこととかも有り得るっす」

 まずメソラさんがすぐに考えられることを言ってくれる。

「うむ、それもあるがまずは宣伝と実行をどうするかだな。

 宣伝ならサニアが配信すればいい。ただ応募するのに専用用紙がいる場合、営業先に用紙を置いてもらうことを念頭にしないといけない。

 その場合、期間中は売り場を少しでも占拠することになるから、置き場所で懸念されることも考えないと駄目だ。また当選者への宛名書きは全てやってくれるとはいえ、ワープ局への手続きはこちらがしなければいけない。

 となると、数日は社員数名の手を取られることは間違いないな」

「問い合わせ対応はどうしましょうか?

 簡単な内容はともかく、どこまで答えていいかとかもあると思うんです」

「懸賞は他の企業もやっているので、マルデアでも受け入れやすいでしょう。そういった意味でも懸賞を企業として実践するのも今後のいい経験にはなるとも思うんです」

「配信の時に、分かりやすく伝えるのは大事だけど、とにかく下準備が必要よ。

 顧客情報なんだから下手に扱ったら、洒落にならないんだから」

 皆の立場ごとに様々な意見が飛び交う。

 でも聞く限り前向きな意見であり、懸賞自体には批判的ではなかった。

「皆さん、懸賞することには反対じゃないんですね」

 私としては手間もあるので、相当難しいかと思ったのに。

「まあ確かに大変だろうが、この懸賞品を見るとな……」

「絶対欲しいっす」

「社内の人間でも応募していいですよね?」

「買っちゃ駄目かしら?」

 豪華賞品内容に物欲全開だったようだ。

 結果、改めてマルデアでどのように開催するかを相談し、私も地球側とすり合わせを行い懸賞はマルデアで開催された。

 

『ポツモンの限定ぬいぐるみセットーーー!? 絶対欲しい』

『設定資料集!? 見たいに決まってるだろうが。専用用紙はどこだー!?』

『てかめっちゃ豪華だな。当選人数も凄いし、これ応募する価値あるよ』

『普段懸賞なんて当選人数少ないから、当たらないからやらないけど期待できそうだ』

『子供がお店から10枚くらい取ってきてた。家族全員と親戚の名前を全部書くって』

『これ定期的に開催してほしいな。初回とはいえマジ豪華』

『周辺機器や本体が無料で手に入るのかよ』

 

「結構盛り上がってますね」

「そりゃそうよ。あんだけの商品用意されてるのに応募しないのは勿体無い」

「私も応募させてもらいました。等身大ポツモンぬいぐるみセット欲しいです」

「正式に販売予定無いのか? って問い合わせありました」

 本格的に縫いぐるみ輸入しようかなあ。クレーンゲームも人気だけどやっぱり手頃なサイズのやつだし。

 とりあえず反響はいいし、早速送られてきた専用用紙をまとめていく。

 うちとしても顧客の生の声が書かれているので、皆結構楽しみにしてたようだ。

「わあ、この子カービアの絵も描いてくれてますよ」

「こっちは用紙いっぱいに感想とか要望書いてくれてて嬉しいっす」

「超スタ2のソフトは? ってさ」

「fainalの新作出して」

「テイルスのOPみたいにアニメ作ってって」

「サントラを売ってほしい」

「フィギュアの販売予定は?」

 と言う感じで、色んな声が入ってた。

 懸賞をすることは地球側の企業だけでなく、動画でも投稿してたから伝えてるのだが、やっぱり色んな人が知りたがっていたようだ。

 同時にその内容の幾つかで、地球のニュースにもなってるようで、地球側でも懸賞やっているそうだ。

 その後、応募期間が終了し改めて地球側がマルデアでしか出来ない仕事以外を全て終わらせてくれた後、地球に訪問した私が受け取るのだが輸送機に入りきらず、今までの縮小ボックスを10個以上持って帰ってきたことを記す。

 マルデアに持ち帰ったら持ち帰ったで、各当選応募者への仕分けで、数日てんてこ舞いだったのだが、皆頑張って作業してくれていた。

 その力となったのはやっぱりお客さんの声でもある。

 

『縫いぐるみセット当たったーーー! 嬉しいいいいい』

『おっしゃあああ。ルコンキーホルダーだーーー、転売野郎ざまあああああ』

『実物ポツモン図鑑だー。』

『グラディアス戦闘機いいぞこれー』

『持ってるけどスウィッツ本体当たってしまった……これどうしよう』

『寄越せ』

『プロコン持ってなかったから、使ってみるといいなこれ』

『未購入のソフトだったからラッキー』

『くそう外れた』

『同志よ』

 

 と言う感じで、送った後にも感謝の連絡してくる人もいたし、またやってねという声や恨み節もあったが。

 しかし、軒並み好評だったようなので、また機会があれば開催する考えだ。

 地球側も盛り上がったようで、普段の数倍上の応募があったそうな。

 懸賞。それは運と行動力と気持ちが試される企画であった。




ちなみに私は去年スーパーで食材買った時に応募したら、任天堂スイッチがマジで当たりました。
そのスイッチは現在親戚が遊んでます。
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